弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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入所者の高齢化が進むにも拘わらず,職員数は年々減少の国立ハンセン病療養所(報道)

熊本日々新聞「人手不足…生活に不安 職員削減進む菊池恵楓園」(2012年10月23日)は,次のとおり報じています.

 「国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(合志市)で職員数が年々減少し、入所者の生活に深刻な影響を与えている。「人手が足りず、ブザーで呼んでもなかなか来てもらえない」「朝の洗面介助は午前4時から始まる」-。入所者や支援者でつくる「菊池恵楓園の将来を考える会」が実施した調査から、厳しい現状が浮かび上がっている。

 調査は医療・介護の実態を調べるため、今年2~9月に実施。入所者にアンケートで現状や改善してほしい点を聞いたほか、一部職員からも聞き取りをした。まだ中間集計の段階だが、入所者からは医師、職員の不足に伴う生活面の不自由さや不安を訴える声、今後も職員削減が進むことを心配する声が目立った。

 菊池恵楓園入所者自治会によると、入所者はハンセン病の後遺症に加え、高齢化で食事や生活面の介助が必要な人が増加。療養所の医療・介護の質を保つため、マンパワーが求められているという。

 同園の入所者数は18日現在、346人で平均年齢80・8歳。10年以上勤める介護職の男性は「高齢化で介助が必要な人が増え、手が回らない。入所者に不自由をかける場面もあり、すまないと思いながらお世話している」と打ち明ける。

 ハンセン病問題基本法は、国が療養所の医療・介護体制の確保に努力することを規定。しかし、「5年間で国家公務員を10%以上削減する」とした2009年の閣議決定に伴い、全国の国立ハンセン病療養所でも職員削減が進んでいる。

 菊池恵楓園入所者自治会によると、医師や看護師、介護職員などを合わせた本年度の職員数(賃金職員含む)は511人。この10年間で約13%減少した。

 今年8月、当時の小宮山洋子厚生労働相は、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)などとの協議で「大幅な定員減に歯止めをかける」と約束した。事態が改善されない場合、全療協はハンガーストライキや座り込みなどの実力行使も辞さない方針だ。

 全療協などは11月5日に東京都内で市民集会を開き、高齢化が進む療養所の介護の実態を訴える。ハンセン病市民学会も同8日、東京の日本記者クラブで実態を報告する予定。(楠本佳奈子)」


菊池恵楓園だけではなく,全国各地のハンセン病療養所の入所者の状況は,まったく同様です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:38 | 医療

日弁連,「パソコンの遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明」

日本弁護士連合会(日弁連)は2012年10月19日,「パソコンの遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明」を発表しました.

「これら事件では、逮捕・勾留手続の適否について今後十分に検証する必要があるが、加えて看過されてはならないのは、これらの事件のうち少なくとも男性2人の虚偽の自白調書が作成されていることである。報道によれば、供述調書には、ありもしない「動機」までが書かれているとのことである。全く身に覚えのない脅迫行為について自分がやったと認め、動機まで記載された調書が作成されているということは、捜査機関による違法または不適切な取調べがあったと考えざるを得ない。

今回は、たまたま真犯人が他にいることが明らかになったが、そうでなければ、これらは隠れたえん罪になっていたであろう。このことは、虚偽自白による隠れたえん罪が決してまれなものではなく、現在もえん罪が起こり続けていることを示している。

そして、こうした虚偽自白の原因は、弁護人の立会いが認められず、密室で行われる現在の取調べの構造的な在り方にあることは、当連合会がこれまで指摘してきたとおりである。

現在、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」で議論されている取調べの在り方についての改革、とりわけ取調べ全過程の録画・録音の制度化は当然のこととして、弁護人立会制度の導入の必要性が、本件によって一層明らかになったというべきであり、早急な法制化を強く求めるものである。」


現在も,密室のなかの自白強要でえん罪が作られていることがよくわかる事件です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:27 | 弁護士会

イタリア最高裁,携帯電話の長時間使用と脳腫瘍発症の因果関係を認める(報道)

MSN産経「携帯使用で脳腫瘍? 伊最高裁、労災と認める 仕事で1日5~6時間使用」(2012年10月19日)によると,イタリアの最高裁は,仕事で携帯電話を長時間使用したことが脳腫瘍の発症につながったと男性(60歳)の訴えを認め,全国労働災害保険協会に労災保険の支払いを命じる判決を下した,とのことです.

「男性は2002年までの12年間に仕事で1日5~6時間、携帯電話やコードレス電話を耳に当てて使い続けた結果、頭部左側に良性の腫瘍ができ、手術を受けた。

 判決は、長年にわたる携帯電話使用と脳腫瘍発症の因果関係を示したスウェーデンの学者らの研究結果について「信頼性が高い」と認定。携帯電話の使用は腫瘍の「少なくとも原因の一つと言える」とした。

 男性は1審で敗訴。2審では勝訴し、協会側が上告していた。(共同)」


最近は,電話として使用することは少なくなりましたが,やはり気になります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:01 | 司法

全国がん(成人病)センター協議会,最新の生存率データを公表

全国がん(成人病)センター協議会(全がん協、31施設が加盟)は,2012年10月23日,がん患者の施設別生存率を公表しました.

これは貴重な命のデータです.
生存率は,医療裁判でも因果関係判断等に用いられますが,医療の進歩により,現在はこれより改善していることに注意すべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 01:50 | 医療

社会福祉法人仁生社江戸川病院,医療ミスで,日本移植学会から腎移植中止勧告(報道)

日本経済新聞「生体腎移植後に患者死亡 東京、病院側ミス認める 」(2012年10月23日)は,次のとおり報じています.

 
「東京都江戸川区の社会福祉法人仁生社・江戸川病院で生体腎移植を受けた患者が、手術から9日後の昨年11月に死亡していたことが23日、関係者への取材で分かった。遺族側は「医師が静脈カテーテル(管)を抜く処置をする際にミスがあった」と主張。病院側もミスを認めている。

 日本移植学会は同病院に対し、調査で原因が判明するまで腎移植を実施しないよう文書で勧告した。学会関係者によると、こうした勧告は極めて異例という。

 遺族側代理人の竹花元・弁護士によると、死亡したのは関東地方の60代男性。重い腎不全のため昨年10月29日、妹をドナー(提供者)とする腎移植手術を受けたが、同年11月3日に医師が静脈カテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり、同7日に死亡した。

 竹花弁護士によると、患者の急変について主治医だった別の医師は「なんでこうなったのか」「何が起きているのか分からない」などと遺族に話すだけで、具体的な説明はしなかった。火葬の直前、遺族に「医療ミスがあった」と匿名で情報提供があったという。」


本件の患者側代理人弁護士の1人は,医療問題弁護団の竹花元先生ですね.

なお,内部告発は,実は結構あります.良心ある医療者は少なくないのです.

【追記】

msn産経「江戸川病院で腎移植の患者死亡 業務上過失致死容疑で捜査」(2012年10月24日)は,次のとおり報じました.

「東京都江戸川区の江戸川病院で昨年11月、生体腎移植を受けた男性が手術の9日後に死亡していたことが24日、関係者への取材で分かった。体内からカテーテルを抜いた直後に容体が急変しており、警視庁小岩署は業務上過失致死容疑で、医師らから事情を聴いている。

 遺族側代理人によると、死亡したのは関東地方に住む60代の男性。重度の腎不全のため、昨年10月29日に妹をドナーとする腎移植手術を受けたが、11月3日に医師が静脈カテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり、7日に死亡した。

 主治医は遺族に「カテーテルを抜いたことが原因になったかもしれないが、他に主因がある」などと説明。男性を火葬する直前に、遺族に「医療ミスがあったので、遺体を確認したほうがいい」と匿名の情報提供があり、遺族が同署に相談していた。

 同署が司法解剖した結果、死因は肺動脈に空気が詰まる「肺動脈空気塞栓(そくせん)症」だった。

 代理人によると、通常、カテーテルを抜く際は空気が入ることを防ぐため、患者をあおむけにする必要があるが、当時、男性はあぐらをかいた状態で処置を受けたという。同署は処置と死亡との因果関係を慎重に調べている。

 日本移植学会は同病院に対し、調査委員会の設立と調査終了までの移植手術の中止を勧告した。同病院は産経新聞の取材に「調査委員会の結論が出るまで何も話せない」としている。」



【再追記】

週刊文春「医療ミスで男性患者死亡。隠蔽する病院にあの××医師の影」(2012年11月8日号)は,次のとおり伝えています.

「「手術5日後、体内からカテーテルを抜いた直後に容態が急変。心肺停止状態になった。本来、カテーテルを抜く際は空気が入ることを防ぐため、臥床(横になった状態)で行うべきなのですが、担当医の△△△△△氏はなぜか座位で行ったというのです。

 しかも、もう1人の担当である▲▲▲▲医師は、遺族に『死因はわからない』と言い続け、事故を隠蔽し続けていた」(全国紙記者)

 だが、被害者が火葬される直前、「医療ミスがあった」との内部告発があり、遺族は警察に司法解剖を依頼。死因は肺動脈に空気が詰まる「肺動脈空気塞栓」と判明した。しかし医師らは以後もミスを認めずカルテの全面公開を拒否し続け、△△医師は鹿児島の病院へと移った。

「そもそも手術を担当した▲▲、△△の両医師は院内でも問題視されていた人物。彼らは生体腎移植をめぐる臓器売買事件で知られる宇和島徳洲会病院の×××医師の弟子筋なのです。特に△△医師は11年の同事件の移植手術の執刀医でした」(医療関係者)」



谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 01:30 | 医療事故・医療裁判

ダイエットレストラン

事務局Hです.
結婚式を控えてダイエットをしていた友人と,渋谷のダイエットレストランに行って来ました.
血糖値を上げない食材・調理法でカロリーを控えた料理を出してくれるお店で,意外と肉料理などもあります.
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私たちは,バーニャカウダとパスタを頼みましたが,カロリーを控えるためか,味付けも薄めで,体には良さそうですがなんとなく物足りないような気もしました.

仕事後に行ったので,待ち合わせまでにとてもお腹が空いてしまい,こっそりカフェでシュークリームを食べてから向かったのですが,
待ち合わせ場所で会うなり,偶然にも友人が「さっきシュークリーム食べちゃった.」と.
やっぱり仕事後は甘いものだよね!という話題から,時期的にハロウィン限定のかぼちゃのスイーツが美味しいという話で盛り上がり,
ダイエットレストランでなんとなく物足りないお腹を満たしに,美味しいスイーツを求めて渋谷をさまよいました.
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時間も遅かったのでカフェはどこも閉店で,結局デニーズでかぼちゃのフレンチトーストを.

ファミリーレストランはめったに行かないのですが,侮っていました.とても美味しかったです.

彼女の結婚式では,二次会の幹事や簡単なスピーチ,ライブをさせていただいたうえ,
結婚式は学生時代のプチ同窓会のようになったので,
お互いの当日の裏話や,学生時代の思い出話などで盛り上がり,あっという間の数時間でした.

結局,ダイエットの趣旨を大きく外れてしまったので,次はランチで行ってみたいです.

谷直樹法律事務所 事務局H

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by medical-law | 2012-10-23 08:15 | 休暇・休日

医療問題弁護団・35周年シンポジウムは盛況でした

10月20日土曜日の「医療問題弁護団・35周年シンポジウム「医療事故対策の現状と課題~医療問題弁護団の政策形成への関わり~」」は,とても盛況でした.
その内容,評価は,内部の私が自画自賛するより,外部の方のご意見のほうが適切と思いますので,福岡の小林洋二先生のブログをお読みください.
⇒ 「事故調創設に向けてなにが必要か〜医療問題弁護団35周年シンポジウム

【追記】

CBニュース「医療事故調、創設の糸口議論- 患者側・医療者側の弁護士らで」(2012年10月22日)は,次のとおり報じました.
 
「医療事故の原因調査と再発防止を担う第三者機関をつくるには、どうすればいいのか-。医療問題弁護団(代表=鈴木利廣弁護士)が20日に東京都内で開催したシンポジウムで、患者側・医療者側双方の弁護士や、医療事故の遺族らが調査機関のあり方について議論し、創設の糸口を探った。

 医療事故の調査機関をめぐっては、患者側・医療者側の双方から必要性を訴える声が上がっており、厚生労働省の検討部会が、事故調査と再発防止の仕組みのあり方の議論を進めている。また、同省の補助事業として全国10都道府県で医療事故の原因を調べている日本医療安全調査機構でも、調査機関について構想するために立ち上げた企画部会が報告書をまとめたところだ。

 シンポジウムで日本医療安全調査機構の矢作直樹・企画部会長(東大大学院医学系研究科教授)は、同機構には警察のような権限がないため、現在は医療機関の提出資料から事故原因を調べており、「この姿勢はちょっと弱い」と指摘。企画部会の報告書では、調査に非協力的な医療機関を公表するなどの対応を考慮することにしたと説明とした。
 厚労省の検討部会の委員を務める宮澤潤弁護士(全日本病院協会顧問)は、調査には事故関係者から話を聞く権限が必要との認識を示した上で、「臨床の現場には、刑事責任を問われたらどうしようという恐怖感がある。『刑事罰は課さないから、本当のことを話してください』と言うのが、一番真実が出てくるはず」と述べた。

 また、患者側の弁護を多く手がける細川大輔弁護士(医療問題弁護団副幹事長)は、「病院自身がきちんと調査して反省し、患者が納得するまで説明するのが、本来あるべき姿」と述べた。ただ、「今は十分に機能していない」として、しばらくの間は公的な第三者機関が必要だと主張。これに対し、宮澤弁護士は、遺族が調査を依頼できる第三者機関の必要性を認めた一方で、「病院内の事情を一番知っているのは院内の人間だし、自分たちで調査しないと反省するきっかけにならない」と述べ、外部の有識者を交えて医療機関内で調査した方が、再発防止につながると指摘した。

 親族を医療事故で亡くして調査を受けた経験を持つ川田綾子・NPO法人架け橋副理事長は、「第三者的な要素は絶対必要だが、事故後に関係ない人がいきなり踏み込んでくるのは、遺族にとって、(親族が)亡くなったことと併せて二重でショックだ」と述べ、遺族の感情に配慮した制度設計を求めた。【佐藤貴彦】」

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-22 03:07 | 医療

When You Wish Upon a Starを聴きながら,オリオン座流星群を見るのはいかがでしょうか.

今夜10日21日20時頃から,秋の風物詩オリオン座流星群が極大になります.幸い天気は晴れです.ネット(ウエザーリポート)でも見ることができます.
オリオン座流星群の季節になると,秋を実感します.

When You Wish Upon a Star(星に願いを)は,コオロギのジミニー・クリケットが歌いました.いい曲です.
Leigh Harline作曲.Ned Washington作詞.
私がこどものころ見たテレビ番組では,この曲が流れてディズニーおじさんが登場しました.半世紀も前になりますが,いつも楽しみにしていました.
オルゴールでシンプルにメロディラインの美しさを堪能するのもいいですが,今はKeith Jarrett Trio などの演奏も好きです.

When you wish upon a star Your dreams come true

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-21 20:42 | 趣味

11月5日,ハンセン病行政への抗議の市民集会

しんぶん赤旗「きょうの潮流」(2012年10月21日)は,次のとおり伝えています.

「いま入所者は、不安を通り越し、生存を脅かされていると感じています。医師も看護師も足りない。公務員減らしを、国がハンセン病療養所にまであてはめるありさま。4年前に1980人いた国立療養所の介護職員は、350人以上減らされました
▼群馬の栗生(くりゅう)楽泉園の谺(こだま)裕二さんから、お便りが届きました。「ついに、来たる11月5日午後6時、東京・北の丸公園内『科学技術館』において…ハンストや坐り込みの実力行使を覚悟で、(政府を)告発する市民集会を開催」「ご参加を心からお願いします」
▼栗生楽泉園で亡くなった人のほぼ4割、約800人の遺骨が納骨堂の骨壺(つぼ)に入っていません。1948年に納骨堂ができる前、当局が所内の土手の穴にほったらかすなどして、誰の遺骨か分からなくなったのです
▼国が1世紀にわたるこんな人権侵害を改めたはずなのに、元患者は「この期に及んでなお『病み棄(す)て』ハンセン病行政に苦しんでいる」と、谺さん。さらにいいます。今度の集会は、「命の終わりが迫っている私たち入所者の最後の叫び」だ、と。」


戦いはまだ終わってはいないのです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-21 14:06 | 医療

セカンドオピニオンの土庫病院の医師が前の検査記録で胃潰瘍と伝え胃がんで死亡した事案,提訴へ(報道)

毎日放送「胃がん告知ミス 遺族ら提訴へ 」(2012年10月20日)は,次のとおり報じています.

 「奈良県大和高田市の病院で、胃ガンの男性患者に誤って「胃潰瘍」と告知しその後、患者が死亡した問題で、遺族らが来週にも損害賠償を求める裁判を起こすことがわかりました。

 訴えを起こすのは、がんで亡くなった石田政裕さん(53)の遺族らです。
 石田さんはおととし9月、大和高田市の土庫病院で検査を受け、胃がんが見つかりました。
 ところが本人に告知する際、検査した医師とは別の医師がこのデータを見逃し、誤って胃潰瘍と伝えたということです。
 1年後に告知ミスが判明しましたが、すでに病状が進行していて石田さんは、今年7月に死亡しました。
 遺族らは「治療の遅れがなければ、病気を治すことができたと考えるべきだ」として来週にも病院側を相手取り、およそ1億4000万円の損害賠償を求める裁判をおこす方針です。

 これに対し病院側は「訴状を見てからでないとコメントできない」としています。」


別の病院で胃潰瘍と診断された患者が,セカンドオピニオンとして受診した土庫病院でも胃潰瘍と説明されました.ところが,それは前の病院の検査結果を今回の検査結果と医師が勘違いして伝えたもので,胃カメラと細胞検査を担当した別の医師2人が胃がんの可能性があると診断していたことが後にわかった事案です.この行き違いが無念だったのでしょう.
医療事故の中には,初歩的なミスが結構含まれています.医療事故には容易に防止可能なものもあります.

【追記】

MSN産経「告知ミスなければ完治」 がんで死亡の遺族提訴 医療法人に1億4千万円求める」(2012年10月22日)は,次のとおり報じました.

「奈良県大和高田市の特定医療法人健生会「土庫病院」の検査で胃がんと判明したのに、1年間告知されないまま死亡した同県橿原市の石田政裕さん=当時(53)=の遺族が22日、「告知ミスがなければ完治できた可能性が高い」と同会などに慰謝料など約1億4千万円を求め、奈良地裁葛城支部に提訴した。

 病院や訴えによると、胃がんとの検査の結果は平成22年9月に出ていたが、告知は1年後だった。病院は今年7月に会見し、告知ミスを謝罪した。

 訴えによると、22年2月に別の医療機関が胃潰瘍、病院は同年9月に胃がんと診断した。しかし、病院は石田さんから提出されていた医療機関の診断書を病院の診断書と間違え、胃潰瘍と誤って告知。23年9月に病院での人間ドックで胃がんがあらためて確認され、告知ミスも発覚。今年7月に死亡した。」



【再追記】

毎日新聞「土庫病院の胃がん告知ミス:損賠訴訟 被告側「請求棄却を」地裁 /奈良」(2012年12月21日)は,次のとおり報じました. 

「特定医療法人健生会「土庫病院」(大和高田市日之出町)による胃がん告知ミス問題で、早期治療の機会を奪われ亡くなった男性(当時53歳)の遺族らが、健生会などに約1億4000万円の損害賠償を求めた訴訟が20日、奈良地裁(牧賢二裁判長)で始まった。被告側は過失を認める一方、「(保険適用外の)免疫療法などに要した費用と過失の相当因果関係は否定せざるを得ない」とし、請求棄却を求めた。

 訴状などによると、橿原市の建設業、石田政裕さんは10年2月、他の病院の胃カメラ検査で胃潰瘍と診断され、同9月9日、土庫病院で受診。病理検査などで胃がんと判明したが、副院長は2月の検査結果を見て胃潰瘍と思い込み、胃潰瘍と告げて胃薬を処方した。11年9月に同病院で人間ドックを受け、告知ミスが判明。末期がんで手術ができず、化学療法に加え、保険適用外の治療を受けたが7月3日に亡くなった。

 原告側は、10年9月時点の胃がんの進行度は「ステージ1」程度だったと推測され、切除できた可能性がきわめて高く、一般的に8?9割以上の確率で完治するとされていると主張。「治療開始が1年間も遅れ、病状に相当の違いが生じた」と指摘している。

 一方、被告側は「がんはきわめて悪性度が高く、進行ステージもより高かった可能性が高い」と反論した。免疫療法などの「先進医療」は治療効果が検証・確認されていない実験段階のもので、「本件で治療効果を上げた形跡もない」と主張。「原告らの主張する損害は、過失との相当因果関係の超える金額が含まれている」としている。【千脇康平】」


【再々追記】

MSN産経「診察の副院長を刑事告訴へ 遺族、胃がん告知ミスで 奈良」(2013年3月28日)は,次のとおり報じました.

「大和高田市の特定医療法人健生会「土庫(どんご)病院」(山西行造病院長)が胃がんを告知ミスし、橿原市の患者、石田政裕さん=当時(53)=が病死した医療事故で、石田さんの遺族が近く、診察した副院長を業務上過失致死容疑で高田署に刑事告訴することが27日、分かった。

 遺族の弁護人によると、告訴状では、副院長が石田さんに検査結果を説明する際、「業務上の注意義務を怠った」と指摘。「胃がんを胃潰瘍(かいよう)と誤信させて治療の機会を奪い、死亡させた」としている。

 石田さんの妻、久美子さん(53)は「命に関わる大事なことを見落としたことは許せない。主人の思いを代弁して告訴を決めた」と話した。

 同病院は「コメントは控えたい」としている。」



谷直樹

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by medical-law | 2012-10-20 20:00 | 医療事故・医療裁判