弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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旧国立水戸病院(現国立病院機構水戸医療センター,医療用ガーゼ19年間放置,公表せず(報道)

日本経済新聞「鼻にガーゼ、19年間放置 水戸医療センター」 (2012年11月10日)は,次のとおり報じています.

「茨城県の旧国立水戸病院(現国立病院機構水戸医療センター、500床)で手術を受けた男性患者の鼻の奥に、医療用ガーゼが19年間にわたり放置されていたことが10日、情報公開請求で開示された医療事故報告書と病院関係者への取材で分かった。

 当時のカルテなどは既に残っておらず、手術の詳しい経緯、その後の状況は不明。病院側は、個別の医療事故について「コメントできない」としている。同センターは2004年に現在の名称となった。

 病院関係者や医療事故報告書によると、男性患者は1991年、旧国立水戸病院で鼻などの手術を受けた。10年1月、強い痛みを感じて別の病院で検査し、ガーゼの一部が見つかった。

 同センターでは08年からの5年間で51件の医療事故があり、10年1月には60代の男性が胃の一部を切除する手術で腹部にガーゼが残され、数日後に摘出手術を受けていたことも判明。いずれも患者が死亡する医療事故ではないとして、公表していなかった。

 同センターは30近い診療科を持つ総合病院で、県知事から「地域医療支援病院」の承認を受けている。

 医療事故に詳しい柴田義朗弁護士(愛知県弁護士会)は「全国的にガーゼの取り残し事案は多く、手術の際に枚数の確認やエックス線に写るものを使うなどの対策が必要だ」と話している」


患者が死亡しなくても,5医療事故である以上は,公表すべきでしょう.
平均年約10件の医療事故が減らすためには,医療事故をオープンにし原因を分析と再発防止策を講じることが必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-11 00:41 | 医療事故・医療裁判

11月10日「患者も医療者も幸せになれる医療をめざして」

基調報告は,日本医師会常務理事の今村定臣氏と,薬害オンブズパースン会議代表で弁護士の鈴木利廣氏です.
日時 2012年11月10日14時~17時
場所 ガスホール(福岡市博多区千代1?17?1パピヨン24,地下鉄千代県庁口駅直結)

詳しい内容は,小林洋二先生が書いた九州合同法律事務所のブログ

【追記】

11月10日の医療基本法シンポジウムについて,西日本新聞「医療基本法制定へ理解を オンブズマンや医師会などシンポ 「患者の権利守れ」(2012年11月30日)は,次のとおり報じました.

「「患者の権利」擁護を中核とする「医療基本法」の制定に向けたシンポジウムがこのほど、福岡市博多区のパピヨン24ガスホールであった。NPO法人「患者の権利オンブズマン」(福岡市)や福岡県医師会、薬害オンブズパースン会議(東京)などでつくる実行委員会が主催し、約120人が集まった。

 はじめに、日本医師会の今村定臣常任理事が、同会の医事法関係検討委員会で3月にまとめた「『医療基本法』の制定に向けた具体的提言」に関して報告。提言がまとめられた経緯について(1)委員会が「医療を取り巻く法律や通達のほとんどが、医療提供者を規制することを目的としたもので、信頼関係を目指すべき医師・患者関係を阻害しており、見直しが必要」と考えた(2)その後、委員会は、患者中心の医療を進めるためにどのような法制度が望ましいかということを中心に検討を始め、その過程で医療に関する基本法が必要との議論に発展した-などと説明した。

 続いて、薬害オンブズパースン会議代表の鈴木利廣弁護士が「患者の権利」について解説。この権利には、最善の医療を受ける権利▽個人の尊厳が守られる権利▽インフォームドコンセントに象徴される「知る権利と自己決定権」▽被験者の権利(臨床研究における患者の権利)▽被拘禁者の権利(認知症患者など、身体拘束を受ける患者の人権)▽医療被害の回復救済を求める権利-の六つがあるとし「こうした患者の権利を土台にしながら医療制度を再構築していくことが必要」と話した。

 シンポでは、各政党とも医療基本法の成立に前向きな印象はあるものの、審議に向けた動きが見えないことも話題に。医療過誤原告の会(東京)の石政秀紹さんは「国会議員は医療基本法の重要性をちゃんと理解していないのではないか」と指摘し、制定に向けて市民側に理解を広めていこうと呼び掛けた。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-09 05:07 | 医療

11月11日「医療被害者交流会in岡山」

MSN産経「1人で苦しまないで 医療事故被害者ら情報共有 岡山」(2012年11月9日)は,次のとおり報じています.
 

「医療事故の被害者や家族らが集まり、苦しみや現状を共有する「医療被害者交流会in岡山」が11日、岡山市北区の岡山シティホテル桑田町で開かれる。主催者の1つ「医療の良心を守る市民の会」(千葉県)によると、中四国地方では初開催。永井裕之代表は「1人で苦しんでいる被害者らが助け合える横のつながりを作りたい」としている。

 同会などによると、国内の医療事故による死者は年間2万~3万人に上るとされるが、病院側が情報を隠して責任を回避する例もあるという。原因究明や再発防止のため、厚生労働省は現在、中立的立場の「医療事故調査機関」の設立を検討しており、早期設立を求める声があがっている。

 永井代表の妻は平成11年2月、点滴時に消毒薬を誤投与され、急死した。中四国地方にも多くの医療事故の被害者がいるとみられるが、これまで集まって情報を共有する機会がなかったため、同会と「医療過誤原告の会」(東京都)が初めて交流会を企画した。

 参加者の対象は中四国か関西在住で、医療事故の被害者やその家族。永井代表らがコーディネーター役を務め、参加者に経験や現状などを語ってもらい、アドバイスする。

 午後1~4時半で事前申し込みは不要。参加無料。また、交流会に先立って午前10時半から、JR岡山駅前で「医療事故調査機関」の早期設立を求める署名活動を行う。問い合わせは永井代表((電)047・380・9806)。」


日時  11月11日(日)13時~16時30分
場所  岡山シティーホテル3F会議室
内容  医療事故被害者をめぐる情勢(宮脇正和・原告の会々長)
    医療事故調査制度づくり検討状況(永井裕之・医療の良心を守る市民の会代表)
     医療被害者から報告・交流
参加費  無料、 事前申し込み 不要



谷直樹

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by medical-law | 2012-11-09 04:49 | 医療事故・医療裁判

仏の研究,イチョウ葉エキスのアルツハイマー病の進行抑制に対する有効性認められず

厚生労働省のサイトに「イチョウ葉エキスの有効性および安全性」が掲載されています.

「EGb761は脳血管型およびアルツハイマー型、両方の痴呆症の症状を改善することが数多くの臨床試験で報告されています」
「健康食品に利用されている素材の中で、イチョウ葉エキスについてはかなり学術論文があり、その有効性と安全性が明らかになっています。しかし、それらの研究は、医薬品グレードのイチョウ葉エキスを利用した研究結果であり、市場に存在するイチョウ葉エキス関連商品で同等の効果があるとは言えません。
さらに、ある薬理作用があるということは、過剰に摂取すれば、別の望まない効果が発現することが当然予想できます。イチョウ葉エキスを適切に利用する上でのポイントは、1)規格基準があり、その製品の品質に問題がなく、安全性がある程度把握できるものを利用すること、2)効果をあまりにも期待して過剰に摂取しないこと、3)疾病があり、医薬品を用いた治療を行っている人は、医薬品を用いた治療を優先させ、また医師等の専門家の助言を受けることです。
このような点に注意してイチョウ葉エキスを利用すれば、多くの臨床試験結果から推定できるように有効に活用することができると思われます。」


微妙な言い回しですが,医薬品グレードのイチョウ葉エキス EGb761については有効に活用することができると,限定的ですがお墨付きを与えているのようです.
医薬品として厚労省が承認していないイチョウ葉エキス EGb761について,科学的根拠が十分ではないのに,厚労省のサイトに,「有効に活用することができると思われます」と掲載するのは,消費者に誤解を与えるのではないかと疑問を感じます.

これに対し,フランス国立医学研究機構(INSERM)のBruno Vellas氏らは記憶障害のある70歳以上の高齢者2,854人を,医薬品扱いのイチョウ葉エキス「EGb761」(1日120ミリグラム)またはプラセボ(偽薬)を5年間投与する群にランダムに分け,アルツハイマー病の進行抑制に対する有効性を評価しました.その結果,統計学的に意義のある差は認められなかった,と報告しています(Lancet Neurology,2012; 11: 851-859).


Long-term use of standardised ginkgo biloba extract for the prevention of Alzheimer's disease (GuidAge): a randomised placebo-controlled trial.

Abstract

BACKGROUND:

Prevention strategies are urgently needed to tackle the growing burden of Alzheimer's disease. We aimed to assess efficacy of long-term use of standardised ginkgo biloba extract for the reduction of incidence of Alzheimer's disease in elderly adults with memory complaints.

METHODS:

In the randomised, parallel-group, double-blind, placebo-controlled GuidAge clinical trial, we enrolled adults aged 70 years or older who spontaneously reported memory complaints to their primary-care physician in France. We randomly allocated participants in a 1:1 ratio according to a computer-generated sequence to a twice per day dose of 120 mg standardised ginkgo biloba extract (EGb761) or matched placebo. Participants and study investigators and personnel were masked to study group assignment. Participants were followed-up for 5 years by primary-care physicians and in expert memory centres. The primary outcome was conversion to probable Alzheimer's disease in participants who received at least one dose of study drug or placebo, compared by use of the log-rank test. This study is registered with ClinicalTrials.gov, number NCT00276510.

FINDINGS:

Between March, 2002, and November, 2004, we enrolled and randomly allocated 2854 participants, of whom 1406 received at least one dose of ginkgo biloba extract and 1414 received at least one dose of placebo. By 5 years, 61 participants in the ginkgo group had been diagnosed with probable Alzheimer's disease (1·2 cases per 100 person-years) compared with 73 participants in the placebo group (1·4 cases per 100 person-years; hazard ratio [HR] 0·84, 95% CI 0·60-1·18; p=0·306), but the risk was not proportional over time. Incidence of adverse events was much the same between groups. 76 participants in the ginkgo group died compared with 82 participants in the placebo group (0·94, 0·69-1·28; p=0·68). 65 participants in the ginkgo group had a stroke compared with 60 participants in the placebo group (risk ratio 1·12, 95% CI 0·77-1·63; p=0·57). Incidence of other haemorrhagic or cardiovascular events also did not differ between groups.

INTERPRETATION:

Long-term use of standardised ginkgo biloba extract in this trial did not reduce the risk of progression to Alzheimer's disease compared with placebo.」


健康百科「イチョウ葉エキスでアルツハイマー病の進行抑えられず」(2012年11月7日)ご参照


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-09 04:32 | 医療

GARFIELDの解析,管理不十分な抗凝固治療で心房細動患者のリスク増大

GARFIELD(the Global Anticoagulant Registry in the FIELD)は,心房細動患者55000例を登録し観察する,世界規模の前向きコホート研究です.日本の施設も参加しています.

Heart Association Scientific Sessions(米国心臓病協会学術集会)でのGARFIELDの解析報告によると,ビタミンK拮抗剤(ワーファリン)のガイドラインでの推奨と臨床医療の実際の管理状況との間のギャップがあること,および抗凝固治療で不十分な管理を受けた患者の死亡率が高いこと等が伝えられています.
ワーファリンを投薬しながら,PT-INRを適切にコントロールしていない例が少なくないという報告は重大です.

共同通信PRワイヤー「管理不十分な抗凝固治療で心房細動患者のリスク増大」(2012年11月8日)は,次のとおり,伝えています.

「観察された9971人の患者のうち5724人(57%)だけがビタミンK拮抗剤(VKA)による治療を受けた。これらの患者のうち57%は効果的な治療を受けず、血液が凝固するまでの時間を測定する国際正常化率(INR)の管理が不十分だった。」
「VKA治療を受けた患者の間では効果的な抗凝固治療管理を受けた患者と不十分な管理を受けた患者の結果は年間の死亡率が0.86%対1,72%、年間の脳卒中/SE発症率が0.86%対1.34%だった。」

「 ハーバード・メディカル・スクール内科教授、ブリガム女性病院上級スタッフ心臓専門医で、GARFIELD運営委員会メンバーであるサムエル・Z・ゴールドへーバー博士は「死亡率とSFからの脳卒中率の高さがこの現実生活コホートで強調されている。GARFIELDは抗凝固治療のガイドラインと現実の臨床行為の間にはおおきなギャップが残っているというメッセージをわれわれに提供している。難しいのは臨床医の教育、AF患者の脳卒中を予防する実証済みの手段の実行に対するわれわれの努力を倍増することである」と語っている。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-09 03:22 | 医療

藤本事件(菊池事件),全国ハンセン病療養所入所者協議会らが検察庁に再審請求を求めるよう要請(報道)

熊本日日新聞「検察に再審請求要請 ハンセン病元患者死刑事件」(2012年11月7日)は,次のとおり報じています.

「県内のハンセン病元患者の男性が殺人罪に問われ、無実を訴えながら1962年に死刑になった「藤本事件」をめぐり、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)など3団体が7日、検察官が再審請求するよう求める要請書を熊本地検に提出した。検察への再審請求の要請は極めて異例。裁判手続きの憲法違反を理由の柱に、検察に「法曹としての責務を果たしてほしい」と求めている。

 要請書は、ハンセン病患者への差別・偏見から、男性の裁判が菊池恵楓園(合志市)内などの特別法廷で実質的に非公開であり、ずさんな弁護で審理されるなど、複数の憲法違反を指摘。「国の隔離政策に加担した司法の責任が端的に問われるべき事件」として、再審の必要性を訴えている。

 請求の趣意書では、有罪の根拠となった関係者の証言の信用性など、確定判決の証拠上の問題点も指摘した。

 男性の死刑執行から50年を迎えるのを機に、熊本や大分の弁護士17人が弁護団を結成。再審請求を目指してきたが、遺族が消極的なため検察に要請した。要請書は3団体の連名で、小津博司検事総長宛て。3団体の代表と弁護士2人が熊本地検を訪れ、提出した。

 男性は県内の村の元村職員方にダイナマイトが投げ込まれた事件で有罪判決を受け、控訴中だった52年6月、菊池恵楓園内の拘置所から逃走。翌月、元職員が刺殺体で見つかり、男性が殺人容疑などで逮捕された。

 男性をハンセン病患者と県に報告した元職員への逆恨みが動機とされ、57年に死刑判決が確定。62年9月に3度目の再審請求が棄却された翌日、死刑が執行された。(小林義人)」


昭和37年に死刑が執行された藤本事件(菊池事件) は,検察官が自ら再審請求を行うしか再審請求の方法がない状況です.

「ハンセン病問題に関する検証会議 最終報告書」の 「第3 藤本事件の真相」ご参照

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-08 06:12 | 司法

「最後の一人まで面倒をみる」は,嘘だったのでしょうか?

11月5日に科学技術館で開かれた 「いまハンセン病療養所のいのちと向き合う!-実態を告発する市民集会」について,東京新聞群馬版「回復者の介護充実を「差別の歴史で障害重く」 ハンセン病療養所改善求め、東京で集会」(2012年11月7日) が,次のとおり報じています.
 
「全国のハンセン病関連団体などで組織する「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会」の主催。十三カ所ある国立療養所などから回復者や職員らと、県内の支援者三十人以上を含む計約四百八十人が来場した。

 谺さんは「(戦時中などに極寒の草津で)燃料節約のため、患者が炭やまきを運ぶ強制労働をさせられた。元から病気なのだから障害が重くならないわけがない」と指摘。

 「国の政策のせいで車いす生活になった。それなのに、(暑い日も寒い日も)風呂は一週間に三回。あまりにひどい。これでいいのか。なんとか援助を」と声を張り上げた。

 続いて、戦時中に病気が遺伝すると誤解され、強制堕胎(だたい)の際に目の前でわが子を殺された星塚敬愛園(鹿児島県)の玉城シゲさん(94)が登壇した。

 玉城さんは「人間として子どもを育てられず、女として生きる値打ちがないとされた。犬猫に劣る生活を強いられた上で(今の介護が不十分な生活では)死ぬに死ねない。(国に改善を求めて)ハンスト(ハンガーストライキ)をやりたい」と決意を語った。

◆職員数1割減る 全国
 国はハンセン病患者に長年不条理な強制隔離政策を続けたが、二〇〇一年に国家賠償訴訟に敗訴して「最後の一人まで面倒をみる」と約束。しかし、国は〇九年、国家公務員を五年で一割以上削減すると決め、全国の療養所職員数は〇七年から約一割減少して計約三千四百人となった。

 全国の療養所にいる回復者は約二千百人。平均年齢は八十二歳で、食事などに介助が必要な人は26%、認知症の人は22%、寝たきりの人は9%いる。

 食事の介助が不十分なために、のどに食べ物を詰まらせたのが原因で亡くなる人が増え、夜中にトイレに行く際に人員不足から職員が間に合わず、転倒して骨折する人も多い。

 栗生楽泉園では、回復者が百十五人おり、平均年齢は八十三歳。年間平均で十数人、この四カ月では七人亡くなった。

 同園の職員定員は二百十四人のところ、在籍は百八十六人。常勤の医師が二人、看護師が二十一人不足している。職員は三月に約十人退職し、四月の採用は四人にとどまった。」


高齢化する入所者に対し,職員数を減らし経費節減,というのは,あまりにも不合理です.国は,人権侵害の強制隔離政策を真に反省しているのでしょうか?

厚生労働省大臣の「ハンセン病問題対策協議会における確認事項」(平成13年12月15日)では、「13の国立ハンセン病療養所入所者が在園を希望する場合には、その意思に反して退所、転園させることなく終生の在園を保障するとともに、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するため、入所者の生活環境及び医療の整備を行うよう最大限努める」とされました.この「最後の一人まで面倒をみる」は,嘘だったのでしょうか?

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-08 05:36 | 医療

国家公務員共済組合連合会 東京共済病院,前シーズンの規格のインフルエンザワクチンを接種(報道)

東京共済病院は,2012年11月6日,「インフルエンザワクチンの接種を受けられた方へお詫びと再接種のご案内」 をホームページに掲載しました.

「先般インフルエンザワクチンの接種を受けられました方の一部(平成24年10月1日から平成24年10月26日に接種されたワクチン)に、前シーズンの規格で製造されたワクチンを使用してしまったことが判明いたしました。誠に申し訳ございませんでした。接種されました皆様に深くお詫びするとともに、料金のご返金ならびに再接種を無料でお受けいただきたくご案内いたします。
インフルエンザワクチンは、数年ごとにウイルスの株を見直して製造されます。過去2年間は変更がありませんでしたが、今シーズンは株の一部が変更されております。使用されたワクチンの品質管理、有効期限に問題はありませんが、今後の流行によっては、今シーズンの製品とは効果に若干の相違が出る可能性があります。」


読売新聞「去年のインフルワクチン、200人以上に接種」(2012年11月7日)は,次のとおり報じています.

「同病院では「有効期限内で品質管理に問題はなく、故意の不正使用ではない」としているが、目黒区保健所は「去年用のワクチンを使用するのは好ましくない」として調査している。厚生労働省結核感染症課は「65歳以上の人など定期接種をしている人には今シーズン用のワクチン使用が望ましい」としている。」

もちろん故意ではないでしょうが,どうしてこのようなことになったのか,きとんと解明していただきたいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-08 05:08 | 医療事故・医療裁判

研鑽する若手弁護士

Business Journalに「裁判所・検察・経済界にハシゴを外され続けた末路 なぜ日弁連は、弁護士余剰の元凶・新司法制度改革を推進した?」(2012年11月5日)という記事が載っていました.
金融ジャーナリストの伊藤歩氏は,小林正啓弁護士の著作『こんな日弁連に誰がした?』(平凡社新書)によると、日弁連自身が法曹人口の大増員を推進したものだという,と書いています.その歴史的経緯,日弁連の誤算は,弁護士にとっては目新しい話ではありませんが,上記著作が詳しいです.

伊藤歩氏の記事は,若手弁護士側の視点から,次のように結んでいます.

「弁護士会の分野別の研究会にこまめに参加し、先輩弁護士に教えを請い、時には案件を手伝わせてもらいながら経験を積んでいるという弁護士は少なからずいる。弁護士は他の業界ではまず見られないほど、同じ事務所でもなんでもない、縁もゆかりもない後輩の面倒をよく見る傾向にある。

「自分は2000人体制だからこそ合格できた、だから自力で研鑽を積むのは当然なのだ」という若い弁護士に出会うと、「これから淘汰されるのは、研鑽を積むことを忘れた、年配のロートル弁護士のほうだ」という思いを強くするのである。」


訴訟は日進月歩ですし,弁護士は,本来的に勉強熱心です.
医療訴訟は過去の経験が単純に通用するものではありませんので,医療訴訟を担当する弁護士は,ベテラン,中堅も含めて勉強熱心です.それに負けない若手の心意気は頼もしく思います.

今週末,医療問題弁護団・研究会の全国交流集会が福岡で開かれます.全国から患者側で医療事件を担当する弁護士が集まり,高度な研究報告が行われます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-06 23:58 | 司法

昭和大学病院附属東病院,東京医科大学病院,セントマーガレット病院,患者情報含むUSBメモリーを紛失

昭和大学病院附属東病院は,2012年10月31日,「患者様個人情報の紛失に関するお詫び」をホームページに掲載しました.

「患者様個人情報42人分が記録されたUSBフラッシュメモリーを当院職員が2012年10月27日に紛失したことに気付きました。現在のところ所在は不明です。
個人情報の内容は、ローマ字姓、性別、診察券番号、略語化された病名、手術手技、検査結果の情報で、住所や電話番号、生年月日、フルネームは含まれておりません。
なお、現時点でUSBフラッシュメモリー内の情報が不正に利用されたとの事実は確認されておりません。

このことについて、2012年10月30日、緊急に個人情報保護管理委員会を開催し、監督官庁である厚生労働省、東京都に報告いたしました。

該当患者様に対しては、説明とお詫びの書面を送付いたします。

今回の事例を深く反省するとともに、このような事態を招いたことを厳粛に受け止め、職員に対し個人情報の取扱に関する注意を再度徹底し、再発防止に一層努めてまいります。」


東京医科大学病院は,2012年10月10日,「診療情報が入ったUSBメモリーの紛失について」をホームページに掲載しました.

「平成24年10月4日(木) 午後11時頃、当院の麻酔科研修医が、帰宅途中に、患者さんの診療情報を含むUSBメモリーが入った鞄を紛失しました。紛失後、所轄警察署に届け出ましたが、まだ発見されておりません。関東信越厚生局および東京都へは届け出ております。

 紛失したUSBメモリーには、当院で行われた手術5例(患者IDおよび麻酔時間や手術時間、出血量のデータ)と1例の術中画像が含まれております。ただし、患者さんの氏名・住所・電話番号の記載はありません。なお、USBメモリーにはパスワードが設定されておらず、暗号化されていない状態でした。
 該当される患者さんには、この度の経緯および対応について説明をいたしました。現時点では、個人情報が流出したという情報や第三者に不正に使用された事実は確認されておりません。

 当院では、個人情報の取り扱いについて、「個人情報保護法への対応のためのガイドライン(平成18年4月施行)」を制定し、個人情報の暗号化、院外への持ち出し禁止など、セキュリティ確保の指導を行ってきましたが、これらが遵守されず、診療情報が病院外に持ち出されたことは極めて遺憾であります。今回の事態を厳粛に受け止め、改めて教職員に対してはガイドライン遵守と個人情報保護の重要性について教育・指導を強化・徹底致します。
 このような事態を招き、皆さまにはご迷惑とご心配をおかけすることになったことを深くお詫び申し上げます。」


医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院は,2012年10月16日,「個人情報データ紛失に関するお詫びとご報告」をホームページに掲載しました.

「1. 概要
平成24年10月10日(水)職員より、ご利用者さまの個人 情報594人分のデータが記録されたUSBメモリを紛失したとの報告を受け、紛失した 可能性のある場所を捜索致しましたが、発見には至っておりません。また、現在のところ、紛失した個人情報が不正に利用された痕跡は確認されておりません。

2. 紛失時期
平成24年10月5日(金)午後5時頃~平成24年10月10日(水)午前9時頃まで

3. 紛失した可能性のある場所
・セントマーガレット病院内及び敷地内
・職員自宅など

4. 紛失したデータ
・通所リハビリテーション・訪問診療・訪問看護ご利用者さま594名分の住所、氏名、介護保険保険者番号、介護保険受給者番号、H24年1月~9月の介護保険請求実績一覧
・職員作成の業務資料

5. 事故発生後の対応
① 該当される方への謝罪
② WEB サイトへの掲載
③ 関係機関への報告
④ 再発防止策の徹底
個人情報の職場外への持ち出し禁止、個人情報の取り扱い方法の再徹底これまでも個人情報の保護・管理に取り組んで参りましたが、このような事態を招いたことを真摯に受け止め、今後、再発防止策の徹底に努めるとともに、個人情報の取り扱いに万全を期すよう取り組んで参ります。」


電磁情報の漏出防止のために,USBメモリーなどにコピーすると自動的に暗号化されるなどのシステムを導入すべきでしょう.
以前も書きましたが,愛媛大学医学部付属病院は,2012年2月より,USBデバイスにコピーしたファイルを強制的に暗号化するソフトを導入しています.
導入したのは,株式会社ティエスエスリンクの情報漏洩対策ソフト「セキュアプライム DC」です.

「セキュアプライム DC」は,USBデバイスをサーバーで一元管理して個別に認証します.
管理者が許可しないUSBデバイスの利用は禁止されます.
USBデバイスの利用履歴やファイルの操作履歴をログ記録しますので,USBデバイスの不正利用を把握できます.
万が一USBメモリーの紛失・盗難が起こっても第三者によって容易に不正利用されないよう,USBデバイスにコピーしたファイルを強制的に暗号化し(オプション機能),ファイル編集後の上書き保存で自動的に再暗号化します.復号ファイルも残さず,ファイルの安全性をさらに高める,とのことです.
愛媛大学医学部付属病院では,「セキュアプライム DC」を利用できない端末では,外部ドライブが使えないようにPCのポリシーを設定し,データ流出を防止しているとのことです.


ちなみに,報道によると,昨年6月以降,個人電磁情報の紛失事故は,以下の施設で起きています.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院

【追記】

読売新聞 「くまもと森都総合病院、情報漏えい対策に「SASTIK」を導入」(2012年11月8日)は次のとおり報じています.

 「モバイル USB シンクライアントのサスライトは、情報漏洩事故のリスクを低減するセキュリティシステム「SASTIK III Thin-Client Layer アカデミック版」を、くまもと森都総合病院(旧 NTT 西日本九州病院)に導入した。

 同じ病院内でも、診察棟と医局でネットワークが違う場合、医師は診察棟に足を運ばなければ必要データにアクセスできなかった。しかし、今回の導入で、ネットワークに繋がった PC に USB キーを挿すだけで、セキュアに指定のサーバーにアクセスできるようになった。

 USB を用いてデータを持ち出すわけではないので、情報漏えい対策にもなる。利用後は USB キーを抜くだけで自動的に機能を終了し、利用した PC には一切のデータを残さないため、セキュリティ面でも安心して利用できる。(インターネットコム)」


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-05 20:44 | 医療事故・医療裁判