弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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夜の青い地球

米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)が昨年打ち上げた地球観測衛星「スオミNPP衛星」に搭載された特殊な赤外線画像装置を使って撮影した夜の地球の映像が公開されました.
現代のThe Blue Marbleです.

CNN「息をのむ美しさ、夜の青い地球の姿

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-08 13:33 | 趣味

京都刑務所などに収容されていた元受刑者が適切な検査を受けられずがんが進行した事案で国を提訴(報道)

読売新聞「受刑中に医療受けられず、がん進行 国を提訴へ 耳から出血でも検査受けられず」(2012年12月7日)は,次のとおり報じました.
 
「京都刑務所などに収容されていた元受刑者の男性(59)が、体調の異変を訴えたのに適切な検査を受けられず、約3年後にがんと診断された際には手術困難な状態に進行していたとして、国に損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こす方針を決めた。男性の刑事裁判を担当した弁護士ら14人は弁護団を結成し、「男性への対応は極めてずさん。国は受刑者らに適切な医療を施す義務がある」と訴えている。

 男性は、車のナンバープレートを盗んだとする窃盗罪などで公判中の2008年11月、大阪拘置所(大阪市都島区)に収容された。

 弁護団によると、男性は09年1月頃、左耳の下のしこりに気づいた。次第に痛みも強まり、職員に再三検査を申し込んだが、「問題ない」として取り合ってもらえなかった。

 懲役3年8月の実刑が確定した後の09年6月、京都刑務所(京都市山科区)に移った。たびたび耳から出血し、顔面マヒになるなど症状は悪化したが、鎮痛剤を処方される程度だった。今年1月、京都市内の病院で検査を受け、「左耳下腺腫瘍および左顎下(がっか)リンパ節転移」と悪性の疑いが示されたが、その後も所内の軽作業をさせられたという。

 男性の弁護士が、同刑務所に緊急の医療措置を求める要望書を出し、男性は3月末、八王子医療刑務所(東京都八王子市)に移監された。数日後、所内の検査で、腫瘍はがんで肺にも転移していることが判明。男性は8月に出所したが、大阪市内の病院で「根治的治療は困難」と診断され、入退院を繰り返しながら抗がん剤の投与を受けている。

 男性は「受刑者にも医療を受ける権利はある。国の対応は許せない」と憤る。弁護団も「顔面がゆがむなど異常が明らかなのに放置し続けた」と、国側の対応を批判している。

 大阪拘置所は「医療措置は全て医師の判断に任せている」、京都刑務所は「受刑者の中に男性がいたかどうかも答えられない」としている。」



受刑者にも医療を受ける権利がありますので,人手がないというのは正当な理由にならないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-07 13:04 | 医療事故・医療裁判

秋田県立リハビリテーション・精神医療センター,診療放射線技師2人が独断でエックス線撮影

秋田魁新報「エックス線独断撮影、知人や自分に CT検査も」(2012年12月7日)は,次のとおりじました.

「大仙市協和の「県立リハビリテーション・精神医療センター」で、診療放射線技師2人が独断でエックス線撮影をしていた問題で、技師が知人や自分の膝などを撮影していたことが6日、分かった。義父に対するコンピューター断層撮影(CT)検査を無断で行っていたことも判明した。小畑信彦病院長が同日、県庁で会見した。

 診療放射線技師法は、医師や歯科医師の具体的な指示なしにエックス線撮影することを禁止しており、エックス線撮影にはCT検査も含まれる。

 小畑病院長は「法令順守意識の欠如や、放射線の危険性に対する認識不足によるもので誠に遺憾。深くおわびしたい」と陳謝した。」


診療放射線技師法第26条1項は,「診療放射線技師は、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線を人体に対して照射してはならない。」と定めています.
同法第34条は,「第二十六条第一項又は第二項の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています.

【追記】

秋田魁新報「エックス線無断撮影に停職3カ月 県が男性技士を処分」(2012年12月29日)は,次のとおり報じました.
 
県は20日、医師の指示を得ずに独断でエックス線撮影を行ったとして、県立リハビリテーション・精神医療センター(大仙市協和)の放射線科の男性技師(39)を、停職3月の懲戒処分とした。男性は県健康福祉部職員で、2005年から同センターに派遣されている。

 男性は今年1月ごろ、同センターで義父の腹部のコンピューター断層撮影(CT)を行ったほか、同5月ごろには、知人男性の左手をエックス線撮影した。

 診療放射線技師法は、医師または歯科医師の具体的な指示を受けずに、放射線を人体に照射することを禁止。センターと県人事課が事情を聴いたところ、「頼まれて断れなかった」と話し、法令違反の認識があったという。

 同じく独断で、自身の右ひざなどをエックス線撮影していた同センターの女性技師(36)の処分については、運営する地方独立行政法人・県立病院機構が内部の懲戒委員会で審査中。年内にも処分を決める。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-12-07 09:29 | 医療

高知地裁平成24年12月4日判決,作業療法士が目を離したための転倒骨折事故で一部認容(報道)

高知新聞「高知地裁 入院中骨折で賠償命令」(2012年12月5日)は,次のとおり報じています.

「県内の90代の女性(昨年2月死亡)が入院して歩行訓練中に、作業療法士が目を離したため転倒して左脚を骨折し、後遺障害が残り車いす生活を余儀なくされたなどとして、女性の遺族が県内の病院に約2100万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が4日、高知地裁であり、松田典浩裁判長は、原告側の主張を一部認め、病院に300万円の支払いを命じた。」

転倒事故は多いです.
松田典浩判事は,以前,東京地裁医療集中部にいた裁判官です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-05 20:51 | 医療事故・医療裁判

人権週間と「達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利に関する特別報告者」

b0206085_17431330.jpg国際連合は,世界人権宣言の採択日である12月10日を「人権デー(Human Rights Day)」と定めています.
アムネスティは,12月10日,上智大学四谷キャンパスをメイン会場に四ツ谷駅前広場で,手作りのランタン1万個に明かりを灯し,人権問題についてアピールするそうです(シャイン・ア・ライト).

日本では,法務省と全国人権擁護委員連合会が「人権デー」を最終日とする1週間(12月4日から10日)を「人権週間」と定めています.

法務省,全国人権擁護委員連合会の平成24年度の標語は,「みんなで築こう 人権の世紀 ~考えよう 相手の気持ち 育てよう 思いやりの心~」です.強調事項は,次のとおりです.

(1)女性の人権を守ろう 
(2)子どもの人権を守ろう 
(3)高齢者を大切にする心を育てよう 
(4)障害のある人の自立と社会参加を進めよう
(5)部落差別をなくそう 
(6)アイヌの人々に対する理解を深めよう 
(7)外国人の人権を尊重しよう
(8)HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう 
(9)刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう 
(10)犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう 
(11)インターネットを悪用した人権侵害をやめよう 
(12)北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう  
(13)ホームレスに対する偏見をなくそう 
(14)性的指向を理由とする差別をなくそう 
(15)性同一性障害を理由とする差別をなくそう
(16)人身取引をなくそう
(17)東日本大震災に起因する人権問題に取り組もう

国の責任を脇において「・・・をなくそう」「・・・に取り組もう」と言われることには,違和感を感じます.
医療における人権侵害が問題になっていますが,患者の権利,健康を享受する権利は,「(8)HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう」以外は強調事項になっていません.「非喫煙者の受動喫煙被害を受けない権利」も,侵害されている状況にありながら,強調事項になっていません.残念です.

ところで,日本は,国連人権理事会に2013年1月から復帰します.
アジア枠は,改選5カ国で,立候補国も5カ国でした.事前調整は望ましくないように思います.国連総会で一応投票が行われ,日本の得票数は5カ国中3位です.アラブ首長国連邦,カザフスタンに負けています.日本の人権水準はどの程度とみられているかを示唆する結果です.

その国連人権理事会の「達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が,2012 年11 月15 日~26 日,日本を訪れ,原発事故後の人々の健康に関する権利が守られているかを調査し,日本政府を厳しく批判しました.

国連広報センター「プレス・ステートメント」から抜粋ご紹介いたします.

「日本政府が被害にあわれた住民の方々に安定ヨウ素剤に関する指示を出さず、配布もしなかったことを残念に思います。」

「当初の避難区域はホットスポットを無視したものでした。これに加えて、日本政府は、避難区域の指定に年間20 mSv という基準値を使用しました。これは、年間20 mSv までの実効線量は安全であるという形で伝えられました。また、学校で配布された副読本などの様々な政府刊行物において、年間100 mSv 以下の放射線被ばくが、がんに直接的につながるリスクであることを示す明確な証拠はない、と発表することで状況はさらに悪化したのです。」

「私は日本政府に対して、住民が測定したものも含め、全ての有効な独立データを取り入れ、公にすることを要請いたします。」

「健康を享受する権利に照らして、日本政府は、全体的かつ包括的なスクリーニングを通じて、放射線汚染区域における、放射線による健康への影響をモニタリングし、適切な処置をとるべきです。」

「日本政府に対して、健康調査を放射線汚染区域全体において実施することを要請いたします。」

「調査範囲が狭いのです。これは、チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、また、低線量放射線地域、例えば、年間100 mSv を下回る地域でさえも、ガンその他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視しているためです。
健康を享受する権利の枠組みに従い、日本政府に対して、慎重に慎重を重ねた対応をとること、また、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被ばくの調査とモニタリングを行うよう推奨いたします。」

「自分の子どもが甲状腺検査を受け、基準値を下回る程度の大きさの嚢胞(のうほう)や結節の疑いがある、という診断を受けた住民からの報告に、私は懸念を抱いています。検査後、ご両親は二次検査を受けることもできず、要求しても診断書も受け取れませんでした。事実上、自分たちの医療記録にアクセスする権利を否定されたのです。残念なことに、これらの文書を入手するために煩雑な情報開示請求の手続きが必要なのです。」

「多くが短期雇用で、雇用契約終了後に長期的な健康モニタリングが行われることはありません。日本政府に対して、この点に目を背けることなく、放射線に被ばくした作業員全員に対してモニタリングや治療を施すよう要請いたします。」

「日本政府は、早急に食品安全の施行を強化すべきです。」

「一部の汚染除去作業が、住人自身の手で、しかも適切な設備や放射線被ばくに伴う悪影響に関する情報も無く行われているのは残念なことです。」

「日本政府は、全ての避難者に対して、経済的支援や補助金を継続または復活させ、避難するのか、それとも自宅に戻るのか、どちらを希望するか、避難者が自分の意志で判断できるようにするべきです。」

「健康を享受する権利の枠組みにおいては、訴訟にもつながる誤った行為に関わる責任者の説明責任を定めています。従って、日本政府は、東京電力も説明責任があることを明確にし、納税者が最終的な責任を負わされることのないようにしなければなりません。」

「健康を享受する権利の枠組みにおいては、地域に影響がおよぶ決定に際して、そうした影響がおよぶすべての地域が決定プロセスに参加するよう、国に求めています。つまり、今回被害にあわれた人々は、意思決定プロセス、さらには実行、モニタリング、説明責任プロセスにも参加する必要があるということです。」

「日本政府に対して、被害に合われた人々、特に社会的弱者を、すべての意思決定プロセスに十分に参加してもらうよう要請いたします。」

「私は日本政府に対して、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」を早急に施行する方策を講じることを要請いたします。」


もっともな指摘と思います.
人権は,人,市民の国に対する権利として発生し,発展してきました.今でも,まず国による人権侵害を警戒する必要があり,国に人権保障を求める必要があると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-05 06:25 | 人権

池永満先生のお通夜

12月1日の池永満先生のお通夜は,500人くらいの人が集まり,席がなくなり,立っている人も多かったです.
生花は,広い会場の壁を埋め尽くし,階段まであふれていました.
お通夜は,無宗教で行われました.
池永満先生の希望により「葬儀集会」のようなお通夜で,10人以上の人がお話されました.

鈴木利廣先生は,最初にスピーチし,友人であり,仲間であり,良きライバルであった,という思いが伝わってきました.岩波ブックレットの「患者の権利とは何か?」を書いたら,池永満先生は分厚い「患者の権利」(九州大学出版会)をだした,今日,飛行機の中で「患者の権利」を読んでいたら,後書きに自分の名前があることを発見した,とのことです.池永満先生は立派な後継者を育てた(小林洋二先生や久保井摂先生ら九州の弁護士のことでしょう)とお話されました.

患者の権利オンブズマンからは,平野亙さんと平田孝さんがスピーチしました.
平野亙さんのスピーチは,池永満先生の気さくな人柄が伝わる内容でした.
学生時代からの長い付き合いの平田孝さんは,学生運動での池永満先生の御活躍,医問研,患者の権利法をつくる会,患者の権利オンブズマンの立ち上げの様子などもお話されました.

患者の権利法をつくる会事務局長の小林洋二先生,女性協同法律事務所の辻本育子先生もスピーチしました.

小林洋二先生は,医療に限らず個人情報としてカルテ開示が認められるようになり,さらにもう一歩すすめるため医療に特化した個人情報保護法を提案していることについて,池永満先生は医療側の意見を聞くことになり情報開示を狭める方向での反撃もあるだろうから十分気をつけなければいけない,と最後まで気にして電話をいただいたことなどをお話しされました.

辻本育子先生は,女性協同法律事務所(私は,ここの相原わかば先生に,札幌修習のときにお世話になりました.)を原田直子先生と創設したのは,池永満先生に女性のための法律事務所をつくるか,それとも・・・(・・・の内容は言えないそうです.)かの二者択一を迫られ,後者はとてもいやなことだったので前者を選んだ,という趣旨のお話しをされました.

版画家の方,司法書士の方,事務局の方などもお話しされました.
池永満先生にAかBかの二者択一を迫られることが多く,どちらも大変で嫌なんだんだけれど,池永満先生に言われるとどちらかを選んでしまう,池永満先生は,深く先を読んでいて,幅広い分野で仕事をしていて,周囲の人に求めるレベルも高かったが,私利私欲,裏表がなく,間違ったことは言わないので,苦労したがついていった,というお話が多かったです.
池永満先生が,患者の権利も限らず,環境問題,都市計画など広い分野で活躍されていたことがよくわかりました.

池永早苗さんは,学生運動のなかで中執の池永満先生と知り合ったこと,大学側に早苗さんなど女子学生はお嬢ちゃん扱いされていたけど,池永満先生が言うと,わかった,となったことなどをお話しされました.
2年間のイギリス遊学の前に英語を勉強していた池永満先生は,課題をだされ「ベストフレンドって誰?」と早苗さんに聞き,早苗さんが「私でしょう」と答え,池永満先生が納得したというエピソードもお話しされました.
小脳転移し呂律が回らなくなり池永満先生は落ち込んだけど,サイバーナイフで治ると聞かされ,返還後の沖縄に行ったことがなかったので年明けの沖縄旅行を計画していたことなど近況もお話しされました.

池永満先生の人徳が伝わるお通夜でした.寂しさを共有することができ,風邪をおして行ってよかったです.

御葬儀でも,久保井摂先生はじめ多くの人が話されたことでしょう.

謹んでご冥福をお祈りいたします.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-04 09:06 | オンブズマン

肝機能値異常後もユリノーム投与を続け薬害性肝障害から肝不全等で死亡した事案で医師が提訴される(報道)

毎日新聞「提訴:「不適切な投薬で死亡」 吉田の田崎クリニック、遺族が賠償求め /静岡」(2012年11月28日)は,次のとおり報じました.

 「11年に県中部に住む当時60代の男性が死亡したのは不適切な投薬を続けたためだとして、男性の遺族計4人が27日、吉田町の「田崎クリニック」に約7900万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こした。

 訴状によると、男性は09年11月、尿酸値が高かったため同病院を受診し、その後、錠剤「ユリノーム」を処方された。この薬は肝障害や黄だんなどの副作用を起こす場合があり、製薬会社は、定期検査をし異常があればすぐに投与を中止するよう医師に求めている。10年4月には肝機能検査で異常値が出ていたにもかかわらず、同病院は11年2月までの約10カ月間投与を続けたとしている。男性は同月、島田市民病院で薬害性の肝障害と診断され入院。11年4月、肝不全などで死亡した。

 遺族の代理人、青山雅幸弁護士が提訴後に記者会見を開き、「これほど明白な過失も珍しい」と批判した。会見に同席した男性の長女は、「病院から説明がなく、気持ちにもやもやが残ったまま。過ちをきちんと見直してほしい」と話した。

 田崎クリニック側は、「すべて弁護士にお願いしており、お話しできない」としている。【平塚雄太】」


MSN産経「医師を7900万円損賠提訴 遺族「副作用薬処方続け死亡」 静岡」(2012年11月28日)は,次のとおり報じました.
 
「尿酸値の改善のために処方された薬で肝機能障害が起きたにもかかわらず、その後も処方されたために死亡したとして、県内に住む患者の遺族が27日、吉田町の開業医の男性医師を相手取り、損害賠償約7900万円を求める訴えを静岡地裁に起こした。

 訴えたのは、昨年2月に死亡した県中部の60代の男性の妻ら遺族4人。訴状によると、亡くなった男性は平成21年11月から23年2月まで吉田町の病院に通院し、尿酸値を下げるために「ユリノーム」錠などを処方された。ユリノームには肝機能悪化の副作用があり、男性も22年6月までに「γ-GTP」など肝機能を示す数値が悪化。

 それでも男性医師はユリノームの処方を続け、男性には23年2月に黄疸(おうだん)の症状が現れ、転院後の病院で肝不全などで死亡したとしている。

 原告代理人の青山雅幸弁護士によると、ユリノームについては、製薬会社が肝炎などの副作用の危険性を警告する緊急安全性情報を医療機関に出している。青山弁護士は「これだけ注意喚起している薬なのに平然と投与し続けたのは考えられない」と話している。

 病院の医師は「弁護士にすべて頼んで対応している」、被告代理人の祖父江史和弁護士は「コメントできない」としている。」


2009年11月からユリノーム錠を処方し,2010年4月には肝機能検査で異常値が出て(毎日新聞),同年6月までに「γ-GTP」など肝機能を示す数値が悪化していた(産経新聞)にもかかわらず,ユリノーム錠投与を中止せず,黄疸がでた2011年2月まで投与し続けた事案のようです.

ちなみに,ユリノーム錠(ベンズブロマロン)の添付文書の警告欄には,次のとおり記載されています.

「1. 劇症肝炎等の重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現し、死亡等の重篤な転帰に至る例も報告されているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず、定期的に肝機能検査を行う こと。また、患者の状態を十分観察し、肝機能検査値の異常、黄疸が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2. 副作用として肝障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう患者に注意を行うこと。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-12-02 10:30 | 医療事故・医療裁判

訃報:池永満先生

池永満先生が2012年12月1日午前2時21分逝去しました.

毎日新聞「訃報:池永満さん66歳=元福岡県弁護士会長」(2012年12月1日)は,次のとおり報じました. 

 「池永満さん66歳(いけなが・みつる=元福岡県弁護士会長)1日、肝臓がんのため死去。通夜は2日午後6時、葬儀は3日午後1時、福岡市東区馬出1の11の15のメモリードホール博多馬出。喪主は妻早苗(さなえ)さん。

 「原発なくそう!九州玄海訴訟」弁護団共同代表、NPO患者の権利オンブズマン理事長。行政訴訟や医療裁判に詳しく、中国人強制連行訴訟にも携わった。」



池永先生の業績はこれだけではありません.
弁護士法人奔流のサイトから,以下抜粋ご紹介いたします.

プロフィール

1946年
福岡県築上郡椎田町(現築上町)で生まれる。国鉄マンであった父親の転勤のため県内を転々とし、小森江東小学校(門司区)、小竹中学校(小竹町)、鞍手高等学校(直方市)を卒業して、九州大学法学部に進学。

1970年
九州大学法学部(政治専攻)卒業と同時に結婚して上京し、2年間参議院に勤務した後退職、帰福して司法試験受験勉強を始め、1974年合格、1975年第29期司法修習生となる。この間に2歳おきで長女と長男、次男(池永修弁護士)に恵まれる。

1977年
福岡県弁護士会に弁護士登録(北九州第一法律事務所)

1980年
福岡市に九州合同法律事務所を創立(所長弁護士)

2001年
九州合同から独立して法律事務所池永オフィスを創立(所長弁護士)

2004年
法律事務所池永オフィスを法人化し弁護士法人を創立(代表社員弁護士)、同年から3年間、福岡大学法科大学院教授(実務家専任教員)としてロースクール教育(新聞記事)に携わる。

2009年
福岡県弁護士会会長(2009年4月〜2010年3月、活動の詳細は弁護士会月報に綴った「会長日記」を参照ください。)

2010年
福岡県弁護士会常議員会議長(〜2011年3月まで)

2010年7月
主たる執務場所を弁護士法人奔流法律事務所直方オフィスに異動。

弁護士活動の概略

1.医療福祉分野・患者の権利促進に関する活動
弁護士登録と同時にカネミ油症事件弁護団に入って活動。その後、予防接種禍訴訟弁護団結成に参加。1980年医療問題研究会(現在の九州・山口医療問題研究会)の結成を呼びかけ初代事務局長、その後代表幹事を歴任。患者側代理人として医療過誤訴訟等に取り組む中1984年『患者の権利宣言案』の起草に参加、1991年患者の権利法をつくる会の結成(初代事務局長)、1997年98年の2年間エセックス大学人権センター特別研究員として妻とともに英国とオランダに滞在し、ヨーロッパにおける医療福祉分野における裁判外権利擁護システムを調査研究。1999年帰国後の6月、NPO法人患者の権利オンブズマンの創立に参加し初代理事長に就任。今日に至る。
この間の、2001年から2004年まで福岡県弁護士会精神保健委員会委員長、2005年から2008年まで福岡県医師会自浄作用活性化委員会外部委員、2007年から厚生労働省診療関連死調査分析モデル事業地域評価委委員等を務める。

2.建築・環境・行政分野の活動
弁護士登録後まもなくから北九州徳力区画整理訴訟、都市計画決定取消訴訟、博多湾埋め立て反対運動、福岡市千代町再開発訴訟や北九州市や福岡市における高層マンション建設に伴う日照権紛争などを住民側で数多く担当する中で、1985年、建築環境問題研究会の結成を呼びかけ初代代表世話人に就任、建築紛争や環境問題に1級建築士や不動産鑑定士、研究者等の専門家とともに取り組む体制を築く。2003年日弁連に行政訴訟改革検討委員会(現・行政訴訟センター)が発足し同委員会委員に委嘱され副委員長に就任。翌2004年福岡県弁護士会行政問題委員会が発足して初代委員長(〜2007年まで)。
この間、行政関係事件専門弁護士全国ネットワーク(略称「ぎょうべんネット」)結成に参画し、全国理事、九州ネットワーク幹事長に就任。今日にいたる。

3.破産管財、企業再生、法律顧問業務分野の活動
弁護士登録まもなくから企業倒産処理を手がける機会に恵まれる中で、企業破産の申立代理人や破産管財人、和議申立代理人や和議事件の整理委員・管財人、民事再生法立法後においては再生債務者代理人、監督員等を継続的に担当しており、倒産処理という観点ではなく企業再生(従業員の生活再建を含む)という視点から債権者との協議を尽くしつつ迅速・的確な支援を行えるよう心がけて来た。
また、弁護士登録以降、会社関係にとどまらず、大学教職員組合、社団法人、生活協同組合、医療法人、社会福祉法人等、非営利或いは公益的活動を担当する法人の法律顧問弁護士として日常的な運営管理に関する法律的助言を行うとともに、発生した紛争が当該法人の理念に即して的確に解決されるよう支援して来た。

弁護士会役員歴

1.福岡県弁護士会では、常議員、人権擁護委員会、司法問題対策委員会、司法修習委員会、国際委員会、精神保健委員会(委員長)、行政問題委 員会(委員長)、法科大学院運営協力委員会(委員長)等で活動し、1994年度県弁副会長(全県区)、2009年度福岡県弁護士会会長を務めた。2010 年度、常議員会議長。

2.九州弁護士会連合会(九弁連)では、研修委員会のほか、人権擁護連絡協議会(委員長)においてハンセン病問題の調査を担当、常設後の 人権擁護委員会(初代委員長)で中国残留孤児問題に取り組んだ。2009年度九弁連副理事長。

3.日本弁護士連合会(日弁連)では、司法問題対策委員会、法曹 三者協議バックアップ委員会、法曹養成問題委員会、司法試験改革を法曹三者と大学関係者代表で協議した法曹養成制度等改革協議会(日弁連選出協議員)、国 際人権委員会、行政訴訟改革検討委員会(副委員長)、行政訴訟センター(副委員長)等で活動。2009年度日弁連常務理事。

教育・研究歴

大学関係では、産業医科大学、久留米大学医学部、鹿児島大学、九州大学法学研究院、佐賀医科大学看護学部、山口大学医学部、藤田保健衛生大学医学部 等で講師・客員教授等として「患者の権利論」を講義し、2004年4月から3年間福岡大学法科大学院で実務家専任教員として活動した(「民事紛争処理手続 論」「医療・福祉と患者の権利」「環境訴訟の実務」等を担当)。

この間の1997年98年の2年間、エセックス大学人権センター特別研究員として英国とオランダに滞在して、医療福祉分野における患者の権利と裁判外権利擁護システムを調査研究した。

現在の所属学会は、日本医事法学会、日本社会保障法学会、医療の質・安全学会、医療事故防止・患者安全推進学会(顧問)等。

参加してきた弁護団・研究会など

⑴医療問題研究会(現九州山口医療問題研究会、元代表幹事)
⑵建築環境問題研究会(初代幹事長)
⑶福岡千代町再開発訴訟(弁護団事務局長)
⑷学資保険訴訟
⑸中国人強制連行・強制労働事件(福岡訴訟弁護団幹事長)
⑹中国人残留孤児国賠訴訟(福岡弁護団副団長)
⑺行政関係事件専門弁護士ネットワーク(全国理事・九州幹事長)

思い出の医療過誤訴訟

⑴熱傷治療中の聴力喪失事件(K大学病院):最高裁勝訴確定
⑵胃カメラ検査中のアナフィラキシーショック死事件(T病院):福岡高裁勝訴確定
⑶麻疹罹患後の急性心筋炎死亡事件(I病院):最高裁勝訴確定

最近解決した医療過誤訴訟

⑴扁桃腺手術後の出血対応過誤による低酸素脳症発生事故:福岡地裁和解



池永満先生とは,患者の権利オンブズマンの太宰府での全国連合同合宿でお会いしたのが最後となりました.
池永満先生は,病院から1日だけかけつけてくださり,しっかりとお話され,私はインフォームドコンセントの意味を再認識することができました.

私は,1999年に九州大学講堂でのNPO法人患者の権利オンブズマンの創設集会に行った縁で,患者の権利オンブズマン東京の幹事長をさせていただいておりますが,池永満先生の呼びかけがなければ,そもそもこのような活動自体ありませんでした.池永満先生の患者の権利運動のうえでの推進力はとても大きなものがありました.それのみならず,私は,個人的にも池永満先生の熱い言葉に感銘を受け微力ながら活動を続けてきました.

謹んでご冥福をお祈りいたします.
飛行機がとれましたので,お通夜には列席させていただきます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-02 01:50 | オンブズマン

札幌地裁平成24年年11月14日判決,敗血症死亡事案で王子総合病院の医師の容態監視指示義務違反肯定(報道)

日本経済新聞「術後対応に過失、病院に賠償命令 札幌地裁」(平成24年11月15日)は,次のとおり報じました.

「北海道苫小牧市の王子総合病院で2008年に直腸がんの手術を受けた直後に容体が悪化し、死亡した安平町の男性(当時70)の遺族が、病院に約6200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は15日までに、術後の対応に過失があったとして、約3600万円の支払いを命じた。病院側は取材に応じていない。

 判決理由で本間健裕裁判長は、容体の監視について医師の看護師への指示が不十分だったなどと認定。「看護師から報告を受けて再手術していれば、生存の可能性があった」と述べた。

 判決によると、男性は08年8月11日に直腸がんの手術を受けた。翌日に意識を失うなど容体が悪化。縫合不全のため20日に敗血症で死亡した。〔共同〕


本件は,医師の指示と看護師の容態監視が不十分で医療事故がおきた一例です.
医師には患者の容態を報告するように看護師に指示すべき注意義務(指示義務)があり,看護師には患者の容態を医師に報告すべき注意義務(報告義務)があります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-01 10:25 | 医療事故・医療裁判

米連邦地裁,タバコ会社に喫煙の危険性について長年消費者を欺いてきたことを表示するよう命じました

「「たばこ会社は消費者を欺いた」、告知掲載を命じる判決 米」(2012年11月28日)は,次のとおり報じました.

「米政府がフィリップモリスなどのたばこ会社を相手取って起こしている裁判で、米連邦地裁は27日、たばこ会社に対して、喫煙の危険性について長年にわたり米国の消費者を欺いてきたことを広告やラベルの警告表示を通じて告知するよう命じた。

判決の中でグラディス・ケスラー裁判官は、「(たばこ会社が)受動喫煙の問題について過去に公衆の判断を誤らせ、この問題について一致した科学的見解があったという事実を周知させることにより、被告が今後、そのような統一見解はないと論じようとする可能性は少なくなるだろう」と指摘した。

米国ではほかにも、たばこの広告規制などを目的として米政府や州が起こした訴訟が20年前から続けられている。

たばこ会社が上訴するかは現時点では不明。

ケスラー裁判官は6年前にたばこ会社の責任を認め、警告表示などを命じる判決を言い渡したが、表示の文言をめぐって裁判が続いていた。

27日の判決では警告表示の内容について、米司法省の提案に基づいて「喫煙は中毒性が高く、たばこに含まれるニコチンは中毒性のある薬品です」「喫煙すると、ニコチンが脳を変えてしまい、禁煙が難しくなります」「喫煙によって、毎日平均で1200人の米国人が死亡しています」などの文言の掲載を命じた。

このほかに、受動喫煙の危険性についての警告や、たばこ会社が宣伝する「低タール」「マイルド」などの誤った認識を正すことも命じている。」


これは,アメリカに限らないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-01 00:55 | タバコ