弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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傷病者の搬送及び医療機関による受入れに約3時間かかり,その後死亡(報道)

NHK「埼玉 25の病院に断られ男性死亡」(2013年3月5日)は,次のとおり報じました.

「ことし1月、「呼吸するのが苦しい」と訴えた埼玉県久喜市の75歳の男性が救急車で運ばれましたが、25の病院に受け入れを断られて搬送先が決まるまで3時間近くかかり、その後、死亡していたことが分かりました。

久喜地区消防組合消防本部によりますと、ことし1月、久喜市に住む1人暮らしの75歳の男性から「呼吸するのが苦しい」と通報がありました。
男性は救急車で運ばれ、消防は久喜市のほか、さいたま市や茨城県古河市などの病院にも受け入れを要請しましたが、「空いているベッドがない」、「ほかの患者の処置中で受け入れられない」といった理由で、25の病院から36回にわたって受け入れを断られたということです。
男性は、当初は意識があり、救急隊員ともやりとりができていましたが、通報から3時間近くたって茨城県境町の病院に入院したときには意識がない状態で、その後、死亡が確認されたということです。
受け入れ先の病院は救急隊員が救急車の中から電話で探していたということです。
久喜地区消防組合消防本部は「こういう結果になり大変、残念です。今後は病院に10回以上受け入れを断られた場合は、消防本部からも受け入れ先を探すなどしたい」と話しています。

救急搬送の経緯

消防によりますと、男性から119番通報があったのは午後11時25分。
救急車で駆けつけた救急隊員が男性の受け入れを最初に要請したのは、午後11時38分、久喜市内の病院に対してでした。
この病院に受け入れを断られたあと、救急隊員は救急車の中から、おおむね2分から5分おきに、次々と病院に要請の電話をかけ続けました。
結局、久喜市内の4つの病院のほか、さいたま市や春日部市、それに茨城県古河市など14の市と町の25の病院に36回にわたって断られ続けました。
受け入れを断られた理由は▽「処置困難」が16件、▽「空いているいるベッドがない」が7件、▽「他の患者の治療中」が5件、▽「専門の医師がいない」が4件などで、中には3回にわたって要請を断った病院もあったということです。
結局、いったん断られた茨城県境町の茨城西南医療センターから男性を受け入れると回答があったのは、午前1時49分、救急車が病院に着いたのは午前2時15分でした。
男性の119番通報から3時間近くがたっていました。

病院「再発防止に努めたい」

男性の受け入れを断った病院の1つで埼玉県久喜市にある埼玉県済生会栗橋病院によりますと、男性の受け入れ要請があったとき、救急用のベッドが空いていなかったことに加え、当直の医師がほかの入院患者の治療などに当たっていたため、受け入れることができなかったということです。
遠藤康弘院長は「死亡した男性は私たちの病院に通院していた患者で、こうした事態が起きたことを重く受け止めています。
救急患者の受け入れが難しいという状況は日本全国にあり、地域の病院どうしのネットワークを強化するなどして再発防止に努めたい」と話しています。

30回以上断られたケースも毎年

埼玉県によりますと、救急車で搬送中に病院から患者の受け入れを断られるケースは増加傾向にあるということです。
このうち10回以上断られたのは平成19年は129件だったのに対し、おととしは176件と50件近く増えていて、今回のように30回以上断られたケースも毎年起きています。
この結果、受け入れ先が決まるまでに時間がかかる傾向が続いていて、おととしまでの5年間では最長で5時間余りもかかったケースもあったということです。
おととし7月には、さいたま市で乗用車にはねられた車いすの女性の受け入れ先が見つかるまでに2時間余りかかった末、女性が搬送先の病院で死亡しています。
埼玉県消防防災課の小林清剛課長は「病院側にも医師が治療中だったり、専門の医師がいなかったりして、受け入れたくても受け入れられない場合がある。
今回のケースもどこかに反省点があると思うので、消防と共に検証し、対策を考えていきたい」と話しています。」


傷病者の搬送及び医療機関による受入れの円滑化を図るため,「消防法の一部を改正する法律(平成21年法律第34号)」が平成21年5月1日に公布され,同年10月30日に施行されています.
改正消防法は,消防機関や医療機関等が参画する協議会による協議を経て,傷病者の搬送及び受入れに関する実施基準を策定することを各都道府県に義務付けています.

埼玉県は,平成22年12月,「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」を制定しています.

埼玉県の「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」は,次のとおり指摘しています.

「総務省消防庁と厚生労働省が合同で行った平成20年中の「救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査」によると、救急隊が現場に到着してから医療機関選定を終了して現場出発するまでに30分以上の時間を要した事案は、重症以上の傷病者の救急搬送約41万件のうち約1万7千件(約4.1%)、産科・周産期傷病者の救急搬送約1万6千件のうち約1千件(約6.3%)となっていて、傷病者の救急搬送及び医療機関収容は大変厳しい状況にある。
このような問題を解決するためには、救急医療に携わる十分な医師の確保、勤務条件の改善などの構造的な課題を解決しなければならないことが指摘されているが、当面の対応として、現状の医療資源を前提に消防機関と医療機関の連携を強化するための対策を講じる必要がある。
以上の状況に加え、近年の医療の進歩とともに、傷病の発生初期に実施すると効果的な医療技術が発達してきており、傷病者の救命率の向上、予後の改善等の観点から、救急搬送における医療機関選定から医療機関における救急医療の提供までの一連の行為を迅速かつ適切に実施することの重要性が増しているところである。」


埼玉県の救急医療情報システムは,おおよそ次のとおりです.

各医療機関が、一日2回(朝・夕),診療科目ごとの応需情報を入力する。各医療機関が,一日1回(夕方),当直医等の情報を入力する。 様々な事情により入力できない医療機関もある現実を踏まえ,当直医等の情報を各消防機関が入力し,共有する。
消防機関は,上記により入手した情報を資料として携行し,この情報を参考に医療機関を選定する。


ところが,本件は,電話をかけた25の病院に36回にわたって断られ,搬送に約3時間かかりました.
このようなことでは,本来助かる命も助からないことが起きるでしょう.
リアルタイムに情報把握が容易にできるシステムが求められています.インターネットの発達した時代ですから,それは技術的には可能と思います.
また,根本的には,医師の増員と救急施設の充実が必要と思います.


【追記】

NHK「救急受け入れ断られ死亡 体制の遅れ指摘」(2013年3月19日)は,次のとおり報じました.

ことし1月、救急車で運ばれていた埼玉県久喜市の男性が、25の病院に受け入れを断られて死亡した問題を受けて、県内の医療機関などが臨時の会議を開き、現場からは救急医療体制の整備を巡る行政の対応の遅れを指摘する声が相次ぎました。

ことし1月、呼吸困難を訴えて救急車で運ばれていた久喜市の75歳の男性が、25の病院から受け入れを断られ、その後、死亡しました。
この問題を受けて、18日夜、埼玉県内の救急医療機関や医師会、それに県内の消防で作る団体の担当者などが臨時に集まり、課題や当面の対応を話し合いました。
この中で、参加した医師からは、県内の病院で患者の受け入れが難しい場合に備えて、隣接する県の病院に患者を受け入れてもらう体制を、県が中心となって作るよう求める声が上がりました。
さらに、こうした問題は以前から指摘されていたにもかかわらず、医師の確保などの対策をしてこなかった行政の責任は大きいという、厳しい意見も出されました。
救急病院の院長で、今回の会議の部会長を務める原澤茂さんは、「現場の医師は大変疲弊しているなかで必死に頑張っている。救急搬送がスムーズにいくためのシステム作りを急ぐよう、県に求めていきたい」と話していました。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-03-07 07:33 | 医療

日本医療安全調査機構運営委員会,診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業の法制化推進へ

CBニュース「事故調モデル事業の法制化策を検討へ-医療安全調査機構」(2013年3月6日)は,次のとおり報じました.

「日本医療安全調査機構の運営委員会は6日、同機構の「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を法律に基づく制度にするための施策についての議論を本格化させた。この中で、モデル事業を法制化することが、医療安全のための「第三者機関」の確立につながると、広くアピールしていく方針を決めた。

 このモデル事業は、厚生労働省予算と、日本外科学会といった学会などからの資金拠出で運営。診療行為に関連した死亡の原因を究明し、再発を防止することを目的として、現在は全国10の地域で死亡事例の調査分析を行っているが、今後、全国規模に拡大するための戦略を打ち出す考えだ。具体的な施策については、同機構に4月以降に設置される「推進委員会」で検討していくことになる。

 推進委員会が検討する項目としては、▽同機構の企画部会が昨年12月にまとめた「診療行為に関連した死亡の調査分析事業のあり方」が、臨床現場などでより理解されるための手だて▽医療機関の規模により解剖ができないことなどにより、申請しにくい状況にならないような環境整備▽調査費用を、調査を依頼する医療機関が負担するか▽非解剖事例への対応ーなどが挙げられた。

 このほか政府との関係で、厚労省だけでなく、警察庁などをどのように巻き込んで法制化に向けた制度設計を進めるかや、医療事故の調査制度については、各医療団体が相次ぎ独自案をまとめているため、他団体との柔軟な対応も、それぞれ重要課題に位置付けた。【君塚靖】」


全国規模への拡大戦略も結構ですが,現行モデル事業の質の担保も必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-07 01:33 | 医療事故・医療裁判

伊賀市立上野総合市民病院,筋弛緩剤スキサメトニウム紛失

MSN産経「筋弛緩剤アンプル10本紛失 伊賀市立病院、誤廃棄か」(2013年3月6 日)は,次のとおり報じました

「三重県伊賀市立上野総合市民病院は6日、薬事法で毒薬指定されている筋弛緩剤「スキサメトニウム」のアンプル10本(各2ミリリットル入り)を紛失したと発表した。手術時に筋肉の緊張を和らげるために使われ、2ミリリットルで成人の呼吸を3~5分間止める量に相当する。

 病院によると、4日午後5時ごろ、手術室にある保管庫の薬品をチェックしていた看護師が、10本がないのに気づいた。

 10本は1日、薬剤助手が期限切れのものと交換するために搬入したが、別の看護師が近くにあった空き箱に入れたまま、保管庫にしまうのを忘れていたという。

 外部から侵入された形跡がないことなどから、病院は、1日午後3時ごろに手術室を清掃した際、空き箱ごと廃棄したとみているが、5日に伊賀署に盗難届を出した。病院は「患者や関係者に迷惑をかけ申し訳ない。再発防止に努める」としている。」


伊賀タウン情報ユー「院内保管の毒薬を紛失 上野総合市民病院」(2013年3月 6日)は,次のとおり報じました.
 
「伊賀市四十九町の市立上野総合市民病院(三木誓雄院長)は3月6日、2階の手術室内で保管していた薬剤の筋弛緩剤「スキサメトニウム注40『AS』」(1本2ミリリットル)が計10本入った箱を紛失したと発表し、謝罪した。同薬剤は薬事法で毒薬に指定されており、病院は5日に被害届を提出、伊賀署が受理した。
 同日午前10時から開いた会見には、三木院長ら病院関係者と岡本栄市長、辻上浩司副市長の6人が出席した。紛失に気付いたのは4日午後5時ごろで、岡本市長は「日常業務のなかで緊張感が欠如していたのではないか。危機意識や重要なものを取り扱っているという心構えを皆で共有できるよう徹底し、信頼の回復に努めたい」と述べた。

 病院によると、1日午後2時30分ごろ、薬剤助手が薬剤師の指示で期限切れの古い薬剤と取り替えるようメモを貼った新品の箱をリフトで送ったが、確認の電話はしなかった。看護師は届いた薬剤が請求伝票に記載がなく、交換方法を別の職員に確認しようと思い、別の空きダンボールの中に入れ、その後放置していたという。

 紛失に気付いた後、院内やごみ置き場などを探したが、薬剤は見つからなかった。盗難の可能性について、同病院は「手術室は誰でも侵入できる環境ではなく、その形跡もないので低いと考えている」とし、「折りたたんだダンボール類と一緒に誤って廃棄されたのではないか」とみている。

 三木院長は「手術室での期限切れ薬剤の取り扱いが周知徹底できておらず、薬剤担当職員の確認不足が原因」と説明。今後は「劇薬や毒薬は薬剤師が直接手術室金庫に収納し、確認表には手術室看護師とダブルチェックを行う」などと話した。」


毒薬指定されている筋弛緩剤の紛失事故が絶えませんね.
他院の紛失事故が報じられたのを機会に,自院の筋弛緩剤の管理方法を見直すべきではないでしょうか?
他院でおきたことは自院でも起きる可能性が あるのですから.
また,アンプルそのものを厳重管理(注意喚起)を促すものに,変更することはできないのでしょうか?

◆ 過去の報道事例

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本
熊本大学医学部附属病院で平成24年7月に1本
公立南丹病院で平成24年10月に1本
尾道市公立みつぎ総合病院で平成24年10月に4本
社会医療法人将道会総合南東北病院で平成24年11月に2本
伊賀市立上野総合市民病院で平成25年3月に10本

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-06 22:18 | 医療事故・医療裁判

弁護士鈴木利廣氏の真意,医療基本法は医師と患者の対立構造を解消する

CBニュースに「医療基本法シンポでの発言の真意」(2013年3月6日)と題する,弁護士鈴木利廣氏のインタビュー記事が載っています.

「昨年末、日本医師会(日医)主催で開かれた「医療基本法シンポジウム」で、司会を務めていた今村定臣・日医常任理事に促され、客席で傍聴していた鈴木利廣弁護士が発言する機会があった。鈴木氏は、「医療基本法は、医師と患者の対立構造を解消する」と発言した...」


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-06 09:43 | 医療

第18回産科医療補償制度運営委員会,分娩施設外のNICUでの医療行為は現行通り医学的評価の対象外

産科医療補償制度運営委員会は,2013年3月5日,現行通り,分娩施設外の小児専門施設のNICUでの医療行為を医学的評価の対象としないことを決めました.

CBニュース 「脳性まひ原因分析、小児専門施設に拡大せず-「必要性低い」と運営委判断」(2013年3月5日)は,つぎのとおり報じました.

「分娩に関連して発症した重度脳性まひ児に一定の条件下で補償金を支払う「産科医療補償制度」の見直しを検討している日本医療機能評価機構の運営委員会は5日、同制度に加入していない小児専門施設のNICU(新生児集中治療室)での医療行為を、原因分析報告書の医学的評価の対象にしない仕組みを維持することを決めた。分娩施設内のNICUでの医療行為に問題があった事例が少ないことなどから、必要性が低いと判断した。

 機構によると、昨年末までに原因分析報告書が公表された188件のうち、分娩施設内のNICUで医療行為が行われていたのは58件で、このうち原因分析報告書で指摘があったのは3件(5.1%)しかなかったという。

 現行の制度では、制度に加入する分娩施設内のNICUでの医療行為は医学的評価の対象になるが、分娩を取り扱っておらず、制度に加入していない小児専門施設のNICUに搬送されたケースは対象にならない。
 小児専門施設への対象拡大は、「産科医療のみならず、周産期医療全体の質を高めることにつながると考えられる」として昨年11月の運営委で検討課題に挙がった。しかし、制度の当事者でない小児科医らの負担増を懸念する意見もあり、分娩施設内のNICUでの医療行為の実態を検証した上で改めて議論することになっていた。

■原因分析報告書の送付を迅速化へ
 運営委ではまた、原因分析報告書の送付を早めるため、作成手順の見直しや、作成に携わる産科医の増員に着手することを決めた。保護者や分娩施設に案内している通り、補償対象と認定されてから1年以内に送付できる体制の構築を目指す。

 機構によると、これまでに報告書を送付した188件では、平均で13か月ほどかかっている。昨年に送付した109件に限ると、平均で14.5か月かかっており、さらに長期化しているという。【高崎慎也】」


分娩施設外の小児専門施設のNICUでの医療行為を医学的評価の対象としないのはともかく,報告書作成に携わる産科医の増員だけではなく,小児科医(新生児科医)の増員も必要ではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-06 01:47 | 医療事故・医療裁判

徳島大学病院,余命告知で提訴される(報道)

スポーツ報知「余命告知で精神不安定に 治療できず死亡」(2013年3月4日)は,次のとおり報じました.

 「医師から余命告知をされた母親が精神不安定になり、がん治療を受けられず死亡したとして、遺族が4日までに、徳島大病院を運営する大学に慰謝料など約4500万円の損害賠償を求め、徳島地裁に提訴した。

 訴状によると、2011年3月、徳島県内の70代の女性が余命数か月と診断され、徳島大病院に入院。子どもたちは余命を知らせないよう病院側に申し出たが、医師が本人に「このままだと数か月。完治することはまずない」と伝えた。

 女性は深夜徘徊や暴れるなど精神的に不安定になり、病院にいる方が危険だと医師が判断。通院で治療を続けたが、幻覚の症状が出たり、薬を飲まなくなったりして、十分な治療を受けられず、12年4月に死亡したとしている。

 遺族は「告知によって患者に精神的ショックを与えないよう配慮する義務が医師にはあった」と主張している。

 徳島大は「対応を検討中でコメントできない」としている。」


余命は,中央値であって,さほど正確なものではありません.
余命告知は当然のように行われていますが,その伝え方が重要です.
まず,患者本人に,余命告知を望みますか,望みませんか,と聞くことです.
患者が望むときは,誤解を与えないように数字だけではなくその精度も伝えるべきでしょうし,心のケアも必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-05 07:20 | 医療

「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の改正に関する説明会」

文部科学省,厚生労働省及び経済産業省は,「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を平成25年2月8日に全部を改正する旨告示し,同年4月1日から施行されます.

ヒトゲノム・遺伝子解析研究をより行いやすくするための改正です.
3省によると,改正のポイントは,以下のとおりとのことです.

「(1)既存試料・情報の外部提供
長期的な追跡研究を適正に実施するため、外部の機関が保存している既存試料・情報を、連結可能匿名化の状態で提供する場合の要件・手続等を整備。

(2)インフォームド・コンセント
試料・情報の提供を受ける場合であって、将来的に他のヒトゲノム・遺伝子解析研究への利用や他の研究機関への提供が想定されるときは、その可能性や利用手続等について、試料・情報の提供者に十分な説明をした上で、インフォームド・コンセントを受けるものとするよう規定を改正。

(3)遺伝情報の開示
ヒトゲノム・遺伝子解析研究により得られる遺伝情報については、試料・情報の提供者の健康状態等を評価するための情報として精度や確実性が十分でない場合があること等から、遺伝情報の開示に係る要件・手続等の規定を改正。

(4)安全管理に配慮した遺伝情報の取扱い等
遺伝情報の取扱いに係る安全管理措置の明確化や、研究者及び倫理審査委員会の委員に対する教育・研修に係る規定の整備等を実施。」


また,「改正ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」についての説明会が,平成25年3月18日(月)に開催されるとのことです.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-05 06:46 | 医療

東京地裁,インプラント手術で動脈を傷つけ患者を死亡させた事案,歯科医に禁錮1年6月執行猶予3年(報道)

毎日新聞「インプラント手術死亡:歯科医師に有罪判決 東京地裁」(2013年3月4日)は,次のとおり報じました.
 
「東京都中央区の歯科医院「飯野歯科八重洲診療所」で07年、インプラント(人工歯根)手術を受けた女性を死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた歯科医師の××××被告(68)に対し、東京地裁は4日、禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)の判決を言い渡した。吉村典晃裁判長は「安全性や有用性に問題のある治療法を有効だと軽信した」などと指摘。××被告は即日控訴した。

 判決によると、××被告は07年5月、女性患者(当時70歳)の右下顎(あご)の骨に人工歯根を埋める穴を開けようとしたところ、ドリルで動脈を傷つけて出血させ、血腫によって窒息死させた。

 ××被告側は「事故を予測できなかった」と無罪を主張したが、判決は穴を開けた部位について「文献や講演会で大出血などの事故につながる危険性が指摘され、インプラント治療を行う歯科医師の間ではかなり知られていた」と指摘。「一般に用いられない術式なのに危険性を十分調査検討せず、穴を深くしようとするあまりドリルの挿入角度や深さを適切に調整しなかった」と過失を認めた。【和田武士】」


たしかに医療行為について業務上過失致死罪が適用されること自体を疑問視する見解もありますが,医療行為がすべて刑事責任に問われないという合理的な理由は見いだし難く,どのような場合でも業務上過失致死罪が適用されないという見解には賛同しかねます.

文献や講演会で大出血などの事故につながる危険性が指摘され,インプラント治療を行う歯科医師の間ではかなり知られていた以上は,仮に当該歯科医がそれを知らなかったとしたら,知らなかったこと自体が問題でしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-04 23:56 | 医療事故・医療裁判

標榜診療科と近所の病院・診療所選び

日刊SPA!「近所の病院選びでヤブ医者を見抜くコツ」(2013年3月3日)は,次のとおり,病院選びについて具体的なポイントを指摘しています.

「患者が少ない病院は問題がある」
「在籍医がしょっちゅう代わる病院にも注意したい。」
「病院の年間手術数も医者選びの参考になる重要ポイントだ。」
「医師が一人しかいない小さな診療所なのに標榜科がやたらと多い場合、注意が必要です」


現在,医師であれば,何科でも,いくつでも標榜できる仕組みになっています.
厚生労働省通知では「医療機関においては、当該医療機関に勤務する医師又は歯科医師一人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とし、診療科名の広告に当たっては、主たる診療科名を大きく表示するなど、他の診療科名と区別して表記することが望ましいものとする。」とされていますが,望ましいというだけで,罰則はありません.
また,新しい専門医制度ができても,日本医師会はこの自由標榜制を墨守しようとしています.
しかし,この自由標榜制は,質の担保の観点からは問題があります.自由標榜制は見直しが必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-04 02:56 | 医療

長野市の病院でワクチンを間違えて接種

毎日新聞「二重接種:ポリオワクチン、長野の病院で乳児に 須坂市が発表」(2013年3月2日)は,次のとおり報じました.

 「須坂市は、市内の生後4カ月の乳児が長野市の病院で、誤ってポリオワクチンを二重に接種されたと発表した。今のところ、健康被害は確認されていない。病院と須坂市は既に保護者に謝罪した。

 須坂市によると、乳児は2月19日、4種混合ワクチン(ジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオ)▽ヒブワクチン▽肺炎球菌ワクチン−−の予防接種を受ける予定だった。だが、医師がヒブワクチンと不活化ポリオワクチンを間違えて接種した。

 病院は須坂市に対し、ワクチンの保管者が医師に渡す際、種類を誤って渡したという。

 市健康づくり課は「健康状態の経過観察をすると共に医療機関に再発防止を求める」と述べた。【小田中大】」


ワクチン接種の件数が多いためか,ワクチン接種のミスも結構報道されています.
再発防止を求めるとのことですが,再発防止策の具体的内容を明らかにしてほしいですね.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-03 00:16 | 医療事故・医療裁判