弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2013年 04月 ( 55 )   > この月の画像一覧

日本消化器がん検診学会,ヘリコバクター・ピロリ除菌療法に関する理事会声明

一般社団法人日本消化器がん検診学会は,2013年4月,以下のとおり,「ヘリコバクター・ピロリ除菌療法に関する理事会声明」を発表しました.

1. 除菌治療に当たっては、除菌による胃がん発生予防効果は限定的であるため、治療後の胃がんスクリーニング検査を継続して受診していく必要があることを説明すべきです。

 今回の適用拡大により、除菌治療の目的として、消化性潰瘍の再発予防を含めた治療に加えて、胃炎が追加されました。国内外でこれまで行われたピロリ菌感染者の除菌治療の有効性に関する複数の比較試験で、除菌治療実施群の胃がん発生リスクは非実施群に比べて減少したことが報告されていますが、除菌治療実施群の胃がん発生が0になったという報告が無い事はもちろん、発生リスクが検診不要、あるいは無視出来るレベルにまで低下したという信頼できる報告もありません。このことは、除菌治療が成功しても、すでに慢性萎縮性胃炎や腸上皮化生など前がん状態にある場合は胃がん発生が一定の頻度で起こることを意味し、除菌治療後にも胃がんのスクリーニング検査を継続して実施していく必要があります。スクリーニング検査としては、治療を行った主治医が定期的に内視鏡検査を継続して行うことが理想的ですが、検査の処理能力や患者のアドヒアランス等の点で継続性に問題が残ることから、現在対策型検診として実施されているX線検査による胃がん検診の重要性に変わりはありません。以上のように、除菌治療を実施するにあたっては、患者の皆様に対して、効果の限界に関する事前の充分な説明と適正な事後指導が不可欠と考えられます。

2.胃がん対策にどのような形で除菌治療を組み込むかは未解決の課題であり、エビデンスを検証しないまま一般集団を対象とした検診などと組み合わせた形での無計画な除菌治療への誘導は行うべきではないと考えます。

 最近、血清ピロリ抗体と血清ペプシノゲン値の組み合わせで予測される胃がんの発生リスクを4段階に分類し、リスクの高い集団に集中的に内視鏡検査を実施していくという方式の胃がん検診(いわゆるABC検診)を、標準法であるX線検査に代わる検診として導入する動きが一部であります。この検診により一般集団から容易にピロリ菌感染者を拾い上げ、除菌治療に誘導することが可能なことから、除菌治療による胃がん予防を標榜してこの検診を拡大していく可能性があります。この血清マーカーを用いた検診については、実施方法そのものが確立されたとは言い難いものであり、死亡率低減効果等、有効性のエビデンスが得られていないことから、対策型検診としては推奨されていない現状を踏まえますと、除菌治療を組み込んだこの検診を計画的な比較試験等による適正な評価を経ることなく拡大していくことは、看過できない大きな問題であると考えます。
 本学会では、附置研究として「胃がんリスク評価に関する研究会(代表世話人:吉原正治)」を設置し、血清マーカーによる胃がんのリスク評価の妥当性やそれを応用した画像診断との組み合わせによる胃がん検診の在り方について検討を始めていますが、今後は除菌治療の普及・拡大の影響を勘案して検討を進めていくことにしております。」


ワクチンで子宮頸がん発生を予防できるというものではないのと同様に,ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌すること胃がん発生を予防できるというものではありません.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-11 01:50 | 医療

法曹養成制度検討会議,司法試験の年間合格者数3,000人程度との数値目標を掲げることは現実性を欠く

法曹養成制度検討会議は,2013年4月9日,中間的取りまとめ(案)を了承しました.

「今後の法曹人口の在り方」については,以下の結論を示しました.

「○ 社会がより多様化,複雑化する中,法曹に対する需要は今後も増加していくことが予想され,このような社会の要請に応えるべく,質・量ともに豊かな法曹を養成するとの理念の下,全体としての法曹人口を引き続き増加させる必要があることに変わりはない。

○ 現在の法曹養成制度を取り巻く状況に鑑みれば,現時点において,司法試験の年間合格者数を3,000人程度とすることを目指すべきとの数値目標を掲げることは,現実性を欠く。現状においては,司法試験の年間合格者数の数値目標は設けないものとすることが相当である。

○ 今後の法曹人口の在り方については,法曹としての質を維持することに留意しつつ,法曹有資格者の活動領域の拡大状況,法曹に対する需要,司法アクセスの進展状況,法曹養成制度の整備状況等を勘案しながら,その都度検討を行う必要がある。」


その理由とするところは,以下のとおりです.

「・司法制度改革においては,法曹が社会において果たすべき役割がますます大きくなることから,法曹人口の増大を図る必要があるとされ,閣議決定において,「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら,平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3,000人程度とすることを目指す。」との目標が定められた。なお,もとより,実際の司法試験合格者は,司法試験委員会において,法曹となろうとする者に必要な学識・能力を有しているかどうかという観点から,適正に判定されるものである。

・司法制度改革後の日本社会を取り巻く環境は変化を続けており,より多様化,複雑化する中,法曹に対する需要は今後も増加していくことが予想され,このような社会の要請に応えるべく,質・量ともに豊かな法曹を養成するとの理念の下,全体としての法曹人口を引き続き増加させる必要があることに変わりはない。
他方で,「プロセス」としての法曹養成制度が多くの課題を抱える中,司法試験の合格者数は,平成22年以降も2,000人から2,100人程度にとどまり,閣議決定された司法試験の合格者数は達成されていない。また,近年,過払金返還請求訴訟事件を除く民事訴訟事件数や法律相談件数はさほど増えておらず,法曹の法廷以外の新たな分野への進出も現時点では限定的といわざるを得ない状況にある。さらに,ここ数年,司法修習終了者の終了直後の弁護士未登録者数が増加する傾向にあり,法律事務所への就職が困難な状況が生じていることがうかがわれることからすれば,現時点においても司法試験の年間合格者数を3,000人程度とすることを目指すべきとの数値目標を掲げることは,現実性を欠くものといわざるを得ない。

・上記数値目標は,法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であったことから,早期に達成すべきものとして掲げられた目標であり,このことを含めた司法制度改革によって,弁護士が1人もいない地域がなくなり,国民が法的サービスにアクセスしやすくなったこと,法曹が自治体,企業及び海外展開等においても広く活動する足掛かりとなったことなど,成果が認められる。もっとも,現状においては,司法試験の年間合格者数の数値目標を掲げることによって,大幅な法曹人口増加を早期に図ることが必要な状況ではなくなっているため,今後も新たな数値目標を設けるべきとの考えもあるものの,当面,このような数値目標を立てることはせず,引き続き,社会の要請に応えるべく,質・量ともに豊かな法曹を養成するとの理念の下,法曹としての質を維持することに留意しつつ,法科大学院の改善策(後記第3の2で検討する。)を進めながら,全体としての法曹人口を増加させることを目指すものとすることが相当である。

・その上で,将来,司法試験の年間合格者数を3,000人程度とすべきことについて再び現実性が出てくることがあり得ることは否定しないものの,いずれにせよ,今後の法曹人口の在り方については,法曹有資格者の活動領域の拡大状況,法曹に対する需要,司法アクセスの進展状況,法曹養成制度の整備状況等を勘案しながら,その都度検討を行う必要があるものと考えられる。」


なお,法曹有資格者の活動領域の拡大状況,法曹に対する需要,司法アクセスの進展状況,法曹養成制度の整備状況等を勘案することなく,非現実的な数値目標を掲げ混乱を招いた者の責任については,言及しておりません.責任の所在を明らかにすることが必要ではないでしょうか.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-10 00:27 | 司法

広島大学病院,南岡山医療センター,米子医療センター,山陰労災病院に喫煙ハウス

中國新聞「4病院で敷地内禁煙が未実施」(2013年4月9日)は,次のとおり報じました.
 
「中国地方で独立行政法人や国立大学法人が運営する30の公的病院のうち、広島大病院(広島市南区)など4病院が敷地内を全面禁煙にしていないことが9日、中国四国管区行政評価局の調査で分かった。厚生労働省は健康増進法に基づき「医療機関は全面禁煙が望ましい」との見解を示しており、評価局は4病院に改善を求めた。

 全面禁煙になっていないのは広島大病院のほか、国立病院機構南岡山医療センター(岡山県早島町)▽同米子医療センター(米子市)▽労働者健康福祉機構山陰労災病院(同)。

 広島大病院は昨年1月、中央診療棟の近くに「喫煙ハウス」(約5平方メートル)を設けた。室内の空気をフィルターで浄化して排気する装置を備え、ハウス内に限り喫煙を認めている。全国44の国立大学病院のうち、全面禁煙でないのは広島大と九州大だけという。

 広島大病院以外の3病院も敷地内に喫煙所を設けている。いずれも壁や窓で遮断されておらず、煙が外気に触れる状態という。

 病院内の喫煙をめぐっては、厚労省が10年2月の健康局長通知で、受動喫煙の防止をうたう健康増進法に基づき「官公庁と医療機関は全面禁煙が望ましい」としている。

 広島大財務・総務室は「喫煙ハウスは外部と遮られて受動喫煙の可能性はなく、事実上の全面禁煙になっている認識だった」と釈明。「他の大学病院の状況を踏まえ対応を検討する」としている。」


健康増進法第25条は,「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と定めています.

平成22年2月25日付の厚生労働省健康局長通知「受動喫煙防止対策について」(健発0225第2号) は,「 受動喫煙による健康への悪影響については、科学的に明らかとなっている。」と述べます.

「受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等生理学的反応等に関する知見が示されるとともに、慢性影響として、肺がんや循環器疾患等のリスクの上昇を示す疫学調査があり、IARC(国際がん研究機関)は、証拠の強さによる発がん性分類において、たばこをグループ1と分類している。
また、受動喫煙により非喫煙妊婦であっても低出生体重児の出産の発生率が上昇するという研究報告がある。
また、国際機関や米英をはじめとする諸外国における公的な総括報告においては、受動喫煙の煙中には、ニコチンや一酸化炭素など様々な有害化学物質が含まれており、乳幼児突然死症候群、子どもの呼吸器感染症や喘息発作の誘発など呼吸器疾患の原因となり、特に親の喫煙によって、子どもの咳・たんなどの呼吸器症状や呼吸機能の発達に悪影響が及ぶなど、様々な報告がなされている。」


この医学知見に基づき,上記通知は,「全面禁煙は、受動喫煙対策として極めて有効であると考えられているため、受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである。全面禁煙を行っている場所では、その旨を表示し周知を図るとともに、来客者等にも理解と協力を求める等の対応をとる必要がある。 また、少なくとも官公庁や医療施設においては、全面禁煙とすることが望ましい。」としています.

疾病を診断治療する医療施設が,受動喫煙でタバコ病をつくりだすことは本来許されることではありません.医療施設の全面禁煙は,すべての医療施設において早急に実行していただきたいと思います.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-09 23:35 | タバコ

京都市立病院の個人情報流出事故

msn産経「京都市立病院の個人情報流出」(2013年4月9日) は,次のとおり報じました.

「京都市立病院機構(京都市中京区)は8日、委託業者が持ち出した病院の取引先の住所、口座番号など計5500件のデータの所在が分からなくなったと発表した。委託業者が個人情報を無断でコピーし、院外に持ち出したパソコンを盗まれたという。同機構は、システムへのアクセスにはIDやパスワードが必要で、個人情報が流出した可能性は低いとしている。」

個人情報保護法第22条は,「個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適
切な監督を行わなければならない。」と定めています.

「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」は,「医療・介護関係事業者は、検査や診療報酬又は介護報酬の請求に係る事務等個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、法第20条に基づく安全管理措置を遵守させるよう受託者に対し、必要かつ適切な監督をしなければならない。「必要かつ適切な監督」には、委託契約において委託者である事業者が定める安全管理措置の内容を契約に盛り込み受託者の義務とするほか、業務が適切に行われていることを定期的に確認することなども含まれる。」としています.

したがって,委託業者に必要かつ適切な監督が行われていなかった場合は,京都市立病院機構も責任を負うことになります.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-09 06:47 | コンプライアンス

奈良県立医科大学附属病院,調査委員会が最低限解剖を勧めるべきと提言

奈良新聞「病理解剖の提案徹底 - 県医大病院の調査委が提言」(2013年4月8日)は,次のとおり報じました.

「橿原市の県立医大病院で平成21年7月、心臓手術後の幼児=当時(1)=が原因不明の容体急変で死亡し、同病院が設置した調査委員会が「想定外の事態が生じた症例は、病理解剖の(遺族への)提案と実施を徹底すべきだ」と提言していたことが7日までに分かった。

 調査委が24年5月にまとめた報告書によると、担当医師は「号泣する遺族を前に、これ以上苦痛を与えられなかった」として、解剖を提案しなかった。報告書は一連の治療に「許し難い過失や注意義務違反はなかった」とする一方、解剖をしなかったため容体急変の原因が特定できなかったとして「遺族に拒否される可能性があっても、最低限(解剖を)勧めるべきだ」と提言した…」


心臓手術後の幼児が原因不明の容体急変で死亡した事案において最小限解剖の提案をすべきとする公立大学法人奈良県立医科大学附属病院の調査委員会の提言はもちろん正しいのですが,病理解剖の提案がなされてもそれを病理解剖の増加につなげるのは難しいのが現実でしょう.かつては,病理解剖が熱心に勧め,遺族も医学の進歩のために同意した時代もあったのですが,医師側の事情(最近は医師からの熱心な勧めが少ないように思います.)と遺族側の事情で,病理解剖は年々減少しています.予想外の急変の原因を調べることで医学は進歩します.原因が明らかになることで遺族も疑問に応えることもできます.病理解剖の質を担保し,病理解剖の成果をわかりやすく示す活動が必要なのではないでしょうか.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-09 01:40 | 医療

良い遺言の日関連行事

第二東京弁護士会は 「良い遺言の日」と弁護士会 家庭法律相談センター開設11周年を記念して、記念講演『相続 遺言の原則』と『遺言・相続にかかわる無料法律相談(予約制)』を開催します。

【開催日】
 平成25年4月13日(土曜日)

【場所】
 弁護士会館2階 講堂「クレオ」
 千代田区霞ヶ関1-1-3


日本弁護士連合会(日弁連)は, 遺言の大切さや弁護士の役割等を市民に広く理解してもらうため,各弁護士会の協力のもと,毎年4月15日を中心に「遺言の日」全国一斉の記念行事を実施しています。
本年度は,高齢者の方々のための,ナビダイアルを利用した全国統一番号での「高齢者のための全国一斉電話相談会」(遺言・相続の相談を含む)を実施します.
この全国一斉電話相談は当連合会及び全国の弁護士会が本年4月15日限定で行うものです。

【日時】 2013年4月15日(月) 10時~16時
【電話番号】 0570-041-605


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-08 23:59

全国ハンセン病療養所入所者協議会会長講演,ハンセン病療養所の現状と課題

大分合同新聞「深刻なハンセン病問題 大分市で講演」(2013年04月07日)は,次のとおり報じました.

 「全国13の国立ハンセン病療養所の入所者でつくる「全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)」の神(こう)美知宏会長(79)=東京都=が6日、大分市で講演した。2001年に国家賠償請求訴訟の熊本地裁判決で全面勝訴、08年には「ハンセン病問題基本法」が制定され、ハンセン病問題は一見解決したかにも見えるが、「全く解決していない。療養所では今も人権や人間としての尊厳は横に置かれ、苦しんでいる人がたくさんいる」と指摘。「市民の皆さんにしっかり認識してもらうことが解決の糸口になる」と訴えた。

 神会長は福岡県出身。1951年、香川県の「大島青松園」に入所した。95年に全療協事務局長、2010年6月から会長。大分での講演は初めてで、「ハンセン病回復者の本当の人権回復と社会復帰へ向けて共に歩む会・大分」(御手洗礼子代表)が総会に招いた。

 国がハンセン病患者の強制隔離を始めてから約1世紀。「科学的、医学的根拠もないのに、誤った政策で古里から療養所へ拉致された。入所者は戸籍を抜き、偽名を使って生きてきた」。これまで約2万6千人が亡くなり、現在の入所者は約2千人。平均年齢は83歳に近く、年間約150人が亡くなっている。
 昨年、全国の療養所を訪ねて歩き、「想像を超える悲惨な状況が続いている」と肌で感じた。行革で療養所の職員は減少。病気は治癒しているが、高齢や後遺症などのため自力で食事を取れなくなった入所者の介助が十分できず、誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなる人も少なくないという。

 「これほど人間の尊厳が失われている図があるのか。国は最後まできっちりみとるべきだ」
 この先、入所者が減っていく療養所をどうするかも課題。「療養所は負の遺産。二度と過ちを犯さないよう、何らかの形で残すべきだ」と神会長。
 「ハンセン病問題は人ごとではない、という人が増えることが、国を動かすことにつながる」と呼び掛けた。」


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-07 23:47 | 医療

医療情報DB参加大の半数,九州大,東北大,千葉大,浜松医科大,東大で個人情報流出事故(報道)

CBニュース「医療情報データベース、参加大学で流出続発-対策急務、キャリアブレイン調べ」( 4月5日)は,次のとおり報じました.

「厚生労働省が基盤整備を進めている「医療情報データベース」に参加している10機関のうち、東大や九州大など少なくとも5大学で、整備が始まった2011年度以降、不正アクセスによってメールアドレスなどの個人情報が流出したり、患者情報が含まれたUSBメモリーを紛失したりする事案が起きていたことが、キャリアブレインの調べで分かった。厚労省は5日、医療情報データベースに関する検討会を開き、15年度までに延べ1000万人の情報を集める方針を示したが、参加大学の個人情報流出などが相次いでいることから、情報管理体制の抜本的な見直しを迫られそうだ。

 厚労省は11年度から医薬品の安全情報などのデータベース構築に着手し、安全対策に活用する「医療情報データベース基盤整備事業」に取り組んでいる。データベースには、東大や東北大、九州大、浜松医科大、千葉大など全国の10機関から1000万人分の薬剤情報を集め、従来の企業などからの副作用報告のみでは把握できなかった安全性情報を正確に収集する狙いがある。

 大学病院などの拠点ごとに電子カルテやレセプト、傷病、診療行為情報などの医薬品評価に必要なデータを抽出。患者の同意を得て匿名化した情報をデータベースに集積し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や研究者らが分析や研究を実施し、医薬品のリスクやベネフィットの迅速な評価を行う方針だ。

■不正アクセスで流出、ひったくりで紛失も

 だが、そのデータベースの拠点を設ける大学では、この整備事業が始まった11年度以降、個人情報の紛失や流出が相次いでいる。九州大では12年11月、大学院生が、同大病院の患者138人の個人情報が記録されたUSBメモリーが入ったショルダーバックを、バイクに乗った2人組にひったくられて紛失。USBメモリーには、氏名や生年月日、患者番号、プログラフの内服量、処方医の氏名などの情報が記録されていた。パスワードは設定されておらず、誰でも閲覧可能な状態だったという。

 このほか、11年12月には東北大の職員が、学生名簿などの個人情報を保存したパソコンを海外で盗まれた。千葉大でも、教員が学生の個人情報が含まれているパソコンを学外に持ち出して紛失。浜松医科大では、学生が周産期の助産過程やその家族の氏名3人分などのデータが入ったUSBメモリーを一時紛失。学外で落とした可能性があり、関係者には個別に連絡して謝罪したが、後日見つかったため大事には至らなかったという。

 さらにハッカーとみられる第三者の不正アクセスで、個人情報が流出する事態も発生した。東大では12年10月に、同大の情報が漏えいしている可能性が高いとの情報提供を受け、該当する4台のウェブサーバーを緊急停止。サーバーを調べたところ、約2700人分のメールアドレスや約1300人分の氏名などの情報の流出が確認できたという。同大は「アプリケーションのぜい弱性を突かれたものと考えられる」と不正アクセスがあったことを認め、再発防止の徹底を図るとした。

 5日開催された医療情報データベースの検討会でも、データを研究者らが利活用する際、希少疾患の患者らの個人情報が特定される事態を懸念する声が相次いだ。厚労省は、氏名や生年月日などのデータを削除するなどの「匿名化」を図ることで、個人情報は守られるとの立場を取るが、患者データの一部の項目について、委員からは「人海戦術で解読すれば、匿名化が崩れる可能性がある」と厚労省の主張を疑問視する意見も出た。個人情報の取り扱いをめぐり、患者の匿名化や情報管理の徹底が今後、検討会の重要な課題となりそうだ。【新井哉】」


日本の個人情報管理は遅れていると思います.個人情報流出防止のためのシステムが必要です.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-06 19:28 | コンプライアンス

新小学1年生が将来就きたい職業,「医師」が6位(女の子),8位(男の子)

ランドセル用素材として7割以上のシェアを占める人工皮革<クラリーノ>を生産している株式会社クラレは,1999年から新1年生に「将来就きたい職業」のアンケート調査を行っています.
1999年の調査開始年,10年前,5年前,今年の順位を医師についてみると次のとおりです.
女の子は,7位,7位,7位,6位
男の子は,10位,8位,9位,8位
と順位を上げています.

医師について,女の子の親は5位,男の子の親は3位で,1999年の調査開始年,10年前,5年前,今年で全く変化がありません.

小学校6年生になると,女の子では3位に上昇します.男の子では8位です.
女の子の親は5位,男の子の親は6位です.
女性医師は確実に増加しますね.

私立医学部の2~5千万円の学費を含めて,医師になるまでにかかる社会的費用は約1億円といわれています.それにもかかわらず,この順位はすごいです.

遅くともこの子たちが医師になるときには,医師の労働時間を減らし,環境整備が行われていることを期待いたします.日本医師会は医学部新設に反対していますが,医学部を増やし,医師を増員したほうが,労働時間の減少と労働環境の向上に資すると思いますが,いかがでしょうか.

医師の労働条件は過酷で出産・育児のために復職が困難になると聞きますが(弁護士や裁判官とはだいぶ違いますね),藤田保健衛生大病院,名古屋大学病院,愛知医科大学病院などでは,新たな取り組みが始まっているそうです.

中日新聞「女性医師の時短勤務や復職支援 東海地方の大学病院」(2013年4月4日)は,次のとおり報じました.

「女性医師が子育てと仕事を両立できるよう、東海地方の大学病院でこの春、時短勤務制度や復職支援を充実させる取り組みが広がっている。結婚や子育てをする人が増える30代から退職する女性医師が多く、厚生労働省は「医師不足が解消できない理由の一つ。仕事を続けるのが難しい女性医師はこうした制度を生かしてほしい」と期待する。

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)は今月から、育児などを理由に短時間勤務を望む女性医師に対し、週20時間または30時間勤務を導入した。通常勤務は週40時間。給料が半減しても「好きで選んだ仕事が継続できる方が大切」という声に応えた。女性医師向けのサロンも新設。気軽に交流や相談ができるようにした。

 同病院では4年前から、子育て中の職員が1日1時間半勤務を短縮できるようにしたが、月~土曜の出勤に加え、定時に帰宅できないことも多く、退職を選ぶ女性医師が多かった。

 新制度は、毎週の勤務時間さえ満たせば自由に働ける。「子どもが寝ている夜の方が働きやすい」という人は夜勤だけの勤務も可能。脳神経外科の加藤庸子教授は「家庭も仕事も使命感を持って上手に働き、専門性と技術を高めてほしい」と話す。

 今年の医師国家試験の合格者7696人のうち、女性は2516人で32・6%を占めた。厚労省の調査では、病院や診療所で働く女性医師の割合は、29歳以下の35・9%をピークに、30代から減少していく。

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)と愛知医科大病院(愛知県長久手市)はそれぞれ3月から、退職した女性医師のための復職支援プログラムを始めた。プログラム希望者の出身大学や年齢は一切問わない。まずは多くの患者とやりとりする内科外来の初診を担当し、専門の診療科へ復帰したり開業を目指す。

 10年近くブランクのある人もいるが、「学生が一人前の医者になる期間を考えれば、即戦力。患者との話し方はすぐ身につくことではない」と名大病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センターの平川仁尚副センター長。「女性医師が増える中で男性の理解も深まりつつある。働き方を見つめながら、医師の人生そのものを支援していきたい」と話す。

 <女性医師の就労支援> 厚労省は2008年度から女性医師就労支援事業を開始。育児や勤務時間を相談する窓口の設置や復職研修制度などを導入する医療機関に、地方自治体を通じて経費を補助している。12年度は愛知や岐阜など36都道府県で実施。休職した際の代替医師の給与を半額補助したり、復職の研修指導をする医師の給与なども含まれる。医師不足で代替医師がいないなど、制度を活用できる状況にない問題もある。

(中日新聞・柚木まり)」



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-05 02:44 | 医療

日本リウマチ学会,「トファシチニブについて」

トファシチニブは,2013年3月25日に承認されましたが,発がん性(米国での本剤による発症率が約0.3%),感染症リスクにが懸念され,未だ安全性の点で十分なデータがなく,反面,経口剤のため広く使用されることから,きわめて慎重な対応が必要な薬剤です.

一般社団法人日本リウマチ学会は,2013年4月2日,そのサイトで,トファシチニブ(ゼルヤンツ錠)について,以下のとおり,表明しました.

「日本リウマチ学会理事会では、トファシチニブの承認申請に対して、その安全性を懸念する観点より資料1のような要望書を本年2月20日にファイザー社に対して提出を致しました。それに対して、ファイザー社より資料2の回答が本年3月14日付けで寄せられました。 一方、本年3月13日に、医薬品第二部会においてゼルヤンツ錠(一般名=トファシチニブクエン酸塩)について審議が行われたことを受け、本年3月25日に厚生労働省より製造販売承認がなされました。 日本リウマチ学会としては、 我が国におけるトファシチニブの適正使用について重大な関心を寄せており、今後とも本剤の適正使用について厳しいモニタリングを 行う所存です。」

一般社団法人日本リウマチ学会で,ファイザー株式会社への要望書とファイザー株式会社の回答書を読むことができます.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-05 01:53 | 医療