弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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とげぬき地蔵尊高岩寺御住職,禁煙は愛

とげぬき地蔵尊高岩寺御住職の来馬明規さんは,循環器内科医でもあり,「僧侶も医師も生死を扱う仕事。健康でより良く生きるために,たばこはやめるべきだ」と説き,年二十回は全国各地で講演を続けているそうです.

禁煙マークが付いた僧帽と袈裟の写真が東京新聞「禁煙は愛 医僧が説く AED持ち歩き、各地で講演」(2013年5月31日) に掲載されています。

 「来馬さんが禁煙の啓発を始めたのは二〇〇五年、住職になってから。年間八百万人の参拝者の健康を願い境内を全面禁煙にした。

 寺の僧侶ら五十人のうち、喫煙していた十人も一年で全員たばこをやめた。

 内科医の勤務経験があり、目の前でたばこを吸う人がどんどん亡くなっていく無力感を痛感した。「喫煙は仏の道から外れる。受動喫煙は他人も傷つける」と言い切る。

 いくら害を説いても、たばこは依存性があり、言葉で説得できないので、奇抜な格好を思いついた。説得力を出すため、自動体外式除細動器(AED)を持ち歩き、喫煙者は心筋梗塞や脳卒中、動脈硬化のリスクが高まるとデータを挙げて説明。「たばこをやめないと、AEDのお世話になりますよ」。真っ赤なAEDと変わったいでたちでユーモアを交えて語る。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-05-31 20:23 | タバコ

志賀県立成人病センター,術後の出血の状態把握が不十分で止血を行わなかった事案で和解(報道)

msn産経「県立成人病センター 7800万円支払いで和解へ 滋賀」(2013年5月31日)は,次のとおり報じました.

 「■医療事故で昏睡状態

 県立成人病センター(守山市)で子宮内膜症治療の手術を受けた患者が一時心肺停止に陥って今も昏睡(こんすい)状態が続く医療事故があり、県は30日、7800万円を支払うことで患者側と合意したと発表した。6月県議会に損害賠償支払いの関連議案を提出、可決後和解が成立する。県は「手術後の管理が不適切だった。重大な結果を招き申し訳ない」と謝罪している。

 県によると、患者は県内在住の30代女性。平成23年5月下旬、同センターで子宮内膜症に伴って卵巣内にできた嚢(のう)胞を切除するなどの手術を受けた。手術翌日に貧血を起こすなど体内で出血している兆候がみられたが、輸血で改善したため主治医らは止血を施すほどの状態ではないと判断、経過を観察していたところ、その3時間半後に容体が急変し、約1時間にわたって心肺停止の状態となった。

 しかし、蘇生(そせい)措置などを施して心拍が再開した後も意識は戻らず、人工呼吸器による管理が必要な状態が続いているという。

 センターは翌月、医療事故調査会を設置して原因を分析し、同年12月には「術後の病態把握が不十分だった」などとする調査結果を患者側に説明、謝罪。今年3月に和解案を提示していた。」


術後の出血はこわいですね.「輸血で改善したため止血を施すほどの状態ではないと判断し,止血を行わなかったこと」が過失でしょう,

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-31 02:30 | 医療事故・医療裁判

フランスの報告書,電子たばこを規制し公共の場所では禁止すべき

ブルームバーグ日本語版(2013年5月29日)は次のとおり報じました.

「レストランなど公共の場所での電子たばこの使用は禁じるべきだと、フランスの研究者が政府委託の報告書で指摘した。
呼吸器学教授で仏喫煙防止局の責任者を務めるベルトラン・ダウツェンベルグ氏率いる研究者らは、電子たばこの使用を規制し妊婦や18歳未満の子供の前では禁止されるべきだと主張している。
アテネ大学の研究者は昨年9月、ウィーンで開かれた欧州呼吸器学会の年次会合で、電子たばこが肺の機能を損なうとの研究結果を発表。
電子たばこに害はないとする従来の主張とは対照的な報告となった。(28日)French Researchers RecommendStopping E-Cigarette Use in Public


電子タバコについて議論がありますが,最近では,有害であるという意見のほうが強くなっているようです.


谷直樹

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by medical-law | 2013-05-30 06:49 | タバコ

免許を取り消された元医師が,医師紹介業者と共謀し,他人の医師免許証のコピーを用い医師になりすまし

神奈川新聞「別人なりすまし診断の容疑で元医師を逮捕/茅ケ崎」(2013年5月30日)は,次のとおり報じました.

「別の医師になりすまし診断したとして、県警生活経済課と茅ケ崎署は29日、詐欺や医師法違反などの疑いで、さいたま市、元医師のアルバイト××××容疑者(59)を逮捕。同容疑者を雇った病院から紹介料をだまし取ったとして、詐欺などの疑いで、東京都世田谷区、会社社長△△△△容疑者(48)を逮捕した。

 逮捕容疑は、××容疑者を非常勤医として茅ケ崎市内の病院に雇用させようと共謀し、昨年11月16日、愛知県に住む男性医師の医師免許証のコピーを同病院に提出。同容疑者は給与5万円を、△△容疑者は紹介料1万500円をだまし取った、としている。また××容疑者は同日、同病院で亡くなった女性患者の死亡診断書を作成するなどした、としている。

 県警によると、2人は容疑を認め、××容疑者は「免許を取り消され、金に困っていた」、△△容疑者は「(××容疑者が)生活に困っていたので紹介した」と供述。××容疑者は昨年3月に免許を取り消されていた。△△容疑者の会社は当直の非常勤医などを病院に紹介しており、過去に仲介したことのある医師の免許を悪用したという。

 県警の調べでは、××容疑者は昨年9月以降、ほかに千葉県や都内の3病院に勤務。「(風邪やインフルエンザなどの)患者50人ぐらいを診察した」と供述している。」


医師免許証のコピーを使われた医師に,源泉徴収票が送られてきて,はじめて発覚したということは,この茅ヶ崎市内の病院のほかに千葉県や都内の3病院に勤務しながら気づかれなかったということです.
病院が医師を雇用するとき,医師免許の原本提示を求めるべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-30 03:22 | 医療

医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会,医療事故調創設,医療法改正へ

CBニュース「医療事故調、第三者機関に全例報告-遺族に一定の費用負担」(2013年5月29日)は,次のとおり報じました.


「厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」は29日、診療行為に関連した予期しない死亡事例の原因究明と再発防止を目的にした医療事故調査制度案を決めた。死亡事例が発生した場合、医療機関は第三者機関に届け出るとともに、院内調査を実施する。遺族や医療機関から申請があれば、第三者機関が調査を行う。第三者機関が実施する調査の費用については、遺族などに一定の負担を求めることにした。

 13回を数えた同検討部会は、この日が最後となった。厚労省は今後、第三者機関の設置などを定めるための医療法改正に着手し、秋に開かれる予定の臨時国会に、同法改正案の提出を目指す。第三者機関への届け出手順など、制度運用上の細かなルールは、ガイドラインで規定する。ガイドラインについては、新たに検討の場を設け、議論を急ぐ考えだ。

 第三者機関への届け出義務が生じるのは、病院、診療所、助産所を含む医療機関。新たな制度の中核になる第三者機関は、民間組織で全国に1つ。第三者機関が行う調査は、各都道府県に設置する「支援法人・組織」と一体になって実施する。調査を実施する上で、医療機関の協力が必要になるが、それに応じなかった場合には、その旨を報告書に記載し、公表するなどのペナルティーを科す。

 この日の会合では、遺族に対し、第三者機関に調査申請する際に生じる費用負担を求めるかどうかで、ぎりぎりまで議論が続いた。費用負担について、「原因究明を医療の延長線上と考えた場合、遺族に負担を求めるのは適切ではない」などの意見も出たが、遺族の申請を妨げるハードルにならないよう、減免措置など講じることで落ち着いた。

 また、この日は、院内調査の構成員を規定する文言を決定するのにも、多くの時間を割いた。議論の結果、「中立性・透明性・公正性・専門性の観点から、原則として外部の医療専門家の支援を受けることとし、なお必要に応じて、その他の外部の支援を求めることができる」などと明記することで決着した。【君塚靖】」


これで,ようやく死亡事故限定ですが,医療版事故調が創設されることになったわけです.
解剖はふえるでしょうね.
医療版事故調が,医療事故原因の究明と医療事故の再発防止に役立つことを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-30 03:01 | 医療事故・医療裁判

福岡県築上郡吉富町のクリニック,使用済み注射器でC型肝炎に感染したと提訴される(報道)

読売新聞「使用済み注射器で肝炎、発症の女性が病院提訴」(2013年5月29日17時23分)は,次のとおり報じました.

「福岡県豊前市の女性(83)が同県吉富町の医療法人・唐原内科クリニックで、C型肝炎患者に使われた注射器を誤って使用され、C型肝炎を発症していたことがわかった。


 女性はクリニックと院長に約7000万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁行橋支部に起こしており、クリニック側は注射のミスを認めている。

 訴状やクリニックによると、女性は2010年10月、食欲不振などの体調不良でクリニックに入院。同年12月、C型肝炎患者に使用された注射器を看護師が誤って女性に使ったという。

 女性は意識障害を起こして、脳症を発症。ほぼ寝たきり状態となり、さらに11年1月には急性C型肝炎と診断された。女性側は裁判で院長は看護師を指揮監督する立場にあったと主張している。

 女性は今月13日、業務上過失傷害容疑で院長を県警豊前署に告訴し受理された。

 院長は取材に対し、「注射器を誤って使い、C型肝炎が発症したのは事実」と話している。」


一度使用した注射針は,普通,直ぐに廃棄するはずなのですが.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-30 02:45 | 医療事故・医療裁判

Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship

厚労省は,「2013年「世界禁煙デー記念イベント」を5月31日に開催」と告知しています.

「毎年5月31日は、世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」で、今年で26回目を迎えます。厚生労働省では、平成4年に世界禁煙デーから始まる1週間を「禁煙週間」(5月31日~6月6日)と定めて、毎年さまざまな普及啓発活動を行っています。
 今年は5月31日に「世界禁煙デー記念イベント」を開催します。このイベントでは、たばこによる健康被害への正しい理解と、世界禁煙デーの基本テーマである「たばこフリー(たばこの無い環境)」の周知を目的として、東尾理子さんの禁煙大使への任命式や禁煙に関するトークショー、無料で参加できる肺年齢のチェックや禁煙相談などを実施します。

【2013年 禁煙週間のテーマ】
 「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」

【2013年 世界禁煙デーのテーマ】
  WHOの標語:「Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship」

【2013年「世界禁煙デー記念イベント」概要】
  日 時:平成25年5月31日(金) 14:30~18:00(予定)
  会 場:丸の内ビルディング 1F マルキューブ(東京都千代田区丸の内2-4-1)
  参加料:無料

  プログラム
   14:30  開場(展示ブースオープン)
   15:00  開会挨拶  厚生労働大臣
   15:05  禁煙大使任命式
        厚生労働大臣から禁煙大使・東尾理子氏に任命書を授与
   15:15  トークショー「禁煙大使の意気込みと今後の活動について」
        出演:東尾理子氏
   15:20  企業・団体によるブース出展
        禁煙啓発関連の展示
        保健師等による禁煙相談
        肺年齢チェック など
   18:00  閉会
    (都合により変更になる可能性あり)

  主 催:厚生労働省

  共 催:(公社)日本医師会、(公社)日本歯科医師会、(公社)日本薬剤師会、(公社)日本看護協会、たばこと健康問題NGO協議会(がん研究振興財団、結核予防会、健康・体力づくり事業財団、日本対がん協会、日本公衆衛生協会、日本心臓財団)、「喫煙と健康」WHO指定研究協力センター((独)国立がん研究センター)

  後 援:内閣府、人事院、警察庁、文部科学省、東京都、日本栄養士会、日本循環器管理研究協議会、日本学校保健会、中央労働災害防止協会、日本禁煙推進医師歯科医師連盟、全国禁煙推進協議会、国民健康保険中央会、健康保険組合連合会、健康日本21推進全国連絡協議会、日本禁煙学会、全国健康保険協会(協会けんぽ)、日本COPD対策推進会議、日本禁煙科学会」



厚労省が決めた標語は,「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」です.日本的に婉曲で控えめな表現です.
WHOの標語は「Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship」です.
直訳すると「禁止!タバコ広告,促進と後援」です.明快です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-29 03:09 | タバコ

34%のがん患者ががんになって人生の点数が上がったと回答

アストラゼネカが昨年12月インターネット上で行ったアンケート調査(1477人回答)の結果を,CBニュース「がん患者の3割超が「人生の点数上がった」-アンケートで判明」(2013年5月28日)が,次のとおり報じました.

「がんと診断された時の患者の精神状態は、「自分の病気を落ち着いて受け止めている」が64%と最多。心理面では、「家族に心配をあまりかけたくない」が患者と家族はともに60%を超えた。「悩みを相談できる人がいるか」と聞いたところ、患者の81%が「いる」と回答した一方、家族で「いる」と答えたのは59%にとどまった。

 がんが身近にある現在と、それ以前の人生を点数として比較した場合、「上がったと思う」と答えた患者は34%、家族は21%だった。「あなたらしい生活とは」との設問に患者は、「自分のやりたいことをする」(37%)、「普段通りと変わらない生活を送る」(24%)、「治る希望を持ち続ける」(13%)などと答えた。」

岡山大大学院医歯薬学総合研究科の内富庸介教授の「患者や家族はがんになったことをプラスにとらえ、そこから何か気付いたり得たりすることもある」「患者だけでなく、家族のケアも大事。患者より家族の方が、相談相手が少ないという現状がみられる」というコメントも紹介しています.

がんに対する受け止め方の違いが浮き彫りになった調査と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-29 02:13 | 医療

大垣市民病院,術後脳出血の責任を認め和解(報道)

中日新聞「大垣市民病院、医療ミスで患者側と和解 4060万円支払いへ」(2013年5月27日)は,次のとおり報じました.

 「岐阜県大垣市は27日、同県西濃地区の男性(81)が市民病院で手術を受けた後、脳に重い障害が残ったとして、男性側に4060万円の損害賠償金を支払うことで和解したと発表した。6月3日開会の市議会に関連議案を提出する。

 男性の家族は昨年4月、名古屋簡裁に調停を申し立てていた。

 病院によると、2010年9月、循環器科(現・循環器内科)で男性の右足付け根の血管を広げる手術を予定していたが、動脈硬化の進行を受け、当日になって両足の手術に変更。手術中に高血圧状態が続いたが、医師らが手術を早く終わらせることを優先し、降圧剤投与など適切な措置をしなかった。

 手術は成功したが、2時間ほどして脳出血を発症。現在も寝たきりで意識のはっきりしない状態が続いている。

 病院は、院外の医師や弁護士らによる第3者調査委員会を設置。手術変更がカルテ未記載だった点を問題視し、脳出血の危険性を考えて細かく血圧調整するべきだったと結論づけた。」



(1)手術中続いた高血圧状態について,降圧剤を投与するなどして適正な血圧を保つ注意義務があったにもかかわらず,降圧剤を投与しなかったこと(医師の注意義務違反)
(2)術後2時間ほどして発症した脳出血は,手術中降圧剤を投与するなどして適正な血圧を保っていれば,発症することがなかったこと(因果関係)
から,責任を認めた和解が成立したと考えられます.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-27 23:04 | 医療事故・医療裁判

日本外科学会・外科医労働環境改善委員会の調査,当直明けの日に手術の質が低下することが多い

NHK「外科医の当直明け手術 20%が「質低下」」(2013年5月26日)は,次のとおり報じました.

「外科医の4人に3人が病院に泊まり込む当直明けの日に手術に参加し、このうちのおよそ20%の医師が手術の質の低下を感じていることが日本外科学会の調査で分かりました。

日本外科学会は、会員の勤務の実態を調べるため、去年10月から12月にかけて全国の外科医8300人余りにアンケート調査を行いました。
それによりますと、この1、2年間に病院に泊まり込む当直明けの日に手術に参加したことがあるか尋ねたところ、▽「いつもある」が36%、▽「しばしばある」が25%、▽「まれにある」が13%で合わせて74%が「ある」と回答しました。
また、手術への影響について尋ねたところ、「出血が増えたり、時間が長くなったりするなど、手術の質が低下することが多い」と答えた外科医が19%に上りました。
さらに「疲労から医療事故を起こしたり、一歩間違うと医療事故につながるおそれを感じたりした経験がある」と答えた外科医が4%いました。
改善策としては70%以上の外科医が「当直明けは休みにするルールをつくるべきだ」と回答しました。
調査を行った日本外科学会の理事で九州大学病院の富永隆治教授は「当直明けの手術をやめると外科医不足のため手術ができなくなるのが実態だ。外科は負担の重さやリスクの高さから新たななり手が減る悪循環に陥っていて、労働環境を改善するなどの対策を考える必要がある」と話しています。

背景に急速な医師不足

厚生労働省によりますと、国内で外科に従事する医師の数は、平成18年には2万6470人で、この10年前より2400人減りました。
特に当直勤務や手術の中核を担う50歳未満の世代が2000人以上減り急速な医師不足に直面しています。
勤務時間の負担の重さや医療安全のリスクの高さから新たに外科医になる人が減り、それがさらに勤務の負担を増加させる悪循環に陥っているということです。
これに対して、手術の件数は高齢化に伴って増え続けていて、全身麻酔を伴う手術の件数は、平成23年度には1か月平均で20万4000件余りとこの15年前の1.6倍になっています。
厚生労働省は手術に対する診療報酬を増やすなどして、外科の医師数の増加を促していますが、勤務環境を十分改善させるには到っていません。


現場の病院の対応は

年間1000件以上の手術を行っている大阪市にある総合病院でも当直明けの手術をどう安全に行うか課題になってきました。
この病院では当直の勤務時間は午後5時から翌朝9時までです。
しかし、実際は当直する日の午前9時から診療活動を行っていて、当直明けのあとも勤務が続く日もあります。
病院が外科医に聞いたところ、集中力や根気がなくなり細かい手術操作が確実にできなかったとか、判断が鈍って時間が長引き患者に負担を掛けたといった声が上がりました。
このためこの病院では、2年前に新たな対策を取りました。
外科では患者の主治医は1人のため、当直明けでも主治医が手術をしなければなりませんでした。
そこで同じ程度の技術や経験のある外科医2人がコンビを組んで互いの患者も担当する「バディ制度」を導入しました。
当直明けは、原則、自分が担当する患者の情報と緊急呼び出し用のPHSをコンビを組む医師に引き継ぐことで、手術をしなくても済むようにしました。
また、当直中に搬送された救急患者の手術についても見直しました。
これまでは緊急性がなければ、体制が十分に整う当直明けまで待って手術を行っていましたが、外科医やスタッフに手当てを支払って当直中に手術を行うようにしました。
こうした対策を取ることで、いまでは特殊なケースを除いて当直明けで手術をすることはなくなったということです。

多根総合病院の丹羽英記院長は「人の命を預かっているので、患者からすると万全な体調でやってほしいというのは当然だ。きちんとリフレッシュしないと医師も体力がもたないが、医師が足りないので仕方ないというのが実態だ。職場環境を改善することで外科医も増えてきて、それが医療安全にもつながっておりよい循環になっている」と話しています。」


医師不足を否定し増員に反対する人もいますが,現実に医師不足で医師が過酷な労働環境におかれ,そのために医療の安全が脅かされていることは明らかです.
当直明けは休みにすべきで,医師を増員すべきと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-27 01:08 | 医療事故・医療裁判