弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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甲府病院の放射性物質を含む検査薬過剰投与問題で「被害者の会」が要望書提出へ(報道)

毎日新聞「甲府病院の放射性医薬過剰投与:「過剰投与被曝被害者の会」 再発防止など要求へ」(2013年6月6日)は,次のとおり報じました.

 「甲府市立甲府病院(同市増坪町)が放射性物質を含む検査薬を子供84人に過剰投与した問題で、家族らで作る「過剰投与内部被曝(ひばく)被害者の会」が、健康被害が生じた場合の補償などを求める要求書を近く市側に提出する。

 同会によると、要求書は、市側の謝罪▽原因究明と再発防止策の徹底▽健康被害への補償▽市側との定期協議の場の設立−−など6項目。宮島雅展市長との面談も求める。同会の浜野泰嘉弁護士は「家族は子供の健康面を最も不安に感じている。家族らがより前を向けるきっかけになれば」と話した。

 過剰投与問題は2011年9月に発覚。当時の技師長補佐(昨年に自殺)が1999〜2011年、日本核医学会などの推奨基準の2〜40倍にあたる放射性物質のテクネチウムを含む検査薬を子供らに投与したとされる。先月には原因究明にあたる第三者委員会の初会合が行われた。【屋代尚則】」


事件発生からだいぶ時間がかかっていますので,市側は解決への道筋を示すべきでしょう.


【追記】

山梨放送「被害者の家族会が要望書を提出」(2013年6月24日)は,次のとおり報じました.

「市立甲府病院で起きた放射性検査薬の過剰投与問題で、被害者の家族会が補償などについてまとめた要望書を甲府市に提出した。
24日は家族でつくる被害者の会の代表や弁護士が市役所を訪ね、宮島市長に要望書を手渡した。要望書は6項目に分かれ市に法的な責任を認める謝罪を求めている。補償問題については過剰投与が原因とみられる病気にかかった場合の治療費の負担など長期的な補償を実現するための基金創設を要望している。
宮島市長は「内容を精査する」と話したという。
被害者家族の会は事務レベルでの協議を続けて内容を整理した上で市と合意書を取り交わしたい考え。会のメンバーは「市には改めて問題の重要性を認識してもらい真摯に対応してもらいたい」と話している。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-06-07 04:45 | 医療事故・医療裁判

日弁連,国連拷問禁止委員会の総括所見に関する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2013年6月4日,「国連拷問禁止委員会の総括所見に関する会長声明」を発表しました

「国連の拷問禁止委員会は、拷問等禁止条約の実施状況に関する第2回日本政府報告について2013年5月21日、22日に審査をし、同月31日に総括所見を発表した。我が国は、同条約の批准国として、勧告された内容につき改善に向けて努力する義務を負う。今回の総括所見では、前回審査における勧告の多くを繰り返すのみならず、前回を上回る厳しい勧告がなされた。特に重視すべき内容は、以下の7点である。

1 代用監獄制度については、(a)捜査と拘禁の機能の分離を実質的に確保するための立法その他の措置をとること、(b)警察留置場拘禁期間に上限を設けること、(c)全被疑者に取調べの全期間を通じた弁護人との秘密のアクセス、逮捕時点からの法律扶助、事件に関する全記録へのアクセス、独立した医療を受ける等の権利の保障を勧告し、さらに、代用監獄制度廃止の検討を求めた(10項)。

2 取調べと自白について、日本の刑事司法制度が実務上、自白に強く依存していること等に深刻な懸念を表明し、(a)取調べ時間の制限及び違反に対する制裁規定を設けること、(b)自白中心主義の実務をやめること、(c)取調べの全過程の電子的記録と同記録の法廷での利用等を求めた(11項)。審査では、同委員会委員から「日本は自白に頼りすぎではないか。これは『中世』の名残である。」という批判さえ受けた。

3 難民認定制度と入管収容施設については、(a)収容・送還に関する法令及び実務を条約第3条(拷問の行われる恐れのある国への送還禁止)に適合させる努力、(b)難民申請者の収容は、最後の手段として必要最小限のみ用いること及び収容期間に上限を設けること、(c)収容代替措置をより活用すること、(d)入国者収容所等視察委員会の独立性・権限・効果の強化等を勧告した(9項)。

4 刑事施設及び留置施設の被収容者からの不服申立については、専門の独立かつ効果的な機関の設置を考慮するよう求め、虐待等の訴えについて迅速・公平かつ安心な調査に加え、重大事案における公務員の訴追と処罰を的確にすること等を勧告した(12項)。

5 拘禁処遇については、拘禁代替措置の活用等による刑事施設の過剰収容緩和や心身疾患に適切な医療を提供することを勧告しているほか、第二種手錠の使用に対する厳格な監視に加え、拘束具の廃止の検討を求めた。さらに、受刑者の独居(単独室)処遇は、他に手段がない場合に厳しい監督の下で最小限の期間、司法審査が可能な状況でのみ許容されるべく、明確な要件を確立すること、同処遇期間中の専門医による監視制度の構築、医療記録の開示等を勧告した(13、14項)

6 死刑制度と死刑確定者の処遇については、(a)死刑確定者及びその家族へ死刑執行日時の事前告知、(b)単独室収容の原則を改めること、(c)死刑確定者が全手続段階で弁護人による効果的な援助をうけること及び弁護人との面会の秘密性確保、(d)恩赦、減刑、執行の猶予が実際に利用可能とされること、(e)死刑事件の義務的上訴制度導入、(f)独立した審査により、精神疾患者に死刑が執行されないようにすること等を勧告した。さらに、死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告した(15項)。

7 その他、戦時性奴隷制(いわゆる日本軍「慰安婦」)について、政府関係者その他の公的立場にある人物による被害事実を否定する動きに反駁することや、史実の教育を含め、被害者を中心に据えた解決策を見出すための法律上及び行政上の措置を取るよう求めた。また、いまだに国内人権機関が設置されていない状況に対して、パリ原則に合致した国内人権機関の早期設置を求めた(16項)。

当連合会は、同委員会による指摘を日本政府が重く受け止め、誠意を持ってその解決に向け努力することを強く求めると同時に、勧告の実現に向け政府との対話を継続し、これらの課題の解決のために努力する所存であることを表明するものである。」


拷問等禁止条約(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約)の批准国における実効的実施状況を監視する目的のもと,同条約に基づき設置されたのが,拷問禁止委員会です.
同条約は,締約国に対し,条約加入後1年以内および以後4年ごとに,条約遵守のためにとった措置について国連の拷問禁止条約委員会に定期的に報告書を提出する義務を課しています。この政府報告書は,公開され,委員会によって検討され,検討の結果が発表されます.

拷問禁止委員会の見解は,いわゆる従軍慰安婦の問題に注目する報道がなされましたが,刑事司法手続きについても重要な指摘がなされています.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-05 23:39 | 弁護士会

東大病院HPを2013年5月30日20時~5月31日2時30分に閲覧したパソコンにウイルス感染の恐れ

CBニュース 「東大病院HP閲覧者にウイルス感染の恐れ-対象者に駆除呼び掛け」(2013年6月5日)は,次のとおり報じました.

「東大病院は4日、不正なデータが同病院のホームページに埋め込まれ、アクセスした閲覧者がコンピューターウイルスに感染した恐れがあると発表した。東大は厚生労働省が基盤整備を進めている「医療情報データベース」に参加している10機関のうちの一つ。昨年10月には、同大のサーバーが不正アクセスを受け、約1300人分の氏名などの個人情報の流出事案が発生したばかり。今後、セキュリティー対策の抜本的な見直しを迫られそうだ。

 東大病院によると、5月31日午前1時ごろ、ホームページのトップページに、他の悪質なホームページに誘導する不正なデータが埋め込まれていることが分かり、約1時間半後、不正なデータを含むページを削除して正常な状態に戻した。ホームページのコンテンツを管理している企業のパソコンが、コンピューターウイルスに感染したのが原因とみられるという。

 同病院は、不正なデータを削除するまでの間、トップページを閲覧した人が、他のホームページに自動的に誘導され、使用したパソコンがコンピューターウイルスなどに感染した可能性があると指摘。該当するパソコンと、そのパソコンとネットワークで接続されたすべてのパソコンでウイルススキャンを行い、感染が判明した場合は駆除することを勧めている。

 不正なデータが埋め込まれたサイトは、患者の個人情報を管理している情報システムから独立しているため、個人情報の流出はないという。同病院は、「このようなお願いをすることになり、大変申し訳なくお詫びします。今後は、管理体制の強化とともに、当院のホームページ管理方法についても再検討し、再発の防止に努めていく」としている。【新井哉】」


なぜ,発表が4日後だったのでしょうか.
東大病院は,「今後は、当該企業に管理体制の強化を要請するとともに、当院のホームページ管理方法についても再検討し、再発の防止に努めてまいります。」とのことですが,管理を委託する企業を他社に代えることを検討しないのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-05 23:05 | コンプライアンス

2012年度無煙映画大賞

日本禁煙学会が選んだ「2012年度無煙映画大賞」は次のとおりでした.

無煙映画大賞作品賞   「しあわせのパン」 監督=三島有紀子さん  
無煙映画大賞主演女優賞 綾瀬はるかさん  主演作品「ひみつのアッコちゃん」「ホタルノヒカリ」              
無煙映画大賞主演男優賞 松坂桃李さん  主演作品「ツナグ」「今日、恋をはじめます」
無煙映画大賞監督賞   斉藤玲子さん  「よだかのほし」
無煙映画大賞特別賞   「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」 
                「よみがえりのレシピ
                「スケッチ オブ ミャーク
無煙映画大賞特別アニメ賞 「アニメ・ジュノー

汚れた灰皿賞(モクモク賞)は,「ALWAYS 三丁目の夕日 64」(山崎貴監督),「苦役列車」(山下敦弘監督),「アフロ田中」(松井大悟監督),「愛と誠」(三池崇史監督),「鍵泥棒のメソッド」(内田けんじ監督)の各製作者でした.


谷直樹

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by medical-law | 2013-06-05 03:48 | タバコ

「池永満先生を偲ぶ会」in福岡

b0206085_21104477.jpg昨日(2013年6月2日),福岡に行き,「池永満先生を偲ぶ会」に出席しました.

広い会場に多くの人が集まり,みなさん,いろいろ言いながらも,池永満先生のことが大好きなことが分かりました.厚い追悼記念誌には,それぞれの思い出いっぱいが詰まっています.発言の機会を与えられた人は,時間をオーバーしても熱く語っていました.
スライド上映も,唄もあり,満マニアクイズもありの,盛りだくさんの会でした.
東京からも何人も来ていました.

池永満先生の『新・患者の権利』(九州大学出版会,2013年7月3日発行)がもれなく出席者に配布されました.
ホテルで夜を徹して『新・患者の権利』を読みました.
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谷直樹

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by medical-law | 2013-06-03 21:09 | オンブズマン

北九州市立医療センターのミダゾラム投与事故,和解(報道)

毎日新聞「北九州市立医療センターの医療事故:示談で遺族に3659万円支払いへ」(2013年5月31日)は,次のとおり報じました.

小倉北区の市立医療センターで2011年8月、入院中の男性(当時73歳)に副作用のある鎮静剤を投与した際、全身まひなど障害が起き、男性がその後死亡した医療事故で、市が遺族に3659万円を支払うことで示談がまとまった。

 市や遺族によると、男性は同年8月18日にセンターで前立腺がん手術を受けた後、「せん妄」と呼ばれる意識障害が起きた。制止を振り払ってベッドから起き上がろうとしたため、看護師が21日未明、医師の事前の指示に従って鎮静剤「ミダゾラム」を投与した。

 ミダゾラムは呼吸を抑える副作用がある。男性は呼吸が低下する「呼吸抑制」状態となり、脳に十分な酸素がいかず低酸素脳症になった。12年1月に心不全で死亡した。

 センターは、ミダゾラム投与の際の安全管理態勢に不備があったと過失を認め、遺族と示談を進めていた。男性の長男(49)は「父は帰ってこない。同じミスを繰り返さないでほしい」と話している。市病院局は「31日に発表する。今は何とも言えない」と話している。【宍戸護、降旗英峰】」


ミダゾラムの添付文書には,「重要な基本的注意」に留意し、呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる施設においてのみ用いること。[呼吸抑制及び呼吸停止を引き起こすことがあり、速やかな処置が行われないために死亡又は低酸素脳症に至った症例が報告されている。]」と警告が記載されています.

そもそも,ミダゾラムの適応は,麻酔前投薬,全身麻酔の導入及び維持,集中治療における人工呼吸中の鎮静ですので,術後せん妄に対する投与は適応外使用となります.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-01 23:24 | 医療事故・医療裁判