弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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シャーガス病感染の危険のある血液製剤11本が8医療機関で投与された可能性あり

日刊スポーツ「国内初、献血でシャーガス病陽性を確認」(2013年8月14日)は、次のとおり報じました.


「厚生労働省と日赤は14日、中南米出身の40代の男性が6月に献血した血液の検査で、中南米の感染症「シャーガス病」の抗体陽性を国内で初めて確認したと発表した。

 男性はこれまで、2006年ごろから日赤がシャーガス病対策を始めた昨年10月までの間に少なくとも9回献血し、日赤が保存している男性の血液を調べたところいずれも抗体陽性だった。

 6月の献血は血液製剤メーカーや医療機関への出荷を差し止めたが、過去の献血を基につくられた血液製剤11本が8医療機関で10人程度の患者に投与された可能性があることが判明。厚労省と日赤は患者の特定や感染の有無の調査を進めている。

 シャーガス病は、中南米に生息するカメムシの仲間「サシガメ」が人の血を吸う際、原虫が人体に入り込んで発症する。10~20年は症状がないまま推移するが、心臓が徐々に肥大し、心臓破裂で死亡することもある。国内にサシガメは生息していないが、母子感染や輸血、臓器移植による感染の可能性がある。

 抗体陽性と確認された男性は現在、連絡が取れない状態という。厚労省と日赤は国籍を明らかにしていない。

 日赤は昨年10月以降、献血時の問診で中南米諸国出身か、4週間以上の滞在歴があるかを尋ねている。該当者のうち同意が得られた人を対象に今年1~7月に抗体検査を実施し、結果が判明した2255人中、陽性はこの男性だけだった。(共同)」



日本赤十字社のサイトの「シャーガス病に係る安全対策について」は、次のとおりです.

「シャーガス病は、中南米地域に流行地をもつサシガメ(昆虫)が原虫トリパノソーマ・クルージを媒介することにより感染する病気です。
 日本においては、中南米地域から来られた方々が約30万人に及ぶと言われており、その中にシャーガス病のキャリア(感染者)がいることが研究者から指摘されておりました。
 現在、日本の献血では、シャーガス病の有無を確認する検査を実施しておりませんので、輸血による感染を防ぐことを目的とした予防的な措置を講じるため、以下(1)~(3)の質問に該当された方の献血血液は、血漿分画製剤の原料血漿のみに使用させていただくことといたしました。 


 なお、この安全対策により、献血の受入れが制限されることはありません。みなさまからのご協力をお待ちしております。

 中南米地域に滞在されたことのある方には、お手数をおかけして誠に申し訳ございませんが、ご理解とご協力の程、宜しくお願い申し上げます。

<中南米地域※滞在歴に関する質問>
(1)中南米諸国で生まれた、又は育った。
(2)母親が、中南米諸国で生まれた、又は育った。
(3)上記(1)に該当しない人で、中南米諸国に通算4週間以上滞在した。」



つまり、検査ではなく、上記3つの質問でリスクの高い人の献血を選び出しています.
今回、検査してみたら、1名感染していたわけです.

血液製剤は、現在の最高水準の科学技術をもってしても、原料である血液に由来する感染症等の副作用の発生を完全には排除できないものであるにしても、技術の進歩や社会情勢の変化に即応した安全性確保のための不断の対策が必要です.
この人は過去の献血時点では感染していなかった可能性もありますが、もし感染していて血液製剤を介して感染被害が生じていたら、平成24年10月前は何ら対策が採られていなかったことについて国の責任が問われる可能性がありまります.


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-15 01:39 | 医療

JT受動喫煙被害訴訟結審,担当裁判長は三たび宮坂昌利判事

安井幸一氏が本人訴訟ではじめた「JT受動喫煙被害訴訟」は,2013年8月13日,結審しました.
訴訟途中から代理人が就き,弁護団(弁護団長岡本光樹弁護士)ができ,傍聴席を埋め尽くす応援団もできました.
JTは,いつものとおり永遠の不可知論を主張しましたが,タバコの有害性,依存性はJTにはわかっていたことです.
原告の主張立証は十分できています.

長い裁判の間に単独から合議になり,裁判長は宮坂昌利判事に替わりました.
宮坂昌利判事といえば,第1次タバコ訴訟の上告審(最高裁)の担当調査官で,第2次タバコ訴訟の第一審(横浜地裁)の右陪席でした.
そして,今回,JT受動喫煙被害訴訟も,裁判長宮坂昌利判事の合議体で審理され,結審しました.
日本のタバコ訴訟は,裁判官の異動により,ことごとく同じ裁判官の担当になったわけです.

判決は,平成26年1月14日午後1時10分,712法廷です.
3度目の正直となることを願います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-14 04:17 | タバコ

WHO,夏の暑さから健康を守るために

WHOのサイトの「夏の暑さから健康を守るために」は、「熱ストレスとその対策は、今後数十年のグローバル、国、地域レベルにおける健康課題や優先事項になると考えられます。」と述べています.

気温が閾値を超えて1度上がるごとに、死亡率は2~5パーセント増加します.
2003年夏にヨーロッパを襲った熱波による増加死亡者数は7万人以上でした.
都市部では周辺の郊外部に比べて5度以上気温が高くなります。

◆ 兵庫県における熱中症を予防するための包括的な公衆衛生システムの構築 

2013年5月、WHO神戸センターでは、テクニカルレポート「異常高温から人々を保護し、人体への悪影響を最小限に抑制:兵庫県のヒート・ヘルス行動枠組みの作成に向けて(仮訳)」(“Protecting the public and minimizing health effects from heat: towards the development of a Heat-Health Action Framework for the Prefecture of Hyogo, Japan” (WHO, 2013)) を発表しました。

一言でいえば、「気候と健康、保健医療関連サービスとの間の様々なレベルでの緊密な協力体制を敷き、新たな環境・健康面における課題に対応する必要がある」とのことです.

◆ 個人レベルでの対策

個人レベルにおいては、夏場の暑さに対処するにあたっては、以下の事柄に留意することが大切です。

1.暑さへの対応力を養い、暑さに備えた生活態度を心がける。
日中、なるべく日差しに直接当たらないようにする
水を多めにかつ定期的に飲む
服装に配慮して、軽く、袖の短いゆったりとした綿素材のものを身につける(「クールビズ」を実践)
屋外では、日焼け対策を万全に
果物や野菜を食べ、こってりした食事やアルコールは避ける。コーヒーの飲み過ぎにも注意
喫煙は慎む
熱中症の兆候を知っておく、また、発症時の応急手当ができるようにしておく

2.周辺環境への目配りを
家や職場など屋内で過ごす際には、できるだけ屋外の気温に近く、28℃を目処にエアコン温度を設定。扇風機を活用する。
日中の暑い時間帯、直射日光を受ける窓には遮光を施す
発熱を伴う不必要な電化製品等(白熱灯など)の電源は切る
地域のニュース番組や保健当局から発信される注意報など、情報収集は怠りなく

留意点:
乳幼児、高齢者、ホームレスなどの生活困窮者、また、病弱であったり障害があるなど、より影響を受けやすい人々にとって、暑さのもとに身を置くことは、健康を損なうのみならず、生命の危険も招きかねません。事実、炎天下での激しい運動などりより、誰しもが暑さのために増幅した健康リスクにさらされるのです。」

高齢者、心臓や肺に疾患のある人、暑さを感じる機能が弱っている人は、最も危険と思います.
また、この暑さは、健康な人にとっても危険です.

なお、個人的には、この時期開催される高校野球も含め炎天下のスポーツはやめたほうがよいと思います.
日本体育協会は、気温35度以上、湿度や風速などを考慮したWBGTが31度以上で運動は原則中止としていますが(この指針は緩いように思います)、高野連はこの指針を守っていません.
私が北海道生まれだからなのかもしれませんが.この炎天下に兵庫県西宮市の甲子園球場で高校生に野球を行わせるのは非常識でしょう.この時期に行うのであれば、札幌の円山球場、麻生球場などで行うようにしたほうがよいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-13 02:24 | 日常

日弁連,「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に関する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2013年8月9日,「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に関する会長声明を発表しました.

「本年5月29日、厚生労働省内の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」は、「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」(以下「本とりまとめ」という。)を公表した。これを受けて、厚生労働省は、今秋の臨時国会において必要な法改正を目指すと報じられている。

医療事故が発生したとき、その原因を調査分析して再発防止に生かすことは、患者の安全な医療を受ける権利の実現のために欠かすことのできない取組である。そのため、当連合会は、2007年3月16日付け「『医療事故無過失補償制度』の創設と基本的な枠組みに関する意見書」及び2008年10月3日付け「安全で質の高い医療を受ける権利の実現に関する宣言」など、かねてより、国に対して、医療事故調査制度を整備することを繰り返し求めてきた。今般、本とりまとめによって、医療事故調査制度の実現に向けた具体的な作業が開始されることは、まずは評価することができる。ただ、本とりまとめには、なお検討すべき問題点がある。その骨子は、次の3点である。

第一に、調査の対象となる医療事故及び第三者機関への届出の範囲は、より広く設定すべきである。本とりまとめは、行った医療又は管理に起因した死亡(そのような死亡が疑われるものを含む。)で事案の発生を予期しなかったものを対象とするが、本来、再発防止のためには、広く医療事故事例を集積して調査分析することが求められる。当面、診療関連死から開始するとしても、本とりまとめのように調査対象を限定するべきではないし、不作為による事故事例も対象とすることを確認すべきである。なお、死亡事例以外は、段階的に拡大していくとしているが、早急に拡大すべきである。また、医療機関は事故発生後直ちに届出を行うよう明示すべきである。さらに、第三者機関に対する事故の届出については、遺族からの届出を受理する仕組みも必要である。

第二に、院内事故調査委員会について、中立性・透明性・公正性・専門性を担保する具体的な仕組みが必須である。本とりまとめは、外部の専門家の支援を受けることができるという記載にとどまるが、具体的には、外部委員を過半数とする、弁護士等医療者以外の外部委員を加える、委員長は外部委員とするなどの原則的な委員構成を明確に定める必要がある。また、支援法人・組織にも、中立性・透明性・公正性・専門性を担保する制度が必要である。

第三に、第三者機関の業務を効果的にするためには、事故調査等情報の収集、院内事故調査に対する指導・監督・検証、独自の事故調査、再発防止勧告、医療安全の啓蒙普及などに関する権限を認め、これを法律で明確に定めなければならない。本とりまとめは、独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する民間組織としての第三者機関を設置するとしている。この点、院内事故調査に任せるのではなく、第三者機関がかかる実質的な機能を果たすことが、市民が信頼するに足る事故調査制度であるためにも必須である。そのためには、これが全国一つの組織ではなく地域単位で支所を設置するなど、必要な役割を果たし得る組織として設置される必要がある。また、第三者機関の維持・運営のために、十分な予算措置を講じること及び事故調査に必要な解剖実施体制の整備が必要である。

医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上は、全ての市民の命と健康、ひいては人生に直結する。国にはこれを保持する責務がある。医療事故調査制度はこの医療の安全と質の向上を実現するために必須の制度であり、この医療事故調査制度を担う要は、独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する第三者機関である。本声明が指摘する問題点を解決し、我が国において、かかる第三者機関が設置され、真に実効性のある医療事故調査制度が創設されることを強く望むものである。」


医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上は,医事事件にかかわる弁護士であれば,医療側を代理する弁護士も患者側を代理する弁護士も,誰もが強く願っていることと思います.そのためには,院内調査のみならず,医療事故調査を行う中立的第三者機関の充実が必要です.調査は,医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上という公の利益のためですから,遺族に費用負担をさせるべきではないでしょう.

医療側を代理する弁護士も患者側を代理する弁護士も所属する日弁連が,会長声明という形で,①調査対象を診療関連死から早急に拡大することが必要,②院内事故調査委員会について外部委員(弁護士等医療者以外の外部委員を加える)を過半数とする,③独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する第三者機関を地域単位設置する,等の意見を発表したことは,今後の議論にための一石となると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-11 20:39 | 弁護士会

4大法律事務所は9時ー5時(もちろんAM)勤務が当然

金融ジャーナリスト伊藤歩氏の記事「2年目で肩叩き?エリート弁護士の出世競争 4大事務所は9時ー5時(もちろんAM)勤務が当然」が東洋経済に載っています.

「総じて法曹を目指す人のマインドは、世間が思うよりもはるかに純粋だ。社会正義を実現したい、グローバルカンパニーを法的な側面で支援をすることを通じ、日本経済の発展に貢献したい、といった高邁な目的があればこそ、難関試験にも挑める。

司法修習を経て、徐々に現実の弁護士業務への理解が進んでも、なお、新人弁護士が抱く理想は高邁だ。それでも現実に初任給という形で自分の価値に値段がつく段階になると、やはり高い値段をつけてくれる事務所に素直に心が動く。ブル弁事務所へのあこがれは、スケールの大きい仕事ができるということへのあこがれが第一ではあるが、自分に高い値段がつくことへの誇りが相まったものといったところだろう。」

「一般に4大事務所のオンタイムは「9時-5時」と言われる。これは午前9時から午後5時を指しているのではない。午前9時から午前5時のことを言うのである。もちろん象徴的な意味での言い回しではあるのだが、職場のすぐ近くに住居を構え、午前9時から翌朝5時まで働き、短時間の仮眠後、午前9時には業務を開始できる。そのくらいの覚悟がなければ入所すべきではないという、覚悟を促す言い回しなのである。」

「9時-5時生活を覚悟しなければならないのは4大事務所プラス一部の大事務所くらいだ。マチ弁でもブル弁でも、総じて土日も働いている弁護士は多いが、平日に毎日3~4時間睡眠などという生活をしている弁護士は、決して多数派ではない。」

「肩たたきは入所2~3年目が最初のターニングポイントだ。よほどひどければ入所1年目で追い出されるが、大体は2~3年目。」

「この時期に大事務所を辞めるとかなり悲惨だ。大事務所は大企業相手の法務であり、しかも分業が徹底しているので、ごく限られたことしか経験していない。」

「1年程度で大事務所を離れ、中規模の有力事務所への移籍を選択する有能な若手弁護士は増加傾向にある。」


記事は、けっこうあたっているように思います.4大法律事務所に残っている弁護士は、感心するくらい寝ないで平気です.どうすれば、寝ないでさくさく仕事ができる特別な能力を身につけることができるのでしょうか.

なお、4大法律事務所とは、400人台の西村あさひ法律事務所、300人台の長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所をいいます. 5大法律事務所というときは、200人台のTMI総合法律事務所が加わります.4大の人数は減少傾向にありますが、TMIは増加傾向が続き、4大との差を縮めています.6位のシティユーワ法律事務所は100人台ですから、4大は突出して大人数です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-11 00:45 | 司法

元京都弁護士会長彦惣弘弁護士刺傷事件を受け、京都弁護士会対策強化へ

毎日新聞「京都の弁護士刺傷:「社会正義、使命貫く」 京都弁護士会長、事件受け」(2013年08月10日)は、次のとおり報じました.

「京都市上京区の路上で8日、彦惣(ひこそう)弘弁護士(66)が男にアイスピックで刺された傷害事件で、京都弁護士会の藤井正大会長が9日、京都市中京区で記者会見した。「いかなる理由があっても暴力を正当化できない」との見解を表明し、弁護士の安全確保のため京都弁護士会として対策を強化する方針を示した。今後、日弁連も抗議声明を出す予定。

 事件は8日午後6時半ごろ、上京区駒之町の路上で発生。男(60)がアイスピックで彦惣弁護士の脇腹などを刺し、上京署は男を傷害容疑で現行犯逮捕した。同署によると、弁護士業務に関連して男と彦惣弁護士との間にトラブルがあったという。

 藤井会長は、弁護士業務について「一部の当事者から反感や恨みを持たれる可能性が常にある」とした上で、「弁護士の使命である社会正義を実現するため、暴力に屈してはいけない」と強調した。彦惣弁護士は1975年に弁護士登録し2004年度には京都弁護士会長を務めた。【松井豊】」


京都新聞「元京都弁護士会長刺される 上京の路上、容疑男逮捕」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

(被疑者は)「調べに対し「刺したのは間違いない。弁護人が来ないと話せない」と供述しているという。

 上京署の説明では、凶器は長さ23センチのアイスピックのような刃物で、腹を2カ所刺したとみられる。同署は、彦惣弁護士との間でトラブルがなかったか調べている。

 近くに住む女性(64)は「騒ぎを聞いて駆けつけると、男が『相手が謝らないからこんなことになる』としゃべっていた」と話した。



 この被疑者も、自分の弁護人となる弁護士は信頼しているようです.
 京都弁護士会は,具体的にどのような対策をとるのでしょうか.

【ご参考】

京都弁護士会「会員が襲われた件について(会長談話)」(2013年8月9日)

昨日当会会員の彦惣弘弁護士が男に襲われ負傷するという痛ましい事件が発生しました。
暴力はそれ自体人間の尊厳を踏みにじる許しがたい行為であり、いかなる理由があろうとも正当化できるものではありません。

弁護士は、その職業柄、他人間の紛争の渦中に身を置かねばなりません。
その中にあって弁護士の使命を果たそうとすれば、常に毅然とした対応をしていかなければなりません。そのため、ともそれば、一部の当事者や関係者から反感をかったり、逆恨みや業務妨害を受けるおそれは常にあるといわざるをえません。しかしながら、弁護士としての使命を貫くためにはそれらに屈することはできません。弁護士は、司法の一翼を担う重大な役割を国民から負託を受け、弁護士法により基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を帯びているからです。そのために、弁護士自治が確立し、それぞれ独立した立場にあります。しかしながら、その重大な使命を背負う生身の身体は、誰かが守ってくれる訳ではありません。その立場上、一人ひとりが自らの責任でセキュリティをはかっていくほかありません。それがゆえに、今回の事件には、京都弁護士会としても激しい憤りとともに深い悲しみを禁じえません。

今後、かようなことが起きないように、会全体としても、弁護士のセキュリティ問題に対して、取り組みを一層強化していきたいと考えております。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 23:37 | 弁護士会

横浜市立大学附属病院と横浜市立大学附属市民総合センターで医療事故(2件)

東京新聞「横浜市立大 医療ミス2件公表 手術とカテーテル」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

「横浜市立大学は八日、付属病院(同市金沢区)と付属市民総合医療センター(同市南区)で計二件の医療ミスがあったと発表した。

 付属病院では昨年五月、三十代の女性が椎間板ヘルニアの手術を受ける際、手術する位置を示すために刺した針が、実際より上の背骨に刺さっていることがエックス線撮影で判明。医師が指で骨をたどって手術したが、約一週間後、実際より下の背骨を手術していたことが分かった。女性は手術を受け直し、予定より三週間長い五週間で退院した。

 付属市民総合医療センターでは昨年十二月、県内の病院から転院した二十代女性が静脈カテーテルの栓を女性看護師に外された際、意識を失ってベッドに倒れた。血液に空気が混入し、脳の機能が落ちていることが分かったが、五カ月後に正常に戻った。看護師は、カテーテルに同センターで用いている弁が付いていないことに気付いていなかった。

 付属病院は、四月に栄養チューブの詰まりを除去するため高濃度の酢酸液を投与し、五十代の女性が死亡した事故の調査報告書も発表。科学的根拠が明確でない酢酸水を使う行為が「確認や検討がなされないまま患者に使用される慣行があった」とし、看護マニュアルの見直しなどを行ったことを明らかにした。 (橋本誠)」


2件とも基本的なミスといえるでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 01:31 | 医療事故・医療裁判

第1回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会

「第1回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」が,2013年年8月9日18:00~20:30,厚生労働省講堂で開かれました.

◆ 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会論点(案)は,以下のとおりです.

「論点1:今回の事案を踏まえ、臨床研究の信頼性及び質の確保することが必要であるが、具体的にどのような方策を取り得るのか。また、その場合、どのような課題が考えられるか。

論点2:臨床研究の信頼性確保のためには、大学等研究機関と製薬企業との間の透明性を確保することが必要であるが、具体的にどのような方策を取り得るのか。

論点3:ノバルティス社が一連の誤ったデータに基づきディオバンに関する広告等の販売促進活動を行ったこと及びそれにより得た売上金額についてどのように考えるべきか。

論点4:論点1~3を踏まえ、我が国の臨床研究に対する信頼回復に向けた取組みとして、大学等研究機関、製薬企業、学界、行政等はどのようなことを行うべきか。

※上記論点1~4の検討に当たっては、今回の事案は約10年前に実施されたものであり、当時と現在の臨床研究を取り巻く環境の変化があることについて考慮する
ことも必要ではないか。

※現在、臨床研究については、被験者保護の観点から「臨床研究に関する倫理指針」等において、関係者が遵守すべき事項を厚生労働大臣告示として定めている。」


◆ 委員は下記のとおりです.

稲垣治氏 (日本製薬工業協会医品評価委員会委員長)
桑島巌氏 (特定非営利活動法人臨床研究適正評価教育機構理事長)
曽根三郎氏 (日本医学会利益相反委員会委員長 委員長)
竹内正弘氏(北里大学薬部 北里大学薬部 臨床医学(統計・薬開発)教授)
田島優子氏 (さわやか法律事務所弁護士)
田代志門氏 (昭和大学研究推進室講師)
花井十伍氏 (全国薬害被者団体連絡協議会代表世話人)
藤原康弘氏(独)国立がん研究センター企画戦略局長)
宮田満氏 (日経BP 社特命編集委員)
森下典子氏 ((独)国立病院機構大阪医療センター臨床研究推進室室長)
森嶌昭夫氏 (名古屋大学誉教授)
山本正幸氏 (公益財団法人かずさ 公益財団法人かずさDNA研究所 所長)

日本経済新聞「製薬会社、5大学に11億円寄付 治療薬データ操作」 (2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

「スイス製薬大手の日本法人、ノバルティスファーマ(東京)の高血圧症治療薬の臨床研究データに人為的な操作があった問題で、真相解明や再発防止策を議論する厚生労働省の検討委員会の初会合が9日、開かれた。ノ社の元社員(5月に退職)が参加し、薬の効果を調べる臨床研究をした5大学の研究室に、同社が計11億3290万円を寄付していたことが明らかになった。

 検討委は研究者や弁護士ら12人で構成。今後、元社員らから事情聴取を進め、9月末をめどにいったん結論をまとめる。臨床研究開始から10年以上が経過しており、大学側とノ社の調査が食い違う中で真相に迫れるかが今後の焦点だ。

 問題の治療薬はディオバン(一般名バルサルタン)。

 この日の会合で、京都府立医大と東京慈恵医大はデータ操作があったとする調査結果を報告したのに対し、ノ社は元社員による意図的な操作を示す証拠は見つからなかったと改めて説明した。元社員はデータ操作を否定している。

 滋賀医大は、元社員の他に、部下の同社員(当時)1人も研究に関わっていたと明らかにした。

 一方、ノ社は2002~12年、5大学の主任研究者の研究室に提供した奨学寄付金を公表。京都府立医大3億8170万円、慈恵医大1億8770万円、名古屋大2億5200万円、千葉大2億4600万円、滋賀医大6550万円だった。」



MSN産経「賠償責任「薬害と別物」 刑事責任“虚偽”適用困難」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

「ディオバン販売元のノバルティスファーマは、降圧効果に加え脳卒中や狭心症の予防などにも有効とした論文を宣伝に使用し、年間1千億円超を売り上げていた。先月29日の会見で患者らへの賠償責任を問われた二之宮義泰社長は「患者の役に立つ薬剤だと思っている」と述べ、それ以上の言及を避けたが、実際に患者らが民事訴訟を起こしたり、関係者の刑事責任を問うことは可能なのだろうか。

 「重篤な副作用被害が生じたこれまでの薬害問題とは性質が異なる」と指摘するのは、薬害エイズなど多くの医療訴訟を手がけてきた医療問題弁護団代表の鈴木利広弁護士だ。個々の患者が購入費用上の損害のみを対象に訴訟を起こすのは訴訟費用と見合わず、健康保険組合も、組合員の強い要請がない限り訴訟は現実的ではないという。鈴木弁護士は「真相究明が十分になされた後、業界団体が自主的な賠償を求めていくという方策もある」と話す。

 刑事責任はどうか。京都府立医大で論文不正が発覚した際、山田啓二府知事は「犯罪に当たる話なら告発しないといけない」と述べ刑事告発も視野に入れるよう求める姿勢を示した。

 捜査関係者は、産地偽装など品質を誤認させる表示を禁じた不正競争防止法違反が考えられるとする一方、「医薬品の顧客は専門家である病院や薬局。データの不正操作で『誤認させる』とまでいえるのか」と慎重な見方も示す。

 医薬品の製造販売などを規制する薬事法は虚偽や大げさな広告も禁じているが、別の捜査関係者は「降圧効果がある以上、『虚偽』ではないし『大げさな広告』とも言い難い」。降圧以外の効果を装い、不当な価格で購入させたとする刑法の詐欺罪の適用も「会社が元社員の不正を把握し、組織ぐるみでだます意図があったことを示す証拠が必要で、相当厳しいだろう」(同)としている。」


まず,事実を解明していただき,原因を探求し,そのうえで論点1から4について検討し,臨床研究の透明性と公正性を保障する法的枠組み,違反した場合のサンクションを提案していただきたいと思います.結論を急ぐよりまず事実の解明が必要と思います.はじめに結論ありきの検討会では意味がありません.
このような論点(案)が第1回にでてくるとは!

【追記】

ミクス「ディオバン問題検討委が初会合 新たに2試験で論文とカルテデータに食い違いも」(2013年8月12日)は,次のとおり報じました.

◎VART 血圧値にカルテデータと食い違いも

この日の検討委では、「KYOTO Heart Study(京都府立医科大学)」、「JIKEI Heart Study(東京慈恵会医科大学)」、「VART Study」、「SMART Study」、「NAGOYA Heart Study(名古屋大学)」の臨床研究で中心となった医療機関と、ノバルティスの元社員が肩書きとしていた大阪市立大学の内部調査の現状と、ノバルティスからのヒアリングが行われた。

VART Studyでは、カルテデータと論文データとの間で血圧値について食い違いがみられたことも分かった。千葉大学では、7月5日に症例データを入手、8日から内部調査を開始した。登録時の症例データ109例のうち、解析対象の108例をカルテから特定し、外部機関の先端医療振興財団臨床研究情報センターが照合を行った。

その結果、イベント数(脳卒中、心不全、血清クレアチニン2倍)には解析に用いられたデータベース情報とカルテデータに相違はみられなかった。一方、血圧の測定全ポイント1512のうち、67ポイント(4.4%)に相違がみられたとした。ただ、「カルテデータでの集計結果とデータベース情報から得られた結果との間に有意差は認められなかった」としている。副次評価項目についても調査中という。

同試験へのノバルティス社の元社員との関与について、臨床研究を開始した際の主任研究者(小室一成氏・現東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)は、「ノバルティス社の元社員だということを知っており、プロトコルを作成する委員会などには来ないように言っていた」と説明。同試験では、途中で主任研究者が交代しているが、その後は、「ノバルティスの元社員であることは知らなかった。データについてその方に触れさせることとはなかったと聞いている」(横須賀收氏・千葉大学大学院医学研究院医学研究院長)としている。

◎SMART研究 ずさんなデータで論文と一致しない点も 

SMART研究についても、“ずさんなデータ”が含まれており、カルテデータと論文データとの間にかい離がみられる可能性が指摘された。同試験では、2型糖尿病合併高血圧患者における、微量アルブミン尿減少効果をCa拮抗薬とARB群の2群間で比較した。内部調査では、「イベント数ではなく、数値そのものを検討している」(服部隆則氏・滋賀医科大学副学長・教育担当理事)と説明。7月15日に90例のカルテデータを入手し、論文の再現性などについた調査を進めているとした。

現在、カルテデータと論文データとの比較を進めている中にあって、服部氏は「最終的な報告はできない状況」とした上で、「論文の生データを見ると、非常に初歩的なミス、つまりカルテからの入力ミス、計算ミスなどがたくさんでてきている。論文内容と必ずしも一致しない部分もでてきている」と述べた。

Diabetes Careに掲載された主要論文の著者の中に、ノバルティスの元社員の部下が含まれていたことも報告。ノバルティス元社員が主任研究者らと研究立案後に、元社員の部下が研究に参加したと説明した。この元社員の部下は、データ検討委員会や処理にかかわっていたという。

服部氏は、「ノバルティス社の社員2名が関与していたという驚くべき、衝撃的事実が分かってきた。論文の信ぴょう性に関しましては、かなりずさんなデータであるということで、外部委員会にお願いして中立な公表を行いたい」と述べた。今後、研究にかかわった医師、ノバルティスの元社員、元社員の部下らにもヒアリングなどに数週間を要するとし、最終結果については1か月以内に公表する予定とした。


そのほか、ノバルティスの元社員が肩書として用いていた大阪市立大学も内部調査を実施。元社員が所属していた産業医学教室では、「医師主導臨床研究は行っていない。元社員も、産業医学教室で行っていないと主張している。倫理委員会にも当該臨床研究は提出されていない。本学は臨床研究に一切かかわっていない」と述べた。また委嘱についても、“講義”のみを想定したとし、「研究という形でかかわるということは想定していなかった。上司である教授にもそういう相談はしていない。寄附金も産業学教室には一切入っておりません」と、同大学の臨床研究へのかかわりを否定した。同大では元社員は「デスクもメールアドレスも持っていない」とした。なお、委嘱は、2002年4月~13年3月まで(1年更新)。同大では、06年度医学研究セミナーで講義を行ったほか、院生に対してゼミなどで数回指導を行ったとしている。


一方、ノバルティスは奨学寄附金として、2002~12年までの10年間で、東京慈恵会医科大学に1億8770万円、千葉大学に2億4600万円、京都府立医科大学に3億8170万円、滋賀医科大学に6550万円、名古屋大学に2億5200万円の寄付を行ったことも分かった。ただ、同社では2010年以降、契約書で使途を明示した、委託受託契約方式に変更しているとした。また、プロモーション資材として5試験をめぐり、ディオバン関連1384資材のうち、推定495種類を用いていたことも公表。ただし、KYOTO Heart Study関連論文に関する資材は、論文の撤回を受け、13年2月4日以降使用を中止、その他の関連論文についても、5月20日以降は使用を中止しているとした。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 01:04 | 医療

薬害根絶デー2013年8月23日

薬害根絶デー2013

あなたは想像できますか?
妊娠中に飲んだ睡眠薬が原因で、
こどもの手足に障がいが生じてしまうことを。
投与された薬が原因で、エイズや肝炎になってしまうことを。
「夢の新薬」と言われた薬を服用して、命を落としてしまうことを。
薬事行政を監視する第三者機関の創設や、副作用の被害救済制度の拡充
を実現させ、自分自身や大切な人を守るために。
まずは、「知ること」から始めませんか。

11:45~12:50 厚労省前リレートーク
13:00~13:15 厚労省前・碑の前行動
14:00~15:30 ワークショップ(薬害被害者と交流)
16:00~16:40 集会(日比谷図書文化館)
17:30~18:30 有楽町マリオン前宣伝行動

薬害根絶デー実行委員会
〒160-0022 東京都新宿区新宿1-11-12
岩下ビル4 階 オアシス法律事務所内
TEL 03-5363-0138 FAX 03-5363-0139



谷直樹

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by medical-law | 2013-08-09 17:35 | 医療事故・医療裁判

琉球新報社説,法制局長官人事 「法治」の原則捨てるのか

琉球新報社説「法制局長官人事 「法治」の原則捨てるのか」(2013年8月7日)は,次のとおり論じました。


「あまりに強引な人事だ。安倍晋三首相は内閣法制局の山本庸幸長官を退任させ、後任に小松一郎駐仏大使を充てるという。
 長官人事は首相の専権事項というが、集団的自衛権行使の容認に向けた布石であるのは明らかだ。政府は「適材適所」(菅義偉官房長官)などと抽象的説明でかわすのでなく、この恣意(しい)的人事の是非を堂々と国民に問うべきだ。

 小松氏は条約畑の外務官僚で、名うての行使容認論者だ。2006年の第一次安倍内閣当時の外務省国際法局長であり、集団的自衛権行使容認を打ち出した当時の政府有識者懇談会に事務方として深く関わった。
 内閣法制局長官は同局の法制第一部長を経験した内閣法制次長が昇任するのが慣例だ。法解釈の継続性や職務の専門性を考えれば一定の説得力はある。そこに法制局未経験者が就くのも外務省出身者が就くのも前代未聞だ。

 安倍首相が再設置した有識者懇談会は今月下旬から議論を再開し、行使容認の報告書を秋にもまとめる。行使の手続きを定める国家安全保障基本法案も、早ければ秋の臨時国会に提出する構えだ。
 その法案提出を控え、容認論者をトップに据えて国会答弁に備えるつもりなのは間違いない。解釈改憲に逆らう法制局をけん制し、圧力を加える狙いもあろう。

 集団的自衛権について内閣法制局は「国際法上保有しているが、行使は憲法の限界を超え、許されない」との見解を保持してきた。
 憲法解釈は長年の政府答弁の積み重ねであり、精密な法解釈の結果である。政権の意に染まないからと言って答弁者の首をすげかえ、憲法解釈を変えるのなら、もはや法治国家と言えない。

 憲法9条を改正したいが、難しいから改憲の要件を定める96条を改正する。その96条先行改正論が批判を浴びたら、今度は集団的自衛権行使容認へと憲法解釈を変える。解釈変更に内閣法制局が抵抗するなら、今度は長官の首をすげ替える。正面突破が難しいから裏口から入ると言うに等しい。あまりに姑息(こそく)だ。

 第二次大戦後、戦争でどの国の人も殺さなかった国は日本を含め世界に6カ国しかない。憲法の平和主義の成果だ。集団的自衛権の行使は、戦後日本が積み上げてきたそうした国際的信頼を根こそぎ失いかねない。なし崩しで貴重な資産を失う愚を犯してはならない。」


内閣法制局長官は,国務大臣ではありませんが,国務大臣に準じる重要なポストです
憲法改正の布石のために,このような人事が行われたことは残念です,


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-09 04:06 | 人権