弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2013年 08月 ( 50 )   > この月の画像一覧

医療法人社団愛育会福田病院が特別養子縁組のあっせん事業

NHK「病院が特別養子縁組あっせん事業」(2013年8月8日)は,次のとおり報じました.

「血縁関係のない大人と子どもが裁判所の許可を受けて親子関係を結ぶ特別養子縁組をあっせんする事業を、熊本市の病院が始めたことを明らかにしました。
厚生労働省によりますと、特別養子縁組のあっせん事業を医療法人が行うのは初めてだということです。

特別養子縁組は、血縁関係のない大人と子どもが裁判所の許可を受けて、親子関係を結ぶものです。
熊本市中央区にある医療法人、福田病院は、日本医師会からの要請を受けて、ことし5月から特別養子縁組のあっせん事業を始めたということです。
厚生労働省によりますと、このあっせん事業は、全国で15の任意団体や個人の産婦人科の医師などが届け出ていますが、医療法人が届け出たのは初めてだということです。
病院によりますと、これまでに病院で生まれた2人の子どもを、埼玉県の医師から紹介された夫婦にあっせんしたということです。
また、事業を始めるにあたって弁護士などで作る第三者委員会を設置したほか、あっせんの経緯を記録し、本人が成人した後に希望すれば記録を見ることができる仕組みを整えたということです。
特別養子縁組のあっせん事業を巡っては、多額の寄付金を受け取るケースが問題になっていますが、この病院は、子どもを育てる夫婦からの寄付金は受け取らないということです。」

理事長「虐待被害など減らすために必要」

特別養子縁組のあっせん事業を始めたことについて、福田病院の福田稠理事長は「望まない妊娠によって生まれた子どもが虐待などの被害に遭うケースが後を絶たず、こうした被害を減らすために取り組む必要があると考えた」と話しています。」


特別養子縁組のあっせん事業は現行法が不備で,民間団体のあっせん事業には多額の寄付などの問題点が指摘されています.奥田安弘氏ら著 「養子縁組あっせん―立法試案の解説と資料」ご参照.

福田病院は,寄付金は受けず,養父母から10万円程度の入院費実費のみを受けとり,出産を疑似体験してもらう,とのことです(時事通信).
医療法人がこの事業を行うことは,特別養子縁組のあっせんが公正に行われることにつながります.
日本医師会が各県医師会に要請し,近々10医療施設でも連携してあっせん事業に取り組むそうですが,日本全国で医療法人があっせん事業に参加するようになってほしいと思います.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-08 23:56 | 福祉

横浜市立市民病院内に長期療養者職業相談窓口設置

日本経済新聞「横浜市民病院とハローワーク、がん患者の就職支援」(2013年8月6日)は,次のとおり報じました.

 
「横浜市立市民病院(横浜市)とハローワーク横浜(横浜市)は、がん患者を対象にした就職支援事業を始める。ハローワークが専門の相談員を配置し、同病院に定期的に派遣する。病状や治療のスケジュールに配慮した仕事を紹介し、投薬治療など長期の通院が必要な患者の就労を後押しする。

 ハローワーク横浜はこのほど「長期療養者職業相談窓口」を設置した。担当する「就職支援ナビゲーター」は、看護師らの講義を受けるなどして、がん治療や療養生活の知識を身につける。そのうえで短時間勤務など、患者の状況に配慮した求人の開拓につなげる。

 市民病院は月1回程度の出張相談窓口を設置する。入院患者に退職後を見据えて相談に来てもらうほか、退院した人がその後の通院時に相談に訪れてもらうことも想定している。就職活動に踏み出しやすい環境を整える。

 厚生労働省による長期の病気療養が必要な人の就労を支援するモデル事業として実施する。市民病院は厚労省から地域のがん診療で中核的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」に指定されている。

 今後はがん患者だけでなく肝炎や糖尿病などの患者にも対応したい考えだ。」


厚労省の就労支援事業は,2013年年度から大都市圏の「がん診療連携拠点病院」数箇所で先行実施し,全国に広げることになっています.横浜市の例はその先行実施の一つです.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-07 04:02 | 福祉

名古屋大学病院、16歳少年に余命を告知し、少年の希望にそった終末期医療実施

東京新聞「16歳少年に余命告知 終末期医療 自ら選択」(2013年8月5日)は、次のとおり報じました.

「名古屋大病院(名古屋市昭和区)の小児病棟で昨年末、小児がんの少年=当時(16)=に対して初の余命告知が行われた。少年はその後の治療のあり方を自ら選択。希望に沿った終末期医療が行われ、ことし三月、十七歳で永眠した。未成年のがん患者への余命告知は、全国でも数少ない。同病院小児科チームは、十一月二十九日から福岡市で開かれる日本小児血液・がん学会で発表する。 (編集委員・安藤明夫)

 少年は、愛知県碧南市、運送業菊本直樹さん(47)の長男大珠(たいじゅ)さん。
 中学一年のときに、左あごに難治がんの悪性エナメル上皮腫を発症。肺と背骨に転移が見つかり、名大病院に入院した。あごのがん細胞の摘出と強力な化学治療により、いったんは退院できるまで回復したが、高校進学後に再発した。

 治療法はなく、抗がん剤を投与すると、しばらくは歩けるようになるものの副作用に苦しむ状態。両親が「本人に正しく状況を伝え、これからの過ごし方を選ばせてやりたい」と希望し、昨年十二月十五、十九の両日、主治医の高橋義行准教授(46)が二回に分けて余命を告知した。
 これから痛みや息苦しさが強まる可能性があり、痛み止めに二十四時間の点滴、呼吸の苦しさには「ウトウトと眠る薬」を使うと話し、大珠さんの了解を得たうえで「この治療を始めると一週間ぐらいで、眠っている時間がかなり長くなるので、会いたいと思っている人、手紙を書きたいと思っている人がいたら、そうしてほしい」と説明した。
 大珠さんはベッドに横向きに寝たまま、何度もうなずいたという。延命の人工呼吸、心臓マッサージを行わないことも確認した。
 大珠さんはその後、「友達と遊びたい」と抗がん剤治療の再開を希望したが、効果がなく三日間で終了。さらに、自宅に近い病院のホスピス病棟に移ることも検討したが、名大病院にとどまって病棟の友達や家族と過ごすことを選んだ。痛み止めのモルヒネの量を増やす時も自ら判断した。三月十二日朝、眠るように亡くなった。

 高橋准教授は「小児がんの病名告知は、多くの病院で行われるようになり、名大小児科では六歳以上の子の全員に告知している。ただ、終末期の余命告知はどうしてもご両親がためらいを感じることが多い。本人の希望を尊重することが、本人にも家族にも納得できる終末期につながる」と話す。」


best interest of childは、容易にわかるものではありません.
正解のない問題です..それゆえに、子ども自身が選択できるよう、周囲が手を差し伸べることが、後悔しない選択なのでしょう.
「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」は、答えがひとつではないことを前提に、意思決定の手続きのガイドラインです.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-06 01:26 | 医療

8月24日シンポジウム,院内事故調を中心とする“真の”医療事故調査体制を確立するために

「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」と 「医療版事故調推進フォーラム 」主催のシンポジウム「院内事故調を中心とする“真の”医療事故調査体制を確立するために」が,8月24日13時30分から,全労連会館ホール(文京区湯島2丁目4−4)で開かれます.
是非,ご参加いただきたく,お願い申し上げます.


【内容】

第1部 各シンポジストからのプレゼン 

【コーディネータ】大熊由紀子氏 (国際医療福祉大学大学院教授)

【シンポジスト】

1)大坪寛子氏(厚生労働省 医政局医療安全推進室長)

2)木村壮介氏(日本医療安全調査機構 中央事務局長)

3)長尾能雅氏(名古屋大学医学部教授)

4)樋口範雄氏(東京大学法学部教授)

5)鈴木利廣氏(すずかけ法律事務所 弁護士)

6)宮脇正和氏(医療過誤原告の会 会長)

7)岩本裕氏(NHK 放送文化研究所)

第2部 パネルディスカッション

「院内事故調を中心とする“真の”医療事故調査体制を確立するために」をテーマに
会場からの質問も配慮して討議する。

【日時】 平成25年8月24日(土)13:30 ~16:45 受 付;13:00~

【場所】全労連会館ホール( JR御茶ノ水駅徒歩5分 文京区湯島2丁目4−4 03-5842-5610 )

【参加費】 無料

【主催】 患者の視点で医療安全を考える連絡協議会  医療版事故調推進フォーラム

事前登録受付&連絡先
患者の視点で医療安全を考える連絡協議会(代表永井 裕之氏)FAX: 047-380-9806へ


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-05 11:02 | 医療

都道府県がん拠点病院各1カ所へ

CBニュース「都道府県がん拠点、1か所ずつに制限も- 新要件で厚労省検討会」(2013年8月2日)は,次のとおり報じました.

「厚生労働省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」は2日、がん診療連携拠点病院(拠点病院)の来年度からの新要件について、下部組織がまとめた案をおおむね了承した。都道府県拠点病院の新要件では、地域の拠点病院の実地調査などの権限を与える代わりに、都道府県内のがん診療の質を高めるPDCAサイクルの確保などを担わせる。この責任の所在などを明確にするため、都道府県拠点病院の指定数を、1都道府県につき1か所に制限する案も浮上した。 」

現行の「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」は,「都道府県は、専門的ながん医療の提供等を行う医療機関の整備を図るとともに、当該都道府県におけるがん診療の連携協力体制の整備を図るほか、がん患者に対する相談支援及び情報提供を行うため、都道府県がん診療連携拠点病院にあっては、都道府県に1カ所、地域がん診療連携拠点病院にあっては、2次医療圏(都道府県がん診療連携拠点病院が整備されている2次医療圏を除く。)に1カ所整備するものとする。ただし、当該都道府県におけるがん診療の質の向上及びがん診療の連携協力体制の整備がより一層図られることが明確である場合には、この限りでないものとする。なお、この場合には、がん対策基本法(平成18年法律第98号)第11条第1項に規定する都道府県がん対策推進計画との整合性にも留意すること。 」となっています.

そのため,都道府県拠点病院は,例外的に,宮城県に宮城県立がんセンターと東北大学病院,東京都にがん研究会有明病院と東京都立駒込病院,京都府に京都府立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院,福岡県に国立病院機構九州がんセンターと九州大学病院があります.
それぞれ事情があるのでしょうが,1カ所のほうが,Plan(計画),Do(実行),Check(確認),Action(行動)サイクルを回しやすいことはたしかです.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-03 01:53 | 医療

「七つの会議」

「半沢直樹」が人気ですが、同じく池井戸潤氏の原作ドラマ「七つの会議」も面白いです.

ドラマは、原作と異なり、一貫して原島万二視線で進みます.ただし、この点は、原作のほうがよかったと思います.「桐島、部活やめるってよ」のように,視点の移動があったほうが,よかったと思います.
悪をなすのがサラリーマンで、その悪の背景が丁寧に描かれますので、深みがあります.
強度不足のねじ、リコール隠し、保身に走る組織、隠蔽と内部告発・・・まさに池井戸潤氏の世界です.
ただし、青っぽいつくりの画面は一般受けが悪いかもしれません.私はどちらも面白いと思いますが,「半沢直樹」のほうが広い支持があるでしょう.

最終回は、明日2013年8月3日(土) 午後9時30分~10時28分、NHK総合です.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-02 00:08 | 趣味

バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書

ノバルティスファーマ(スイス本社)は、バルサルタンの5つの医師主導臨床研究にノバルティスファーマの社員の関与があった可能性につき調査するため、2013 年 4 月 22 日、モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所/伊藤見富法律事務所(外国法共同事業事務所)に調査を委託いたしました.その結果、2013 年 7 月 29 日、「バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書」が公表されました.

バルサルタンの5つの医師主導臨床研究は、次のとおりです.
 東京慈恵会医科大学による「JIKEI Heart Study」 (“JHS”)
 千葉大学による「Valsartan Amlodipine Randomized Trial」(“VART”)
 京都府立医科大学による「KYOTO Heart Study」(“KHS”)
 滋賀医科大学による「Shiga Micro Albuminuria Reduction Trial」(“SMART”)
 名古屋大学による「NAGOYA Heart Study」(“NHS”)

調査は、モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所/伊藤見富法律事務所(外国法共同事業事務所)の17 名の弁護士と法務専門家から構成されるチームにより実施された、とのことです.
しかし、調査には限界がありました.
重要な社員の多くが退社し聴き取り調査に応じなかったうえ、関連文書もある時期のものは入手することができず、5つの医師主導臨床研究に大幅に関与していた元社員に対しては、辞職前の2回計約 4 時間半の聴き取りを行ったのみで、辞職後は聴取できず、個人所有のコンピュータに保存されている業務活動の記録を調査することを拒まれた、とのことです.
また、ノバルティスファーマは研究データや被験者のカルテを入手する立場にないため、研究論文で導かれている結論の整合性を確認するための独立した分析は行われなかった、とのことです.

そのようなものとして、「バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書」を読むべきでしょう.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-01 23:09 | 医療

バルサルタンを用いた大規模臨床試験に関する諸問題に対する日本高血圧学会の対応の経緯説明

日本高血圧学会は、2013年7月26日、会員向けに「バルサルタンを用いた大規模臨床試験に関する諸問題に対する 日本高血圧学会の対応の経緯説明」を発表しました.会員向けなので、残念ながら一般には読めませんが、ミクス「日本高血圧学会 ディオバン問題でガイドライン改訂への影響も示唆」(2013年7月31日)は、次のとおり、その内容を報じました.

「ARB・ディオバン(一般名:バルサルタン)の臨床研究をめぐり、2014年に予定される高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)の改訂に影響する可能性が出てきた。日本高血圧学会は、7月26日付で、「バルサルタンを用いた大規模臨床試験に関する諸問題に対する日本高血圧学会の対応の経緯説明」と題する文書を学会会員に公表した。


現行ガイドラインであるJSH2009では、Jikei Heart Study(東京慈恵会医科大学)の結果が引用されている。一方で、その後実施された、「VART(千葉大学)」、「Kyoto Heart Study(京都府立医科大学)」、「SMART(滋賀医科大学)」、「Nagoya Heart Study(名古屋大学)」の4研究は引用されていない。


経緯説明では、日本高血圧学会は2012年12月の理事会で、疑義が指摘された論文に関して、“ガイドラインで引用可能な論文かどうか”については理事会で検討することとし、審査対象や資料、判定する基準を明確にしていると説明。「Kyoto Heart Study(京都府立大)」について、「2012年12月の理事会で、疑義を指摘された論文への対処の原則が決定され、Kyoto Heart Studyはその段階で基準をクリアできていない」とした。


一方、ほかの4試験については「第三者機関による検証と高血圧学会の判断により採用の可否を決めること」をJSH2014策定の方針としているとした。


◎VART 解析データセットと原資料の詳細調査も進行中


Jikei Heart Studyについては、同試験の「引用もARB選択に強い影響を持っているものではなく、高血圧学会として、あるいは、ガイドラインにおいて、一部の研究成果だけを基にARBを推奨することも、特にバルサルタンを推奨することもしていない」とした。
Kyoto Heart Studyについては、「学会役員などがKyoto Heart Studyの論評をしたことによって企業の宣伝活動に関与したとする指摘があるが、学会として論文内容を論評したことはない」と説明。「権威ある学会誌に掲載された研究発表の内容については、称賛することも批判することもあるのが学問の世界であり、その都度、個人の考えを述べているものと認識している」とした。


一方、VARTについては、すでに第三者委員会が外部機関に委託し、血圧値およびエンドポイントの数は同じであることが分かっている。さらに、「詳細な検証のための解析データセットと原資料(カルテやイベント報告書、イベント評価委員会資料など)との照合については高血圧学会から千葉大学に調査を依頼し、現在調整中であるとの報告を受けている」とした。


そのほか、ガイドライン作成委員の利益相反(COI)についても、▽作成委員全員にCOI提出を求め、2013年1月10日に日本高血圧学会COI委員会が内容を審査、問題がないことを確認▽ガイドラインにおけるCOIは公開予定▽引用される各臨床研究に対し、エビデンスレベルをつけ、147名の作成委員の判断で総合的に推奨を決定している――としている。


なお、理事会で決定された“ガイドラインで引用可能な論文かどうか”の審査対象は、①英文誌においてpeer review を受けて発表された論文やLetterなどのコメントにおいて疑義が指摘された論文②高血圧学会学会誌のHypertension Researchに掲載された論文――のうち、高血圧学会理事会、JSH2013ガイドライン作成委員会に審議依頼があった論文。


判定は、審議過程の開示を求められた場合に開示に足るかどうかを考慮して行う。統計解析に基づく指摘では、論文著者や使用薬剤の製薬企業と利益相反のない統計専門家の意見や解析を参考に審議することが望ましいとしている。検討の資料としては、学会誌や商業誌などに掲載された論文、総説、letterなど、公に公開されたものを原則とした。ただし、相当する資料がない場合、学会から疑義の提示されている論文の責任者に意見を求めることとしている。」


現行ガイドラインであるJSH2009に引用されている東京慈恵会医科大学の「JIKEI Heart Study」 (JHS)でもデータの操作が行われていたにもかからわず、「引用もARB選択に強い影響を持っているものではなく、高血圧学会として、あるいは、ガイドラインにおいて、一部の研究成果だけを基にARBを推奨することも、特にバルサルタンを推奨することもしていない」としていますが、データ操作が行われた研究を引用すること自体、いかがなものでしょうか.
日本高血圧学会の動向が注目されます.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-01 01:47 | 医療

阿部円香さん・文 さとみさん・絵「ママ、なんで? びょうきのママにききたいの」

侃侃房のサイトによれば、

子育て真っ最中に発病した現役医師が、各専門家および闘病ママ&家族たちと共に作りあげた、病気のママ・パパ・ご家族への応援メッセージ。病気になって知りたかったこと、知ってよかったことを、3歳の子どもにもつたえられる“ 親の病気の説明絵本”です。
2013年8月上旬全国書店にて発売。

<本の構成>
【絵本パート(子ども向け27 ページ)】
【メッセージパート(大人向け21 ページ)】
・この絵本ができるまで
・専門家よりのアドバイス
・闘病ママ&家族たちよりのメッセージ
・あとがきに代えて

アドバイスいただいた専門家
牛島定信(精神科医/日本児童青年精神医学会元理事長)
白石恵子(九州がんセンターサイコオンコロジー科 臨床心理士)
大沢かおり(東京共済病院がん相談支援センター ソーシャルワーカー)
武田飛呂城(NPO 法人 日本慢性疾患セルフマネジメント協会事務局長)
西山和子(札幌神経内科クリニック看護部長)


西日本新聞「ママの病気 絵本で伝え 難病の阿部さん 子ども向けに説明本」(2013年7月30日)は、次のとおり伝えています.

「親が病気になると、子どもは心細くなる。「少しでも不安を和らげてあげたい」との思いを込めて、福岡市の医師、阿部円香さん(41)が一冊の絵本を完成させた。「ママ、なんで? びょうきのママにききたいの」(1260円、書肆侃侃房(しょしかんかんぼう))=写真。子どもが受け止められるよう、病気のことを易しく説明する内容だ。自身も難病を患っており、同じ立場で子育て中の親たちに「役立ててもらえれば」と願っている。・・・

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-01 01:19 | 医療

JPA、混合診療のなし崩し的な解禁に反対する~必要な医療は保険適用が原則~

一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)は、2013 年 7 月 18 日、「混合診療のなし崩し的な解禁に反対する ~必要な医療は保険適用が原則~」を発表しました.

「政府は 6 月 14 日、規制改革実施計画を閣議決定し、再生医療の推進のために、先進医療(保険外併用療養費)の対象範囲を大幅に拡大することを発表しまし
た。
その後も混合診療問題に関する記事や全面解禁論などが一部報道機関にも出ていることから、あらためてこの問題についての考えを表明します。

保険外併用療養費制度は、最新治療による高額な医療費の部分(先進医療)は全額患者負担となっています。先進医療は速やかな保険収載を前提とすべき
であり、安易な拡大は、難病に苦しむ多くの患者が公平に最新の医療を受ける権利を奪うものとなりかねません。私たちは、この制度の安易な拡大が、混合診療のなし崩し的な解禁につながるものとして強い懸念を表明します。

再生医療などの高度先進医療は、多くの国費を投じた研究の成果でもあり、事実上、一部の経済的な余裕のある裕福な患者だけが受けることができる医療となるのは、同じ国民として極めて不公平であり、公正性を欠く施策と言わざるを得ません。また、自由診療が安易に認められるのは、十分な安全性と治療としてのエビデンスが確立していない段階で治療が行われる道を公的に認めるものであり、治療の効果の確認だけではなく、患者の生命や健康に大きな危険をもたらしかねないものであることも懸念するものです。

わが国は国民皆保険制度の下で保険診療を基本とし、混合診療の原則禁止を国是としています。法的な規制や監視も及ばない医師の裁量による自由診療による医療を野放しにすることは、現在国際的にも日本が置かれている立場と信頼を損なうものともなりかねない危険性もはらむものです。

これらの懸念は架空のものではなく、すでに日本の再生医療の現状が各種報道・出版物や最近の NHK の報道でも明らかにされているように、すでに 100件近くのクリニック等によって自由診療として行われており、およそ 1 万人の患者に施術が施され、少なくない健康被害も続出しているといわれています。

しかも先進諸国では日本が唯一、エビデンスのない治療を自由に受けられる国となっているとのことです。しかも患者の藁にもすがる思いを逆手にとった法外な医療費負担を強いられる実態があります。

保険外併用療養費の安易な拡大が認められるならば、事実上の混合診療のなし崩し解禁となり、高額な患者負担を前提とした自由診療が激増することも想像に難くありません。

私たちは、政府が混合診療の原則禁止の方針を堅持し、わが国が到達した高度な先進医療が、その効果と安全性が確認されたのち、速やかに医療保険の適用となり、みんなが等しく必要な治療が受けられることを強く願うものです。」


混合診療解禁の流れは、患者のためのように言われることがありますが、それは一部の富裕層患者のためにしかなりません.
普通の患者にとっては、保険医療の中で安全で有用な医療が行われることが必要です.



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-08-01 00:56 | 医療