弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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医療法人財団青山会が,国立病院機構神奈川病院による救急患者手術拒否を精神障害者への偏見差別と非難

神奈川新聞「措置入院歴ある患者拒否 神奈川病院に改善申し入れ」(2013年9月18日)は,次のとおり報じました.

「統合失調症による措置入院歴を理由に入院加療を拒否したとして、秦野市三廻部の「みくるべ病院」を運営する医療法人財団「青山会」(本部・三浦市)は17日、国立病院機構「神奈川病院」(秦野市落合)の対応改善を求める申し入れ書を県秦野保健福祉事務所に提出した。青山会は「精神障害者に対する偏見と差別」と訴えている。

青山会によると、みくるべ病院の精神科に入院中の40歳代の女性患者が今月9日午後、急性穿孔(せんこう)性虫垂炎の症状で神奈川病院に緊急搬送された。外科医が診察した結果、病院執行部の判断として「準緊急的な外科的処置が必要と考えられるが、既往に統合失調症による措置入院歴があるとのことに対し、当院に精神科がないことから当院での入院加療は困難」と、みくるべ病院側に文書で伝達した。

女性は約4時間後に帰院したが、翌朝に急激な意識低下が表れ、県立足柄上病院(松田町)に緊急搬送された。手術が施され、現在は安定した状態という。

女性は1997年に県内の別の病院に措置入院しており、医療保護入院を経て2000年9月からみくるべ病院に任意入院している。

秦野市役所で会見した青山会の柏寿郎常務理事は「過去の措置入院歴を盾に取った実質的な診療拒否。地域医療支援病院でもある神奈川病院は公的な医療機関で重大な問題だ」と述べた。

神奈川病院側は、18日に記者会見して説明するとしている。」


東京新聞「神奈川病院 救急患者の手術拒否 県、事情を調査へ」(2013年9月18日)は,次のとおり報じました.

「精神科、アルコール疾患治療を専門とするみくるべ病院(秦野市)は十七日、統合失調症で入院中の女性患者(40)が九日に急性虫垂炎を発症し、地域医療支援病院の国立病院機構神奈川病院(同市)に救急搬送したところ、手術を拒否されたことを記者会見で明らかにした。みくるべ病院は県秦野保健福祉事務所に、調査を求める申し入れ書を提出した。

みくるべ病院を運営する医療法人財団青山(せいざん)会の柏寿郎(としろう)常務理事(61)によると、神奈川病院側は一度は患者の受け入れを了承したが、同行した看護師が精神科の診療経過を記したメモを外科医に渡したところ、手術を拒否されたという。柏理事は「神奈川病院には精神科がないことから入院、治療は困難だとして帰院させられた」と話す。

患者は翌十日、精神科がある県立足柄上病院(松田町)で手術を受けた。経過は良好という。

この問題について、神奈川病院は十八日、記者会見する。 (横光竜二)」


独立行政法人国立病院機構神奈川病院側の会見報道をまちましょう.


神奈川新聞「精神科患者の入院加療拒否、病院「情報不足で対応できず」」(2013年9月18日)は,次のとおり報じました.

「統合失調症による措置入院歴を理由に国立病院機構神奈川病院(秦野市落合)が入院加療を拒否したとされる問題で、同病院の加勢田静院長は18日、記者会見し「(患者を帰したのは)苦渋の決断だったが、今回の対応に問題はなかった」との見解を示した。

みくるべ病院(同市三廻部)の精神科に入院する40歳代の女性患者が急性虫垂炎の症状で緊急搬送されたが、神奈川病院側は「みくるべ病院から送られた診療情報提供書には、精神症状や病歴について20文字程度の簡単な記載しかなかった」と説明。詳細な情報を得ようとみくるべ病院に連絡したが、精神科の主治医は不在だったという。

加勢田院長は「当院には精神科医がおらず、精神疾患について詳細な情報が得られない中で、統合失調症による予測不能の事態が発生したときに適切な対応が取れないと判断した」と説明。県内の4病院に受け入れを打診したものの、いずれも受け入れが困難だったため、みくるべ病院に帰したという。

みくるべ病院側が今回の対応を「精神障害者に対する偏見と差別」と指摘している点については、加勢田院長は「伝達文書の表現に誤解を生じさせる部分もあったが、まったく違う。これまでも統合失調症の患者を受け入れている」と否定した。」


みくるべ病院がみくるべ病院精神科に入院中の患者を急性穿孔性虫垂炎の症状で神奈川病院に送ったのですから,みくるべ病院は,統合失調症による予測不能の事態が発生する可能性は低く,精神科医のいない病院でも十分対応できると判断したとみてよいでしょう.神奈川病院が受け入れを判断するに際し,主治医と話をして詳細な情報を得なければならない理由がわかりません.神奈川病院の今回の対応に問題はなかったとは言えないのではないでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-19 01:38 | 医療

横浜地裁,神奈川県立がんセンターの麻酔科医に無罪判決(報道)

読売新聞「がん手術で医療事故、麻酔科医に無罪判決」(2013年9月17日)は,次のとおり報じました.

「神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)で2008年4月、乳がん手術を受けた女性患者の麻酔器具が外れて脳障害などの後遺症を負った医療事故を巡り、業務上過失傷害罪に問われた麻酔科医(44)に対し、横浜地裁は17日、無罪判決を言い渡した。

毛利晴光裁判長は、言い渡しの後、「捜査が十分ではないのに起訴した疑いが残る。このような捜査処理がないことを望む」と検察側に注文をつけた。

麻酔科医は女性に全身麻酔をかけた後、別の手術に立ち会うために手術室を退出。その後、酸素を送る管が外れたまま約18分間放置された結果、女性に脳障害や手足のまひなどの後遺症を負わせたとして起訴され、検察側は罰金50万円を求刑していた。

判決では「麻酔科医は患者の状態が安定していることを確認して手術室を離れており、何かあったら連絡するよう看護師にも伝えていた」と指摘。「麻酔科医の行動に許容されない問題性があったとは言えない」とした。」


毎日新聞「医療事故:手術中の患者が脳障害 麻酔科医に無罪判決」(2013年9月17日)は,次のとおり報じました.

「神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)で全身麻酔手術中の女性患者の観察を怠ったため高次脳機能障害を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた麻酔科医の男性(44)に対し、横浜地裁は17日、無罪(求刑・罰金50万円)を言い渡した。毛利晴光裁判長は「検察側主張の注意義務は認められない」と判断した。

男性は2008年4月、当時44歳の患者の乳房部分切除を行う際、麻酔を施した後に引き継ぎをせず退室したため、その後に麻酔器から酸素供給の管が外れ、患者に脳機能障害を負わせたとして起訴された。

検察側は、手術室を離れたことが注意義務違反に当たると主張したが、判決は「患者の状態が安定していることを確認して手術室を離れており、刑事罰を科すほどではない」と退けた。

当初、横浜区検が男性を略式起訴したが、横浜簡裁は「略式不相当」と判断して正式裁判に移行していた。

判決言い渡し後、毛利裁判長は検察側に対し「慎重な法律判断をすべきだ」と述べた。【飯田憲】」


毛利晴光判事は,司法研修所教官でもありましたので,弁護士のなかにはご存じの方も多いかと思います.

本件について,簡裁が略式不相当としたときに,私は,次のとおりブログに書きました.

「この麻酔医は,同時並行で複数の患者の麻酔を行っていたので,麻酔後に手術室を長時間離れていました.酸素の管が外れたのですが,執刀医はそのことに気づかず,患者は低酸素状態が続いたために,重度の障害を負いました.この結果が重大なので,略式不相当,という判断になったのだと思います.

しかし,本件は,神奈川県立がんセンターの麻酔医が不足し,過重な仕事をさせていることが背景にあっておきた事故です.検察官と刑事裁判官は,京都大学エタノール事件がそうであったように,表層的にしか事件を見ていないことがあるように思います.

本件刑事手続きでは,麻酔医の責任のみが問われているのですが,私は,麻酔医一人の責任とするのは適切ではないと思います.麻酔医にこのような仕事をさせていた管理責任者等の責任を追及すべきであった,と思います.」

神奈川県立がんセンターの開設者である神奈川県が民事賠償責任を負うとしても,この麻酔科医個人に刑事責任を問うのは明らかに不相当です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-17 22:18 | 医療事故・医療裁判

医療九条の会・北海道主催,小出裕章氏講演会「私たちの未来と原発」

医療九条の会・北海道主催の小出裕章氏講演会「私たちの未来と原発」が,2013年9月14日(土),札幌市民ホールで開かれました.
今なら,Ustream録画で講演を見ることができます.

内容 18:30~20:54
•来賓あいさつ 上田文雄氏(札幌市長)
•講演 小出裕章氏(京都大学原子炉実験所 助教)
•呼びかけ 川原茂雄氏(Shut泊 共同代表、高校教諭)
•閉会あいさつ 猫塚義夫氏(医療九条の会 共同代表、医師)

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-17 21:24 | 脱原発

産科医療補償制度の申請期限はお子様の満1歳の誕生日から満5歳の誕生日までです

沖縄タイムズ「重度脳性まひ、医療保障相談を」(2013年9月16日)は,次のとおり報じました.

「出産に関連して重度の脳性まひになった子どもとその家族に補償金3千万円を支給する「産科医療補償制度」で、運営を担う日本医療機能評価機構が「申請数が推計より大幅に少なく、申請漏れがあるはず」として保護者らに積極的に相談するよう呼び掛けている。

制度の発足は2009年1月。申請期限は満5歳の誕生日までで、09年年生まれの子どもは、来年の誕生日が期限。支給の条件を満たしていても期限までに申請しなければ救済漏れとなる。

補償金は①妊娠33週以上かつ出生体重2千グラム以上②身体障害1、2級相当の脳性まひ③先天性の要因などによるものは除く―など一定の条件を満たす場合、医療機関の過失の有無にかかわらず支給される。600万円の一時金と20歳まで分割して支払われる2400万円の計3千万円。

コールセンター、フリーダイヤル(0120)330637(平日の午前9時~午後5時)で相談を受け付けている。(共同通信)」


平成21年1月1日以降に出生したお子様で、次の基準をすべて満たす場合,補償の対象となります.
1 「在胎週数33週以上で出生体重2,000g以上で」または「在胎週数28週以上で所定の要件に該当した場合」
2 身体障害者手帳1級または2級相当の重度脳性麻痺
3 先天性の要因等に該当する場合は補償の対象外となることがあります.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-17 09:18 | 医療事故・医療裁判

大津市民病院、腹腔鏡手術の際の動脈損傷事故で和解(報道)

毎日新聞「医療ミス:大津市民病院の手術で後遺障 市、3350万円賠償の方針」(2013年9月14日)は、次のとおり報じました.

「大津市は13日、市民病院の卵巣摘出手術で医療ミスがあり、被害者で内臓に後遺障害を負った市内在住の女性(当時29歳)に対し、和解金約3350万円を支払う方針を決めたと発表した。24日の市議会で関連する9月補正予算案の採決が行われ、通過すれば和解案に正式合意する見通し。

 市民病院によると、2010年4月、腫瘍ができた卵巣を取り除く腹腔(ふくくう)鏡手術で、医師が内視鏡を入れるための医療器具を腹に刺した際、誤って下腹部の動脈を傷付けた。その後、女性は血管壁の修復や補強のため手術を受けたが、2回の術後腸閉塞(へいそく)で入退院を繰り返すなどした。女性は現在も京都府立医科大付属病院に通院を続け、食事などに制限があるという。

 ミスを巡っては、女性が12年5月、市を相手取り損害賠償約9808万円を求めて大阪地裁に提訴。地裁が8月29日に示した和解案を、双方が内諾した。【石川勝義】」



中日新聞「手術ミスで3350万円賠償へ 大津市民病院」(2013年9月14日)は、次のとおり報じました.

「大津市は十三日、二〇一〇年四月に市民病院で三十代無職女性への医療ミスがあり、損害賠償の和解協議がまとまったと発表した。二十四日の市議会本会議に損害賠償金など三千三百五十万円を支払う議案を提出する。


 市によると、女性は卵巣摘出の腹腔(ふくくう)鏡手術の際、カメラを保護する器具の先端で左下腹部の動脈を傷つけられ、直後に開腹手術を受けた。女性は約二カ月後から、本来不要だった開腹手術を受けたのが原因とみられる腸閉塞(へいそく)を二度発症。現在も定期検査と食事制限を強いられている。勤務していた会社も退社した。


 女性は昨年五月、市に九千八百万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。今年八月に和解協議がまとまった。市民病院の担当者は「より慎重に器具の挿入操作をして再発防止に努めている。今後、安全に配慮し、最善の医療に取り組む」とした。(山内晴信)」


裁判では「過失行為を具体的に特定すること」が求められますが、動脈を損傷するような手技については、器具を愛護的に操作する義務、慎重に操作する義務に違反したと言うしかない場合があります.


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-17 01:12 | 医療事故・医療裁判

藤原紀香さんのブログと日弁連の「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書

特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集は,2013年9月3日から同年同月17日(明日)までです.

NHK「日弁連 秘密保全法案 意見募集延長を」(2013年9月13日)は,次のとおり報じました.


「安全保障に関する情報を厳重に保護するための「秘密保全法案」について、政府は概要を公表し一般から意見を募集していますが、日弁連=日本弁護士連合会は、重要な問題であり、意見の募集期間を今の15日間から2か月間に延長すべきだとする意見書をまとめ、政府に送りました。

政府は安全保障に関する情報を厳重に保護するため、特に秘匿が必要な「特定秘密」に指定された情報を漏えいした公務員らに対し、最高で10年の懲役刑を科すなどとした「秘密保全法案」の概要を公表し、今月3日から17日までの15日間、インターネットなどを通じ、一般から意見を募集しています。
この法案に反対する日弁連=日本弁護士連合会は12日、意見の募集期間を2か月間に延長すべきだとする意見書をまとめ、この法案を担当する内閣情報調査室に送りました。
意見書では、法案の内容が国民主権など憲法の原理に抵触する可能性がある一方で、国会に提出されることをほとんどの国民がこれまで知らなかったとしています。
そのうえで、内容を理解するための期間と、理解したうえで意見を作成する期間を合わせ、2か月間が必要だとしています。
日弁連の清水勉弁護士は「憲法が保障する知る権利や表現の自由に関わる重要な問題だが、国民的な議論は進んでいない。政府は意見の募集期間を延長し、幅広い国民の声を聞くべきだ」と話しています。
.

意見募集の期間 平均は27日間

政府がインターネットなどを通じて一般から意見を募集するパブリックコメント制度は、国会で審議されることのない「政令」や「省令」などを対象にしたものです。
秘密保全法案のような「法律」は、国会で民意が反映されるとして、本来、制度の対象にはなっていません。
この制度を利用して現在、意見を募集しているのは、秘密保全法案の概要も含めて合わせて32件ありますが、募集期間は平均で27日間となっていて、15日間は、そのおよそ半分です。
現在、20日間を下回るのは、秘密保全法案の概要のほかに、▽防衛省市ヶ谷地区などの施設管理業務に関わる民間競争入札の実施要項案と、▽農林漁業成長産業化支援機構の認可申請ついての意見募集の、合わせて4件となっています。
また、原発事故の被災者支援を定めた「子ども・被災者生活支援法」の基本方針案については、当初15日間でしたが、被災者の意見を十分反映させるべきだという意見が出たため、政府は11日、25日間に延長しました。
このほか「政令」と「省令」は、法律で、意見の募集期間を原則として30日以上とするよう定められています。
秘密保全法案を担当する内閣情報調査室は「幅広い議論をいただいて丁寧な意見集約を図る必要があると考え、法律で義務づけられたものではないが、パブリックコメント制度を活用することにした。15日間という期間は、ほかの省庁の事例を参考に決めたもので、現時点で見直しは考えていない」と話しています。」


◆ 日弁連の意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は,平成25年9月12日,「日弁連の「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書」を発表しました.
意見の趣旨は。
「1 意見募集期間を2か月に延長すべきである。
2 当連合会は,日本国憲法の基本原理を尊重する立場から,「特定秘密の保護に
関する法律案」(以下「本件法案」という)に強く反対する。」

というものです.

「有識者会議報告書は,ボガチョンコフ事件を秘密保全法制の立法事実としている。
しかし,事案に即した対策としては,秘匿性の高い文書について複写できる者を制限し,複写をした者や日時を記録し,日々,不正な複写の有無をチェックする運用を実行すればよい。
また,同事件については,④で述べたとおり,事案防止のためにさまざまな方策がとられており,その後同様の事件は再発していない。そうであれば,既に必要な対策はとられているのであり,新たに秘密保全法制を制定する必要性はない。
防衛省は,「個人的弱点を抱える職員は諜報工作の対象として狙われやすいところ,上司による職員の身上把握が不十分」との点が秘密漏えいの原因だとしている。
しかし,一般的に考えるならば,個人的弱点のない人など存在せず,誰もが何らかの「弱点」を持っている。「弱点」を探し出して,特定の者について「弱点がある」と評価しても何の意味もない。「個人的弱点」の有無を重視する考え方は誤りである。
H3佐の「個人的弱点」とは何だったのか。ボガチョンコフ事件では,確かに難病の子どもを抱えている親が秘密漏えいを起こしたが,H3佐に難病の子どもがいなければ情報漏えいはなかったのであろうか。見舞金の授受は難病の子どもがいなくてもなされうる。金を渡す口実は無数にある。
ボガチョンコフ事件では「個人的弱点」が情報漏えいの1つの原因になっていたかもしれないが,難病の子どもがいるという「個人的弱点」を事前につかんでいれば情報漏えいを回避できたという展開にはなったとは到底考えられない。ボガチョンコフ事件を教訓としても,職員の身上把握の不十分さが漏えいに結びついたとはいえない。」


難病の子どもがいることが弱点だというなら,家族がいる者は多かれ少なかれすべて弱点をかかえているとも言えるでしょう.ローン,病歴も弱点になるでしょう.弱点のない人はいるのでしょうか.立法事実そのものが疑問です.

また,この法案が成立すれば,政府は重要な情報を「特定秘密」として隠ぺいすることを可能となります.
しかも,特定秘密を取り扱う人の範囲は,公務員だけにとどまりません.報道機関の取も制限される懸念があります.

◆ 藤原紀香さんのブログ

藤原紀香さんは,平成25年9月13日,ブログに「秘密保全法案って?」を書きました.

「みなさん、「秘密保全法」 って知っていましたか? 知らない人が多いので、今日はダイアリーに書いてみます♪」

「実は、日経や朝日など各新聞の社説でも、これがこのまま通ると大変なことになると書かれており、もしその可能性があるとしたら、国民の一人としていかがなものかと心配しています

秘密保全法案を、各所で読んでみたらその適用範囲が曖昧なので、
そのようなスパイ行為にあたるものだけでなく、国が‘この案件は国家機密である’と決めたことに関しては、国民には全く知らされないことになり、

放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう。。。なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です(>_<)

もちろん、日本を陥れるべくスパイ行為を働いた輩には罰を与えるべきだと思うし、そのようなスパイ行為が起きないよう なんらかの法案が必要となるとは思います。
が、原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。」

「ちなみに、「秘密保全法」ってなに?という方は、こちらのサイトをご覧ください。

日本弁護士連合会「秘密保全法とは?」
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html

このまま施行されてしまうと、「日本の国土がどれくらい汚染されたのか明らかにしたい」ということさえ、タブーになってしまう可能性があるとのこと。

国が、これらを「特定秘密」に指定すれば、反対の声を挙げている人たちや、真実を知ろうとして民間で調査している人やマスコミ関係者などが逮捕されてしまう可能性があるって。。。日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな(T_T)

私も自分の意見、パブコメに送らせていただきました。国民の一人として。」



【追記】

TBS「秘密保護法案で知る権利は? 政府の意見公募8割が反対論」(2013年9月26日)は、次のとおり報じました.


 「特定秘密保護法案」。これは機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化するものですが、その原案が政府から自民党に示されました。法案をめぐっては「知る権利が守られるのか」といった懸念の声が各所であがっていますが、国民から政府に寄せられた意見のうちおよそ8割が法案に反対する内容だったことも明らかになりました。

 「特定秘密保護法案」は外交や防衛に関する重要情報を「特定秘密」として指定し、これを漏らした公務員らに最高で懲役10年の罰則が科せられるというものです。

 26日、政府が自民党に示した原案では、法律の適用にあたって「報道の自由に十分配慮する」、「基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」という条文も盛り込まれています。ただ、この法案に対しては各所から懸念の声があがっています。

 「我々の活動に大きな制約になる。それを超えて民主主義を後退させるものである」(全国市民オンブズマン連絡会議・新海聡事務局長、今月8日)

 行政の監視を続けている市民オンブズマンの会議では、法案が成立した場合、全国の自治体などに情報公開を一斉に請求するような手法も罰則の対象になる可能性が指摘されたほか、日本ペンクラブや日本弁護士連合会などの団体も「国民の知る権利が侵害される」などとして、反対しています。

 そして・・・、「日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな」。女優の藤原紀香さんもブログで懸念を表明し、政府が国民から意見を募集する「パブリックコメント」に投稿した、と掲載。そして26日、政府はそのパブリックコメントに寄せられた意見のうち、およそ8割が法案に反対する内容だったことを明らかにしました。

 「国民の知る権利だとか取材の自由、これを十分に尊重しながら論定整理を行っているということでありまして。早期に国会に提出して成立させたい。これが政府の姿勢です」(菅官房長官)

 政府が秘密を管理する法案はこれまでも検討されてきました。

 民主党政権でも、尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船と中国の漁船の衝突を記録したビデオが、インターネット上に流出した事件をきっかけに議論され、法律の必要性が訴えられました。当時、党内の意見集約の責任者だった大野元裕参議院議員も、秘密保護法は必要だという考えですが、今回の政府案には危うさを感じているといいます。

 「政府が何が秘密であるかを決定し、政府がその公開の是非というものを決定し、秘密でなくなった時には秘密指定を解除するわけですけど、すべて政府が行います。すると、担保するものが全くないんですね」(民主党・大野元裕参議院議員)

 大野氏は、情報公開に関するルールを明確にすることや、政府による秘密の指定を国会議員が監視する仕組みを作ることなど、さらなる対応が不可欠だと話します。

 異論が噴出している特定秘密保護法案。政府自民党は条文の調整を続ける方針です。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-16 12:04 | 弁護士会

上野原市,市立病院運営委員会設置条例で市民参加

毎日新聞「上野原市立病院:市民の声生かす運営委を設置へ」(2013年9月13日)は,次のとおり報じました.

「市民の要望を踏まえて市立病院の運営を図ろうと、上野原市は10日、市立病院運営委員会設置条例を9月定例市議会に提案した。

同病院は昨年10月に新築移転して開院。指定管理者として、公益社団法人「地域医療振興協会」が10年契約で運営している。

条例では、従来の市と同協会の協議機関に加え、市長の諮問に応じて病院運営の調査や審議をする「運営委員会」を設ける。委員は10人以内で任期は2年。市側は条例可決を経て10月に委嘱式を行う方針。【小田切敏雄】」


経営改善に市民の声を反映させようという動き,市民参加によって安全で安心な医療を実現しようという動きは,各地でみられます.病院運営が透明化され患者目線によってよりよいものになることを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-14 09:34 | 医療

対論・出産事故補償

すこし前になりますが、読売新聞に勝村久司さんと白川修二さんの対談が掲載されていました.

対論・出産事故補償(1)制度見直し論議スタート(2013年8月22日)

勝村 「産科医療補償制度は、医療裁判が多い産科の医師を守ろうという目的で創設された経緯があり、僕は当初、事故の被害者のためというより医師のためという制度に強い違和感を抱いていました。しかし、約5年たってみて、この制度を評価しています。これまでの医療界にはなかった第三者による事故の原因分析と再発防止という機能が、初めて実現したからです。今年に入って創設が決まった医療事故調査制度のモデルとなるものだと思います」

 「見直しについては、現在、対象となる脳性まひの子どもを妊娠週数や出生体重で十分な根拠なく限定していますが、剰余金があるなら、その範囲をもっと広げるべきだと思っています。制度の準備段階では、もっと緩やかな条件も検討されていました。しかし、脳性まひの発症状況について十分なデータがない中での制度設計だったこともあり、まずは少なめにして、5年様子を見た上で見直すという話だったはずです。それが実行されるのを期待しています」


対論・出産事故補償(2)補償範囲 厳し過ぎる線引き(2013年8月22日)

勝村 「その前にまず、現状の脳性まひの子どもの妊娠週数や出生体重の線引きが厳し過ぎるので、その問題を解決してほしいと思います。5年後に見直すと当初から言っていたのですから、それをきちんと実行してからでないと、患者やその家族の立場を軽視した議論になってしまうのではないでしょうか」

 「産科医療補償制度で初めて実現した、第三者による原因分析や再発防止の機能は、医療事故調査制度のモデルとして、産科以外の分野にも広がってほしいと思います。ただし、産科医療補償制度の今回の見直しという範囲においては、脳性まひの子どもについてもっと対象を広げてほしいというのが私の考えです。原因分析や再発防止をきちんとやっていけば、脳性まひの子どもも現状より減らすことができるはずです」


対論・出産事故補償(3)なぜ健康保険でカバーするのか(2013年8月22日)

白川 「確かに、健康保険という公的保険の中で補償金を出すというのは前代未聞なわけです。とはいえ、日本の医療の助けにもなる制度がせっかくできたわけですから、すぐにやめろというような意見は私たちも持っていません。原因究明とか再発防止に生かすために、中身を充実するというか、うまく活用していくことは大事だと思っています」「厚労省もようやく重い腰を上げ、医療事故調査制度みたいなものについて、第三者を入れた形で作ろうということになってきました。これはいいことだと思いますけど、相当遅いというのは私も感じています。産科医療補償制度について言えば、本来は産科医自身が保険料を負担すべき内容なのです。ところが、それを出産育児一時金から負担するというのは、保険としては本来おかしいですよね。これをなぜ健康保険からカバーするのだという意見も、当然あるわけですよね」

対論・出産事故補償(4)通常の出産にも保険適用検討の余地(2013年8月22日)

勝村 「僕は、そもそも出産も保険適用にすべきだと考えています。このことに対し、僕の感触では、病院勤務の先生たちは同意見の方が多いですが、開業医の先生たちには反対の方が多い。でも、僕はやはりそれをしないといけないと思います。自由診療は言い値だから、値上げもコントロールがきかない。どんな医療内容であってもお金が払われるから、質のチェックができない。配置すべき助産師数の基準など、せめてこれだけはという施設要件をすべての医療機関に確保してほしいと思っても、自由診療ではそういうこともできない。保険適用にしていくことが産科医療の質を高め、救急やリスクの高いお産への対応など、本当に必要なところにお金を回すことにつながると、僕は思っているのです」


対論・出産事故補償(5)必要な補償をし、無駄を省く(2013年8月22日)

勝村 「この制度が原因分析と再発防止を実践してきたことで、産科の先生たちの緊張感がより高まって事故が減り、そのために対象者が最初の推定より少なくなってきた可能性もあると思います。データがなく、それを証明することも否定することもできないわけですが。その分、週数や体重といった厳しい条件の線引きを見直して、対象範囲を広げていくということが必要だと思います。脳性まひの子どもを育てている当事者の声を聞かずに、お金の数字だけを見て、見直しの議論を進めていくのだとしたら、僕は、行政のあり方として非常に問題があると感じます」

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-13 23:19

日本生殖医学会、「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存ガイドライン(案)」への意見募集

一般社団法人日本生殖医学会は,平成25年9月13日,「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存ガイドライン(案)」を発表いたしました。

平成25年9月13日から9月30日の間,「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存ガイドライン(案)」への意見募集を行っています.

詳細は一般社団法人日本生殖医学会のサイト


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-13 22:11 | 医療

平成25年司法試験合格者2049人発表

法務省は,2013年9月10日,今年の司法試験の合格者を発表しました.

知人弁護士夫妻の御令嬢(彼女は幼い頃保育園で「じゅうじのべんろんじゅうじのべんろん」と言っていました),知人事務局の御令息(地域の人権派法律事務所に就職する予定らしいです)も合格していました.

50人以上の合格者は以下のとおりです.括弧内は合格率.
慶応義塾 201人(56.78%)
東京 197人(55.18%)
早稲田 184人(38.41%)
中央 177人(40.05 %)
京都 129人(52.44 %)
一橋 67人(54.47 %)
明治 65人(18.36 %)
大阪 51人(36.43 %)
北海道 50人(33.33 %)

法科大学院等別合格者数等

ちなみに予備試験は受験者167人で合格者120人でした.

予備試験合格者参考情報

法科大学院未修者コース(3年)修了者の司法試験合格率は16.6%,法科学院既修者コース(2年)修了者の司法試験合格率は38.4%,予備試験合格者の司法試験合格率は71・9%でした.
閣議決定で,法科大学院修了者の司法試験合格率と予備試験合格者の司法試験合格率が同程度になることが求められていますので,予備試験合格者は来年以降さらにふえることになるでしょう.
法律事務所,企業への就職については,予備試験合格者のほうが有利です.
実務家教員の少ない法科大学院で中途半端な時間を過ごすくらいなら,予備試験で近道をしたいと思うのは当然でしょう。

【追記】

弁護士ドットコム「ロースクール「真の実力校」は千葉と愛知!?~司法試験「未修者合格率」ベスト10」(2013年9月16日)によると,未修者の合格率が高い法科大学院が真の実力校とのこと.

未修者の合格率の高い法科大学院は,以下のとおりです.
千葉    47.4%
愛知    41.7%
一橋    40.5%
慶応義塾 32.1%
首都    31.3%
京都    31.2%
東京    29.3%
早稲田   28.1%
名古屋   27.3%
北海道  27.0%


ちなみに,千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)では,弁護士の石井麦生先生が医事法を教えています.


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-11 10:15