弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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歩きタバコに法規制を

弁護士ドットコム トピックスに岡本光樹先生の「そろそろ歩きタバコを「法律」で規制すべきか?」(2013年9月4日)が掲載されていました.
岡本先生によると,字数制限のため,掲載されたものは,本来のものより短くなっているとのことですが,論旨明快に正論を述べています.


そろそろ歩きタバコを「法律」で規制すべきか?

タバコ片手に混雑した街中をかっ歩する「歩きタバコ」が問題視されている。単にマナーだけの問題ではない。「家族が火傷を負った、絶対に許さない」「煙で喘息が悪化した」など、歩きタバコの被害を訴える声は、ネット上でも数多く見つかる。

今年7月には、元AKB48の仁藤萌乃さんも「突然腕に激痛が走って何かと思ったら、歩きタバコをしている人のタバコがジューって…」と、歩きタバコの被害体験をツイッターで報告している。

歩きタバコは、東京都千代田区や千葉県柏市など多くの地方自治体が「条例」で規制しているものの、「法律」による規制はまだ存在しない。法律で禁止する必要はないのだろうか。受動喫煙対策などに取り組む岡本光樹弁護士に聞いた。

●ケガを負わせた場合は刑事罰や損害賠償責任を問われる

歩きタバコそのものを規制する法律はありませんが、歩きタバコ被害に関連する法律は、すでに幾つかあります。また、多くの地方公共団体が、路上喫煙、歩きタバコ、ポイ捨て等を禁止する条例を制定しています。この中には、罰則規定のある条例も含まれています

岡本弁護士はこう述べる。関連する法律とは、どんなものだろうか。

たとえば、歩きタバコで人に火傷を負わせれば、過失傷害罪(刑法第209条1項)に該当します。罰則(法定刑)は『30万円以下の罰金または科料』です。

また、他人をケガさせたり、衣服を焦がしたりすることは民法の『不法行為』に該当し、被害者に対して損害賠償責任を負います(民法第709条)


●法規制の必要性は高まっている

ただ、これらの法は事故発生後の「事後的な救済策」に留まっている。「歩きタバコによる事故」が起き続けていることを踏まえると、いよいよ、歩きタバコそのものを法律で禁止する必要性があると言えるのだろうか。

そうですね。事故を未然に防止するためには、歩きタバコ自体を禁止する必要もあると言えるでしょう。

また近年は、『屋外の一時的な受動喫煙も重大な健康被害だ』とする声が、特に喘息、化学物質過敏症患者の方や、呼吸器の弱い方などから寄せられています。

このような必要性を踏まえれば、歩きタバコ(路上喫煙)を禁止する法律の制定は、正当であると思います


●最高裁も喫煙の自由を「権利」とは断定していない

しかし、そうなると一方で「喫煙する権利」はどうなるのかという疑問もある。屋内外で喫煙場所は非常に限られてきているからだ。

岡本弁護士はこう述べる。

過去の最高裁判例(昭和45年9月16日)は、喫煙の自由を、『権利』とは断定していません。仮に権利だとしても『あらゆる時、所において保障されなければならないものではない』……つまりは、制限を受けやすいものとされているのです。

さらに、この判決当時に比べて、受動喫煙の有害性に関する医学的知見は確固たるものになっています。また今や『ニコチン依存症』が病気とみなされている時代になりました。喫煙に対する制限は一層正当化されやすくなっていると言えるでしょう


過去、2002年と04年に国会提出された「歩きタバコ禁止法案(軽犯罪法改正案)」は、いずれも廃案になった。しかし、ここまで喫煙者に対する風当たりが強くなると、いつ「3度目の正直」がやってきてもおかしくなさそうだ。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】

岡本 光樹(おかもと・こうき)弁護士

1982年岡山県生まれ。05年東大法卒、06年弁護士登録。
国内最大手の法律事務所などを経て、11年に独立。企業法務や労働案件、受動喫煙に関する係争・訴訟、家事事件などを幅広く扱う。第二東京弁護士会で人権擁護委・副委員長や受動喫煙防止部会長などを務める。
事務所名: 岡本総合法律事務所


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谷直樹

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by medical-law | 2013-09-11 08:36 | タバコ

特別養子縁組支援「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」発足

2013年9月8日,特別養子縁組支援の協議会発足,あんしん母と子の産婦人科連絡協議会が発足しました.

「•第一に考慮すべきは子の幸せであり、次に実母の心のケアを大切にする。
•虐待防止の視点から必要に感じて養子縁組を行うのであり、養子縁組が優先するのではない。
•実母、養親いずれからも謝礼や寄付金などを取らない。医療の一環として扱う。」

という基本姿勢を明記しています.

設立趣意書は次のとおりです.

「わたしたちは先人たちの様々な知恵と失敗に学び、福祉と医療をつなぎ、産婦人科同士も連携を取って、追い詰められた母と子を救い、赤ちゃんが欲しくてもかなわなかった愛情たっぷりのご夫婦に赤ちゃんを託し、赤ちゃんの人生を少しでも明るいものにするお手伝いができるように、あんしん母と子の産婦人科連絡協議会を立ち上げました。

小さな子供たちにとって愛情深い両親に見守られて育つこと以上に素晴らしいことはありません。これこそがボンディング形成の基本単位であり、物質的な豊さ以前に子供のために整えるべき環境の中で最優先すべきものであり、教えていくべきことであると思います。父と母が信頼し合っている家庭で育つ子供は、人を信頼する心、愛する心を家庭でしっかり身につけることにより、人生を肯定し、その後の人生において安定した幸福な人間関係を築いていく事ができる様になります。そしていつかその子が家庭を築いた時、良い連鎖を生み出し、ボンディングはさらにその子供に、脈々と受け継がれていくことでしょう。

患者さんの身体のみならず、心の痛みを和らげ健全な日常生活に尽力するのは医の道を歩むものの使命であり、妊娠に戸惑い、悩み、悲嘆にくれる妊婦さんに寄り添い、産まれ来る新しいいのちを守ることに人生をかけるのは、産婦人科医療に携わる特権を得たわたしたちの責務であると自覚しています。わたしたちは日夜、妊娠を望みながらなかなか赤ちゃんに恵まれない患者さんたちと、妊娠しても自分で育てる道を選べない妊婦さんの狭間で生きています。
微力ながら協議会一同、力を合わせて押し進めていきたいと思っております。」


NHK「特別養子縁組支援の協議会発足」(2013年9月8日)は,次のとおり報じました.

出産した親が育てられない乳幼児の特別養子縁組を支援しようと、全国にある20の産婦人科の医療機関が8日、協議会を発足させ、子育てを望む夫婦へのあっせんを進めることになりました。

この協議会は「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」で、全国の14の道府県にある20の産婦人科の医療機関が参加しました。
特別養子縁組は、血縁関係のない子どもと大人が裁判所の許可を得て戸籍上の親子関係を結ぶ制度です。
出産した親が育てられず乳児院で暮らす子どもは、およそ3000人に上っていますが、民間団体や児童相談所があっせんして成立する特別養子縁組は、年間百数十人にとどまっています。
このため特別養子縁組のあっせんを支援しようと、埼玉県熊谷市で産婦人科の診療所を開いている鮫島浩二医師が中心になって協議会を作ったもので、8日、初めての会合を開き、活動を始めました。
協議会では、当面は鮫島医師の診療所を窓口にして、望まない妊娠をした女性などからメールと電話で相談を受け付けたうえで、協議会のうち最も近い医療機関を紹介し、子育てを望む夫婦にあっせんするとしています。
子育てを望む夫婦は事前の登録が必要で、当面は妻の年齢が48歳未満、3年後からは46歳未満を条件とする方針だということです。
記者会見で鮫島医師は「小さな子どもは家庭で育つべきで、妊婦に関わる各地の産婦人科の医師が連携することで、特別養子縁組を増やし、子どもたちがより幸せになれるようにしたい」と話しています。

日本医師会理事「国に支援働きかける」

記者会見に同席した日本医師会の今村定臣常任理事は「赤ちゃんの虐待を防ぐためにも、妊婦にいちばん近くで接している産婦人科医があっせんを行うことは意義のあることだと思う。一部の医師の情熱や善意だけでは事業の継続は難しいので、今後、国に対して、制度作りや助成金などの支援について働きかけていきたい」と話していました。」


今までもあっせんを行っている団体がありましたが,寄付など不透明な点が指摘され,不安を感じていた人もいたのではないでしょうか.その意味で「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」ができたことは大きな意味があります.
なお,今後を考えると,今村理事が述べるように,国の助成が不可欠でしょう.

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by medical-law | 2013-09-10 09:33 | 福祉

聖路加国際病院,腹腔鏡手術で切除した子宮筋腫の一部を取り出し残す

msn産経「切除した筋腫、体内に取り残す 聖路加国際病院でミス」(2013年9月5日)は,次のとおり報じました.

聖路加国際病院(東京都中央区)で先月行われた子宮筋腫の手術で、切除した筋腫の一部を30代の患者の体内に取り残すミスがあったことが5日、同病院への取材で分かった。その後再手術で摘出した。「深く反省し、再発防止に努めたい」としている。

 病院によると、手術は8月6日、腹腔鏡を使って実施された。筋腫8個を切除したが、そのうち一部を取り出さないまま、おなかを閉じていた。筋腫は肝臓の裏に隠れており、手術後のチェックで見つからなかったという。

 画像検査でミスが判明。患者と家族に説明と謝罪をした。執刀医は日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医だった。」


朝日新聞によると,肝臓の裏に落ちたのは約8cmのとのことです.
日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医でも,このようなミスがあるのですね.

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by medical-law | 2013-09-10 09:09 | 医療事故・医療裁判

2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催により,受動喫煙防止条例制定必要

日本禁煙学会は,「2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催決定を祝します」を発表しました.

「IOCは1988年以来オリンピック大会禁煙方針を採択し、会場の禁煙化とともにタバコ産業のスポンサーシップを拒否して、2010 年 7 月には WHO とタバコのないオリンピックをめざす協定にも調印しています(資料1)。東京オリンピックにおいても北京やソチと同様に、オリンピック開催までにレストラン・バーを含む完全な受動喫煙防止条例を施行する必要性があります。

 IOCの方針にともないバルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロあるいはロシアのソチなど、オリンピック開催都市にはすべて罰則付きの受動喫煙防止法または条例が存在しています。世界一喫煙率の高い中国ですら、北京オリンピック開催のために、 北京市に受動喫煙防止条例を制定したことは記憶に新しいところです(資料2)。

 受動喫煙防止条例施行のためには、日本禁煙学会はもちろんのこと、東京都医師会、東京都歯科医師会、東京都薬剤師会、東京都看護協会などの全面的な応援を見込めるでしょう。すでに東京都には、理想的な受動喫煙防止条例(案)が東京都医師会からご提案済みになっております。

 猪瀬都知事の力強いリーダーシップのもと、是非とも受動喫煙防止条例を実効性あるものとするため、上記団体とご協力をお願い申し上げます。これはそのまま都民や国民の健康増進と直結することになるでしょう。」


60才以前の死亡の約90%は発展途上国で発生しており,タバコ使用,健康的でない食習慣,運動不足をなくすることで予防できるのですから.


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by medical-law | 2013-09-09 09:33 | タバコ

産科・産婦人科のある病院22年連続減少,小児科のある病院29年連続減少

NHK「産科のある病院 22年連続で減少」(2013年9月9日)は,次のとおり報じました.


産科や産婦人科がある病院の数は、訴訟のリスクが高く、医師不足が続いていることなどから、22年連続で減少したことが、厚生労働省の調査で分かりました。

厚生労働省は、全国の病院が設けている診療科を毎年調査していて、去年10月時点でおよそ8500施設を対象にした結果がまとまりました。
それによりますと、産科や産婦人科がある病院は1387施設で、前の年より8施設減りました。
産科や産婦人科のある病院が減るのは22年連続で、10年前と比べると363施設、率にして21%減っています。
また、小児科がある病院は2702施設で、前の年より31施設減りました。
19年連続で前の年よりも減り、10年前と比べると20%減っています。
厚生労働省は、訴訟のリスクが高いことなどから、産婦人科や小児科の医師不足が続いていることに加え、不足による労働環境の悪化を防ぐため、地域で拠点となる病院に医師を集約させているためだと分析しています。
厚生労働省は、小児科や産科などの診療報酬を加算したり、地域での医師の確保に補助金を出したりして、診療科による偏りを緩和していくことにしています。」


産婦人科や小児科の医師不足の原因を訴訟のリスクに求めるのは,正確な情報に基づくものなのでしょうか.過酷な労働環境が医療事故を招いている面はないのでしょうか.

全国の地方裁判所の既済事件数は,産婦人科については,近年減少傾向にあります.
平成22年89件,平成23年82件,平成24年59件です.
全国の地方裁判所の既済事件数は,小児科については,横ばいです.
平成22年22件,平成23年19件,平成24年22件です.
訴訟は増加していないのに,医師数が減少しているのです.

子どもの人口は32年連続減少しています.何か起きたときのバックアップ体制を充実させるためには,産科医療施設の統合集約化が必要とされています.
医療施設が連続減少していることが,訴訟リスクのためというのは本当に正しいのでしょうか.

これまで産科医師,小児科医師の過酷の労働実態を解消するための積極的な支援対策はなされずにきました.積極的な支援対策の実施こそが問題の解決につながる,と思います.


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by medical-law | 2013-09-09 08:59 | 医療

3年間に4件の医療事故のリピーター医師が医師免許を保持し続ける理由

法と経済ジャーナルに,出河雅彦(いでがわまさひこ)氏の「医療ミスを繰り返すリピーター医師、免許取り消されず」(2013年9月4日)が掲載されていました.
1998年~2001年の3年間に計4件の医療事故を起こし,この4件の事故すべてについて過失を認めて損害賠償金を支払った医師が,軽い処分しかうけず,医師免許を保持し続ける理由を述べています.一読をお奨めいたします.

「若林一道さんはこう語る。
「本人が過失を認めなければ処分できない」と厚生労働省が言うから、塩井医師がリピーター医師であるという証明を事故の被害者である私たちがしなければならなかった。4件の事故すべてについて塩井医師が自らの過失を認めた2010年3月の和解調書によって十分な証拠がそろったと考えたが、厚生労働省はリピーター医師として処分せず、あえて分離して処分を出した。厚生労働省にだまされた、と思わざるを得ない。
厚生労働省は「リピーター医師の定義はなく、把握もできない」というが、医療を受ける患者にすれば、そのような医師が野放しになっているのでは安心して医療を受けることができない。
10年間活動してきたが、一歩も前に進んでいないというのが実感だ。リピーター医師を認定することに何か不都合なことでもあるのだろうか。なぜ厚生労働省がそこまで頑なになるのか理解できない。
会の活動を始めた当時は、重大な医療事故が相次いで表面化したこともあって署名活動を応援してくれる人たちも多かったが、帝王切開手術に伴う死亡事故で産婦人科医が逮捕された福島県立大野病院事件(2006年)を境に雰囲気がガラッと変わった。署名活動をしていたら、「君たちのせいで小児科医や産科医が減っている」と面と向かって非難されたこともある。
ほとんどの医師が患者の命を救うために日夜頑張ってくれていることは私たちもよく理解している。同じミスを繰り返すような医師がいなくなってほしい。願いはそれだけです。」」


最近では,銀座眼科の元院長に対する行政処分が注目されます.

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by medical-law | 2013-09-09 00:03 | 医療事故・医療裁判

沼津市立病院,アナフィラキシーショックによる死亡,帝王切開後の母児死亡でそれぞれ和解(報道)

毎日新聞「医療死亡事故:沼津市立病院の2件、市側と遺族和解へ」(2013年9月7日)は,次のとおり報じました.

 
「沼津市立病院で、2010年と05年に起きた2件の医療死亡事故で、市側が4000万円と300万円を遺族に支払うことで和解が成立する見通しとなった。市は6日、損害賠償2議案を13日開会の市議会定例会に提出すると明らかにした。

 10年10月の事故は、富士宮市の男性(当時68歳)が整形外科で腰を手術する際、麻酔薬へのアレルギー反応のショック症状で死亡した。市側は4000万円を支払う。05年12月の事故は、ドクターヘリで搬送された下田市の妊婦(当時31歳)が帝王切開となり、死産になって妊婦も心不全で死亡した。300万円を支払う。

 後藤信昭院長は「患者と家族に改めて深くおわびする。安全で安心な医療が提供できるよう、さらなる医療技術向上に努めている」とコメントした。【石川宏】」


麻酔薬へのアレルギー反応のショック症状後の死亡事案は,注意義務違反のみならず因果関係まで認められる事案だったのでしょう.
そえに対し,帝王切開後の母児死亡は相当程度より以上の因果関係まで認められない事案だったのでしょう.

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by medical-law | 2013-09-07 21:25 | 医療事故・医療裁判

香川県立中央病院,術後管理に不備,病院全体で医療安全対策に取り組む(報道)

四国新聞「術後管理に過失/香川県立中央病院」(2013年9月6日)は,次のとおり報じました.

「香川県立中央病院(塩田邦彦院長)は5日、2008年にあごの矯正手術を受けた後、意識不明の寝たきり状態となっている県外の20代男性患者について、容体急変時の対応が遅れる過失があったとして、慰謝料など損害賠償金2億2250万円を支払うと発表した。同病院で発生した医療過誤では過去最高額となる。

 同病院によると、男性は08年8月、顎(がく)変形症の治療であごの骨を切る手術を受けたが、術後2日目の早朝に気道がふさがり、心肺停止となった。当直医らが救命措置を取ったものの、院内の連絡がうまくいかずに蘇生専門の麻酔医の到着が約3分遅れ、低酸素性脳症で寝たきり状態になった。

 病院側は事実関係を調査した上で09年に過失を認め男性側に謝罪。和解交渉の末、今年8月に合意した。賠償金のうち2億円は保険金、残りは県費を充てる。県は12日開会の9月定例県議会に関連議案を提出、議決後に和解書を締結する。

 また、07年11月にあごの矯正手術を受けた県外の40代女性患者も術後に心肺停止となり、脳に障害が残ったと発表。集中治療室(ICU)で経過観察をしていないなど術後管理に問題があったとして、08年3月に女性側に謝罪し、和解交渉を進めていることを明らかにした。

 会見した塩田院長は「いずれも手術に問題はなかったが、術後管理に不備があった。男性のケースではすぐに麻酔医が到着していれば、脳症の程度が軽くなっていた可能性がある。心よりおわびするとともに、病院全体の安全対策向上に努める」と謝罪した。

 再発防止策としては、同様の手術を受けた患者のICUでの経過観察期間を延長したことや、患者の容体急変時に行う「院内緊急一斉放送」を24時間態勢に変更したことなどを示した。」


msn産経「香川の県立病院で医療ミス あご手術後に後遺症 2億2250万円賠償へ」(
2013年9月6日)は,次のとおり報じました.

 
「香川県立中央病院(高松市)は5日、「うけぐち」と呼ばれる顎(がく)変形症で手術を受けた県外の20代男性の術後管理に過失があり、寝たきり状態になる後遺症が残ったとして、2億2250万円の損害賠償を支払い和解することで合意したと発表した。

 同病院によると、平成20年8月、男性は顎変形症の治療のため、上あご、下あごの骨を切るなどの手術を受けた。2日後に容体が急変し心肺停止状態となったが、院内の連絡ミスで麻酔科医の到着が遅れ、低酸素性脳症などで意識障害と手足のまひが残った。

 男性は集中治療室(ICU)で1日経過観察し、一般病棟に移った後に容体が急変した。病院側はこの際の対応の遅れが、後遺症の重度化を招いたとしており、手術自体に問題はなかったとしている。また、19年11月にも同様の手術を受けた県外の40代の女性が術後に容体が急変して機能障害の後遺症が残り、和解交渉を続けていることも明らかにした。

 同病院は、再発防止策として、麻酔科医が常駐するICUでの経過観察期間を延長したほか、緊急事態に迅速に対応できるよう院内緊急一斉放送を24時間態勢で行っている。

 同病院の塩田邦彦院長は「2件の事故を重く受け止め、病院全体で医療安全対策に取り組む。患者本人、家族に心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。」


事故は非常に残念ですが,その後再発防止のため病院全体で医療安全対策に取り組んでいることは評価できます.

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by medical-law | 2013-09-06 19:19 | 医療事故・医療裁判

第23回産科医療補償制度運営委員会,第14回制度見直しの検討

MSN産経「運営委、掛け金剰余金を返還しない方針」(2013年8月31日)は,次のとおり報じました.

「お産の事故で重度の脳性まひになった子供を補償する「産科医療補償制度」の掛け金で多額の剰余金が出ている問題で、制度を管理する日本医療機能評価機構の運営委員会は30日、剰余金を返還しない方針で一致した。今後の掛け金引き下げや補償範囲の拡大などについては議論を続け、年内に取りまとめる。

 同制度は平成21年に始まり、お産で重度の脳性まひが起きた際の経済的負担を補償するため、病院などの分(ぶん)娩(べん)機関が1分娩当たり3万円の掛け金を支払っている。機構は年間の補償対象を800人として掛け金を3万円と決めたが、実際は500人未満と推計され、年120億~140億円の剰余金が出る見込みだ。

 委員会では、剰余金を返還する案と将来の掛け金に充当する案の2案が話し合われたが、「どうやって補償対象を拡大していくかを考えるべきだ」との意見が相次ぎ、返還はしないことで一致した。

 剰余金をめぐっては、分娩機関や妊産婦が返還を求め、国民生活センターにADR(裁判外紛争解決手続き)を申し立てている。」


健康保険組合連合会は,返還を主張していますが,日本医師会は,対象範囲や補償金額の見直しも行うべきであるという考えです.
日本の社会福祉の現状等を考えると補償金額を引き上げる方向が望まれます.
産科医療の訴訟リスクを軽減するという観点からも,補償金額の増額が望ましいでしょう.例えば補償金額が4倍になれば,産科脳性麻痺訴訟は激減するでしょう.
また,今の対象範囲の限定は,境界線上で悩ましい事案もありますので,範囲の拡大が望まれます.

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by medical-law | 2013-09-03 06:19 | 医療

"マチ弁"の金持ち度、人権派弁護士は質素、中小企業法務専念型弁護士は余裕

東洋経済(2013年08月29日)に伊藤歩氏の「人権派弁護士は食えるのか? 経営センスで雲泥の差 "マチ弁"の金持ち度」が掲載されています.

◆ マチ弁族

「日本弁護士連合会が昨年11月に発行した弁護士白書によると、2012年3月末時点で3万2088人いる弁護士のうち、1人事務所所属の弁護士は実に25.92%を占める。もっとも、1人事務所所属の弁護士の割合はこの10年間で大きく減っていて、2002年3月末時点(当時の弁護士数は1万8861人)では、45.28%が1人事務所所属だった。

2人事務所の割合は今も10年前もさほど違わず14%強だが、この10年で増えたのは3~5人の事務所と、6~10人の事務所だ。3~5人の事務所は10年前は19.76%だったが、2012年3月末時点では23.97%に増え、6~10人の事務所は8.92%から13.87%に増えている。」


伊藤氏は、独立する弁護士が減少したので、1人事務所が減少したと分析しています.
10人以下の事務所が、マチ弁族だそうです.

◆ 人権派弁護士

「マチ弁族は極めて大ざっぱな分け方をすると、社会的弱者救済のために、わずかな報酬で献身的な弁護士活動を続ける、いわゆる人権派と言われる弁護士たちと、それ以外の弁護士たちに分けられる。人権派の代表格は、医療訴訟で患者側の代理人を務める弁護士である。大規模な薬害被害の救済のための訴訟では、全国規模の弁護団を結成する。弁護団結成の音頭を取るのは患者側の医療訴訟の大家の弁護士で、その大家の弁護士をリスペクトする全国の弁護士が集い、情報を共有し、訴訟方針の統一を図って対応する。」

「人権派としての活動だけをやっていたら事務所経営は成り立たない。そこで、事務所の経営に必要な最低限度の稼ぎを中小企業法務で稼ぐということになり、基本的に人権派弁護士の事務所はかなり質素だ。」


◆ 人権派以外のマチ弁

「最近は大企業も弁護士事務所の使い分けを徹底し、高い弁護士報酬を支払わないで済むようにしている。このため、専門性が高く、複雑で難しい事案は大事務所に高いフィーを払って依頼するが、機動性が求められ、最先端の法務知識を必要としない事案についてはマチ弁事務所を使う。安く、さっさと手際よく動けない大事務所は、こと日常的な企業法務となると役に立たない。」

「中小企業や一部の大企業から1カ月に5万~6万円程度の顧問料をもらって安定収益を確保する一方で、会社の保有不動産の売却や、事業継承といった、単発でも比較的稼ぎが大きい事件の依頼も不定期ながら獲得していくという形が、人権派以外のマチ弁事務所の典型と言える。」

「おカネにならないことを承知で弱者救済に邁進している人権派の弁護士は、中小企業法務に割く時間が中小企業法務専念型の弁護士よりも少ないので、中小企業法務専念型の弁護士のほうが総じて経済的に余裕がある。」


◆ 谷直樹法律事務所の場合

私は、医療訴訟で患者側の代理人を務める弁護士で、鈴木利廣先生らをリスペクトし、弁護団に参加していますから、人権派弁護士に分類されるのでしょう.
担当する事件は医療事件の患者側だけです.
中小企業法務を手がけることはありませんので金持ち度は低いですが、事務所経営が成り立つようにしています.
たしかに、質素ではありますが.


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-02 02:02 | 司法