弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2013年 10月 ( 47 )   > この月の画像一覧

医療関係者も誤解,妊娠中に胎児へうつる2つの感染症

健康百科「トキソプラズマとサイトメガロウイルス―患者会が訴え」(2013年10月30日)によると,第45回日本小児感染症学会のシンポジウムで,トーチの会北海道支部長の吉田氏は「医療関係者でもサイトメガロウイルスに対し、風疹のような飛沫感染があると誤解があった。正しく指導することが当たり前なのに、それができていなかった」と述べ,トーチの会代表の渡邊氏は、妊婦の啓発用パンフレットなどにトキソプラズマやサイトメガロウイルスの母子感染に関する記述がないことに触れ、「感染の可能性が高く重い障害が残る恐れがあるにもかかわらず、正しい知識を得る機会がない」と述べた,とのことです.

「先天性トキソプラズマ症の原因となるトキソプラズマは、ネコ科動物の糞や家畜の肉、土中などに潜む原虫で、口から感染すること(経口感染)が多い。世界で30%以上の人が感染しているとの試算もあるが、成人感染では無症候か軽い風邪の症状で終わることが大半だ。

 先天性サイトメガロウイルス症の原因となるサイトメガロウイルスも日常生活で接することは珍しくなく、母乳や唾液、尿、性行為などで感染する。日本では成人の半数以上が免疫を持っているとされ、健康であれば感染しても特に問題は起きない。

 ところが、いずれも妊婦が初めて感染した場合は深刻な問題につながる恐れがある。妊娠時期で異なるがトキソプラズマは10~70%、サイトメガロウイルスは30~50%の割合で胎児に感染するとされ、最悪の場合は流産や死産になったり、脳に障害が残ったりする。出生時に問題がなくても、子供が成長するにつれて視力や聴力に何らかの障害が現れてくるケースもある。」


「過去の全国調査結果を根拠にこれらの先天性感染症に無頓着な医療関係者が少なくないと指摘し、妊婦や妊娠希望者などへの抗体検査や感染児の障害に対する早期発見・治療などを充実させる対応策を提案。同会の活動にも触れ、公式サイトで母子感染予防パンフレットが無料でダウンロードできることなども紹介した。」

小児科医のみならず,産科医にも聞いていただきたい内容と思います.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-31 08:04 | 医療

「高血圧治療ガイドライン2014」へ向けて

日本高血圧学会は、欧米とはかなり異なる「高血圧治療ガイドライン2014」を制定するようです.

ミクス「高血圧治療ガイドラインJSH2014 第一選択薬からβ遮断薬外れ4クラスへ」(2013年10月28日)は、次のとおり報じました.

「日本高血圧学会は、高圧治療ガイドライン(GL)の改訂に際し、第一選択薬からβ遮断薬を外し、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4クラスとすることを明らかにした。ただし、β遮断薬は従来通り主要降圧薬の1クラスに位置づけ、心不全や狭心症など心疾患合併高血圧では積極的適応とした。病態や合併症の有無に応じた降圧薬の選択も求められるところだ。GL改訂は2009年以来5年ぶり。年内はさらに議論を深め、14年4月1日に高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)を公開、同時に英語版を公表する予定という。10月24~26日まで大阪国際会議場で開催された第36回日本高血圧学会総会の特別企画「高血圧治療ガイドラインJSH2014概要」では、改訂点をめぐる議論がなされた。

◎改訂項目 少なくとも32項目に

改訂項目は、家庭血圧の評価方法、配合薬の第一選択薬としての位置づけなど高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)で懸案とされた項目や、JSH2009本文中の矛盾点に加え、ARB・バルサルタン(製品名:ディオバン)の関連論文や利益相反(COI)など、少なくとも32項目にのぼる見込み。COIについては序章で明記し、製薬企業名を公表するなどして、透明性の高さを担保した。改訂に際しては、“実地医科”が使いやすいことを目指したほか、エビデンスだけでなくコンセンサス(合意)を加えたことなどを作成方針としたという。

◎心血管病抑制効果“種類よりも降圧度によって規定”

降圧療法については、「降圧薬の心血管病抑止効果の大部分は、その種類よりも降圧度によって規定される」(推奨グレードA)とし、降圧の重要性を強調した。その上で、第一選択薬については、「積極的適応がない場合の高血圧に対して、最初に投与すべき降圧薬はCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の中から選択する」(推奨グレードA)と明記した。

第一選択薬は、“積極的適応がない場合の高血圧に使用すべきもの”と定義。今回の改訂で第一選択薬から除外されるβ遮断薬については、「一般的な高血圧に対する第一選択薬からは除外するというコンセンサスに達した」と説明した。

β遮断薬については、ASCOT-BPLAやLIFEなどの大規模臨床試験やメタ解析の結果に加え、これらエビデンスを裏付ける糖代謝障害作用、臓器障害抑制や中心血圧低下効果の減弱なども分かってきた。さらに、日本人本態性高血圧患者を対象としたCOPE試験の結果などから、総合的に判断し、「降圧薬としては、他剤に劣るとの国内外のエビデンスから、主として心疾患合併高血圧に対して使用されるべきである」とした。ただし、「豊富なエビデンスを有する主要な降圧薬であることには変わりなく、特に心疾患合併患者には、しばしば積極的な適応となる」ことも明記する。

また、配合剤については、第一選択薬に位置づけることが見送られた。この理由として、配合剤は、“第一選択薬としないこと”と添付文書にも記載されており、保険診療上の課題があることに加え、単剤2剤併用の方が容易に用量調整できることなどを挙げた。

病態や合併症に応じた積極適応では、心房細動(予防)について、「一次的な適応はない」として削除された。また、CKDについては、蛋白尿の有無に分けて記載され、蛋白尿がない場合はARB/ACE阻害薬に加え、Ca拮抗薬や利尿薬も積極的適応とされた。

なお、本誌取材によると、論文が撤回されたARB・ディオバンの位置づけについては、理事会、評議員会で継続して審議されるという。

◎CKD 蛋白尿陽性患者のみ降圧目標明記

降圧目標についても、カテゴリーが変更された。CKDは蛋白尿陽性患者についてのみ明記。JSH2009では、「糖尿病、CKD、心筋梗塞後患者」とされたカテゴリーも、「糖尿病」と「CKD患者(蛋白尿陽性)」の2つに分類。糖尿病患者では、診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満とした。CKD陽性患者では、診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満(目安)とされた。また、冠動脈疾患患者については、脳血管障害と同様に診察室血圧140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満(目安)とされた。

高齢者も前期高齢者、後期高齢者に分け、リスクを分類。前期高齢者は、若年者・中年者と同じカテゴリーに分類。診察室血圧140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満とした。後期高齢者は診察室血圧150/90mmHg未満(忍容性があれば140/90mmHg未満)、家庭血圧145/85mmHg未満(忍容性があれば135/85mmHg未満)とした。

また、これまで糖尿病やCKD合併例などでリスクが明記されていた正常高値血圧(130~139/85~89mmHg)についても、リスク層別化の表から削除。リスク層別化や初診時高血圧管理計画は、正常高値を含まない“高血圧(140/90mmHg以上)”に特化する格好となった。

血圧値については、家庭血圧の重要性を強調。「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」とした。議論となっていた測定回数も、「原則2回測定し、その平均値」と明記。1回のみの測定の場合は、補助的に血圧値と用いるとした。」


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-30 01:49 | 医療

徳島県立中央病院、約10センチのポリ塩化ビニール製の管を体内に置き忘れ、23万2900円賠償

読売新聞「手術後体内に器具放置ミス、長さ10センチの管」(2013年10月26日)は、次のとおり報じました.

「徳島県立中央病院(徳島市)で昨年6月に行われた手術で、男性患者の体内に医療器具のポリ塩化ビニール製の管(直径7~8ミリ、長さ約10センチ)1本を置き忘れる医療ミスがあったことがわかった。


 手術後のX線検査で判明し、すでに除去しており、患者に健康被害はないという。

 県病院局によると、胸腔きょうくう鏡下手術で、医師が患者の胸部に管を挿入したまま縫合。4日後のX線検査で判明し、その4日後に再び手術を行って取り除いた。管は血液などを体外に排出するための器具で、患者側には損害賠償として、23万2900円を支払ったという。県病院局は「患者の方には迷惑をおかけして申し訳ない。事故防止に向けて取り組む」としている。」


胸腔鏡下手術に集中し、終わってほっとしたときに注意力が途絶えて置き忘れが生じたのかもしれません.置き忘れ自体も問題ですが、置き忘れを点検しなかったことも問題と思います.再発防止のために点検を徹底していただきたいと思います.
なお、健康被害はないとのことですが、除去の手術を要したわけですから、精神的損害にとどまらない「損害」が生じています.23万2900円は、その損害も含めての賠償と考えられます.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-30 01:28 | 医療事故・医療裁判

第15回薬害根絶フォーラム

第15回薬害根絶フォーラム(主催全国薬害被害者団体連絡協議会)

第一部 9団体による被害実態の発表
      第一部特集「抗がん剤イレッサ副作用死亡被害」
第二部 徹底討論「薬害と経済」

が10月26日13時から慶應義塾大学薬学部(芝共立キャンパス1号館)にて開催されました.

弁護士古賀克重先生のブログに,詳細が載ってます.

ブログ「笑顔の江川」にも載っています.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-29 17:26 | 医療

Metoclopramide in Pregnancy and Risk of Major Congenital Malformations and Fetal Death

消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)に用いられる,プリンペラン(一般名メトクロプラミド)の添付文書には,「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]」と記載されています.
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するというのは,当然なのですが・・・

「妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。」という一文が不安を感じさせるのですが,デンマークのコホート研究で,1997年から2011年まで122万2503件の妊娠を観察した結果,妊婦へのメトクロプラミド投与は奇形発生率を上昇させなかったという報告がありました.
主要な先天性奇形について暴露群25.3対非暴露群26.6,自然流産について20.0対62.1,死産について3.5対3.9で,いずれもリスクの増加がみられなかったとのことです.

Metoclopramide in Pregnancy and Risk of Major Congenital Malformations and Fetal Death」(JAMA. 2013;310(15):1601-1611)参照

「RESULTS:

Among 28,486 women exposed to metoclopramide in the first trimester, 721 had an infant with a major congenital malformation (25.3 [95% CI, 23.5-27.1] cases per 1000 births), compared with 3024 among 113,698 unexposed women (26.6 [95% CI, 25.7-27.5] per 1000 births). There were no significant associations between metoclopramide use and malformations overall (prevalence odds ratio, 0.93 [95% CI, 0.86-1.02]) or any of the 20 individual malformation categories, eg, neural tube defects, transposition of great vessels, ventricular septal defect, atrial septal defect, tetralogy of Fallot, coarctation of the aorta, cleft lip, cleft palate, anorectal atresia/stenosis, and limb reduction (upper limit of 95% CI below 2.0 for 17 of 20 categories). Metoclopramide was not associated with increased risk of spontaneous abortion (757 cases [20.0 {95% CI, 18.5-21.4} per 1000] among 37,946 metoclopramide-exposed women and 9414 cases [62.1 {95% CI, 60.9-63.3} per 1000] among 151,661 unexposed women; HR, 0.35 [95% CI, 0.33-0.38]) and stillbirth (142 cases [3.5 {95% CI, 2.9-4.1} per 1000] among 40,306 metoclopramide-exposed women and 634 cases [3.9 {95% CI, 3.6-4.2} per 1000] among 161,098 unexposed women; HR, 0.90 [95% CI, 0.74-1.08]).

CONCLUSIONS AND RELEVANCE:

Metoclopramide use in pregnancy was not associated with increased risk of major congenital malformations overall, any of the 20 individual malformation categories assessed, spontaneous abortion, or stillbirth. These safety data may help inform decision making when treatment with metoclopramide is considered in pregnancy.」


2009年の「The Safety of Metoclopramide Use in the First Trimester of Pregnancy」(N Engl J Med 2009; 360:2528-2535)の結果を裏付ける形になりました.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-29 08:05 | 医療

「妊婦の大気汚染物質曝露」と「児の低出生体重リスク」に関連性

スペイン環境疫学研究センターのMarie Pedersen氏らは、欧州12カ国で行われた14件の研究を解析した結果,妊娠中に大気汚染物質へさらされると、児の低出生体重リスクの関連が明らかになりました.

健康百科「大気汚染、基準値以下でも胎児の発育に影響―欧州研究」(2013年10月21日)は,次のとおり伝えています.

直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が1立方メートル当たり5マイクログラム上昇するごとに、低出生体重リスクが18%増加していた。現在、EUが示している大気環境基準の限界値(年間平均25マイクログラム)より低い20マイクログラムの範囲内でも、低出生体重リスクが増加しており、直径10マイクロメートル以下の粒子状物質「PM10」や二酸化窒素でも、濃度が上昇するごとに低出生体重リスクが増加していた。また、住所に最も近い道路の交通量が増えると低出生体重リスクの増加が見られたという。

 PM2.5の濃度を世界保健機関(WHO)の基準値(年間平均10マイクログラム)まで抑えた場合、低出生体重リスクを22%減らすことができると推計された。」


Ambient air pollution and low birthweight: a European cohort study (ESCAPE)」のSummaryは,以下のとおりです.


「Background

Ambient air pollution has been associated with restricted fetal growth, which is linked with adverse respiratory health in childhood. We assessed the effect of maternal exposure to low concentrations of ambient air pollution on birthweight.

Methods

We pooled data from 14 population-based mother—child cohort studies in 12 European countries. Overall, the study population included 74 178 women who had singleton deliveries between Feb 11, 1994, and June 2, 2011, and for whom information about infant birthweight, gestational age, and sex was available. The primary outcome of interest was low birthweight at term (weight <2500 g at birth after 37 weeks of gestation). Mean concentrations of particulate matter with an aerodynamic diameter of less than 2·5 μm (PM2·5), less than 10 μm (PM10), and between 2·5 μm and 10 μm during pregnancy were estimated at maternal home addresses with temporally adjusted land-use regression models, as was PM2·5 absorbance and concentrations of nitrogen dioxide (NO2) and nitrogen oxides. We also investigated traffic density on the nearest road and total traffic load. We calculated pooled effect estimates with random-effects models.

Findings

A 5 μg/m3 increase in concentration of PM2·5 during pregnancy was associated with an increased risk of low birthweight at term (adjusted odds ratio [OR] 1·18, 95% CI 1·06—1·33). An increased risk was also recorded for pregnancy concentrations lower than the present European Union annual PM2·5 limit of 25 μg/m3 (OR for 5 μg/m3 increase in participants exposed to concentrations of less than 20 μg/m3 1·41, 95% CI 1·20—1·65). PM10 (OR for 10 μg/m3 increase 1·16, 95% CI 1·00—1·35), NO2 (OR for 10 μg/m3 increase 1·09, 1·00—1·19), and traffic density on nearest street (OR for increase of 5000 vehicles per day 1·06, 1·01—1·11) were also associated with increased risk of low birthweight at term. The population attributable risk estimated for a reduction in PM2·5 concentration to 10 μg/m3 during pregnancy corresponded to a decrease of 22% (95% CI 8—33%) in cases of low birthweight at term.

Interpretation

Exposure to ambient air pollutants and traffic during pregnancy is associated with restricted fetal growth. A substantial proportion of cases of low birthweight at term could be prevented in Europe if urban air pollution was reduced.」



日本では「微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準について」(平成21年9月9日 環告33)によって,「 1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下」と定められています.世界保健機関(WHO)の 「1年平均値が10μg/m3以下で,1日平均値が25μg/m3以下」という指針より緩やかです.

「環境基本法第16条第1項の規定による微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)及びその達成期間は、次のとおりとする。

第1 環境基準

1 微小粒子状物質に係る環境基準は、次のとおりとする。
1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。

2 1の環境基準は、微小粒子状物質による大気の汚染の状況を的確に把握することができると認められる場所において、濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法により測定した場合における測定値によるものとする。

3 1の環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については、適用しない。

4 微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。

第2 達成期間

 微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準は、維持され又は早期達成に努めるものとする。」



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-27 04:01 | 医療

産業医科大学若松病院,134人分の患者情報が入った外付けハードディスクを持ち出し盗難に遭う

毎日新聞「個人情報:134人分患者情報、持ち出して盗難−−産業医大若松病院」(2013年10月26日)は,次のとおり報じました.

「産業医科大学(八幡西区)は25日、同大若松病院(若松区浜町)で勤務する30代の男性職員が小倉南区内で車上荒らしの被害に遭い、134人分の患者情報が入った外付けハードディスクを盗まれたと発表した。

 産業医大によると、男性職員は24日午後7時ごろ、小倉南区の保育所駐車場に車を止め、その場を離れた15〜20分間で、ハードディスクの入ったかばんを盗まれた。既に近くの交番に被害を届け出た。

 ハードディスクには、患者の氏名や病名、血液データなどが記録されていた。市町村以下の細かい住所や電話番号などは入っていなかった。

 産業医大では、患者の情報を外部に持ち出す際には上司の承認が必要だが、承認を得ていなかった。ハードディスクに記録が入っていた患者には、担当医師から個別に説明する予定という。」



個人情報の杜撰な取り扱いがあとを絶ちません.
なぜ,ハードディスクを持ち出す必要があるのでしょうか,
外付けハードディスクに保管できないように設定できないのでしょうか.

◆ 2011年6月以降の個人電磁情報の紛失事故

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-26 21:06 | コンプライアンス

長野県弁護士会,TPPへの交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念

長野県弁護士会は,平成25年10月12日,「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念する会長声明」を発表しました.

「政府は,環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について,本年7月に開催されたマレーシア交渉から参加を開始したところである。
TPP交渉への参加について,政府は,平成25年7月25日付け甘利明TPP対策本部長名義の「日本のTPP交渉への正式参加について」という文書の中で,「アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは,日本の国益となるだけでなく,世界に繁栄をもたらし,この地域の安定にも貢献するものであり,日本が一旦交渉に参加した以上,重要なプレーヤーとして,新たなルール作りをリードしていく」「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていくことによって,我が国の国益を最大限に実現するよう全力を挙げて交渉にあたる」などと表明している。

しかし,「我が国の国益を最大限に実現する」にあたって,その「国益」の判断が政府ないし官僚機構の独りよがりの判断であってはならない。また,TPPへの参加が真に「国益」に適っているか否かの判断は,TPPに参加した場合の効果等について広く国民に情報提供した上で,国民的議論を踏まえたものでなくてはならない。それにも関わらず,報道に拠れば,TPP交渉への参加国には秘密保持契約の締結が求められ,政府はマレーシア交渉からTPP交渉に参加するにあたり,この秘密保持契約を締結したとされている。その契約によれば,交渉中はもとより,協定発効から4年間は,交渉経過等の開示が禁じられるとされているとのことであり,交渉中に国民に十分な情報発信を行ってTPPに関する国民的議論を行うことが不可能である。更に,外交に対する民主的コントロールを必要とする,条約締結に関する国会の承認権(憲法73条3号但書)の行使にも支障が生じることは明らかである。

TPPは21分野にわたって行われるものであり,食の安全や環境・労働,国民生活に不可欠な各種サービスなど,国民の生活に大きな影響を及ぼす広汎な分野が交渉の対象となっているが,それらの分野に於いては例外規定に該当しない限り完全な自由化が求められるとされる(ネガティブリスト方式の採用)。また,投資分野に於いては,ISDS条項(外国の投資家や企業が,進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合,協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を相手国の司法手続ではなく国際仲介機関によって解決することを選択できるという条項)を入れることが見込まれる。そうなると,国民の生命・身体・健康・財産を保護するために行う国家の規制や,日本固有の司法権のあり方や弁護士制度を含む司法制度等についても大きく改廃を迫られる危険がある。そのように,国民生活に多大な影響が出るTPPへの参加の是非や参加した場合の内容が,十分な情報による国民的議論なしに決められ,国会の承認にすら十分な情報が提供されないことは,およそ国民主権(憲法前文,1条)や国民の知る権利(同21条1項参照),国会の最高機関性(同41条)に反し,到底容認されるものではない。

以上の意味で,国民生活に多大な影響が出るTPP交渉への参加が,国民や国会に対して十分な情報を提供なく進められることは憲法の理念に反するものであり,当会は,このような現状を強く憂う。真に政府が,国益のために「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていく」決意を持っているのであれば,現状の秘密保持契約のもつ問題性を根拠として,国民や国会への十分な情報の提供が可能となるような新たな約定を交わすべく交渉すること,それが不可能であれば,直ちにTPP交渉から脱退することを求める次第である。」


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-26 02:15 | 弁護士会

『疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する中間取りまとめ』に関する意見書

薬害オンブズパースン会議は,2013年10月23日,「『疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する中間取りまとめ』に関する意見書」(パブリックコメント)を提出しました。

意見の趣旨は,以下のとおりです.

1 法律による規制

 倫理指針ではなく、被験者の権利を保護し、臨床研究を管理するための基本法を制定して、臨床研究を法律によって規制するべきである。

2 臨床試験の登録の義務付けと登録・公開の範囲の拡大  

上記法律には、被験者の権利、臨床研究登録の義務を明記して、臨床試験登録を義務づけるべきである。
 また、登録範囲を拡大し、被験者募集開始時点までには、プロトコールが登録・公開され、試験計画書に変更があった場合には、変更時期も含め変更内容が登録・公開されるようにし、結果の登録・公開も義務付けるべきである。

3 臨床試験の質の担保

 医療上の必要性ではなく商業的な目的等から必要性の乏しい臨床試験が行われたり、起こりうるリスクを上回る利益が期待されなかったり、プラセボ、代理エンドポイント、非劣性試験が過剰に使用されるなど、科学的妥当性や倫理性を欠く設計の臨床試験が実施されることのないように、臨床試験の実施が正当化されるのはどのような場合なのかについて、基本的な考え方(要件)を明記するべきである。

4 こどもに対する臨床試験

 こどもを被験者とする臨床試験の実施が正当化されるのはどのような場合なのか、基本的な考え方(要件)を明記するべきである。」


意見書は,1の理由について,次のとおり述べています.

「わが国では、治験は法によって規制されているが、治験以外の臨床試験には、法律に基づき事前の届け出や審査等を行う制度はない。
 この点について、「中間とりまとめ」では、「当面、現行の臨床研究倫理指針にあるとおり、研究計画は倫理審査委員会で審査することとする。」(論点9見直しの方向性③)とし、治験は法律によって規制するが、治験以外の臨床研究については、これまでどおり法律ではなく倫理指針によって規律することとしている。」

「しかし、被験者保護の観点からすれば、治験と臨床研究を峻別して扱うことに正当性は全くない。
 
そこで、当会議は、このような現行法規制の問題点を指摘し、臨床研究全体を規制する「臨床研究基本法」を制定して臨床試験を法律によって規制することの必要性を提言してきた。

 臨床試験を法律によって規制することについては、2000年の臨床研究指針の改定の際にも課題として検討されながら見送られた経緯があるが、その後の、薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会最終提言(2010年)、厚生科学審議会医薬品等制度改正部会の取りまとめ(2012年)、臨床研究・治験活性化5カ年計画2012は、いずれも法制化に向けた検討を求めている。
 ICH3極の中で、治験と臨床試験を峻別して治験以外の臨床研究を法的規制の外においているのは日本だけである。近年、法的規制をしている米国やフランスにおいてもリスクの低い臨床研究については規制を緩和する方向の検討がなされているとの報告もあるが、それはあくまで基本的な法的規制があることを前提としたうえでの対応であって、基本的な法的規制が不要であるとする理由にはならない。」

「ノバルティスファーマ社の高血圧治療薬バルサルタンをめぐる不正事件では、実施施設の倫理委員会が、臨床試験の質や手続の担保、利益相反の管理においても全く機能していないことが明らかになった。倫理委員会の質の向上が図られるべきことは当然であるが、それにも増して、この事件は、医療界の自律的対応に委ねることの限界を示している。

 もとより、法的規制をすると同時に臨床試験の支援体制を整備することも必要である。臨床試験の資金を企業に頼らざるを得ない現状が、深刻な利益相反を生み、商業的利益には結びつかないが医療上必要な臨床試験が実施されない一方で、医療上の必要性や科学的妥当性を欠いた臨床試験が行われる事態を生んでいるのであるから、当会議や、薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会が提唱した「公的基金」を創設して臨床試験の資金を提供することが求められる。また、法的制度の設計に当たっては煩雑な手続的負担を軽減する配慮も必要であろう。

 臨床研究の規制は、日本の臨床研究に対する国際的信頼にかかわる問題であるとともに、何より被験者の権利保護に関する問題である。法律によって規制をしたうえで、真に必要な臨床試験が実施できるよう、臨床試験の支援体制を整備するのがあるべき姿である。」



臨床研究についても,治験と同様に,法のルールによって被験者を守ることが必要と思います.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-24 06:21 | 医療

「葉っぱのフレディ-いのちの旅-」

落ち葉の季節になりました.

「葉っぱのフレディ-いのちの旅-」をイメージして,期間限定で,ホームページの写真を変えました.

「葉っぱのフレディ-いのちの旅-」
作: レオ・バスカーリア
絵: 島田 光雄
訳: みらい なな
出版社: 童話屋
は,死について,命について,考える作品です.

「いつかは死ぬさ。でも”いのち”は永遠に生きているのだよ。」とダニエルは答えました。

             *

「ぼくは生まれてきてよかったのだろうか。」 とフレディはたずねました。

ダニエルは深くうなずきました。

「ぼくらは 春から冬までの間 ほんとうによく働いたし よく遊んだね。
まわりには月や太陽や星がいた。 雨や風もいた。
人間に木かげを作ったり 秋には鮮やかに紅葉して みんなの目を楽しませたりもしたよね。

それはどんなに 楽しかったことだろう。
それはどんなに 幸せだったことだろう。」



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-23 01:51 | 趣味