弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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兵庫県立柏原病院,胃切除手術でガーゼ遺残事故(報道)

毎日新聞「医療ミス:県立柏原病院、胃切除手術で 体内ガーゼ取り忘れ」(2013年11月21日)は,次のとおり報じました.

「県は20日、丹波市の県立柏原病院が同市の70代男性に胃の切除手術をした際、体内に入れたガーゼを取り忘れるミスがあったと発表した。再度開腹して取り出し、男性に後遺障害はないという。

 県病院局企画課によると、男性は胃がんのため、8月22日に胃の切除手術を受けた。その際、脾(ひ)臓の裏側に30センチ四方のガーゼ3枚を入れたが、ともに30代の担当医と看護師が取り忘れたまま手術を終えた。放射線技師がレントゲン画像を見て気付き、約1時間後に再手術をして、ガーゼを除去した。

 病院から10月に報告があった。同課はガーゼの数え方に誤りがあったなどして、遺残物の確認を徹底するとしている。【山口朋辰】」


数え違えはあり得ることです.確認が必要です.
このようなシンプルな医療事故は,確認を怠りさえなければ,容易に防止することができるはずです.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-30 06:38 | 医療事故・医療裁判

11月30日,医療過誤原告の会シンポジウム 「医療事故調査制度(公平・透明性・再発防止)設立を願って」

「医療過誤原告の会」の第22回総会記念シンポジウムが,本日,下記の通り開催されます.

日時 11月30日(土)13:30~16:30

場所 全労連会館ホール(東京・御茶ノ水、JR御茶ノ水駅徒歩8分)

内容 
1 医療事故被害報告

古川實氏 (熊本 医療事故被害者遺族・医師)
柴田清吾氏 (千葉 医療事故被害者遺族・医師)
大沼美喜子氏(東京 死因究明モデル事業体験・遺族)

2 講演 

勝村久司氏(産科医療補償制度運営委員・医療事故被害者遺族)
「産科医療補償制度の現状と意義・展望」

永井裕之氏(日本医療安全調査機構運営委員・医療事故被害者遺族)
「死因究明モデル事業の実績を制度化に活かすために」

3 シンポジウム 「医療事故調査制度(公平・透明性・再発防止)設立を願って」

シンポジスト 勝村久司氏、永井裕之氏、古川實氏、柴田清吾氏、大沼美喜子氏
コーディネーター 宮脇正和氏(医療過誤原告の会・会長)

参加費 無料、 事前申し込み 不要

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-30 06:25 | 医療事故・医療裁判

公然わいせつ罪で起訴された整形外科医

神奈川新聞「女児に公然わいせつ罪、医師が起訴内容認める、地裁横須賀支部初公判」(2013年11月27日)は、次のとおり報じました.

「横須賀市上町2丁目の市立うわまち病院に勤務していた整形外科の××××医師(27)=横浜市中区=が、公然わいせつ罪で横浜地検横須賀支部に在宅起訴されていたことが26日、分かった。横浜地裁横須賀支部(野原利幸裁判官)で同日初公判が開かれ、××被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 起訴状によると、同被告は4月14日、同病院で勤務中に10歳未満の姉妹に自身の下半身を露出して見せた。5月14日には、横須賀市内のビル敷地内で、通行中の小学校低学年の女児に下半身を露出するなどした。6月8日にも、同市内の駐車場で女児2人に同じような行為をした、としている。

 横須賀署は、被害女児の訴えをもとに現場付近の防犯カメラに写っていた被告を確認。8月下旬に書類送検、横浜地検横須賀支部が9月24日付で在宅起訴した。検察側は冒頭陳述などで、被告は勤務中の病院内で通路の長椅子に座っていた姉妹に対し、母親がいない間に計4回、下半身を露出した上、女児の顔をカメラ付き携帯電話で撮影した、と指摘した。

 同病院は市が設置し、指定管理者の公益社団法人地域医療振興協会(東京都千代田区)が運営、管理している。病院側は7月29日付で被告を懲戒免職にした。被告は2011年3月に鳥取大学医学部を卒業、今年4月から同病院で勤務していた。現在、横浜市内の病院で非常勤医師として勤務している。次回公判は来月上旬に開かれる予定。」


犯行内容が卑劣で、しかも勤務時間中に病院内でというところが大胆で悪質です.
ただ、医道審は、公然わいせつ罪程度で医師免許取消しにはしません.
被告人は、医業停止期間が過ぎれば、他の病院で医師として勤務することができるでしょう.
更正を期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-28 02:14 | 医療事故・医療裁判

市立敦賀病院、肺がんの見落としによる死亡事故、1900万円で示談(報道)

msn産経「がん見落とし、遺族と和解へ 市立敦賀病院」(2013年11月27日)は、次のとおり報じました.

「市立敦賀病院は26日、肺がんの早期発見を見落とす医療事故があり、過失責任を認めた上で、死亡した80代の無職男性=敦賀市=側に1900万円の賠償金を支払うことで遺族と和解の合意に達したと発表した。12月3日開会の定例市議会で議決を得て、成立する。

 病院によると、男性は今年3月12日に自宅で転倒。病院で受診した結果、肺から転移した脳腫瘍(のうしゅよう)と診断され、7月16日に肺がんで死亡した。

 男性は病院で平成21年5月から月に一度、胸部のレントゲン画像を撮っていたが、病院側は肺がんを発見できなかった。病院が男性の過去の画像を調べたところ、23年10月4日の撮影分から肺の陰影の異常が確認できた。男性の主治医(47)は「しっかり見ていなかった」と話しているという。

 この日、記者会見した米島学院長は「遺族の方には本当に申し訳なく思っている。こういう事態を招いたことを真摯(しんし)に受け止め、反省する」などと謝罪した。」


毎日新聞「敦賀病院:早期肺がん見落とし男性死亡 1900万円賠償」(2013年11月27日)は、次のとおり報じました.

「市立敦賀病院(敦賀市)は26日、男性患者の早期肺がんを胸部X線撮影で医師が見落とし、今年7月に男性が肺がんで死亡したと発表した。市は医療過誤として遺族に賠償金1900万円を支払うことを決め、遺族と和解した。

 病院によると死亡したのは市内の80代男性。今年3月に自宅で転倒し、頭部検査で腫瘍が見つかり、肺からの転移だと分かった。男性は透析治療のため2009年から月1回、胸部をX線撮影していた。病院が過去の画像を調べたところ、11年10月以降の画像に肺がんが確認された。

 当時画像の確認は主治医(47)が一人で行っていたため、今後は放射線科の専門医らで二重に確認して再発を防ぐという。記者会見した米島学院長は「このような事態を招いたことを真摯(しんし)におわびする」と謝罪した。【柳楽未来】」


主治医は呼吸器科の医師ではないのでしょうが、胸部レントゲン検査の陰影を見落としたことについて、過失が認められます.
がんの見落としの相談は少なくありませんし、裁判例も集積されています.

私は、これまで、肝がんの見落とし(横浜地裁で勝訴判決)、肺がんの見落とし(弁護士後藤真紀子氏と共同受任、東京地裁で勝訴判決、東京高裁で増額して勝訴的和解)、胃がんの見落とし(弁護士伊藤律子氏と共同受任、東京地裁で勝訴的和解)の事案を担当しました.
また、現在、子宮がんの見落としの事案が訴訟中(弁護士笹川麻利恵氏と共同受任)で、また、訴訟にはなっていませんが、肝がんの見落とし、肺がんの見落とし、胃がんの見落とし、乳がんの見落としの事案も担当しています.

がんの見落とし相談をご希望の方は、電話03-5363-2052、あるいはメールmedicallawtani @ yahoo.co.jp(スペースは詰めてください)でお申し込みください.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-28 01:20 | 医療事故・医療裁判

輸血によるHIV感染

朝日新聞「HIV感染者の血液を輸血、患者1人の感染確認」(2013年11月26日)は,次のとおり報じました.

「エイズウイルス(HIV)に感染した40代男性が献血した血液が、患者2人に輸血され、うち60代の男性がHIVに感染していたことが分かった。26日に開かれた厚生労働省の専門委員会で日本赤十字社が報告した。献血者が感染初期だったため血液が検査をすり抜けたとみられる。2003年に輸血によるHIV感染が確認され、04年に検査を強化して以降、感染者が出たのは初めて。

 日赤は来夏までに、20人分をまとめて検査する手法から、より精度の高い1人ずつの個別検査にし、施設数は8カ所に倍増する。

 同省によると、40代男性が今月献血した血液からHIVを検出。このため同じ男性が今年2月に献血し、日赤が保管していた血液を詳しく調べたところ、HIVが検出された。この血液はすでに患者2人に輸血されていた。うち消化器の手術で10月に輸血を受けた60代男性が、HIV感染していたことが判明した。もう1人は医療機関を通じ連絡を取っており、今後、感染の有無を確認する。

 HIV検査では、感染直後などウイルス量が少ない時期は検出できないことがある。このため、感染の危険性があるかどうかを問診で確認しているが、献血した男性は、2週間ほど前に男性間の性的接触があったが、事実と異なる申告をしていた。検査目的に献血をしたとみられる。

 検査の結果は献血者には伝えられない。厚労省は検査目的の献血はせず、保健所などの無料検査を受けるよう呼びかけている。HIV薬害被害者の花井十伍さんは「献血者は、輸血による感染という重大な事態が起きることを自覚して、責任を持って献血にのぞんで欲しい」と話す。」


来夏と言わず,可及的すみやかに,より精度の高い1人ずつの個別検査にしてほしいですね.

この献血者は,検査目的とみられるとのことですが,HIV感染の未必の故意があった場合(未必の故意について,判例は認容説にたっているとみられています.),傷害罪にあたる可能性もあると思います(性病についての最高裁昭和27年6月6日判決刑集 6 巻 6 号 795 頁参照,赤痢菌・チフス菌についての東京高裁昭和51年4月30日判例時報851号21頁参照).

善意で行う献血者に罰則はなじまない,という考えもありますが,虚偽申告は輸血の感染リスクを高めますので,感染の具体的な危険を認識しての虚偽申告に対し罰則を導入することも十分検討に値すると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-11-26 23:09 | 医療

佐久市立国保浅間総合病院,羊水塞栓症による出血性ショック事案で提訴される(報道)

毎日新聞「損賠提訴:「佐久の病院が過失」 出産後、妻死亡で夫ら」(2013年11月23日)は,次のとおり報じました.

「2012年7月に横浜市の主婦(当時34歳)が、佐久市の市立国保浅間総合病院で長男を出産後、出血性ショックで死亡したのは医師の処置に過失があったとして、横浜市の主婦の夫(36)と長男(1)が22日、同病院を運営する佐久市に総額約7500万円の損害賠償を求める訴えを横浜地裁に起こした。

 訴状によると、主婦は12年7月20日に同病院で長男を出産後、大量出血して心肺停止状態になり、出産から7時間20分後に死亡した。死因は羊水塞栓(そくせん)症による出血性ショックとされた。

 原告側は、担当した医師が、産科関連学会の設けた大量出血時の対応を示したガイドラインに基づく輸血などの措置を迅速に取らなかったため、「出血が続き死亡する結果を招いた」などと主張している。

 訴えに対し、村島隆太郎・佐久市病院事業管理者は「訴状が届いていないが、病院としては手を尽くして診療にあたった。裁判の過程で疑問点などの説明を尽くしていきたい」とコメントした。【武田博仁】」


損害賠償訴訟は,原告の住所地を管轄する裁判所に提訴することができます.

民事訴訟法第4条は 「訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。」と定めていますので, 被告の住所地を管轄する裁判所に提訴することができます.
また,民事訴訟法第5条第1項は,「次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。」とし,「一  財産権上の訴え  義務履行地」と定めています.
損害賠償債務は,持参債務(債務者が債権者の住所地に支払いのために赴く)ですので,債権者(原告)の住所地が義務履行地となります.そこで,原告の住所地を管轄する裁判所にも提訴することができるのです.
原告が便利なほうを選ぶことができます.

なお,民事訴訟法第17条は,「第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。」と定めていますので,裁判所の判断によっては,移送されることもあります.ただ,実際上,原告の住所地の裁判所で審理することが「訴訟の著しい遅滞」をひきおこすことは少ないでしょうし,移送することが「当事者間の衡平を図る」ことになる場合も少ないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-25 23:04 | 医療事故・医療裁判

豊橋市民病院,産科の脳性麻痺事故1億5000万円で和解(報道)

名古屋テレビ「豊橋市民病院での医療事故で和解 損害賠償額決まる」(2013年11月25日)は,次のとおり報じました.

「豊橋市は、市民病院での際、医療ミスにより赤ちゃんに重い障害が残り、市に損害賠償を求めていた両親と、和解が成立したと発表しました。


豊橋市によりますと、2008年5月、愛知県の豊橋市民病院で30歳代の女性が出産した際、医療ミスが原因で赤ちゃんに、脳性マヒの後遺症が残りました。両親は豊橋市に損害賠償を求め訴えていましたが、9月、市が1億5000万円を両親へ支払うことで和解が成立したということです。赤ちゃんの母親は、「今後、同じような事故がおこらないよう医療体制を整えてほしい」とコメントしています。一方、市民病院は、「産婦人科の医師の数を増やし、教育を徹底するなどして再発防止に努めたい」としています。」


産科医療補償制度は,2009年1月1日以降に出生した児が対象ですので,2008年5月出生のこの件には産科医療補償制度が適用されません.
裁判所で,1億5000万円の和解が成立したというのですから,患者側が過失,因果関係,損害の3要件を立証したとみてよいでしょう.

【追記】

中日新聞 「分娩ミスで障害 豊橋市民病院、1億5000万円で和解へ」(2013年11月26日)は,つぎのとおり報じました.

「子宮内で圧迫、仮死状態に

 愛知県の豊橋市民病院で2008年5月、出産時に医師が適切な処置をしなかったため、女児に脳性まひが残る医療事故が起きていた。女児の両親は損害賠償を求めて提訴し、名古屋地裁が和解案を提示。豊橋市は25日、1億5千万円を支払って和解する議案を市議会に提出すると発表した。

 病院によると、08年5月中旬の深夜、愛知県外に暮らす30代の女性が里帰り出産した。分娩(ぶんべん)を担当した20代の女性医師は、胎児の心拍数が遅くなっていることに気付いたが、「このまま出産は可能」と考え、帝王切開などはしなかった。

 別の出産に対応するため、45分、その場を離れた。この間、30分間は女性1人となり、残る15分は助産師が付き添った。女性医師が戻り、女児が生まれたが、心肺停止の仮死状態だった。

 出産前、女児の体が子宮内で圧迫されたため、仮死状態になったとみられる。脳性まひのため、5歳になった今も自力では歩けず、常に介護が必要という。

 女性医師は当時、医師免許を取得し四年目。産婦人科に配属されて2年目だった。病院は当直体制で、ほかに産婦人科医師はいなかった。

 女児の両親は11年12月、2億7千万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴。市は医療事故と認め、地裁の和解案に応じることを決めた。

 会見した岡村正造院長は「担当医は速やかに帝王切開などの判断をすべきだった。夜間緊急時の診療体制が万全でなく、母体と胎児の監視が不十分だった。申し訳ない」と謝罪した。

 女児の母親は弁護士を通じ、「今後は同じような事故が起こらないように医療体制を整えて、より安心して出産ができるよう努めてほしい」とコメントした。」



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by medical-law | 2013-11-25 22:00 | 医療事故・医療裁判

飯田市立病院,人工呼吸器の操作ミスで示談(報道)

毎日新聞「医療ミス:飯田市、ミス認め遺族と和解」(2013年11月21日)は,次のとおり報じました.

「飯田市は20日、市立病院に入院中、慢性呼吸不全の悪化で死亡した男性の遺族に対し、人工呼吸器の操作にかかわる医療ミスを認め、解決金として330万円を支払って和解すると発表した。市側はミスと死亡の因果関係は否定している。

 市立病院によると、2010年9月22日、男性の治療に利用していた人工呼吸器と病室の壁にある酸素配管との接続を怠り、約3時間、呼吸器から酸素が送られない状態になった。男性には慢性呼吸不全の持病があり、当時は主に脳梗塞(こうそく)の治療目的で入院していた。男性は約2カ月半後の12月6日に死亡した。

 その後、市と遺族が医療ミスが直接の死因かどうかで話し合いを重ねてきた。訴訟にはなっていない。【横井信洋】」


医療過誤に基づく責任が裁判で認められるためには,「過失(ミス)」「因果関係」「損害」を患者側で証拠に基づいて立証することが必要です.そこで,事案によっては,因果関係立証が高いハードルになることもあります.
ただ,死亡や重度の後遺症という結果が発生している場合は,「過失」と悪しき結果との間に相当程度の可能性があることを立証すると,全損害に対応する金額ではありませんが,或る程度中間的な金額での損害賠償が認められます.
そこで,病院側がミスを認めた上で死亡との因果関係を否認する場合は,裁判では或る程度の金額の賠償が認められることをふまえて,裁判前の話し合いで解決できる場合があります.医療側に誠意があれば,医療訴訟を行うまでもなく,解決できる場合があります.弁護士が依頼を受けた場合,弁護士が裁判での見通しを説明し理解を得ることで,裁判前で解決することが多いのです.

本件は,患者側に弁護士がついていたか不明ですが,病院側が,因果関係のみを争い,過失(ミス)を認めていたことが,裁判によらずに解決できた大きな要因と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-11-22 06:57 | 医療事故・医療裁判

弘前市立病院、食道挿管事故で4900万円支払い(報道)

毎日新聞「弘前市立病院の誤挿管医療事故:遺族に4900万円賠償へ」(2013年11月19日)は、次のとおり報じました.

「弘前市は18日、弘前市立病院の医療事故で死亡した患者の遺族に4900万円の損害賠償を支払う議案を、29日開会の定例市議会に提案することを明らかにした。18日の議会運営委員会に報告した。

 市などによると、2010年2月、同病院に救急搬送された市内の男性患者(当時53歳)に対し、内科医が気管に挿入すべき管を誤って食道に入れた結果、患者が死亡した。内科医は翌11年10月、弘前署によって業務上過失致死容疑で青森地検弘前支部に書類送検され、同支部は12年10月に不起訴処分とした。

 遺族は今夏、市を相手取って弘前簡裁に損害賠償の調停を申し立て、10月に市に4900万円の調停額を支払うよう決定が出されていた。【松山彦蔵】」


このような事件ですと、過失は明らかですので、医療ADRや調停が早いですね.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-21 02:38 | 医療事故・医療裁判

独エアフルト区裁判所、タバコの煙を相手の顔にふきかけたら傷害罪

マイナビウーマン「ご注意!タバコの煙を相手の顔にふきかけたら「傷害罪」―ドイツ」(2013年11月19日) は、次のとおり報じました.

「非喫煙者がタバコの煙を吸ってがんになる「タバコの二次被害」については、すでにご存じでしょう。タバコの煙を相手の顔にふきかける行為を、独裁判所が「傷害罪」とみなしたケースを紹介しましょう。

『南ドイツ新聞』によると、独エアフルト区裁判所は、「タバコの煙を故意に相手の顔にふきかける者は傷害罪にあたる」という判定を下しました。

実はこの裁判で「傷害罪」の疑いで訴えられていたのは、タバコの煙を顔にかけられた女子学生Aさんのほうでした。禁煙のナイトクラブで喫煙する男性Bさんに、「ここは禁煙ですよ」と注意したAさん。注意されたBさんは腹の虫が収まらず、ダンスフロアで踊っていたAさんのところに行き、タバコの煙をAさんの顔におもいっきりふきかけました。

Aさんは自分の身を守ろうと反射的にガラスのコップをBさんに投げ、Bさんの頭にこぶができ、BさんはAさんを「傷害罪」で訴えました。それに対し、Aさんは「正当防衛」を主張。

同区裁判所は、Bさんはタバコの煙だけではなく、ウイルスやバクテリアも含まれるつばの粒子もふきかけたため、Aさんが防衛手段としてグラスを投げたのは正当であると判断。さらにBさんの行為は「傷害罪」にあたるとの判定を下しました。

タバコの二次被害者にとって、予想外の勝利判決となり、「傷害罪」という裁判所のお墨付きをもらったAさんは、Bさんを起訴するつもりはないと言います。これからタバコの煙をはくときは、十分に気をつけたほうがよさそうです。

参考:
Rauch ins Gesicht blasen ist Korperverletzung.
http://www.sueddeutsche.de/panorama/gerichtsurteil-rauch-ins-gesicht-blasen-ist-koerperverletzung-1.1774446」


ドイツでは傷害と暴行の区別がありませんが、日本刑法は、「傷害罪」と「暴行罪」を区別しています.

日本の刑法第204条は「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定めています.
「傷害」については、(1)身体の生理機能の障害・健康状態の不良な変更、(2)身体の完全性の傷害、(3)身体の外観の重大な変更の3説があります.髪の毛を切る行為が傷害にあたるかが議論されています.
「傷害」を「身体の生理機能の障害・健康状態の不良な変更」と解釈する説に立っても、実際に一回のタバコの煙で直ちに生理機能の障害・健康状態の不良な変更があったことを立証するのは困難ですから、日本刑法では、多くの場合、傷害罪は成立しないでしょう.

日本の刑法第208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています.
「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます.
タバコの煙が人顔に接触していますので、「有形力の行使」にあたります.
「不法な」の要件が問題になりますが、少なくとも人の顔にタバコの煙をふきつける行為は「不法」と言ってよいでしょう.

したがって、日本刑法では、タバコの煙を故意に人の顔にふきかける行為は、多くの場合、「傷害罪」ではなく、「暴行罪」にあたると解すべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-21 01:14 | タバコ