弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2013年 11月 ( 27 )   > この月の画像一覧

先天性風疹症候群(CRS)が23例に

康百科「風疹による先天障害さらに1例、先週の2例に続く―東京」(2013年11月8日)によると、「国立感染症研究所の集計によると、2012年からの大規模な風疹流行により、全国で20例のCRSが報告。東京都での先週と今週の報告を合わせると23例となり、前回の大流行時(2004~05年)の12例のほぼ2倍に達している。」とのことです.

厚生労働省は、風しんの予防接種について、
1歳児及び、小学校入学前1年間の幼児は、多くの市区町村において、無料で受けられます。

また、妊婦を守る観点から、
特に、
 (1) 妊婦*の夫、子ども及びその他の同居家族などの、妊婦の周囲の方
 (2) 10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い方)
 (3) 産褥早期の女性
のうち、抗体価が十分であると確認できた方以外の方は任意での予防接種を受けることをご検討ください。」
と呼びかけています.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-11 02:12 | 医療

府中刑務所に勤務していた医師が外部研修を受けたと偽り637万円余りを受給

NHK「刑務所常勤医が630万円不当受給」(2013年11月7日)は,次のとおり報じました.


「刑務所常勤医が630万円不当受給


東京・府中市にある府中刑務所に勤務していた医師が、勤務として扱われる外部研修に行ったと偽った報告書を提出し、630万円余りの給与が不当に支給されていたことが会計検査院の調べで分かりました。

会計検査院によりますと、府中刑務所に勤務していた医師1人が、おととし7月までの3年近くにわたって、ほかの医療機関で外部研修を受けたと報告していたにもかかわらず、研修を受けていなかったことが分かったということです。
刑務所などの常勤医師は、計画書や報告書を提出すれば、医療機関など外部で受けた研修を勤務として認められていますが、この医師は、全く研修を行わないまま報告書を提出していたということです。
会計検査院は、合わせて2112時間分の給与と手当、合わせて637万円余りが不当に支給されたと指摘しています。
これについて、府中刑務所は、「指摘された給与は医師からすでに返還された。誠に遺憾で再発防止に努めたい。医師には、適法な勤務を指導するとともに外部研修期間中の勤務時間の管理や内容の把握を適切に行っていきたい」と話しています。
.

奈良、仙台、大阪でも

会計検査院によりますと、同様の不当な支給は、奈良、仙台、それに大阪の3つの少年刑務所や少年鑑別所でも3人の医師に対しておよそ4年にわたって合わせて3200万円余りが支給されていたということです。
また、ほかにも刑務所など26施設で、外部研修を受けたと報告した135人の常勤医師について会計検査院が調べたところ、施設側が研修先や勤務時間などを把握していないケースが多かったということです。
このため、会計検査院は、法務省に対して、常勤医師への給与が適正か確認できるよう研修期間中の勤務時間の管理など各施設に対して指導を行うよう意見を出しました。


医師不足解消のための制度

今回、不当受給が指摘された研修制度は、医師不足を解消するために設けられた制度でした。
八王子医療刑務所や千葉刑務所でおよそ7年間勤務した、あべクリニックの阿部惠一郎院長は「刑務所では、ほかの医療機関と比べて給料が安いうえ、臨床研究が難しかったり、刑務所側から医療行為に制限が設けられたりすることもあってメリットが少なく医師が集まりにくい環境になっている。研修制度は、数少ないメリットになっていた」と指摘します。
法務省によりますと医師が配置されることになっている全国の163の刑務所や少年院のうち、31施設で常勤の医師がいないなど深刻な医師不足になっています。
関係者は、医師がいなくなるのを恐れて刑務所側から、医師に対して研修などについて厳しい勤務管理をしづらい状態があったのではないかと指摘しています。」


返還すればすむ問題ではありません.
受けていない研修を受けたと偽って報告し,その研修時間の給与を受け取った行為は,「人を欺いて財物を交付させた」にあたるのではないでしょうか.

給与が少なく医師が集まりにくいという問題については,給与の改訂を行うなど正面から対応すべきと思います.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-08 13:04 | 医療

受精卵診断の実態,厚労省研究班が報告

西日本新聞「受精卵診断 遺伝情報の管理ずさん 閲覧制限なし、カルテ記載」(2013年11月3日)は,意義のとおり伝えました.

受精卵診断

 体外受精させた受精卵が4~8個の細胞に分裂した段階で、1、2個の細胞を取り出して染色体や遺伝子の異常を調べ、異常がない受精卵を子宮に戻して妊娠、出産につなげる。デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど一部の重い遺伝病や、繰り返し起こる習慣流産が診断の対象。妊娠後の出生前診断と違い中絶手術を避けられるとの指摘がある一方、命の選別の側面がより強いとの批判がある。日本産科婦人科学会が審査し、これまでに11施設の実施を承認した。このほか、学会の承認なしに、諏訪マタニティークリニック(長野)や大谷レディスクリニック(兵庫)が実施を公表している。

受精卵診断 遺伝情報の管理ずさん 閲覧制限なし、カルテ記載

 遺伝子や染色体の異常を調べる受精卵診断(着床前診断)をしている医療機関で3施設が患者の遺伝情報の閲覧を制限していないなど、多くの機関で管理体制が不十分であることが、厚生労働省研究班(主任研究者・吉村泰典慶応大教授)による調査で2日までに分かった。

 受精卵診断は、重い病気の原因となる遺伝子変異や、流産を繰り返す染色体の変化が子どもに伝わるかどうかを判定するため、体外受精で作った受精卵の一部を取り出して検査する。日本産科婦人科学会は「遺伝情報は最も重大な個人情報である」として厳重な管理を求めている。

 国内で受精卵診断を実施している医療機関の大半とみられる12施設を調査した結果、3施設では患者の遺伝情報を閲覧できる担当者を決めていなかった。7施設では専門医以外も見る通常の産婦人科のカルテに遺伝情報を記載していた。

 患者には専門的な遺伝カウンセリングが必要だが、検査の前後に行っているのは3施設で、9施設は検査前だけだった。専用のカウンセリング室を使わず、外来の診察室で行う施設もあった。研究班は「遺伝情報の取り扱いと管理は不十分な体制の施設がほとんどだった」と指摘した。

 受精卵診断は2006年から12年10月までに、12施設で211組の夫婦が受診し、70人が生まれた。吉村教授は、受精卵診断は障害者への差別につながりかねないとの懸念が出されているとした上で、「体制をきちんと整えて実施しなければいけない。どのぐらいの割合で子どもが病気になり、どのように育つかなどを含めた専門家のカウンセリングも重要だ」と話している。

● 事前審査も不十分

 ▼生命倫理が専門の〓(〓はきへんに勝)島次郎・東京財団研究員の話 厳格な情報管理は、受精卵診断だけでなく遺伝子検査全般で必要だ。カウンセリングもいつでも受けられる体制にすべきだ。今回現場の一部で見つかった不備は日本産科婦人科学会の指針(会告)と事前審査が不十分だったという面もある。結果を踏まえ、指針を見直し改定すべきだ。受精卵診断技術の安全性を検証するため、生まれた子の健康状態を追跡することも不可欠で、その体制になっているかも調べなければいけない。



懸念されていた事態です.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-04 07:59 | 医療

佐久総合病院,毒薬指定の筋弛緩剤エスラックス紛失

テレビ朝日「筋弛緩剤の紛失が発覚 長野・佐久総合病院」(2013年11月2日)は,次のとおり報じました.

「長野県佐久市の佐久総合病院で、麻酔をかける際に使われる筋弛緩剤(きんしかんざい)がなくなっていることが分かりました。

 佐久総合病院によりますと、先月28日、薬剤師が医薬品の点検をしていたところ、手術の準備室に保管していた筋弛緩剤の「エスラックス」が1本なくなっていることに気づきました。この筋弛緩剤は、手術などで麻酔をかける際に筋肉の緊張を取るために使うもので、紛失したのは緊急用にあらかじめ手術準備室に用意されたものでした。薬剤師が月に一度、薬の数を点検していましたが、筋弛緩剤がいつなくなったか分かっていません。病院は、警察と保健福祉事務所に報告したほか、引き続き病院内を探していますが、まだ見つかっていません。」


過去にも同種の紛失事故が報道されています.
紛失事故の報道に接したときに,自院の管理について検討してみることも必要と思います.

◆ 過去の報道事例

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本
熊本大学医学部附属病院で平成24年7月に1本
公立南丹病院で平成24年10月に1本
尾道市公立みつぎ総合病院で平成24年10月に4本
社会医療法人将道会総合南東北病院で平成24年11月に2本
伊賀市立上野総合市民病院で平成25年3月に10本
広島大学病院で平成25年4月に5本
独立行政法人国立成育医療研究センターで平成25年4月に4本
半田市立半田病院で平成25年5月に10本
東京都保健医療公社豊島病院で平成25年6月に3本
奈良市立奈良病院で平成25年6月に1本
長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院で平成25年10月に1本

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-02 17:45 | 医療事故・医療裁判

薬害オンブズパースン会議が薬事法違反と不正競争防止法違反でノバルティスファーマを告発

msn産経「ノバルティスファーマを刑事告発 降圧剤広告は「誇大」 薬害NGO」(2013年11月1日)は、次のとおり報じました.
 
「高血圧治療の降圧剤「ディオバン」(一般名・バルサルタン)の臨床研究データ操作問題で、研究論文を引用して薬の効果を誇張して宣伝するなどしたとして、NGO「薬害オンブズパースン会議」が1日、薬事法違反(誇大広告)と不正競争防止法違反(誤認惹起=じゃっき=)罪で、販売元の製薬会社「ノバルティスファーマ」の告発状を東京地検に提出した。

 同会議のメンバーは薬害エイズ問題などを手がけた弁護士ら。告発状によると、ノ社は平成23年発行の医療専門誌2誌に、データ操作が発覚した京都府立医大の論文を引用した記事広告を掲載。治療効果を「脳卒中、狭心症のリスクは有意に減少した」と宣伝したなどとしている。

 同会議は、論文の結論が誤っていた可能性が高いにも関わらず、ノ社の広告は抑制効果が高い印象を与えており、「虚偽または誇大」と指摘。「商品の品質について誤認を引き起こした」として、不正競争防止法にも違反するとした。

 ノ社の関与については、データ解析に元社員が参加し、交通費を負担していた点を指摘し、「会社として(不正を)認識していたとするべきだ」と主張した。同会議事務局長の水口真寿美弁護士は「日本の臨床試験の信頼性を揺るがす重大事案。厚生労働省の調査は不十分。(解明は)捜査に委ねたい」と訴えた。

 ノ社広報部は「現段階では何も情報を得ていないため、コメントは控える」としている。


「<告発状より抜粋>

被告発会社の下記告発事実記載の各所為は、
薬事法第90条2号、第85条4号、第66条1項 誇大広告等の禁止違反
不正競争防止法第22条1項、第21条2項5号 不正競争
に該当すると思料されるので、厳正な捜査を遂げた上、被告発会社を処罰されるよう告発する(刑事訴訟法第239条1項)。

  告 発 事 実
   
被告発会社ノバルティスファーマ株式会社は、高血圧治療薬(降圧剤)であるディオバン(一般名バルサルタン)を製造販売する製薬企業であるが、被告発会社は、京都府立医科大学が実施したディオバンと他の既存降圧剤の効果を比較した臨床研究であるKYOTO HEART Studyの研究論文において、不正なデータ操作が行われ、ディオバンが既存降圧剤と比べて脳卒中や狭心症などの心血管イベントを抑制する効果があるとする同研究論文の結論は真正ではないにもかかわらず、

1 2011年1月発行の日経メディカルにおいて、
(1)「試験の対象は、JIKEI HEART Studyが心不全や冠動脈疾患などの心血管疾患を伴う高血圧、KYOTO HEART Studyはハイリスク高血圧という違いがありましたが、一次エンドポイント(心血管事故及び心血管死の複合ポイント:脳卒中・TIA、心筋梗塞、心不全及び狭心症による入院など)の相対リスクは両試験とも有意に減少しました」(疎1、151頁堀内)
(2)「両試験とも脳卒中、狭心症がバルサルタン群で有意に減少しましたね。」(疎1、151頁光山)

2 2011年6月発行の株式会社メディカルレビュー社が発行する「高血圧ナビゲータ 第3版」において、
(1)「KYOTO HEART Studyで、バルサルタンは日本人の心血管イベントを有意に減少させることが示されています。」(疎2、299~300頁小室)
(2)「(KYOTO HEART Studyでは)一次評価項目である脳・心・腎イベントはバルサルタン群で相対的に45%、有意(P<0.0001)に減少していました。内訳をみると、狭心症はJIKEI HEART Study同様、やはりバルサルタン群で有意に減少しています(相対リスク減少率49%:P=0.01058)。脳卒中も、KYOTO HEART StudyではCTないしMRIで病巣の存在を確認しているのですが、JIKEI HEART Study 同様、バルサルタン群で有意に減少していました(相対リスク減少率:45%、P=0.01488)。」(疎2、300~301頁熊谷)

等、KYOTO HEART Studyの研究論文の結果を引用した医師による対談を利用して記事を提供し、もってディオバンの治療効果について虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布したものである。

また、上記のように、KYOTO HEART Studyの研究論文の結果を引用した医師による対談を利用して記事を提供し、商品の広告にその商品の品質、内容について誤認させるような虚偽の表示をしたものである。 」


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-02 01:11 | 医療

東京拘置所、投薬ミスを隠蔽した看守を戒告

MSN産経「女性看守が薬渡しのミス隠す 東京拘置所が戒告処分」(2013年11月1日)は、次のとおり報じました

「東京拘置所は1日、勾留中の被告に誤った時間にぜんそくの薬を渡し、ミスを隠すため別の薬を渡したように装ったとして、女性看守(27)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。

 拘置所によると、看守は7月23日午後5時ごろ、勾留中の女性被告に頼まれてぜんそくの薬を渡した。12時間以上空けて渡すよう指示された薬で、2時間前の午後3時すぎに渡した記録があったが、前日のことと勘違いした。

 午後6時ごろ、被告が体調不良を訴えてミスに気付いたが、発覚を免れるため別の薬を渡したことにしようと思いつき、処方されていた精神安定薬の記録表に「23日午後5時10分に渡した」と書いた上、被告に翌朝「昨日渡したのは精神安定薬だった」とうそを伝えたという。

 被告はその後、診察を受け、健康に問題はなかった。」


医療に関することは、ミスが起きないように別の人が点検確認することが必要です.
ミスを隠蔽しようとしたのは悪質です.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-02 01:04 | 医療

日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが検査結果を見誤り,ルール上対象外の患者に移植

NHK「対象外の患者に臓器提供」(2013年10月30日)は,次のとおり報じました.

「去年8月、兵庫県内の病院で、脳死と判定された男性から臓器の提供が行われた際、日本臓器移植ネットワークが検査結果を見誤り、ルール上、提供されるべき患者とは別の患者に、腎臓が提供されていたことが分かりました。

これは日本臓器移植ネットワークなどが30日会見し、明らかにしたものです。
それによりますと、去年8月、兵庫県内の病院で40代の男性が脳死と判定され臓器の提供が行われた際、ネットワークのコーディネーターが拒絶反応が出るおそれがあるという検査結果を見誤り、ルール上は、移植手術の対象とならない30代の男性患者に、移植の手続きを進めました。
その後、移植手術を行う病院が、より精密な検査をしたところ、拒絶反応は起こらないという結果が出たため、そのままこの男性患者に手術が行われましたが、ルール上は、最初の検査の段階で移植を待つ次の患者に提供先を変えるべきだったということです。
日本臓器移植ネットワークでは、移植を受けるはずだった患者に謝罪したということで、「二度とこのようなことを起こさないよう、チェック体制を強化し、職員の教育を徹底したい」と話しています。」


移植を受けられた患者にとっては良かったのでしょうが・・・
再発防止のためには,必ず別の人が確認するシステムが必要と思います.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-01 05:45 | 医療