弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2013年 12月 ( 22 )   > この月の画像一覧

ハンセン病患者らが、「特別法廷」について第三者機関で検証するよう最高裁に要請

毎日新聞「ハンセン病団体:「特別法廷」審理 最高裁に検証申し入れ」(2013年12月16日)は、次のとおり報じました. 

「刑事裁判の被告となったハンセン病患者らが1970年代まで裁判所外の「特別法廷」で審理されていたことを巡り、「全国ハンセン病療養所入所者協議会」など3団体のメンバーが16日、最高裁を訪れ、「患者が差別的な扱いを受けていた」として、第三者機関を設置して検証するよう申し入れた。団体側によると、最高裁事務総局幹部が「取り扱いを検討している」と説明したという。

 裁判は裁判所で行うのが原則だが、裁判所法は「最高裁が必要と認めるときは、他の場所で法廷を開かせることができる」と定める。最高裁が療養所内などに設置を認めた特別法廷は47〜72年に95件あり、事実上非公開で審理された。団体側は、「公開の法廷で裁判を受ける権利を保障した憲法に違反する」と主張。先月6日付で要請書を提出していた。

 特別法廷で審理された事件には、国立ハンセン病療養所「菊池恵楓(けいふう)園」(熊本県)への入所勧告を受けていた男性が、無罪を主張していたが、殺人罪などで死刑が確定し62年に執行された「菊池事件」がある。【和田武士】」


司法が、ハンセン病患者を差別し、裁判を受ける権利を侵害した歴史を検証することは、法律家自身のためにも必要なことだと思います.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-17 01:58 | 司法

済生会川口総合病院,心電図アラーム音に約10分間気づかず入院患者が死亡(報道)

msn産経「アラーム気付かず患者死亡 埼玉・川口の病院」(2013年12月13日)は,次のとおり報じました.

「埼玉県済生会川口総合病院(同県川口市)で平成23年1月、入院していた女性=当時(71)=の容体が急変し、異常を知らせるアラームが鳴ったのに看護師らが気付かず、女性が死亡する事故があったことが13日、病院への取材で分かった。

 病院はミスを認め遺族に謝罪した。「すぐに救命処置をしていれば助かった可能性が高い。深くおわびし、再発防止を徹底する」と話している。遺族とは示談が成立しているという。

 病院によると、女性は閉塞(へいそく)性動脈硬化症と狭心症で同年1月に入院し、心臓の冠動脈にカテーテルを挿入して血管を広げる手術を受けた。

 手術から約1時間後、病室で容体が急変。ナースステーションにある心電図モニターのアラームが鳴ったが、看護師らは救急患者への対応や勤務交代などが重なり約10分間、気付かなかった。」


東京新聞「心電図アラーム気づかず 入院患者が死亡 川口の病院」(2013年12月14日)は,次のとおり報じました.

「川口市の済生会川口総合病院で二〇一一年一月、入院患者の女性=当時(71)=の心電図の異常を知らせるアラーム音が鳴ったのに看護師らが気づかず、この女性が死亡していたことが、同病院への取材で分かった。病院側は「明らかなミス。すぐに処置をすれば救命できた」として、翌二月に遺族に謝罪したという。

 病院によると、同年一月十九日午後六時ごろ、病院六階のナースステーションで、不整脈になった女性の心電図の異常を知らせるアラーム音が鳴った。ナースステーションには看護師十数人がいたが、勤務交代の引き継ぎなどで多くが話し中だったことなどから、誰も気づかなかった。約十分後に急患の対応から戻った看護師が気づいたが、女性は約二時間後に死亡した。

 病院は同年二月から再発防止策として、午後五時~七時の看護師の多忙時間帯には、ナースステーション内の心電図モニターを専従で観察する検査技師を置いている。 (池田友次郎)」


アラーム音に気付かなかったためにおきた医療事故は,決して少ないものではありません.

アラーム音を小さくしていたり,看護師がナースステーションにいなかったり,原因は多様ですが,アラーム音に気づかない体制にあること自体が病院の責任と考えられます.
十数人の看護師がナースステーションにいながら,アラーム音に気づかなかったこのケースでは,明らかに注意義務違反があると言えます.

なお,医療訴訟では,モニターのアラーム音がなったときにただちに対応すれば,悪しき結果(死亡,重度の障害など)が発生しなかったか(回避可能性)が病態との関係で争われるケースもあります.このケースでは,アラーム音に気づいてすぐ対応していれば死亡結果は発生しなかったというのですから,因果関係は明らかです.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-14 10:26 | 医療事故・医療裁判

妊娠中に母親が喫煙した場合、ADHD(注意欠陥・多動性障害)リスクは男児1.9倍、女児1.7倍

西オーストラリア大学テレソン小児保健研究所のDesiree Silva教授らは、西オーストラリア州の住民から、ADHDと診断されて治療中の子供(症例群、1万2,991人)とADHDではない子供(対照群、3万71人)をについて、母親の胎内にいたときの環境の違いを比べた結果、妊娠中に母親が喫煙した群のADHC8注意欠陥・多動性障害)リスクは男児で1.9倍、女児1で.7倍だった、と報告しました.

健康百科「シングルマザー、妊娠中の喫煙で子供のADHDリスク増加 豪州の住民を調査」(2013年12月)参照

Environmental Risk Factors by Gender Associated With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder.(注意欠陥障害に関連する環境リスク要因)
Silva D, Colvin L, Hagemann E, Bower C.

Source
Telethon Institute for Child Health Research, Centre for Child Health Research, and.

Abstract
BACKGROUND:Early environmental risk factors associated with attention-deficit/hyperactivity disorder (ADHD) have been increasingly suggested. Our study investigates the maternal, pregnancy, and newborn risk factors by gender for children prescribed stimulant medication for treatment of ADHD in Western Australia.METHODS:This is a population-based, record linkage case-control study. The records of all non-Aboriginal children and adolescents born in Western Australia and aged <25 years who were diagnosed with ADHD and prescribed stimulant medication (cases = 12 991) were linked to the Midwives Notification System (MNS) to obtain maternal, pregnancy, and birth information. The control population of 30 071 children was randomly selected from the MNS.RESULTS:Mothers of children with ADHD were significantly more likely to be younger, be single, have smoked in pregnancy, have labor induced, and experience threatened preterm labor, preeclampsia, urinary tract infection in pregnancy, or early term delivery irrespective of the gender of the child, compared with the control group. In the fully adjusted model, a novel finding was of a possible protective effect of oxytocin augmentation in girls. Low birth weight, postterm pregnancy, small for gestational age infant, fetal distress, and low Apgar scores were not identified as risk factors.CONCLUSIONS:Smoking in pregnancy, maternal urinary tract infection, being induced, and experiencing threatened preterm labor increase the risk of ADHD, with little gender difference, although oxytocin augmentation of labor appears protective for girls. Early term deliveries marginally increased the risk of ADHD. Studies designed to disentangle possible mechanisms, confounders, or moderators of these risk factors are warranted.


やはり、喫煙は子どもにも悪影響を及ぼします.

弁護士 谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-14 01:20 | タバコ

筑波大学附属病院,患者個人情報の入ったノートパソコン紛失

筑波大学附属病院は,本日,「診療情報が保存されているノート型パソコンの紛失について」をサイトに掲載しました.

この度、患者様の診療情報が保存されているノート型パソコンが病院内において所在不明となる事案が発生いたしました。個人情報が記録されていた患者様、関係の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。なお、事案の発生後、病院内を捜索しておりますが、まだ発見には至っておりません。

1.保存されている患者情報について

個人情報対象者:内視鏡治療を受けた約400人
診療情報:患者様ID番号、氏名、年齢、内視鏡に関する情報(治療日、病変の部位、形態等の所見、病理所見、転帰)

2.今後の対応について

 該当する患者様へ、本事案のご説明とお詫びの文書を既に送付しているほか、関係機関へ報告をしております。

 また、現在までに、外部に個人情報が流失したという情報や第三者に不正に使用された事実は確認されておりません。引き続き、関係機関と連携を図りながらノート型パソコンの発見に努めます。

3.再発防止について

 本院における患者様の個人情報の取扱いにつきましては、「附属病院統合医療情報システム管理運用要項」、「附属病院の保有する個人情報保護に関するガイドライン」、「医療事故防止マニュアル」により、個人情報の暗号化、院外への持ち出し禁止等、セキュリティ確保の指導及び徹底を図ってきましたが、これらが遵守されず、今回の事案が発生しましたことは大変遺憾なことであります。

 今回の事態を厳粛に受け止め、改めて職員に対して、ガイドラインの遵守と個人情報保護の重要性について、教育・指導を徹底いたします。」


NHK「大学病院で診療情報入ったパソコン紛失」(2013年12月12日)は,次のとおり報じました.

「茨城県つくば市にある筑波大学附属病院で、患者380人余りの氏名や治療結果などのデータが入ったパソコン1台が紛失していることが分かり、筑波大学は患者に文書で謝罪しました。

紛失したのは、筑波大学附属病院の、内視鏡を使ってがんなどの診断や治療を行う光学医療診療部の研究室などで使われていたノート型パソコン1台です。

筑波大学附属病院によりますと、パソコンは大学が購入し光学医療診療部に勤務する40代の医師が使っていたもので、平成17年2月以降に内視鏡治療を受けるなどした384人の氏名や治療の結果などのデータが入っていましたが、先月18日、紛失に気付いたということです。
病院の聞き取りに対してこの医師は、先月14日朝の会議でパソコンを使用したことまでは覚えているということですが、その後、パソコンをどこに置いたかよく覚えていないと話しているということです。
パソコンにはパスワードが設定されておらず、起動すれば誰でもデータを見ることができるということですが、これまでのところ第三者にデータが使われた形跡はないということです。

筑波大学附属病院は警察に相談するとともに、関係する患者全員に文書で報告し謝罪しました。
筑波大学附属病院の五十嵐徹也病院長は「このような事態が起きたことは大変遺憾で、今後、改めて、個人情報保護の徹底を図っていきたい」と話していました。]


再発防止に具体性がありませんが,本当に大丈夫でしょうか.

最近は,遠隔操作でノートパソコンのデータを消去できますし,一定時間インターネットに接続しないと自動的にデータが消滅するようにもできます.データの暗号化だけではなく,遠隔操作によるデータ消去,データの自動消滅を導入するのが,実効的な対策と思います.
なお,私は,そもそもノートパソコンに個人情報は入れていません.


◆ 2011年6月以降の個人電磁情報の紛失事故

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

2013年12
筑波大学附属病院


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-12 23:57 | コンプライアンス

映画『東京物語』

2013年12月12日は,小津安二郎監督の生誕120年.没後60年の記念日です.Googleが小津調になっていますので,思いだされた方もいるでしょう.

GyaO!は,このところ,一日一作,小津作品を無料放映していますが,今日は,『東京物語』でした.言い尽くされた感はありますが,完成度が高く,日本映画史上最高傑作と言ってもよい作品です.
何度も見ていますが,じーんときます.

「勇ちゃん,あんた,おおきうなったら何になるん
あんたもお父さんみたいにお医者さんか
あんたがのう,お医者さんになるこらぁ,おばあちゃんおるかのう」

と死の予感を吐露するシーンもあれば,

「よう遊ぶ男でなぁ 法科の学生ですがなぁ,法律のことは何も知らんですがなぁ」

と嗤わせる場面もあります.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-12 23:21 | 趣味

医療問題弁護団、12月21日(土)午前9時15分~午後5時、レーシックホットライン

医療問題弁護団は、2013年12月21日(土)午前9時15分から午後5時まで、レーシックホットラインを行います.

電話は、03-6869-8391です.

詳しくは、医療問題弁護団のサイトへ

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-10 02:49 | 医療事故・医療裁判

静岡地裁浜松支部平成25年11月26日判決、歯科医療過誤(インプラント)本人訴訟で195万円賠償認容(報道)

静岡新聞「iインプラント訴訟増加 浜松では賠償命令」(2013年12月9日)は、次のとおり報じました.

「顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込み、人工歯をかぶせる歯科治療で、神経損傷、感染症などのトラブルや民事訴訟が県内を含む全国で増加している。リスクが高く高度な技術が求められる治療にもかかわらず、患者に否定的な情報を十分説明していないなど、歯科医のモラルが問われるケースも目立ち、早急な対策が求められている。

 浜松市南区の50代女性が、市内の歯科医に誤った治療をされたとして損害賠償を求めた訴訟の判決が11月26日にあり、静岡地裁浜松支部は歯科医に195万円の支払いを命じた。弁護士を立てない本人訴訟だったが、裁判所は過誤を認めた。女性は、ずさんな治療が横行していると憤る。
 判決や女性によると前歯の治療でインプラント本体を誤った位置に埋め込まれたため、激しい頭痛や顔面が腫れて食事も外出もままならない日が続いた。治療した歯科医は「失敗ではない」と主張したが、その後に受診した7カ所の歯科医院すべてで「撤去が必要」と診断された。「誰かが訴えなければ、被害者が増え続ける」と訴訟を決意したという。

 日本顎顔面インプラント学会の指導医で、浜松医療センター歯科口腔(こうくう)外科の内藤克美科長は、他の歯科医院の患者10人以上から、治療後の神経障害やインプラントの脱落などの相談を受けた。「インプラントはあくまで失った機能を補うもので、天然の歯とは違うということを患者側も理解しておく必要がある」と指摘する。一方で多発するトラブルの原因は「治療者側の知識と技術、モラルの欠如が大半」と警鐘を鳴らす。

「発展途上の治療」
 県歯科医師会の望月亮医療管理部長と五井卓生涯研修部長は「インプラントのおかげで入れ歯から解放され、喜ぶ人もいる」としながら、体系的な教育や技術の標準化はこれからで、発展途上の治療と指摘する。
 骨と歯の間には歯根膜という緩衝材があるが、インプラントと骨の間にはない。2人は「長期的な骨への影響は分かっていない」と懐疑的。「歯科医は説明責任を果たし、患者は納得いく説明をしてくれる歯科医にかかってほしい」と訴える。
 浜松医療センター歯科口腔外科の内藤科長は歯科医の増加で保険診療だけでは経営できず、高収益目当てで自由診療のインプラントを行う歯科医の存在も否定できないと指摘し、「監視する第三者機関が必要」と提言する。

歯科関連訴訟の情勢 裁判所の統計によると、2012年に全国の地裁であった医事関係訴訟は歯科が86件で、内科、外科、整形外科に続いて4番目に多かった。00年の39件から2倍以上に増えた。医療法学が専門の大磯義一郎浜松医科大教授によると、一般の医療過誤訴訟は原告の勝訴率が低下し、訴訟自体も減っているが、インプラント関連の訴訟は増加し、約8割で原告が勝訴した。治療の過誤が認められなくても、説明義務違反が認められるケースが多いという。」


本件は、弁護士を代理人とせずに、被害者が、自分自身で医療裁判を提訴・遂行し、勝訴しています.
このように、弁護士を代理人とせずに、自分自身で医療裁判を提訴・遂行することもできます.
とくに比較的少額の被害の場合には、弁護士費用を考えると、本人訴訟ができる人であれば、そのほうが経済的に合理的です.

医療事件は原告(患者)側に立証責任が科せられる関係で困難ではありますが、医療被害を受け、過失・因果関係を立証できる見込みがある場合は、あきらめずに、権利を行使することが大事と思います.
なお、本人訴訟を行う場合は、医療事件に詳しい弁護士に早期に相談し、提訴前、そして提訴後にも適時助言を得たほうがよいでしょう.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-10 02:25 | 医療事故・医療裁判

高知医療センター、強心剤服用薬で死亡事故(報道)

高知放送「高知医療センターで服用薬作用で死亡事故」(2013年12月4日)は、次のとおり報じました.

「4日、高知市池の高知医療センターで病院企業団議会の定例会が開かれ、昨年度も黒字決算となったことや、ことし10月までに院内で発生した医療事故について報告した。
その中で、今年5月入院していた70代の男性が5年前から服用していた強心剤の影響で心停止を起こし、翌日死亡したと報告があった。
医療センターでは強心剤の中毒症状などが見られず、予見不可能な過失のない医療事故としたが、議員からは「薬の影響を見抜けなかったのではないか」など過失を示唆する意見や、薬を処方したかかりつけ医の責任を問う意見が相次いだ。」


強心剤の副作用で死亡することはありうることですので、予見可能性自体まったくないということはないでしょう.
ただ、具体的な症状からその可能性の程度が低く、強心剤による治療の効果のほうが大きいと判断される場合であれば、強心剤を投与しないという回避方法をとる義務がない、というべきでしょう.
本件がどのような場合であるのかは、具体的な診療経過が報道されていないので、わかりませんが.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-05 00:42 | 医療事故・医療裁判

塩釜市立病院,仙台弁護士会のADRで今年1月の医療事故の遺族に示談金1000万円支払い(報道)

毎日新聞「塩釜市立病院:医療紛争和解金1000万円支払いへ」(2013年12月4日)は,次のとおり報じました. 

「塩釜市は3日、ADR(裁判外紛争解決手続き)に持ち込まれている市立病院の医療紛争で和解金1000万円の支払いを盛り込んだ議案を発表した。9日開会の12月定例市議会に提出する。

 今年1月22日未明、心臓に持病を持つ多賀城市の男性(当時70歳)が救急搬送され入院。その日深夜、男性が呼吸していないのを巡回中の看護師が発見、心肺蘇生などを施したが院内の連絡ミスによ・・・」


本件は,今年1月に発生した医療事故が年内に解決するのですから,医療裁判に比べて迅速です.
過失の有無について深刻な対立がない場合,弁護士会の医療ADRは,医事紛争の解決法の一つとして十分検討に値すると思います.

ちなみに,弁護士会の医療ADRは,東京3弁護会以外にも,札幌弁護士会,仙台弁護士会,愛知県弁護士会,大阪弁護士会(公益社団法人総合紛争解決センター),岡山弁護士会,広島弁護士会,愛媛弁護士会,福岡県弁護士会が設置しています.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-04 20:16 | 医療事故・医療裁判

子宮外妊娠破裂による出血性ショックの事案で,遺族が救急診療所,医師と東京都を提訴(報道)

msn産経「妊婦死亡は医療ミスと遺族が提訴」(2013年12月3日)は,次のとおり報じました.
 

「腹痛を訴えた都内の女性(28)が緊急搬送先の診療所で誤診され、約8時間後に子宮外妊娠破裂で死亡したとして、遺族が診療所と医師、東京都を相手取り、約9000万円の損害賠償を求める訴えを3日、東京地裁に起こした。訴えによると、診療所には救急医療用の十分な設備がなく、救急指定した都にも過失があるとしている。

 遺族側の弁護士が会見して明かした。訴えによると、女性は今年8月、激しい腹痛で都内の診療所に搬送された。医師には救急隊員を通じ、妊娠初期で早期流産の可能性があることを伝えたが「急性胃炎」などと診断され、ベッドに寝かされたまま約8時間後に死亡した。死因は「子宮外妊娠破裂による出血性ショック」だった。

 遺族側は適切な救命措置が行われなかったとして、刑事告訴を視野に警視庁北沢署に相談しているという。

 医師側の代理人弁護士は「訴えの内容を見ていないのでコメントできない」としている。」


読売新聞「救急搬送先の誤診で妻死亡、夫が9千万賠償提訴」(2013年12月3日)は,次のとおり報じました.

「救急搬送された東京都内の診療所(11床)で女性(当時28歳)が死亡したのは、適切な治療を怠ったためだなどとして、女性の夫(31)らが3日、治療に当たった男性院長や、診療所を救急医療機関に指定した東京都などを相手取り、計約9000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状によると、女性は8月、激しい腹痛を訴え、世田谷区内の診療所に救急搬送されたが、翌朝に死亡した。行政解剖の結果、死因は「子宮外妊娠破裂による腹腔ふくくう内出血」とされた。

 遺族側は、院長が子宮外妊娠破裂を疑わず、「急性胃炎・過呼吸症候群」と誤った診断をし、適切な処置を怠ったと主張。診療所の当直看護師は1人のみで、午前6時~9時は誰もいない状況が常態化していたのに、診療所を救急医療機関に指定した都にも重大な過失があると訴えている。」



東京都は,医療機関の申し出に基づき,救急病院のほかに,診療所も救急医療機関としています.救急医療機関のリストをみると,大病院に混じって小さな診療所も救急医療機関に認定されています.東京都は,どのような審査,どのような基準で,認定しているのでしょうか.
 少なくとも,本件については,妊娠初期で早期流産の可能性がある急性腹症の患者ですから,大規模な病院の医師の診療を必要としたのではないでしょうか.


【追記】

12月5日発売の週刊文春に「子宮外妊娠で出血多量死「妻は無責任救急医に殺された!」」が載ってます.


【再追記】

FNN「救急搬送先での28歳女性死亡めぐる裁判の口頭弁論 夫が胸中語る」(2014年1月22日)は,つぎのとおり報じました.

「2013年8月、28歳の妊娠中の女性が、救急搬送先の病院で死亡した。医療態勢などに不備はなかったのか。訴えを起こした夫に話を聞いた。
妻を亡くした平野雄一さんは「自分の選択で、妻を亡くしてしまったという思いは、やはり消えないと思います」と話した。
妻を失った夫の後悔の涙。
2013年8月、救急搬送先の診療所で亡くなった平野夏子さん(28)。
その死は、あまりにも突然だった。
2013年8月4日午前1時ごろ、亡くなった平野夏子さんは、夫に付き添われ、世田谷区の病院に救急搬送された。
夏子さんが、自宅で激しい腹痛を訴えたため、救急車を呼んだ夫の雄一さん。
1週間前に、別の病院で、初期流産の可能性があるとの診断を受けたことを伝えると、救急隊員は、婦人科の受け入れ先を探し始めた。
しかし、雄一さんは「『婦人科はゼロから、もう1回、探すことになります』と言われたので、まず痛みだけでも」と話した。
雄一さんの選択で搬送されたのは、世田谷区内の診療所。
雄一さんは「簡単な、たぶん聴診器と触診か何かやったくらいで、(処置は)点滴と痛み止めの注射だけですね」と話した。
診療所の看護記録には、自然流産や婦人科への通院との記載があったが、医師の診断は急性胃炎。
診療所内で経過を見ることになった。
その後、医師は、隣接する自宅に引き上げて、夜勤の看護師も不在となった午前8時ごろ、夏子さんの容体が急変した。
雄一さんは「妻が呼吸をしていなくて、医師を呼んで、心臓マッサージをしてもらいました」と話した。
そのまま、息を引き取った夏子さん。
行政解剖により、死因は、子宮外妊娠が原因となった、卵管破裂による出血死と判明した。
雄一さんは「現実を、まだ受け止め切れていない。妻の(指輪)は、ネックレスにして、持ち歩いている」と話した。
突然の死から、およそ半年。
雄一さんや遺族は、夏子さんの死は、医師が適切な処置を怠ったためだとして、診察した医師や、診療所を救急病院に指定した東京都を相手取り、およそ9,000万円の損害賠償を求める訴えを起こし、22日、1回目の口頭弁論が行われた。
22日午前、雄一さんは「どういうつもりで、注射・痛み止めだけ打って、朝まで様子を見させていたのか」と話した。
診療所側は22日、夏子さんの遺族らの訴えの一部について、争う姿勢を示す書面を提出し、訴えを棄却するように求めた。
また、救急医療体制に不備があるとされた東京都も、法的に問題がなかったことを主張したいと、争う姿勢を示した。」


【再々追記】


読売新聞「遺族と診療所が和解…救急搬送先での女性死亡」(2014年11月28日)は,次のとおり報じました.

「救急搬送された東京都世田谷区の診療所で死亡した女性(当時28歳)の遺族が、誤診があったなどとして診療所と、この診療所を救急医療機関に指定した都に計約9000万円の損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁で和解が成立した。

 和解は25日付。遺族の代理人弁護士によると、診療所が遺族に6700万円を支払い、都への請求は放棄する。

 女性は昨年8月、腹痛のため診療所に救急搬送され、翌朝に死亡した。診療所は「急性胃炎」と診断したが、解剖の結果、「子宮外妊娠破裂による腹腔(ふくくう)内出血」と判明した。

 診療所の院長は取材に対し、「今後、再発防止に努めて診療にあたっていく」と話した。」



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-12-03 21:19 | 医療事故・医療裁判