弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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兵庫医科大学附属病院で,患者個人情報の入った医師個人のノートパソコン盗難(報道)

兵庫医科大学附属病院の医師が平成26年1月15日車上荒らしの被害に遭い、車内にあった患者個人情報の入った個人のノートパソコンが盗まれました.
兵庫医科大学附属病院のサイトによれば,以下のとおり掲載されています.

「1.紛失のデ-タの内容
・患者の紹介状の下書き7 件(内訳:英語4件;患者氏名、生年月日、年齢、検査、デ-タ等、日本語3件;氏名、病名、経過報告)
・院内報告書の下書き4件;患者氏名、病名、入院経過報告等
コンピュ-タにはパスワ-ドによるセキュリティが掛けられておりました。

2.経緯
平成26年1月15日(水)13:30頃、本学の医師が本学の南の駐車場に自家用車を駐車していたところ、駐車場の管理関係者から窓ガラスが割られている連絡が入り、確認したところ助手席後部の窓ガラスが割られ、個人のノ-トパソコンと白衣が入った布袋が盗まれていること(車上荒らし)が判明致しました。本人から速やかに甲子園警察署に届け出が行われ、同日に本学へも報告がありました。

3.発生後の初期対応
本件発生後、1)紛失デ-タの内容特定、2)デ-タのセキュリティ状況、3)個人情報デ-タの特定、4)対象者の特定、5)対象者への対応の検討、6)再発防止の緊急対策の策定を行いました。

4.今後の対応
①個人を特定できる情報の学外の持ち出し禁止の徹底
②学会発表などの症例に対する匿名化の徹底
③全医療従事者・教職員に対する個人情報の保護に関する意識付けの徹底
④責任所在と関係者の処分の検討」


ノートパソコンに,個人情報を入れておくのは危険です.

電磁データの紛失が報じられ続けていますが,紛失事故はいっこうに無くなりません.

◆ 2011年6月以降の個人電磁情報の紛失事故

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院
公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

2013年12月
筑波大学附属病院
岐阜大学医学部附属病院(その後発見)
JR東京総合病院

2014年1月
医療法人鉄蕉会亀田総合病院(その後発見)
兵庫医科大学附属病院



弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-01-30 19:14 | コンプライアンス

山形地裁平成26年1月28日判決,アラーム音に気づかず窒息の事案で国立病院機構山形病院に賠償命令(報道)

読売新聞「「窒息防ぐ義務怠った」国立病院に賠償命令」(2014年1月30日)は,次のとおり報じました.

「山形県鶴岡市の筋ジストロフィーの当時8歳の男児が意識障害になったのは、短期入所した国立病院機構山形病院(山形市)の監視体制に不備があったためだとして、両親が病院を相手取り、慰謝料など約3200万円を求めた訴訟の判決が28日、山形地裁であった。

 石垣陽介裁判長は「男児が窒息することを防ぐ義務を怠った」と病院側の過失を認め、1980万円を支払うよう命じた。

 看護師らが呼吸状態を判定する機器のアラーム音に気付かず、発見が遅れて男児が意識障害を負ったかどうかが争点となり、原告は、アラーム音が大きい機器を使用すべきだったなどと主張した。男児は昨年9月に10歳で亡くなっている。

 判決では、発見が遅れたことで男児が窒息し、心肺停止状態になったと認定。病院側に男児の様子を頻繁に監視する義務があったとした。一方、請求額を減らした理由として、男児はたんがたまりやすく吸引介護が必要だったことなど、父親が病院側に十分な情報提供をしていれば、今回のような事態を回避できた可能性があったことを挙げた。

 原告の弁護士は「こちらの主張がおおむね認められた」と判決を評価した。病院側は「主張が認められず残念。控訴も視野に入れて関係機関と相談する」としている。」


本件に限らず、アラーム音に気づかなかったために起きた医療事故は結構あるようです.


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by medical-law | 2014-01-30 18:47 | 医療事故・医療裁判

大阪高裁で逆転判決,大阪拘置所で強制的に栄養を鼻から注入された事案で賠償認める(報道)

西日本新聞「鼻に栄養剤、国に賠償命令 「屈辱的扱いで苦痛」」(2014年1月23日)は,次のとおり報じました.

「大阪拘置所で強制的に栄養を鼻から注入され負傷したなどとして、京都市に住む元収容者の男性が国に300万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は23日、請求を棄却した一審大阪地裁判決を変更、「屈辱的扱いで精神的苦痛を与えた」として、国に50万円の支払いを命じた。

 判決理由で山下郁夫裁判長は「拘置所の医師は食事を拒んだ男性に、点滴などほかの方法を試みず、同意も得ないで鼻から栄養剤を注入した。安全配慮義務に違反しており違法だ」と指摘した。」


地裁の判決を高裁が覆したものです.
本件は,そもそも同意・不同意が可能なのに,同意を得ずに強制的に治療することに問題がある事案と言えるでしょう.


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by medical-law | 2014-01-30 09:28 | 医療事故・医療裁判

国民健康保険平戸市民病院で投薬ミス(報道)

読売新聞「平戸市民病院で投薬ミス、入院患者が一時意識混濁」(2014年1月28日)は,次のとおり報じました.

 「長崎県平戸市の平戸市民病院で、症候性てんかんと診断された男性入院患者(87)に、適正量の10倍の抗てんかん薬が誤って投与されていたことが分かった。男性は一時、意識混濁状態になったが、現在は回復しているという。

 同病院によると、男性患者は転んで頭部を強打し、同県佐世保市の病院に運ばれ、その後遺症として症候性てんかんと診断された。今月22日に市民病院に転院。診察した60歳代の男性医師が、1日当たりの抗てんかん薬の投薬量を電子カルテに入力する際、誤って適正量(0・8グラム)の10倍にあたる8グラムと入力。カルテに従い、23日朝と夜、24日朝の3回に分けて4グラムずつ計12グラムが投与された。

 男性患者は23日に意識が混濁、24日にけいれんを起こし、佐世保市の病院に救急搬送された。意識は戻ったが、現在も入院している。男性医師は24日、ミスに気付き、その後、患者の家族に謝罪したという。」


平戸病院では,電子カルテシステムが昨年秋から稼動したばかりでしたので,医師が不慣れだったのかもしれませんが,桁間違いの入力はあり得ることですので,処方量が添付文書上の1回量,1日量を超えた場合に警告が出る設定が必要ではないでしょうか.


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by medical-law | 2014-01-28 20:09 | 医療事故・医療裁判

患者の視点で医療安全を考える連絡協議会、医療版事故調創設を要請

東京新聞「医療事故調は「議論不十分」 自民内から設置に批判」(214年1月23日)は、次のとおり報じました.

「自民党の社会保障制度特命委員会・厚生労働部会合同会議は二十二日、厚労省が通常国会に提出する医療と介護保険の見直しを一本化する法案について議論。医療事故を調査する第三者機関(事故調)の設置と、看護師に一部の医療行為を委ねられるようにする研修制度の新設に対し、「議論が不十分で拙速だ」などと批判が相次いだ。

 法案では、患者が死亡する医療事故が起きた場合、遺族らの申請を受けた事故調が、原因究明と再発防止策を検討する。ただ、医師会の支援を受ける議員らが事故調設置とセットになる医師の過失責任を免除する仕組みの議論が不十分として反発。削除か、一定期間後に内容を見直す条項を盛り込む修正を主張した。

 新設を検討する研修制度は、患者への気管挿管や動脈からの採血などの「特定行為」と呼ばれる医療行為を、研修を受けた看護師ができるようにする内容。医師の指示を受けた看護師が既に特定行為を行っている実態があることから、議員から「制度の新設は現場の混乱を招く」などとして撤回を求める意見が出た。

 丸川珠代厚労部会長は会合後、厚労省に研修制度について「現場の混乱が起きない理由の説明が十分でなかった」と指摘。記者団に対し、二十八日の次回会合であらためて厚労省の説明を聞き、事故調も含めて一括法案に盛り込むかどうか、結論を出す考えを示した。」



読売新聞「医療事故の調査制度創設を…事故被害者ら要請」(2014年1月27日)は、次のとおり報じました.

「医療事故の被害者や遺族らで作る「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」は27日、安倍首相や田村厚生労働相らに対し、医療事故調査制度の創設に向け、医療法改正を求める要請書を提出した。

 通常国会に提出される医療法改正案に制度の創設が盛り込まれる予定になっているが、一部の与党議員から疑義を唱える声が上がっているためだ。」



医療にたずさわる方は、医療過誤で患者が死亡しても、必ずしも遺族から責任追及があるわけではないことをご存知だと思います.
医療過誤を立証することのハードルの高さもさることながら、遺族が医療過誤であることに気づいていないケースが少なからずあるからです.

医療版事故調は、責任追及の制度ではなく、原因究明と再発防止のための制度です.
ただ、医療版事故調により事実が明るみにでてしまうと、医療過誤であることに気づいてしまう遺族もいるでしょう.その結果、いままで闇に埋もれていた医療過誤事案について、医療機関に対する民事の賠償が請求されることになりかねません.これが不都合である、と考える人たちは、医療版事故調に反対しています.
しかし、医療版事故調ができ、事実が明るみにでることよって、遺族が医療過誤に気づいてしまうという不都合なことがあるとしても、それは、医療版事故調の問題ではありません.医療過誤が少なからずあることの問題といえるのではないでしょうか.

また、明確な根拠は示されていませんが、民事賠償事請求訴訟が増えると、刑事の処分も増加し、行政処分も増えるから、という理由で反対する人もいます.
しかし、一般に示談成立により不起訴となることが多いように、民事が機能すれば刑事は謙抑的になると考えるべきでしょう.

医療版事故調が創設されると、医師が逮捕される、刑事処分が行われる、などと危機意識を煽る論調をみかけることもあります.
しかし、医療過誤に関して医師が逮捕される例はごくわすかです.山本病院事件の医師、銀座眼科事件の医師は、刑事処分に処されていますが、それは本当に不当なことなのでしょうか.
過失犯において逮捕されるのは、医療事故に関連するより、交通事故に関連するもののほうが多いでしょう.医療過誤を起こした医師の圧倒的多数は逮捕されていません.医療事故において逮捕され刑事処分を受けるのは、とくに違法性が高い場合に限られています.

院長である医師が理事長である義母を殺害し、(異常死であるにもかかわらず)病死とする死亡診断書を書き、義母は火葬されたという事件は記憶に新しいところです.このような事案で医師が逮捕され刑事処分を受けるのは不当とは思われません.
国家が刑事処罰を行うのは私的制裁を封じ秩序を維持するためでもありますから、医師に特権的な刑事免責権を付与するのは医師のためになりません.

医師法との関係は確かに未整理ですが、そのことをもって医療版事故調を先送りするのは早計ではないか、と思います.
医療版事故調により、事故の原因解明と再発防止がすすむことが期待できます.その結果、中長期的には医療事故が減り、医療弁護士の仕事が減るでしょう.そのほうが悲痛な医療事故被害を見ることが少なくなりますので、私はうれしいです.

【追記】

日本経済新聞「医療版事故調を設置へ 自民が大筋了承」(2014年1月28日)は,次のとおり報じました.

「医療事故の原因究明と再発防止に役立てるため、厚生労働省が法制化を目指す第三者機関「医療版事故調査委員会」について、自民党の社会保障制度特命委員会・厚生労働部会合同会議は28日、2年以内に制度を見直すことなどを条件に大筋で了承した。厚労省は今国会に制度創設を盛り込んだ医療法改正案を提出する。

 法案では診療行為に関して患者が予期せず死亡した場合、医療機関は民間の第三者機関への届け出と院内調査が義務付けられる。調査結果に納得できない遺族は第三者機関に再調査を求めることができ、調査結果は警察や行政に通知しない。

 ただ、医師が患者を「異状死」と認めたケースは従来通り医師法に基づき警察に届け出る義務があり、一部の議員らが「警察が介入する恐れがある」などと反発していた。法案ではこうした意見も踏まえ、2年以内に医師法との関係性についても結論を出すとの文言が盛り込まれる見通し。」


【再追記】

読売新聞「医療事故調査制度創設を了承…自民部会」(2014年1月30日)は,次のとおり報じました.

「自民党は30日午前、厚生労働部会などの合同会議を開き、医師の治療で患者が予期せずに死亡した場合、原因究明し再発を予防する医療事故調査制度を創設することを盛り込んだ「医療・介護総合推進法案」を了承した。

 公明党の部会でも31日に了承される見通しで、政府は近く法案を閣議決定し、通常国会に提出する。

 調査制度は、医療機関に対して、国が指定する第三者機関「医療事故調査・支援センター」に事故の届け出や院内調査結果の報告を義務付けるもので、2015年10月に施行される。今後、現行法が定めている警察への届け出との関係などを調整し、法律の公布後2年以内に制度を見直すこととされた。

 法案には、高齢者の在宅復帰や長期療養を支援するため、都道府県が必要な病床数をまとめた「地域医療ビジョン」を作ることも盛り込まれた。住み慣れた地域で医療と介護のサービスを一体的に受けられる体制作りを目指す。介護保険サービスの自己負担は、高所得の高齢者を対象に1割から2割に引き上げられる。」



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by medical-law | 2014-01-28 02:24 | 医療事故・医療裁判

山陰労災病院、がんの手術後の死亡事故で裁判上の和解成立(報道)

米子の医療過誤:損賠訴訟 山陰労災病院、遺族に陳謝と和解金−−地裁米子支部 」(2014年1月21日)と報じました

「米子市の男性(当時77歳)ががんの手術後1カ月余で死亡したのは山陰労災病院(米子市)の手術ミスが原因として、遺族6人が同病院を運営する独立行政法人労働者健康福祉機構(川崎市)と主治医を相手取って4491万円の損害賠償を求めた医療過誤訴訟は20日、鳥取地裁米子支部(上杉英司裁判長)で和解が成立した。」

全国の地方裁判所で,平成24年に判決となった医療事件は319件(37.8%),和解となった医療事件は 433件(51.3%)です.医療裁判は,一般的に,和解で終わることが多い,と言えます.

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by medical-law | 2014-01-23 22:52 | 医療事故・医療裁判

八戸市立市民病院の男児死亡事故第一回期日(報道)

毎日新聞「損賠訴訟:男児死亡、八戸市側争う姿勢−−地裁支部」(2014年1月23日)は、以下のとおり報じました.

「八戸市立市民病院で男児(当時11歳)が死亡したのは、病院側が適切な処置を怠ったためだとして、同市内に住む両親が市に160万円の支払いを求める損害賠償訴訟を起こし、22日、第1回口頭弁論が青森地裁八戸支部(真辺朋子裁判長)であった。市側は請求棄却を求める答弁書を出し、争う姿勢を見せた。」

一般に,医療裁判の第1回期日で,被告は,通常,答弁書を提出し請求棄却を求めます.
一般に,被告からカルテが提出された第2回期日以降,実質的な審理が始まります.カルテが提出されないと,事実関係を指摘主張するとき,証拠引用ができませんから,多くの場合,訴状は簡単なものにならざるをえません.

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by medical-law | 2014-01-23 22:08 | 医療事故・医療裁判

鳥取県立中央病院,腸閉塞による死亡事故で提訴される(報道)

テレビ朝日「死亡4歳長男は医療ミスが原因 両親が鳥取県を提訴」(2014年1月23日)は,次のとおり報じました.

「鳥取県の病院で当時4歳の長男が死亡したのは病院の医療ミスが原因だったとして、両親が病院を運営する鳥取県を相手取り、約6800万円の損害賠償を求めて提訴しました。

 訴状によりますと、鳥取県に住む30代の夫婦の長男は2012年、嘔吐(おうと)を繰り返すなど体調不良を訴えて鳥取県立中央病院に救急搬送されましたが、翌日、腸閉塞で死亡しました。夫婦は腸閉塞を疑うべき症状が無視されるなど、医療ミスが原因で長男が死亡したとして、病院を運営する県に対し、約6800万円の損害賠償を、病院に対しては謝罪などを求めて、22日、鳥取地裁に提訴しました。夫婦は会見で「ちゃんと治療してもらえれば、この春には小学校に入学するはずだった」と語りました。鳥取県立中央病院は、「事実関係を整理したうえで対応を検討していきたい」とコメントしています。」

イレウスの裁判例は多いです.嘔吐・腹痛を訴える患者は多いですが,常にイレウスを念頭において診療する必要があるでしょう.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-01-23 13:27 | 医療事故・医療裁判

横浜地裁,喫煙禁止表示が小さいと,市に過料処分取り消しを命じる(報道),東京高裁判決で逆転

読売新聞「禁煙表示小さい…路上喫煙の男性が横浜市に勝訴」(2014年1月22日)は,次のとおり報じました.

 「横浜市条例で指定された喫煙禁止地区でたばこを吸ったとして、2000円の過料処分を受けた東京都立川市の男性が処分取り消しを求めた訴訟の判決が22日、横浜地裁であった。

佐村浩之裁判長は「男性は喫煙禁止地区であることを知らず、過失は認められない」と述べ、横浜市に処分取り消しを命じた。

 同市などによると、男性は2012年1月、同地区に指定された横浜駅近くの路上で喫煙した。男性は「禁止地区であることを認識できる標識が近くになかった」と主張。市は「路面表示があり、容易に認識可能だった」と反論していた。

 判決では、佐村裁判長は「路面表示は小さく、歩行者が認識することが困難だった」と指摘、男性に過失はなく処分は違法とする判断を示した。

 市は「判決文を精査し、弁護士とも協議して対応を決めたい」としている。」


今後,喫煙禁止地区であることをより大きく表示するなど,横浜市は対応を迫られることになるでしょうが,横浜市内全域を喫煙禁止地域に指定し,例外的に喫煙可能な地域を表示するという方法も考えられるでしょう.

私は,突然咳き込み苦しくなり,見ると20メートルくらいさきに歩行喫煙している人を発見するということがよくあります.路上喫煙する人は,人に害をなしていることに気づいていないのでしょうが...


【追記】

東京高裁平成26年6月26日判決(第4民事部 田村幸一裁判長)では, 横浜市が逆転勝訴しました.


日刊スポーツ「「禁煙確認は義務」と判決 横浜路上喫煙」(2014年6月26日)は,次のとおり報じました.

「横浜市の路上禁煙地区でたばこを吸ったとして、過料2000円の処分を受けた男性が「表示が小さくて見えなかった」と取り消しを求めた訴訟の控訴審で東京高裁は26日、「路上禁煙の取り組みは拡大しており、あえてたばこを吸う人は禁煙地区かどうか事前に確認する注意義務がある」と男性側逆転敗訴の判決を言い渡した。

 1審横浜地裁判決は「禁煙地区を示す路面表示や看板が小さく、読み取ることは困難だった」と、男性の過失を否定し、処分を取り消していた。

 判決によると、男性は2012年1月、横浜駅近くの「喫煙禁止地区」の路上でたばこを吸っていて、市の美化推進員から過料処分を受けた。男性が喫煙した付近には、直径30センチの円形の路面表示が2カ所と、看板が1つあった。

 高裁の田村幸一裁判長は判決理由で「受動喫煙防止のために路上喫煙を規制する条例を制定している自治体は多い。この程度の表示があれば十分で、確認を怠らなければ禁煙地区かどうか認識することは可能だった」と指摘し、男性に注意義務違反の過失があったと認めた。

 男性は東京都立川市在住で、1審判決は「禁煙地区と知らない場合は、過失がないこともあり得る。その地区を訪れる者には標識などで周知する措置が必要だ」としていたが、高裁判決は「立川市にも路上禁煙地区はあり、男性は喫煙場所の制限が時代の流れと認識していた」と指摘した。(共同)」


神奈川新聞「路上喫煙訴訟:「禁止地区と認識できた」 横浜市の過料認める 東京高裁」(2014年6月27日) は,次のとおり報じました.

「指定した地区での路上喫煙を禁じる横浜市の条例をめぐり、過料2千円の処分を受けた東京都の自営業の男性(64)が、「違反現場が禁止地区とは認識できなかった」として市に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁であった。田村幸一裁判長は「注意すれば現場は禁止地区と認識できた」として、処分取り消しを命じた一審判決を覆し、男性の請求を棄却した。

 一審横浜地裁判決は、路上喫煙の規制の現状について「禁止されている地域は極めて限られている」としたが、田村裁判長は「条例制定などの取り組みは、拡大してきている」と指摘。その上で、「あえて路上で喫煙する場合には、禁止地区かどうか十分に注意する義務がある」とし、違反現場にあった禁止地区を周知する路面表示も「注意を怠らなければ認識できた」として、男性の過失を認定した。

 一方、争点の一つだった過料処分に過失が必要かどうかについては、「本来違法とされていない喫煙を禁止し、それに対する制裁という過料の性質からも、違反者に過失がない場合まで制裁を科すのは不相当」と判断。一審に引き続き「過失がなくても過料を徴収できる」とする市側の主張を退けた。

 男性は2012年1月、市条例で喫煙が禁止された横浜駅近くの路上で喫煙。市の「美化推進員」から過料2千円の処分を受け、提訴した。今年1月の横浜地裁判決は、「違反現場は路面表示が小さく禁止地区との認識は困難」として、市に処分の取り消しを命じていた。

 原告側代理人は「市の主張通りなら、自治体の取り締まりに歯止めが利かなくなり、過失の必要性を認めた点は評価できる。判決については上告が可能か検討したい」と話した。横浜市は「処分が適法だったことが認められた」とコメントした。

〈解説〉マナー向上と条例周知求め

 東京高裁判決は、一審判決を覆しつつ、喫煙者にはマナーの向上を、規制する自治体側には条例の十分な周知徹底を求めた。個人のたしなみと、不特定多数が利用する空間の環境保全の両立に、一つの物差しを提示している。

 判決の根幹にあるのは、「路上喫煙をなくす」という条例制定の目的だ。横浜市は「規制の実効性を保つため」として県内で最も厳しく対応してきた。ただ、控訴審判決が求めたのは、丁寧な事前周知と注意喚起。それを徹底すれば結果的に、「知らなかった」との言い訳が通用しなくなり、違反者の過失の立証にもつながる、というわけだ。

 一方で、喫煙者にも注意義務があるとしている。現状では繁華街などを中心に路上喫煙の規制が進んでおり、吸う側も周囲の環境に注意すべき、との指摘は当然といえる。

 さらに判決は、自治体の独自ルールの設定にも影響を与えそうだ。路上喫煙のように、違法ではない行為にあえて過料を適用するためには、事前の周知徹底が欠かせない。「周知が不十分な場合は自治体の責任」という判決の指摘を踏まえ、罰則を適用することが求められている。」


神奈川新聞「路上喫煙処分は適法 最高裁が男性の上告棄却」(2015年1月8日)は、次のとおり報じました.

「指定地区での路上喫煙を禁じる横浜市の条例に基づき、過料2千円の処分を受けた東京都の自営業の男性(64)が処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は7日までに、男性の上告を棄却した。決定は昨年12月18日付。処分を適法と認めた同6月の東京高裁判決が確定した。

 東京高裁判決は、「路上喫煙規制の取り組みは次第に拡大してきたと認められる」とし、「あえて路上で喫煙するなら、その場所が禁止地区か注意する義務がある」と判断。喫煙禁止地区を知らせる路面表示の大きさなどから「(男性が)禁止地区と認識することは困難」として処分取り消しを命じた一審横浜地裁判決を覆し、市の処分を適法と認めた。

 男性は2012年1月、市条例で喫煙が禁止された横浜駅近くの路上で喫煙。過料処分を受けたが、「違反現場が禁止地区とは認識できなかった」として、取り消しを求めていた。

◆横浜市、条例の周知強化

 横浜市は路上喫煙を禁じる条例の周知強化に乗りだしている。昨年6月の東京高裁判決が、今回の過料処分は適法と認めた一方、「喫煙禁止の周知徹底、喫煙者の注意喚起に費用を掛けるのは当然」と指摘したからだ。

 市資源循環局業務課によると、これまで期間限定ながら、京急電鉄や東急電鉄の協力を得て、駅ホームや車両内に条例を周知する広告を掲示。昨年12月からは、観光情報を発信するホームページで市の取り組みを紹介した。さらに今月、地元の情報誌に有料広告を掲載する予定だ。

 また、一審判決で「認識が困難」とされた禁止地区を伝えるシール式の路面表示についても、従来は劣化が目立ったものを交換するだけだったが、地区ごとに一斉貼り替えを進める。市内に6カ所ある禁止地区のうち、2014年度中に2カ所、15年度にも2カ所を刷新させる。将来的には、景観に配慮しつつ、外国人も理解しやすいデザインへの変更も検討するという。

 「処分の適法性が認められた」と判決確定を受け止める横浜市は、今後も違反者を見つけた場合は条例に基づいて過料を徴収する方針。ただ、「より丁寧に条例の趣旨を説明し、PRや表示も充実させて路上喫煙の防止を目指したい」としている。」



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by medical-law | 2014-01-22 22:06 | タバコ

市立甲府病院,気管切開手術ミスを理由に提訴されていた(報道)

毎日新聞「提訴:「甲府病院のミスで死亡」 気管切開手術、遺族が市を」(2014年1月22日)は,次のとおり報じました.

「市立甲府病院(甲府市増坪町)で気管切開手術を受けた後に死亡した男性(当時37歳)の甲州市に住む遺族が、気管挿入の際にミスがあったなどとして甲府市に約1億1300万円の損害賠償を求める訴訟を甲府地裁に起こした。 提訴は12月26日付。」

12月は,提訴が多い月です.
請求額と訴状に貼る印紙代が連動する関係で,私ですと,160万円の一部請求で提訴し印紙代を節約するのですが,一部請求ではなく全部請求という弁護士も多いですし,不法行為の時効(3年)との関係で全部請求することもあるのでしょう.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-01-22 21:39 | 医療事故・医療裁判