弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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自治医科大学付属さいたま医療センターに行くべき救急車がさいたま赤十字病院に行き3分の遅れ(報道)

埼玉新聞「救急車が搬送先誤る 浦和区の81歳男性死亡」(2014年1月15日)は,次のとおり報じました.

「さいたま市は14日、心肺停止状態の男性を病院に運ぶ際、救急車が搬送先を誤ったため到着が約3分遅れたと発表した。男性は死亡した。

 浦和消防署管理指導課によると、同日午前7時半ごろ、木崎出張所の救急車が浦和区の男性(81)を搬送。男性は到着時すでに心肺停止状態だったため、救急隊はさいたま赤十字病院の医師に連絡を取って気道確保などを行い、乗車していた救急隊長と救急救命士、消防隊員の男性3人が救命措置を行い、男性機関員が運転をした。

 しかし、救命措置をしていた救急隊長が機関員に行き先を指示しなかったため、機関員はかかりつけの自治医科大学付属さいたま医療センター(同市大宮区)ではなく、さいたま赤十字病院に行くものと勘違い。救急隊長も確認しなかった。

 さいたま市中央区にあるさいたま赤十字病院の敷地内に着いて誤りに気付き、男性は約3・1キロ離れた自治医科大学付属さいたま医療センターに搬送されたが、約3分の遅れが生じた。

 自治医科大学付属さいたま医療センター到着後、救急隊長が男性の家族に遅延理由を説明、謝罪した。

 浦和消防署管理課は「搬送先病院の確認を隊員相互にさせて、再発防止に努めていく」としている。」

3分の遅れが生死を分けたかはわかりませんが,ご遺族は何ともやりきれない気持ちだと思います.
救急車が行き先を間違えたという報道はときどきみかけますが,救急車のスタッフは,プロフェッショナルなのですから,行く先について指示する,行く先について指示を受けることくらいは行ってほしいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-15 18:45 | 医療事故・医療裁判

医療法人鉄蕉会亀田総合病院、患者個人情報の入ったUSBメモリ紛失

CBニュース「亀田総合病院で患者情報USBメモリ紛失- 対策委設置し再発防止徹底」(2014年1月14日)は、次のとおり報じました.

「亀田総合病院(千葉県鴨川市)は、入院患者約5000人の個人情報が入ったUSBメモリを紛失したと発表した。第三者による不正使用の情報はなく、同病院は「院内関係者のみが立ち入り可能な場所での紛失である可能性が高い」として、個人情報紛失事故対策委員会を設置して調査などを進めるとともに、職員に再発防止を徹底する。【新井哉】

 同病院によると、今月7日にUSBメモリの紛失が判明。記録されていたデータは、平仮名の氏名や入院予定日、疾患名、担当医などが記載された入院予定台帳の9750人分、漢字の氏名や疾患名、執刀医などが記載された手術台帳の5063人分。同じ患者のデータの重複も多く、患者数は約5000人になるという。

 泌尿器科の医師と医療担当事務員が、入院・手術台帳と週間予定表の作成に必要な情報を交換するためにデータを入力。同病院では個人情報保護の規定を設けており、通常はパスワードが設定された院内管理用のUSBメモリを使用しているが、今回のケースでは暗号化やパスワードが設定されていない私物が使われていた。

 同病院は、紛失が判明した7日に情報システム委員会を開催。翌8日には個人情報紛失事故対策委員会を設置し、9日付で保健所と警察署に紛失を届け出た。また、対象の患者にお詫びと報告の文書を発送し、問い合わせ窓口も設置した。同病院は、ウェブサイトに「今後は、個人情報保護に関する規定の見直しを実施する」とのコメントを掲載。規定順守のための職員教育を徹底することで、再発防止を図る方針を示している。」


暗号化やパスワードが設定されていない私物が使われていたことは問題でしょう.


電磁データの紛失が報じられ続けているのに,紛失事故はいっこうに無くなりません.

◆ 2011年6月以降の個人電磁情報の紛失事故

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院
公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

2013年12月
筑波大学附属病院
岐阜大学医学部附属病院(その後発見)
JR東京総合病院

2014年1月
医療法人鉄蕉会亀田総合病院(その後発見)

【追記】
CBニュース 「紛失した患者情報USBメモリ発見-亀田総合病院、院内規定見直しへ」(2014年1月20日)は,次のとおり報じました.

「入院患者約5000人の個人情報が入ったUSBメモリを紛失した問題で、亀田総合病院(千葉県鴨川市)は、再度院内を探したところ、泌尿器科医師のカンファレンスルームでUSBメモリが見つかったと発表した。同病院は、対象者にUSBメモリ発見に関する報告文を郵送するとともに、病院長名で「患者や関係者の皆さまにご心配、ご迷惑をおかけしたことを再度深くお詫び申し上げます」との謝罪文をウェブサイトに掲載した。【新井哉】

 同病院によると、今月7日にUSBメモリの紛失が判明。氏名や入院予定日、疾患名、担当医などの患者情報が入っていたという。紛失事案の公表後も、引き続き院内を探していたところ、14日午後7時ごろ、なくなった場所の可能性が高かったカンファレンスルームでUSBメモリを発見した。

 同病院は、紛失直後に設置した個人情報紛失事故対策委員会で再発防止策などを検討中で、特に私物のUSBメモリが院内に持ち込まれていたことを問題視しているという。発見後も引き続き、同委員会で職員教育の徹底などについて話し合う方針だ。

 紛失の際に設置した相談窓口での対応については、すでにUSBメモリが見つかっていることから、今月末で終了する。同病院は「今後、このようなことがないよう、個人情報保護に関する規定の見直しを実施するとともに、規定順守のための職員教育を徹底する」としている。」



谷直樹

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by medical-law | 2014-01-15 01:05 | コンプライアンス

総合リハビリ美保野病院の医師死亡労災訴訟(報道)

デーリー東北「急死は労災」 医師の母が国を提訴」(2014年1月11日) は、次のとおり報じました.
 
「2010年に八戸市の総合リハビリ美保野病院に勤務していた男性医師=当時(52)=が死亡したのは、長時間勤務による労災に当たるとして、新潟県に住む母親が10日までに、国を相手取り、遺族補償給付などの不支給を決めた処分の取り消しを求める訴えを青森地裁に起こした。第1回口頭弁論は28日に開かれる。
 訴状によると、男性医師は10年1月から、同病院で常勤の内科医師として勤務。同年7月に重度の睡眠時無呼吸症候群などと診断されていたが、過重な当直や長時間勤務を継続。同年10月、当直室で倒れているのが発見され、死亡が確認された。死因は急性呼吸不全と、同症候群による肺炎。」


注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-12 01:44 | 医療事故・医療裁判

国内最大規模の臨床研究「J-ADNI」,データ改ざんのため研究成果出せず(報道)

NHK「アルツハイマー病研究問題 データ取り扱いスタッフ任せ」(2014年1月10日)は,次のとおり報じました.

「アルツハイマー病の早期発見と根本的な治療法の開発を目指す国の大規模な臨床研究で、条件に合わない患者が多数登録され研究成果が出せなくなっている問題で、患者の重要なデータの取り扱いが専門性のない一部のスタッフに任されるなど、ずさんな管理が行われていたことが研究者の証言で分かりました。

この問題は、アルツハイマー病の早期発見と根本的な治療法の開発を目指し、東京大学など全国38の医療機関が参加して進めてきた国の大規模臨床研究で、研究の条件に合わない患者らが多数登録され、5年にわたる研究の成果が出せない状態になっているものです。
データの解析を担当する脳血管研究所の杉下守弘教授によりますと、例えば記憶力を調べる検査では、ある物語を聞いてから30分後から40分後にどの程度、正確に思い出せるのかを調べますが、これが80分後などに誤って行われ、その結果がそのまま入力されて数年間、放置されたままになっていました。
杉下教授によりますと、こうしたケースはおよそ40件あったということです。
こうした誤ったデータは研究の結果をゆがめるおそれがあるため、どのように扱うのかについて高度な専門知識が必要ですが、データの管理は専門性のないスタッフに任され、杉下教授など実際にデータを分析する研究者には長い間知らされていなかったということです。
これについて杉下教授は、「今回の検査は、新たに導入されたものもあり、非常に複雑なため、問題があった場合には必ず専門家が判断する必要がある。データ管理がずさんな実態を知ったあと、主任研究者の岩坪威東京大学教授に再三、問題を指摘してきたが改善されなかった」と話しています。
これに対し、臨床研究の主任研究者を務める東京大学の岩坪威教授は、「データを管理する部門には臨床心理士の資格を持つスタッフが1人はいた。現場でどのような運用がなされていたかについては詳細には把握していないが、適切に運用されていたと考えている」と話しています。

国家プロジェクト=「J-ADNI」

厚生労働省の研究班によりますと、国内の認知症の高齢者は推計462万人。
この認知症の原因の7割を占めるのがアルツハイマー病です。
アルツハイマー病の患者は高齢化に伴い、今後、さらに増えると予想されており、早期発見と根本的な治療法の開発が待ち望まれています。
こうした期待を背負い国が20億円以上の資金を投入し、国家プロジェクトとして5年前に始まったのが国内最大規模の臨床研究「J-ADNI」です。
軽度認知障害の人と初期のアルツハイマー病の患者500人以上を長期間追跡し、病気の脳にどのような変化が起きるのか詳しく調べるもので、早期発見の手がかりを見つけ出し根本的な治療法の開発につながる研究として期待されていました。
こうしたアルツハイマー病の発症過程を詳しく調べる同じような大規模臨床研究は、アメリカやヨーロッパでも進められていて、日本の研究成果も国際的に発表されることになっていました。

「失望が大きい」

アルツハイマー病の患者や家族などで作る「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は、「患者や家族は早く治療法が見つかってくれることを願い、純粋な気持ちで協力しているだけに失望が大きい。自分たちに都合のよい結果を出すのではなく、正しく研究してほしいというのが願いです」と話していました。

データ分析担当の教授「深刻に受け止め」

臨床研究のデータ分析を担当する筑波大学の朝田隆教授はNHKのインタビューに応じ、「検査の方法や病気の診断の基準が研究グループの中で統一されないまま研究が進んでしまったことで、結果を出すのが大幅に遅れてしまっている。世界的にも注目されている日本の認知症の研究分野で、このような問題が起きてしまったことを深刻に受け止めている。研究に協力していただいた患者さんのためにも、きちんとしたデータを出す必要があり、外部の専門家を入れた第三者機関を設けるなどして、データに誤りがないか、患者一人一人について詳細に確認をしていくべきだ」と話しました。

「チェックし直すことが必要」

「J-ADNI」の研究の意義について、京都大学医学研究科脳機能総合研究センターの福山秀直教授は、「PETなどの画像診断や血液検査などで診断が簡単にできる指標を作ろうというのが研究目的で、アメリカで始まり、日本やヨーロッパなどで進められている。指標ができれば、アルツハイマーなのか物忘れなのかの診断が外来の診療でもきっちりできるようになる」と説明しました。
そのうえで、「1人や2人であれば何らかのミスとも考えられるが、1割以上もミスがあると残りの9割が正しいのか疑問に感じられ、大きな問題だ。日本での臨床研究が世界的にも信用されなくなってしまう。これだけの費用をかけているものをやり直すのは難しいので、使えるデータだけでどこまでのことが言えるのか、はっきりさせることが重要だ。特定の人間だけでなく、外部にデータを全部出してチェックしなおすことが必要ではないか」と話しています。」


以前から,J-ADNIの問題は指摘されていましたが,ここまでひどいとは...
岩坪教授は,このごに及んでも,改竄ではない,と述べていますが,10分後の記憶検査を30分後の記憶検査として報告するのは許されないことです.アルツハイマー型認知症以外の患者を多数とりこんでしまっては,データとして使えません.
国から24億円,製薬会社11社から9億円の資金と多数の患者の協力を得て行われた大規模研究J-ADNIが,データ改竄のため使えないということになると,問題は大きいです.

データは研究の根幹であり,研究者にとってデータ改竄は見過ごすことのできないもののはずです.
研究成果を出すことを急いだなどの見方がありますが,本件の事実経過と背景を調査解明する必要があると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-01-11 07:01 | コンプライアンス

ABP,人権と環境の観点から東電を「投資してはならない対象」に指定し株売却

ロイター「オランダ年金基金が東電株売却、原発事故処理への懸念で」(2014年 1月 8日)は,次のとおり報じました.

「[アムステルダム 7日 ロイター] -オランダの公務員年金基金ABPは7日、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)株式を昨年売却したことを明らかにした。福島第1原発の問題めぐり、ABPが安全性や環境への影響について繰り返し協議を申し入れたものの、東電側が応じなかったため、としている。ABPは、東電を1月1日付けで投資してはならない対象に指定した。」

「ABPは7日発表した声明で「東電は、福島原発事故発生時、およびその後も、われわれの基準に違反していた。東電は、一般市民の安全についての認識が乏しかったと言える」と指摘した。

Geers氏によると、ABPは自分たちの懸念について繰り返し東電との協議を試みたが、東電からの返答はなかったという。

ABPは、投資禁止対象リストを毎年見直している。禁止対象には、クラスター爆弾製造会社などが含まれている。

東電については、ABPが社会責任投資のガイドラインとしている国連グローバル・コンパクトの10原則の内の「人権」と「環境」の2原則に関する目標を満たしていないと判断したとGeers氏は説明した。」


国連グローバル・コンパクトの定める4分野(人権,労働,環境,腐敗防止)10原則は,いずれも世界的に採択・合意された普遍的な価値として国際社会で認められているものです.国連グローバル・コンパクトは,企業が影響の及ぶ範囲内で「人権」,「労働」,「環境」,「腐敗防止」の分野における一連の本質的な価値観を容認し,支持し,実行に移すことを求めています.

人権
原則1 企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである
原則2 企業は、自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである

環境
原則7 企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである
原則8 企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである
原則9 企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである

たしかに,東電が,これらの原則をみたしているとは言い難いですね.

日本では,大和証券,三井住友銀行,三井生命,住友生命,みずほファイナンシャルグループなど181企業・団体が国連グローバル・コンパクトに加入していますが,同様の判断で株式売却となるのではないでしょうか..


谷直樹

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by medical-law | 2014-01-10 07:52 | 人権

日本医師会も,新型出生前診断の指針を順守するよう求める見解発表

朝日新聞「中国企業に出生前診断の指針順守求める 日本医師会」(2014年1月8日)は,次のとおり報じました.

「新型出生前診断を中国の検査会社が日本産科婦人科学会(日産婦)の指針を守らずに実施している問題で、日本医師会は8日、検査会社に指針を順守するよう求める見解を発表した。医療機関に対しても科学的な評価の定まっていない遺伝子検査を「安易に導入するべきではない」と要請した。

 新型出生前診断は、妊婦の血液だけで胎児の染色体異常を調べられる。医師会の今村定臣・常任理事は会見で「不用意に行われれば人の生命の選別に至る恐れが大きい」と指摘。複数の医療機関が中国企業と契約し、すでに検査を始めているとの情報があることを明らかにした。

 新型出生前診断は、結果によっては十分な情報と知識なしに人工妊娠中絶につながる心配がある。このため、日産婦は指針で、常勤の小児科医がいて、遺伝に関する専門外来がある施設に限っており、日本医学会が施設を認定している。」


日本産科婦人科学会と日本医学会が昨年12月23日に緊急声明を出したのに続いて,日本医師会も同様の意見を表明しました.
しかし,単なる意見表明だけで,中国のBGI社と提携いて新型出生前診断を実施する医療機関を止められるかは疑問です.厚労省の対応に注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-09 03:34

国立成育医療研究センター病院,患者を取り違え幹細胞注入(報道)

NHK「誤って別の子どもに幹細胞移植 東京」(2014年1月7日)は,次のとおり報じました.

「東京の国立成育医療研究センター病院で、先月、小児がんの1歳の男の子に移植する予定だった男の子の細胞を、誤って4歳の女の子に移植する、患者の取り違えがあったことが分かりました。
今のところ女の子に目立った健康被害は起きていないということです。

患者の取り違えがあったのは、東京・世田谷区にある国立成育医療研究センター病院です。
病院によりますと、先月18日、小児がんの1歳の男の子に抗がん剤治療をしたあと、あらかじめ男の子から採取していた血液を造る「幹細胞」を注射器で体内に移植する際、主治医が患者を取り違え、同じ病気で入院していた4歳の女の子に誤って移植したということです。
男の子と女の子の主治医は同じで、主治医は冷凍保存していた男の子の幹細胞を解凍し注射器に詰めたあと、女の子の部屋に行き、注射したということです。
直後に別の医師が気付き、慎重に経過を見ていますが、女の子に今のところ目立った健康被害は起きていないということです。
男の子には予備の幹細胞を注入し、状態は安定しているということです。
主治医は「病気も同じで治療の経過も似ていたので、取り違えてしまった」と説明しているということです。
国立成育医療研究センター病院の松井陽病院長は、「患者や家族に多大な迷惑をおかけしたことをおわびします。患者の本人確認が徹底できていなかったことが最大の原因で、責任を持って再発防止に取り組みたい」と話しています。
幹細胞の移植に詳しい、日本大学医学部の麦島秀雄教授は、「女の子は、場合によっては、拒絶反応のため免疫抑制剤を飲み続けなければならなくなるおそれもある。基本的なミスで、決して起きてはならない事故だ」と話しています。」



共同通信によれば,幹細胞の入ったバッグと患者が装着しているリストバンドとの照合作業が不十分なまま移植を行ったとのことです.
病気も同じで治療の経過も似ていたとは言え,1歳の男児と4歳の女児をとりちがえたわけですから,主治医の思い込みと確認ミスによる事故だと思います.ダブルチェックが常に必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-07 19:14 | 医療事故・医療裁判

日本産科婦人科学会,「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ」

公益社団法人日本産科婦人科学会は,平成25年12月27日,「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ」を発表しました.


欧米では、静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)

 低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります。しかし、一方で静脈血栓症という有害事象もあります。低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、一旦発症すると重篤化するケースもありますので、服用中に上記の症候がみられた場合は、ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます。」

「海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。」


これは全体の平均ですが,喫煙,高年齢,肥満というハイリスクの人では,どれくらいの確率になるのかが知りたいところです.
また,低妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症確率は低くないので,これについて不安を感じられた方もいるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-07 09:04 | 医療

社会医療法人信愛会新生病院で集団感染(報道)

毎日新聞「大阪・院内感染:対応遅れ被害拡大 病院長は会見で謝罪」(2014年1月6日)は,次のとおり報じました.

「大阪府高槻市の「信愛会新生病院」で発覚した多剤耐性緑膿菌(りょくのうきん)(MDRP)による院内感染。11人が死亡する深刻な事態を受け、病院側は謝罪したが、対応の遅れが被害を拡大させた面も否めない。関係機関や専門家から「もっと早く報告を」と対応の不備を指摘する声が上がった。【五十嵐和大】

 「11人の方が亡くなり、大変申し訳ない」。同病院の後藤研三院長は6日午後、記者会見で謝罪し、経緯を説明した。昨年1月に最初の感染者が発生し、6月には4人が感染。その時点で3人が死亡し、7月には「院内感染と認識した」という。後藤院長は「(感染者が)多いな、という印象を持った」と語ったが、対応は近隣の医師会や大阪医科大に相談しただけで、院内の対策も医師に手洗い研修を実施するにとどまった。

 事態を重視しなかった理由について、後藤院長は「複数の感染者が各病棟に分かれ、アウトブレーク(集団感染)であると判断しかねた」と釈明した。

 8月には大阪府公衆衛生研究所に電話で相談。研究所側から「調査を一緒にやりましょうか」と提案を受け、10月に入って同研究所に遺伝子検査を依頼した。病棟のベッドや人工呼吸器などからMDRPが検出されたが、拡大を食い止められなかった。

 結局、高槻市保健所に報告したのは、患者から検出したMDRPの遺伝子型が一致し、科学的に院内感染と確定した後の12月20日だった。

 こうした対応の遅れについて、後藤院長は「厚生労働省が定める報告基準に満たない事案であり、対応に問題ない。結果として多くの方が亡くなったため、自主的に公表した」と説明した。」


謝罪よりむしろ,なぜこのような経過をたどったのかについて調査委員会を設置し解明し,再発防止策を提示することのほうが必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-01-07 08:43 | 医療事故・医療裁判

映画「BOX~袴田事件 命とは~」

無料動画 GyaOのサイトで映画「BOX~袴田事件 命とは~」を見ることができます.

映画は,司法試験トップ合格者で,裁判官となるが,袴田事件を機に裁判官を辞め,波乱(破綻?)の人生を歩んだ熊本典道氏の視点から描いています.
当初,血の付いたパジャマが犯行時の着衣とされていたのですが,パジャマについていたものが血であるという証拠がないことが分かったあとで,裁判中に味噌樽から発見された衣服が袴田氏のものとされ,静岡地方裁判所で有罪とされます.熊本典道氏は,そのときの左陪席でした.
萩原聖人氏が熊本典道氏を好演しています.
判事役は,村野武範氏と保阪尚希氏です.教授役で岸部一徳氏も出演しています.

日本弁護士連合会のサイトには,袴田事件について,以下の解説があります.

「袴田事件事件の概要  
1966年6月30日午前2時、静岡県清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅が全焼するという火事が発生しました。焼け跡からは、専務(41)の他、妻(38)、次女(17)、長男(14)の4人が刃物でめった刺しにされた死体が発見されました。
警察は、当初から、味噌工場の従業員であり元プロボクサーであった袴田巌氏を犯人であると決めつけて捜査を進めた上、8月17日に袴田氏を逮捕しました。
袴田氏は、当初否認をしていましたが、警察や検察からの連日連夜の厳しい取り調べにより、勾留期間の満了する直前に自白しましたが、その後公判において否認しました。

事件の経緯
警察は、逮捕後連日連夜、猛暑の中で取調べを行い、おまるを取調室に持ち込んでトイレにも行かせない状態にしておいて、袴田氏を自白に追い込みました。袴田氏は9月6日に自白し、9月9日に起訴されましたが、警察の取調べは起訴後にも続き、自白調書は45通にも及びました。なお、弁護人が袴田氏に会った時間はこの間合計でたったの30分程度でした。
袴田氏の自白の内容は、日替わりで変わり、動機についても当初は専務の奥さんとの肉体関係があったための犯行などと述べていましたが、最終的には、金がほしかったための強盗目的の犯行であるということになっていました。
更に、当初から犯行着衣とされていたパジャマについても、公判の中で、静岡県警の行った鑑定があてにならず、実際には血痕が付着していたこと自体が疑わしいことが明らかになってきたところ、事件から1年2か月も経過した後に新たな犯行着衣とされるものが工場の味噌樽の中から発見され、検察が自白とは全く異なる犯行着衣に主張を変更するという事態になりました。
第1審の静岡地方裁判所は、上記のような方法で取得された自白調書のうち44通を無効としながら、1通の検察官調書のみを救済し、更に、5点の衣類についても袴田氏の物であるとの判断をして、袴田氏に有罪を言い渡しました。
この判決は、最高裁でも維持され、袴田氏の死刑が確定しました。

えん罪の疑いが強いこと
袴田氏の45通にのぼる自白調書は、捜査機関のその時点においての捜査状況を反映した捜査機関の思い込みがそのまま作文にされているものです。その自白調書の内容をみるだけで、袴田氏が事件について何らの知識を有さず、無罪であることが如実に伝わってきます。これについては、「自白の心理学」で有名な浜田教授が細かく分析し指摘しているところです。
味噌樽から発見された衣類は、ズボンには血痕の付着していない場所であるのに股引には付着していたり、股引には血痕がついていないのにブリーフには付着していたり(同様のことがシャツと下着にも言えます。)など、犯行着衣と考えると非常に不自然な点が多数あります。また、1年2か月以上も2トンもの味噌につかっていたと考えるには、シャツは依然白く、血液は鮮血色であり、非常に不自然です。これについては、弁護団の実験で、1年2か月も味噌につけられていれば、衣類は焦げ茶色に変色し、血液は黒色に変色することが明らかになっています。更に、ズボンに至っては、袴田氏には小さすぎて、着衣実験では、腿の辺りまでしか上がってきませんでした。」
袴田氏が通ったとされる裏木戸には鍵がかかっており、人が通れる隙間はありませんでした。これについて、捜査機関は、鍵をはずした上で通り抜け実験を行って裁判所に報告していました。すなわち、捜査機関は、袴田氏を有罪にするために虚偽の実験を行っていたのです。」


谷直樹

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by medical-law | 2014-01-06 07:23 | 趣味