弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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八戸市立市民病院,試験に合格したが免許登録しない臨時職員がリハビリを実施していた

読売新聞「免許無登録で医療行為 臨時職員を免職」(2014年2月20日)は,次のとおり報じました.

「国家試験には合格したものの、国に免許登録をしないで理学療法士として医療行為を行っていたとして、八戸市立市民病院は19日、男性臨時職員(26)を18日付で懲戒免職処分にしたと発表した。

 同病院によると、昨年5月に男性を臨時職員として採用した際、国家試験の合格通知は確認したが、免許証の写しの提出がなかった。これまでに6回催促したが、「見つからない」「再交付申請をしたが、まだ届かない」などと繰り返していたという。今年1月中旬に病院が直接厚労省に確認したところ、試験には合格していたが免許登録をしていない事がわかった。

 男性は約8か月間、患者に歩行訓練や筋力訓練などのリハビリを行ってきたが、勤務態度は良好で、患者の評判もよかった。男性は「試験に合格すれば、申請は遅れても問題ないと思っていた」と説明したという。

 同病院の工藤朗事務局長は「信頼を大きく損なう行為で、深くおわびする」とし、今後は採用時に免許証原本の提示を求め、確実な資格確認を行うという。」


理学療法士及び作業療法士法第3条は「理学療法士又は作業療法士になろうとする者は、理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。」と定めています.
病院は,採用時に資格を確認すべきでしょう.

患者は,理学療法士だと思ってリハビリを受け,病院から請求された診療費用を病院に支払っていたわけですが,無資格者の行為ですから本来請求すべき性格のものではありません.診療費用の返還が問題になるのではないか,と思います.また,病院のこの臨時職員に対する損害賠償も検討されるべきではないか,と思います.

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by medical-law | 2014-02-20 07:48 | 医療

医療安全情報No.87足浴やシャワー浴時の熱傷

公益財団法人日本医療機能評価機構は、2014年2月17日、「医療安全情報No.87足浴やシャワー浴時の熱傷」を発表しました.

「事 例 1
意識障害のある患者に足浴をする際、看護師は手袋を装着したまま湯の温度を確認し、実施した。その後、患者の皮膚を確認したところ、両下腿から足底にかけて水疱を形成し、熱傷を生じていた。

事 例 2
意思疎通がまばたきしかできない患者のシャワー浴をする際、入浴介助者は手袋を装着したまま湯の温度を確認し、患者の下半身にかけ湯を実施した。シャワー浴終了時、患者の右大腿部が赤いと感じた。病室に移動後、皮膚を確認したところ、右側腹部から右下腿と陰のう部に発赤、下腿の一部に表皮剥離を認め、熱傷を生じていた。

事例が発生した医療機関の取り組みは、
患者に湯を使用する前に、以下の方法などで湯の温度を確認する。
 ○温度計で測る。
 ○実施者の上腕内側の皮膚で確認する。」

という当たり前のものでした.


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by medical-law | 2014-02-18 01:43 | 医療事故・医療裁判

市立貝塚病院、保管庫の施錠怠り筋弛緩剤エスラックス紛失

msn産経「15人分致死量の「筋弛緩剤」紛失 貝塚市の病院から盗難か」(2014年2月17日)は、次のとおり報じました.

「大阪府貝塚市の市立貝塚病院は17日、成人15人分の致死量に相当する筋弛緩剤(きんしかんざい)入りのガラス瓶5本(計250ミリグラム)を紛失したと発表した。

 病院によると、筋弛緩剤は全身麻酔に使用するため、手術室脇の保冷庫に保管されていた。14日朝、担当の看護師が手術前に保冷庫内を確認したところ、58本残っているはずの未使用瓶が53本しかないことに気づいた。

 13日朝の確認では異常はなかったといい、同病院は14日午後、大阪府警貝塚署に盗難届を提出した。

 筋弛緩剤は薬事法で毒物に指定され保管庫の施錠が義務づけられているが、同病院では日中鍵をかけず、手術室を出入りする配送業者なども接触が可能な状態になっていたという。

 同病院は「事態を重く受け止め再発防止に努める」としている。」


エスラックスは,毒薬で,厳重な管理が求められています.
過去にも同種の紛失事故が報道されています.

◆ 過去の報道事例

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本
熊本大学医学部附属病院で平成24年7月に1本
公立南丹病院で平成24年10月に1本
尾道市公立みつぎ総合病院で平成24年10月に4本
社会医療法人将道会総合南東北病院で平成24年11月に2本
伊賀市立上野総合市民病院で平成25年3月に10本
広島大学病院で平成25年4月に5本
独立行政法人国立成育医療研究センターで平成25年4月に4本
半田市立半田病院で平成25年5月に10本
東京都保健医療公社豊島病院で平成25年6月に3本
奈良市立奈良病院で平成25年6月に1本
長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院で平成25年10月に1本
京都民医連中央病院平成26年1月に1本
市立貝塚病院平成26年2月に5本


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by medical-law | 2014-02-18 00:07 | コンプライアンス

信濃毎日新聞社説,医療事故調査 透明化へ課題は多い

信濃毎日新聞社説「医療事故調査 透明化へ課題は多い」(2014年2月17日)は,次のとおり論じました. 

「調査の仕組みに透明性が十分確保されないと、遺族の不信感は解消されない。具体的には厚生労働省令で定めることになっているが、実効性を持たせるために詰めるべき点は多い。」

「問題は入り口にある。
 センターへの届け出や院内調査の基準となる「予期せぬ死亡」を医療機関自身が判断することだ。

 検査や手術に伴って一定の確率で避けられないとされる症状は「合併症」と呼ばれる。患者の死亡が合併症によるものと判断すれば、届け出や調査は必要ない。
 医療機関側が「合併症」を隠れみのにしないとは限らない。これまでも遺族との間でもめる場合が多かったのは、ミスなのか合併症なのかだ。合併症の判断にどう客観性を持たせるのかが重要だ。

 「予期せぬ死亡」と判断して、院内調査を行う場合にも客観性の課題がある。
 院内調査には原則として外部の医療専門家を入れる。その専門家の派遣元と想定されているのが医師会や大学病院などだ。
 外部とはいえ、“仲間同士”のかばい合いにならないか。医療事故に詳しい弁護士や被害者団体などの目も必要だろう。

 医療事故の中でも死亡に至るのは一部にすぎない。後遺症が出た場合などに対象を広げていく検討も欠かせない。」


医療版事故調を真に実効的なものにできるかは,これからの活動にかかっています.




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by medical-law | 2014-02-17 21:05 | 医療事故・医療裁判

高知新聞社説,【医療事故調査】鍵を握る実効性の確保

高知新聞社説「【医療事故調査】鍵を握る実効性の確保」(2014年2月17日)は,次のとおり論じています.

「これまで、残念ながら訴訟を想定した医療機関側の情報開示が不十分で、遺族側の不信感を招くケースも多かった。それだけに、第三者機関がきちんと検証機能を発揮できるかが制度の鍵を握っていよう。
 この点、新制度には懸念もある。
 調査対象は発生を予期できなかった死亡事故に限っているが、想定が可能だったかどうかの判断自体が問題となるケースもあり得る。その場合、高い専門性も壁となり、患者側にとってその妥当性は検証しがたいに違いない。死には至らなかった重大事故への対応も課題として残る。
 院内調査が難しい小規模施設については、地域の医師会や大学、学会が支援する枠組みを整える。この場合も人選によっては「身内」の調査になりかねない。中立性や透明性を確保するルールづくりが求められよう。
 食品や製品での事故を取り扱う消費者安全調査委員会は人員不足もあって、当初の目標ほど調査機能を発揮できていない。厚生労働省の試算では、国内で医療関連の死亡事例は年間1300~2千件に上るという。十分な調査体制を構築して、患者本位の医療につなげる必要がある。」


医療事故死は,年間数万人とも言われています.厚労省の試算は,かなり低めです.
医療版事故調には,公正・中立性,独立性,透明性,専門性,実効性が必要だと思います.

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by medical-law | 2014-02-17 09:46 | 医療事故・医療裁判

勝村久司氏、医療事故調査制度の創設に向けて 医療界に正直文化を育てよう

勝村久司氏(元中央社会保険医療協議会委員)が、「都立広尾病院事件から15年 医療事故調査制度の創設に向けて 医療界に正直文化を育てよう」(2014年02月11日)で、広尾病院事件では、病院側は当初、遺族に対して事故原因について曖昧な説明を繰り返すのみで、後日、病院側が事故を公表する際にも、本当の事実経過と異なる説明がされたりしたことを記憶喚起し、医療界の「事故を隠そうとする隠蔽体質」を指摘しています.勝村氏は、「被害者達は、子どもを育てるように、医療が健全に育ってほしいと願っています。それは、事故から学び、再発防止につなげていくシステムを医療界に構築してほしいという願いです。」と述べています.
紆余曲折を経て、医療版事故調が創設されることになりましたが、勝村氏は、次のとおり指摘しています.

「現在の厚生労働省の原案は非常にシンプルな骨格のイメージのみとなっていて、次のような多くの大切な論点が残されています。

一つ目は、届け出や調査の対象範囲についてです。

 原案では、医療機関が医療事故調査の第三者機関に届け出る対象の事故について「当該事案の発生を予期しなかったものに限る」という要件がつけられています。

 医療行為には合併症があり、薬には副作用がありますが、「手術の合併症に出血多量がある」「陣痛促進剤の副作用欄に子宮破裂が記載されている」から、出血多量や子宮破裂で死亡するようなケースでも、「予期できる範囲だから届け出をしない」というような理屈になってしまわないかが気になります。

 二つ目は、実施主体を都道府県単位としている点です。

 原案では、病院の内部で事故調査をする際のサポートや、第三者機関による事故調査の実施は、都道府県単位で登録された「支援法人・組織」(都道府県医師会、医療関係団体、大学病院、学術団体等)が行うこととされています。

 しかし、このような都道府県単位では、調査メンバーを、同じ大学や同じ医師会に属しない人にすることができず、かばいあいのない公正中立な事故調査にはなりにくいと思います。実際、死因究明のモデル事業や、医療機関の評価をするシステムでは、もっと広い範囲をカバーするブロック制を敷いて、実際の調査メンバーは他の都道府県の人が担当するという工夫がされています。

 他にも、医療機関が第三者機関に事故調査を申請しないと決めても、遺族が申請をして調査をしてほしいと願う場合の仕組み、調査費用の当事者負担の問題、医師法21条にある、異状死を医療機関が警察に届け出る義務との関係、など、いくつもの論点がありますが、被害者や遺族たちがこだわってきた最も大切なことは何でしょうか。」

と問いかけ、

「それは、医療界の隠蔽体質をなくすことです。事故を隠すのではなく、事故の原因分析をして再発防止につなげる仕組みを構築することです。

 そのために被害者らが願っていることは、事故を起こしたことより、それを隠したりごまかしたりした方が罪が重い、とする価値観や文化の醸成です。なぜなら、起きてしまった事故は再発防止につなげてもらうことで唯一生かされますし、隠蔽はその再発防止への道を閉ざしてしまうからです。」

と述べています.

これから、医療版事故調を活かすためには、隠蔽につながるような抜け道を作らないことが大事だと思います.

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by medical-law | 2014-02-17 02:29 | 医療事故・医療裁判

がんとの戦いに勝つには治療だけではなく、法的規制も重要

国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer),のプレスリリースN°224
Global battle against cancer won’t be won with treatment alone Effective prevention measures urgently needed to prevent cancer crisis」は、次のとおり法的規制の重要性を述べています.

「Adequate legislation to reduce exposure and risk behaviours

Lessons from cancer control measures in high-income countries show that prevention works but that health promotion alone is insufficient. Adequate legislation plays an important role in reducing exposure and risk behaviours.

For instance, the first international treaty sponsored by WHO, the Framework Convention on Tobacco Control, has been critical in reducing tobacco consumption through taxes, advertising restrictions, and other regulations and measures to control and discourage the use of tobacco.」


つまり、Framework Convention on Tobacco Control(FCTC、lタバコ規制枠組み条約)は、課税、広告規制等の法的規制によってタバコ消費を削減することで、がんとの戦いを勝利するために重要な役割を果たしています.


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by medical-law | 2014-02-17 02:10 | タバコ

NPO法人架け橋,第2回実践報告シンポジウム

NPO法人架け橋が,2月16日に「第2回 実践報告シンポジウム」を開催する,とのことです.

NPO法人架け橋のサイトには,次のとおり記載されています.

「昨年よりスタートした架け橋の 実践報告会は、医療対話推進者研修を修了した医療従事者の皆さんが、院内の 患者サポート体制において、実際に取り組んでいることを報告し、経験したことや 課題を通して報告者と参加者が共に学ぶ場です。多くの皆さまのご参加を心より お待ちしております。

日時:2014年2月16日(日) 13時20分~16時30分

場所:愛育病院隣接「日本子ども家庭総合研究所」4F講堂          
    ※愛育病院玄関よりお入りください 
    東京メトロ日比谷線 広尾駅 下車 徒歩8分

テーマ:患者を支える現場からの報告

《プログラム》
  13:00  受付開始
 【第Ⅰ部】
  13:20 開会の挨拶 理事長 豊田 郁子
  13:30 医療対話推進者の実践報告(報告者 あいうえお順)
      川瀬 敏子 氏 名古屋大学医学部附属病院
      川本 たか子 氏 奈良県立医科大学附属病院
      島谷 美智子 氏 順天堂大学医学部附属浦安病院
  14:20 休憩(交流タイム)

 【第Ⅱ部】
  14:40 パネルディスカッション
       コーディネーター 稲葉 一人氏 中京大学法科大学院 教授
パネラー 第Ⅰ部の実践報告者 3名 & 豊田 郁子(理事長)
  16:20 閉会の挨拶 副理事長 川田 綾子
  16:30 終了
 
 参加費(資料代):正会員 500円
            非会員 1000円 
 定員:100名 
 申し込み方法:所属、氏名をご記入の上、下記アドレスへお申し込みください ⇒ kakehashi@y-ep.com    
 ※当日参加も受け付けます
 ※本シンポジウムは、患者サポートに関する活動(研修会への参加等)として、「参加証」を発行します。 」


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by medical-law | 2014-02-11 10:32

三環系抗うつ薬で年間5人死亡

読売新聞「大量精神科薬で搬送、156病院…問われる処方」(2014年2月11日)は,次のとおり報じました.

精神科の薬を一度に大量に服薬した患者の搬送を受けた救急医療機関が、2012年は全国で少なくとも156病院に上り、うち約3割にあたる46病院は年間50件以上搬送されていることが、読売新聞の調査でわかった。

 服薬したのはいずれも医療機関でしか処方できない薬で、抗うつ薬、睡眠薬などの処方のあり方が問われそうだ。

 昨年11月、全国の救命救急センターと日本救急医学会の救急科専門医指定施設の計498病院にアンケートを送り、164病院から回答を得た(回収率33%)。大量服薬患者を年間100件以上受けている病院も10病院あり、最も多い病院では約500件と回答した。

 うつ病で処方される三環系抗うつ薬では大量服薬によって1年間で計5人が死亡したほか、52人に不整脈、23人に長時間にわたるけいれんなど、命に関わる症状が見られた。」


この読売新聞の調査は回収率が約3分の1と低いのですが,抗うつ剤等の大量服用による救急搬送例が164病院中156病院と多く,患者がその気になれば大量服用できる状況にあることが示されていると思います.


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by medical-law | 2014-02-11 09:28 | 医療

国立感染症研究所、インフルエンザ脳症死亡例の報告

国立感染症研究所は、2014年2月10日、「<速報>インフルエンザA(H1N1)pdm09 による生来健康小児の急性インフルエンザ脳症死亡例の報告―長野県」を発しました.
2014年1月中旬に、生来健康な9歳児がインフルエンザ脳症を発症し、発症から2日目に死亡した症例を報告し、次のとおり考察しています.。

「本症例はA(H1N1)pdm09による急性脳症を発症し、集中治療にもかかわらず死亡された症例である。原因微生物と思われるA(H1N1)pdm09ウイルスは、今シーズン国内からも報告され1)、重症例の報告もある2)。A(H1N1)pdm09ウイルスによる急性脳症は、2009/10年流行期には331例と、それ以前の季節型インフルエンザ流行期での急性脳症発症数に比べて多いという報告がされている(Guら)3)。今シーズンA(H1N1)pdm09ウイルスの再流行により、急性脳症症例が増加することが懸念されるため報告した。

急性脳症は、感染症(多くの場合、ウイルス感染症)を契機に急激に生じた脳機能の全般的な障害と水口4)は定義している。急性脳症は様々な分類がなされているが、本症例は、顕著なDICとショックを合併し、Hemorrhagic shock with encephalopathy syndrome(HSE症候群)に合致する。HSE症候群は、「サイトカインの嵐」を主病態とする予後不良で、急性期死亡率が高い疾患である。本症例は、救急要請から2時間半後の集中治療室入室時にはすでにショック、DIC状態と病勢が強く救命しえなかった。

本症例はインフルエンザワクチン未接種であった。本邦では小児に対して任意接種であることから、小児でのワクチン接種率は低い状態である5)。また、現行のインフルエンザワクチンでは、急性脳症予防効果に関するエビデンスはない。本症例のような急性脳症を無くすためには、今後より有効なインフルエンザワクチンの開発が望まれる。

参考文献
1) IASR 34: 343-345, 2013
2) IASR 速報(2013年12月24日)  http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-m/flu-iasrs/4216-pr4073.html
3) Gu Y, et al., PLos One 2013; 8(1): e54786
4) 水口雅, 小児感染感染免疫 20(1): 43-50, 2008
5) IASR 34 : 334-336, 2013」


急性脳症症例が増加することが懸念されます.
現行のインフルエンザワクチンでは、急性脳症予防効果に関するエビデンスはない、ということです.


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by medical-law | 2014-02-11 03:14 | 医療