弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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札幌東徳洲会病院、「臨床研究に関する倫理指針」に反する重大な違反行為、調査委員会設置へ(報道)

医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院(院長清水洋三氏)は、2014年5月16日、「倫理指針」に違反した臨床研究が行われていたことについてのお詫びとご報告」を発表しました.

「当院の腎臓内科 部長が行っていた臨床研究につきまして、厚生労働省が定める「臨床研究に関する倫理指針」に反する重大な違反行為を行っていたことが判明致しましたので、ご報告いたします。
 私たちはこのような事態を招く結果となったことを深く反省し、多くの患者様をはじめ、臨床研究にご協力いただいた皆様のご厚意や信頼を損なう事態を招きましたこと、そして当院が社会的な信頼を大きく損ねてしまいましたことを厳粛に受け止め、ここに改めて謹んで深くお詫び申し上げます。  
 今後は、研究者倫理のより一層の徹底を図り、再発の防止と公正な研究活動の確保に努めていく所存でございます。」


毎日新聞「貧血薬臨床試験:販売元に個人情報提供…病院、陳謝 札幌」2(014年5月17日)は、次のとおり報じました.

「貧血治療薬の臨床試験を巡り、札幌東徳洲会病院(札幌市)で腎臓内科部長の医師=諭旨退職処分=による国の指針違反があった問題で、この医師は販売元の協和発酵キリン(東京)の社員に患者の個人情報を渡していた。病院が発表した。個人情報保護法違反の可能性がある。社員は試験の関連書類の作成やデータ解析などで不適切に関与していた。

 臨床試験は薬の投与による血液中のホルモンの変動を調べる目的で、2012年から13年にかけて行われた。

 16日の病院の記者会見によると、13年6月に試験計画の変更の申請があったことを機に経緯を調べたところ、医師は病院の倫理審査委員会が承認する2週間以上前から試験を始めていたことが発覚。当初予定の2倍にあたる30人の患者を対象にしていた上、患者の氏名などの個人情報を社員に提供していた。

 試験の実施計画書では社員が関与するとの記載は無かったが、複数の社員が試験の実施計画書や患者の同意説明文書の作成、データの解析を行っていた。また、同社から50万円の奨学寄付金を受けていた。清水洋三院長は記者会見で「社会的な信頼を大きく損ねたことを厳粛に受け止め、深くおわびする」と陳謝した。

 一方、協和発酵キリンも東京都内で記者会見。試験への社員の関与を営業部門が13年9月に確認しながら、今年4月までコンプライアンス(法令順守)の担当役員に届け出ていなかったことを明かした。社員の関与は、社内や業界団体の規則に違反する可能性があるとの認識を示し、「不適切な臨床研究への関与が発覚したことは申し訳無い」と謝罪した。弁護士による社外調査委員会を設置し、問題点の解明や再発防止策を検討する。

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑を受け、日本製薬工業協会は4月、自社製品を対象にした臨床試験への奨学寄付金の提供やデータ解析などへの社員の関与を禁止すると加盟72社に通知した。【八田浩輔、江連能弘】」


北海道新聞「倫理委承認前に臨床研究 札幌東徳洲会病院 協和発酵キリンの薬 関与の医師処分」(2014年5月16日)は、 16次のとおり報じました.

「札幌東徳洲会病院は16日、同病院の60代の男性腎臓内科部長が、製薬会社「協和発酵キリン」(東京)の貧血改善薬の臨床研究を、院内倫理委員会の承認前に開始するなど、厚生労働省の倫理指針への重大な違反があったと発表した。健康被害はなかったという。同病院は3月末付でこの医師を諭旨退職処分としている。

 同病院などによると、医師は同社の貧血治療薬「ネスプ注射液」について、効果などに関する論文を作成するため、臨床研究を計画。厚労省の倫理指針に反し、院内倫理委員会で研究についての審議が行われた2012年12月18日以前に研究に着手した。

 倫理委員会には予定症例を15人としていたが、実際には30人を調査。患者の氏名などの個人情報も同社に流していた。医師は研究に関し同社から受けた50万円の寄付金をデータ測定の費用などに充てたとされる。

 院内倫理委員会によると、医師は聴取に対し「倫理指針への理解が足りなかった」と説明。同委は患者数を増やしたことについて、当初の計画では十分なデータを得られなかったため、人数を増やしデータの価値を高める意図があったとみている。データの捏造(ねつぞう)は確認されていないという。

 13年6月に研究計画の変更申請があり、院内で実施状況を確認したことをきっかけに違反が発覚。同病院は患者本人や遺族に対する経緯説明、謝罪を始めている。」


NHK「徳洲会病院の医師 届け出と異なる臨床研究」(2014年5月16日 は、次のとおり報じました.

「札幌市の札幌東徳洲会病院で腎臓内科部長だった医師が事前の届け出と異なる内容の臨床研究を行ったほか、研究費用の寄付を受けた製薬会社側に患者の個人情報を無断で提供していたことが分かりました。
病院側は厚生労働省の倫理指針に違反しているとして、この医師を諭旨退職の処分にしました。

札幌東徳洲会病院によりますと、腎臓内科部長だった63歳の医師は、おととし透析患者の貧血を改善する薬剤の効果を調べるため臨床研究を行うとした計画書を病院の倫理委員会に提出しました。
しかし、実際には委員会の承認前に研究を始めたほか、計画の倍の30人に薬剤を投与するなど、事前の届け出と内容が異なっていたということです。
さらに研究には、東京に本社のある製薬会社、「協和発酵キリン」が寄付した50万円が使われていましたが、この会社の社員が研究の計画書や患者に同意を求める説明書の作成に関与していたほか、医師が製薬会社側に患者の個人情報を無断で提供していたことが分かったということです。
患者に健康被害はないということですが、病院側はこれらの行為は厚生労働省の倫理指針に違反しているとして、ことし3月、この医師を諭旨退職の処分にしました。
札幌東徳洲会病院の清水洋三院長は記者会見し、「不適切な関係が疑われ、常識ではありえないこと。信頼を大きく損なう事態を招いたことを深くおわびします」と述べ、謝罪しました。

社外調査委員会を設置

協和発酵キリンは東京都内で記者会見し、当時、札幌支店で営業や研究の担当をしていた2人の社員がこの問題に直接関与していたことを明らかにしました。
そのうえで、2人が製薬会社の社員として研究に関わっていたことや、患者の個人情報を受け取って保管していたことが、社内や日本製薬工業協会などの規程に違反する疑いがあるとしています。
このため協和発酵キリンは、3人の弁護士で作る社外調査委員会を設置して、来月下旬をめどに詳細な調査結果を公表することにしています。
協和発酵キリンコーポレートコミュニケーション部の諸富滋部長は記者会見で、「社員が臨床研究に不適切に関与した疑いがあることについて大変申し訳なく思います。調査の結果を踏まえて関係する社員の処分を行うとともに、再発防止策を策定したい」と述べました。
一方、50万円を寄付していたことについては「病院側に『奨学金』として提供したもので、手続き上、問題ない」としていますが、社内や業界団体の規程に違反しないかどうか、社外調査委員会で調査するとしています。」

これは、氷山の一角なのかもしれません.
もし、日本では臨床研究が製薬会社と癒着して実施して行われている例が少なくないとすると、日本の臨床研究結果全体の信用性が揺らぐことになります.すべての臨床研究で指針の徹底をはかる必要があるでしょう.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-17 01:05 | コンプライアンス

東近江市内の診療所院長,診療放射線技師法違反で書類送検(報道)

読売新聞「女性看護師2人に無資格でX線撮影させた院長」(2014年05月10日)は,次のとおりじました

「放射線技師の資格がない看護師にエックス線撮影をさせたなどとして、滋賀県警東近江署は9日、東近江市内の診療所院長の男性医師(44)と女性看護師2人を診療放射線技師法違反容疑で地検に書類送検した。

 調べに対し、医師は「忙しくて看護師に頼んでしまった」と容疑を認めているという。

 発表によると、診療所は小児科、内科が専門で、院長は昨年8月24日~今年2月6日、看護師2人に指示して、患者の男女5人の腰や胸部のエックス線撮影をさせた疑い。」


霧島市,南アルプス市や甲斐市などでも同様の診療放射線技師法違反が報じられていましたが,氷山の一角のような気もしないではないです.

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by medical-law | 2014-05-11 03:37

和歌山の病院食堂での喫煙患者による傷害致死(報道)

和歌山放送「入院患者同志のトラブルで男性死亡、相手の男を逮捕」(2014年5月8日)は,次のとおり報じました.

「和歌山市内の病院で、入院患者の87歳の男性を突きとばし、頭に怪我をさせたとして和歌山東警察署はきょう(8日)、同じ病院に入院している68歳の男を傷害の疑いで逮捕しました。怪我をした男性は、その後に死亡し、警察は、傷害致死容疑に切り替えて調べています。

傷害の疑いで逮捕されたのは、68歳の男で、警察の調べによりますとこの男は、きょう午前4時ごろ、入院している和歌山市内の精神科の病院の食堂でたばこを吸っていたところ、食堂に来た87歳の男性とトラブルになり、男性の胸を突き飛ばして頭にケガを

させました。男性は、すぐに救急搬送された病院で手当てを受けていましたが、およそ11時間後のきょう午後3時ごろ、死亡が確認されました。調べに対し、68歳の男は容疑を認めています。警察は容疑を傷害致死に切り替え、動機などを調べています。」

たばこを吸っていたことでトラブルになったかは不明ですが,病院の食堂でのたばこ喫煙は禁止すべきで,喫煙は職員が制止すべきでしょう.たばこ依存症は精神疾患ですので,治療の対象になります.

そもそも,病院内敷地は完全禁煙にすべきでしょう.
精神科の病院では,患者のストレスを考えて,完全禁煙に躊躇するところもあるようですが,ニコチンが切れたときにいっそうストレスを増加させることになりますので,やはり完全禁煙に踏み切り,禁煙治療を行い,禁煙遵守を徹底すべきでしょう.

なお,喫煙率の高いワーストスリーは,青森県,和歌山県,鳥取県です.この3県はとくにたばこ対策が必要と思います.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-09 01:53 | タバコ

往診の医師が「医療行為として合意の上」?(報道)

TBS「○○医療センターの医師逮捕、性的暴行加えた疑い」(2014年5月8日)は,次のとおり報じました.

「病気の治療と称して女性患者に性的暴行を加えたとして、○○○○○○医療センターに勤務する42歳の医師が警視庁に逮捕されました。

 準強姦の疑いで逮捕されたのは、○○医療センターの救急科の医師、××××容疑者(42)です。警視庁によりますと、××容疑者は今年3月上旬、東京都内に住む30代の女性の自宅を訪れ、治療と称して性的暴行を加えた疑いが持たれています。

 ××容疑者は、別の診療所に勤務していた際に被害者の女性と知り合っていて、犯行時は、不調を訴えた女性の要望を受け、自宅を訪問していたということです。取り調べに対し、××容疑者は『病気を治すためには薬を飲んだり、ストレスを発散させたりする行為が必要だった。医療行為として合意の上でやった』と容疑を否認しています。」


「医療行為として合意の上」という理由で準強姦を否認しているそうですが,さすがにそれは治療行為ではないでしょう.

当該往診が,外形的にも「別の診療所」の業務という形をとらず,個人の医師として行われていたとすれば,「別の診療所」に使用者責任を根拠に民事の賠償責任を問うことは難しいと考えられます.

この医師個人のホームページを見ると,「往診専門 急な往診を専門にしています.自由診療のみです.発熱,咽頭痛,鼻汁,咳, 頭痛,めまい, 嘔吐,腹痛,下痢,脱水,腰痛,筋肉痛,打撲,骨折,捻挫,切傷,刺傷,蜂窩織炎, 不眠,不安,焦燥感,倦怠感,など 」と書いてありました.
経歴は,「1997年,○○大学医学部卒業,同年,○○救命救急センター,○○大学医学部附属病院救急部,1998年,○○警察病院外科,2000年,国立○○病院救急部,2001年,○○府立病院救急科,2002年,国保○○市立病院救急部,2004年,○○○○○病院国際救急科,2009年,○○○○○○医療センター救急科,など」となっており,一流病院の救急科の医師が在宅患者のために往診するものとうけとり,信頼して往診を依頼する人もいたのかもしれません.

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by medical-law | 2014-05-09 00:32 | 医療

歯科診療所がHIV感染者の治療を拒否(報道)

「高知)HIV感染を理由に治療を拒否 県内の歯科診療所」(2014年5月8日)は次のとおり報じました.

「県内に住むエイズウイルス(HIV)感染者が、感染を理由に歯の治療を拒否されていたことが分かった。医師らの偏見や情報不足が背景にあるとして、エイズ治療の中核拠点となっている高知大学医学部付属病院が適正な対応を呼びかけている。

 付属病院によると、この感染者は昨年10月、かかりつけだった歯科診療所でHIVに感染していることを伝えた。すると歯科医師は「治療していることが外に知られる可能性があるので」と話し、以後の治療を拒否したという。この感染者は現在、付属病院で治療を受けている。

 事態を受けて付属病院は県歯科医師会に対応を要請。今年1月に同会主催の講習会で感染症の予防策を伝えた。付属病院と同会は今後、HIV感染者とエイズ患者が地域の歯科診療所でも治療が受けられるネットワークを作り、情報を共有していくという。」


差別が未だに根強いことを思い知らされたニュースでした.
当然ですが,感染は,受診拒否の正当理由にはなりません.

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by medical-law | 2014-05-08 06:06 | 医療

札幌医科大学卒業の作家渡辺淳一氏が逝去

渡辺淳一氏が、2014年4月30日、前立腺癌のため80歳で逝去しました.

渡辺氏は、札幌医科大学整形外科講師のときに、同大学の和田寿郎教授による心臓移植に一石を投じる小説(『角川文庫白い宴』)を発表しました.
後に渡辺氏は、「私の履歴書」に次のとおり書いています.
「まさか、和田教授が自分の大学で確信をもっておこなったと信じていた大手術が、これほど杜撰で、いい加減な手術であったとは、思ってもいなかった。(中略)
これでは、和田教授がいわれていた、「2つの死から1つの生を」どころではなく、「2つの生から2つの死へ」に変わっていて、それをわたしが援護、加担したことになる。
むろん、わたしは胸部外科とはなんの関係もなく、今回の心臓移植に加わったわけでもなかった。
しかし同じ大学病院にいる講師として、当初から心臓移植自体を支持し、これに対する批判に反論してもいた。
こんな状態で大学病院に残っていても、いいのだろうか。わたしは真剣に考え悩み、そして最後に、大学病院を辞めることにした。」
誠実な人だけに真剣に悩んだのでしょう.これが転機となり,東京で医師から作家へと仕事の比重を移していくことになります.

また、雄別炭礦病院に勤務していたことがあり、「壇蜜古画」(だんみつのいにしえ)の「消えた街 雄別」に出演し、人が住まなくなり廃墟となった風景に涙していました.整形外科医として赴任したのに,労働災害以外の患者も多く,手術書を見ながら子宮外妊娠の患者を助けたことを語り,「夏草や男と女の夢のあと」と詠んでいました.(HTBオンデマンドに登録すれば無料で見られます.).

渡辺氏は、選択的夫婦別姓制度を支持していました.

私の高校の大先輩でもあります.

謹んでご冥福をお祈り申し上げます.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-06 02:04

福岡大学筑紫病院の医師4人と看護師1人について検察審査会が不起訴不当

毎日新聞「福岡検察審:福岡大筑紫病院医師ら5人に「不起訴不当」」(2014年4月28日)は,次のとおり報じました.

「手術後の適切な管理を怠り患者に傷害を負わせたとして業務上過失傷害容疑で書類送検され、不起訴(容疑不十分)になった福岡大学筑紫病院(福岡県筑紫野市)の医師4人と看護師1人の計5人について、福岡第1検察審査会が「不起訴不当」の議決をしていたことが分かった。

 24日付の議決は「医師らの対応に法的、道義的問題がある。刑事責任を不問にした場合は重大な医療過誤が再発する可能性がある」と指摘している。

 5人は2009年5月25、26日、消化管に炎症などが起こる難病「クローン病」を患う40代男性歯科医(北九州市)の腸の手術を実施。大量出血を起こしたのに適切な引き継ぎなどをせず脳障害を負わせたとして、福岡県警に書類送検された。

 福岡地検が14年2月に不起訴処分にしたため、家族が検察審査会に申し立てていた。

 福岡地検は「必要な捜査を遂げ、適正に処分する」としている。【山本太一】」


msn産経「医師ら5人を「不起訴不当」 福岡検察審査会議決 患者に脳障害の医療事故で」(2014年4月28日)は,次のとおり報じました.

「福岡第1検察審査会は28日までに、手術後の不適切な対応で難病のクローン病患者に重い脳障害を負わせたとして、業務上過失傷害の疑いで書類送検された福岡大筑紫病院(福岡県筑紫野市)の当時の主治医や看護師ら5人を不起訴とした福岡地検の処分に対し、不起訴不当と議決した。議決は24日付。

 議決書は「医師、看護師としての対応には法的、道義的な問題がある」と指摘し、地検に対して「刑事責任を不問にした場合、重大な医療事故が再発する可能性がある」と処分の再考を求めた。

 議決書などによると、平成21年5月25日、主治医ら医師4人は患者の男性の手術中に大量出血があったのに看護師に適切な指示をせず病院を離れ、看護師も翌25日未明に容体が急変したのに2時間以上、主治医や当直医に連絡せず脳障害を負わせた疑いで書類送検された。いずれも今年2月、嫌疑不十分で不起訴となった。」


読売新聞「医師ら5人「不起訴不当」議決、男性患者脳障害」(2014年4月29日)は,次のとおり報じました.
 
「手術後の適切な管理を怠り、患者に脳障害を負わせたとして、業務上過失傷害容疑で書類送検され、福岡地検が不起訴とした福岡大筑紫病院(筑紫野市)の医師ら5人について、福岡検察審査会は不起訴不当と議決した。

 議決(24日付)などによると、腸に難病を患う北九州市の男性(42)は2009年5月、同病院で腸の一部の切除手術などを受けた後、血圧低下などによって高次脳機能障害を負った。

 県警は13年12月、執刀医(63)と執刀助手3人は、男性が手術中に大量出血したのに看護師に術後管理を指示せずに帰宅し、看護師は容体急変後も経過観察を続けたとして、5人を書類送検した。だが、福岡地検は14年2月、不起訴(嫌疑不十分)とした。

 審査会は「執刀医らは過去に経験がないほどの大量出血を認識しており、詳細に指示すべきだった」と判断。対応には法的、道義的問題があり、仮に不問とすれば医療事故が再発する可能性があると指摘した。また、「取り調べにより医師の意見が変化している」と捜査方法に疑義を呈した。

 地検の玉置俊二次席検事は「必要な捜査を行った上で適正に処分する」としている。」


検察審査会が,医療事故について不起訴不当とするのは多くはないので,注目したいと思います.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-04 20:45 | 医療事故・医療裁判

福井大学医学部附属病院,大腸内視鏡検査による死亡事故で提訴される(報道)

中日新聞「内視鏡検査後に死亡 親族が福井大と医師を提訴」(2014年5月3日)は,次のとおり報じました.

「院長「過失はない」

福井県あわら市の女性=当時(86)=が多臓器不全で死亡したのは大腸内視鏡検査のミスが原因だとして、浜松市の長女ら親族4人が、検査をした福井大病院(福井県永平寺町)の男性主治医と同大に、約3700万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。
 訴状などによると、女性は2012年12月24日、下血のため同病院に搬送され、翌日に大腸内視鏡検査を受けた。検査前に腸管洗浄剤を服用したが、排便はなく、主治医が検査を始めると、便が残っていたため内視鏡の挿入を途中でやめた。女性は腹痛を訴え、コンピューター断層撮影(CT)の結果、大腸の一部に穴が開いていることが判明。女性は腹膜炎と敗血症を起こし、約1カ月後に多臓器不全で死亡した。
 親族側は、女性は当時、大腸の一部が炎症により狭くなり、内視鏡の挿入などで腸管内の内圧が高まって穴が開いたと指摘。「排便のない時点でCTなどの検査をし、内視鏡の挿入を避けるべきだった」などと主治医の過失を訴えている。
 主治医は現在、同病院に勤務していない。和田有司院長は「過失はないと考えており、裁判所の判断に委ねたい」とコメントした。」


詳細は不明ですが,排便がないのに,86歳の女性に大腸内視鏡検査を強行したのはどうしてでしょうか.


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by medical-law | 2014-05-04 20:13 | 医療事故・医療裁判

結婚しない男が弁護士と結婚

結婚しない男として知られるジョージ・クルーニー氏(52歳)が,弁護士アマル・アラムディン氏(36歳)と結婚,と報じられています.
アマル・アラムディン氏は,レバノン生まれのイギリスの人権派弁護士です.ウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏,ウクライナのティモシェンコ元首相が依頼者,というところからもわかるとおり,国際人権の敏腕弁護士です.アナン前国連事務総長のシリア問題についてのアドバイザーでもあります.

ジョージ・クルーニー氏といえば,もちろん『ER緊急救命室』のダグラス・ロス小児科医師役です.キャロル・ハサウェイ看護師との関係はどうなるのか,と見ていました。
この頃の『ER緊急救命室』は,実に面白かったです.
なお,キャロル・ハサウェイ看護師を演じたジュリアナ・マルグリーズ氏も,実生活では弁護士と結婚しています.

そういえば,谷直樹法律事務所の元事務局も,5月5日に結婚とのことです.おめでたいことです.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-03 08:43

寺田逸郎最高裁判所長官の談話

NHK「最高裁長官 憲法は国民議論に委ねる課題」(2014年5月2日)は、次のとおり報じました.

「3日の憲法記念日を前に最高裁判所の寺田逸郎長官が会見し、憲法に関する議論について、「国民的な議論に委ねるべき課題だ」と述べました。

寺田長官は会見で、憲法改正についてや集団的自衛権を巡る憲法解釈が議論となっていることについて、「憲法は国の最高法規であり、国民的な議論に委ねるべき課題だと考えている」と述べました。
そのうえで「裁判所が具体的な裁判を離れて憲法について申し上げることは控えたい」と話し、内容については言及しませんでした。また、今月でスタートから5年となる裁判員制度については、「おおむね順調に運営され、少しずつ定着してきている。参加した人の多くは『よい経験だった』という感想を述べていて、今後も国民への働きかけを積極的に行っていきたい」と話しました。」


憲法81条は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定しています.
憲法解釈は、裁判所とくに最高裁判所の権限であり責務です.
つまり、集団的自衛権を根拠とする一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所が、最高裁判所なのです.
長官たる者が、違憲審査を投げ出し、国民的議論に委ねると述べ、あからさまに司法消極主義を公言してよいのでしょうか.

寺田長官の「憲法は国の最高法規であり」という発言は、憲法98条1項の「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」という規定をさしています.
国民の多数派の意見を反映した国会が制定した法律より、憲法のほうが上位の規範なのです.
日本国憲法は、国の最高法規であって、その条規(9条)に反する(あるいは反しない)、集団的自衛権を根拠とする法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない(あるいは効力を有する)、と解釈するべきでしょう.最高裁判所が憲法解釈を回避することは、一見中立のようにみえるかもしれませんが、結果的に権利侵害に対する救済を拒むことになりますので、中立とはいえません.
「憲法は国の最高法規であり、国民的な議論に委ねるべき課題」という考えは、日本国憲法の趣旨に反する筋違いのものではないでしょうか.

寺田長官は、1981年から2007年まで法務省に出向していて(1985年から1988年まで駐オランダ大使館一等書記官でしたが)、裁判実務の経験に乏しいことが、このような問題発言になったのかもしれません.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-03 01:16 | 司法