弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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子どもの集中治療を専門に行っている29の病院のうち約40%が禁忌薬使用

NHK「「禁忌薬」約40%の病院が使用」(2014年6月30日)は,つぎのとおり報じました.

「「禁忌薬」約40%の病院が使用
東京女子医科大学病院で、ことし2月、人工呼吸器を付けた子どもへの使用が原則禁止されている鎮静薬を投与された男の子が死亡した医療事故を受け、NHKが子どもの集中治療を専門に行っている全国の病院を対象に調べたところ、およそ40%の病院が同じ薬を使用していることが分かりました。専門家は「患者へのメリットが大きければ医師の裁量で禁止された薬を使うこともあるが、病院や学会で一定のルールを決めるべきだ」と指摘しています。

東京・新宿区の東京女子医科大学病院では、ことし2月、当時2歳の男の子が、人工呼吸器を付け集中治療が行われている子どもへの使用が原則禁止されている鎮静薬「プロポフォール」を投与され、死亡しました。
この医療事故を受け、NHKは今月、子どもの集中治療を専門に行っている全国29の病院を対象に同じ薬の使用状況などについてアンケート調査を行い、24の病院から回答を得ました。
その結果、全体のおよそ40%に当たる9つの病院がプロポフォールを使用していると回答し、その理由として、ほかに使用できる薬がないことや薬の効き目がよいことを挙げました。
ほとんどの病院が、薬を使用する際は複数の医師や看護師や薬剤師なども含めたチームで判断していましたが、1つの病院が1人の医師で使用を決めると回答しました。
さらに、プロポフォールと同じように原則使用が禁止されている薬を使う際に、具体的なルールを設けていないと答えた病院は全体の70パーセント近くに当たる16の病院に上っていました。
調査結果について、日本集中治療医学会の小児集中治療委員で、大阪府立母子保健総合医療センターの竹内宗之医師は「患者へのメリットが大きければ医師の裁量で禁止された薬を使うこともあるが、病院や学会で一定のルールを決めるべきだ」と指摘しています。」


禁忌薬でも合理的な理由がある場合は使用できますが,問題は誰がどのようにして合理的と判断するかです.

谷直樹

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by medical-law | 2014-06-30 22:14 | 医療

都市公園における受動喫煙対策

私の事務所の近くに外濠公園があります.ここは,遊具もあるのですが,喫煙者のための公園となっているため,子どもは事実上利用できない状態です.

公園は不特定多数の人が利用する場所(公共の場)です.公園での喫煙を許すことは,タバコ煙を不快に思う人の公園利用を妨げますので,公園は基本的に禁煙とすべきと思います.
平成22年2月25日厚生労働省健康局長通知(健発0225第2号)は,「受動喫煙による健康への悪影響については、科学的に明らかとなっている。」「多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである。」「特に、屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要である。」としています.
和歌山県の岩出市都市公園条例(平成23年3月29日 条例第3号(平成26年4月1日施行)第5条は,「都市公園においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。(中略)(11) 喫煙をすること。」と定めています.
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO FCTC)第8条とたばこの煙に晒されること(受動喫煙)からの保護に関するガイドラインは,公共の場での受動喫煙防止対策促進を求めています.
公共の場とは,不特定多数のものが利用,出入りする事が可能な空間であり,屋外であっても道路,公園なども含まれる,と考えるべきでしょう.公共の場で受動喫煙被害を受ける可能性があるところについては全面禁煙とすべきでしょう.

全面禁煙にすると守らない者によりかえって迷惑が生じるとの考えからか,喫煙所を設ける公園があります.
しかし,都市公園法第2条第2項は, 「この法律において「公園施設」とは、都市公園の効用を全うするため当該都市公園に設けられる次の各号に掲げる施設をいう。」とし,
「三  休憩所、ベンチその他の休養施設で政令で定めるもの」
「七  売店、駐車場、便所その他の便益施設で政令で定めるもの」
「九  前各号に掲げるもののほか、都市公園の効用を全うする施設で政令で定めるもの」
と定めています.
都市公園法施行令は細かく休養施設(休憩所、ベンチ、野外卓、ピクニック場、キャンプ場その他これらに類するもの),便益施設(売店、飲食店(料理店、カフェー、バー、キャバレーその他これらに類するものを除く。)、宿泊施設、駐車場、園内移動用施設及び便所並びに荷物預り所、時計台、水飲場、手洗場その他これらに類するもの)を列挙していますが,喫煙所はあげていません.喫煙所は,これらに類するものとも言えません.
したがって,本来,都市公園に喫煙所を設けることはできないのではないでしょうか.

NHK「たばこの禁煙・分煙 進んだけれど」(2014年6月27日)は, 次のとおり報じました.

「道路を歩いている時に、「たばこの煙がけむいな」と感じた経験がある人も多いのではないでしょうか?こうした道路などの公共のスペースに流れ出るたばこの煙を規制しようという動きが東京の都心で出てきています。
背景には公共のスペースなどで禁煙や分煙が進んだことで、問題が引き起こされている現状があります。
首都圏放送センターの笹谷岳史記者が解説します。


喫煙者だらけの公園

東京・千代田区にある外濠公園。
ブランコなどの遊具が設置されていますが、遊ぶ子どもたちの姿はほとんどありません。

代わりに集まっているのは、たばこを吸う大人たちです。
こうした状況になった背景には、公共のスペースなどで禁煙や分煙が進んだことがあります。
千代田区では路上での喫煙を禁止する条例を12年前に作り、路上で喫煙する人はほとんどいなくなりました。
しかし、その一方で、喫煙が禁止されていない公園に喫煙者が大勢集まるようになり、子どもたちが寄りつかなくなってしまったのです。

公園の近くに住む2人の幼いこどもを育てる母親は「この公園はたばこのにおいで臭くて嫌です。子どもを遊ばせることはできません」と話していました。


たばこで閉鎖した公園も

なかには、たばこの影響で閉鎖した公園もあります。
千代田区のオフィス街にある公園、「錦三会児童遊園」。
フェンスで囲われ、誰も入ることができなくなっています。
近くの会社などで働く人たちがたばこを吸いに集まったため、大量の吸い殻が捨てられ、去年の9月から閉鎖されています。

地元の町会長は「吸い殻でとても汚く、印象が悪くなってしまったのが嫌で、一時的に閉鎖しました。近く再開したいと思っていますが、また、同じようなことが起きれば、公園をなくすかもしれません」と話していました。
こうした状況を受けて、千代田区は公園ごとに禁煙にするか、分煙にするかなど、ルールを定めることにしています。


踏み込んだ対応の自治体も

さらに、踏み込んだ対応をしようとしている自治体もあります。
千代田区の隣にある港区は、多くの企業が立地するほか、新橋や六本木など全国有数の繁華街を抱えています。
港区に寄せられる苦情で特に多いのが、喫煙所から流れ出るたばこの煙です。
港区は、路上のほか、公園での喫煙を禁止しているため、特定の喫煙所に多くの人が集まってしまい、煙が付近の公共のスペースにまで広がってしまっているのです。

このため、港区は企業や店の敷地内であってもこうした喫煙所を規制できるように条例を改正、来月1日に施行されます。
港区によりますと、こうした条例は全国で初めてだということです。


改正された条例の内容は

改正された条例では、道路や公園だけでなく、歩行者が自由に行き来できるビルの敷地なども「公共の場所」と位置づけています。
そのうえで、こうした場所を通る人たちが煙を吸うおそれがある場合には、ビルや商店などの事業者に敷地内であっても灰皿の撤去や移設を求め、指導や勧告を行っても従わない場合は、事業者名を公表するとしています。
条例を改正したことについて、港区環境課の奥野佳宏課長は「たばこの煙で迷惑する人たちがいなくなるようにという思いで条例を改正しました」と話していました。
条例の改正にあわせて、港区の担当者は道路沿いに灰皿を設置している企業や店を訪ねて説明するなど理解を求めています。

港区から説明を受けたたばこ屋を経営する男性は、「店先に灰皿を置くことで、昼休みなどの時にたばこを吸おうと、買いに来てくれる人がいますが条例なのでしかたがありません」と話していました。


規制だけでなく喫煙所確保

港区の対策は、規制だけではありません。
屋内の喫煙所を増やすための制度も始めています。
昨年度から企業や店などが一般の人も利用できる屋内の喫煙所を設置した場合、最大で500万円を補助しています。

この制度を利用して設置されたビルの1階にある屋内喫煙所を利用していた男性は、「ルール守って吸う人、吸わない人がそれぞれ迷惑かけないように、こういう場所を作るのはよいと思います」と話していました。


設置が進まない屋内喫煙所

しかし、この制度を使って設置された屋内の喫煙所は、港区内ではまだ1か所だけです。
都心の1等地に喫煙のためだけのスペースを確保することが難しいため、こうした喫煙所はなかなか増えないのが現状です。
また、条例の改正で道路などに面したところに設置されていた灰皿が減る可能性があるため、たばこのポイ捨てが増えるのではないかと心配する声も聞かれます。
たばこを吸う人と吸わない人のそれぞれの権利を守りながら、みんなが気持ちよく過ごせる環境を実現するためには、まだまだ課題は残されていると感じました。」


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-30 09:10 | タバコ

FDA、抗がん剤ドセタキセルdocetaxelによるアルコール中毒症状に注意喚起

FDA Drug Safety Communication: FDA warns that cancer drug docetaxel may cause symptoms of alcohol intoxication after treatment

Safety Announcement
[[6-20-2014] The U.S. Food and Drug Administration (FDA) is warning that the intravenous chemotherapy drug docetaxel contains ethanol, also known as alcohol, which may cause patients to experience intoxication or feel drunk during and after treatment. We are revising the labels of all docetaxel drug products to warn about this risk. Health care professionals should consider the alcohol content of docetaxel when prescribing or administering the drug to patients, particularly in those whom alcohol intake should be avoided or minimized and when using it in conjunction with other medications.
Patients should be aware that docetaxel may cause them to become intoxicated from the alcohol it contains. Patients should avoid driving, operating machinery, or performing other activities that are dangerous for one to two hours after the infusion of docetaxel. In addition, some medications, such as pain relievers and sleep aids, may interact with the alcohol in the docetaxel infusion and worsen the intoxicating effects.
Docetaxel is a prescription chemotherapy drug used to treat different kinds of cancer, including cancers of the breast, prostate, stomach, head and neck cancers, and non-small-cell lung cancer. Several forms of docetaxel are currently marketed, including generics and the brand-name products Taxotere, Docefrez, and Docetaxel Injection. The various products contain different amounts of alcohol, which is used to dissolve the active ingredients so docetaxel can be given intravenously (see Docetaxel Formulations and Alcohol Content). Health care professionals should be aware of the differences in formulations in order to monitor and counsel patients appropriately.


米国食品医薬品局(FDA)は、2014年6月20日、ドセタキセル関連のアルコール中毒症3例(2例は点滴中が報告されていることから、上記のとおり注意喚起を行いました.

谷直樹

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by medical-law | 2014-06-29 01:39 | 医療

薬害オンブズパースン会議,7月27日シンポジウム「子宮頸がんワクチン」被害からの問題提起

薬害オンブズパースン会議 のサイトに,シンポジウム「医薬品の安全監視を考える~『子宮頸がんワクチン』被害からの問題提起」のご案内が掲載されています.

その内容は,以下のとおりです.大変興味深いシンポジウムです.

「英国の臨床薬理学者で、薬害スモン事件で日本の被害者のために尽力し、医学雑誌の編集、コクラン・センタ-、患者の語りデータベース・ディペックスの活動を通じて多くの人々に影響を与え、88歳の今も世界各地に招かれて講演活動をしている欧州医学界のレジェンド、アンドルー・ヘルクスハイマー医師と、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)被害について、いち早く調査チームを立ち上げた西岡久寿樹教授(東京医科大学医学総合研究所所長)をゲストに招き、HPVワクチン被害を通して、医薬品監視の現状と課題について、考えます。

日 時   2014年7月27日(日)13時30分~17時

会 場   東京大学鉄門記念講堂
        地下鉄「本郷三丁目」徒歩10分、「東大前」徒歩15分

参加費無料
事前申込不要
同時通訳付 

<プログラム>
  第1部 基調講演
    「患者不在の医薬品監視
         -Pharmacovigilance still neglects patients-」
                    アンドルー・ヘルクスハイマー

  第2部 特別講演
    「HPVワクチン禍から見えてくるもの
         ―医師教育の質と倫理感の低下―」
                    西岡 久寿樹

  第3部 パネルディスカッション
    「日本の医薬品監視の課題とHPVワクチン被害」
        ・被害実態調査報告           後藤 真紀子
        ・利益相反問題              関口   正人
        ・薬害肝炎検証委員会提言から     水口 真寿美
        コーディネーター 別府 宏圀/鈴木 利廣


主 催  薬害オンブズパースン会議
共 催  医薬品・治療研究会/「正しい治療と薬の情報」誌
協 賛  日本薬剤疫学会 Task Force 医療消費者と薬剤疫学
      NPO健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」




谷直樹

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by medical-law | 2014-06-26 09:39 | 医療事故・医療裁判

武田薬品工業、高血圧治療薬ブロプレスの臨床研究への組織的関与認める(報道)

NHK「武田薬品 社員が一貫して臨床研究に関与」(2014年6月20日)は、次のとおり 報じました.


「大手製薬会社、武田薬品工業が、高血圧治療薬の臨床研究の結果を宣伝広告に使った際、データが一部書き換わるなどしていた問題で、武田薬品は20日、社員が研究の計画から結果の公表まで一貫して研究に関与しており、公正性に疑義を生じさせかねないなどと指摘した第三者機関の調査結果を明らかにしました。

この問題は武田薬品工業が高血圧の治療薬「ブロプレス」について、狭心症や脳卒中をどのくらい抑えられるかを調べた臨床研究の結果を平成18年ごろ、薬の宣伝広告に使った際、一部、グラフのデータが書き換わるなどしていたものです。

武田薬品はこの研究について医師が主導して行ったもので、研究自体には関与していないと説明していましたが、第三者機関がまとめた調査報告書によりますと、武田薬品の社員が研究の計画から結果の公表まで一貫して関わっていたことが分かったということです。具体的には、武田薬品の社員が患者のカルテを閲覧し、条件に合う患者を選んで研究への参加を呼びかけてもらうよう医師に依頼したり、患者のデータの入力を一部、医師に代わって行っていたりしていたということです。

一方、研究結果を掲載した宣伝広告のグラフのデータが一部書き換わっていた点については、社員が関与したかどうか確認できなかったとしています。
武田薬品工業の長谷川閑史社長は「結果の公正性に疑念を生じさせかねない関与や働きかけを行ったことについて、おわび申し上げます」と謝罪しました。」


読売新聞「京大などの研究に「組織的関与」…武田薬品謝罪」(2014年6月20日)は、次のとおり報じました.

「製薬大手の武田薬品工業は20日、京都大学などが実施した高血圧治療薬「ブロプレス」の臨床研究について、同社が組織的に関与し公平性が疑われるものだった、とする第三者機関の調査報告書を公表した。

 同社の長谷川閑史やすちか社長は「製薬企業全体の信頼を揺るがしかねない行為。反省している」と謝罪した。

 報告書によると、同社はブロプレスの売り上げを大きくすることを目的に、研究の企画・立案から学会発表まで、一貫して関与。研究の途中段階で、ブロプレスに有利な解析結果が出ないとわかると、追加のデータや解析を京大側に繰り返し要求した。学会発表用のスライド作成にも、社員が関与し、有利に見えるようなグラフを追加するよう働きかけ、広告などにも使用した。また、病気の発症の定義を途中で変えさせ、ブロプレスに有利な結果を導いた。
 しかし、データ改ざんや、統計解析への直接的な関与は確認されず、「誤解を招くものとまでは言えない」と判断。虚偽広告や誇大広告には当たらないとした。」


臨床研究に対する製薬企業の関与は、根深いものがあるように思われます.
他の臨床研究についても調査が必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2014-06-21 01:04 | 医療事故・医療裁判

静岡市立清水病院,カテーテル抜去時時に空気が入り脳空気塞栓症を発症し翌月死亡した事案で示談(報道)

時事通信「病院側が4000万円賠償=83歳死亡の医療事故―静岡」(2014年6月18日)は,次のとおり報じました.

「静岡市立清水病院(清水区)で昨年1月に人工透析を受けた男性=当時(83)=が死亡した事故で、同病院は18日、病院側が過失を認めて遺族に4000万円の賠償金を支払うと発表した。

 同病院によると、男性は昨年1月に透析治療を受けたが、カテーテルを抜いた際に血管に空気が入り、脳空気塞栓症を発症。別の病院に搬送されたが、翌月死亡した。」


脳空気塞栓症は,医療行為により発症することの多い疾患(医原性疾患)です.
本件は,首の静脈のカテーテルの抜き方についてミスがあったものと考えられます.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-18 18:29 | 医療事故・医療裁判

高砂市民病院,検体を取り違え乳腺切除(報道)

読売新聞「「良性」なのに乳腺一部切除手術…検体取り違え」(2014年6月16日)は,つぎのとおり報じました.

「兵庫県高砂市の高砂市民病院は16日、乳がんの検査のため病理診断を行った県内在住の女性2人の検体を取り違え、誤った検査結果を伝えるミスがあったと発表した。

 その結果、本来は良性だった女性は、別の病院で乳腺の一部の切除手術を受けていた。病院側は2人に謝罪した。大野徹院長は記者会見で「あってはならない事故が起きた。患者2人と家族に精神的、肉体的苦痛を与えたことを深くおわびします」と述べた。

 病院側の説明では、2人は4月上旬、胸から組織片を採取し、顕微鏡で調べる検査を行った。検査は、外科医が組織片を採取し、看護師が検体として容器に入れてフェルトペンで名前を記入した。その後、検体を別の容器に移す際に取り違えた可能性があるという。」


医療安全情報No.53(2011年4月)でも,検体取り違えについて注意喚起を行っています.
今は,「ICタグを使った病理検体管理システム」もありますが,検体取り違えミスは,複数の検体を同時処理することを止めれば,防止できるミスです.
同時処理のほうが効率はよいのですが,取り違えミスのリスクがあります.
高砂市民病院は,どのような方法で再発を防止するのでしょうか.

【追記】

読売新聞「乳房切除ミス、20代女性が賠償提訴…大阪地裁」(2016年4月4日)は,次のとおり報じました.

「乳がんの病理検査で検体を取り違えられ、必要のない手術で乳房の一部を失った20歳代の女性が、取り違えた高砂市民病院(兵庫県高砂市)を運営する同市を相手取り、慰謝料など約1850万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴していたことがわかった。病院側はミスを認めて謝罪したが、取り違えの原因は不明のまま。女性は「被害を繰り返さないためにも、裁判で原因をはっきりさせたい」と訴えている。

 訴状などによると、女性は2014年4月、同病院で胸の組織片の病理検査を受け、右胸の乳がんと診断された。翌月、別の病院で乳房を切除したが、摘出部位からがん細胞が見つからず、診断時に別の50歳代女性の検体と取り違えられていたことが判明した。50歳代女性はその後、切除手術している。高砂市民病院は女性に謝罪し、その後、解決金250万円を提示。外部調査委員会が公表した報告書は「病理検査室で取り違えが起きた可能性が高い」とする一方、原因は「特定できない」とした。その上で再発防止を促した。

 女性側は「原因不明で再発防止ができるのか。少しの注意でミスは簡単に防げたはず。極めて初歩的で重大な過失があった」と指摘している。

 3月23日に同地裁であった第1回口頭弁論で市側はミスを認めたうえで、切除した乳房の範囲が小さいことなどから解決金額が妥当だと主張している。同病院は読売新聞の取材に「裁判中なのでコメントは控えたい」としている。」


乳房を切除されて250万円では誰も納得しないでしょう.
同種事案の過去の賠償額が低額なので,このような提示になっているのでしょうが,判決で適切な水準まで引き上げることはできないのでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-17 08:08 | 医療事故・医療裁判

神戸市立医療センター中央市民病院,膀胱がんの手術で誤って直腸を10センチ切除(報道)

MBS「膀胱がん手術で直腸切る 「信じられない手術ミス」」(2014年6月16日)は,次のとおり報じました.

「神戸の病院で「信じられない」という手術ミスです。

「神戸市立医療センター中央市民病院によりますと、今年1月、膀胱がんを患った80代の女性が、膀胱を全摘出する手術を受けた際、泌尿器科の女性医師(30代)が誤って、直腸を10センチ切ったということです。

 通常、女性の膀胱を摘出する場合、子宮なども同時に切り取るため、膣内に目印となるガーゼを入れますが、別の男性医師(30代)が、誤ってガーゼを直腸に入れていたため、手術ミスにつながったということです。

 医師は手術中にミスに気付きましたが、女性は人工肛門をつけることになりました。

 病院側は女性に謝罪し、今後、補償について話していくということです。」


腟と直腸を誤認した男性医師だけではなく,確認が不十分だった女性医師にも過失があると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-16 22:00 | 医療事故・医療裁判

子宮頸がんワクチン 勧奨中止から1年後の状況

NHK「子宮頸がんワクチン 勧奨中止1年」(2014年6月14日)は、次のとおり報じました.

「子宮頸がんワクチンの接種後、原因不明の痛みを訴える女性が相次ぎ、国が接種の積極的な呼びかけを中止してから14日で1年になります。
現場では接種を見合わせる動きが広がっていて、自治体からは原因解明を急ぐよう国に求める声が上がっています。

子宮頸がんワクチンを巡っては、接種後に原因不明の体の痛みを訴える女性が相次ぎ、厚生労働省は去年6月、「接種との因果関係が否定できない」として接種の積極的な呼びかけを中止しました。
ことし1月、専門家で作る国の会議が「接種への不安などがきっかけで症状が出た可能性がある」とする見解をまとめましたが、今も原因は解明されていません。
この影響で、定期接種の対象となっている小学6年生から高校1年生の間で接種を見合わせる動きが広がるなど、現場では混乱が続いています。
神奈川県藤沢市がおよそ7000人の市民を対象にアンケートしたところ、必要な3回の接種を終えていない392人のうち、およそ4割が「問題が解決されるまで接種を見送る」と答えたほか、およそ3割が「検討中」と答え、合わせて7割に達したということです。
またアンケートでは、「突然症状が出るかもしれない」「子どもに接種させなければよかった」などの声が寄せられたということです。
藤沢市健康増進課の相原陽子課長は「正確な情報がないので市としてもきちんとした説明ができない状況にある。国は痛みの原因の解明を急ぎ、治療態勢の整備を進めてほしい」と話しています。

痛みの原因解明に至らず

子宮頸がんは20代から30代の若い女性に増えていて、国内で年間9000人程度が発症し、およそ2700人が死亡しています。
予防には、定期的な検診とワクチンの接種が効果があるとされ、厚生労働省は去年4月、「サーバリックス」と「ガーダシル」という2種類のワクチンを法律に基づく定期接種に追加しました。
定期接種の対象は小学6年生から高校1年生までです。
3回の接種が必要で、ほかの予防接種に比べると筋肉に深く注射するため、強い痛みを伴います。
これまでに337万人が接種を受けたとみられていますが、原因不明の体の痛みを訴える女性が相次ぎ、厚生労働省は去年6月、「接種との因果関係が否定できない」として、接種の積極的な呼びかけを中止する異例の対応を取りました。
原因不明の痛みを訴えた女性は、去年9月末の時点で130人となっています。

国の接種の積極的な呼びかけ中止を受けて、全国で接種を見合わせる動きが広がり、厚生労働省の推計では、呼びかけを中止したあとに接種を受けた人の数は、それ以前の1割程度に落ち込んでいます。

厚生労働省は、全国の17の医療機関で診療を行うとともに、痛みの原因の分析や治療方法の研究を進め、ことし1月には厚生労働省の専門家会議が「接種への不安や痛みなどがきっかけで症状が引き起こされた可能性がある」とする見解をまとめました。
しかし痛みの原因の解明には至っておらず、厚生労働省は接種の積極的な呼びかけを中止してから1年がたった今も対策を打ち出せずにいます。
厚労相「検討部会で議論中」

田村厚生労働大臣は記者会見で、「いろいろな情報があるなかで、確かに今の状況では保護者や自治体も不安を感じているかと思っている。現在、検討部会で議論してもらっている最中で、一定の報告が出た段階で国民に分かりやすく情報を提供したい」と述べました。」


あれから1年たちますが、原因解明がすすんでいないのですね.

ワクチン接種より、むしろ子宮がん検診を推奨したほうがよいと思います.

なお、我が藤沢市は「主婦が幸せに暮らせる街」全国1位ですが、行政がすみやかにこのような調査を実施していることもその一因なのかもしれません.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-16 09:19 | 医療事故・医療裁判

九州大大学院の研究チーム、たばこを吸う高齢者は吸わない人に比べ認知症の発症リスクが2.8倍に高まる

西日本新聞「認知症リスク、喫煙で2倍 九大チーム、久山町の追跡調査で判明」(2014年6月14日)は、次のとおり報じました.

「たばこを吸う高齢者は吸わない人に比べ、認知症の発症リスクが2倍に高まる-。こうした疫学調査結果を、九州大大学院の研究チームが14日、福岡市で開かれた日本老年医学会の学術集会で発表した。福岡県久山町の住民を15年間、追跡調査して判明した。日本人を対象に、認知症と喫煙の関係を研究したのは初めてという。

 追跡調査したのは1988年に健康診断を受けた老年期の712人(当時の平均年齢72歳)。2003年までに202人が認知症になった。「喫煙なし」「過去に喫煙」「ずっと喫煙」の3群に分け、それぞれ認知症になった割合を調べたところ、ずっと吸っている人は吸っていない人に比べ、発症リスクが2倍になった。
 712人のうち578人は中年期(平均年齢57歳)の健診データもあり、「中年期も老年期も喫煙なし」「中年期は吸ったが、老年期までにやめた」「ずっと喫煙」の3群で比較すると、ずっと吸っている人は吸っていない人より、リスクが2・8倍に上昇した。一方、たばこをやめた人は1・5倍にとどまった。

 小原知之助教(精神病態医学)は「喫煙が脳神経細胞の老化や動脈硬化を促進させ、認知症を引き起こすと考えられる。禁煙が認知症に発症するリスクを下げる可能性がある」と説明した。」


タバコをやめたい人には、禁煙外来をお奨めします.
認知症になってからでは遅いですから.

谷直樹

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by medical-law | 2014-06-16 01:17 | タバコ