弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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『白と黒で』

直腸癌の手術を受ける前のクロード・ドビュッシーが,1915年の夏に作曲した『白と黒で』 (En blanc et noir)は,2台ピアノのための作品です.
ドビュッシーは,あまり考えすぎないで下さい,ベラスケスの灰色のようなものです,と手紙に書いています.
鍵盤の黒と白以上の意味はありません,考えすぎないで,ということなのでしょうが,ベラスケスの灰色って何なのでしょうか? ベラスケスの有名な『ラス・メニーナス(女官たち)』(Las Meninas)では,白い服を着た皇女マルガリータと黒い服を着たベラスケス自身が描かれていますが.このような明暗の対照を意味するのでしょうか.

第1曲には,シェイクスピアの悲劇に基くグノーのオペラ「ロミオとジュリエット」の一節が,第2曲には,フランソワ・ヴィヨンの「フランスの敵に対するバラード」の一節が,第3曲には, 25年間英国の捕虜となっていたシャルル1世・ド・ヴァロワの詩の一節が,それぞれ引用されています.戦時中の作品ということが影響しているのでしょうか.

考えこまずに音楽を聴くことに徹しましょう.
2台ピアノということで,演奏されることがあまり多くないのが残念ですが,1914年に作曲された4手の『6つの古代のエピグラフ』(6 Épigraphes antiques)と同様に,素晴らしい作品です.

今日8月22日は,クロード・ドビュッシーの誕生日です.

谷直樹

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by medical-law | 2014-08-22 06:07 | 趣味

飯田市立病院,心電図モニターなどの運用管理が不適切で容体急変をすぐに発見できなかった医療事故で和解

信濃毎日新聞「飯田市立病院で医療事故  遺族に解決金450万円」(2014年8月20日)は,次のとおり報じました.

「長野県飯田市は19日、飯田市立病院で2012年8月21日に入院中の市内の60代男性患者が心肺停止になった際、男性に装着した心電図モニターなどの運用管理が不適切で容体急変をすぐに発見できなかった医療事故があったと明らかにした。心肺停止の原因は不明だが、男性は容体が悪化したまま同年9月に死亡。市側は、和解協議を続けてきた男性の遺族に解決金450万円を支払う。

 病院によると、男性は同年7月上旬に集中治療室(ICU)に入院し、症状が落ち着いたとして8月中旬に一般病棟に移った。事故当時、男性は容体観察のため心電図モニターなどを装着していたが、午前5時ごろにモニターの電極が外れていた。同6時半に病院職員が病室を訪れた際は男性に意識があったが、同7時18分、看護師が男性が心肺停止状態にあるのを発見。医師らが蘇生処置をしたが意識が回復せず9月4日に死亡した。

 電極が外れたため、病棟のスタッフステーションではアラーム音が鳴ったが、職員は気付かず、モニター画面も午前4時から約3時間にわたって確認していなかった。電極は男性自身が外してしまった可能性があるという。

 病院は院内の調査委などで事故を検証。容体急変は予期できなかったとしつつ「スタッフのアラーム音への意識低下があった」と指摘した。また、事故当日の病棟の夜勤態勢は看護師3人で「マンパワーの限界」があったとし、容体急変を早期発見できなかったとしている。

 遺族は、モニターで容体を確認し、すぐに発見していれば異なる結果になった可能性を指摘したという。病院側は、即座に容体急変を確認できなかったことを謝罪した。

 病院側は事故発生から2年間、事実を公表しなかったことについて「当初、男性の遺族が公表を望んでいなかった」と説明。26日開会の市議会定例会に和解議案を提出するのに合わせて公表した。」


病棟のスタッフステーションではアラーム音が鳴ったが職員は気付かず,モニター画面も午前4時から約3時間にわたって確認していなかったというのは,著しく不適切な医療といえると思います.少ない看護師で多くの患者を看ているからといって,看護師の注意義務違反が認められない事案ではないと思います.仮に個々の看護師が注意をはらってもアラーム音に対応できない状況・体制にあったとしたら,そのような状況・体制を作出した管理者の注意義務違反が認定されるでしょう.

ただ,モニターで容体を確認しすぐに発見していれば異なる結果になった可能性がある,というだけでは,注意義務違反と悪しき結果(死亡)との間の因果関係について高度の蓋然性が立証されたとはいえません.
注意義務違反がなければ悪しき結果(死亡)が回避された相当程度の可能性は認められることから,このような金額での和解となったと推測します.

なお,比較的少ない看護師で多くの患者を看ている施設などでは,アラーム御に気づかなったということは結構多いように思います.



谷直樹

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by medical-law | 2014-08-21 22:11 | 医療事故・医療裁判

岡崎市民病院,脂肪腫切除手術による神経損傷事故で和解

毎日新聞「岡崎市民病院医療事故:市が和解、115万円予算案 /愛知」(2014年8月21日)は,次のとおり報じました.

「岡崎市は20日、岡崎市民病院で行った同市に住む60代の男性の脂肪腫切除手術で、肩を動かす神経を傷付けたとして、和解金115万円を計上した予算案を、9月1日開会の市議会9月定例会に提案すると発表した。

 市民病院によると、男性は2012年7月18日、左の首にできた脂肪腫を切り取り、術後、左肩が上がりづらくなった。・・・」

脂肪腫摘出手術による神経損傷はときどきあります.脂肪腫と神経の位置関係が問題です.回避可能と考えられるケースもあれば,回避不可能と考えられるケースもあります.医療事故の賠償金額は,治癒した場合と治癒しなかった場合で異なりますし,説明義務違反か診療上の過誤かによっても異なります.

神経損傷で100万円程度の賠償金額が相当な場合,弁護士に委任したほうが適切な証拠を集めることができる点では有利なのですが,証拠収集等の実費と弁護士費用を引くとご本人に残る金額が少なくなってしまいます.神経損傷の過失・因果関係・損害の立証は容易ではありませんので,手術の合併症と考えられる神経損傷が残った場合,過失の有無にかかわらず,一定の補償を受けられるシステムがあるとよいと思うのですが...


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-21 21:36 | 医療事故・医療裁判

J―ADNI研究の最高顧問が同研究の評価委員だった

朝日新聞「国と研究者、もたれ合い J―ADNIへの補助金審査」(2014年8月20日)によると,J―ADNI研究の最高顧問××××同志社大教授(東大名誉教授)を同研究の評価委員に選考したことについて,厚労省は,「当時の担当者が顧問と認識していなかった」と説明しているとのことです.
J―ADNIの研究計画書の表紙には顧問として××××教授の名前が明記されていましたが,厚労省は当時研究計画書を入手していなかった,とのことです.
しかし,J―ADNIが××××教授が中心になって立ち上げたものであることは,誰もが知っている周知の事実です.厚労省の担当者が知らなかったという言い訳は通用しないでしょう.

××××教授は,厚労省から2007年度に200万円をもらい,経産省からは6年間で1億円超をもらっていましたが,厚労省は,他省の補助金についてまで知らない,と言っているそうです.

最高顧問という利害関係者が評価委員になっていたことは,明らかに利益相反です.お手盛りの弊害があります.
J―ADNは,データ改ざん疑惑,倫理指針違反などの疑惑も解明されていません.
信頼性の低い研究に,国から多額の補助金が提供されていたことになります.
このような国と研究者の癒着を防止するシステムが必要と思います.まず,利益相反に対する海外なみの規制と罰則が必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-08-20 23:50 | コンプライアンス

公益財団法人日産厚生会玉川病院の看護師に故意犯の容疑

msn産経「看護師が故意に大量インスリン、患者に 世田谷・玉川病院 殺人未遂容疑で立件へ」(2014年8月20日)は,次のとおり報じました.
 
「公益財団法人「日産厚生会」が運営する玉川病院(東京都世田谷区)で4月、看護師の女=休職中=が入院患者の90代女性に故意に大量のインスリンを投与した疑いが強まり、警視庁捜査1課が近く殺人未遂容疑で立件する方針を固めたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。女性は一時的に容体が悪化したが、治療を受けて回復した。女はこの女性の担当看護師で、捜査1課は何らかのトラブルがあったとみて詳しい経緯を調べている。

 捜査関係者によると、女は4月下旬ごろ、病院内で女性に大量のインスリンを投与し、殺害しようとした疑いがもたれている。女性は一時的に低血糖の状態になり、手足の震えなどの症状が出たが、治療を受けて回復し、命に別条はなかった。

 インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌され、血糖値を抑える働きがある。糖尿病の治療薬として知られるが、女性は糖尿病ではなかった。

 捜査1課は病院側から連絡を受け、インスリンが目的外で使用された疑いがあるとみて捜査。医師や看護師らの勤務実態などから、女性が容体を悪化させた時間帯に女が接触していた可能性が高いことが判明。院内のインスリンの一部が無断で持ち出されたとみられることも分かった。

 インスリンの大量投与で低血糖状態のまま放置されると、意識レベルが低下して死に至ることもある。捜査段階で女性の血糖値は正常の範囲に戻っていたが、捜査1課は糖尿病ではない患者に大量に投与した疑いがあることなどから、女に少なくとも「未必の故意」による殺意があったと判断したとみられる。

 玉川病院は昭和28年開設の総合病院。病院側は産経新聞の取材に対し、「警察が捜査中で、すべてのことがはっきりするまでは何も話せない」としている。」


糖尿病ではない患者にインスリンが投与されたとすれば,通常は過失によるものと考えるでしょうが,警察が本件で殺人の容疑で捜査しているのは何か特殊な事情があるのでしょう.

なお,京大病院で2009年11月に看護師が入院患者に治療上必要のないインスリンを投与する事件がおき,2011年4月に懲役1年6月の実刑判決が確定しています.不遇な立場にある者が弱い立場にある患者に危害を加える類型の犯罪でした.

医療従事者が患者に危害を加えようと思えば容易ですし,病院で患者の容態が悪化したり死亡したりしても犯罪として認知されないケースもあるかもしれません.病院は医療従事者の精神的健康に留意する必要があるのではないでしょうか.

なお,産経では殺人未遂の容疑ですが,朝日,読売,東京は傷害容疑と報じています.


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-20 08:42 | 医療事故・医療裁判

国立病院機構肥前精神医療センターの看護師が傷害容疑で逮捕される

msn産経「入院患者に暴行 男性看護師を傷害容疑で逮捕 佐賀県吉野ケ里町」(2014年8月19日)は,次のとおり報じました.

「佐賀県警神埼署は19日、同県吉野ケ里町の国立病院機構肥前精神医療センターの病室で、入院患者に暴行を加え肋骨を骨折させたとして、傷害容疑で看護師、××××容疑者(58)を逮捕した。

 逮捕容疑は平成25年9月3日午後8時ごろ、入院中の50代の女性患者を叩いたり膝で押さえつけるなどして肋骨骨折などの重傷を負わせた疑い。××容疑者は「そんなことはしていない」と容疑を否認している。

 神埼署によると、××容疑者は夜間勤務で女性に薬を飲ませようとした際、女性が暴れたため、押さえようとしたとしている。女性から話を聞いた家族が病院に相談して発覚した。

 杠岳文院長は「看護師が逮捕されたことをおわび申し上げます」と陳謝した。」


看護師は否認していますし,真偽は不明です.もし肋骨骨折が事実とすれば,その原因は何によるものか解明していただきたく思います.

【追記】

msn産経「傷害容疑の看護師釈放 佐賀」(2014年9月9日)は,次のとおり報じました.

「佐賀地検は8日、暴れた入院患者を膝で押さえつけるなどしたとして、傷害容疑で逮捕された国立病院機構肥前精神医療センター(佐賀県吉野ケ里町)の男性看護師(58)を処分保留で釈放した。地検は「裏付ける証拠が足りなかった」とした。男性は一貫して容疑を否認していた。」


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-19 19:36 | 医療事故・医療裁判

東北労災病院が肺がんを見落としたとして訴えられる

河北新報「医療過誤で東北労災病院を提訴」(2014年8月19日)は,次のとおり報じました

「仙台市青葉区の東北労災病院が肺がんを見落としたため同市の女性=当時(66)=が死亡したとして、東京都の遺族3人が18日までに、病院を運営する独立行政法人労働者健康福祉機構(川崎市)などに約5000万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
 訴えによると、女性は2012年1月、背中などの痛みを訴えて病院を受診。筋肉が痛む「リウマチ性多発筋痛症の疑い」などと診断された。約2カ月後に太白区の別の病院を受診すると重度の肺がんと分かり、同年7月に死亡した。
 遺族側は「女性は診断後も痛みが治まらないと何度も訴えたが、担当の整形外科医は『治癒した』と答えるだけで適切な検査を怠り、肺がんの発見が遅れた」と主張している。
 労働者健康福祉機構は「これから裁判が始まるので、詳しいコメントは差し控えたい」としている。」


2012年3月に重度の肺がんとわかり同年7月に死亡したのですから,仮に2012年1月の時点で発見していても2か月で結果が変わったという立証はなかなか大変なように思いますが,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-08-19 18:35 | 医療事故・医療裁判

『日輪草は何故枯れたか』

「三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。
「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」
 そこを通る人達は、寺内(てらうち)将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっとこの花を見つけて、そう言合いました。
 熊吉(くまきち)という水撒(みずまき)人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を引張(ひっぱ)って、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事でした。
 熊さんがこうして、毎日水を撒いてくれるから、この街筋の家では安心して、風を入れるために、障子を明けることも出来るし、学校の生徒たちも、窓を明けておいてお弁当を食べることが出来るのでした。」


竹久夢二氏の『日輪草は何故枯れたか』の冒頭です.
昔の日本には,水を撒いて歩く仕事があったのですね.
今は,散水車が高速道路脇の樹木に水を与えていますが...

「熊さんはある時、自分の仕事場の三宅坂の水揚ポンプの傍に、一本の草の芽が生えたのを見つけました。熊さんは朝晩その草の芽に水をやることを忘れませんでした。可愛(かあ)いい芽は一日一日と育ってゆきました。青い丸爪(まるづめ)のような葉が、日光のなかへ手をひろげたのは、それから間もないことでした。風が吹いても、倒れないように、熊さんは、竹の棒をたててやりました。」

日輪草には適度の水分が必要ですから,土が乾いたら水やりをします.
熊さんの丹精のおかげで日輪草は育っていきました.


「熊さんはもう嬉(うれ)しくてたまりませんでした。熊さんは、永田町の方へ水を運んでいっても、早く日輪草を見たいものだから、水撒車(みずまきぐるま)の綱をぐんぐん引いて、早く水をあけて、三宅坂へ少しでも早く帰るようにしました。だから熊さんの水撒車の通ったあとは、いくら暑い日でも涼しくて、どんな風の強い日でも、塵(ほこり)一ツ立ちませんでした。
 太陽が清水谷(しみずだに)公園の森の向うへ沈んでしまうと、熊さんの日輪草も、つぼみました。
「さあ晩めしの水をやるぞい。おやお前さんはもう眠いんだね」
 熊さんはそう言って、首をたれて寝ている花をしばらく眺めました。時によると、日が暮れてずっと暗くなるまで、じっと日輪草をながめていることがありました。」


日輪草の花言葉は「私はあなただけを見つめる」です.
その日輪草が枯れてしまうすこし哀しいお話です.

竹下夢二氏は,はしがきに「「日輪草」の熊さんも私の姿に違いありません。」と書いています.


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-19 01:26 | 趣味

特定秘密保護法の立法事実

特定秘密保護法の立法事実(法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実)に、内閣法制局も疑問を表明していたことがわかりました.

毎日新聞「秘密保護法:「必要性弱い」 11年、内閣法制局が指摘」(2014年8月17日)は、次のとおり報じました.
 
「毎日新聞の情報公開請求に開示された内調作成の「内閣法制局との検討メモ」によると、法案の素案に関して内調は11年9月20日、法制局と協議。法制局から「立法事実が弱いように思われる。防衛秘密制度を設けた後の漏えい事件が少なく、あっても起訴猶予のため、重罰化の論拠になりにくい」と指摘された。

 防衛秘密は01年の自衛隊法改正で導入され、秘密を漏らした隊員らは5年以下の懲役と定められた。適用は08年の中国潜水艦の情報の漏えい事件のみで、容疑者の空自1佐は起訴猶予処分だった。しかし内調はこの罰則を10年に引き上げることを想定。実際に特定秘密保護法でもそう定められた。内調は「ネットという新たな漏えい形態に対応する必要がある」と説明したが、法制局は「ネット(経由の漏えいの危険)と重罰化のリンク(つながり)が弱いのではないか」とも指摘した。

 その後も11月15日の協議まで、内調は内部告発サイト「ウィキリークス」を例示するなどして、ネットによる漏えいの危険性を強調。法制局は「重罰化への十分条件にはなっていない」と慎重な姿勢を保つ一方、「大きな補強材料となるだろう」とも述べて一定の理解を示した。これを最後に、昨年4月までこの件を議論した形跡はない。昨年5月以降の記録は未開示だ。

 特定秘密保護法は第1条で▽国際情勢の複雑化に伴い、情報の重要性が増大▽高度情報通信ネットワーク社会の発展で情報漏えいの危険が懸念される−−などと立法事実を規定。森雅子担当相は国会で「外国と情報共有をする上で必要」との趣旨の説明もしている。

 日本弁護士連合会は法制局の指摘と同様に「立法事実がない」と批判している。」


 特定秘密保護法は2014年末に施行される予定です.
 政府は、「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」等に対する意見(パブリックコメント)を募集しています。【提出期限:本年8月24日(日)】 内閣官房のサイトを参照してください.


意見募集の実施について

  平成26年7月24日(木)から平成26年8月24日(日)までの間、以下の要領で意見募集を実施いたします。
  詳細については、リンク先を御参照ください。

○「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見募集の実施について
○「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(案)」に対する意見募集の実施について
○「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見募集の実施について(特定秘密保護法関連)


【追記】
毎日新聞「<特定秘密保護法>人権侵害の恐れ、検討過程で官僚認識」(2014年8月18日)は,次のとおり報じました.

「<特定秘密保護法>人権侵害の恐れ、検討過程で官僚認識

 特定秘密保護法案が政府内部で練り上げられた過程を探ろうと、毎日新聞が昨年5月に政府に情報公開請求したところ、1年以上かかって約4万枚の公文書が開示された。そこには法案の内容について政府内部でも議論があったことが記録され、官僚たちの「ホンネ」も透けて見える。【日下部聡】

【秘密保護法の“秘密”って誰が決めるの?】

 ◇「訓示的規定」入れる

 <訓示的規定を入れなければならないほど、ひどい法律なのかという議論に陥りそうな気がする>

 法案作りを担った内閣官房内閣情報調査室(内調)の「内閣法制局との検討メモ」によると、2012年7月9日の協議で、法制局はそんな疑問を内調にぶつけた。民主党・野田政権時代のことだ。

 「訓示的規定」とは、国民の基本的人権を侵害しないよう戒める規定のことだ。

 内調は法案の素案に、この規定を入れていた。その理由は、この日と同月17日に法制局に提出した別の文書に、内調が記している。

 <万が一本法が不適切に運用された場合を仮定すると、国民の知る権利、思想・良心の自由、取材の自由といった憲法的権利との間で問題が生じる余地がないとは言えない>

 <『本法の運用に当る者の良識に委ねた』部分がないと言い切ることは困難。「不安の念」が完全に払拭(ふっしょく)されたとは言い切れず、訓示規定を置かないことによる無用の誤解を避けることに合理性があると考える>

 法の危うさを内調自身が認識し、批判をかわすために「訓示的規定」を入れたことが分かる。法制局は、政府提出法案に最初からそのような規定が入るのは異例だとして「よほどうまく説明しないと法制局内で引っかかってしまう」と難色を示した。しかし、それ以降、この件が議論された形跡はなく、昨年10月に国会に提出された法案には、「(この法律を)拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することはあってはならない」との規定が素案通りに入った。

 ◇外部の批判を意識

 <「国際的な」ということを書くと、アメリカから言われて立法するのではないかと批判される>(12年3月12日)

 <有識者会議の議事録問題はどうすることもできないのだろうか>(同27日)

 いずれも「検討メモ」に残る法制局側の発言だ。前者は、素案の第1条に「国際的な情報共有の促進」が、法の目的として入っていたことへの懸念だ。

 後者は、秘密保全法制を提言した政府の有識者会議の議事録が作成されていなかったことが、同年3月に毎日新聞などの報道で明らかになったことを指すとみられる。

 官僚たちは常に外部からの批判を意識していたことが読み取れる。内調からも次のような意見が出た。

 <(秘密の対象を)絞っているということをメッセージとして出さないと、いつまでもマスコミなどに何でも秘密だと言われ続けることになる>(12年2月20日「検討メモ」)

 主要な新聞記事は協議のたびに内調から法制局に手渡された。12年8月には、日本弁護士連合会の反対決議(12年5月)や日本新聞協会の意見書(11年11月)をまとめた文書が作られた。それぞれの主な主張に下線が引かれ、日弁連の指摘と法案を対照した表も作られている。

 しかし、国民の意見への反応は素っ気ない。11年に実施されたパブリックコメント「秘密保全に関する法制の整備に係る意見募集」の結果について「何か気づいた点はあるか」という内調の質問に、法制局は次のように答えている。

 <反応としては、こんなものではないか。建設的な議論をしようとする人はあまりいないのだろう>(11年12月16日「検討メモ」)

 法案の検討にパブリックコメントが反映されたことを示す記録は見当たらない。

 ◇政権交代影響なし

 政治家や政党の主張に対する言及はほとんどない。数少ない例は次のような法制局の意見だ。

 <尖閣ビデオが特別秘密(現特定秘密)に該当するというと、もともと(秘密保全法を)やれと言っている野党まで敵に回してしまうのではないか>(11年10月18日「検討メモ」)

 民主党政権下で実質的な法案作りが始まったのは11年9月。きっかけは、10年に尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船が中国漁船に衝突された事件の録画映像が、ネットに流出したことだ。当時野党だった自民党は、国民に映像を公開するよう求めた経緯がある。

 11年11月30日の「検討メモ」には次のように記されている。

 <法制局幹部会では、尖閣ビデオが本法制の対象にならないということで意見が一致していた>

 発端になった漏えい情報は、この時点で特別秘密には当たらないと判断されていたことが分かる。一方で法制局からは、こんなぼやきも出ている。

 <この(野田)政権における法案の優先順位付けがよく分からない>(12年2月17日「検討メモ」)

 にもかかわらず、法案作りは進んだ。開示された11年9月から昨年4月までの記録には、自民党が政権に戻ったことへの言及はない。

 一度動き出した法案作りは、政権交代に大きな影響を受けることなく官僚主導で進められた実態が浮かび上がる。

 ◇内調と法制局、40回以上協議

 特定秘密保護法の法案作成作業は、民主党政権が設置した有識者会議の報告書を受け、2011年9月に始まった。内閣情報調査室(内調)が担当し、次のような手順で進んだ。

 内調が素案を作り、防衛、外務、警察庁など関係省庁に提示して意見を求める。各省庁からの要求を取り入れたり、断ったりしながら条文を調整する一方、月に1~3回程度のペースで内閣法制局に素案や資料を持ち込み、憲法や既存の法律との整合などについて指導や助言を受けて修正する。この繰り返しだ。開示された11年9月~昨年4月の文書で確認できるだけでも、法制局との協議は40回以上行われている。

 協議は課長級の中堅官僚である参事官が主に担った。「検討メモ」によれば、この時期、内調側は警察庁出身の村井紀之参事官や外務省出身の橋場健参事官、課長補佐ら複数が参加した。法制局側は12年9月までは国土交通省出身の海谷(かいや)厚志参事官、以降は警察庁出身の太刀川浩一参事官が1人で対応しており、記録に残る法制局側の発言は両氏によるものとみられる。太刀川氏以外は既に出身官庁などに異動している。法案は昨年10月25日に閣議決定され、国会に提出された。国会では自民、公明、みんな、日本維新の会の4党による協議で一部が修正され、成立した。

 毎日新聞は昨年5月、内調はじめ14の政府機関に、法案の検討過程を記録した文書の開示を請求。昨夏から今月にかけて断続的に文書が開示された。閣議決定前に開示されたものは、ほとんど黒塗りだったが、閣議決定後は多くの部分から黒塗りがなくなった。昨年5月以降の記録についても昨年12月に開示請求をしたが、まだ開示されていない。

 政府は特定秘密保護法の年内の施行に向け、運用基準の素案や関連政令案についての意見公募(パブリックコメント)を今月24日まで受け付けている。」


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-18 01:08

夏のイメージ

Shall I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more temperate


William Shakespeareの最も有名なソネットの冒頭部分です.

君を夏の日に喩えようか?
いや 君の方が美しく 穏やかだ

と訳されています.

シェイクスピアが,女性を演じる少年俳優への愛をうたったものと言われています.
thee ,thouは,16世紀の英語にあったyouより改まった二人称です.
lovelyは,容貌のみでなく性格のよさも含みます.
英国の冬は暗く寒さが厳しいですが,夏は光り輝き暖かく穏やかで,君はそれ以上に・・・というのがこのソネットの主意でしょうか.

たとえば,

貴方を夏の日に喩えようか?
いや 貴方の方が光輝き 穏やかだ

と訳することもできるのではないでしょうか.

少年俳優ではありませんが,現代の爽やかな夏のイメージにふさわしい人は,

カルピスウォーターCMの能年玲奈さん,
RelaxジャスミンティーCMの有村架純さん,
グリーンシャワーCMの桐谷美玲さん,
爽健美茶CMの綾瀬はるかさん,
すこし前になりますが,三ツ矢サイダーCMの新垣結衣さん,上戸彩さん

などでしょう.

もっとも,61歳の私がよく飲むのは,64歳のリチャード・ギアさんがCM出演するオランジーナ,現在67歳の岸部一徳さんがCM出演していた六条麦茶(上戸彩さんのCMもありました),そしてチチヤスの乳酸菌ソーダです.(安息香酸とアスコルビン酸(ビタミンC)が入っているものは,あまり飲まないようにしています.)


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-17 13:47 | 休暇・休日