弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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新潟市民病院、胃瘻のチューブが抜け、調査委員会設置

テレビ新潟「新潟市民病院で医療事故 調査委を設置へ」(2014年9月29日)は、次のとおり報じました.

「先月、新潟市民病院で「胃ろう」の手術を受けた男性が、手術後に胃ろうのチューブが外れ、死亡していたことがわかった。胃の中でバルーンを広げる際、執刀医が誤って、水の代わりに空気を入れたことが原因とみられている。新潟市民病院は、第三者を含めた事故調査委員会を立ち上げて詳しく検証することにしている。

 新潟市民病院は29日午後、会見を開き、医療事故について謝罪した。
 死亡したのは、新潟市内に住む70歳代の男性だ。病院の説明によると、男性は先月22日、新潟市民病院で、チューブを通して胃に直接栄養を入れる「胃ろう」の手術を受けた。その後、男性が別の病院に移り治療を受けていたところ、先月31日になってチューブが抜けているのが分かったという。男性はその日のうちに新潟市民病院に運ばれたが、腹膜炎のため死亡した。
 29日の会見で病院は、胃の中でストッパーの役割を果たすバルーンを広げる際に、本来は滅菌した蒸留水5ミリリットルを入れるところを、執刀医が誤って空気を10ミリリットル入れたため、チューブが外れやすくなったと説明した。
 新潟市民病院は、外部の専門家を含めた医療事故調査特別委員会を早急に立ち上げ、年内を目処に調査結果を報告をしたいと話している。」


日本経済新聞「チューブ外れ患者死亡 新潟市民病院、ミス認め謝罪」(2014年9月29日)は、次のとおり報じました.


新潟市民病院(新潟市)は29日、胃に穴を開けて栄養剤を入れるチューブを付ける「胃ろう」の手術を受けた同市の70代男性患者が、術後にチューブが外れて腹膜炎を起こし、死亡したと発表した。病院は手術ミスと認めて遺族に謝罪した。

 市民病院によると、男性は脳出血による後遺症のリハビリ中で、8月22日に胃ろうの手術を受けた。別の病院に転院後の31日に容体が急変し、市民病院へ搬送されたが同日死亡した。

 胃に固定する際、チューブの先端を広げるのに蒸留水を使用しなければならないが、外科医が誤って空気を入れたため、外れやすくなっていた。医師はこのチューブを使った手術は初めてで、看護師から蒸留水を使うのではないかと声を掛けられたが、空気でいいと誤認していたという。

 市役所で記者会見した片柳憲雄院長は「マニュアルを作成するなど再発防止策を徹底し、信頼を回復するよう取り組む」と謝罪した。〔共同〕」


胃瘻の手術は、本来それほど難しいものではありません.
ただ、はじめてのチューブを使うときは、使用方法を確認すべきでしょう.
護師から蒸留水を使うのではないかと言われながら、空気でいいと誤認し強行したのが悔やまれます.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-30 00:42 | 医療事故・医療裁判

看護師が患者の顔を殴り「早く死ね、じじい」で懲戒処分、家裁事務官が看護師を殴り事情聴取(報道)

河北新報「看護師が患者暴行「早く死ね」 岩沼の病院」(2014年9月26日)は,次のとおり報じました.

「岩沼市の総合南東北病院(松島忠夫院長)で、30代の女性看護師が入院患者に暴行していたことが25日、分かった。現場にいた目撃者によると、看護師は患者に対して「早く死ね」などの暴言も吐いたという。病院は患者の家族らに謝罪し、看護師を停職3日間の懲戒処分にした。
 関係者によると、暴行があったのは6月中旬の未明。70代の男性患者が看護師に病室で顔を殴られ、左頬付近が腫れた。男性は直前に病室を出て廊下を徘徊(はいかい)していて、看護師に病室に連れ戻された。
 同室だった患者は「無理やりベッドに寝かせられたのか、男性は『痛い、痛い』と声を上げていた」と話す。看護師は男性の汚物処理後、寝ている男性の顔を殴り、「早く死ね、じじい」と言って立ち去ったという。
 病院は男性の頬に湿布を貼る治療をした。看護師は聞き取りに対し「男性の体が腹に当たり、とっさに手を上げてしまった」と釈明。暴言はなかったと病院は認識しており、看護師にも確認していないという。
 病院は「理由はどうあれ、あってはならないことで申し訳ない。再発防止のため職員の指導・教育を徹底したい」と話している。」

msn産経「30代女性看護師が70代の患者に暴行 停職3日の懲戒処分 宮城の病院」(2014年9月26日)は,次のとおり報じました.

宮城県岩沼市の総合南東北病院で、30代の女性看護師が、入院していた70代男性患者に暴行を加えたとして、停職3日の懲戒処分を受けていたことが26日、病院への取材で分かった。

 病院によると、看護師は6月中旬の未明、病室で汚物処理をしていた際、男性の顔を殴ったという。男性は左頬が腫れ、湿布を貼る治療を受けた。

 2人の口論を聞いていた別の患者が岩沼署に相談して発覚し、病院は患者の家族に謝罪した。

 看護師は病院の聞き取りに対して暴行を認め、「患者に腹部を蹴られ、反射的に殴ってしまった」と話したという。」

 
看護職は大変でストレスも多いと思いますが,暴行暴言は許されません.
他方でこんなニュースもありました.

テレビ朝日「診察待ち時間長い」家裁事務官、看護師殴った疑い」(2014年9月26日)は,次のとおり報じました.

「裁判所の事務官が看護師を殴った疑いです。

 東京家庭裁判所の事務官の男(56)は24日、東京・港区の慈恵医大附属病院で、通り掛かった看護師の女性の顔を平手で殴った疑いが持たれています。警視庁によりますと、男は診察のために病院を訪れていて、任意の事情聴取に対し、暴行を認めたうえで、「待ち時間が長くて腹が立った」と話しているということです。警視庁は、男を暴行の疑いで書類送検する方針です。東京家裁は「捜査中のため、コメントは差し控えたい」としています。」


このように看護師が暴行を受ける事件も起きています.
厳正な対応が必要と思います.
刑法第208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定しています.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-28 07:35 | 医療

鹿児島市立病院,脳動脈瘤瘤の手術後の見当識障害で3000万円の示談(報道)

読売新聞 「術後に後遺障害3000万円支払いへ 鹿児島市立病院」(2014年9月23日)は,次のとおり報じました.

「鹿児島市立病院は、頭部の手術後に後遺障害が出たとして病院に損害賠償を求めた70歳代男性に対し、損害賠償金3000万円を支払う方針を決めた。

 病院によると、男性は市内に住んでいた2008年4月、同病院で脳動脈瘤りゅうの手術を受け、その後、日時や場所が分からなくなる見当識障害が起きた。「術中に医療機器が動き、出血が増量したため」と主張している。

 病院側は「何らかの事情で医師の体が医療機器に触れたとしても不可抗力で、後遺障害との間に明らかな因果関係があるとは言えないが、影響を与えたことは否定できない」と判断。男性側の弁護士と賠償額について協議し、おおむね合意を得たという。」


一般に,術中は,医師の身体が医療機器に不用意に触れ医療器機が動いてしまわないように注意して身体を動かす義務はあると考えられますので,医師の身体が医療器機に触れて医療機器が動いてしまうのは不可抗力ではないでしょう.

因果関係については,一般に高度の蓋然性から相当程度の可能性まで立証に幅があります.
明らかな因果関係が認められない場合でも,賠償金額にはかなりの幅があります.
医師の身体が医療器機に触れ,医療機器が動き出血が増量したという機序が認められるなら,後遺障害との因果関係が認められる可能性は低くないと思います.

本件の患者側の代理人は,東京の弁護士だったと聞いております.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-25 19:38 | 医療事故・医療裁判

川崎市立多摩病院,東海大学の学生が手術中の大量の出血で高次脳機能障害となった事案で提訴される(報道)

日本テレビ「脳に障害”医療ミスと病院を提訴 神奈川」(2014年9月24日)は,次のとおりじました

「2012年、神奈川県の川崎市立多摩病院で骨折の治療で手術を受けた20歳の男性が脳に障害が出て、話すことや歩くことができなくなったのは医療ミスによるものだとして病院側を相手取り、損害賠償を求める訴えを起こした。  
原告側の代理人らによると、川崎市に住む清水利紀さんは2012年、川崎市立多摩病院で太ももの骨折の治療のため手術を受けたが、手術中に多量に出血した影響で脳に障害が発生し、話すことや歩くことができなくなったという。清水さんとその家族は24日、多量の出血に対して適切な処置がなされなかったなどとして、病院側に約4億7000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。  
清水利紀さんの母親「(息子は)リハビリに行く以外ベッドの上で過ごしています。手術室で何が起きたのか、私たちも息子も事実を明らかにしていただきたい」  これに対し、病院側は「訴状が届いていないため、コメントできない」としている。」


毎日放送「“手術が原因で寝たきりに” 大学生と家族が病院を訴え」(2014年9月24日)は,次のとおりじました

「手術が原因で寝たきりになったとして、東海大学の学生が病院を訴えました。

 川崎市の大学生、清水利紀さん(20)は、おととし、交通事故で太ももを骨折し、手術を受けた後、転倒したため、川崎市の市立多摩病院で手術を受けました。しかし、手術中に大量の出血があり、出血性ショックなどを起こしたため、その後、高次脳機能障害となり、ほぼ寝たきりの状態となりました。

 清水さんの家族は「執刀医などの判断に問題があった」として、24日、病院側を相手取り、4億7000万円の損害賠償を求める訴えを横浜地裁に起こしました。病院側は家族に対し、大量出血した際のマニュアルがなかったことなど体制に問題があったことは認めましたが、執刀した医師などの判断に問題はなかったと説明しているということです。

 「事故は1人の責任では起きないと思う。1人1人の小さなミスが重なってのことだと思う。事実を明らかにしてほしい」(清水さんの母 佳子さん)

 清水さんの家族は、刑事告訴も検討しているということです。」


テレビ朝日「骨折手術で寝たきりに 大学生が損害賠償を請求」(2014年9月24日)は,次のとおりじました

「川崎市の病院で足の骨折手術を受けた際に大量に出血して脳に障害を負ったとして、男子大学生が執刀医などを相手取り、4億7000万円を請求する訴えを起こしました。

 東海大学1年の清水利紀さん(20)はおととし、交通事故で右足の太ももを骨折し、その後、治療のために川崎市立多摩病院で手術を受けました。家族によりますと、手術の際に清水さんは大量出血でショックを起こし、脳に障害を負ったことから、ほぼ寝たきりの状態になったということです。24日、家族は「病院側が適切な処置を速やかに行わなかった」などとして、執刀医などを相手取り、4億7000万円の損害賠償を請求する訴えを横浜地裁に起こしました。病院側は、大量出血の際の対応策を決めていないなどの不備があったことは認めたものの、執刀医らの判断に問題はなかったと説明しているということです。家族は今後、刑事告発も検討するとしています。」


どこからのどのような出血なのか,出血後どのように対応したのか,報道からは全く不明です.一人一人のミスが積み重なり悪しき結果が発生した事案は,一般に,過失・因果関係の特定が難しく,立証のハードルが高いことが多いのですが,本件は,出血後の対応に過失あり,との主張のようです.出血性ショックに対しては,すみやかに出血源の検索と止血を行ない,輸液・輸血を行うのが常ですが,本件はどのような対応だったのでしょうか.
また,出血性ショックにいたる程度の大量出血は回避できなかったのでしょうか.

【追記】

msn産経「川崎市立病院の骨折手術で重度の後遺症 大学生が提訴」(2014年9月25日)は,次のとおり報じました.

 
「川崎市立多摩病院(多摩区)で手術を受けた際、大量出血後の処置が遅れて重度の後遺障害が残ったとして、同市高津区の東海大1年、清水利紀さん(20)と家族ら計6人が24日、市や病院の指定管理者である聖マリアンナ医科大(宮前区)、男性医師2人を相手取り、計約4億7千万円の損害賠償を求める訴えを横浜地裁に起こした。

 訴状などによると、清水さんは交通事故で右の大腿(だいたい)骨を骨折して固定する手術を受けたが、松葉づえを使って歩行中に転倒して再骨折。平成24年9月に行われた再骨折後の手術で、静脈に直径が鉛筆の芯ほどの傷が2カ所できて出血が始まったが、医師は気付かずに少なくとも35分間は止血や輸血をせずに手術を継続。

 その結果、出血量は最終的に約8・5リットルに達し、出血性ショックを起こした清水さんは心肺停止状態に陥って低酸素脳症となり、現在も動いたり、言葉を発したりできないという。

 原告側は、医師らに注意義務違反や止血・輸血を行う義務違反などがあったと主張。提訴後に横浜市内で会見した母親の佳子さん(50)は「本来なら楽しい大学生活を送っていたはずのわが子が、今はベッドの上で過ごしている。本人は話せないが、安全であるはずの手術室で何が起きたのかを知りたい」と涙ながらに訴えた。

 川崎市病院局は「訴状が届いておらず、中身を確認した上で対応したい」、聖マリアンナ医科大は「訴状が届いていないので詳細が分からず、コメントできない」とそれぞれ話している。」



上記新聞記事からすると,術中の静脈からの出血に35分間気づかなかったことが過失,という主張のようです.

介護費用の計上により損害額が大きくなるのはわかりますが,京都地裁平成17年7月12日判決が,6歳女子の介護費用等を算定し総額2億4800万円の賠償を命じたのが,これまでの最高額です.
約4億7000万円の請求では,この京都地裁の判決の約2倍です.膨大な印紙代になりますので,いささか疑問を覚えます.一部請求にすることはできなかったのでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-25 04:01 | 医療事故・医療裁判

福岡高裁平成26年9月19日判決,自力排尿が可能な受刑者への尿道用カテーテル挿入は違法(報道)

西日本新聞「刑務所で不適切医療、国が逆転敗訴 元受刑者に賠償命じる」(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.

「福岡刑務所に服役中、不適切な医療で精神的苦痛を受けたとして、元受刑者の40代男性が国に約340万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は19日、請求を棄却した一審福岡地裁判決を変更し、35万円の支払いを命じた。

 判決によると、窃盗罪で服役した男性は2008年4月に腰痛を訴え、絶対安静と診断した刑務所の医師の指示で2日半にわたり、尿道用カテーテルを挿入された。高野裕裁判長は「詳しい検査を行わないなど診断は医療水準に従っておらず、不適切で違法だ」と指摘した。

 一審判決は「男性が腰の痛みをしつこく訴えており、医師の診断には合理性がある」として請求を棄却していた。

 福岡刑務所の青山純所長は「関係機関と協議し、適切に対応する」とコメント。原告弁護団は「収容者の権利保護を重視した適切な判断。国は責任を認めて謝罪し、再発防止を徹底すべきだ」とする声明を出した。」


毎日新聞「刑務所:カテーテルで精神的苦痛 福岡高裁が国に賠償判決」(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.
 
「福岡刑務所(福岡県宇美町)の医務官に腰痛治療として導尿カテーテルを挿管され精神的苦痛を受けたとして、元受刑者の40代男性が国に約350万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡高裁は19日、請求を退けた1審・福岡地裁判決を変更し、国に35万円の支払いを命じた。高野裕裁判長は「診断や挿管は医療水準に従ったものではなく不適切」と違法性を認定した。

 判決によると、男性は2008年4月30日、強い腰痛を訴え医務官の診察を受けた。医務官は問診や検査をすることなく「絶対安静が必要」と診断し、排尿用に2日半にわたって尿道にカテーテルを挿管した。

 1審は「医学的知見に沿う合理的なもの」とした。しかし、高野裁判長は「問診をし、必要な検査をしたうえで治療法を選択するのが医療水準だ」と指摘。そのうえで「自力排尿が可能だったので、他の方法をとるべきだった」と述べた。

 福岡刑務所は「判決内容を精査し適切に対応したい」としている。

 男性の代理人弁護士によると、福岡刑務所では05〜10年に腰痛治療などで150件のカテーテル挿管があった一方、同規模の他の刑務所では使用されていないという。【山本太一】」


朝日新聞「受刑者に尿道カテーテル使用、国に賠償命令 福岡高裁」は(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.

「福岡刑務所(福岡県宇美町)で腰痛を訴えた男性受刑者(当時)が、医師の判断で尿道にカテーテルを入れられ精神的苦痛を受けたとして、国に約350万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、福岡高裁であった。高野裕裁判長は「自力排尿が可能な状態で尿道カテーテルの使用は不適切だった」として、男性の請求を棄却した一審・福岡地裁判決を変更し、国に35万円の支払いを命じた。

 男性は40代。2008年4月、服役中に腰痛を訴えた際、医師の判断で尿道にカテーテルを挿入された。男性側は「標準的な医療水準にかなうものではない」などと主張したが、一審は「安静を保つ必要などを考慮したもので、医師の裁量を超えるものではない」と男性の主張を退けた。

 一方、二審は「尿瓶の使用など他の方法があり、カテーテル挿入は不適切」と判断。男性が痛みを訴え、精神的苦痛を受けたとして慰謝料の支払いを命じた。

 この問題をめぐっては、05~09年に腰痛を理由とした尿道へのカテーテル挿入が福岡刑務所で71件あり、男性を含む受刑者6人の申し立てを受けて県弁護士会は10年9月、人権侵害行為があったとして福岡刑務所に警告していた。」


腰痛を訴えただけで常に絶対安静とはならないでしょうし(安静を命じるだけの診療もおかしい),仮に安静が必要でも尿道カテーテル使用にはならないでしょう.一審判決は不適切不合理と思います.
本件は不適切不合理な地裁判決が高裁で覆された例です.

詳細は,担当した九州合同法律事務所のブログ「受刑者に尿道カテーテル使用、国に賠償命令」をお読みください.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-23 06:41 | 医療事故・医療裁判

函館で開催される第57回人権擁護大会・シンポジウム

日弁連の第57回人権擁護大会・シンポジウムは10月2日と3日函館で開催されます.
第1分科会は「北の大地から考える、放射能汚染のない未来へ-原発事故と司法の責任、核のゴミの後始末、そして脱原発後の地域再生へ」で,第2分科会は「障害者権利条約の完全実施を求めて-自分らしく、ともに生きる」です.

日弁連の人権擁護大会・シンポジウムにはできるかぎり参加しようと考えていましたが,今年は残念ですが業務の都合で参加できません.

函館は趣があり良い街です.
「はこだてフィルムコミッション」が,函館で撮影された映画のロケ地マップを載せています.

『スノーフレーク』は,一家心中で遺体が見つからなかった少年が生きているのでは?というサスペンスです.主演の桐谷美玲さんを見る映画です.

『犬と私の10の約束』は,病院に犬を持ち込んだりあり得ないストーリー展開ですが,ゴールデンレトリーバーがかわいいので,犬好きの方は見たほうがよい映画です.少女時代を演じた福田麻由子さんと成人後を演じた田中麗奈さんがよく似ています.お父さんのお医者さん役の豊川悦司さんがよい味をだしています.

『Little DJ〜小さな恋の物語』は,神木隆之介さんと福田麻由子さんが主演です.白血病で入院した病院でDJを行う少年患者の物語です.小林克也さんがラジオ局のDJ役で出演しています.どこか懐かしい映画です.

『星に願いを。』は,看護師役の竹内結子さんが主役です.3日間だけ生き返った青年患者が,自筆証書遺言を書き,思いを伝えようとします.

私が見たことがあるのは上記4つだけですが,それ以外にも,『海炭市叙景』,『ACACIA』,『つむじ風食堂の夜』,『わたし出すわ』,『海猫』,『パコダテ人』,『いつかギラギラする日』,『キッチン』,『居酒屋兆治』,『ギターを持った渡り鳥』など函館でロケした映画があるそうです.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-21 19:42 | 弁護士会

東京地裁平成26年9月18日判決,タミフルと死亡との因果関係否定(報道)

MSN産経「突然死とタミフルの因果関係認めず 遺族の訴え棄却 東京地裁」(2014年9月18日)は,次のとおり報じました.

「インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した翌日に死亡した男児=当時(2)=の遺族が、副作用による突然死だったとして遺族一時金支給などを求めた訴訟の判決で東京地裁は18日、死亡との因果関係を認めず、請求を棄却した。

 増田稔裁判長は判決理由で「薬と突然死との関係は不明で、副作用ではなくインフルエンザ脳症で死亡した可能性が高い」と指摘した。

 判決によると、男児は平成17年2月、インフルエンザの診断を受けてタミフルを服用。眠った後に呼吸が止まり、病院に搬送したが翌日死亡した。薬の副作用で亡くなった場合に一時金などを支払う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」は18年、「副作用ではなくインフルエンザ脳症」と判定し、支給しないことを決めた。」


本件は,不支給決定に対する行政訴訟です.東京地裁行政部の判決です.医学薬学的知見の評価は,行政部では医療集中部のようにはいかないのでしょう.残念な判決です.
おそらく東京高裁の判断を仰ぐことになるでしょうし,名古屋地裁,大阪地裁の同種訴訟の帰趨も注目されます.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-20 10:31 | 医療事故・医療裁判

文部科学省による法科大学院5段階分類

文部科学省は,司法試験の合格率などを指標にして法科大学院を5段階(5ランク?)に分類した一覧を公表しました.
この5段階分類に基づき,現行の補助金の90~50%を基礎額として交付するとのことです.

90% 北海道大、東北大、筑波大、東京大、一橋大、名古屋大、京都大、大阪大、学習院大、慶応義塾大、上智大、中央大、早稲田大

80% 千葉大、横浜国立大、神戸大、九州大、成蹊大、創価大、愛知大

70% 岡山大、琉球大、立教大、同志社大、甲南大

60% 金沢大、静岡大、広島大、熊本大、青山学院大、東洋大、日本大、法政大、明治大、神奈川大、山梨学院大、中京大、南山大、名城大、立命館大、関西大、近畿大、関西学院大、西南学院大、福岡大

50% 北海学園大、国学院大、駒沢大、専修大、桐蔭横浜大、愛知学院大、京都産業大

なお,補助金を受けていない大阪市立大と首都大学東京は分類対象外です.


このように司法試験の合格率が低いと補助金が減らされることになると,法科大学院が司法試験予備校化してしまうことにならないでしょうか.

本来,法科大学院修了者はほぼ全員が司法試験に合格し法曹になる,それを前提に法科大学院は実務法曹養成のための教育を行う,という制度設計だったはずです.
法科大学院修了者が司法試験合格レベルにすら達していない現状が問題であるとするなら,それを改善するためには,法科大学院の教育内容を充実すると同時に,法科大学院入学・修了者数を大幅に減らす必要があるでしょう.

平成26年度の法科大学院入学者数は2272人ですが,法科大学院受験者が減っていることも考えると,まだ多すぎると言えるのではないでしょうか.
入学定員充足率が100%以上の法科大学院は,筑波大,千葉大,一橋大,京都大,大阪大,首都大学東京で,神戸大(96%),東京大(93%),中央大(88%),名古屋大(87%),慶應義塾大(87%),東北大(86%)が続いています.
他方で,入学定員充足率が20%以下の法科大学院も多く,これら入学定員充足率が低い法科大学院は存続が困難になっているのではないか,と思います.

法曹が魅力のある職業にならないと,負のスパイラルが続き,法科大学院の落日は止められないように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-20 05:10

鳥取県立厚生病院,術後失血性ショックによる低酸素脳症で死亡した事案で提訴される(報道)

毎日新聞「提訴:手術後死亡、遺族が 県と厚生病院を /鳥取」(2014年9月18日)は,次のとおり報じました.
 
「県立厚生病院(倉吉市東昭和町)で2011年10月に心臓病の手術を受けた女性(当時79歳)が術後に失血性ショックによる低酸素脳症で死亡したのは医療過誤だったとして、遺族が同病院と県に4584万円の損害賠償を求める訴訟を鳥取地裁に起こした。

 提訴は8月22日付。訴状によると、女性は11年10月13日に狭くなった冠動脈を内側から広げる手術を受けた際、血管に穴が開...」


「術後の失血性ショック→低酸素脳症→死亡」は,ときどきありますが,それぞれの事案において回避可能だったか,予見可能だったか等が問題になります.

なお,最高裁の統計によると,平成23年769件,平成24年786件,平成25年809件と医事事件の提訴件数は増加傾向にあります.平均審理期間は,平成23年25.1月,平成24年24.5月,平成25年23.3と年々短縮されています.
和解率は,平成23年50.7%,平成24年51.3%,平成25年49.6%と,ほぼ半数が裁判上の和解で終わっています.判決率は,平成23年36.7%,平成24年37.8%,平成25年38.0%と微増しています.
一審判決の認容率は,平成23年25.4%,平成24年22.6%,平成25年24.7%と推移しています.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-19 09:34 | 医療事故・医療裁判

広島の病院のマタニティーハラスメント訴訟,最高裁が広島高裁判決見直しの可能性大

NHK「妊娠理由に降格” 最高裁で弁論」(2014年9月18日)は,つぎのとおり報じました.

「病院で働いていた女性が妊娠を理由に不当に降格させられたと訴えた裁判の弁論が最高裁判所で開かれ、女性側は「働く女性が安心して子どもを産み育てるための法律はあるのに、実情はそうなっていない」と主張しました。

この裁判は広島市の病院で働いていた女性が妊娠したため負担の軽い業務を希望したところ、それまでの役職を外されたのは不当だと主張して、病院側を訴えているものです。
1審と2審は、「希望した業務には役職を置く必要がなかった」として訴えを退けたため、女性が上告していました。
18日、最高裁判所で弁論が開かれ、女性側の弁護士は「電話1本で降格を告げられて納得できる説明もなかった。働く女性が安心して子どもを産み育てるための法律はあるのに、実情はそうなっていない」と主張しました。
一方、病院側は「異動に伴って役職を外すことは本人の同意を得ていたし、人事配置のうえでも必要性があった」と主張しました。
弁論が開かれたことから、最高裁は女性の訴えを退けた2審の判断を変更するとみられ、妊娠や出産を理由にした解雇などの不利益な扱い、いわゆる「マタニティハラスメント」について、来月23日の判決でどのような判断を示すのか注目されます。
弁論のあと、原告の女性の弁護士は「最高裁には来月の判決で、働く女性が妊娠したとき不利益な扱いがなくなるように、会社側がどこまで配慮する必要があるのか基準が明確になる判断を示してもらいたい」と話しました。」


広島中央保健生活協同組合が開設する病院に勤務するリハビリテーション科副主任の女性が,第二子妊娠を機に副主任を外され,翌年異動となった事案です.
広島地裁は,この女性が軽い業務への転換を希望していたことから,副主任を免じたことは女性の同意を得ており裁量の逸脱はない,としました.
広島高裁は,管理職の任免は使用者側の経営判断に委ねられているとして,違法性を否定しました.
今回,最高裁で弁論が開かれたことから,最高裁が,降格が男女雇用機会均等法の禁じる不利益処分にあたるかを判断し,広島高裁の判決を見直す可能性が大となりました.
10月23日の判決が注目されます.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-18 18:26 | 司法