弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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ニューヨーク州が製薬会社アクタビスを「ナメンダ」から「ナメンダXR」への切り替えで提訴

WSJ「NY州がアクタビスを提訴、アルツハイマー病薬早期撤退に異議」(2014 年 9 月 17 日)は,次のとおり報じました.

「米ニューヨーク州のシュナイダーマン司法長官が米製薬会社アクタビスを提訴した。アルツハイマー病治療薬「ナメンダ」を早期に市場から撤退させ、新しい徐放性カプセル「ナメンダXR」を販売するというアクタビスの計画は、後発版との競争を避け同社の利益を守ることが目的だと主張している。

 訴状によると、ナメンダが販売されなくなれば患者はさらに高価なナメンダXRの投薬を受けることになり、来年ナメンダの後発薬が出回ってもこれに切り替えることが難しくなる。

 アクタビスは自社の方針により係争中の訴訟にはコメントしないとした上で、徐放性のナメンダXRがアルツハイマー病患者と関わる医師や介護者から高い評価を受けていると述べた。

 シュナイダーマン司法長官は、アクタビスがナメンダXRへの切り替えの根拠として、1日2回でなく1回の投与で済むためナメンダより優れていると説明したことにも異議を唱えている。

 アクタビスは今年実施した250億ドル(約2兆6800億円)でのフォレスト・ラボラトリーズ買収を通じてナメンダを取得した。フォレストは2004年から同薬の独占販売権を保有している。ナメンダの特許は来年失効し、7月には後発版が登場する見通し。

 シュナイダーマン司法長官によると、州の代替調剤法では通常、薬剤師は処方箋にある治療薬の後発版を、医師からの許可なく調剤することができる。だが薬剤師は2つの医薬品が同じ有効成分を含有していても、医師の許可なしにナメンダXRの代わりにナメンダの後発版を調剤することはできない。

 その結果、患者が後発薬への切り替えを選択することが難しくなり時間がかかってしまうと司法長官は主張している。医薬品小売業者のウェブサイトによると、ナメンダXRの月間費用は約300ドルだが、後発薬ならはるかに安価となる。

 アクタビスはナメンダの売上高の内訳を示していないが、リーリンク・スワンのアナリストは、2014年下半期のナメンダとナメンダXRの売上高は合わせて8億ドル、来年には13億8000万ドルになると予想している。」


製薬会社の後発薬対策に州が異議を唱えた訴訟ですので,帰趨が注目されます.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-18 09:50 | 医療事故・医療裁判

レーシック被害集団訴訟,虚偽診断のクリニック提訴(報道)

読売新聞「レーシック被害 提訴へ」(2014年9月11日)は,つぎのとおり報じました.

「来月15人、「2クリニックで後遺症」」

「レーザー照射で視力を矯正するレーシック手術後、目の疲れなどの後遺症に苦しむ患者が「十分な説明もなく診療指針を逸脱した手術をされた」などとして、来月、専門クリニックを相手取り、損害賠償を求め東京地裁に集団提訴することがわかった。

 多数の手術を行う専門クリニックには、説明や術後のケアが不十分といった批判があったが、集団訴訟に発展するのは初めて。

 レーシック被害対策弁護団によると、参加予定者は2007~13年に手術を受けた首都圏や北海道、九州に住む30~60代の患者で、品川近視クリニック(本部・東京都千代田区)で治療を受けた13人と、同じく錦糸眼科(本部・同港区)の2人の計15人。過剰な矯正による遠視、目の疲労や痛み、見え方の異常といった後遺症を訴えている。中には、日本眼科学会の診療指針が示す矯正の限度基準を逸脱した手術をされた例もある。

 梶浦明裕・弁護団長は「工場の流れ作業のような診療で大量に手術し、指針の順守や患者への説明が不十分だったことが被害につながった」と主張。来月の一斉提訴に間に合わない患者もおり、順次、追加提訴していく方針という。

 集団訴訟について、品川近視クリニックは「現段階では情報がないのでコメントできない」とし、錦糸眼科も「訴状を見ていないので、今コメントすることはない」としている。」



MBS「「性病に感染とうそ診断」クリニックに賠償求める」(2014年9月18日)は,次のとおり報じました.
 
「「性病に感染している」と“うそ”の診断をされ、必要のない治療費を支払わされたなどとして、40代の男性が新宿区内のクリニックを相手取り、およそ250万円の賠償を求める訴えを東京地裁に起こしました。

 裁判を起こしたのは都内に住む40代の男性です。訴状などによりますと、男性は、おととし、新宿区内のクリニックで性感染症の検査を受けたところ、「血液検査は陽性で性病に感染している」と診断されました。

 男性は処方された治療薬を服用するなどしましたが、1か月後の再検査でも陽性と診断されたため不審に思い、別の病院で検査したところ、「性病には感染していない」ことが分かったということです。

「性感染症ということでデリケートな問題。(性病に)なっていないと分かったとしても、検査を受けてたということだけで偏見の目で見られるということもあるし、なかなか言い出せないということもある。医者を信用してたので、裏切られたという気持ち」(原告の男性【40代】)
 「性感染症という高度にプライベートで、センシティブな病気を作出された患者の心理、羞恥心につけこんだ行為である。病気でない人を病気にして、だまして、医療費を詐取し続けた極めて悪質な行為」(弁護士)

 男性は、「クリニックが血液検査の基準値を改ざんし、性病だとうその診断をした」として、院長を相手取り、治療費や精神的苦痛に対する慰謝料など、およそ250万円の賠償を求める訴えを、17日、東京地裁に起こしました。

 弁護団によりますと、このクリニックについては、ほかに4人の男女から同様の被害相談を受けているということです。提訴についてクリニックは、「取材はお断りします」とコメントしています。」


どちらの訴訟にも,私はかかわっていません.
性感染症虚偽診断のニュースを見ると,すずかけ法律事務所の服部功志先生ら医療問題弁護団の錚々たる弁護士が写っていました.

レーシック被害を受けた方は梶浦弁護士へ,性感染症虚偽診断の被害を受けた方は服部弁護士へ,それぞれ連絡をとられるのがよいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-18 09:23 | 医療事故・医療裁判

助産師,業務上過失致死(大量出血に救命措置怠り妊婦死亡),医療法違反(無許可開設)の疑いで書類送検

msn産経「無許可で助産所開設、出産時に女性死なせた疑い 院長を書類送検、相模原」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

 「無許可で助産所を開設し、出産時の出血で女性を死亡させたとして、神奈川県警は16日、業務上過失致死と医療法違反の疑いで、相模原市南区の「のぞみ助産院」院長の女性助産師(69)を書類送検した。

 書類送検容疑は昨年4月27日、入院中だった相模原市中央区の女性=当時(33)=が男児を出産する際、多量の出血をしたのに必要な措置を取らず、搬送先の病院で同28日に死亡させた疑い。

 また昭和62年2月から行政の許可を得ずに助産所を開き、医療法で求められる緊急時の嘱託先病院も平成20年4月以降、決めていなかった疑い。

 県警によると、昨年4月27日午後11時半ごろ、助産所で水中出産した女性の血が止まらず、助産師は同28日午前2時50分ごろに119番した。「目視で1~1・5リットルの出血があり、医療機関に搬送すべきだった。色が薄く、当初は血液ではないと判断した」と書類送検容疑を認めている。」


読売新聞「産後大量出血の女性が死亡、助産師を書類送検」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「出産後に大量出血した女性に適切な救命措置をせず、死亡させたなどとして、神奈川県警は16日、相模原市南区の「のぞみ助産院」を経営する女性助産師(69)を業務上過失致死と医療法違反の両容疑で横浜地検に書類送検した。

 発表によると、助産師は2013年4月27日夜、同院で同市中央区の女性(当時33歳)が出産する際、多量の出血を知りながら医療機関で治療を受けさせるなどの迅速な対応を怠り、翌28日朝、搬送先の病院で出血性ショックで死亡させた疑い。また、医療法で定められた市長の許可を受けず、緊急時の嘱託医療機関も確保しないで助産院を経営した疑い。調べに対し「母体の重症例を経験したことがなく、認識の甘さが出た」と話しているという。

 捜査関係者や遺族によると、女性は27日午後11時25分頃、第3子となる次男を出産。次男は無事だったが、女性は直後から腹痛を訴え、助産師は28日午前1時頃に出血を把握した。子宮収縮剤を投与するなどしたが医師には相談せず、同2時半頃に血圧低下に気づいて119番したという。」


スポーツ日本「出産時に女性死なせた疑い 助産師を書類送検 27年許可なしで助産所」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「無許可で助産所を開設し、出産時の出血で女性を死亡させたとして、神奈川県警は16日、業務上過失致死と医療法違反の疑いで、相模原市南区の「のぞみ助産院」院長の女性助産師(69)を書類送検した。

 書類送検容疑は昨年4月27日、入院中だった相模原市中央区の女性=当時(33)=が次男を出産する際、多量の出血をしたのに必要な措置を取らず、搬送先の病院で同28日に死亡させた疑い。

 また1987年2月から神奈川県や相模原市の許可を得ずに助産所を開き、医療法で求められる緊急時の嘱託先病院も2008年4月以降、決めていなかった疑い。

 県警によると、昨年4月27日午後11時半ごろ、助産所で水中出産した女性の血が止まらず、助産師は同28日午前2時50分ごろに119番した。「目視で1~1・5リットルの出血があり、医療機関に搬送すべきだった。色が薄く、当初は血液ではないと判断した」と書類送検容疑を認めている。

 相模原市によると、のぞみ助産院は現在も開院している。

 助産師は16日、助産院で取材に応じ「血は止まっていたと認識している。適切な処置だった」と説明する一方で「女性が死亡したのは自分の力不足だった」とも述べた。「4300人以上を取り上げてきた。今回のような死亡事故はなかった」とし、無許可で開所した認識はないと話した。」


NHK「出産女性死亡で助産師書類送検」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「神奈川県相模原市の助産師が、去年、出産で大量の出血をした女性に対し必要な措置を取らずに死亡させたとして、業務上過失致死などの疑いで書類送検されました。

書類送検されたのは、相模原市南区にある「のぞみ助産院」の院長を務める69歳の助産師です。
警察の調べによりますと、この助産師は去年4月、33歳の女性が助産院で出産した際に、通常よりも大量に出血していることに気付いていたにもかかわらず、必要な措置を取らずに出血性ショックで死亡させたとして、業務上過失致死の疑いが持たれています。
警察によりますと、調べに対し「これまで母体の重症例がなかったので認識の甘さが出てしまった」などと、容疑を認めているということです。
さらに、去年まで26年間、法人としての開設許可を受けないまま助産院の運営を続けていたとして、医療法違反の疑いでも併せて書類送検されました。
この助産師はNHKの取材に対し、「死亡した母親には出血が確認されてすぐ必要な措置を取った。容体が急変したため救急搬送もしており、できるかぎりのことはやった」と話していました。
また、医療法違反の疑いでも書類送検されたことには「医療法人として認められなかったので、保健所に相談したうえで有限会社として助産院を開設した。無許可という認識は全くない」と話していました。」


神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:「個人営業と認識」相模原市保健所」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

「のぞみ助産院」が無許可で開業していた実態に、指導権限を持つ相模原市保健所は今年5月まで気付いていなかった。医療法違反容疑などで捜査していた県警からの連絡で知ったといい、同保健所は「(保健所業務を)県から引き継いだ時から、個人営業だと認識していた」と釈明している。

 医療法では、法人など助産師以外の開業は知事か保健所設置市の市長の許可が必要で、有限会社などによる営利目的の開設は認められていない。

 同保健所や県警によると、女性院長は1981年、当時の所轄庁だった県に届け出て同助産院を開院。節税対策のため87年に有限会社として届け出たが、県に許可されなかったという。

 2000年に県から業務を引き継いだ同保健所は今年6月、助産院に対し立ち入り調査を行って事実確認。助産院は市の指導に従い7月末で有限会社を解散させ、いったん休業した。だが8月下旬に個人としてあらためて開業している。開業届は今月初めに提出されたという。同保健所は「違法状態が改善され、届け出の要件を満たしていれば受け付ける」と話している。

 また、のぞみ助産院は死亡事故直前の2013年3月、県内の助産所の大半が加盟する県助産師会(仲かよ会長)を退会していた。

 同会によると、日本助産師会が定めた助産師業務ガイドラインに沿って業務の改善を指導したが、この助産院の院長が「改善には応じられない。自分のことで会に迷惑を掛けたくない」とし、13年3月31日付で自ら退会したという。県助産師会は「改善指導の詳しい内容は、個人情報に当たるので明らかにできない」としている。

 同会は出産事故などの損害保険に団体として加入しており、この保険の加入を目的に、助産院開業者はほぼ全員が助産師会に入会するという。

 仲会長は「損害保険が受けられなくなることへの懸念や、今後も改善指導を続けたいとの考えから、会員が助産院に出向くなどして入会の継続を説得したが、院長は応じなかった」と話している。

 同助産院の利用者からは、驚きの声が上がる。妻が05年に長男、08年に次男を同助産院で出産した相模原市内の男性(36)は、「院長は産前も産後も熱心に指導してくれ、衛生面や安全面で問題は感じられなかった。ショックだ」と話した。」


神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:相模原の助産院長が書類送検」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

「無許可で助産所を開設し、出産直後の女性を死亡させたとして、県警捜査1課と相模原南署は16日、業務上過失致死と医療法違反の疑いで、相模原市南区御園4丁目の「のぞみ助産院」の女性院長(69)=同区=を書類送検した。県警の調べに対し、院長は容疑を認め、「すぐに医療機関に搬送するべきだった。認識が甘かった」と説明している。

 書類送検容疑は、昨年4月27日深夜、入院中だった女性=当時(33)、同市中央区=の男児出産に助産師として立ち会いながら、女性が大量出血した際に嘱託医の指示を仰ぐなどの必要な処置を取らず、翌28日朝に搬送先の病院で出血性ショックで死亡させた。また、1987年2月から2013年4月まで、県や市の許可がないまま法人として助産所を開設し、2008年4月以降、医療法で定められている緊急時の嘱託医療機関を決めていなかった、としている。

 同課によると、昨年4月27日午後11時半ごろ、女性は院内のプールで男児を水中出産。立ち会いは院長1人だけだった。出産後、大量出血した女性が「おなかが痛い」としきりに訴えたため、院長は翌28日午前1時半ごろに子宮収縮剤を投与。同2時50分ごろに119番通報した時には、すでに意識がない状態だった。

 県警の調べに対し、助産師は「目視で1~1・5リットルの出血があったが、血の色が薄く、体液が混じっていると判断した」と供述。無許可で開設していた点については「保健所から許可がもらえず、多忙でそのままにしてまった」、緊急時の病院を確保していなかった点には「提携できる病院が見つからなかった。近くに大規模な病院があり、実質的に緊急時の態勢は整っていると思っていた」とそれぞれ説明している。」


神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:「止血できた」院長が説明」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

 「のぞみ助産院」院長の女性助産師(69)は集まった報道陣に対し、亡くなった女性が出産直後から容体が急変するまでの状況を振り返り、「意識が混濁する直前まで話をしていた。出血をしていたとしても、何の出血かは難しい判断だったが、止血はできたという認識はある。そのとき、やれるだけの救急措置は精いっぱいやっている」などと説明した。

 同院長が取り上げたお産はこれまでに4300件以上で、初めての事故だという。今回の事態に「最高のお産をした事実がある。自分に責任がないと言うつもりはないが、悪いことは何もしていない。残念としか言いようがない」と話した。

 無許可での助産院の法人運営については「無届けはあり得ない。医療法人に関して保健所に相談したが、認められなかった」などと反論した。」

神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:「もっと早く通報してくれれば」義父ら遺族、無念吐露」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

「幸せな生活が待っていた。これからだったのに-。「のぞみ助産院」で男児を出産直後、出血性ショックで亡くなった女性=当時(33)=の遺族が16日、神奈川新聞社の取材に応じた。「これは医療事故。なぜ、もっと早く119番通報しなかったのか」。幸せな将来を思い描き、新たな家族の誕生を待ち焦がれていた日々から一転、愛する家族を失った無念を吐露した。

 義父(67)と義母(64)によると、女性は5年前、夫の転勤で北海道から相模原市に転居した。若い夫婦は一軒家を購入。子育てに励み、相模原に根を張るつもりだった。

 夫婦は長男(7)と長女(5)に恵まれ、男児は3人目の子宝だった。女性は元助産師。結婚を期に辞めており、子育てが落ち着いたら、再び働こうと思っていた。

 同助産院での出産を決めたのは「ママ友の話やインターネットの口コミが良かったからだったと思う」と義父。将来に役立つという思いもあり、助産院での出産を選んだのでは、と女性の思いを推し量る。無許可だったと知り、「驚きしかない」。信頼していただけに、出産時には思いも及ばなかった。

 女性が亡くなった後、義父は3回ほど、院長と面会した。だが、どこかひとごとのような口ぶりで、責任を十分は感じていないように見えた。「もうちょっと謝罪の気持ちがあっていいのでは」と憤る。

 子ども3人。残された夫が男手一つで育てるのは大変だ。義母は北海道から相模原に移り住み、3人の母親代わりとして一緒に暮らす。義父も時間を見ては相模原に足を運ぶが、「年に1、2回、孫たちが北海道に遊びに来る。じじ、ばばとして、その成長を見守る。そんな生活を楽しみにしていたのに」と声を落とす。

 女性が命を賭(と)して生んだ男児は1歳になった。義母は腕に抱きながら訴えた。「この子はお母さんの顔を知らないまま育っていく。もう二度と、同じようにかわいそうな子をつくってはいけない。こんな医療事故を起こしてはいけない」」


神奈川新聞の報道が詳細です.
刑事責任,行政法上の責任,民法上の賠償責任の有無については,それぞれの手続きにより判断されることになるでしょう.
助産師会を脱会し,本件事故当時保険に入っていなかったとのことですので,仮に民事の賠償責任が認められても69歳の助産師に支払能力があるのか,問題が残ります.

【追記】

読売新聞「女性死亡の無許可助産院に市が助成金1800万」(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.

「相模原市南区の「のぞみ助産院」を経営する女性助産師(69)が業務上過失致死と医療法違反の疑いで書類送検された事件で、無許可経営だった同助産院に同市が妊婦健康診査などを委託し、2009~14年度に計約1800万円の助成金を支出していたことが、市への取材でわかった。

 市によると、同助産院は1987年の法人化に伴い、市に開設の届け出を行ったが、許可が出なかった。しかし、市は許可が出ていると誤認し、09年4月、妊婦健診業務を委託。13年3月までに、3338件の健診費用として計1294万円を助成した。

 同助産院は今年7月になって法人閉鎖の、8月には個人助産所としての届け出を行った。個人の助産所は市長の許可を必要としないため、市は同月、妊婦健診業務を再委託したという。

 市健康企画課は「あくまで市民のための助成で、妊婦が支払うべき金額を市で負担している。市民の利便性を考え、少なくとも今年度中は助成を継続する」としている。また、市は、経済的に出産費用を払うのが難しい妊婦の負担を軽減する制度に基づき、09年4月~14年4月、計約530万円を助成していた。」



【再追記】

神奈川新聞「出産直後の女性死なす/相模原市の助産師に罰金刑」(2015年7月29日)は,つぎのとおり報じました.

「相模原市南区の助産所「のぞみ助産院」で2013年、出産直後の女性を死亡させたとして、横浜区検は29日、助産所の女性助産師(69)=同区=を業務上過失致死罪で略式起訴した。横浜簡裁は同日、助産師に罰金50万円の略式命令を出した。

 起訴状などによると、助産師は13年4月、同市中央区の女性=当時(33)=が男児を出産した際、正常時の平均出血量である約500ミリリットルを超える約千~1500ミリリットルの出血を確認したのに、救急通報を行う注意義務を怠った過失により、女性を弛緩(しかん)出血による出血性ショックで死亡させた、とされる。

 県警が昨年9月、業務上過失致死と、無許可で助産所を開設した医療法違反の疑いで書類送検していた。医療法違反容疑については横浜地検が29日、不起訴処分とした。」



谷直樹

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by medical-law | 2014-09-17 07:29 | 医療事故・医療裁判

兵庫県立淡路医療センター,患者の心電図の異常を知らせる警告音に気づかず死亡等医療事故2件(報道)

日テレ「兵庫県立病院で医療ミスによる事故2件発生」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県洲本市の県立淡路医療センターで去年とおととし、医療ミスによる事故が2件発生、70代の男性患者が死亡していたことがわかった。兵庫県の発表によると去年11月、心不全で入院していた当時70代の男性患者の心電図の異常を知らせる警告音に看護師らが1時間以上気づかず、その後男性患者は死亡した。当時、病棟には当直勤務の看護師が3人いたが、全員が別の患者の対応中で警告音に気が付かなかったという。また、おととし3月、30代の女性患者に対する婦人科系疾患の手術の際、誤ってレーザー器具が患者を覆っていた布に触れ発火し、太ももなどにやけどを負わせたという。兵庫県はどちらの事故も「病院側の過失は免れない」として、患者側に賠償金を支払う方針。」

神戸新聞「患者や遺族に解決金687万円 兵庫県立淡路医療センター」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県病院局は16日、洲本市の県立淡路医療センター(旧淡路病院)であった医療事故2件について、計約687万円を支払って和解する、と発表した。22日開会の県議会定例会に議案を提出する。

 同局によると、1件は2012年3月の手術中に発生。医師が30代女性の子宮の腫瘍を切除した後、レーザー器具の先端が布に触れて燃え広がり、女性の太ももなどにやけどを負わせたという。同局は器具の使用を誤ったとして女性に賠償金約387万円を支払う。

 もう1件は13年11月、心不全で入院していた70代男性の心停止を示すアラームが鳴っていたにもかかわらず、看護師が1時間以上気付かず、その約3時間後に死亡した。死亡との因果関係は不明だが、容体急変の発見が遅れた過失があるとし、遺族に賠償金300万円を支払う。

 岡本周治県病院事業副管理者は「大変申し訳ない。医療安全対策の取り組みを進め、再発防止に努める」とコメントした。(岡西篤志)」


手術時のレーザーによる熱傷事故,警告音に気付かなかった事故は,残念ながらどちらもよく起きています.

最高裁平成23年2月25日判決(民集第236号183頁)は,「当該医療行為が著しく不適切なものである事案」について,「医師が,患者に対し,適切な医療行為を受ける期待権の侵害を理由とする不法行責任を負うことがある」ことを認めています。
著しく不適切な医療行為が行われた場合,因果関係が証明できなくても,期待権侵害として300万円程度の慰謝料が認められることが多いようです.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-16 15:34 | 医療事故・医療裁判

「生誕130年 竹久夢二展 ベル・エポックを生きた夢二とロートレック」

今日9月16日は竹久夢二氏の誕生日です.
今年は、生誕130年ということで、出版、展覧会などが目立ちます.、

高島屋の「生誕130年 竹久夢二展 ベル・エポックを生きた夢二とロートレック」は、「夢二とロートレック、また東西のベル・エポックに共通するロマンチシズムに着目し、その対比を通して夢二という作家を見つめ直します。音楽と美術を愛し、街と暮らしの彩りを大切にした2人の芸術家――。慕情と哀愁に満ちたそれぞれの生涯を代表作でたどるとともに、古き日本への郷愁と西洋への憧れがとけあった夢二の作品の魅力をあらためて紹介します。」とのことです.
楽しみです.

岡山髙島屋     2014年9月11日(木)~9月23日(火・祝)
日本橋髙島屋   2014年9月26日(金)~10月6日(月)
横浜髙島屋     2014年10月15日(水)~10月27日(月) 

夢二郷土美術館のサイトご参照


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-16 06:22 | 趣味

東京地裁平成26年9月11日判決、蒸しパンをのどに詰まらせ後遺障害で医療法人社団苑田会に賠償命令

朝日新聞「入院中パン詰まらせ後遺障害 都内の病院に賠償命令」(2014年9月11日)は、次のとおり報じました.

「くも膜下出血で病院に入院した男性(66)が蒸しパンをのどに詰まらせて後遺障害が残ったのは、適切な介助を怠ったためだとして、「医療法人社団苑田会」(東京都足立区)と主治医に約1億4130万円の賠償を求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。加藤正男裁判長は病院側の過失を認め、法人に4804万円の支払いを命じた。主治医に対する請求は棄却した。

 判決によると、男性は2007年3月、苑田会が経営する苑田第一病院に入院。5日後、昼食の蒸しパンをのどに詰まらせて窒息し、呼吸停止になった。その後、血管性認知症と診断された。

 加藤裁判長は、パンについて「窒息の原因食品として上位に挙げられ、リハビリテーションの現場では広く知られている」と指摘。「食べやすい大きさにちぎり、男性の動作を観察するべきだった」とした。

 苑田会は「判決を見ていないのでコメントできない」としている。」


 くも膜下出血の66歳入院患者は、一般に嚥下能力が低下していますので注意が必要です.
 そもそも病院食に蒸しパンをだすのはどうかと思いますが、蒸しパンをだす場合は、事故を防止するために、蒸しパンを小さくちぎって食べるように指導説明し、そのとおり実行しているか観察することが必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-16 05:25 | 医療事故・医療裁判

健康保険組合連合会、1162億円の赤字の見込み

NHK「健保組合の多数が赤字に 高齢者医療の負担増で」(2014年9月16日)は、 次のとおり報じました.

「大企業の従業員らが加入する全国の健康保険組合の昨年度の決算の見込みは、保険料収入は増えたものの、高齢者の医療費を賄うための負担金が過去最大となったことなどから、全体のおよそ3分の2の組合が赤字となりました。

健康保険組合連合会は、大企業の従業員やその家族が加入する全国の1419の健康保険組合について、昨年度=平成25年度の決算の見込みをまとめました。
それによりますと、組合全体の収入は保険料率の引き上げや賃金の上昇などで保険料収入が増えたことから、前の年度よりおよそ5%増えて7兆3413億円でした。これに対して、支出は後期高齢者医療への支援金など高齢者の医療費を賄うための負担金が過去最大の3兆2739億円となったことなどから、およそ2%増えて7兆4575億円でした。その結果、全体では1162億円の赤字の見込みとなり、およそ3分の2に当たる927の組合が赤字となっています。
これについて健康保険組合連合会は、「保険料率の引き上げで対応するのは限界に来ている。高齢者医療の負担の在り方を巡る改革は最優先課題であり、政府に対し現役世代の負担軽減策を求めていきたい」としています。」


タバコによる健康被害増加分をタバコ会社に請求することも検討されたら、いかがでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-16 05:06

韓国の健康保険公団とたばこ会社の裁判

WoWKorea「韓国・健康保険公団がたばこ製造会社に損害賠償請求」(2014年9月13日)は,次のとおり報じました.
 
「政府が喫煙率を下げるという名目でたばこ価格を値上げすると発表した中、国民健康保険公団(以下、健保公団)とたばこメーカーの口頭弁論が始まった。


 健保公団が韓国のたばこ製造会社KT&G、フィリップモリス・コリア、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)・コリアなど(以下、製造会社側)を相手に起こした損害賠償請求訴訟の初弁論が、ソウル中央地方裁判所で12日午後2時から行われた。

 健保公団側の代理人は「たばこは嗜好品ではなく、公衆に対する許されない脅威」とし「今回の訴訟を通じてたばこと製造会社の実態を明らかにし、たばこを嗜好品と思っている国民の感覚が変化していくことを望む」と明らかにした。

 また健保公団は受診者(診察を受けた人)に支給した537億ウォンを対する損害賠償を請求する。今後たばこそのものの欠陥性や製造会社の違法行為を根拠に請求額を上げていく」と述べた。

 また「たばこの煙はタール、ベンゼン、ホルムアルデヒドなどの発がん性物質69種類が入っている。それでも製造会社はその有害性を抽象的に警告していた」と批判した。

 そして「製造会社は中毒性強化のためにアンモニア合成物を添加し、ニコチンの影響を軽く考えるようにした」と主張した。

 KT&Gら製造会社側の代理人は、健保公団の訴訟提起は法的根拠がないと対立した。

製造会社側の代理人は「健保公団が受診者に支給した保険金は、法律上の賠償対象となる損害ではない。保険加入者の疾病から派生した間接的損失に過ぎない」と主張した。

 また「原告が訴状で明らかにした訴訟の目的は、健康保険財政堅実化を企て、たばこ製造会社に対する責任追及、効果的なたばこ規制政策などであり、訴訟の結果と関係なく政策的目的で訴訟を起こしたことにより、司法的判断の対象ではない」と付け加えた。

 製造会社側の代理人はたばこの有害性を認めながらも喫煙と肺がんの個別の因果関係は認めないと強調した。

 さらに「健保公団は損害賠償を総額だけ明らかにしたが、個別の因果関係の立証をビッグデータで代替することは不可能だ」とし、「裁判所が特定の肺がんとたばこの個別因果関係を認めることはない」と述べた。

 「従って喫煙量と個人の職業、年齢、環境など多くの個別要因に対する分析が必要だ」とした。

 製造会社側の代理人は「喫煙は自由意思による選択の問題。依存性(中毒)はある程度存在するが、自由意思により断ち切ることはできない」とも主張した。

 また有害性をきちんと表示しなかったという健保公団の指摘に対し、喫煙の有害性は何度もそしてずいぶんと前から多くの人が知っているという事実だと反論した。

 「朝鮮時代からたばこが健康に悪い影響を与えることがあるということは、広く知られていたことだ。1960年代以降、未成年者の喫煙は法律で禁止し、禁煙教育を実施するなど未成年者保護も強化してきた」とした。

 製造会社で中毒性を強化するために添加物を入れたという健保公団の主張に対しては「添加物は保湿剤、香料、保存料などで、全体の8%に過ぎない。添加物の使用目的は、水分の維持、腐敗防止などの物理的状態の保存とタバコの味の差別化だ」と対立した。

 裁判所は訴訟の争点を以下の4つにまとめた。

1.健保公団に訴訟を提起する資格があるのか

2.喫煙と肺がんなどの疾病の因果関係

3.たばこ製造会社の製造物責任及び違法行為責任

4.損害額の範囲

 次回の公判は11月7日午後2時に開かれる。」


健康保険組合がタバコ会社を訴えるのはアメリカだけではありません.
タバコは,健康被害を生じる一種の欠陥商品です.そのタバコを製造販売している会社が,健康保険組合にタバコによる健康被害の費用を負担させ,自分は利益だけを得ています。本来その費用はタバコ会社が負担すべきものと考えます。


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-15 09:17 | タバコ

『タイムスリップ!堀部安兵衛』

タイムスリップ!堀部安兵衛」は,三井不動産レジデンシャル株式会社のシネマっぽい長編CM(34分22秒)です.
大森南朋さん演じる堀部安兵衛(堀部武庸)が現代にタイムスリップし,不動産会社に勤務します.大森南朋さんが丁髷に鉢巻,スーツ姿で,「お・め・ど・お・り」「アグリーでござる」などと言うのですから,面白すぎます.
「いわゆる期待される若手社員」役の神木隆之介さんは爽やかで,大石部長役の石橋凌さんは渋く,OL吉良裕子役の高畑充希さんも良い感じです.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-14 18:32 | 趣味

大仙市立大曲病院,障害者総合支援法に基づく自立支援医療(精神通院医療)の説明不十分で和解

読売新聞「医療費軽減の説明足りず」患者に差額支払い」(2014年9月13日)は,次のとおり報じました.

「大仙市は12日、市立大曲病院に通院する50歳代の男性患者に対し、医療費の自己負担が軽減される自立支援医療(精神通院医療)の説明が十分でなかったとして、制度が利用できた場合との差額8万4332円を支払う条件で和解したと発表した。男性が大曲簡易裁判所に提訴し、調停が行われていた。市は同病院の患者で同様のケースがあった場合、事情を確かめたうえで、差額を支払う方針。

 自立支援医療は障害者総合支援法に基づく制度で、精神通院医療費、薬代などの自己負担が原則、3割から1割に軽減される。同法は「市町村は障害者の福祉に関し、必要な情報を提供する」と定めている。

 男性は同病院に11年6月から月1~3回のペースで通院し、今年3月に自立支援医療制度を知った。6月に市を相手取り、「直接、この制度があると説明されず、軽減措置を受けられなかった」として、医療費の差額や慰謝料など計60万円の損害賠償を求めて大曲簡易裁判所に提訴した。

 市は自立支援医療についてホームページに掲載し、市立大曲病院の診察室の入り口にチラシを掲示するなどしていたが、「長期通院の患者に直接説明しなかったのは不十分だった」と、差額分の支払いを決めた。

 市は、同病院に通院する3割負担の患者全員に、医療費が軽減される制度の概要を説明する文書を配っているほか、軽減措置を前面に出したチラシやポスターも新たに作った。市立病院以外の病院などには、周知への協力を求める文書を添えてチラシを配っている。

 自立支援医療は国の制度だが、周知はほぼ市町村任せといい、栗林次美市長は「他市町村でも同様の事例があると思う。市の責務を果たすため、今回の対応を決めたが、もう少し国全体で周知を図る必要もあるのではないか」と述べた。」


本件は,周知徹底を図るべき市の病院で説明されていなかったケースです.
病院の説明義務は,診療行為の内容だけでなく,費用についても生じます.
大仙市だけではなく,全国に同様のケースがあるのではないか,と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-13 07:11 | 医療事故・医療裁判