弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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さいたま地裁、歯科医師業務上過失致死罪で罰金80万円、2歳児が治療中脱脂綿を詰まらせ死亡の事案(報道)

さいたま新聞「治療中に2歳児死亡 「注意怠った」元歯科医に罰金/さいたま地裁」は、次のとおり報じました.
 
「2010年、新座市内の歯科医院で女児=当時(2)=が治療中、脱脂綿を喉に詰まらせて死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた青森県五所川原市十三深津、元歯科医師で無職××××被告(41)の判決公判が10日、さいたま地裁で開かれた。多和田隆史裁判長は「安全確保に向けるべき注意を怠った程度は大きく、結果はいうまでもなく重大」として罰金80万円(求刑・同80万円)を科すことを言い渡した。

 多和田裁判長は、××被告が女児の治療を行う際、脱脂綿が口腔内に落下し、気道に吸引される危険性に気付かず、落下防止措置を取らなかったと指摘。「真摯(しんし)に反省しているとは言い難い」とした。一方で、公判で女児や遺族に謝罪の言葉を述べていることなどを考慮したと量刑理由を延べた。

 閉廷後、××被告の弁護人は「これから話し合いたい。控訴の方針で検討する」とコメントした。

 判決によると、××被告は10年6月13日、当時院長を務めていた「にいざデンタルクリニック」(同年閉院)で、ぐらついた女児の歯を固定する治療を行った際、円柱状の脱脂綿2個を上唇と歯茎の間に挟んだ。その際、落下防止措置を講じなかったため、脱脂綿1個が口腔内に落下して気道に詰まり、同14日、女児を窒息による低酸素脳症で死亡させたとされる。」

上唇と歯茎の間に挟んだ円柱状の脱脂綿の落下して気道を塞ぐことを予見せず、回避措置を講じなかったことが過失とされています.
そもそも、嫌がって暴れる2歳児に治療を強行すること自体危険と思います.2歳児といえども、きちんと言い聞かせ恐怖心が落ち着いたあとで治療を行うのが普通ではないでしょうか.
判決は、治療を強行するなら、落下防止措置をとるなど安全性を確保する義務がある、という趣旨なのでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2014-10-18 00:57 | 医療事故・医療裁判

第二東京弁護士会、副会長2人を女性に

東京新聞「第二東京弁護士会、女性役員増へ… 「クオータ制」導入」(2014年10月17日)は。次のとおり報じました.

 
「所属弁護士数が全国で2番目に多い「第二東京弁護士会」は、女性役員の比率を高めるため、全国で初めて6人の副会長のうち2人を女性にする「クオータ制」を導入する。

 近く臨時総会で正式決定する。政府は官公庁や企業での女性幹部、役員数の拡大を目指しているが、クオータ制の採用は珍しい。

 同弁護士会の弁護士約4800人のうち女性は約2割だが、ベテラン世代での比率はさらに低い。このため女性役員のなり手が少なく、毎年1人にとどまっていることから、来年度の役員選挙からクオータ制を導入することにした。

 立候補した女性が1~2人の場合は、原則として無投票で当選させ、3人以上の場合も選挙を実施した上で女性の上位2人を優先的に当選させる。山田秀雄・同弁護士会会長は「弁護士会がDV(配偶者などからの暴力)などの問題に取り組むためにも、女性の視点を積極的に取り入れる必要がある」と語る。」


わが第二東京弁護士会では、当弁護士会の会員が5名以上所属する法律事務所においては所属する女性会員の割合が25%以上となるよう努力することになっています.4分の1ルール(クオータ制)です.理事者についても同様に副会長2人以上を女性とすることになったわけです.
ただ、女性弁護士の平均収入が男性弁護士の平均収入の半分以下というアンケート調査があり、副会長の職務が無償で、時間的・経済的な負担が大きく、肉体的にも激務であることが女性副会長が少ない背景事情と思われますので、この背景事情を改善する必要もあるのではないか、と思います.
いずれにしても、第二東京弁護士会が第2次安倍改造内閣のようにならないでほしいですね.


谷直樹

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by medical-law | 2014-10-17 20:02 | 弁護士会

人工呼吸器の欠陥で自宅療養中の患者が死亡したとして遺族が製造会社と貸し出した国立病院機構を提訴

産経新聞「「男性死亡、原因は人工呼吸器の欠陥」 筋ジス患者の遺族が提訴」(2014年10月17日)は、次のとおり報じました

 「筋ジストロフィーで自宅療養していた男性=当時(31)=が死亡したのは人工呼吸器の欠陥が原因だとして、遺族が製造会社「パシフィックメディコ」(東京)や呼吸器を貸し出した国立病院機構などに計1千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状などによると、男性は平成19年から人工呼吸器を自宅で使っていた。昨年4月11日朝、のどにつなげる呼吸器のチューブが外れて呼吸できなくなっているのに母親が気づき、病院に搬送したが同日夜に亡くなった。チューブが外れたことを知らせる警報は鳴らなかったという。

 遺族側は訴状で「チューブと警報の構造に欠陥があった」として、製造会社には製造物責任法に基づく賠償責任があると主張。国立病院機構に対しては「呼吸器の使い方の指導が不十分だった」と訴えた。」



谷直樹

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by medical-law | 2014-10-17 19:29 | 医療事故・医療裁判

名古屋地裁平成26年9月5日判決,分娩事故で1億3675万2803円の賠償を認める

名古屋地裁平成26年9月5日判決は,市に,分娩事故で脳性麻痺となった児に1億3235万2803円を,その両親に固有の慰謝料等それぞれ220万円を支払うよう命じました.

判決は,以下のとおり,15時40分頃の急速遂娩の準備を行うべき注意義務を認め,その違反を認定しました.

「原告は、15時40分頃から、基線細変動の滅少ないし消失を伴う高度遅発一過性徐脈が現れてきたのであるから、被告病院の助産師及びA医師は、いかに遅くとも、この時点で、母体の体位転換、陣痛促進剤の投与停止をまず行い、並行して急速遂娩の準備を行うべき注意義務があったと主張する。

 証拠(略)によれば、15時43分頃及び15時45分頃に遅発一過性徐脈と評価し得る徐脈が認められる。その時点における基線細変動であるが、基線を読むためには、本来、一過性変動の部分を除き、その部分が少なくとも2分以上続かなければならないところ(前提事実(3)ア(ア))、15時40分頃の原告太郎の胎児心拍数図においては、一過性変動の部分を除いて2分以上続いている部分がなく、正確に基線を読むことができないほどに徐脈が顫発しているということができる。そして、その波形の様子は、15時40分までのものとは様相が異なり、明らかに振幅の程度が減少している。

このように、遅発一過性徐脈と評し得る徐脈が複数回発生し、かつ、基線細変動の状態にも異常が生じていることに照らすと、被告病院の助産師及びA医師は、遅くともこの時点で原告太郎の胎児機能不全を疑い、少なくとも母体の体位転換、陣痛促進剤の投与停止をまず行い、並行して急速遂娩の準備を行うべき注意義務があったと認めるのが相当である。

 これに対し、D意見書には、「徐脈の出現だけでなく基線細変動の評価が胎児の状態を評価するには重要であり」、[基線細変動は正常であり、この時点では胎児のwell ― beingが障害されているとは断定できない」との記載及びJ5時40分頃に酸素投与が開始されたことは適切な対応であった旨の記載がある。
確かに、原告太郎の出生後に発行されたものであるが、ガイドライン2011にも、遅発一過性徐脈の出現のみで胎児のWell - beingが障害されていると判断するのではなく、基線細変動の状態と併せて判断する旨が記載されているところである。
 しかし、他方で前記(2)イ(ア)aのとおり、遅発一過性徐脈は基線細変動の状態によらず胎児機能不全と診断されるとの医学的知見が日本産婦人科学会による「産婦人科研修医のための必修知識2007」に記載されており、遅発一過性徐脈は、それだけで直ちに胎児機能不全と診断し得るかどうかは措くとしても、その出現自体が胎児機能不全の発生について十分に警戒すべき重要な徴表であるということができる。
 そして、前記のとおり、15時40分頃以降の原告太郎の胎児心拍数図には、2分以上続いている基線部分の消失、徐脈の頻発、振幅の程度の減少など、15時40分までのものとは様相が異なる波形が出現していたものであるから、これらの波形異常と遅発一過性徐脈の出現を併せ考慮すると、酸素投与のみでは不十分であったと認めるのが相当である。

なお、D医師は、基線の細変動は徐脈が回復して基線が読めるところで評価するところ、その部分には6bpm以上の振幅が認められる旨証言するが、前記のとおり、遅発一過性徐脈の出現後、徐脈から回復した部分には、正確な基線が読み得るほど継続している部分がないのであって、僅かな部分に基線の振幅が認められるからといって、基線細変動が正常であるいうことはできない。したがって、D意見書の上記記載を採用することはできない。」

判決は,以下のとおり,15時45分の急速分娩の処置をとるべき注意義務を認め,その違反を認定しました.

「原告は、15時45分頃には、基線細変動の減少を伴う2回目の遅発一過性徐脈が出現していたのであるから、被告病院医師は、遅くとも、この時点で、急速遂娩(緊急帝王切開)を実施すべき注意義務があったと主張する。

 15時40分頃から15時45分頃の所見に照らし、被告病院の助産師及びA医師には、母体の体位転換、陣痛促進剤の投与停止をまず行い、並行して急速遂娩の準備を行うべき注意義務があったというべきことは、上記認定のとおりである。そして、母体の体位変換や陣痛促進剤の投与停止等により原告太郎の状態が改善しない場合には、被告病院の助産師及びA医師としては、15時45分頃の時点において、急速分娩の処置をとるべき注意義務があったと認めるのが相当であり、また、そのような処置を行うことも十分可能であったというべきである。」

判決は,因果関係について,次のとおり認定しました.

「本件においては、15時45分頃の時点で原告太郎の胎児機能不全を示す所見が見られることは上記認定のとおりであり、原告太郎は、そのころから胎児機能不全の状態に陥っていたと認められる。
 そして、被告病院の助産師及びA医師が、15時45分頃の時点で、適切に原告太郎の胎児心拍数図等を監視し、母体の体位転換、陣痛促進剤の投与停止をまず行い、並行して急速遂娩の準備を行い、状態が改善しない場合には急速分娩に踏み切るという注意義務を果たしていれば、15時45分に近接した時間において原告太郎の上記胎児機能不全は解消された高度の蓋然性があるというべきである。
 被告病院の助産師及びA医師が上記注意義務を怠った結果、原告太郎は、16時36分に出生するまで約48分間胎内で胎児機能不全の状態に置かれていたというべきであり、この間に原告太郎の脳性麻痺が発症したと推認するのが相当である。」

判決は,臍帯血pHが7.121であるとから脳性麻痺は分娩を原因とするものではないとの被告の主張を次のとおり排斥しました.

「被告は、原告太郎の臍帯血pHが7.121であり、基準を満たさないことから、原告太郎の脳性麻痺は分娩を原因とするものではないと主張する。
 しかしながら、本件の臍帯動脈血のpHは7.121と基準値の7.0を上回っているが、これ自体、数値としては低い値であり、また、不足塩基量は13.7と基準値の12を大きく上回っている。また、挿管後の血液ガス分析検査でpHは6.894と基準値である7.0を下回っている。
 以上のことからすれば、原告太郎の臍帯血pHが7.121であることのみをもって、被告病院の助産師及びA医師の注意義務違反と原告太郎の脳性麻痺との因果関係が否定されるものではない。」

判決は,MRI画像にプロファウンド型仮死の所見が全く見られないことを理由とする被告の主張を次のとおり排斥しました.

「被告は、原告太郎のMRI画像には短期間の受傷の場合に見られるプロファウンド型仮死の所見が全く見られないから、原告太郎の脳性麻痺は分娩を原因とするものではないと主張する。
 しかしながら、上記認定のとおり、原告太郎の脳性麻痺は、約48分間胎児機能不全の状態に置かれていたことに起因するものと推認されるのであるから臍帯切断等の短期問に受傷したものということはできず、原告太郎のMRI所見とは矛盾しないものであって、上記被告の主張は採用することができない。」


分娩監視装置の記録から,急速遂娩を準備すべき注意義務,急速遂娩の処置をとるべき注意義務をそれぞれ認定する過程は参考になります.
因果関係認定はシンプルですがこれも参考になります.

なお,本件は控訴中とのことですので,名古屋高裁の判決が待たれます.

【追記】

中日新聞「旧東海市民病院、医療訴訟が和解 後遺症男児に賠償金」(2015年9月11日)は,次のとおり報じました.

 「愛知県東海市の市民病院で2008年に出産した際、不適切な処置で後遺症となったとして、男児(7つ)と両親が市に計1億5千万円余の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東海市は11日、男児側に9千万円を支払う和解案に双方が内諾したと発表した。

 訴えていたのは同県弥富市在住でブラジル国籍の男児と父親、ボリビア国籍の母親の3人。母親は08年5月、当時住んでいた同県知多市の自宅で破水し、東海市民病院に入院。生まれた男児は自発呼吸がなく、転院先で重症新生児仮死と診断された。

 名古屋地裁は14年9月、心拍数の適切な監視や陣痛促進剤の投与停止などを怠り、胎内で機能不全となって脳性まひが発症したと判断。医師らの注意義務違反を認定し、病院を運営していた市に約1億3700万円の支払いを命じた。市は判決を不服として控訴、名古屋高裁は今年8月、市側に一定の責任があったと認めた上で和解案を示していた。

 東海市民病院は今年5月、隣接の知多市と連携して新設した公立西知多総合病院に業務を移管して閉院した。市は市議会9月定例会に関連議案を提出する。」


 和解金9千万円ですので,責任を認めての和解です.地裁判決の責任判断を高裁も支持したものと考えられます. 

谷直樹

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by medical-law | 2014-10-17 05:35 | 医療事故・医療裁判

Celine Gounder氏,「エボラ感染経路について知っておくべき事実」

Celine Gounder氏の「コラム:エボラ感染経路について知っておくべき事実」(ロイター)は,「*筆者は、感染症と公衆衛生を専門とする内科医で、医療ジャーナリストでもある。」「*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。」との断り書きがありますが,注目すべき内容です.
ダラスの看護師が防護服を着ていたにもかかわらずなぜウイルスに感染したのか,という疑問に1つの推論を提供しているからです.

日本テレビ「米でエボラ熱感染者 関係者全員を検査」(2014年10月13日)は,「CDCは感染を防ぐための手順のミスが原因となった可能性があるとみて、関係者全員を検査しているという。オバマ大統領は医療機関が定められた手順を守るために追加的な措置を取るよう指示した。」と報じました.

ロイター「米CDC所長、国内初のエボラ熱感染で「対策の再考必要」」(2014年 10月 14日)によりますと,米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は、「われわれは、エボラ感染防止対策を再考する必要がある。1例の感染も容認できない。エボラ熱の対処は困難で、われわれはより安全で簡単な方法を模索している」と述べたとのことです.

ロイター「エボラ感染拡大、現実に起こり得る=米ダラス当局者」(2014年 10月 16日)によりますと,ダラス郡のクレイ・ジェンキンズ郡判事は「感染拡大は現実に起こり得る。対応をわれわれは準備している」と述べた,とのことです.

時事通信「エボラ感染者と同乗132人調査へ=医療スタッフ搭乗の米国内便―CDC」(2014年10月16日)は,「米疾病対策センター(CDC)は15日、エボラ出血熱に新たに陽性反応を示したテキサス州ダラスの病院の医療スタッフが、発症前日の13日に国内便の旅客機に乗っていたとして、同乗していた乗客132人全員を対象に15日中に接触の有無を調べる聞き取り調査を開始すると発表した。」と報じました.

このような報道に接し,エボラ熱ウイルスが空気感染型に変異したのか,などの疑問をいだく方もいるでしょう.実際,国連エボラ対策担当のアンソニー・バンベリー氏は空気感染型に変異する可能性を指摘しています.
しかし,Celine Gounder氏は,エボラ熱ウイルスが空気感染型に変異した可能性を否定しています.

Celine Gounder氏は,「インフルエンザや天然痘などは、粘液の飛沫のほか、鼻や口や気道からの分泌物から感染する。誰かが咳やくしゃみをすると(エボラの場合では嘔吐だが)、空気中に分泌物の飛沫が散らばる。これが飛沫感染を引き起こす。」と指摘し,「飛沫感染のリスクに対する注意は怠ってはならない。治療の最前線にいる人たち、特に看護師や医師には、病院内での感染をこれ以上出さないよう必要な訓練と個人用防護装備を提供すべきだろう。」と述べています.

そうすると,飛沫感染を防止する手順にミスがあったということなのかもしれません.
感染症防止の手順を完全に行うことは難しく,感染症の拡大は手順のミスによることが少なくありません.米国の対応はあまりに粗雑だったのではなかったのか,という疑問もありますが,より安全で簡単な方法に到達することを期待します.

【追記】

共同通信「エボラ熱の防護服を過剰に重ね着 院内感染の米病院」(2014年10月16日)は、次のとおり報じました.

「【ワシントン共同】米疾病対策センター(CDC)は15日、エボラ出血熱による院内感染が起きた米南部テキサス州ダラスの病院で、医療スタッフが手袋や防護服を必要以上に重ね着するなどの誤った使用例があったことを明らかにした。

 手袋は2枚重ねて装着するのが安全だが、3~4枚を重ねて着用しているケースが何件かあった。CDCのフリーデン所長は記者会見で「脱ぐのに手間取ってかえって感染リスクが高まる」と誤りを指摘した。

 CDCは、エボラ熱に感染したリベリア人男性は嘔吐や下痢が激しく、2人の女性看護師が防護服の扱いを誤ってウイルスを含む体液に触れた可能性があるとみている。」


シエラレオネで活動中のスペイン人医師ホセ・マリア・エチェバリア医師は,「感染した医療従事者の90パーセント以上(これはとても多い数です)が、防護服の着脱を正しい手順通りに行なわなかったか、適切な防護服を着用しなかった、などの人的ミスによるものです。」と述べています.
「感染予防のために使われていた個人用防護服(専門用語でPPE(Personal Protection Equipment)ですが、以下防護服とよびます)はエボラ出血熱に対して十分な防護能力がないものでした。」 「エボラに有効な防護服は周りの環境から完全に隔離されるものでなくてはなりません。1ミクロンたりとも防護されていない素肌の部分があってはならないのです。さらに手袋などは、二重にする必要があります。」
「防護服の着用以外にも予防対策はたくさんあり(塩素処理水によるスプレー洗浄、手洗い用の塩素処理水容器の各所への配置、塩素処理水による靴底消毒など)、継続的に実施されています。」
「防護服の正しい装着には10分、防護服を脱ぐのに20分から25分かかりますが、正しい手順を守り、2人の人間に立ち会ってもらわなければなりません。1人は、継続的にスプレー洗浄を行い、もう一人は手順が正確に行われているか確認するためです。」
と述べています(ハフィントンポスト2014年10月16日).

プレスビテリアン病院の記録によるとダンカン氏は感染性ウイルスに対する腎臓透析や挿管などの治療を受け,医療関係者はダンカン氏が入院してから2日間有害物対応のスーツを着用していなかった,とのことです.

【再追記】

東京新聞「エボラ熱誤診認める 米ダラス 州幹部、議会で謝罪」(2014年10月17日)は、次のとおり報じました.

 【ダラス(米南部テキサス州)=北島忠輔】エボラ出血熱で死亡したリベリア人男性の入院先の病院を管轄するテキサス州幹部は十六日、米連邦議会下院公聴会で証言し、ダラスの病院が男性に対し誤診をした上、医療スタッフの訓練を行っていなかったと認め、謝罪した。

 証言したのは州の保健部門を統括するダニエル・バルガ医師。「(男性の)症状をエボラ熱と正しく診断しなかった。初期治療でミスがあった」と述べた。さらに、治療中に女性看護師二人が感染したことについて「最初の感染者が出るまで、スタッフがエボラ熱に対処する訓練をしていなかった。適切な対処ができず、深く反省している」と陳謝した。

 病院は十六日、感染した看護師のニーナ・ファムさん(26)を首都ワシントン近郊のメリーランド州ベセスダにある米国立衛生研究所の病院へ移送した。ファムさんは、病院を通じて「私は大丈夫です。医療スタッフの力を信頼しています」とのコメントを出した。

 もう一人の院内感染者アンバー・ビンソンさん(29)は、十五日にジョージア州アトランタの病院に搬送されている。

 一方、ロイター通信によると、隔離される前日にビンソンさんが搭乗した航空機に生徒などが乗り合わせたとして、テキサス、オハイオ両州の計五つの学校が十六日、休校となった。」


WSJ「エボラ出血熱への政府対応を厳しく批判―米下院公聴会」(2014 年 10 月 17 日)は、次のとおり報じました.
 
【ワシントン】米国内で2人の医療従事者がエボラ出血熱に感染、より広い感染への懸念が広がる中で米下院は16日、公聴会を開き、民主、共和両党とも、感染が広がっている国々からの入国禁止措置を取っていないことも含め、出席した政府の公衆衛生担当者を糾弾した。

 公聴会には米国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ所長が出席、テキサス州ダラスの病院でリベリアから来たエボラ熱患者の治療でウイルスに感染した看護師のニナ・ファムさんがメリーランド州にあるNIHの診療研究所に移送されることを明らかにした。

 また、一部の議員はやはり同患者の治療で感染していたことが判明した看護師のアンバー・ジョイ・ビンソンさんが、感染判明直前に米国内を民間航空機で移動していたことを理解できないとし、オバマ政権の対応について厳しく非難した。

 共和党のフレッド・アプトン下院議員(ミシガン州)は「とにかく米国民の生命を守ることが第一だ。人命がかかっているのに(政権の)これまでの対応は受け容れられない」と痛烈に批判した。

 米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は、空路での訪米禁止措置を取っても、陸路など別の方法で入国して来る人々の発熱の有無や直近では誰と接触したかなどについてチェックすることはできないと指摘した。そうなった場合、「現在は州や自治体の担当者が、(感染国から来た人々が)自身の管轄地域に入って来た時に動向を観察するための情報提供ができているが、それができなくなる」とした。」


国連エボラ対策担当のアンソニー・バンベリー氏は(1)感染者が誰と接触したかの確認,(2)感染経路の把握,(3)感染者の管理,(4)安全な埋葬のうち一つでも達成できなかった場合,エボラウイルスの制圧に「完全に失敗すると警告しています.
WHOのブルース・エイルワード(Bruce Aylward)事務局長補は,現実的な予測値として「12月の第1週までに新規感染が週5000~1万人に達する可能性がある」との見解を述べています.

熱などの症状が出る前の潜伏期間は感染力はありませんが,発症した患者の血液や体液への接触が感染経路となります.便座からも感染する可能性があると言われています.
バイオセーフティレベル4の施設が稼働していない日本は,適切な対応ができるのかこころもとないのですが.


谷直樹

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by medical-law | 2014-10-16 01:39 | 医療

医療安全情報No.95セントラルモニタの送信機の電池切れ

公益財団法人 日本医療機能評価機構は,2014年10月15日,「医療安全情報No.95セントラルモニタの送信機の電池切れ」を発表しました.

「セントラルモニタの送信機の電池が切れていたため、生体情報がセントラルモニタに送信されず、患者の状態の変化に気付かなかった事例が4件報告されています(集計期間:2011年1月1日~2014年8月31日)」とのことです.

「事 例 1
朝、看護師は患者の血糖測定を実施し、会話を交わした。その際、心電図の送信機の電池表示は確認しなかった。1時間後に訪室した際に、顔色不良、口角から唾液様の流出液を認め、血圧測定不能であった。セントラルモニタの履歴を確認したところ、訪室する50分前より電波切れであったことが分かった。送信機の電池残量が少なくなると、セントラルモニタ画面に『電池交換』と表示され、アラーム音が「ポーン・・・」と鳴る。さらに電池切れになると、セントラルモニタ画面に『電波切れ』と表示され、送信機から生体情報が届かなくなる。モニタリングされていなかった間、夜勤看護師全員が他の患者のケアを行っており、電波切れに気付かなかった。
事 例 2
夜間、看護師は患者に睡眠導入剤を投与後、呼吸抑制が生じるおそれがあったため、SpO2の値や呼吸状態に注意していた。しかし、送信機の電池の残量表示は確認していなかった。
数時間後、看護師がセントラルモニタの画面で送信機の『電波切れ』の表示に気付き訪室
したところ、患者の呼吸が停止していた。『電池交換』の表示がされる際、セントラルモニタから20秒に1回「ポーン・・・」というアラーム音が鳴るが気付かず、『電波切れ』の表示にも気付くのが遅れた。」


電池切れはこのように致命的な事態を生じます.定期的な電池交換,電池切れへの注意はもちろんですが,このように,表示・ポーンアラーム音に気づかない状況は,それ以外の表示・アラームにも気がつかないことにもつながりますので,抜本的な対応が必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-10-16 01:06 | 医療事故・医療裁判

日弁連,秘密保護法施行令(案)等の閣議決定に対する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2014年10月14日,以下のとおり,「秘密保護法施行令(案)等の閣議決定に対する会長声明」を発表しました.

「本日、特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)の施行令(案)及び運用基準(案)等が閣議決定された。

情報保全諮問会議が本年7月に作成した同施行令(素案)及び運用基準(素案)等については、7月24日からパブリックコメントが実施され、難解な内容にもかかわらず、2万3820件の意見が提出された。情報保全諮問会議ではこれを検討し、施行令(案)及び運用基準(案)等を作成し、9月10日に内閣総理大臣に提出した。その内容は、前記の各素案とほとんど変わらないものであった。

他方、国連人権(自由権)規約委員会は7月31日、日本政府に対して、秘密指定には厳格な定義が必要であること、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰の対象から除外されるべきことなどを勧告した。

当連合会は、9月19日付けで「特定秘密保護法の廃止を求める意見書」を公表し、この法律の廃止を改めて求めたところであるが、市民の強い反対の声を押し切って成立した秘密保護法には、依然として、以下のとおり、重大な問題がある。


①秘密保護法の別表及び運用基準を総合しても、秘密指定できる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険性が解消されていない。

②秘密保護法には、違法・不当な秘密指定や政府の腐敗行為、大規模な環境汚染の事実等を秘密指定してはならないことを明記すべきであるのに、このような規定がない。

③特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある。

④政府の恣意的な秘密指定を防ぐためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要であることは国際的な常識であるが、同法が規定している独立公文書管理監等の制度にはこのような権限と独立性が欠けている。

⑤運用基準において通報制度が設けられたが、行政組織内での通報を最優先にしており、通報しようとする者を萎縮させる。通報の方法も要約によることを義務づけることによって特定秘密の漏えいを防ぐ構造にしてあるため、要約に失敗した場合、過失漏えい罪で処罰される危険に晒されている。その上、違法行為の秘密指定の禁止は、運用基準に記されているのみであり、法律上は規定されていないので、実効性のある公益通報制度とは到底、評価できない。

⑥適性評価制度は、情報保全のために必要やむを得ないものとしての検討が十分になされておらず、評価対象者やその家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また、評価対象者の事前同意が一般的抽象的であるために、実際の制度運用では、医療従事者等に守秘義務を侵させ、評価対象者との信頼関係を著しく損なうおそれがある。

⑦刑事裁判において、証拠開示命令がなされれば秘密指定は解除されることが、内閣官房特定秘密保護法施行準備室が作成した逐条解説によって明らかにされたものの、証拠開示が命じられるかどうかは、裁判所の判断に委ねられており、特定秘密を被告人、弁護人に確実に提供する仕組みとなっていない。そもそも秘密保護法違反事件は必要的に公判前整理手続に付されるわけではなく、付されなかった場合には、被告人、弁護人が秘密を知ることなく公判手続が強行される可能性が大きく、適正手続の保障は危殆に瀕する。

⑧ジャーナリストや市民を刑事罰の対象としてはならないことは、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則であるツワネ原則にも明記されており、アメリカやヨーロッパの実務においても、このような保障は実現されているが、国際人権(自由権)規約委員会からも同様の指摘を受けたことは前述したとおりである。

当連合会は、本年8月22日付けで運用基準(案)に対するパブリックコメントを提出し、法令違反の隠蔽を目的として秘密指定してはならないとしている点について、「目的」を要件にすることは不当であり、違法行為そのものの秘密指定を禁じるべきと主張した。これに対して、政府は、運用基準(素案)を修正し、行政機関による違法行為は特定秘密に指定してはならないことを明記した。これは、今後ジャーナリストや市民が違法秘密を暴いて摘発されたときには、無罪を主張する法的根拠となりうるものとして評価できるが、本来、法や政令において定めるべきことである。

また、独立公文書管理監職は一名しかおらず、特定秘密の閲覧や秘密指定解除の是正勧告等の権限を有する者であるから、その独立性及び権限行使の的確さが強く求められるところ、どのような者が担当となるかについて政府は全く明らかにしていない。加えて、①独立公文書管理監を補佐する情報保全監察室のスタッフの秘密指定機関へのリターンを認めないこと、②すべての秘密開示のための権限を認めること、③内部通報を直接受けられるようにすることなど、運用基準(素案)の修正により容易に対応できたが、これらの意見は修正案に採用されなかった。政府は恣意的な秘密指定がなされないような仕組みを真剣に構築しようとしているのか、極めて疑問である。

市民の不安に応え、市民の知る権利と民主主義を危機に陥れかねない特定秘密保護法をまずは廃止し、国際的な水準に沿った情報公開と秘密保全のためのバランスの取れた制度構築のための国民的議論を進めるべきである。」



谷直樹

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by medical-law | 2014-10-16 00:25 | 弁護士会

シンポジウム「考えよう「医療基本法」~日本医師会の具体的提言を受けて」

患者の声協議会,東京大学医療政策実践コミュニティー(H-PAC)医療基本法制定チーム,患者の権利法をつくる会の3団体主催のシンポジウム「考えよう「医療基本法」~日本医師会の具体的提言を受けて」が,今度の日曜日,中央大学駿河台記念館で開かれます.

基調報告「日医案と三団体共同骨子の共通点・相違点」
前田哲兵氏(H−PAC医療基本法制定チーム:弁護士)

シンポジスト
今村定臣氏(日本医師会常任理事)
鈴木勝彦氏(日本医師会医事法関係検討委員会委員長)
伊藤雅治氏(患者の声協議会:全国訪問看護事業協会会長)
高島尚子氏(H−PAC医療基本法制定チーム:日本看護協会)
小林洋二氏(患者の権利法をつくる会:弁護士)

コーディネーター
埴岡健一氏(患者の声協議会:東京大学公共政策大学院特任教授)

日時 2014年10月19日(日)14時〜17時
場所 中央大学駿河台記念館370号室(JRお茶ノ水駅聖橋口、東京メトロ新御茶ノ水駅徒歩3分)
参加費 無料
主催 患者の声協議会,東京大学医療政策実践コミュニティー(H-PAC)医療基本法制定チーム,患者の権利法をつくる会

【追記】

医療介護CBニュース「医療基本法、患者権利を医療者が擁護へ-「患者権利法つくる会」などがシンポ」(2014年10月20日)は,次のとおり報じました.

患者の権利法をつくる会などは19日、東京都内で医療基本法(仮称)についてのシンポジウムを開催した。同法は、患者の権利ばかりが強調されるとの一部の医療提供者の誤解を解くために、患者が権利を主張するのは医療提供者に対してではなく、国や地方自治体で、法制化を提案する際には、患者の権利を医療提供者が擁護するという構図を前面に打ち出す方針を確認した。今後、国民的な議論を盛り上げ、与野党国会議員に働き掛けていく。【君塚靖】

 このシンポジウムは、患者の権利法をつくる会、医療政策実践コミュニティー(H-PAC)医療基本法制定チーム、患者の声協議会の3団体が主催した。今年4月に日本医師会(日医)が、医療基本法についての具体的な提言をしたことを受け、3団体が2012年4月にまとめた「医療基本法共同骨子案」との内容を比較・検証し、どのように要請活動を続けていくかを検討するために開いた。

 シンポジウムは、3団体案と日医案の比較から始まった。両案は目的や基本理念のほか、医療の質と安全の確保、機会の平等などで共通点が多く見られたものの、医療提供体制の充実といった個所で相違があった。3団体案が「診療科や地域による偏在を是正」などとしている一方、日医案には偏在是正については明記しておらず、類似する個所を探すと、「資源配分のあり方の検討等が問題となる」としている。これらの比較を踏まえ、シンポジウムのコーディネーターを務めた患者の声協議会の埴岡健一さんは、「小異を捨てて大同に就く」との表現を用いて、日医との連携を提案した。

 この日のシンポジウムには、日医から今村定臣常任理事らが招かれた。両案の比較を受け、今村氏は「医療基本法は、医療に関する個別の法律に、横串を刺すために必要。政策決定プロセスに国民、患者の視点を反映させるのは当然」と強調した。日医では、日医が推薦した自民党の羽生田俊参院議員を中心に国会議員に働き掛け、来年の通常国会への同法案提出を目指している。

 講演会では弁護士で患者の権利法をつくる会の小林洋二さんが、患者が必要な医療を受ける権利のイメージを示した上で、「患者の権利についてのわたしたちの考えは、医療提供者に対する権利ではない」と説明。これに対し、日医案を取りまとめた鈴木勝彦・静岡県医師会顧問は、「腑に落ちる考え。患者の権利は、あくまで国などに向かうものであって、医療提供者はそれを擁護する立場であることを強調していきたい」と賛同した。

 一方、患者の声協議会の伊藤雅治さんは、「医療制度の根幹について、国民的同意がますます必要になる」とした上で、「医療基本法には、政策決定に国民参加が必要という一行を入れるべき」と強調。また、看護師で、H-PAC医療基本法制定チームを代表して発言した高島尚子さんは、「これから医療提供体制の議論をする中では、限られた財源をどこに重点的に配分していけばいいのかや、患者側ならフリーアクセス、医療提供者側なら自由標榜制といった双方の自由度をどう考えるかも論点になる」と指摘した。」

谷直樹

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by medical-law | 2014-10-15 22:39 | 医療

感染症改正、全ての感染症について都道府県知事の権限で患者や医療機関に血液など検体の採取提出を命じる

NHK「エボラ出血熱に備え感染症法改正案決定」(2014年10月14日(は、次のとおり報じました.

「エボラ出血熱に備え感染症法改正案決定
西アフリカを中心にエボラ出血熱による死者が増え続けるなか、政府は、14日の閣議で、国内で感染が疑われる患者が出た場合に備えて、都道府県が本人や医療機関の同意がなくても検査に必要な血液や尿などを採取できるとした、感染症法の改正案を決定しました。

WHO=世界保健機関によりますと、エボラ出血熱に感染、または感染した疑いで死亡した人は、西アフリカを中心に4000人を超えています。
こうしたなか、政府は、14日の閣議で、国内で感染の疑いのある患者が出た場合に備えて、感染症法の改正案を決定しました。
改正案では、エボラ出血熱や鳥インフルエンザなどの危険性が高い感染症に感染した疑いがある場合に、都道府県は患者や医療機関の同意がなくても検査に必要な血液や尿などを採取できるとしています。
また、国内でおよそ70年ぶりに感染が確認されたデング熱について、都道府県は検査に必要な血液などの採取を患者や医療機関に要請できるとしています。政府は、感染症法の改正案を今の臨時国会で成立させたいとしています。」


エボラ出血熱に備えと報じられていますが、改正法では、すべての感染症で血液等の検体の提出が命じられることになります.人権侵害のおそれがあるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2014-10-15 02:25 | 医療

救急車で病院に搬送された小児の遺族が奈良県広域消防組合相手に葛城簡裁に調停申立て(報道)

毎日新聞「男児死亡:救急搬送で調停申し立て 奈良・葛城簡裁」(2014年10月14日)は、次のとおり報じました. 

「重い心身障害のある奈良県田原本町の山本瑛央(あきお)さん(当時11歳)が昨年8月に自宅で容体が急変し、救急搬送直後に死亡したことを巡り、母親のめぐみさん(39)が14日、救急搬送の際に使われた人工呼吸器のサイズが合わないなど処置に問題があったとして、県広域消防組合に損害賠償を求める調停を葛城簡裁に申し立てた。

 瑛央さんは気管軟化症など重度の障害があり、生後3年間にわたって入院。2005年に退院し、めぐみさんが自宅で介護してきた。昨年8月4日に呼吸困難に陥り、磯城消防署の救急車で大学病院に搬送されたが、翌5日未明に脱水症で死亡した。

 めぐみさんは救急車に同乗しており、申立書で「瑛央さんの身長は90〜100センチほどだが、救急隊員は大人用の人工呼吸器を使い、気管につないだ管が外れることもあった」と指摘。酸素を十分供給できなかった可能性があると主張している。

 05年の退院前に主治医が同署に症状などを説明していたといい、めぐみさんは「真相を解明し、在宅医療と救急の連携など今後の再発防止につなげたい」と話している。

 組合は「申立書を見ていないのでコメントできない」としている。【芝村侑美】」


バッグバルブマスク人工呼吸器には、成人用、小児用など各種サイズがあります.
救急隊員が小児用を使わなかったことから、この調停申し立てとなったのでしょう.

また、朝日新聞「救急車遅れ、遺族に解決金 札幌市消防局」(2014年10月14日)は、次のとおり報じました.

「誤って別人宅へ出動

 札幌市で2011年、市消防局の救急車が同市南区の男性宅への到着が遅れ、その後男性が亡くなった。遺族が同市に慰謝料300万円の支払いを求めて提訴し、札幌地裁で9日、和解が成立した。遺族側の代理人弁護士が10日発表した。市が遺族に解決金15万円を支払い、到着が遅れたことを謝罪…」

救急車の取り違ミス等による遅れは時々報じられますが、そのことと悪しき結果との因果関係がはっきりしないことが多いため訴訟にはならないのですが、ミスですから、本件のように時々謝罪し解決金を支払うことで解決できるとよいですね.


谷直樹

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by medical-law | 2014-10-15 01:26 | 医療事故・医療裁判