弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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八戸の直販所

先週,青森地裁八戸支部の期日のため,八戸市に行きました.
前回来たときは厳寒の季節でしたが,暖かくなり,爽やかな風が心地よかったです.
新幹線八戸駅ビルを下りたところに直販所があります.りんごは種類が豊富で,東京では買えない珍しい品種もありました.裁判記録で鞄が重いのですが,りんごを2袋も買ってしまいました.
また,葉っぱ類もあり,これも新鮮で安いので購入しました.事務所に戻って夕食時のサラダにしました.しっかり苦み,甘みがあり,満足できました.

原告から事前に医学意見書をだしていたのですが,被告がそれに対抗する医学意見書をだすかは今回の期日では答えていただけず ,次回期日5月22日になりました.
医療裁判は時間がかかります.

 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-22 08:46 | 日常

東京三弁護士会多摩支部らが東京地方裁判所立川支部の本庁化を要望

毎日新聞「要望書:地裁立川支部の本庁化へ 三弁護士会など」(2015年3月21日)は、次のとおり報じました.

「東京三弁護士会多摩支部と八王子など7商工会議所は20日、東京地裁立川支部の本庁化を求める要望書を法務省と最高裁判所に提出した。 」

下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律第一条は、 「別表第一表の通り高等裁判所を、別表第二表の通り地方裁判所を、別表第三表の通り家庭裁判所を、別表第四表の通り簡易裁判所をそれぞれ設立する。」と定めています.
別表第二表で名称「東京地方裁判所」の所在地「東京都」と定められています.「東京地方裁判所立川支部」を本庁化するには、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律別表第二表を法律改正する必要があります.たとえば名称「多摩裁判所」、所在地「立川市」と別表第二表に加える必要があります.
都道府県ごとに1地方裁判所という現行ルールの原則(広大な北海道は例外です)を崩す法改正になりますので、根本的な考え方から再検討する大改正になります.はたして,実現可能性はどの程度あるのでしょうか.
問題が取り扱い件数に比して裁判官の人数が少ないことにとどまるのであれば、裁判官の配置について要望し増員で対応いただくのが現実的ではないでしょうか.
法改正をめざすなら、魁より始めよと言いますので、東京三弁護士会の多摩支部からの要請ではなく、新たに多摩弁護士会(仮称)を設立し,多摩弁護士会から要請することも考えられるでしょう.(弁護士会会費を東京三弁護士会より安くすれば,移籍する弁護士は結構いると思います.)

東京地方裁判所本庁は、医療集中部がありますが、東京地方裁判所立川支部には医療集中部がありません.
もし東京地方裁判所立川支部が本庁化されると、東京地方裁判所への回付ができなくなります.
もし東京地方裁判所立川支部が本庁化されると、支部の管轄事件を本庁に提訴することができなくなります.
そこで、もし本庁化されるなら、医療集中部を設置していただきたい、と思います.

最近,立川支部民事部には東京高裁から元最高裁裁判所調査官の瀬戸口壯夫判事(司法修習38期,早稲田大学)が,立川支部刑事部には東京地裁から元司法研修所教官の大善文男判事(司法修習38期,早稲田大学)がそれぞれ異動になりました.
最高裁は,立川支部の人事については十分配慮しているように思います.


 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-22 02:04 | 司法

和泉式部忌

今日3月21日は,和泉式部忌です.今年は,誠心院の寺伝によれば没後1001年目になります.

あらさらむ このよのほかの おもひてに いまひとたひの あふこともかな(後拾遺和歌集)
百人一首にもとられている歌です.
冒頭の,在る=生きていることを「ざらむ」で否定推量してはじまります.「もがな」は実現を願う終助詞です.死が近いはずなのに,恋情が弱まることはありません.

よのなかに こひてふいろは なけれとも ふかくみにしむ ものにそありける(後拾遺和歌集)
恋という色はないのに深く身に染みる...浮かれ女と呼ばれた和泉式部らしい歌です.

をとこにわすられて侍りけるころ貴船にまゐりて御たらい川に蛍のとび侍りけるを見てよめる
ものおもへは さはのほたるを わかみより あくかれにける たまかとそみる(後拾遺和歌集)
貴船神社,川,蛍...きれいな情景です.蛍=魂というところは『細雪』にも影響を与えています.

くろかみの みたれもしらす うちふせは まつかきやりし ひとそこひしき(後拾遺和歌集)
後拾遺和歌集の選者は若い藤原通俊でした.和泉式部の激しい歌が数多く選ばれています.

ひとはゆき きりはまかきに たちとまり さもなかそらに なかめつるかな(風雅和歌集)
風雅和歌集は,後拾遺和歌集とは趣が違います.霧がま垣にとどまっている情景のなか中空を眺めている姿に余韻を感じます.

1000年以上前の歌で,結婚の形態は今とはちがいますが,よまれた心象風景は今と共通するものがあります.


 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-21 07:14 | 趣味

辻留の弁当

昨日,新幹線の京都駅構内で辻留の弁当を買うことができました.1日3個限定で,最後の1つを買えたのは幸運でした.
有名料亭の弁当の中には,高級食材で目を引くものがありますが,辻留の弁当には,そのような見た目の派手さはありません.普通の食材で普通の料理ですが,美味しさでは料亭弁当中群を抜いているのではないでしょうか.
ただ,びっくりするような味を期待すると,落胆するでしょう.当たり前の美味しさなのです.香り高いお花見弁当であっても,堅実で丁寧な質の高い仕事をしていることがわかります.

患者側弁護士の仕事は,こつこつと地味な努力を重ねる手作りの仕事です.
被害者のための仕事ですので高い敷居を設けたくはありませんが,さりとて,着手金無料・低料金でむやみに数を集めようとは思いません.患者側弁護士として堅実で丁寧な質の高い仕事をしていきたいからです.

 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-20 05:28 | 日常

大津地裁で8学会の「『早期母児接触』実施の留意点」を無視して行われた早期母児接触の第1回期日

今日,大津地裁での第一回期日に出頭しました.
8学会の「『早期母児接触』実施の留意点」を無視して行われた早期母児接触実施による事故の賠償を求める医療訴訟です.

平成25年4月9日に,出産直後の母親に対し,男児と横臥位で添い寝させ,早期母子接触を実施しながら,人的監視措置・機械的監視措置はまったくとられなかった事案です.
この早期母子接触は,説明も同意もなく,被告が「よかれと思って」実施したものです.

陣痛発来から出産まで1日以上を要し,その間母親はほとんど睡眠をとれていませんでした.出産時刻も深夜でした.母親は疲労困憊していました。母親は,初産婦で,これが早期母児接触であること,危険性があること等について説明を受けていませんでした.そのため,母親は,男児の状態について判断できる知識をもっていませんでした.また,男児は,フード,おくるみ,毛布によりほぼ全身が覆われており,皮膚色の観察等が困難な状態でした.このような状態のなかで,約30分の間に,男児は,心肺停止となり,新生児低酸素性虚血性脳症を原因とする脳性麻痺に因る重度の障害を負いました.

早期母子接触(いわゆるカンガルーケア)の事故が相次ぎ,日本周産期・新生児医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本小児科学会,日本未熟児新生児学会,日本小児外科学会,日本看護協会,日本助産師会は,平成24年10月17日,「『早期母児接触』実施の留意点」を発行しました.
「『早期母児接触』実施の留意点」には,「早期母子接触が行われる出生後早期は、胎児から新生児へと呼吸・循環の適応がなされる不安定な時期でもある。」「生後早期は不安定な時期であるとの認識は持たなければならない。」「早期母子接触を実施しない選択肢も考慮すべきである。」と記載されています.
特に、早期母子接触を実施する時は、母親に児のケアを任せてしまうのではなく、スタッフも児の観察を怠らないように注意する必要がある。」とし,「パルスオキシメーターのプロープを下肢に装着するか、担当者が実施中付き添い、母子だけにはしない」こと等が具体的に書かれています。

本件は,この8学会の「『早期母児接触』実施の留意点」を無視して行われたために起きた事故と考え,提訴しました.

第1回期日に,被告は,簡単な答弁書をだして欠席しました.訴状に対する実質的な反論は,第2回期日になります.第2回期日は5月7日午後2時と指定されました.


【追記】

産経新聞「カンガルーケアで長男が障害」両親が訴え 学会が注意点公表後初めて 大津地裁」(2015年3月20日)は,次のとおり報じました.

「出産直後に母親が素肌を密着させて子供を抱く「カンガルーケア」で長男(1)が重度の脳障害を負ったとして、滋賀県草津市に住む両親が、同市で医院を経営する医療法人に損害賠償を求めた訴訟が大津地裁であり、第1回口頭弁論が19日開かれた。被告側は全面的に争う構え。

 訴状によると、母親は平成25年4月、分娩のためこの医院にかかり、出産直後に「カンガルーケア」として分娩室で長男に授乳などをしていた際、医院側が呼吸管理や観察をしなかったため、長男が重度の脳障害を負ったとしている。原告は現時点で160万円の賠償を求め、症状が固定すれば賠償額を確定する。

 カンガルーケアをめぐっては、日本周産期・新生児医学会など8団体が24年10月、新生児の急変に備えるため、新生児蘇生法の研修を受けた医療スタッフを分娩施設内に常置させるなどの注意点を公表。各地でカンガルーケアをめぐる訴訟が相次いでいるが、学会の注意点公表以後のケースでの提訴は初めて。」


毎日新聞 「カンガルーケア:障害で賠償請求 地裁初弁論 /滋賀」(2015年3月20日)は,次のとおり報じました.

「出産直後に母親が肌を合わせて新生児を抱く「カンガルーケア」で障害が残ったとして、草津市の男児(1)と両親が、市内の医療法人を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こした。19日に大津地裁(山本善彦裁判長)で第1回口頭弁論が開かれ、医療法人側は請求棄却を求めた。
 訴えなどによると、母親(33)は2013年4月、医療法人が経営する市内の産婦人科医院で男児を出産。男児...」


 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-19 19:35 | 医療事故・医療裁判

宮崎地裁平成27年3月18日判決,宮崎のカンガルーケア訴訟病院側勝訴(報道)

毎日新聞「新生児抱っこ:残る障害「病院は放置したといえない」判決」(2015年3月18日)は,次のとおり報じました.

「出産後に抱かせる「カンガルーケア」などで病院が新生児を母親に預け放置したため重度の障害が残ったとして、宮崎県の両親が県内の病院に計約2億1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、宮崎地裁であった。末吉幹和裁判長は「病院は必要な介助をしており、放置したとはいえない」と請求を棄却した。両親側は控訴する方針。
 判決によると母親は2009年8月20日、帝王切開で女児を出産。約2時間後から病院の産後措置で、母子が一緒にベッドで過ごした。出産から約12時間後、女児が心肺停止状態になっており、「低酸素性虚血性脳症」と診断され自発呼吸ができない状態となった。
 末吉裁判長は、看護師が途中で授乳介助をするなどしており、病院側の注意義務違反はないと判断した。
 判決後、両親は「とても子供を見られる状態でなく、棄却理由が分からない」と話した。病院側は「主張が認められたことはうれしいが、女児の回復を祈りたい」とコメントした。【菅野蘭】」

私は,このえびの市の事件を担当しておらず,上記報道の範囲でしか知りませんが,「必要な介助」の内容として具体的に何を認定するか(義務の範囲の認定)がポイントになると思います.

ところで,カンガルーケアの訴訟を担当している弁護士グループとは別に,私もカンガルーケアの訴訟を担当しています.
今日午後1時20分に大津地裁で開かれる第一回口頭弁論に出頭します.
私が依頼されているのは,2013(平成25)年4月の事案です.
日本周産期・新生児医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本小児科学会,日本未熟児新生児学会,日本小児外科学会,日本看護協会,日本助産師会は,2012(平成24)年10月17日に,「『早期母子接触』実施の留意点」を公表しています.大津地裁の事案は,この「『早期母子接触』実施の留意点」が参考になる事案です.

【追記】
 えびの市のカンガルーケア訴訟は,平成27年10月14日の福岡高裁宮崎支部判決も病院側勝訴でしした.


  谷直樹

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by medical-law | 2015-03-19 03:09 | 医療事故・医療裁判

真の「障害」は,社会の側にあるのであって,障害者の側にあるのではない

「真の「障害」は,社会の側にあるのであって,障害者の側にあるのではない」
これは,内田博文九州大学名誉教授の名言です.
差別の本質を衝いた名言だと思います.
ハンセン病を理由とする差別は,差別した側の問題を浮かび上がらせます.

最高裁判所の「ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査委員会」は,福岡高裁内で,内田博文九州大学名誉教授に聞き取り調査を行いました.最高裁の調査官が内田博文九州大学名誉教授の言葉を傾聴したことは意義深いことです.

「調査班の大須賀寛之・最高裁総務局第1課長は聞き取り後、取材に「行政の隔離政策をめぐる背景や根深い差別意識について説明を受け、興味深かった」と述べた。」共同通信〕そうです.
大須賀寛之判事は,修習49期で,最高裁人事局付,最高裁広報課付の経歴もあり,現在は「最高裁総務局第1課長・広報課付」です.


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by medical-law | 2015-03-18 00:45 | 人権

鳥取県、うつぶせ寝死亡事案に関連し認可外保育施設への規制権限不行使で提訴される(報道)

西日本新聞「乳児死亡の親、鳥取県提訴 保育施設への規制怠ると主張」(2015年3月16日)は、次のとおり報じました.

 「鳥取県倉吉市の認可外保育施設で2011年、うつぶせ寝をしていた後に呼吸停止となり、死亡した女児=当時11カ月=の両親が、施設への規制を怠ったため事故が起きたとして、県に140万円の損害賠償を求め、鳥取地裁に提訴したことが16日、分かった。
 施設は医療法人共済会「清水病院」に併設した病院関係者用の託児所。両親は、保育士が注意を怠ったとして、病院側に損害賠償を求めて昨年、既に提訴している。
 両親は、人員配置の不備やうつぶせ寝による窒息の危険を県は把握していたのに、規制権限を行使しなかったと主張。県は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。」


 うつぶせ寝死亡事案は少なくありませんが、本件は行政の規制権限不行使に基づく訴訟ということで、注目したいと思います.認可外保育施設への規制権限不行使は鳥取県に限りませんので、影響も大きいのではないか、と思います.
 なお、140万円までの請求が簡易裁判所の管轄で、140万1円以上の請求が地方裁判所の管轄です.


  谷直樹

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by medical-law | 2015-03-17 06:41 | 司法

日本病院会のアンケート,院内事故調査報告書を遺族へ手渡すべきが73.9%

一般社団法人日本病院会のサイトで「平成26 年度医療安全に係わる実態調査報告書(抜粋)」を読むことができます.
アンケートは,日本病院会加盟医療機関2399施設に送り,平成26 年10 月3 日〜11 月28 日に892 施設が回答したとのことです.

◆ 調査報告書の扱い

「原因分析報告書を作成したとする回答が84.3%を占めた。」「原因分析報告書を作成したとする回答のうち、個人情報等を匿名化して「報告書の概要」を公表しているとする回答が20.6%、公表していないとする回答が79.4%であった。」とのことです.
他方で,「院内事故調査の結果、「報告書」を、遺族へ渡すことについて、「当然手渡すべきである、匿名性を配慮した上で手渡すべきである」が73.9%であったのに対して、「説明を十分に行うので手渡さなくてもよい」は13.2%であった。」とのことです.

院内事故調査の結果である「報告書」を遺族へ渡すべきと考えるほうが70%を超えますので一般的と言ってもよいでしょう.
厚労省の検討会では,責任追及に利用されることを懸念し報告書を遺族に渡すべきではないという意見が一部の委員から強硬に主張されていましたが,その意見は普通の病院の一般的な考え方とは異なるものであったことが分かります.

◆ 説明について

「原因究明の結果を患者・家族に説明したとする回答が78.3%を占めた。説明していないとする回答は15.7%であった。」とのことです.
「院内事故調査の結果説明について、「院内調査委員会からの説明会の開催は必要である」が83.5%であった。「報告書を渡すので説明会の開催は不要である」が13.1%であった。」とのことです.

報告書を渡し,報告書に基づいて説明するのが,病院の一般な考え方と言ってよいでしょう.

また,「院内事故調査の結果説明を行う説明会における遺族等からの質問の取り扱いについて、「質問があれば、期限を定めて後日文書で行う」が52.2%、「自由に質問を受け付け、その場で答えられることには答える」が44.4%であった。「報告のみとし、質問は一切受け付けない」とした回答はほとんどなかった。」とのことです.できるかぎり質問に答えるようとする病院が多数です.

厚労省の検討会における一部の委員の強硬・極端な意見は,病院の一般的な意見ではなかった,ということが分かります.

  谷直樹

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by medical-law | 2015-03-16 04:05 | 医療事故・医療裁判

武雄市,腹腔鏡での胆のう摘出手術における胆管の一部損傷で示談(報道)

佐賀新聞「旧市民病院で医療過誤 武雄市 1976万円賠償で示談」(2015年3月14日)は,次のとおり報じました.

「武雄市の旧市民病院で、市内在住の女性が腹腔鏡で胆のう摘出手術を受け、内臓の一部を損傷させていたことが分かった。女性は肝機能が低下し、完治しないまま死亡した。市は女性側と示談で損害賠償額1976万円で折り合い、13日、開会中の議会に賠償額を決める議案を提出した。

 医療事故は、60歳代の女性が胆石症を発症し、2009年7月、腹腔鏡で胆のう摘出手術を受けた。その際に誤って胆管の一部を損傷させ、肝機能の低下を招いた。完治しないまま、入退院を繰り返していたが、14年3月に亡くなった。肝機能の低下だけが死亡原因ではないことは、市と女性側とで合意した。」


腹腔鏡で胆のう摘出手術を行う医師には,臓器を傷付けないよう愛護的な操作を行う注意義務があります.腹腔鏡での胆のう摘出手術における胆管の損傷は,不可避ではなく,愛護的な操作で回避できたはずです.なお,裁判では,愛護的な操作について具体的な特定を求められることがありますが,術中ビデオ等がないと特定は難しいことが多いように思います.そのような特定が難しい場合でも,胆管の一部を損傷させたことから,愛護的な操作に欠けるところがあった事実が一応推定されるのではないか,と思います.報道の事案は,おそらく医師の過失を認定できる事案でしょう.
胆管の一部を損傷したことで肝機能が低下した因果関係は,容易に認定できるでしょう.
完治しないまま死亡したとの報道ですので症状固定前の死亡となりますし,肝機能の低下が死亡に全く影響していないと判断するのは困難であるとすると,損害額の具体的な算定については争いが生じるところでしょうが,双方歩み寄りによる示談解決が適切な事案と思います.

  谷直樹

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by medical-law | 2015-03-15 05:31 | 医療事故・医療裁判