弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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寺田逸郎最高裁判所長官の「憲法記念日を迎えるに当たって」から読みとれること

寺田逸郎最高裁判所長官の「憲法記念日を迎えるに当たって」は、大変興味深い内容です.

「社会の法的ニーズに的確に対応できる安定した基盤を築きあげることがいまの裁判所に求められていると,あらためて思います。」

安定した基盤ということは、人的基盤の充実、法曹の増員ということでしょうか.

「司法制度改革は,(中略)改革の内容を着実に実施し深化させる時期にあるでしょう。」

個別にみると達成度に高低がありますが、2001年6月の司法制度改革審議会の最終意見書を受けての司法制度改革に変更はなさそうです.

「今後も,裁判所の判断が社会経済や国民生活に大きな影響を及ぼす事件や,国際的なスケールで発生する紛争について,司法による解決が求められ,家族のありようの変化に伴い,解決困難な家族関係紛争が司法の場に持ち込まれることが一層顕著となるでしょう。我々は,このような社会の要請に的確にこたえられるよう,事案の実相への理解に欠けることなく,広く納得の得られる判断を示すことができるように,努力していきたいと思います。」

「裁判所の判断が社会経済や国民生活に大きな影響を及ぼす事件」国際的なスケールで発生する紛争」についても積極的に判断するという趣旨でしょう.とくに、家族関係紛争については、裁判所の積極的な姿勢がうかがえます.
「事案の実相への理解に欠けることなく,広く納得の得られる判断」となると、違憲判決以外にないでしょう.

「7月には,最高裁として,アメリカ合衆国連邦最高裁のロバーツ長官を招へいする予定であり,また,11月には,アジア太平洋最高裁判所長官会議がシドニーで開催され,アジア太平洋地域での最高裁判所長官等が一同に会して意見交換をすることが予定されていますが,これらの機会においても,日米を含むアジア太平洋地域での国際的な司法交流を通じて「法の支配」の理念を国際的に浸透させていくことについて話合いが行われるものと期待しています。」

ロバーツ・コートは、判決内容は保守派寄りですが、司法積極主義です.
寺田コートは、司法積極主義方向へ一歩踏み出すのでしょうか.
また、現実には難しいでしょうがもし最高裁の裁判官が合議を英語で行えば(つまり、英語で考えれば)、曖昧な日本語の表現に逃げること(例えば「違憲状態」と「違憲」の使い分け)ができず、理路整然とした論理的な判決になるのではないかと思います.
最高裁判所が国際的な司法交流を意識するなら、せめて最高裁判決を英文で公表していただきたいと思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-05-03 02:08 | 司法

公立大学法人福島県立医科大学産科婦人科学教授が倫理委員会の承認を得ず患者の手術記録を研究に使用

公立大学法人福島県立医科大学は,2015年5月1日,「「臨床研究に関する倫理指針」不適合について」をサイトに掲載しました.

福島民報「福島医大、患者の手術記録を承認得ず使用」(2015年5月1日)は,次のとおり報じました.

「福島医大は30日、産科婦人科学講座の××××教授らが子宮筋腫患者の手術記録を学内の倫理委員会の承認を得ず、研究に使用したと明らかにした。同大は国の臨床研究に関する倫理指針に適合しない研究だとして、処分を検討する。
 研究を担当したのは××教授と30代男性助手。2人は平成24~26年度に付属病院で3D内視鏡や高感度内視鏡を使い、子宮筋腫を手術した46人分の記録から、従来の内視鏡を用いた症例と比較するため、出血量や手術時間、腫瘍の大きさなどを研究データとして抽出。26年には研究結果を3回にわたり、学会で発表した。
 同大では国の倫理指針に基づき、研究者が患者記録を研究に用いる際には学内の倫理委員会に申請し、承認される必要があるが、××教授らは申請していなかった。××教授は「申請は必要ないと認識していた」と話しているという。
 同大は研究に協力した患者全員に文書で謝罪。再発防止策として倫理講習会(年2回)の受講範囲を事務職員に広げることなどを決めた。同大研究推進課は「事態を真摯(しんし)に受け止め、研究倫理の一層の徹底を図る」としている。」




 教授らに特段の悪しき意図はなく,臨床研究のルールについての認識が誤っていただけなのかもしれません.その背景には,患者は治療のために手術を受けたのであって臨床研究の比較のために手術を受けたのではないので配慮と手続きが必要,という或る意味通常の感覚を欠如していたのかもしれません.


谷直樹


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by medical-law | 2015-05-02 07:04 | コンプライアンス

「スタンド・バイ・ミー」

弁護士クリスが刺殺された新聞記事をみた作家ゴーディが少年時代を回想する.
2人の少年時代は,家庭的に辛く,孤独でした.
ぼっちゃりのバーン,メガネのテディをふくめた少年4人組は,死体探しの冒険にでる.
蒸気機関車が走る50年代アメリカの田舎町を舞台とする素敵な映画.
それが「スタンド・バイ・ミー」です.

ベン・E・キング氏の歌う「スタンド・バイ・ミー」がぴったりでした.
ベン・E・キング氏の御冥福をお祈り申し上げます.

谷直樹


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by medical-law | 2015-05-02 05:36 | 趣味

2015年のがん罹患数予測98万例(10万例増加,大腸癌・前立腺癌増加),死亡数予測37万人

2015年のがん罹患数予測98万例、死亡数予測37万人。これは,国立研究開発法人国立がん研究センターが2015年4月28日に発表した予測数字です.

罹患数(新たにがんと診断されるがんの数)は,大腸がん,肺がん,胃がん,前立腺がん,乳がん(女性)でトップ5で,6位以下を大きく引き離しています.とくに,大腸がんと前立腺がんが増加傾向にあります.前立腺がんのPSA検診の普及が要因のようです.
死亡数(がんで亡くなる人の数)は,肺がんが断トツの1位です
2位の大腸がんと3位の胃がんの差はわずかです.そこから離されて4位の膵臓がんと5位の肝臓がんがあります.

当事務所のがんの見逃しの法律相談でも,肺がんは多いです.


谷直樹


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by medical-law | 2015-05-02 00:18 | 医療

「タバコ規制をめぐる法と政策」

田中謙先生から「タバコ規制をめぐる法と政策」(日本評論社,2014年8月刊)をいただいていたので,最近になって読みました.
目次は次のとおりです.

序章 本書の射程とタバコの特徴
 1 本書の射程
 2 タバコの特徴

第1章 「喫煙の自由」と「非喫煙者の権利」
 1 はじめに
 2 「喫煙の自由」
 3 「非喫煙者の権利」
 4 「喫煙の自由」と「非喫煙者の権利」の関係
 5 おわりに

第2章 タバコ問題の特徴とタバコ規制の必要性
 1 はじめに
 2 タバコ問題の特徴
 3 タバコ規制(タバコに対する行政的規制)の必要性
 4 おわりに

第3章 タバコ規制の法システム
 1 はじめに
 2 タバコ規制枠組み条約の概要
 3 タバコ規制をめぐる国内法の法システムの概要
 4 タバコ規制をめぐる法システムの問題点
 5 おわりに

第4章 タバコ訴訟
 1 はじめに
 2 タバコ訴訟の動向
 3 タバコ訴訟における裁判所の考え方
 4 タバコ訴訟における裁判所の考え方の検討
 5 タバコ訴訟をめぐる今後の課題
 6 おわりに

第5章 タバコ規制をめぐる今後の法制的課題
 1 はじめに
 2 受動喫煙防止施策
 3 未成年者喫煙防止施策
 4 喫煙者減少施策
 5 タバコ規制をめぐる抜本的な改革
 6 おわりに

田中謙先生の御専門は行政法ですので,規制目的と手段という観点から書かれています.
本書は,随所に「考えてみよう」欄があり,問いかけに対し,この問題設定は違うなとか,この答えは自分ならこうだ,とか考えてから,読めるようになっています.そのため,難しく感じることなく読み進めることができます.

谷直樹


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by medical-law | 2015-05-01 23:49 | タバコ