弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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艸心忌

図書館の前に沈丁咲くころは恋も試験も苦しかりにき

慶應義塾大学三田山上にある歌碑に,学生時代の吉野秀雄氏の歌が刻まれています.

死をいとひ生をもおそれ人間のゆれ定まらぬこころ知るのみ

これは,鎌倉二階堂の瑞泉寺にある吉野秀雄氏の歌碑です.

今日7月13日は,吉野秀雄氏の忌日,艸心忌です.

瑞泉寺の庭園は,夢窓国師の作です.上下二段構えなのは,その後の天龍寺の曹源池庭園,西芳寺(苔寺)の庭園と共通です.
この季節,花の寺瑞泉寺に足を運ぶのもよいと思います.

谷直樹


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by medical-law | 2015-07-13 03:26 | 日常

医療側が無関係の他の患者の診療記録を証拠提出することについて

医療訴訟で,被告(医療側)が無関係の他の患者の診療記録を証拠提出してくることがあります.

提出しようとする診療記録の患者に,他人の医療訴訟に証拠提出することを伝え,同意を得た,というのではないようです.患者は,自分の診療記録が,他人の医療訴訟のため裁判所に証拠提出されていることを知らないものと考えられます.
被告(医療側)は,個人が特定されないようにしていますが,他の患者の訴訟に利用することを明記して,個人情報を取得,保管しているわけではないのですから.個人情報の取り扱い指針の趣旨から問題があると思います.

また,診療記録の一部を取り出して証拠提出することから,患者の属性,前後の経過,転帰が不明で,裁判所で審理されている案件と類似といえるかも疑問で,そもそも関連性があるか疑わしく,反証にもならず,取り調べの必要性がないケースも多いと思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-12 20:44

高血圧患者がベンチプレスで脳出血

ゆかし「高齢者のフィットネスブーム、特に高血圧は筋トレには要注意」(2015年7月9日)は,次のとおり伝えています.

「昨年8月、高血圧の持病がある東京都内の50代後半の女性が、都内のジムでベンチプレスのトレーニング中にろれつが回らなくなり病院に運ばれ、脳出血による右口角下垂と構音障害と診断され入8日間の入院を要した。

 その後も左右のバランスが取れない、小さい文字が書けない、ろれつが回らないなどの後遺症が残っているという。そのため、女性はジムが安全配慮義務に違反しているなどとして、ライザップの運営会社を相手取って、入院治療費や行為障害による逸失利益など約640万円の損害賠償を請求する訴訟を東京地裁に起こしている。」


高血圧患者(収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上)の運動強度は古くて新しい問題です.
 
「高血圧治療ガイドライン2014」は,高血圧患者では運動が推奨される,としています.

「有酸素運動の降圧効果は確立されている。身体活動の増加は血圧低下のみならず,体重,体脂肪,ウエスト周囲長の減少,インスリン感受性や血清脂質の改善が指摘されている。さらに,身体活動の低下は心血管病のリスクを上昇させる。運動療法によって酸素摂取量を増加させることが予後改善に寄与するのかもしれない。したがって,高血圧患者では生活習慣の修正の一つとして運動が推奨される。高血圧などの生活習慣病の予防や治療には速歩のような有酸素運動が優れている。

ここまでは異論はないのですが...

運動強度については論文によって,その評価の尺度が一定していない。エビデンスレベルは高くないが,最大酸素摂取量の50%としている指針が多く,これは自覚的所見から推定するボルグ・スケールでは「ややきつい」程度である。

しかし,米国スポーツ医学協会(ACSM)/AHAの一般人向けの勧告では,強い運動を中等度の運動に交えて行うほうが心血管病リスク減少には有用であると記載されている。

とはいえ,運動強度が強すぎると高血圧患者においては運動中の血圧上昇が顕著で,正常血圧者と異なり予後が悪いという報告もあるので,高血圧患者における激しい運動は慎重に行うべきである。

「運動は定期的に(できれば毎日30分以上)行うことが目標である。一般向けのACSM/AHAの勧告では,少なくとも10分以上の運動で,合計して1日30分を超えればよいとされている。有酸素運動に加えて,レジスタンス運動やストレッチ運動を補助的に組み合わせると,前者は除脂肪体重の増加や骨粗鬆症・腰痛の防止,後者は関節の可動域や機能の向上が期待でき,有用である。最近,レジスタンス運動に降圧効果があるというメタアナリシスが報告されている。


レジスタンス運動とは,筋力トレーニング(筋トレ)のことです.
筋トレといってもいろいろです.
例えば,omronの「かんたん・健康エクササイズ」

http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/exercise/


運動療法の対象者はⅡ度以下の血圧値(Ⅲ度を超える血圧の者は降圧後に運動療法を施行する)で心血管病のない高血圧患者である。リスクの高い患者は事前にメディカルチェックを行い,必要に応じて運動の制限や禁止などの対策を講じる。単に高齢者であるからといって運動を制限すべきではないが,高齢者では特に事前のメディカルチェックは必須である。」
とされています.

また,「減塩・減量・運動・節酒にさらにDASH食を組み合わせると,より降圧の得られることも報告されている。したがって,生活習慣の修正は複合的に行うことが推奨される。なお,生活習慣の修正は幼小児期から行い,高血圧を含めた生活習慣病の予防に努めるべきである。」とされています.


なお,腎機能障害,糖尿病等の人には,DASH(Dietari Approach to Stop Hypertension)食療法はあてはまりません.
最近の若い人は驚くほど健康志向です.
食事に気をつけ,スポーツジムに通っている弁護士が多いです.
私は,先月の健康診断で軽度高血圧でしたので,有酸素運動を行うよう心がけています.
子どもの頃から運動が苦手だった私には,スポーツジムはハードルが高く,入会を躊躇していますが...



谷直樹


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by medical-law | 2015-07-10 22:53 | 日常

東京高裁、伊勢崎市民病院の控訴棄却(報道)

東京新聞「伊勢崎市民病院の医療ミス 市に3600万円 控訴審も賠償命令」 (2015年7月9日)は、次のとおり報じました.

「伊勢崎市民病院でリンパ節を摘出する手術を受けたブラジル国籍の二十代の女性が、医師のミスで左腕が上がらなくなる後遺症を負ったとして、病院を運営する伊勢崎市に約四千百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は八日、約三千六百万円の支払いを命じた一審判決を支持し、市側の控訴を棄却した。
 大竹たかし裁判長は昨年十二月の一審前橋地裁判決に続き、手術の際、女性の左副神経が誤って切断されたとして、病院側の過失を認定した。
 判決によると、女性は二〇〇九年五月、手術を受けた。別の病院で再手術を受けたが、十分に回復しなかった。
 伊勢崎市民病院は「判決を精査して対応を考えたい」とコメントした。」

 
本件は私が担当したものではありません.
プロゴルファーを目指していた女性が、2009年5月に首のリンパ節の腫れが悪性リンパ腫かを調べるための手術を受けたところ、担当医がリンパ節付近を走る副神経を損傷させ、左腕が上がらない状態になったという、手術ミスの事案です.副神経は、胸鎖乳突筋や僧帽筋を支配する運動性の神経で、副神経が損傷されると腕が水平より挙がらないなどの障害がおきます.報道の件は時間的関係からしても副神経を傷害した原因は手術以外に考えがたく、副神経を傷つけないという注意義務に違反したものと考えられます.この手術ミスの事案で、そもそも控訴は無理だったのではないでしょうか.

 
谷直樹


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by medical-law | 2015-07-10 00:29 | 医療事故・医療裁判

ドラマ「監査法人」と東芝の不適切会計問題

2008年のNHKドラマ「監査法人」を想い出しました.

ドラマ「監査法人」は,塚本高史さん,松下奈緒さん,豊原功補さん, 勝村政信さん,橋爪功さんが「ジャパン監査法人」の公認会計士役を好演し,監査法人の世界をみせてくれたドラマです.
ドラマの「ジャパン監査法人」は,山一證券,ヤオハンジャパン,カネボウの粉飾決算に荷担した中央青山監査法人がモデルで,ドラマの「東都銀行」は破綻した足利銀行がモデルでしょう.ドラマは,循環取引、売上架空計上等の不正を知った公認会計士の苦悩と戦いを描いていました.クライアントからの報酬で成り立つ監査法人においてクライアントの不正を糺さねばならない,厳格監査と温情監査の間で揺れる公認会計士の仕事と心情を描いていました.

リアルでは,中央青山監査法人は2か月の業務停止処分をうけ,みすず監査法人となり,みすず監査法人も日興コーディアル事件で廃業となり,現在では,世界の4大に対応した新日本,あずさ,トーマツ,あらたの4大監査法人体制になっています.

ところで,東芝の不適切会計問題は,当初,インフラ関連の工事で過去3年間の営業利益を500億円程度修正する必要があるというものでした.
最近,テレビ、パソコン、半導体などの事業でも不適切会計が行われていたことが判明し,過去5年間の決算で営業利益を過大計上していた金額が1500億円超になるとの見通しで,過大に計上していた連結営業利益が最大で2000億円程度になる見通しと報じられています.

東芝の会計監査を担当したのは,新日本監査法人です.不適切会計を見抜けなかったのか,見過ごしたのか,どちらなのでしょうか.
オリンパスの粉飾決算事件では,2012年にあずさ監査法人と新日本監査法人に業務改善命令が下されました.
東芝の不適切会計問題ではどうなるのでしょうか.


医療事件の患者側弁護士は,依頼者から調査費用を受け取って事件の見通しを調査し報告します.調査は,裁判にしたときの見通しを報告するものですから,甘い見通しを報告することは依頼者のためになりませんので,お気持ちは理解しながらも,提訴が難しいものは難しいことを根拠を示して報告します.また,例えば,過失は認められる可能性があるが,因果関係立証が「相当程度」どまりで,賠償金額は少額にならざるをえない,という報告になることもあります.
依頼者から調査費用を受け取って,依頼者の期待にそえない調査結果になることもあるのです.
もちろん,明らかに責任が立証できない事案については最初から調査をお引き受けしませんし,調査契約前に依頼者の期待にそえない調査結果になることもあることを御説明しているのですが,医療側に責任があるという結論を強くおもちの依頼者は,調査結果に御納得されないこともあり,報告者として残念な思いをすることもあります.それでも,依頼者のために専門家として適正厳正な調査報告を続けていきたいと思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-09 01:41 | コンプライアンス

七夕

たなばたの とわたるふねの かじのはに いくあきかきつ つゆのたまづさ
 (七夕の と渡る舟の 梶の葉に 幾秋書きつ 露の玉づさ)
                    新古今和歌集 巻第四 秋歌上

本来は旧暦の7月7日(今の暦ですと2015年は8月20日)なので,季節は秋です.
いつから,サトイモの葉の露を集めて磨った墨で書くと字が上達すると言われるようになったのでしょうか.

定気法の小暑なのに,肌寒い日が続いています.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-07 04:08 | 休暇・休日

Eテレでアンコール放送 「薬禍の歳月~サリドマイド事件・50年~」7月11日(土)午後3時から

半世紀を経ていまなお続く薬禍の歳月を描いた 「薬禍の歳月~サリドマイド事件・50年~」が7月11日(土)午後3時からEテレでアンコール放送されます.
41回放送文化基金賞テレビドキュメンタリー番組部門の最優秀賞を受賞した番組です.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-06 23:25 | 医療

最高裁、ハンセン病患者の特設法廷問題で有識者委員会設置

時事通信「有識者委を設置=ハンセン病「特別法廷」-最高裁」(2015年7月2日)は、次のとおり報じました.

「ハンセン病患者の裁判を裁判所ではなく療養所などの「特別法廷」で行った問題で、正当性を調査している最高裁は2日、内部調査だけでは不十分という指摘を踏まえ、調査内容について第三者から意見を聴く有識者委員会の設置を決めた。
 最高裁によると、委員は、井上英夫・金沢大名誉教授(福祉政策論)▽石田法子・弁護士▽小西秀宣・弁護士▽川出敏裕・東京大大学院法学政治学研究科教授▽大塚浩之・読売新聞論説副委員長の計5人。遅くとも9月には初会合を開くという。 
 委員会は非公開。意見を踏まえ、最高裁は調査結果を公表する。特別法廷は1948~72年の間に95件指定された。
 最高裁は、患者団体からの要請を受け、2014年5月に内部に調査委員会を設置。国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(熊本県)の入所者などから聞き取り調査を行った。」


井上英夫氏は、福祉政策論が専門で、厚労省ハンセン病問題検討会委員会のメンバーで、日弁連法務研究財団のハンセン病事実検証調査事業の検証委員会委員長でした. 日本社会保障法学会理事で、銚子市県営住宅母子無理心中事件の調査団の団長でもあります.

石田法子氏は、元大阪弁護士会会長(平成26年)です.平成9年に大阪弁護士会の人権擁護委員会の委員長、平成20年、21年に日弁連の人権擁護委員会の委員長にそれぞれ就き、活躍しました.なお、ブログ「いしだのりこの 海苔弁当」を書いています.

小西秀宣氏は、元裁判官(東京高裁部総括で定年退官)の弁護士(広島弁護士会所属)です.人権擁護局長に任じられたことがあります.

川出敏裕氏は、刑事訴訟法・刑事政策の研究者で、日本刑法学会と日本被害者学会の理事です.

大塚浩之氏は、日弁連法務研究財団のハンセン病事実検証調査事業の検証委員でした.

調査報告に期待したいと思います.

【追記】

朝日新聞「ハンセン病検証「療養所訪れて」 元患者団体など要望」(2015年8月17日)は次のとおり報じました.

「ハンセン病患者を対象にした過去の「特別法廷」を最高裁が検証している問題で、元患者団体らが17日、最高裁を訪れ、検証のあり方について要望した。最高裁が設置を決めた有識者委員会のメンバーに、療養所に残る「監禁室」を訪れることなどを求めた。「一人ひとりが当時の具体的なイメージを持って議論してほしい」と訴えた。

 かつて特別法廷は非公開で開かれ、患者の差別などを助長し、人権を侵害したと指摘されている。有識者委員会は、最高裁が「内部調査の参考にする」として設置。大学教授や弁護士らを委員に選任した。元患者らでつくる「全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)」などは、委員会の議論を公開とすることも求めたが、最高裁は「プライバシーに関わる」として非公開にすると説明した。

 要望後、記者会見した全療協の藤崎陸安(みちやす)事務局長は「(非公開の特別法廷が)憲法違反だという結論が出ることを願っている。一部(の委員)はなじみがなく、ハンセン病のことをどこまで知っているのか疑問だ。現地で見聞きする努力はしてほしい」と話した。」



谷直樹


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by medical-law | 2015-07-06 02:44 | 人権

千葉市立海浜病院 心臓血管外科の4〜6月の術後死亡7件で調査委員会設置

千葉市立海浜病院心臓血管外科で今年4〜6月に31件の手術が行われ,そのうち術後1日~20日後に死亡した患者が7人にいたことから,太枝院長や外部の専門家ら約10人で構成する調査委員会を設置することになった,と報じられています.ちなみに同院で昨年1年間で同様の手術を受けたあとに死亡した患者は5人です.

朝日新聞「患者7人、手術後に死亡 千葉・海浜病院、調査委設置へ」(2015年7月4日)によると,調査の「結果が出るまで、患者に負担の大きい心臓や大動脈の外科手術は中止したほか、今後すべての手術をやめる見通しだという。」とのことです.

千葉県内には心臓血管外科専門医認定機構の基幹施設が15ありますが,千葉市立海浜病院は,その1つです.
偶然3か月間に集中しただけと考えたいのですが,調査の結果を待ちたいと思います.

なお,一般に,全国的に心臓手術の件数が増えて死亡率自体は低下しているのですが,その患者について心臓手術を実施するリスクと心臓手術を実施しないリスクは医師によって評価が異なることがありますので,セカンドオピニオンを聞くなどして慎重に検討したほうがよいと思います.

【追記】

産経新聞「千葉市立海浜病院の患者連続死 今月死亡の80代女性も調査対象に 執刀医は渦中の一人」(2015年8月13日)は,次のとおり報じました.

「千葉市美浜区の市立海浜病院の心臓血管外科で4~6月、心臓や大動脈などの手術を受けた患者7人が術後間もなく死亡した問題で、海浜病院は13日、同科で手術を受けた80代の女性が12日に死亡したと発表した。死亡と手術の因果関係を調べている調査委員会はこの手術も対象に加える。

 病院によると、女性は6月29日に手術を受け、その後も入院していたが、今月12日に死亡した。執刀医は亡くなった7人の手術を担当した男性医師2人のうちの1人だった。

 病院は「現時点で人為的なミスはなかったと考えている」とするが、7月6日から同科での手術を中止している。」



谷直樹


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by medical-law | 2015-07-05 10:07 | 医療事故・医療裁判

京都大学医学部付属病院,収賄再発防止策機能せず謝罪

京都新聞「京大病院長「汚職防止策が機能せず」 元准教授起訴で謝罪」(2015年7月3日)は,次のとおり報じました.

「×××被告の起訴を受け、京都大医学部付属病院の稲垣暢也病院長が3日、京都市左京区の同病院で会見し、「本院として誠に遺憾であり、このような事態が生じたことを大変申し訳なく思う」と謝罪した。

 稲垣病院長は、今年2月12日に京都府警から××被告が収賄に関わっている疑いがあると知らされ、捜査協力を求められたと説明。病院も6月11日から内部調査を始め、今月2日には外部の有識者も入れた本格的な調査委員会の設置を決めたことを明かし、「引き続き事実の確認を進め、公判の状況も踏まえ、厳正に対処していく」とした。

 京大では2012年にも薬学研究科の元男性教授が収賄容疑で東京地検に逮捕され、物品納入の手続き厳格化などの再発防止策を進めてきたが、稲垣病院長は「現実には十分に機能しなかった。深刻に受け止めている。今後さらなる再発予防に努める」と述べた。

 記者からはほかにも、院内で医療用ポンプの水増し発注の疑いがあることや、入札契約や科学研究費の使途のチェック体制について質問が出たが、「調査中」と繰り返し、答えなかった。」



毎日新聞「京大病院汚職:接待の要求さえ…担当者の強い権限裏目に」(2015年7月3日)は,次のとおり報じました. 

「京都大付属病院の医療機器購入を巡り、収賄罪で起訴された××被告は、京都府警の調べに「接待を受けるうちに感覚がまひし、自分を見失った」と供述したという。同病院は3日、事件発覚後初めて記者会見し、「誠に遺憾で大変申し訳ありません」と陳謝したが、癒着の原因や背景については「調査中」と繰り返すのみだった。

 ◇癒着が日常化

 「明日、肉料理どうですか。予約お願いします」。捜査関係者によると、××被告は贈賄罪で罰金命令を受けた西村器械の社員に対し、物品以外に接待もメールで要求していた。祇園の高級クラブなどでの接待は2011年7月から14年4月まで約50回にわたり、総額約50万円を負担させていたという。

 病院関係者によると、一般に医療機器の契約は高額で、維持管理や備品などの契約も見込めるため、業者にとっては「うまみ」が大きい。そのため競争も激しく、同病院のある医師は「表立った接待は減ったが、目の届きにくい海外の学会に業者が同行して医師を接待する話は今もよく聞く」と明かした。

 業界団体「医療機器業公正取引協議会」(東京都文京区)は自主規制基準で、発注側への金品提供などを禁止しているが、対応は「各社のコンプライアンス(法令順守)と同業他社間の相互監視」(協議会事務局)に任されているという。

 ◇強い権限

 今回問題になった医療機器購入は、入札ではなく全て随意契約だった。規定で、契約額100万円以上で相見積もり、500万円以上は公募型見積もり合わせを義務付けていたが、選定では、担当者個人が強い権限を持っており、不正の抑止にはつながらなかった。

 病院関係者は「専門領域では、担当医が必要と主張した医療機器に関し、周囲が口を出しにくい」と話す。××被告は海外でも論文が評価される若手のエース的存在だったといい、周囲の監視がより効きにくかったとみられる。

 ◇再発防止は

 京都大では12年、薬学研究科発注の物品調達を巡って元教授による汚職事件が起き、研究者と業者の癒着が問われた。今回の事件発覚も、きっかけは同病院の別の元技師と業者の癒着疑惑で、根は深いといえる。

 同病院の稲垣暢也院長は記者会見で、内部調査を踏まえ、外部識者も含めた調査委員会を近く発足させることを表明したが、問題点や対策などについては口をとざした。

 病院経営に詳しい医療コンサルタントは「自治体の病院に比べ、大学病院には公務という認識が低いと感じる。再発を防止するには、問題意識を持ってチェック機能を再整備する必要がある」と指摘する。【村田拓也、宮川佐知子、川瀬慎一朗】」



産経新聞「「ふさわしい物を持つべきと賄賂を要求」 元准教授を起訴 京都地検」 (2015年7月3日)は,次のとおり報じました.

「京都大病院の研究医療機器の納入をめぐる汚職事件で、京都地検は3日、収賄罪で同病院臨床研究総合センター元准教授の医師、×××容疑者(47)を起訴した。××被告が「准教授にふさわしい物を持つべきと考え、賄賂を要求するようになった」と供述していることが京都府警への取材で分かった。」

「起訴状などによると、××被告は血管再生医療の研究プロジェクトで使用する医療機器を随意契約で発注した際、同社が有利に受注できるよう取り計らった謝礼として、平成22年12月~25年9月、海外製のキャリーバッグやスピーカーなど計17点(約95万円相当)を受け取ったとされる。

 京都府警によると、××被告は23年7月から26年4月までの間、祇園などの寿司屋や高級クラブで飲食接待を受けていた。「接待を受けるうちに常識がまひしていった。これぐらい大丈夫だろうと甘い認識があった」と供述したという。
京都大病院は3日、××被告の逮捕後、初めて記者会見した。稲垣暢也(のぶや)病院長が「このような事態になり、申し訳ない」と謝罪。「世間を騒がせることになり、どこかで謝罪しなければならないと思っていた。もっと早くに会見すればよかったが、このタイミングになってしまった」と述べた。

 今後、大学と病院それぞれの調査委員会が事実関係を調べ、「その結果を受けて厳正に対処する」としている。」



逮捕以降沈黙を守り続けてきた京大ですが,ここにきてようやく会見を行いました.ただし,具体性のある内容ではなかったようです.
医療機器,研究機器の採否の判断はたしかに専門的知識が必要ですが,事実上一人の医師・研究者が独断で購入を決定しチェックも働かないようでは,贈賄収賄の温床となってしまうと思います.

大学と病院でそれぞれの別の調査委員会を設けているところが,複雑な事情を示唆していると思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-04 05:43 | コンプライアンス