弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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倉敷中央病院,手術ミスに因る重度障害事案で6300万円を支払い介護に責任をもつ内容で和解(報道)

朝日新聞「手術ミスを訴えた訴訟で和解」(2015年7月2日)は,次のとおり報じました.
 
「心臓手術のミスで寝たきりになったとして、愛媛県西条市の男性(62)と家族が倉敷中央病院を経営する公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構に約1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟で、1日、岡山地裁(曳野久男裁判長)で和解が成立した。男性側の弁護士によると、病院側が和解金6300万円を支払い、男性の介護に責任を持って対応することなどが条件。同病院は「和解内容についてコメントは差し控えさせていただく」としている。」

本件は私が担当したものではありませんが,おそらく2014年3月に手術スタッフのミスで人工心肺の栓が開いていたため動脈に空気が混入して重度の脳梗塞を引き起こし寝たきりの状態になった事案でしょう.過失と因果関係が明らかで,和解内容からは過失と因果関係を前提とするものと考えられます.
病院はコメントを差し控えるとのことですが,例えば本件を教訓に今後このような事故が起きないよう再発防止に努めるというコメントをだしたほうが,病院の誠意が感じられたのではないかと思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-03 02:39 | 医療事故・医療裁判

善玉,悪玉

ドラマでは,善玉,悪玉がはっきりしているほうが視聴者の共感を得やすいのですが,現実世界は,善玉,悪玉がはっきりしているわけではありません.

従来どちらかというと悪玉よりの扱いだったBacteroides属細菌は,肥満者の腸内に少ないこと(Bacteroides属細菌が少ないと肥満につながりやすいこと)が報告され,他方,従来善玉菌の扱いだったLactobacillus属の乳酸菌やBiffidobacterium属のビフィズス菌が,肥満,血糖値上昇をもたらす,ということが知られるようになりました.
そこで,Bacteroides属細菌が難消化糖類を利用して生育することから,最近では,フラクトオリゴ糖,発酵食品,酵素ドリンク等がブームになっています.消費者庁が先月クックパッドに「酵素ジュース」のレシピを掲載し,食中毒の恐れがあると指摘され,即日削除する,ということもおきました.
しかし,腸内細菌のバランスが大事なのであって,健康食品・ドリンクに多くを期待するのは,どうなのでしょうか.健康食品・ドリンクの有効性と安全性についてのエビデンスが不足しているように思えるのですが....


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-03 00:25 | 日常

お千度の儀と吉符入り

京都新聞「朱の傘と稚児、雨に映え 祇園祭お千度の儀」(2015年7月1日)は,雨の中、「お千度の儀」で八坂神社境内を歩く長刀鉾の稚児の様子を伝えています.

大阪の天神祭りも1か月の長丁場ですが,祇園祭も1か月の間さまざまな神事,祭事が行われます.
祇園祭は,八坂神社の神事と,山鉾町の疫病退散祈願の祭事が同時に進行します.
1日は,八坂神社でお千度の儀が行われ,山鉾町では,稚児と禿(かむろ)の名前を書いた「吉符」が納められ(吉符入り),太平舞と奉納囃子が披露されます.
祇園囃子は悪霊をおびき寄せるためのもので,その練習が「二階囃子」です.コンチキチンの音は,本格的な夏を感じさせます.
鬮取り式は,市議会議場で行い,市長が鬮を読み上げるんですね.
三條若狭屋の祇園ちご餅はネットでも購入できます.
日本全国多くの祭りがありますが,華やかさでは祇園祭でしょう.

裁判所は,7月・8月の間に交代で夏休みをとります.そのため,7月・8月は裁判期日が入りにくくなります.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-02 08:36 | 日常

大阪府立急性期・総合医療センター、「筋弛緩薬誤投薬事故に関する再発防止策について」公表

大阪府立急性期・総合医療センターが、2015年年6月25日、大阪府立急性期・総合医療センター事故調査委員会の「筋弛緩薬誤投薬事故に関する再発防止策について」(2015年5月29日)を公表しました.

大阪府立急性期・総合医療センターで、2014年12月29 日に抗菌薬と間違えて入院中の患者に筋弛緩薬を投与し、患者が亡くなった医療事故についての報告です.。

具体的な再発防止策は、上記「筋弛緩薬誤投薬事故に関する再発防止策について」を参照してください.

最後に、「人によるさまざまな臨機応変の対応により、日々の臨床は成立している。その一方で、人が関与する限り、ヒューマンエラーをゼロにすることは至難の業である。今回の事故は、潜在的なシステム上の問題とそれに起因したと考えられるヒューマンエラーの連鎖を、システム的な対策で防御することができなかったことによるものと言える。
従って、薬剤本体の確認もできる二次元バーコードリーダーの導入や自動払い出し機のさらなる拡充など、チェックシステムを可能な限り機械的なものに変えていくことが最も重要である。しかし、それでも残る人によるチェックの際は、単に儀式的にチェックするのでなく、常に原点に立ち戻り柔軟性を活かして、エラーのないことをチェックしなければならない。正しいだろうではなく、本当に正しいのか、何のための投与かと考えることで初めてチェックできることも肝に銘じるべきである。」
と述べていますが、まさしくそのとおりと思います.

谷直樹


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by medical-law | 2015-07-01 01:57 | 医療事故・医療裁判

新潟大学医歯学総合病院,30年前のガーゼ遺残事故を公表

新潟大学医歯学総合病院は、2015年6月30日、「医療事故の公表について」を発表しました.

「このたび,他院において手術を受けられた患者さまの体内からガーゼが発見され,本院において30年前に手術を受けられた際に体内遺残したものであることが判明しました。

1 患者さまは本県在住の80歳代の男性で、他院で貧血の精査を行った際に、胃に腫瘤があることがわかり、摘出手術を受けられました。摘出された腫瘤からガーゼがみつかり、その旨、本院に連絡がありました。患者さまは本院で30年前に胃の手術を受けられていますが、これまでガーゼの遺残による症状はとくになかったとのことです。

2 本院では直ちに医療事例審議委員会を開催して、調査・検討を行いました。患者さまは他に同部位の外科治療を受けられたことはないことから、本院での手術の際に体内にガーゼが遺残した可能性が高い、という結論になりました。

3 すみやかに患者さまとご家族に事実を説明し謝罪しました。

4 現在は手術中の異物遺残への対策は確立しており、手術で使用したガーゼの数と、回収したガーゼの数が一致することを、手術中に繰り返し確認し、遺残がないように努めています。さらに、X線不透過のガーゼを用いて、手術後にX線撮影を行い遺残がないことを確認しています。しかし、患者さまが手術を受けられた当時、本邦ではこのような遺残防止対策はまだ普及していませんでした。

5 今後は、現在行っている遺残防止対策を確実に実施し、再発防止に努めてまいります。」


ガーゼ遺残事故は結構多いです.過失については争いがありませんが、賠償額の算定に争いがある場合があります.


谷直樹

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by medical-law | 2015-07-01 01:35 | 医療事故・医療裁判

病院長と元准看護師を注射器の誤使用で患者をC型肝炎に感染させたなど業務上過失傷害容疑で書類送検

朝日新聞「注射器誤りC型肝炎に感染させた疑い 病院長ら書類送検」(2015年6月30日)は、次のとおり報じました.

「注射器の誤使用で患者をC型肝炎に感染させたなどとして、福岡県警は30日、同県築上郡にある病院の男性院長(46)と准看護師だった女性(52)を業務上過失傷害容疑で書類送検し、発表した。院長は「正しく注射するよう指導していた」と容疑を一部否認し、准看護師は容疑を認めているという。

 発表によると、2人は2010年12月、食欲不振などを訴え入院していた女性(当時80代)に、別のC型肝炎患者に使った注射器を誤って再使用し、C型肝炎に感染させたなどの疑いがある。女性側が院長を同容疑で告訴していた。

 別の看護師がC型肝炎患者に注射したがうまくいかず、勤務交代時に准看護師に依頼。使いかけの注射器には患者名の漢字1字が書いてあったが、准看護師は同じ漢字が含まれていた女性の名前と誤認し、注射器を使ったという。県警は、病院の安全管理が不十分だったとみている。女性は13年に別の病気で死亡した。」


産経新聞「誤注射でC型肝炎発症か 医師と准看護師を書類送検 福岡県警」(2015年6月30日)は、次のとおり報じました.

「C型肝炎の患者に使った注射器で別の患者に注射してC型肝炎を発症させたとして、福岡県警捜査1課は30日、業務上過失傷害の疑いで「唐原内科クリニック」(同県吉富町)の男性医師(46)と女性准看護師(52)を書類送検した。

 書類送検容疑は平成22年12月5日午前6時50分ごろ、入院していた豊前市の女性=当時(81)=に対し、C型肝炎の患者に使った注射器で栄養剤を注射し、C型肝炎を発症させたとしている。

 捜査1課によると、准看護師は注射器に書かれた患者の氏名を確認せず、医師は准看護師に確認を徹底させなかったとしている。医師は「注射器を確認するよう指導していた」と容疑を否認。女性はその後、別の原因で死亡した。

 医師の書類送検容疑には22年10月~12月、この女性の栄養状態を適切に管理せず、ウェルニッケ脳症を発症させた疑いも含まれている。」


 書類送検されただけですので、起訴までいくかはわかりませんが、病院長まで書類送検されたことに注目したいと思います.

谷直樹


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by medical-law | 2015-07-01 00:18 | 医療事故・医療裁判