弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2015年 12月 ( 34 )   > この月の画像一覧

医療問題十大ニュース2015

今年,ニュースとなった医療問題について,振り返ってみます.

1 群馬大学医学部附属病院の消化器科手術事件
事故調査委員会(上田裕一委員長)は,病院の診療体制が十分でなかった可能性があるととして,院内で患者が亡くなった64の事例すべてを対象とすることになりました.医療事故の背景には,根深いものがありそうです.

2 東京女子医科大学病院のプロポフォール事件
70時間以上にわたりプロポフォールが大量に使用されていたことがわかり,今後そのようなことが起きないように,厚労省の研究班が指針をまとめました.
また,厚労省は,「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」を設置しました.
ただ,事件自体の進展はみえません.

3 神戸国際フロンティアメディカルセンターの生体肝移植死亡事件
シンガポールの関連病院は閉鎖されました.KIFMEC神戸は,患者が減少し,事実上診療を停止しました。はたして,再建はできるのでしょうか.
なお,そもそも,海外では,生体肝移植はほとんど行われていません.健康な人に侵襲を加える生体肝移植という方向自体,検討が必要だったのではないでしょうか.

4 千葉県がんセンターの腹腔鏡手術問題と乳癌患者の検体を取り違え事件
千葉県がんセンターで難度の高い保険適用外の腹腔鏡手術の後,患者11人が死亡した件について事故調査が行われました.肝胆膵外科学会は,千葉県がんセンターについて修練施設の認定を取り消し,死亡例は隠し成功した例のみを学会報告していた執刀医とその上司の医師の「指導医」の資格を取り消しました.
腹腔鏡下手術問題のみならず,乳癌患者の検体を取り違え,乳房全摘手術を実施する,という過誤もおきました.

5 国立国際医療研究センターのウログラフィン脊髄注射事件の東京地裁判決
添付文書を検討せず薬剤部への問い合わせせずに,造影剤ウログラフィンを脊髄注射した医師(5年目のレジデント)が,東京地裁で禁錮1年執行猶予3年に処せられたのは,議論はありますが,箱にもアンプルにも「脊髄造影禁止」と赤字で書いてあることから,従前の裁判例に照らし相当と思います.また,一般に,業務上過失致死事件の場合,直接の担当者の過失が問われますが,なかなか上層部の過失(体制整備義務違反)が問われない傾向があるように思います.そこに踏み込めば,事故防止の体制整備がすすむはずなのですが...

6 日産厚生会玉川病院でのインスリン大量投与事件東京地裁判決
東京地裁平成27年12月15日判決は,日産厚生会玉川病院の看護師に,懲役2年6月の刑を言い渡し,被告人は即日控訴しました.判決は,被告人が患者に異変のあった3日間とも看護を担当し犯行が容易だったこと,看護記録に虚偽の血糖値を記載したことなどから,犯人と強く推認される,と認定しました.
病院内の物証の少ない事案での,事実認定の参考になります.控訴審の判断が待たれます.

7 新宿セントラルクリニックの性病詐欺事件東京高裁判決
東京高裁平成27年9月9日判決は,新宿セントラルクリニックの控訴を棄却し,25万円の支払いを命じた東京地裁の判決が確定しました.
厚生労働省が感染の判定基準としている検査結果の数値が「0.90」のところを,新宿セントラルクリニック院長が「0.00」と改変していました.その結果,同クリニックで診察を受けた患者は,ほぼ全員がクラミジア,ヘルペスなどの性病に関して陽性と判断されてしまいます.院長は「自分の判定基準の方が正しい」と主張し,同様の基準での検査結果を数千人に告知したと法廷で証言しています.性病と診断され,不要な投薬をされた被害者は多数いると思います.

8 大崎市民病院の電子カルテ不正閲覧事件と正常卵巣切除事件
 
院内で興味本位で電子カルテが閲覧された事件のみならず,正常な卵巣を切除するという医療事故もおきました.執刀医が両側の卵巣を摘出する次の手術と思い違いをした可能性があるとのことです.

9 レーシック手術集団訴訟,追加提訴
「品川近視クリニック」と「錦糸眼科」でレーシック手術を受けたた患者12人が2014年12月に集団訴訟を起こしていますが,本年9月に9人が追加提訴しました.
集団訴訟提訴後,レーシック手術の件数は,急速に減少していると思います.

10 胃のX線の撮影で撮影台と車内の壁に挟まれた死亡事故
5月に沼田市で胃のX線の撮影で撮影台と車内の壁に挟まれ,女性が死亡する事故がおきました.
放射線技師が女性の状況を十分に確認しておらず,滑落に気がつかず,撮影台を水平方向に戻したため,頭が挟まれたとのことです.胃のX線の撮影は検診台を傾けて撮影するものですから,放射線技師には,被撮影者の女性の状況を十分に把握する注意義務があると思います.

2015年も,医療事故の多い年だったと思います.
2016年こそは,医療事故の少ない年であってほしいと期待します.
よいお年をお迎えください.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-31 20:18 | 医療事故・医療裁判

自民党の受動喫煙防止議員連盟,受動喫煙防止施策推進法案

時事通信「受動喫煙防止、法制化へ=罰則規定は先送り」(2015 年 12 月 29 日)は,次のとおり報じました.

 「2020年東京五輪・パラリンピックを前に、公共の場での禁煙・分煙を徹底するための法案の骨子を、自民党の受動喫煙防止議員連盟(会長・山東昭子元参院副議長)がまとめた。来年の通常国会で成立を目指す。ただ、罰則を含めた具体的措置は政府に別途法制化を求めており、実効性が法的に担保されるのはまだ先になりそうだ。

 議連がまとめたのは「受動喫煙防止施策推進法案」。受動喫煙防止のための施策は現在、健康増進法や改正労働安全衛生法が定めているが、事業者に適切な措置を講じるよう求める努力規定を盛り込むにとどまっている。

 これに対し、推進法案骨子は、教育、福祉、医療の各施設を禁煙、その他の公共施設では分煙を徹底するため、法施行後2年以内をめどに政府が「法制上の措置」を講じるよう求めている。違反した事業者や喫煙者への罰則規定には触れず、措置の具体化を政府に委ねた格好だ。

 自民党関係者によると、議連が骨子に罰則規定を盛り込まなかったのは、同党の有力な支持基盤である葉タバコ農家の理解を得るためだという。別の超党派議連がまとめた法案では、罰則を念頭に「実効性を確保する措置」を政府に求めているが、自民党議連は葉タバコ生産者への配慮から、政府に求める措置の内容をさらに曖昧にした。

 議連は骨子を基に各党に賛同を呼び掛け、法案を通常国会に共同提出したい考え。ただ、民主党などからは「規制をきちんとかけているかがポイントだ」との声が上がっており、罰則規定をめぐる調整が当面の焦点となる。」 


受動喫煙により,多くの人の命と健康が失われています.
とくに飲食店等で働く人の命と健康を守るためには,禁煙が必要です.
「分煙」では,命と健康を守ることができません.
完全禁煙でも,売り上げが減らなことというデータがあります.
受動喫煙防止のためには,「分煙」ではなく「禁煙」が必要です.


 谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村 」  
by medical-law | 2015-12-30 08:41 | タバコ

千葉県がんセンター,病理検体の検査結果の取り違えで右乳房全摘術を実施

千葉県がんセンターは,2015年12月25日,他の患者の病理検体の検査結果に基づき右乳房手術を行なうという事故が発生したことを公表しました.千葉県がんセンターのサイトによると,経過は次のとおりです.

「患者A様:30歳代 女性 非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌(術後病理診断)
10月中旬
針生検により、乳癌を疑う部位の組織の一部を採取
11月上旬
病理検体の検査結果が浸潤性乳管癌であったこと、及びMRIの検査にて多発病巣が疑われたため右乳房全摘術を推奨し、ご本人、ご家族の同意を得る
12月上旬
手術施行(その後退院となる)

患者B様:50歳代 女性 浸潤性乳管癌
10月中旬
(患者A様と同一日)針生検により、乳癌を疑う部位の組織の一部を採取
10月下旬
針生検の結果が、肉眼的所見と整合しないことから、再度、針生検を実施し診断を確定
11月下旬
診断結果を踏まえ治療を開始

事故の判明
12月15日
病理医が患者A様の手術標本の病理診断時に、10月に実施した針生検と組織型が異なる癌であることに気づき乳腺外科部長に報告
12月16日
乳腺外科部長から医療安全管理室に報告し、病院長に報告
12月17日
患者A様と患者B様の検体について遺伝子検査を実施した結果、検査結果の取り違いがあったことが明らかとなる
12月18日
臨時医療安全管理委員会を開催。患者様ご家族への説明や今後の対応方針等を協議
12月18日~22日
患者A様及び患者B様ご本人ご家族に、経過を説明し謝罪するとともに、今後の心身のフォローや事故調査の実施等について説明を行なう」


どうしてこのような取り違えが生じ,その取り違えに気づかず,全摘手術が行われたのか,解明されることを期待します.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-30 04:05 | 医療事故・医療裁判

佐賀大学医学部附属病院,MRI検査を怠り胸腰椎硬膜外血腫を見逃す医療ミスで謝罪

佐賀大学医学部附属病院は,2015年12月28日,次のとおり「医療過誤の経緯と対応について」を発表しました.

1.事故の概要

患者さんは40代女性で、両下肢麻痺で当院を受診されたが精神疾患によるものと本院の担当医が診断し、他院へ紹介しました。転院先の病院で転院3 日後に施行されたMRI検査で脊髄急性硬膜下血腫と診断され本院へ搬送となりました。本院では発症4 日後に胸腰椎硬膜外血腫の診断の下に緊急手術を施行しましたが、永続的になり得る両下肢麻痺、膀胱直腸障害を残すという結果になりました。

2.事故の経緯

① 平成27年10月早朝、両下肢に力が入らなくなり触っても認識できない状態で臀部から下腿にかけて脱力を認めたため、ご家族の介助にて当院外来を車椅子で受診されました。
② 車椅子に座っていることは可能でしたが、呼吸は速迫し上半身が震えている状態で不安を訴えられていました。総合診療医が診察し、患者さんは精神科通院中であり、転換ヒステリーの可能性が高いと考えました。神経内科にコンサルトし、神経伝導検査で末梢神経障害を除外され、あと器質的疾患を除外するにはMRI検査、血液検査を行ったほうがよいとの意見を受け、血液検査(電解質)を行ったが異常はありませんでした。総合診療医は精神疾患を疑い脊髄病変に関しては可能性が低いと考えMRI検査は後日でよいと考えました。このため、MRI装置を備えている他院へ紹介し、同日転院となりました。
③ 転院先病院入院中(3日後)、両下肢麻痺の症状は著変なく、同院にてMRI検査が施行され、脊髄急性硬膜下血腫と診断されました。
④ 翌日(4日後)、当院へ搬送され、MRI検査を施行したところ胸腰椎硬膜外血腫と診断され、全身麻酔下で胸椎椎弓切除術、血腫除去術を施行しました。
⑤ 現在、両下肢麻痺、膀胱直腸障害は残存し、リハビリテーションを主体とし加療中です。自宅退院を目指し、リハビリテーション継続のため転院されました。

3.検証の経緯

医療安全管理室を中心とし総合診療部、神経内科、整形外科など関係者を集めて検証部会を開催しました。

(1) 初診時の対応について
胸椎の硬膜外血腫で下肢麻痺を伴うという稀な病態を診断することは困難であるが、脊髄障害(例えば脊髄梗塞など)の可能性は初診時に除外すべきであり、MRI検査を初診時に行うべきでありました。

(2) コンサルテーションの在り方について
神経内科医が総合診療医にMRI検査を勧めたことに対して、それが施行されなかったことが本事例の原因となっており、コンサルト医から指示された内容に関する二者間の十分な議論がされるべきでありました。

4.患者様・ご家族への対応

胸椎の硬膜外血腫で下肢麻痺として発症することは稀であり、また症状に精神疾患の要素が関与している可能性もあることなどに影響され、緊急MRI検査を撮影する決断に至らなかったことが重大な結果を招いたことを患者さんご本人とご家族に説明し、謝罪いたしました。

5.再発防止策

(1) 可能性が低くても重大な結果に至る疾患が疑われる際には、積極的にMRI検査などで診断が確定できるよう徹底しました。

(2) より質の高い医療を提供するために、コンサルトシステムを機能させていくよう、職員に周知しました。」


本件は,私が担当したものではありませんので,上記発表以上のことは知りませんが,上記発表からすると,器質的疾患を除外するにはMRI検査、血液検査を行ったほうがよいとの神経内科医の意見を無視したことが事故の原因のようです.
たしかに可能性の高い疾患を疑うのは正しいのですが,同時に可能性は低くても緊急の重大疾患を除外診断する必要があります.とくに,画像診断の進歩によって疾患の早期発見が可能になっていますので,画像診断への期待,画像診断義務が大きくなっています.画像検査義務違反はありがちな医療ミスで,対応によっては医療事件となることがあります.

佐賀大学医学部附属病院の本件事故後の対応は,上記発表を読む限り,誠実で評価できると思います.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-29 05:19 | 医療事故・医療裁判

欧州司法裁判所がタバコ包装表示ルールについてタバコ会社に不利な判断を下す見込み

bloombergは,2015年12月23日,「Big Tobacco Risks EU Court Defeat Over Tough Packaging Rules」で,以下のとおり伝えました.

「Tobacco companies including Philip Morris International Inc. and British American Tobacco Plc received a blow from an adviser to the European Union’s top court in their battle against EU orders to cover cigarette packs with graphic pictures and warning signs.

The 2014 EU rules help boost the visibility of health warnings and maximize their effectiveness, Advocate General Juliane Kokott of the EU Court of Justice said in a non-binding opinion Wednesday.

“The coolness or the fun factor” and “the curiosity that may be inherent in new or unusual packaging then has a lesser influence on the decision to purchase,” she said.

Wednesday’s opinion stems from a U.K. court case where judges last year asked their EU peers whether the European rules are valid. Philip Morris, BAT, Imperial Tobacco Group Plc and Japan Tobacco Inc., who control almost all of the 18.7 billion-pound ($27.8 billion) U.K. market earlier this month went to court again, this time claiming British measures violate the companies’ intellectual property rights.

Kokott said EU nations are free to take the rules a step further on packaging standards, such as requiring plain cigarette packs, with no logos.

“It’s a blow for the tobacco companies but it isn’t a massive surprise given that the EU wrote the law," Duncan Fox, an analyst with Bloomberg Intelligence, said by phone. If the top court upholds the rules, “it gives a nice get-out clause for European countries that want to implement plain packaging.”
(以下略)」

タバコのパッケージデザインは,巧みなロゴとデザインの視覚的効果で販売促進に寄与してきました.
警告表示が義務付けられ,有害性と依存性の表示がなされるようになり,警告表示と正反対のロゴとデザインに違和感が生じています.
そこで,タバコの箱にはロゴなしの単純な商品名を書くのみで,警告表示以外は何もないプレーンなものに規制することも検討されています.
このようなタバコの箱の表示の規制について,規制を推進する国と表現の自由を主張するタバコ会社との法的争いは,欧州司法裁判所で規制にお墨付きが与えられることになりそうです.
そもそも,タバコは,できれば無いほうがよい商品で,積極的に販売すべきものではありません.販売促進に寄与するデザインは規制すべきと考えます.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-27 19:01 | タバコ

福井県立病院、15年以上にわたり手術用ガーゼを残置事故発表

福井県立病院経営管理課は次のとおり発表しました.


「県立病院における医療事故について、このほど示談が成立しましたので、以下のとおりお知らせします。

1 事故の概要等
(1)概 要
   平成11年3月10日に胆嚢結石症の患者さんに開腹胆嚢摘出術を施行した際、肝臓の外側に挿入した手術用ガーゼを残置していたことが判明し、平成26年11月20日に手術を施行し摘出しました。

(2)患者情報
   越前市内の60歳代の男性

(3)経 過
   平成11年 3月10日 胆嚢結石症により開腹胆嚢摘出術施行
   平成26年11月13日 右季肋部痛を訴え、県立病院外科受診
        11月17日 検査のため入院しMRI検査を実施、平成11年
              の手術の際に肝臓の外側に挿入した手術用ガーゼが
              残置していることが判明、患者さんに説明し謝罪
        11月20日 手術を施行し摘出
   平成27年12月24日 示談


2 対応等
  15年以上にわたり手術用ガーゼを残置し、苦痛を与えましたことは誠に申し訳なく心からおわび申し上げます。
  現在は、術後にレントゲン検査を行い、遺残物がないか厳重にチェックする体制を取っております。
  今後は、さらに医療技術の研修を重ね、医療安全、医療の質の向上に努め、県民に信頼される病院を目指していきます。」


福井新聞「福井県立病院で医療ミス、示談 16年前、体内にガーゼ置き忘れ」(2015年12月26日)は、次のとおり報じました.

「24日に男性との示談が成立した。

 福井県庁で会見した同病院の山夲龍市事務局長らによると、99年3月の手術時、胆のうを摘出しやすくするため、肝臓の位置をずらす際にガーゼを肝臓脇に挿入、そのまま放置した。通常は術前、術後にガーゼの枚数をチェックするが、その確認作業も忘れていたという。山夲事務局長は「予定していた腹腔(ふくくう)鏡手術を開腹手術に切り替えたことで現場が混乱した」と説明した。

 男性は昨年11月中旬に軽い腹痛を覚えて県立病院を受診し、ガーゼの置き忘れが分かった。公表が約1年後となったことについて病院側は「男性と示談交渉中で、影響が出ないようにした」と説明。示談金の額については「男性側の意向で公表を控える」とした。

 当時執刀しガーゼを置き忘れた男性医師はすでに退職しており、処分対象にはならないという。」


異物遺残事故はあとをたちません.たとえば、毎日新聞「能美市立病院・腹内にガーゼ置き忘れ」(2015年11月28日)は次のとおり報じました.

「能美市立病院は26日、19年前の手術で患者の腹部にガーゼを置き忘れる医療ミスがあったと発表した。患者は川北町の現在60代女性で、今年4月に開腹手術でガーゼを取り出した。示談が成立し、市は12月補正予算案に示談金61万円を計上した。

 病院総務課によると、女性は1996年9月、脱臼骨折治療のため、頸椎(けいつい)に骨を移植する手術を受け、骨盤の骨を採取した際、医師が止血用ガーゼを置き忘れたという。女性が今年1月中旬ごろから腹部に違和感を感じ、検査で右下腹部内にガーゼが見つかった。同課は「あってはならないこと。再発防止に努めたい」としている。」


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-27 00:46 | 医療事故・医療裁判

最高裁,判事補91人採用

最高裁は,91人を判事補として採用すると発表しました.

昨年と比べると,次のとおりです.括弧内は昨年の人数。

採用人数91人(101人)
女性38人(29人)
東大法科大学院出身者19人(17人)
予備試験合格者7人(12人)

67期1969人が,68期1766人と減少していますので,判事補採用人数も10人減少したものと思われます.判事補は途中で辞める人も少なくありませんので,毎年少なくとも100人は採用したほうがよいと思いますが...
全体が減少しているなかで女性の採用が増えています.91分の38ですが,裁判官の半数が女性になるように,判事補採用の半数が女性でよいと思います.
出身法科大学院別にみると,今年も東大法科大学院がトップで,人数も若干ですが増えています.
予備試験合格者からの採用は,減少しました.大手法律事務所が優秀な予備試験出身者の採用に積極的なためかもしれません.

医療訴訟は,裁判官3人の合議ですすみますが,まずは若い左陪席が記録を読んで検討のための要約メモを作成しますので,(裁判長のみならず)左陪席の判事補の役割が大きいのです.実際,左陪席が,事案と主張,証拠関係をどの程度どのように理解しているか,によって進行が違うように思います.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-26 06:13 | 司法

病理検査の検体取り違えて胃癌と誤診し胃切除の医療過誤で,兵庫県が2000万円支払い和解(報道)

神戸新聞「胃がんと誤診し一部切除 兵庫県が遺族と和解」(2015年12月25日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県は25日、県立加古川医療センター(加古川市)で2011年にがんではない70代男性の胃を誤って切除した医療事故をめぐり、男性の遺族に解決金2千万円を支払うことで、神戸地裁で和解が成立したと発表した。

 県によると、11年2月に同センターの検査技師が男性の胃の病理検査をした際、80代の入院患者の組織片と取り違えて標本を作製。男性は胃潰瘍だったが、胃がんと誤診され、3月に手術で胃の3分の2を切除した。

 同センターは過失を認めて謝罪し、補償交渉を進めたが、男性は翌年8月に自殺。医療ミスとの因果関係は不明とされた。

 今年5月に男性の遺族が、県に対して5500万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴。10月に裁判所が和解を勧告していた。

 県の佐藤二郎病院事業副管理者は「このような事案が発生したことは、大変申し訳ない。再発防止に努めたい」としている。(斉藤正志)」


本件は,私が担当した事件ではありませんので,上記報道以上のことは知りませんが,一般に医療過誤事件では,自殺との因果関係認定が厳しすぎるように思います.

医療安全情報 No.53「病理診断時の検体取り違え」(2011年4月)によれば,病理診断において、別の患者の検体と取り違えた事例が6件報告されています(集計期間:2007年1月1日~2011年2月28日),とのことです.
防止策は,簡単です.作業を同時並行で行わないことです.それは誰もが知っています.
医療事故防止のためには,自分は間違えないなどと過信しないで,若干効率が悪くなりますが,1人ずつ作業をすすめることが必要です.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-26 05:11 | 医療事故・医療裁判

椎間板ヘルニアの手術で神経を損傷させた医療過誤で,佐賀県が1000万円支払い和解(報道)

NHK「好生館・後遺症で元患者と和解」(2015年12月25日)は,次のとおり報じました.

8年前、当時の県立病院好生館で腰の手術を受けた佐賀市の男性が、医療ミスが原因で下半身のしびれなどの後遺症が残ったとして、病院側に5000万円の損害賠償を求める訴えを起こし、病院側が男性に1000万円を支払うことで、25日までに、和解が成立していたことが分かりました。

佐賀市の男性は、平成19年4月に当時の県立病院好生館で腰の椎間板ヘルニアの手術を受けた結果、しびれがひどく、長時間座ることが出来ないなど下半身に重い障害が残ったということです。
男性は、執刀した医師が、手術で神経を損傷させた医療ミスが原因だとして、現在、地方独立行政法人となった好生館に損害賠償などとしておよそ5000万円の支払いを求めて、佐賀地方裁判所に訴えていました。

佐賀地方裁判所によりますと、この裁判で、和解が成立したということです。
それによりますと、▼好生館が男性に謝罪すること、▼好生館が男性に和解金として1000万円を支払うこと、▼さらに、好生館が医療事故の防止に真摯に取り組むことなどが、盛り込まれています。

原告の男性と和解したことについて、地方独立行政法人の好生館の溝上信彦総務課長は「コメントは差し控えたい」としています。」


本件は私が担当したものではありません.
毎日新聞によりますと,患者は県警の男性警部(当時)だそうです.つまり,県の職員と県との訴訟です.
裁判上の和解ができてよかったと思いますが,このような手術による神経損傷では訴訟までに示談で解決できないものでしょうか.
なお,コメントを差し控えるという対応は疑問です.
謝罪し再発防止に真摯に取り組む旨のことを言えないのでしょうか.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-25 21:08 | 医療事故・医療裁判

伊勢赤十字病院,人工透析中接続プラグが外れて死亡した事案で和解(報道)

b0206085_23394658.jpg
毎日新聞「伊勢赤十字病院:人工透析後死亡、遺族と示談成立 」(2015年12月18日)は,次のとおり報じました.

「伊勢赤十字病院(伊勢市船江1)は17日、2013年2月に80代の男性入院患者が血液の人工透析中、機器と体をつなぐ管の接続プラグが外れて大量に出血し、約3カ月後に死亡する医療事故があったと発表した。」

病院側はミスを認め、今月和解したとのことです.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-23 10:03 | 医療事故・医療裁判