弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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足るを知る者は富み 強(つと)めて行う者は志有り

知人者智 自知者明
勝人者有力 自勝者強
知足者富 強行者有志
不失其所者久 死而不亡者壽


これは,老子の言葉です.

「足るを知る」は,最近ではミニマリストのバックボーンになっていますが,「足るを知る」の本来の意味は現状に満足することを奨めるものではなく,むしろ努力することを求めるものです.
「足るを知る」の前後にも,深い意味があります.

「他人を知る者」は智恵者ですが,さらに「自分を知る者」は聡明です.
「他人に勝つ者」は力が有りますが,さらに「自分に勝つ者」は強者です.
「足るを知る者」は心豊かですが,さらに 「努力する者」は志がある者です.
「自分を失わざる者」は長く続きますが,さらに「死してしかも亡びざる者」は真の長寿です.

谷直樹


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by medical-law | 2016-01-16 09:23 | 日常

宮崎地裁平成28年1月13日判決,小林市立病院の超速効型インスリン製剤投与後低血糖死で賠償命じる(報道)

読売新聞「低血糖による意識障害で患者死亡、病院過失認め賠償命令」(2016年1月14日)は,次のとおり報じました.

「宮崎県の小林市立病院に入院した同市の男性(当時60歳)が低血糖による意識障害で死亡したのは医師が血糖値管理を怠ったためとして、遺族が市に約3890万円の損害賠償を求めた訴訟で、宮崎地裁(末吉幹和裁判長)は13日、病院側の過失を認め、市に約2480万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、男性は2005年7月22日に受診。血糖値が高かったため、医師から超速効型のインスリン製剤を投与され、入院した。午後9時の計測では血糖値が低下していたため、医師は血糖値の次の測定は23日朝でよいと看護師に指示。しかし、男性は同日早朝、昏睡状態に陥り、06年11月24日に死亡した。」


本件は私が担当したものではありませんので具体的な製剤,投与量と投与時刻,午後9時の血糖値などが分かりませんが,上記報道で知る限り,超速効型のインスリン製剤を投与後の血糖値検査の判断を誤った事案ではないかと考えられます.
超速効型インスリン投与の場合は1800 ルール,すなわち,1単位の注射で3時間30 分後に1800÷TDD(1日必要総インスリン)血糖が下がるとされていますが,同じ超速効型のインスリン製剤でも,メーカーにより発表されている作用発現時間,最大作用時間は若干異なりますし(最大作用時間は,ヒューマログとアピドラでは0.5~1.5時間ですが,ノボラピッドでは1~3時間です.),インスリンの吸収速度に影響する要因はいろいろとあり,実際の効きには個人差がありますので,インスリンが急速に吸収されると低血糖症状が発現しやすくなることから,症状の観察と血糖値の計測が必要です,眠っている患者の症状は観察しにくいので(眠っている患者はめまい等を訴えませんし,睡眠と昏睡は見分けにくい),起こして血糖値を計測すべきだったのでしょう.


谷直樹


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by medical-law | 2016-01-15 01:28 | 医療事故・医療裁判

鹿児島地裁平成28年1月13日判決,鹿児島市立病院の生後7か月の小児転落事故で賠償命じる(報道)

鹿児島読売テレビ「転落し後遺症 鹿児島市立病院に賠償判決」(2016年1月13日)は,次のとおり報じました.

「鹿児島市立病院で、2007年、生後7か月だった男の子が診察台から転落し、重い後遺症が出たとして、男の子と両親が鹿児島市に、損害賠償を求めた裁判で、鹿児島地裁は、病院側の責任を認め、総額約1億1400万円の支払いを命じた。
訴えを起こしていたのは、現在9歳の男の子と両親。

訴えなどによると、男の子は生後7か月だった2007年、自宅で転倒し後頭部を打ったため、鹿児島市立病院に運ばれた。その際、男の子は診療中に医師らが目を離した隙に、誤って高さ70センチの診察台から転落。その後、外傷性の急性硬膜下血腫が見つかった。

「転落が原因で常に介護が必要な重い後遺症が出た」として1億7000万円の損害賠償を求めた両親。
これに対し鹿児島市は、「自宅で転倒した時に生じた障害の影響によるもの」と反論していた。

13日の判決で、鹿児島地裁の川崎聡子裁判長は、「男の子は、診察台から転落後に急性硬膜下血腫が見つかり、その後、脳の萎縮が始まるなど、転落と後遺症の因果関係は、相当認められる」として、鹿児島市に総額約1億1400万円の支払いを命じた。

判決を受け男の子の両親は「息子の現状を考えれば手放しには喜べないが、妥当な判決をいただいてホッとしている」とコメント。一方、鹿児島市立病院は、「主張が認められず残念。判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とコメントしている。」


産経新聞「診察ベッドから男児転落、重い後遺症 鹿児島市に1億円賠償判決」(2016年1月13日)は,次のとおり報じました.

「生後7カ月で搬送された鹿児島市立病院で診察ベッドから転落し、手足などに重い後遺障害を負ったのは病院の責任だとして、奈良市の男児(9)と両親が鹿児島市に計約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は13日、逸失利益や介護費用、慰謝料など計約1億1千万円の支払いを命じた。

 川崎聡子裁判長は判決理由で、病院で起きた転落事故の後、男児の容体が急激に悪化したと判断。「事故がなければ重大な後遺障害の発生を回避できた」と結論付けた。

 病院側は「後遺障害は事故の影響ではなく、自宅で転倒した際の症状が悪化した」と主張していたが、判決は「病院での事故の前には意識は正常に近い状態に回復していた」と指摘した。

 判決によると、男児は平成19年1月14日、鹿児島県内の自宅で座った状態から転倒し、床で頭を打った。市立病院に運ばれ入院したが、翌15日朝、診察中に医師らが目を離した隙に、柵がない高さ約60~70センチのベッドから床に転落。後遺障害を負って、平成21年に転居先の奈良市から重度の障害者認定を受け、将来も仕事ができなくなった。」


これは私が担当した事件ではありませんが,医師らが,診察中に,高さ70センチの診察台においた生後7か月の男児から目を離すのは,注意義務違反(過失)です.注意義務違反(過失)が明らかでも,転落と後遺症の因果関係が争われると,解決まで年月を要します.それにしても,9年は長いです.
上記テレビ報道では「相当認められる」という言葉がありますが,相当因果関係が認められるという意味です.共同通信は,「川崎聡子裁判長は判決理由で、病院で起きた転落事故の後、男児の容体が急激に悪化したと判断。「事故がなければ重大な後遺障害の発生を回避できた」と結論付けた。」と報じていますので,また賠償金額からも,相当程度の可能性ではなく,高度の蓋然性を認めたものと考えられます.因果関係の認定について参考になる判決です.

【追記】

朝日新聞「入院乳児ベッド転落、鹿児島市が控訴 1億円賠償命令に」(2016年1月28日)は,次のとおり報じました.

鹿児島市立病院で2007年、当時生後7カ月だった男児(9)がベッドから転落して重い後遺症が残ったとして両親と男児が病院を運営する市に損害賠償を求めた訴訟で、市は27日、約1億1350万円の支払いを命じた鹿児島地裁の判決を不服として福岡高裁宮崎支部に控訴した。

 判決によると、男児は自宅で転倒して頭を打ち、市立病院に入院し、翌日に診察用ベッドから転落した。地裁は13日の判決で「(転落)事故が無ければ後遺障害を回避できた」と病院側の過失を認めた。

 鹿児島市の森博幸市長は28日の定例記者会見で「搬送された時点で、患者はすでに重篤だった。(地裁判決で)主張が認められなかったのは残念。今後も裁判の場で主張していく」と述べた。」



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by medical-law | 2016-01-14 06:56 | 医療事故・医療裁判

横紋筋融解症と劇症肝炎でアジルサルタン,アムロジピンベシル酸塩とその合剤の添付文書改訂

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は,昨年12月に添付文書改訂が検討されていることを発表していましたが,厚生労働省は,2016年1月12日,「アジルサルタン」「アムロジピンベシル酸塩」とそれを含む製剤で,横紋筋融解症を18人が発症し,アムロジピンベシル酸塩の投与を受けた2人が劇症肝炎で死亡(このうち1人は副作用で死亡した可能性が否定できない)と発表し,添付文書改訂を指示しました.

これらは,カルシウム拮抗薬のなかでも,L型チャンネルに作用し血管を拡張するという特徴があり,半減期が39時間と長く1日1回の服用ですみ,副作用も少ないことから,現在,よく使われている降圧薬です.
劇症肝炎は,亜急性が多く,「観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」と改訂しましたが,服薬している患者の数が多いので,すべての患者が風邪のような発熱,だるい,ぼんやりしている,という程度の異常に対応できるか,難しいものがあるのではないでしょうか.厚生労働省は「アムロジピンベシル酸塩は、患者向医薬品ガイドを作成する医薬品に特定する。」とのことですが.

今後,L型,T型のチャンネルに作用するカルブロック(アゼルニジピン)などへのシフトが検討されるかもしれません.


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by medical-law | 2016-01-13 05:32 | 医療

ゆかいな若冲・めでたい大観 ― HAPPYな日本美術 ―

ゆかいな若冲・めでたい大観 ― HAPPYな日本美術 ―』展が,広尾の山種美術館で,2016年1月3日(日)~3月6日(日)まで開催されています.
伊藤若冲は,《布袋図》,《恵比寿図》,《群鶏図》,《河豚と蛙の相撲図》, 《仔犬に箒図》, 《伏見人形図》が展示されています.


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by medical-law | 2016-01-12 21:07 | 趣味

Stravinsky,Orchestre De Cleveland,Pierre Boulez ‎,Le Sacre Du Printemps

作曲家・指揮者のピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez)氏が2016年1月5日に亡くなりました.90歳でした.ご冥福をお祈りいたします.

ピエール・ブーレーズ氏の指揮は,無機的で冷たいと言われることがありますが,純粋に美しい音楽を聴くことができます.
1969年録音のクリーヴランド管弦楽団との『春の祭典』(Le sacre du printemps)は衝撃的でした.
指揮者で,音楽がまったく変わります.
ピエール・ブーレーズ氏のストラビンスキーのみならず,ラヴェル,ドビッシー,バルトークも聴きました.
とくに,STAXのコンデンサー型イヤースピーカー(ヘッドフォン)では,隅々まで聞こえ,曲を理解でき,魅了されました.
叙情的なベルリオーズの『幻想交響曲 作品14』は,クリーヴランド管弦楽団の新盤が,細部まで抑制がきいて音楽的完成度が高く,素晴らしいものでした.

なお,『春の祭典』には,1963年のフランス国立放送管弦楽団盤,1991年のクリーヴランド管弦楽団盤,1997年のマーラー・ユーゲント・オーケストラ盤もあります.


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by medical-law | 2016-01-11 12:17 | 趣味

十日戎

今宮戎神社の宝恵駕行列に,三代目中村扇雀さん,九代目市川中車さん(香川照之さん),清原果耶さんや今くるよさんが登場しました.(THE PAGE「大阪で宝恵駕行列 今くるよや市川中車らに大声援」)三代目中村扇雀さんと九代目市川中車さんは,宝塚歌劇団出身の女優さんの御子息という共通点がありますね.
西宮神社の今年の一番福は,兵庫県明石市の高校生でした(NHK「新年恒例「福男選び」 兵庫・西宮神社」).
京都ゑびす神社では,東映の女優さんによる福笹の授与があるそうです.

笹に吉兆(小宝)をつけたり,銅鑼を鳴らしたり,関西の「十日戎」は盛り上がるようです.
関西では,開業の医師や弁護士も,戎様に商売繁盛を願うのでしょうか.それとも,仕事がら繁盛は願わないのでしょうか.


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by medical-law | 2016-01-10 09:41 | 日常

宇和島市立宇和島病院,看護師が興味本位でカルテ閲覧(報道)

愛媛新聞「市立宇和島病院、患者個人情報漏えい 目的外閲覧」(2016年1月9日)は,次のとおり報じました.

「愛媛県宇和島市御殿町の市立宇和島病院は8日、患者の電子カルテを業務目的とは関係ない理由で閲覧して個人情報を院外に漏えいさせたとして30代と40代の女性看護師を停職4カ月に、同患者のカルテを目的外閲覧したとして別の女性看護師4人を減給10分の1、1カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は2015年12月1日付。発表が遅れた理由について病院は「当該患者の公表可否やその範囲の確認などに時間を要した」とし、漏えいした情報の内容を明らかにしていない。
 病院によると、看護師6人は15年9月中旬、救急外来を受診した市内の女性患者の電子カルテを正当な理由なく閲覧。30代と40代の看護師2人が家族に患者の個人情報を口外して院外に拡散した。6人と患者は共通の知人で、漏えいした情報は第三者らを介して患者の耳にも届いた。6人は「興味本位で見た」と説明しているという。
 管理監督責任を問い、梶原伸介院長を文書注意、看護部長と看護師長を訓告、別の看護師長を口頭注意とした。石橋寛久市長は市川管理者を文書注意した。」 


不正閲覧事件は,大崎市民病院だけではなかったのですね.宇和島市立宇和島病院でも同様のことがあったということは,もっとあるのかもしれません.

谷直樹


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by medical-law | 2016-01-09 22:32 | 医療

広島高裁長官川合昌幸氏に,仙台高裁長官河合健司氏に(裁判官人事)

市村陽典仙台高裁長官が1月18日に定年退官するのに伴い,後任の仙台高裁長官に河合健司(かわいけんじ)現さいたま地裁所長を任命するとのことです.
松本芳希広島高裁長官が1月25日定年退官するのに伴い,後任の広島高裁長官に川合昌幸(かわあいまさゆき)現大阪家裁所長を任命するとのことです.私が司法修習生の頃,川合昌幸判事は違う部で右陪席だったのですが,その部の裁判長も一目おく存在でした.納得の人事です.

後の6高裁の長官は,現在,東京高裁長官の倉吉敬氏,札幌高裁長官の金井康雄氏,高松高裁長官の福田剛久氏,名古屋高裁長官の山名学氏,福岡高裁長官の荒井勉氏,大阪高裁長官の菅野博之氏です.
このうち倉吉敬氏が3月に,金井康雄氏が4月に,福田剛久氏が5月に,山名学氏が7月に,それぞれ定年退官となります.つまり,今年は,6人の新高裁長官が誕生することになります.


谷直樹


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by medical-law | 2016-01-09 05:06 | 司法

日弁連会長選,高山俊吉氏 vs.中本和洋氏

今回の日本弁護士連合会(日弁連)会長選挙は,他に立候補者がいなければ,高山俊吉氏(東京弁護士会,75歳)と中本和洋氏(大阪弁護士会,69歳)(五十音順)で戦われます.

高山俊吉氏のサイトはコチラ
中本和洋氏のサイトはコチラ


谷直樹


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by medical-law | 2016-01-06 22:25 | 弁護士会