弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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松江地判平成28年4月25日,薬の過量投与によるせん妄を認め,60万円の慰謝料支払いを命じる

読売新聞「せき止め薬10倍投与、病院に60万支払い命令」(2016年4月26日)は次のとおり報じました.

 「2012年に島根県東部の80歳代の男性が肺がんの治療で松江医療センター(松江市)に入院中、投薬ミスで抗がん剤治療が受けられず、死亡時期が早まったなどとして、遺族が病院を運営する独立行政法人・国立病院機構に約2640万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、松江地裁であった。

 杉山順一裁判長は、投薬ミスと死亡などとの因果関係は認めなかったが、投薬ミスで男性が精神的苦痛を受けたとして、機構側に慰謝料60万円の支払いを命じた。

 判決などによると、男性は12年7月に入院中、薬剤師らのミスで適正量の10倍のせき止め薬を20日間近く投与された。その後、男性は全身の状態が悪化し、予定されていた抗がん剤治療が中止され、同年12月、肺がんのため82歳で死亡した。機構側は投薬ミスの事実は認めていた。

 杉山裁判長は判決で、薬の過剰投与と治療の中止や死亡時期が早まったことなどとの関係性を否定した。一方で、薬の過剰投与が原因で幻覚などが生じる「せん妄」状態になり、看護師らに体を拘束されるなど精神的な苦痛を受けたと認定した。

 判決について松江医療センターの上甲尚史事務部長は「(控訴は)判決文を見て相談したい」とし、原告側の代理人弁護士は「控訴は原告と検討したい」と話した。」


これは,私が担当した事件ではありません.

「薬の過剰投与」と「体調悪化」の因果関係が立証できないと,「体調悪化」と「抗癌剤治療の中止」との因果関係,「抗癌剤治療の中止」と「死亡時期が早まったこと」との因果関係を立証しても,薬の過剰投与と死亡との因果関係が否定されます.したがって,この判決は,一般的に「抗癌剤治療の中止」と死亡との因果関係を否定するものではありません.(抗癌剤の効果については統計に基づく報告がありますので,「抗癌剤治療の中止」と死亡との因果関係は一般に認められます.)

薬の過剰投与が原因で「せん妄」状態になり、看護師らに体を拘束されるなど精神的な苦痛を受けた,として60万円の賠償を認めたことは,重要です.
薬の過量投与が過失にあたること,薬の過量投与によってせん妄が生じたこと,及びせん妄によって拘束されたことを立証できれば,賠償責任を追及することができることが示されたからです.


谷直樹


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by medical-law | 2016-04-27 02:45 | 医療事故・医療裁判

最判平成28年4月21日、未決拘留の拘禁関係に信義則上の安全配慮義務はないとして大阪高裁判決破棄請求棄却

最高裁平成28年4月21日判決は、次のとおりです.

「主 文
1 原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
2 前項の部分につき,被上告人の控訴を棄却する。
3 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。

理 由
上告代理人都築政則ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について

1 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

(1) 被上告人は,平成18年10月23日に器物損壊罪で逮捕された後勾留され,平成19年3月15日,神戸地方裁判所において,建造物損壊罪で懲役1年の判決を受け,これを不服として控訴し,同年5月10日,神戸拘置所から大阪拘置所に移送され,同拘置所に収容されていた。

(2) 大阪拘置所医務部の医師は,平成19年5月14日,被上告人が11食連続して食事をしておらず,同拘置所入所時と比較して体重が5㎏減少しており,食事をするよう指導をしてもこれを拒絶していることから,このままでは被上告人の生命に危険が及ぶおそれがあると判断し,被上告人の同意を得ることなく,鼻腔から胃の内部にカテーテルを挿入し栄養剤を注入する鼻腔経管栄養補給の処置を実施した。その後,カテーテルを引き抜いたところ,被上告人の鼻腔から出血が認められたので,医師の指示により止血処置が行われた。

2 本件は,被上告人が,上告人に対し,被上告人の当時の身体状態に照らして不必要であった上記処置を実施したことが,拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し債務不履行を構成するなどと主張して,損害賠償を求める事案である。国が,拘置所に収容された被勾留者に対し,未決勾拘留よる拘禁関係の付随義務として信義則上の安全配慮義務を負うか否かが争われている。
なお,被上告人は,上記処置の実施につき国家賠償法1条1項に基づく損害賠償も請求していたが,当該請求に係る請求権は時効により消滅したとしてこれを棄却した原判決に対し不服申立てをしなかった。

3 原審は,前記事実関係の下において,次のとおり判断して,被上告人の請求を一部認容した。
拘置所に収容された被勾留者は,自己の意思に従って自由に医師の診療行為を受けることはできない。そして,拘置所の職員は,被勾留者が飲食物を摂取しない場合等に強制的な診療行為(栄養補給の処置を含む。)を行う権限が与えられている反面として,拘置所内の診療行為に関し,被勾留者の生命及び身体の安全を確保し,危険から保護する必要がある。そうすると,拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為に関し,国と被勾留者との間には特別な社会的接触の関係があり,国は,当該診療行為に関し,安全配慮義務を負担していると解するのが相当である。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
未決勾留は,刑訴法の規定に基づき,逃亡又は罪証隠滅の防止を目的として,被疑者又は被告人の居住を刑事施設内に限定するものであって,このような未決勾留による拘禁関係は,勾留の裁判に基づき被勾留者の意思にかかわらず形成され,法令等の規定に従って規律されるものである。そうすると,未決勾留による拘禁関係は,当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上の安全配慮義務を負うべき特別な社会的接触の関係とはいえない。したがって,国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきである(なお,事実関係次第では,国が当該被勾留者に対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う場合があり得ることは別論である。)。

5 これと異なる原審の上記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,被上告人の請求は理由がなく,これを棄却した第1審判決は是認することができるから,上記部分に関する被上告人の控訴を棄却すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 山浦善樹 裁判官 池上政幸 裁判官大谷直人 裁判官 小池 裕)」


これは、私が担当した訴訟ではありません.
上告代理人の都築政則氏は,現在新潟地裁所長で,本件は法務省大臣官房訟務総括審議官のときの上告です.

私たちは、通常、自分の意思で病院を受診し、診療を受けています.
ところが、未決拘留されている者が診療を受ける場合は、診療契約はありません.
そこで、信義即に基づく安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求したのがこの事案です.
大阪地裁は損害賠償請求を棄却し、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は50万円の賠償を命じました。
大阪高裁は、拘置所の職員は,強制的な診療行為を行う権限が与えられていつため、その診療行為の危険から被勾留者の生命及び身体の安全を確保し保護する必要があるから、診療行為に関し国と被勾留者との間には特別な社会的接触の関係があり,国は安全配慮義務を負担している、と解釈しました.
そして、最高裁は、この解釈を否定しました.未決勾留による拘禁関係は、勾留の裁判に基づき、法令等の規定に従って規律されるものであるから、未決勾留による拘禁関係は,当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上の安全配慮義務を負うべき特別な社会的接触の関係とはいえない、というのが、その理由です.
ただし、国家賠償法1条1項の要件を満たすときは、同条に基づく損害賠償責任を負う場合があることを示唆しています.
国家賠償法1条1項は,「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定しています.「公権力の行使」は広く解釈されていますので,強制治療もこれにあたります.
つまり、請求の立て方(法律構成)によっては、損害賠償を認める余地がある、ということです.


谷直樹


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by medical-law | 2016-04-22 00:01 | 医療事故・医療裁判

小久保孝雄氏,京都地裁所長から高松高裁長官へ

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5月6日付で定年退官する福田剛久高松高裁長官の後任には,小久保孝雄氏(司法修習33期・現京都地裁所長)を高裁長官をあてる,とのことです.
なお,4月12日に定年退官した金井康雄札幌高裁長官の後任は,綿引万里子氏(司法修習32期)でした.綿引万里子氏は,中大真法会で若くして合格しましたので,32期ですが,8高裁長官のなかで最も若い長官です.
この次は,7月の山名学氏の定年退官に伴なう名古屋高裁長官,8月の菅野博之氏の最高裁判事就任に伴なう大阪高裁長官の人事が注目です.

【追記】
小久保孝雄氏の後任の人事は次のとおりです(発令は5月10日).

石井寛明氏 大阪高裁部総括判事→京都地裁所長
高橋譲氏 福島地裁所長→大阪高裁部総括判事
秋山敬氏 静岡地家裁浜松支部長→福島地裁所長

東京地裁医療集中部に長くいた高橋譲判事が大阪高裁部総括になりました.

【歳追記】
玉突き人事の続きです.

田中寿生氏 横浜地裁部総括判事→静岡地家裁浜松支部長
新谷晋司氏 東京高裁判事→横浜地裁部総括判事


谷直樹


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by medical-law | 2016-04-21 02:11 | 司法

日本肝胆膵外科学会、死亡率高い8病院に改善案提出を求める

読売新聞「肝胆膵外科学会、死亡率高い8病院に改善案要求」(2016年4月17日)は次のとおり報じました.

 「群馬大学病院で手術後に患者の死亡が相次いだ問題を受け、全国の病院を調査していた日本肝」胆膵(かんたんすい)外科学会は16日、死亡率が高く問題のある8病院に改善案を提出させることを決めた。

 このうち3病院は特に問題が大きいとして、学会が初の実地調査を行う。」


腹腔鏡の使用の有無を問わず12~14年の死亡率が5%以上だった病院8施設のことでしょう.


谷直樹


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by medical-law | 2016-04-19 00:52 | 医療事故・医療裁判

千葉地裁に助産院(助産師)の医療過誤に基づく損害賠償請求訴訟提訴

千葉日報「転医させず出産で障害 両親らが助産院提訴」(2016年04月17日)は、次のとおり報じました.

「出産した男児(2)が脳性まひとなったのは産婦人科医に転医させなかったためなどとして、千葉市内の男児と両親が、八千代市内の助産院を相手取り慰謝料など計約160万円の損害賠償を求める訴えを、千葉地裁に起こした。提訴は3月10日付。

 訴状によると、男児の母親は2014年5月から同助産院に通院し、8月の妊婦検診時で胎児発育不全の可能性があると指摘された。母親は医療機関受診の必要性を尋ねたが、同助産院は「神経質すぎる」などと取り合わなかった。母親は同年9月22日午前3時25分に同助産院で男児を出産したが、男児は出生直後から呼吸不全となった。救急隊が到着する同3時51分までの間、蘇生措置は行われず、低酸素状態が続いたため脳性まひとなったなどとしている。

 原告側は「適切な呼吸管理が行われなかったため重篤な後遺障害が生じた」と主張している。

 同助産院は「まだ何も連絡が来ていないので分からない」とコメントした。」



160万円は、全額ではなく、一部請求です.

谷直樹


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by medical-law | 2016-04-19 00:07 | 医療事故・医療裁判

厚労省、病院の耐震改修状況調査の結果順調に推移とのことですが

厚労省は、平成28年4月13日、平成27年の災害拠点病院等の耐震化率は84.8%と、順調に推移している、と発表しました.

「平成27年調査結果のポイント】
○ 病院の耐震化率は、69.4%(平成26年調査では67.0%)
○ このうち、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院及び救命救急センターの
耐震化率は、84.8%(平成26年調査では82.2%)

国土強靱化アクションプラン2015(平成27年6月16日国土強靱化推進本部決定)において、平成30年度までに災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率を89.0%とする目標を定めています。(平成28年度には耐震化率 87.8%となる見込みです。)」


確かに目標達成に近づいていますので、順調と発表したのでしょう.
この発表の翌日に熊本で地震がおき、熊本市民病院(500床)の天井が落ち、避難することとなったのは周知のとおりです.

毎日新聞によると「市は15年度に12階建て免震病棟を着工する計画だったが、133億円だった建設費の見積もりが資材高騰などで209億円に膨らみ、大西一史市長が昨年1月に着工延期を表明した。」とのことです.
たしかに209億円は多額ですが、着工が遅くなって高くなったから延期するというのでは、さらに高くなり悪循環でしょう.

そもそも、災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率が100%でなくてよい,達成も先でよい,という目標設定が問題でしょう.

政府は、緊急事態条項がないことを問題にしていますが、緊急事態条項がないことで具体的にどのような不都合があったというのでしょうか.
病院の耐震化は、改憲より急ぐべき課題と思います.

熊本や八代には何度も足を運びましたから、熊本や八代の今の状況は大変気がかりです.
報道をみると、車中泊避難者が少なくないようで、 深部静脈血栓症・肺塞栓・エコノミークラス症候群も心配です.

【追記】

読売新聞「4医療施設で建物損壊の危険、7施設で連絡不能」(2016年4月17日)は「熊本市民病院など4施設が建物損壊の危険があり、東熊本病院など30施設が電気、水道、ガスの供給が困難になっている。連絡の取れない施設も7か所ある。」「熊本県内の人工透析94施設のうち、少なくとも27施設で透析ができなくなった。」と報じました.

西日本新聞「熊本地震 市民病院被災周産期医療に打撃 妊婦年100人県外搬送へ」(2016年5月1日 )は、次のとおり報じました.

「熊本地震で熊本市民病院(同市東区)の総合周産期母子医療センターが損壊したため、年間150人近く、高度な医療措置が必要とされる妊婦や新生児の受け入れが困難になり、福岡などへの県外搬送を余儀なくされることが関係者の試算で分かった。同センターは熊本県における周産期医療の中核施設。全国的に産科医や新生児集中治療室(NICU)の不足が慢性化しており、九州全域への影響も懸念される。

 胎児の異常や切迫流産などに24時間対応でき“最後の砦(とりで)”と呼ばれる「総合周産期母子医療センター」が災害で機能不全に陥ったのは全国で初めてという。同病院新生児内科部長の川瀬昭彦医師は「一刻も早く新築するしかないが、数年かかる可能性もある。妊婦受け入れなど九州全体に影響が出かねない。周産期医療に限れば、東日本大震災以上に深刻だ」としている。

 同病院によると、4月16日の「本震」による震度6強の揺れで建物が損傷し、入院患者が退避。同センターも入院診療が不能となり、入院していた新生児38人のうち17人が県内、21人が福岡、佐賀、宮崎、鹿児島各県へ搬送された。

 同病院は低出生体重児や重病の新生児42人が入院でき、熊本県内で唯一、九州でも4カ所しかない新生児心臓手術ができた。昨年はハイリスクの妊婦約200人と先天性心疾患の新生児58人を県内外から受け入れた。

 県内の医療従事者でつくる熊本地震新生児医療連絡会で示された試算では、同病院の被災により、県内の新生児病床は113床から71床に減少。県内で年間100人近くの妊婦と重症新生児50人前後の受け入れが困難となり、福岡県などに搬送される見通しという。

 一方、九州で最も産婦人科施設が多い福岡都市圏でも、重症新生児らの受け入れ要請を断らざるを得ない事例は日常的。福岡県が県内のセンター7施設などを対象に行った調査では、2012年11月から3カ月間、324件の受け入れ要請のうち67件(21%)を断っていた。同県産婦人科医会の長野英嗣常任理事は「九州各県の施設が連携して長期的に支援する必要がある」と話す。

 出産前後の周産期医療の中核として、通常の産婦人科で対応できないハイリスクな母子を主に受け入れる施設。母体胎児集中治療室(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)を備えた大学病院や大規模病院を対象に、都道府県が指定する。厚生労働省によると、2015年4月現在、全国では104施設、九州7県では福岡7▽熊本2▽佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島各1-の計14施設がある。」



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by medical-law | 2016-04-17 01:31 | 医療

東地判平成28年4月11日,新宿セントラルクリニックの性病診断,詐欺と評価(報道)

産経新聞「性病と虚偽診断、また賠償命令 新宿のクリニック院長」(2016年4月11日)は,次のとおり報じました.

「東京都中野区の男性(37)が、東京都新宿区の「新宿セントラルクリニック」で性感染症とするうその診断を受けたとして、院長に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(手嶋あさみ裁判長)は11日、「詐欺と評価されてもやむを得ない」と指摘し、約75万円の支払いを命じた。このクリニックに対しては、同様の訴訟で賠償を命じる判決が相次いでいる。

 判決によると、男性は2013年6月、クリニックでクラミジア感染症と診断。処方薬を服用していたが症状が改善せず、14年8月に別の医療機関でクラミジアではないと告げられた。

 クリニックは「担当者がおらずコメントできない」とした。」


同様の判決が続いていますが,未提訴の被害者は多いものと思われます.


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by medical-law | 2016-04-12 03:26 | 医療事故・医療裁判

大阪地判平成28年4月8日,獣医師の免疫抑制剤投与量調整の過失認め,因果関係を認めず請求棄却(報道)

テレビ関西「愛犬の死に「医療ミス」認めず 大阪地裁判決」(2004年8 月23日)は,次のとおり報じました.

 「かわいがっていた飼い犬が死んだのは、動物病院で処方された薬の副作用が原因だとして飼い主が病院を訴えていた裁判で、大阪地裁は飼い主の訴えを退ける判断を示しました。

 元気だった頃の柴犬の「けんしろう」。

 大阪府内の飼い主が大切に育ててきました。

 「いろんな所に行くにも、車に一緒に乗せて旅行にも行っていた。家族同然の存在だった」(けんしろうの飼い主)

 異変が始まったのは2歳になった頃、体が硬直するような発作を起こすようになったため、近くの動物病院を受診。

 免疫抑制剤の投与などの治療を受けましたが、その4か月後に死にました。

 飼い主は、死因は免疫抑制剤の副作用で、投与の際に副作用の説明もなかったなどとして、動物病院に対してあわせて約470万円の損害賠償を求めていました。

 8日の判決で大阪地裁は、「薬の投与には副作用の有無を確認しながら量を調整すべきだった」と獣医師の過失は認めたものの、「投薬との因果関係を認めることは困難だ」として訴えを棄却しました。

 「すごく悔しい気持ちが今はありますので、残念だったということを(犬に)伝えます」(けんしろうの飼い主)

 飼い主側は控訴する方針です。」

これは,私が担当した裁判ではありません.
私は,以前犬の医療過誤の裁判を2件担当しましたが,今は動物医療過誤については取り扱っていません.

報道の判決は,免疫抑制剤の投与に際し,副作用の有無を確認しながら量を調整すべき義務を怠ったことを認めながら,免疫抑制剤の副作用に因る死亡と認定できないとしたものです.
しかし,副作用に因る死亡であることが立証できなかったのは,獣医師が副作用の有無を確認していなかったためです.過失が大きいために因果関係が立証されていないとして請求が棄却されるのは甚だ疑問です.副作用の有無を確認しながら量を調整すべき義務を怠った事実から,副作用に因る悪しき結果が発生したことは推定できる,と考えるべきでしょう.
最判平成21年3月27日(判タ1294号70頁、判時2039号12頁)は,医師に麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失を認め,その過失と死亡との間の相当因果関係を認定しました.もし投与量を適切に調整したとしても死亡を避けることができなかったという事情があるとすれば,その事情は医療機関側が主張・立証すべきであるが,その立証がない,として,事実上の立証責任の転換を行ない,原審判決を破棄しました.
上記報道の事案もこの最高裁判決と同様に考えられるでしょう.


谷直樹


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by medical-law | 2016-04-09 04:53 | 医療事故・医療裁判

戸倉三郎氏東京高裁長官へ、今崎幸彦氏最高裁事務総長へ

倉吉敬東京高裁長官(司法修習28期)の定年退官に伴う玉突き人事はつぎのとおりです.
戸倉三郎氏(34期) 最高裁事務総長から東京高裁長官へ
今崎幸彦氏(35期) 水戸地裁所長から最高裁事務総長へ 
垣内正氏(38期) 甲府地裁所長から水戸地裁所長へ
岡本岳氏(32期) 札幌高裁部総括判事から甲府地裁所長へ
竹内純一氏(33期) 旭川地裁所長から札幌高裁部総括判事へ
戸田久氏(38期) 名古屋高裁判事から旭川地裁所長へ

倉吉敬前東京高裁長官の後任は、やはり戸倉三郎最高裁事務総長(司法修習34期・61歳)でした.
菅野博之大阪高裁長官(28期)が次の最高裁判事となるでしょう.

そして、新しい最高裁事務総長には、今崎幸彦氏(司法修習35期・58歳)が就きました.
今崎氏は、最高裁事務総長を経て、いづれは高裁長官、最高裁判事となることでしょう.
時事通信によれば、「最高裁で記者会見し、「裁判所全体の運営に関する説明責任を果たしたい」と抱負を述べた。最高裁が検証を進めている、ハンセン病患者の裁判を隔離施設の「特別法廷」で行っていた問題については、「できる限り4月中には報告書を公表したい」と語った。」とのことです.

なお、最高裁事務総長に就任した際に記者会見を開くのは、最近で、大谷直人氏(29期・現最高裁判事)以降です.


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by medical-law | 2016-04-08 01:10 | 司法

精神科・神経科の専門病院でインフルエンザA型集団感染し患者3人が死亡(報道)

時事通信「インフル院内感染で3人死亡=准看護師ら原因-静岡」(2016年4月5日)は,次のとおり報じました.

「静岡県河津町の河津浜病院(奥脇和夫院長)は5日、2月に入院患者23人と職員5人がインフルエンザA型に集団感染し、60代~70代の男性患者3人が死亡したと発表した。3月にも入院患者8人と職員1人が同B型に集団感染したが、重症者はいないという。
 同病院によると、2月初めにインフルエンザに感染した女性准看護師が夜勤を行ったのが原因で、胸部大動脈瘤(りゅう)など重度の症状を抱えていた患者3人が同月21~27日、急性肺炎の合併症を起こし死亡した。 
 感染は3月22日に一度終息したが、その後、男性看護助手を通じ入院患者8人がB型に感染。患者の隔離や投薬などの対応を行っているという。」



中日新聞「インフル集団感染、3人死亡 河津町の病院」(2016年4月6日)は,次のとおり報じました.

「河津町川津筏場の河津浜病院で二~三月、入院患者と職員の計二十八人がインフルエンザに集団感染し、うち六十~七十代の男性患者三人が死亡したことが分かった。病院が五日公表した。

 病院と県賀茂保健所によると、感染したのは三十~八十代の入院患者二十三人と職員五人。二月八日に女性職員が最初にインフルエンザA型の診断を受けた。死亡したのは、六十三歳の男性が二月二十一日、七十二歳の男性が同二十三日、七十八歳の男性が同二十七日、いずれも急性肺炎で死亡した。院内感染で拡大したとみられる。病院が県に三人死亡を報告したのは、A型の院内流行が終わったと判断した三月二十二日だった。

 河津浜病院は精神科・神経科の専門病院。五日現在で入院患者は百五十九人、職員は百三人に上る。現在は患者・職員計九人がインフルエンザB型の診断を受けているが、重症者はいない。病院の担当者は「報告と公表が遅れ、申し訳ない。院内感染の対応マニュアルの見直しを検討したい」と話した。」



このような精神科・神経科の専門病院では,患者が自覚症状を訴えるまで待っていたのでは対応が遅れてしまうこともあると思いますので,入院患者の健康チェックが重要です.

施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要ですので,施設の従業員は,日頃から健康管理につとめ,インフルエンザ様症状を呈した場合には症状が改善するまで就業を控えることも必要でしょう.

本件で,インフルエンザに罹患した患者に対し良質かつ適切な医療の提供ができていたか,蔓延防止のために必要な措置がすみやかにできていたか,再発防止のために調査が必要でしょう.



谷直樹


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by medical-law | 2016-04-06 22:59 | 医療事故・医療裁判