弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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赤ちゃんの急死を考える会,「『保育死亡事故』防止のための緊急提言」

しんぶん赤旗「うつぶせ寝」禁止 徹底を 保育事故防止 遺族ら提言」(2016年9月13日)は,次のとおり報じました.
 
「保育施設で子どもを亡くした遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」は12日、相次ぐ死亡事故を防止するための緊急提言を国へ提出しました。重大事故の原因となる「うつぶせ寝」の禁止を徹底し、子どもが睡眠中の部屋を保育者不在にしないよう求めました。

 同会によると、2015年9月からの1年間で8件の死亡事故が保育施設で起きており全員が0~1歳児です。うち6人は睡眠中に心肺停止で発見され、搬送先の病院で死亡が確認されています。

 同日都内で会見した同会の小山義夫副会長は、うつぶせ寝で、子どもが寝ている部屋に保育者がいないなど「共通した状況で事故は起きている」と指摘。要望した「2点を守るだけで死亡事故は減らせると確信している」と話しました。

 寺町東子弁護士は、国が定める保育士の配置基準を満たしている施設でも多くの死亡事故が起きているとして、基準の見直しを強調。保育所への抜き打ちの立ち入り調査の義務化も必要だと訴えました。

 保育事故をめぐっては今年3月、国は事故防止のガイドラインを発表。しかし「周知されていない」「人員不足で徹底できない」といった声が、保育現場などからあがっています。」


 赤ちゃんの急死を考える会の「『保育死亡事故』防止のための緊急提言」は,次の内容です。

「9月3日付けの新聞等報道で、新たに2件(千葉県君津市の認可外施設、東京都板橋区の認可保育園)の保育死亡事故が生じていたことがわかりました。詳しい状況や原因は明らかにされていませんが、それぞれ0、1歳児が睡眠中に心肺停止状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認されています。

当会が把握しているだけでも、2015年9月からの1年間に同様の事故が6件起こっています(資料1)。睡眠中の乳幼児心肺停止事例には共通した状況があり、中でも特徴的なものとして【子どもがうつぶせ寝の状態であった】【子どもが寝ている部屋に保育者が(一定時間)不在であった】ことがあげられます。

今年3月に通知された「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」には、『1事故の発生防止(予防)のための取組み(1)安全な教育・保育環境を確保するための配慮点等』として、【仰向けに寝かせること】【何よりも、一人にしないこと】【寝かせ方に配慮を行うこと】【安全な睡眠環境を整えること】が明記されています。それにもかかわらず、未だに保育の現場ではうつぶせ寝が行われており、長時間に渡って保育者の観察がないなどの状況下で、死亡事故が起こり続けています。

「保育現場が大変」「保育士が足りない」等の状況があることは承知しておりますが、“あずかっている子どもの命と安全を守ること”は保育の最低条件です。これ以上の重大事故を防ぐためにも、認可・認可外問わず全ての保育施設や事業に国の責任で以下の2点を緊急に周知徹底していただくことを望みます。


・0~1歳児は絶対にうつぶせに寝かせないこと(寝返りした場 合も仰向けにする) │
・子どもが睡眠中の部屋を保育者不在にしないこと


「弁護士寺町東子が行く」に,このときの意見交換について書かれています.

保育施設での死亡事故(保育死亡事故)の7割は午睡中の死亡なので,0-1歳児の午睡中の①うつぶせ寝と、②保育士不在を無くせば,保育死亡事故の7割は無くせるとのことです.
具体的な手段として,次の4点が書かれています.

手段1  保育施設への午睡中の抜き打ち立入調査(さいたま市方式)
手段2 立入調査時の保育士の欠員/不在・午睡中の状況に関する指摘事項の公表
手段3 1歳児の保育士(保育者)配置基準を3:1に上乗せする
手段4 以下の2点を周知するポスターを午睡室内に張り出すよう各施設に配布
  ・0~1歳児は絶対にうつぶせに寝かせないこと(寝返りした場合も仰向けにする)
  ・子どもが睡眠中の部屋を保育者不在にしないこと


このような提言が確実に実行されることを期待いたします.



谷直樹


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by medical-law | 2016-09-29 10:40 | 人権

最高裁,裁判官がハンセン病について学ぶ研修実施へ(報道)

NHK「裁判官がハンセン病を学ぶ研修実施へ」(2016年9月23日)は次のとおり報じました.

「かつて裁判所がハンセン病の患者の裁判を隔離された療養所などで開いていた問題を受けて、最高裁判所は、裁判官の人権意識を高めるため、ハンセン病について学ぶ研修を行うことを決めました。

昭和20年代から40年代にかけて、ハンセン病の患者の裁判のうち95件が隔離された療養所などの「特別法廷」で開かれた問題で、最高裁判所はことし4月、「差別的に扱った疑いが強く、患者の人権と尊厳を傷つけた」とする検証結果を発表し、謝罪しました。また、最高裁が設置した有識者委員会からは、裁判官や職員の研修を直ちに実施すべきだという提言を受けました。
このため、最高裁は、裁判官を対象にした人権に関する研修を司法研修所で行うことを決めました。具体的には、任官から10年たった裁判官の研修を来年2月に行う際に、ハンセン病政策の歴史に詳しい専門家を招き、講演をしてもらう予定だということです。
また、これとは別に、裁判官がハンセン病の療養所を訪問し、元患者と話し合う研修なども検討しているということです。
最高裁は「裁判所自身が差別を助長する運用を行っていたハンセン病患者の人権問題を取り上げて研修を行うことで、裁判官の人権意識が一層高まることを期待している」と話しています。」




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by medical-law | 2016-09-26 13:17 | 司法

岡山県が受動喫煙防止対策検討委員会設置へ(報道)

山陽新聞「岡山県が受動喫煙防止に検討委 知事が設置方針、効果的対策を協議」(2016年9月21日)は,つぎのとおり報じました.

「蓮岡氏は、受動喫煙した場合の肺がんになるリスクが、しない場合に比べ約1・3倍になるとの分析結果を国立がん研究センターが示したことを踏まえ、対策を急ぐよう要望。伊原木隆太知事は「新たに県民や事業者などを交えた検討委員会を設け、効果的な防止策について、さまざまな観点からしっかり議論していただきたい」と答えた。

 県は医師や薬剤師、大学教授らとつくる「健康おかやま21推進会議」で、たばこの健康被害防止策を含む健康づくり施策を検討。受動喫煙防止では禁煙や完全分煙した施設の認定制度を設け、3月末現在で2552施設を認定している。

 新たな検討委は受動喫煙の防止策を中心に議論。構成メンバーや設置時期は今後、調整する。」


受動喫煙防止条例を制定いただきたいと思います.




谷直樹


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by medical-law | 2016-09-25 21:39 | タバコ

神奈川県警が点滴から異物を体内に入れた殺人事件と断定(報道)

NHK「点滴に異物混入で入院中の男性死亡 殺人容疑で捜査 横浜」(2016年9月23日)は、次のとおり報じました.

「今月、横浜市神奈川区にある病院で、入院していた88歳の男性が死亡し、警察が遺体を詳しく調べたところ、中毒死の疑いで死亡していたことがわかりました。警察は、何者かが点滴に異物を混入した疑いがあると見て、殺人の疑いで捜査を進めています。
今月20日午前5時前、横浜市神奈川区にある「大口病院」で、入院していた横浜市港北区の八巻信雄さん(88)が死亡しました。警察によりますと、八巻さんは亡くなるおよそ50分前の午前4時ごろに心拍数が急激に低下したということです。

病院からはその日の午前中に「点滴に異物が混入した可能性がある」と通報があり、警察が遺体を詳しく調べたところ、中毒死の疑いで死亡していたことがわかりました。このため警察は、何者かが点滴に異物を混入した疑いがあると見て、殺人の疑いで特別捜査本部を設置し、捜査を進めています。

警察によりますと、八巻さんは今月14日から入院していて、看護師が点滴を最後に交換していたのは、亡くなる前日の午後10時ごろだったということです。警察は病院関係者などから事情を聞くなどして捜査を進めています。また、警察は、今月18日以降にこの病院で亡くなり、病死と診断された高齢の3人の患者についても、改めて遺体の状況や死因を詳しく調べています。

病院は

大口病院の男性職員が午後11時半ごろ、病院の前で報道陣の取材に応じ、今回の事件について「大変なことが起きたという思いでいっぱいです」と述べました。そのうえで、今後の対応について「病院としては現在、警察に協力し、捜査の進展を見守っているところです。あす、弁護士と相談したうえで、病院の状況を説明したい」と話しました。」


日本経済新聞「点滴に異物?患者中毒死 横浜の病院、殺人容疑で捜査」82016年9月23日)は、次のとおり報じました.

「捜査関係者によると、異物は医療機関で一般的に使われて「いる薬剤類とみられるという。県警が詳細を調べている。
 八巻さんの部屋は4階にあり、計6人が入院。夜間は看護師2人が同階の当直に当たっており、八巻さんの点滴を交換したのは19日の午後10時ごろだった。病院の入り口は午後5時以降は警備員が常駐しており、部外者の立ち入りは原則できない状況。捜査関係者によると、八巻さんの家族を含め、事件の近辺の時間帯に第三者が病院に立ち入った記録は残っていないという。」


午後9時以降玄関は施錠されていたとのことです.
犯人は強制的な安楽死を企図したのでしょうか.
警察の捜査に期待します.

【追記】

毎日新聞「横浜・患者死亡>警察にトラブル相談 横浜市にもメール」(2016年9月24日)は、次のとおり報じました.  

「横浜市神奈川区の大口病院に入院中の八巻信雄さん(88)が点滴に異物を混入されて殺害されたとされる事件で、約2カ月前に同病院に関するトラブルを訴えるメールが横浜市に届いていたことが24日、市への取材で分かった。同様の相談が神奈川県警神奈川署の窓口にもあり、捜査本部が事件との関連について調べている。

 横浜市によると、7月5日に健康福祉局監査課に「看護師のエプロンが切り裂かれた事案と患者のカルテが紛失した事案が発生した」というメールが届いた。また、8月12日には「病棟で漂白剤らしきものが飲み物に混入し、それを飲んだ看護師の唇がただれた」というメールも届いた。

 いずれも同一人物からのメールとみられ、監査課は医療安全課に転送。医療安全課は送信者とメールで連絡を取った上で、年1回、医療法に基づいて実施する9月2日の定期的な検査の際に病院に事実確認をした。病院側がエプロンが切り裂かれたり飲み物に漂白剤が混入されたりしたトラブルがあったことを認めたため、口頭で注意を促し、再発の防止を求めた。

 しかし、市はトラブルの日時や誰が関係したかという詳細な中身まで踏み込んで聞き取りをしていなかったという。一連の対応について、市医療安全課は「適切に対応した。ただし、事件が起きてしまったので、できるだけ速やかに臨時の立ち入り検査をすることも検討したい」とした。

 捜査関係者によると、2通目のメールが市に届いた時期と前後して、今年8月に県警神奈川署の一般窓口にメールとは別の病院関係者から「病院の職員間で嫌がらせがある」という趣旨の相談が寄せられていた。職員が飲んでいたペットボトルの飲料に異物が混入されるなどのトラブルを訴えたとみられる。

 八巻さんの長男(56)は弁護士を通じ、「突然このような事態に巻き込まれて、心の中が混乱し、何も整理できていません。今後は、警察の捜査の進展を待ちたいと思います」とのコメントを出した。【国本愛、水戸健一】





谷直樹


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by medical-law | 2016-09-24 00:27 | 医療事故・医療裁判

国立病院の看護師が架空の血糖値をカルテに記入し、10倍量のインスリンを投与し、患者死亡(報道)

朝日新聞「10倍のインスリン投与、80代女性死亡 長崎の病院」(2016年9月23日)は、次の通り報じました.

国立病院機構長崎川棚医療センター(長崎県川棚町)は23日、80代の女性患者に糖尿病治療薬のインスリンを必要量の10倍投与する医療ミスがあったと発表した。女性はその後死亡。解剖ができておらず因果関係は不明だが、病院側は女性が回復傾向にあったとして、過剰投与と死亡に「なんらかの影響があった」とみている。病院側はミスについて県警に届け出た。

 医療センターによると、女性は糖尿病などを患い、8月8日に入院。インスリンを含む栄養補給の点滴を受けていた。8月30日夜に、20代の看護師が医師の指示の10倍の量のインスリンを点滴で投与。女性は点滴から約8時間後の31日朝に死亡が確認された。看護師は専用の注射器を使わず、センターの手順で定められている複数人でのチェックも怠っていた。看護師は点滴を通してのインスリン投与は初めてだったが「自分一人でもできると思った」と話しているという。また、女性の血糖値を測定せずに架空の数値をカルテに記録していたことも判明。看護師は「女性の状態が安定していたので異状はないと思って測定しなかった」と話しているという。」


このような事例でも刑事責任を問えないのでしょうか.
警察、検察の対応に注目したいと思います.




谷直樹


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by medical-law | 2016-09-24 00:15 | 医療事故・医療裁判

医療事故情報センターが 10月1日(土)午前10時~午後3時に「医療事故調査制度110番」を行います

「医療事故調査制度110番」
日時    2016年10月1日(土)午前10時~午後3時
受付電話番号  052-951-1731(全国共通番号)
対象  平成27年10月1日以降に医療事故で患者さんを亡くされたご遺族の方(お住まいの地域を問いません)

詳しくは,コチラ



谷直樹


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by medical-law | 2016-09-23 07:57 | 医療事故・医療裁判

玉突き人事で,東京地裁医療集中部(民事30部)の部総括判事が異動

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水戸家裁所長桐ケ谷敬三氏(第29期)の定年退官に伴う人事です

水戸家裁所長に中山顕裕氏(第33期)(仙台高裁部総括判事)
仙台高裁部総括判事に市村弘氏(第36期)(横浜地裁部総括判事)
横浜地裁部総括判事に本多知成氏(第39期)(東京地裁部総括判事)
東京地裁部総括判事に渡部勇次氏(第40期)(東京高裁事務局長)
東京高裁事務局長に吉崎佳弥氏(第45期)(東京高裁判事)

東京地裁民事30部(医療集中部)の部総括判事が,本多知成氏(第39期)から渡部勇次氏(第40期)に交替しました.最高裁は,東京地裁医療集中部には裁判官のなかでもとくにできる人を配置しているようですので,渡部勇次氏も優秀な判事だと思います.
なお,14部以外の東京地裁医療集中部は,35部の部総括判事が矢尾和子氏(39期),34部の部総括判事が相澤眞木氏 (40期),14部の部総括判事が手嶋あさみ氏(43期)です.



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by medical-law | 2016-09-20 22:58 | 司法

群馬大学附属病院が一部の遺族に補償支払いの意向を示す(報道)

NHK「群馬大 死亡患者の一部の遺族に補償金支払い伝える」(2016年9月16日)は、つぎのとおり報じました.

「群馬大学附属病院で腹くう鏡などの手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、病院側が一部の遺族に対して補償金を支払う考えを伝えていることがわかりました。
この問題は、群馬大学附属病院で40代の男性医師による腹くう鏡などの手術を受けた患者が術後に相次いで死亡したもので、大学の調査委員会はことし7月、病院全体の診療態勢に不備があったとする調査報告書をまとめています。
報告書を受けて大学側は、先月から調査の対象になった50人の遺族に個別に説明を行っていて、このうち一部の遺族に対し、病院側に問題があったことを認めたうえで、補償金を支払う考えを伝えていることがわかりました。病院によりますと、患者ごとに過失の度合いに違いがあると見られ、補償金の額など対応は一律ではないとしていますが、病院側は「誠実に対応したい」としています。
一連の問題が発覚したあと、病院側による遺族への補償の動きが明らかになるのは、これが初めてです。

一方、遺族の弁護団の梶浦明裕弁護士は「今後、手術を担当した医師とその上司の元教授が、遺族に対して真相をしっかりと説明するかどうか見極めたうえで、補償に応じるか、それとも訴訟に踏み切るかを検討したい」と話しています。」


示談で終わるか,訴訟となるか,は,群馬大学側次第のようです.






谷直樹


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by medical-law | 2016-09-16 22:58 | 医療事故・医療裁判

岡山大学病院,副作用の説明を怠り副作用発現後適切な処置を行わなわず視力低下となった事案で和解(報道)

NHK「視力低下めぐる訴訟 岡山大が解決金支払い和解」(2016年9月14日)は,次のとおり報じました. 

「岡山市の56歳の男性が、岡山大学病院で糖尿病による目の病気の治療を受けたあとに、視力が著しく低下したと訴えた裁判で、岡山大学は、適切な処置を行わなかったことが視力の低下につながったと認め、男性に1300万円を支払うことで、14日、和解が成立したことが関係者への取材でわかりました。

岡山市の56歳の男性は、去年4月、糖尿病による網膜症のため、岡山大学病院で左目に薬を注射するなどの治療を受けたあと、副作用と見られる目の痛みや頭痛の症状が出て、再度受診しましたが、適切な処置が無かっため左目の視力が0.01に下がり、日常生活に支障が出たとして、岡山大学に賠償を求める裁判を起こしました。

男性の弁護士などによりますと、岡山大学は治療前に副作用の説明を怠ったことや適切な処置を行わなかったことが視力の低下につながったと認め、解決金として1300万円を支払うことで、14日和解が成立したということです。

日本眼科学会によりますと、糖尿病による網膜症の国内の患者数は、およそ300万人と推計されています。
和解した男性は、「病院には、患者の人生を預かっているということを改めて認識してもらい、今後、このようなことがないようにしてもらいたい」と話しています。岡山大学は、「和解が成立した案件なので、コメントは差し控える」としています。」


これは,私が担当した事案ではありません.
ただ,糖尿病による網膜症のため左目に薬を注射するなどの治療を受けたと上記報道にありますので,糖尿病による増殖網膜症に伴う血管新生緑内障治療のために抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬を硝子体に注射した事案だと思います.
抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の眼内注射には,感染,出血の危険があり,視力低下の副作用も知られています.
糖尿病による増殖網膜症でも視力低下がおきますが,報道の件は,抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬を注射したあとに目の痛み,頭痛の症状が出ていることから,抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の副作用により視力低下がおきたものと考えられます.抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の副作用による視力低下でも,眼科医の対応によっては責任が生じる場合があり,報道の件は,その1例だと思います.






谷直樹


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by medical-law | 2016-09-16 06:17 | 医療事故・医療裁判

名古屋大学医学部附属病院,CT読影で経過観察の必要性を指摘された患者の経過をみなかった例で謝罪

名古屋大学医学部附属病院は,2016年9月13日,「2年前のCT読影コメントで指摘された陰影が経過観察されず、肺癌の治療が遅れた事例について」を発表しました.

「名古屋大学医学部附属病院(以下「当院」という)において,2014年6月に行われたCT の読影レポートで指摘された陰影が経過観察されず,肺癌の診断・治療が遅れたと考えられる事例が発生しました。患者さんは2016年7月にお亡くなりになりました。

 当事例は2016年3月に医療の質・安全管理部に報告され,同年3月及び4月の「医療の質向上と安全推進委員会(委員長:長尾能雅副病院長)」において審議されました。その結果,当事例についての第三者専門家による詳細な検証が必要と判断し,石黒直樹病院長に事例調査委員会の開催を進言しました。これを受け石黒病院長は,複数の外部専門家を主体とする事例調査委員会の招集を指示しました。事例調査委員会(以下,「本事例調査委員会」という。)は2016年6月に計2回開催され,2016年7月25日に調査報告書を取りまとめました。

 当院では,この調査結果を受け,当院の診療行為が不適切であったと考え,深く反省するとともに,患者さんのご遺族に対し説明を行い,併せて謝罪いたしました。このたび,ご遺族のお許しをいただきましたので,調査報告書の概要を示し,本事例の経緯等について皆様にご報告申し上げます。

 患者さんのご遺族にあらためて謝罪申し上げるとともに,上記調査報告書において示された提言を真摯に受け止め,再発防止に職員一丸となって取り組む所存です。」


NHK「
名大病院 肺がん患者の経過見ずに死亡し謝罪」(2016年9月13日)は,つぎのとおり報じました.
    
「おととし6月11日の夜、高熱を訴えて病院の救急外来を受診した名古屋市の50代の男性にCT検査を行ったところ、右の肺に陰影があり、肺がんの初期の可能性があることがわかりました。このため経過観察の必要性が指摘されましたが、当時、担当した3人の医師は、高熱の原因だった前立腺炎の治療をしただけで、ほかの医師への引き継ぎも行いませんでした。
それから1年9か月たったことし3月、男性は、咳が続くことから再び名古屋大学医学部附属病院を受診したところ、進行性の肺がんと診断され、治療を受けましたが、7月に死亡しました。」


これは,私が担当した事件ではありません.
救急で各種検査を行う関係で,救急を受診した患者のなかには,(緊急にその場で対応が必要とはいえませんが)重大な疾患の可能性が疑われる患者も含まれています.
救急では,緊急に対応が必要な疾患を見逃さないことが優先されますが,緊急に対応が必要とはいえない疾患が疑われ,専門医の診療が必要な場合,専門医受診につなげることも求められています.救急は専門医受診につなげることまでが仕事です.
救急医にその点の意識が弱いと上記報道の件のようなミスがおきます.
これは,名大病院に限ったことではありません.救急医がおこしやすいミスの1つです.

ちなみに,癌の見落としが医療過誤として立証できる場合は,検査すべきなのに検査を怠ったという事案はすくなく,多くが,検査を行ったのに見落とした,連携ミスで診療が行われなかったという事案です.
報道の件は,実際に肺癌の診療が行われた2016年3月の21か月前にあたる2014年6月から肺癌の診療が行われていたなら,結果は異なっていたことが推測されます.賠償額はそのことを反映したものになると思います.





谷直樹


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by medical-law | 2016-09-15 07:05 | 医療事故・医療裁判