弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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大晦日の年中行事

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八坂神社の白朮祭(をけらまつり),北野天満宮の火之御子社鑽火祭(ひのみこしゃきりびさい)では,火縄(吉兆縄)が授与されます.この火を持ち帰り元旦の食事の調理に使うと無病息災でいられるとのことです.
今は,危険なので許されませんが.以前は,京都の公共交通機関が時間を決めて火縄の持ち込みを許していました.実際,片山律先生は,京都修習時代に公共交通機関でこの火縄を持ち帰ったとのことです.おおらかな時代だったのですね.


「夏越(なごし)の大祓い」と「年越の大祓い」でそれぞれ半年の罪穢れを祓います。
大祓の「茅の輪くぐり」は,蘇民将来の伝説に由来し,素盞嗚尊(スサノヲノミコト)と習合しています.
君の名は。」のあの階段のシーンで有名な四谷の須賀神社は,素盞嗚尊を祀っています.茅の輪くぐりの準備がされていました.


平成29年がみなさまにとって良い御年でありますように.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-31 17:35 | 日常

京都大学医学部附属病院,胸腺腫の手術で左横隔神経を切断した件で提訴される(報道)

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産経新聞「医療ミスで肺機能低下 「切る必要ないところを切った」…67歳自営業男性、京大病院提訴」(2016年12月27日)は次のとおり報じました.

「京都大病院(京都市左京区)で平成21年7月、胸腺の摘出手術を受けた際、誤って神経を切断されて左肺の半分が機能しなくなったとして、大津市の自営業の男性(67)が26日、同病院に約1730万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。

 訴状などによると、男性は同年6月、同病院呼吸器外科で検査を受け、胸腺腫と診断された。7月に胸腺摘出手術を受け、同科の男性医師が執刀したが、胸腺を切除する際に左横隔神経を切断。病院側は8月、男性に説明を行い、執刀医は「切る必要がないところを切った」としたという。

 男性は9月末に退院したが、神経が切断されたことで左横隔膜が押し上げられて左肺が圧迫され、左肺の呼吸機能は手術前の半分となったといい、「執刀医らが神経の確認作業などを怠ったため機能が低下し、多少の歩行や重たい荷物を持つと息切れし、階段の上り下りも困難になるなど、日常生活に不便が生じた」と主張している。

 原告側によると、京大病院側はその後、「執刀医らの確認作業が不十分で、神経に対する注意が低くなっていた」などとする内容の報告をとりまとめたという。

 提訴について京大病院は「訴状が届いていないためコメントできない」としている。」


これは私が担当した事件ではありません.
上記報道からは「胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級)か,「胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」(9級)か,後遺障害の程度まではわかりませんし,自営業の逸失利益の金額評価が難しいのかもしれませんが,胸腺腫の手術で左横隔神経を切断したことに医師の過失があることが明らかですから,医療過誤であることは明らかです.このように事案は,病院側が誠意ある対応をすれば,本来示談で解決できるものです.
それが提訴にまで至ったのは,病院側の対応に問題があったのではないでしょうか。
井上章一さんの『京都ぎらい』(朝日新書)が,「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に選ばれ,売れているようです.私は地域やジェンダーや年齢を一括りにして論じるのは好きではないのですが,このようなことがあると,いろいろ言う人もいるのではないしょうか.



谷直樹

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by medical-law | 2016-12-30 08:33 | 医療事故・医療裁判

愛知県がんセンター中央病院,術後3日目に発熱や腹痛を訴え4日目に死亡した件で和解(報道)

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中日新聞「愛知がんセンター、遺族に1300万円賠償 医療事故で和解」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)は27日、2012年5月に女性患者が死亡する医療事故があり、遺族に1300万円を支払うことで和解が成立したと発表した。

 病院によると、卵巣がん手術をした40代女性が3日後に発熱や腹痛を訴え、翌日、十二指腸潰瘍による出血性ショックで死亡した。病院が設置した医療事故調査委員会は、手術のストレスや鎮静剤の影響で十二指腸潰瘍となり、容体が急変したと断定した。

 遺族側は14年、急変後にすぐコンピューター断層撮影(CT)検査をして治療をしていれば、救命の可能性があったとして、病院側に7500万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴。病院側は一部反論していたが、地裁が今年11月に示した和解案を全面的に受け入れた。県庁で会見した丹羽康正院長は「事故後、患者の異変をいち早く察知し医師や看護師が一体的に対応するシステムを導入した。遺族が強く望む再発防止に取り組みたい」と述べた。」


読売新聞「がん手術後に女性死亡、愛知県が和解金1300万円」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)で卵巣がんの手術後に死亡した40歳代の女性(同市)の遺族が、「早期の検査で死亡は回避できた」として、県に約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が東京地裁で成立した。和解金1300万円を支払うとの内容で、県が27日、発表した。和解は26日付。

 発表によると、女性は2012年5月28日に手術を受けた後、発熱や腹痛などを発症。同年6月1日、さらに状態が悪化し、CT(コンピューター断層撮影法)検査を行ったところ、消化管出血による出血性ショックと診断され、間もなく死亡した。病理解剖で十二指腸の潰瘍と、それに伴ってできた穴が見つかった。

 遺族は14年10月、「医師の継続監視が不十分で、CT検査を早く行えば手術もでき、死亡は避けられた」として提訴。県側は「CT検査をしても、潰瘍や穴の診断は難しかった可能性が高い」などと主張してきたが、「早期に検査をしなかったことなど改善すべき点はあった」として、地裁の和解勧告に従ったという。」


日本テレビ「手術後に死亡の医療事故、病院と遺族が和解(愛知県)」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院で手術を受けた女性が手術後に死亡した医療事故で、病院が女性の遺族と和解した。名古屋市在住だった女性は4年前、卵巣がんの手術を受けた4日後に出血性ショックにより死亡した。女性の遺族は、病院と当時40代の主治医に対し「早い段階でCT検査を行うべきだった」などとして、約7500万円の損害賠償を求める裁判を起こしていた。愛知県がんセンター中央病院によると「女性の死因は手術のストレスなどによる十二指腸潰瘍が原因で、救命は困難だった」としているが「CT検査を早い段階で行わなかったことは不適切だった」と認め、26日、遺族に1300万円を支払うことで和解が成立したという。」

これは私が担当した事件ではありません.
術後の出血性ショックによる死亡症例の相談が少なくありません.
1件1件経過が異なりますが,検査義務と因果関係を検討するうえで参考になる例です.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-29 20:54 | 医療事故・医療裁判

仙台地判平成28年12月26日,人工呼吸を行わなかった診療所に約6800万円の賠償命令(報道)

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河北新報「女児救命措置に過失 診療所に6100万円賠償命令」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「仙台市泉区の診療所を受診後に死亡した宮城県内の小学5年の女児=当時(11)=の遺族が、診療所を運営する同区の医療法人に約6800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は診療所の過失を認め、約6100万円の支払いを命じた。判決は26日付。
 大嶋洋志裁判長は「診療所は、救急蘇生のガイドラインで義務付けられた人工呼吸をしなかった。適切に蘇生措置をしていれば助かった可能性が高い」と述べた。
判決によると、女児は2011年8月、診療所で中耳炎の治療中に意識を失った。看護師は心臓マッサージはしたが、人工呼吸はしなかった。救急隊が人工呼吸を始めたが、女児は重い低酸素脳症を経て約3週間後に死亡した。医療法人の担当者は「弁護士に任せており、答えられない」と話した。」

これは私が担当したものではありません.
救急蘇生のガイドラインは医療水準を認定するうえで重視されます.
大嶋洋志判事は,東京地裁医療集中部に配属されていたこともあり,医療訴訟の経験を積んでいます.秋吉仁美判事編著の「医療訴訟」(青林書院,絶版)にも執筆しています.


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by medical-law | 2016-12-28 08:34

今年活躍した64歳

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草刈正雄さんは,「真田丸」で真田昌幸を好演しました.
「相棒」は,過去の共演者についてはいろいろありましたが,水谷豊さんは杉下右京を演じ続け,高視聴率を維持しています.
中島みゆきさんは,21世紀ベストセレクション『前途』をリリースしました.
坂本龍一さんは,2014年に中咽頭癌が発見されましたが,今年モンブラン国際文化賞を受賞し,第59回グラミー賞にノミネートされました.
三浦友和さんは,「葛城事件」(赤堀雅秋監督)で報知映画賞主演男優賞を受賞しました.
小池百合子さんは,都知事になり,東京オリンピック問題,豊洲問題などで存在感を示しました.
私の同世代は各方面でまだまだ活躍しています.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-28 07:32 | 趣味

訃報,太田富雄先生

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太田富雄先生が2016年11月27日御逝去されました.
今日が月命日です.
太田富雄先生は,京都大学医学部を御卒業し,大阪医科大学教授,退官後同名誉教授で,金芳堂の『脳神経外科学』(太田本)の編著者です.
金芳堂の『脳神経外科学改訂8版』は重厚な装丁で,しっかり読ませていただきました.
その後2冊本になり,2016年3月発行の改訂12版では3冊本になりました.
詳細で抜けがないうえに明解でタイムリーに改訂されるので,版を重ねるごとに購入し,読ませていただきました.
太田富雄先生ご本人にも何度かお会いし,懇切丁寧にご教示いただきました.
大変立派な先生でした.
謹んでご冥福をお祈りいたします.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-27 08:23 | 医療

名古屋大学病院,肺がん見落としで謝罪(報道)

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朝日新聞「肺がん見落とし 3年後に末期診断、死亡 名古屋大病院」(2016年12月26日)は,次のとおり報じました.

「名古屋大学病院は、医師が画像診断の結果を見落とし、患者が約4年後に肺がんで死亡する医療事故があったと26日、発表した。名大病院は9月にも検査結果の確認不足で肺がん患者の治療が遅れ、死亡した事故を公表。石黒直樹病院長は「このようなことをくり返すことについて慚愧(ざんき)に堪えない。ご遺族におわび申し上げたい」と陳謝した。

 名大病院によると、2011年2月、名古屋市の80代女性を耳のがんと診断した。転移を調べるため、全身のPET(陽電子放射断層撮影)検査も実施。診断した放射線科医が「肺に2カ所の影があり、肺がんの可能性を否定できない」として精査するよう報告書に記載した。だが、主治医は見落とし、女性は11年4月に耳のがんの手術だけを受けて退院した。

 3年後の14年3月、女性が名大病院で経過観察のため胸のCTを撮影すると、末期の肺がんが見つかった。3年前に疑いが指摘された時点では初期段階だったという。名大病院は「正確な情報を共有したうえで治療すべきだった」として、不適切な診療行為があったと結論づけた。

 名大病院では手術前のカンファレンス(症例検討会)で情報を共有するが、女性の主治医は別の手術で参加できなかった。このため耳鼻咽喉(いんこう)科内で別の医師らが検査結果などをチェックする機会を逸したという。主治医と担当医でダブルチェックするなど、情報共有の仕組みを強化しているという。(月舘彩子)」



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by medical-law | 2016-12-27 05:25 | 医療事故・医療裁判

さいたま地裁医療集中部の裁判長異動

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大阪高裁部総括判事中村哲氏(33期)の定年退官に伴い、12月19日、さいたま地裁第1民事部(医療集中部)の裁判長が高野輝久氏から松村徹氏に交代しました.高野輝久判事は2年で異動です.松村徹判事は、タレント小倉優子さんがプロダクションに訴えられた事件を担当しました.プロダクション側は契約書を盾にするのですが,プロダクションの経営者が脱税で有罪判決を受け芸能活動を委ねられないと考えたのは仕方ない,意に沿わぬ仕事で会社への不満も積み重なっていたとして小倉優子さんからの解除を有効とし,プロダクションの損害賠償請求を認めませんでした.実質的な考慮に基づく適正な解決です.初任が東京地裁で最高裁家庭局配属も長いので優秀な裁判官であることがわかります.

大阪高裁部総括判事に藤下建氏(35期、和歌山地家裁所長)
和歌山地家裁所長に中村也寸志氏(36期、さいたま地裁川越支部長)
さいたま地裁川越支部長に高野輝久氏(37期、さいたま地裁部総括判事)
さいたま地裁部総括判事に松村徹氏(41期、東京地裁部総括判事)
東京地裁部総括判事に鈴木正紀氏(42期、東京高裁判事)
がそれぞれ異動になりました.


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by medical-law | 2016-12-25 01:05 | 司法

和歌山県新宮市立医療センター,大阪高裁で神経切断の医療過誤事案について1千万円和解(報道)

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紀伊民報 「医療過誤、1千万円で和解合意 新宮市立医療センター」(2016年12月22日)は次のとおり報じました.

「和歌山県新宮市立医療センター(中井三量院長)は22日、医療過誤による損害賠償請求で、原告の患者遺族3人と解決金1千万円で和解することに合意した、と発表した。同日に中井院長、豊田正志事務長、訴訟代理人の弁護士らが新宮市役所で会見を開いた。

 医療センターによると、2013年2月、泌尿器科の当時部長だった男性医師(49)が、陰茎がんと診断した三重県紀宝町の男性(当時62)の陰茎全摘手術をした。その後、股の付け根のリンパ節にがんが転移しているのが分かり、3月に摘出手術をした。その際、両方の太ももの神経を切断し、歩くのが困難になった。2週間後に整形外科の医師が神経縫合や移植の手術をし、リハビリで回復を目指していた。

 5月になって肺へのがん転移が確認され、9月に肺がんにより死亡した。

 その後、神経切断の医療過誤について話し合いが続けられたが、患者遺族は納得せず、14年9月に5985万円の損害賠償を求め大阪地方裁判所に提訴した。今年7月に876万円などを支払う判決が出たが、新宮市は「症状は回復の可能性があった」などとして控訴。11月に大阪高等裁判所であった第2回控訴審で、1千万円で和解することで合意した。」



これは私が担当した事件ではありません.
報道の件は症状固定前に別の原因(肺がん)で亡くなったようで,損害評価に争いがあったようです.
裁判で医療過誤の責任を問うためには,過失と因果関係と損害を立証しなければなりません.
過失と因果関係を立証しても損害(評価)に争いがある場合があります.損害評価の基準は決まっているのですが,簡単に数字がでるものではありません.


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by medical-law | 2016-12-24 12:39

医療機関の敷地内全面禁煙に遅れ

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読売新聞「肺癌学会員の2割が「勤務地、全面禁煙でない」」(2016年12月24日)は次のとおり報じました.

「肺がんの診療に携わる日本肺癌学会の会員の2割近くが、勤務先の医療機関が敷地内全面禁煙になっていないと回答したことが、同学会の調査で分かった。

 国は受動喫煙防止対策として、医療機関の敷地内全面禁煙を打ち出したが、対応の遅れが明らかになった。

 同学会の禁煙推進小委員会が昨年11月から今年8月にかけて、全会員を対象に禁煙に関するアンケートを実施。14%にあたる1044人から回答があった。

 勤務する医療機関の禁煙対策について、80%が「敷地内全面禁煙」としたが、10%は「屋内のみ禁煙」、6%が「(建物内に)喫煙区画あり」と答えた。肺がん患者の喫煙には85%が「吸うべきでない」とする一方、学会員を非喫煙者に限ることに「賛成」としたのは75%だった。」

病院敷地内全面禁煙を進めるために,厚労省が,病院について敷地内全面禁煙となっているか否かを調査すべきでしょう.



谷直樹

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by medical-law | 2016-12-24 12:25 | タバコ