弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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公益財団法人日本医療機能評価機構,医療安全情報No.122透析前の体重測定の誤り

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公益財団法人日本医療機能評価機構,医療安全情報No.122によると,透析前の体重測定を適切な方法で実施しなかったため、誤った体重をもとに透析を行った事例が4件あったとのことです(集計期間:2011年1月1日~2016年 11月30日).

一つは,「リフト式体重計はストレッチャーシーツ分として「-3kg」と設定することになっていたが、「3kg」と設定した」という体重計設定ミスによるものです.
プラスとマイナスの間違いですから,6kg分の過除水が行われたことになります.

「当該患者の体重には義足を含めることになっていたが、看護師は義足の重さを差し引いた,」,「体重計付ベッドは柵とベッドコントローラーを付けて測定することになっていたが、患者の移乗の際に外し、そのまま付けずに測定した」という思い込みによるミスも起きています.

「計量部にスタッフが接触した状態で体重を測定した」という計測方法の基本的なミスも報告されています.

単純な体重計測にもミスは起き得るということです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-02-07 06:52 | 医療事故・医療裁判

山種美術館,日本画の教科書 京都編 ―栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ

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山種美術館で,「山種コレクション名品選Ⅲ 日本画の教科書 京都編 ―栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ」が,今日(2017年2月5日)まで開催しています.午前中に観に行きました.
松園は,「牡丹雪」「新蛍」「春のよそをい」「砧」「詠哥」が展示されていました.
「牡丹雪」のみ撮影可なのでスマホで撮りましたが,降る雪が見えるでしょうか、


2017年2月16日(木)から「山種コレクション名品選Ⅳ 日本画の教科書 東京編 ―大観、春草から土牛、魁夷へ」が開かれます.


谷直樹

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by medical-law | 2017-02-05 14:29 | 趣味

福岡のNPO法人患者の権利オンブズマン解散後も,「患者の権利オンブズマン東京」は活動を続けます

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西日本新聞 「患者の権利オンブズ解散 活動18年、福岡市の民間相談団体 メンバー高齢化や資金難で」(2017年2月2日)は, 次のとおり報じました.

 「手術にミスがあったのでは」「説明がなく不安」-。医療や介護への不安を訴える患者や遺族の相談に無料で応じ、医療機関に改善も迫ってきた福岡市のNPO法人患者の権利オンブズマン(久保井摂理事長)が3月末での解散を決めたことが分かった。ボランティア相談員の高齢化と資金難で活動が難しくなった。日本初の医療専門の民間相談機関として18年前に始まった活動は、九州各地や関東にも裾野を広げ、患者へのカルテ開示が進むなどの功績も残した。

 同オンブズマンによると、研修を受けたボランティアが相談を受けたり、医療機関との対話の場に同席したりしてきたが、近年は新たななり手が見つからず、主に60~70代の6人で対応。一時は年間300件近い面接相談に応じてきたが、近年は120件前後になっていた。加えて会費を納める会員数もピーク時の半数の約600人となり、民間からの寄付も減少。理事らが私費を投じるなどしたが、事務局運営や市民講座のやりくりが難しくなった。

 同オンブズマンは、患者取り違えなどが相次ぎ医療不信が高まっていた1999年、薬害エイズ問題に関わった池永満弁護士(2012年死去)の呼び掛けで発足。訴訟によらない問題解決を目指してカルテ開示などに取り組み、弁護士や医師らも無償で助言をしてきた。

 この18年間で計約6600件の相談に対応(電話相談含む)。医療機関側に問題が見られた場合の改善勧告は24件に上る。対話や勧告に法的拘束力はないが、病院が夜勤態勢を見直すなど改善につながった例もあるという。

 福岡での活動を受け、東京や神奈川、大分、熊本などでも市民団体が相談受け付けを開始。厚生労働省も03年にカルテ開示の指針を定め、06年の医療法改正で各都道府県に医療相談窓口の設置が進むなどした。

 久保井理事長は「発足当初は患者のカルテ開示さえ応じない医療機関が多かったが、今は苦情窓口を設ける病院も増え、患者の権利意識も向上した。一定の役割は果たせたと思う」と話している。

 解散の方針は1月15日の理事会で決定。面接相談の予約電話は2月末まで受け付ける。18年間の歩みを振り返る集会を4月23日午後1時半から福岡市・天神の天神ビルで開催する。オンブズマン事務局=092(643)7579。


私は,福岡のNPO法人患者の権利オンブズマンの会員であり,「患者の権利オンブズマン東京」の幹事長です.
福岡のNPO法人患者の権利オンブズマン解散後も,「患者の権利オンブズマン東京」は活動を続けます.
たしかに,活動はボランティアで行っていますので,とくに事務局機能の維持は大変です,
相談は無償で行ない,会員の会費と寄付金で活動経費をまかなっていますので,「患者の権利オンブズマン東京」の財政も決して楽ではありません.
しかし,医療に関する苦情相談のニーズは依然として高く,とくに,院外の第三者機関に相談したいと考える人は少なくありません.
市民と法律家と医療者でつくる民間団体である,「患者の権利オンブズマン東京」が,患者の権利の観点から苦情相談を行うことの意義は高いと考えています.「患者の権利オンブズマン東京」は活動を続けまので,ご支援をお願いします.詳しくはコチラへ
ボランティア希望のかたは,谷直樹(03-5363-2052)までお電話ください.


谷直樹

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by medical-law | 2017-02-04 06:37 | オンブズマン

出光美術館,岩佐又兵衛と源氏絵 ―〈古典〉への挑戦

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「岩佐又兵衛と源氏絵 ―〈古典〉への挑戦」が,出光美術館で開催されています.
2017年2月5日(日)までです.

信長に反逆した荒木村重の一族は殺されますが,2歳の又兵衛は逃れ生き延び,後に京都,福井そして江戸で絵師として活躍し,浮世絵への道を開きました.
作風は変化に富みますが,とくに,旧金谷屏風の一扇である「源氏物語・野々宮図」は見応えがありました.


谷直樹

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by medical-law | 2017-02-03 13:05 | 趣味

東京大学医学部附属病院の薬剤取り違え事故から学ぶ改善策

診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては,当該医療機関の性格,所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであるとされています(最判平7年6月9日(民集49巻6号1499頁,未熟児網膜症姫路日赤病院事件))。

大学病院は,①医師等の育成のための教育機関であると同時に,②新しい医療技術の研究・開発を行う研究機関でもあり,③高度の医療を提供する地域の中核的医療機関でもあります。
小児科は,多様な臓器の疾患を取り扱います。患者の年齢も基本的に0~16歳まで多様です。

東京東部地域には「子ども病院」の様な小児専門病院はありません。東京大学医学部附属病院の小児医療センターが,東京東部地域の中核的小児病院としての役割を担っています。
また,東京大学医学部附属病院は,最適な先端医療,高度な医療を提供する大学病院なので,最適な先端医療,高度な医療を必要とする重篤な患者も入院しています。
このような 東京大学医学部附属病院小児科で,薬剤取り違え事故が起きると,重大な結果を生じ得ることは容易に予見できますので,薬剤取り違え事故が起きないように薬剤のダブルチェックの仕組みが必要と思います。とくにハイリスク薬については,ダブルチェックが絶対的に不可欠です。

2015年の事故調査報告書によると,東京大学医学部附属病院の薬剤取り違え事故の問題点は,第1に他の患者の薬剤を誤注入してしまったこと(薬剤を取り違えたこと及び照合確認を怠り取り違えに気付かず誤注入してしまったこと),第2に,誤投薬後の連絡・説明が十分でなかったこととされています。

事故調査報告書は,(1)内服薬ルールを周知徹底する,(2)内服薬専用の管理場所を確保する,(3)内服薬処方に関する検討を進める,(4)業務内容を整備する,(5)オカレンス(occurrence)発生時の連絡体制を周知する,(6)出来るだけ速やかに患者さんのご家族へ公式な場を設けて(ベッドサイドではなく)誠意をもって説明する,の改善すべき6点をあげています。

事故調査報告書には次のように記載してされています.

1.内服薬ルールを周知徹底する
 以下について、小児医療センター、看護部で周知徹底する
(1)薬剤を準備する際は、1患者1トレイとする(水薬と散剤を別にしない)
(2)散剤の溶解は出来るだけ直前に、薬剤を投与する者が行う
(3)薬剤を準備する際は、薬剤を吸引する前にシリンジに必ず患者氏名を明記する
(4)無記名のシリンジに準備された薬剤は、使用しない
(5)薬剤投与(注入)直前のリストバンドでの患者確認を徹底する

2.内服薬専用の管理場所を確保する
(1)与薬カード・1患者1トレイのためのトレイ・内服薬準備用ケースを整備する
(2)輸液準備と同じ場所を使用せず、内服薬専用の場所を確保する
(3)内服薬準備用ケースの患者名が、薬剤を入れても見えるものに変更する

3.内服薬処方に関する検討を進める
(1)薬包数が少なくなるように検討する
① 看護師が、病棟で散薬調剤を薬剤毎に別々に行うと時間と手間がかかるため、薬剤部で最初から薬剤を出来るだけまとめてもらうようにする(同じ種類の薬剤や同じ効果を持つ薬剤は一つにまとめるようにする)
② 多くの薬剤を内服している患者は、その薬剤を続けるかどうかについて、医師と薬剤師で検討する

4.業務内容を整備する
(1)朝6時の業務の集中する時間帯の業務を整理し、不必要な業務をなくす
 ① 業務の集中する時間帯に、スタッフからの連絡の電話を避けるように周知する
 ② 周辺業務の整理、夜勤人数を増員するかどうかの検討を行う

5.オカレンズ発生時の連絡体制を周知する
担当医師は患者の治療に専念するため、Pocket医療安全マニュアルに従い迅速に報告すること

6.患者さんのご家族への説明について、以下の点を徹底する
出来るだけ速やかに、患者さんのご家族へ公式な場を設けて(ベッドサイドではなく)誠意をもって説明すること


2017年の東京大学医学部附属病院のサイトには,
「内服薬に関するルール(注入器具への記名、薬剤注入直前の本人確認用バンドでの患者確認など)の周知徹底、内服薬の管理環境の整備(内服薬ケースの患者氏名の視認性の向上など)、看護師の業務負担の軽減(看護師の増員、看護師が病棟で調製する薬包数を減らすための多職種での検討、処方に複数の薬剤がある場合に薬剤部で予め服用時点ごとに1つの袋にまとめることの推進など)を実施しました。また、重大事故発生時の連絡体制や職業倫理に関する職員教育を、研修会やe-learningにより実施すると共に、内服薬(散薬)のバーコード管理システムを導入することとし、そのための医療情報システムの仕様書策定を行いました。内服薬に関するルールや緊急時の連絡体制などの職員教育については、今後も継続的に実施して参ります。」
と書かれています。

2015年の事故調査報告書と2017年の東京大学医学部附属病院のサイトがダブルチェックについて言及していないことはいかがなものかと思います。東京大学医学部附属病院小児医療センターの性格と役割に鑑み,とくにハイリスク薬についてはダブルチェックが絶対的に不可欠であることを考慮し,2015年の事故調査報告書が指摘する点をふまえ,真に実効的な再発防止策が実行されることを強く期待いたします。




谷直樹


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by medical-law | 2017-02-03 09:37 | 医療事故・医療裁判

東京大学医学部附属病院の薬剤取り違え事故が起きた経緯

東京大学医学部附属病院の薬剤取り違え事故が起きた経緯は,次のとおりです。

1 看護師CはA用の散剤を準備
看護師Cは,患者A用の散剤を溶解しカテーテルチップ型シリンジに調製し,患者氏名を記名しました。
看護師Cは,患者Aの名前が書かれている患者A用の内服薬準備用ケースに,このカテーテルチップ型シリンジ2本と患者A用の散剤の空の袋を入れました。

2 他の看護師は水薬を準備
別の看護師は,患者A用の2本の水薬を含め,病棟の患者分の水薬を並べて準備しました。

3 看護師DはB用の散剤を準備  
看護師Dは,患者B用の散剤を溶解しカテーテルチップ型シリンジに調製しました。
看護師Dは,カテーテルチップ型シリンジに患者Bの氏名を記名すべきにもかかわらず,患者氏名を記名しませんでした。
看護師Dは,患者Bの名前が書かれている患者B用の内服薬準備用ケースに,患者氏名を記名していないカテーテルチップ型シリンジ1本を入れました。

4 看護師Cは,A用の内服薬準備用ケースを手にし,B用の内服薬準備用ケースの近くにいったん置く
看護師Cは,患者Aに散剤を注入しようと患者A用の内服薬準備用ケースを手にしましたが,患者Aは感染対応(個室管理)であったため,他の患者さんの処置を先に実施しようと思い,一旦置きました。看護師Cは,このとき,患者Bの内服薬準備用ケースの近くに,患者A用の内服薬準備用ケースを置きました。
さらに,日勤帯の看護師から病欠の電話があり,看護師Cは,作業を中断しました。

5 看護師Cは,内服薬準備用ケースを取り違える
看護師Cは,作業を再開したとき,患者A用の内服薬準備用ケースと誤って患者Bの氏名が書かれている患者B用の内服薬準備用ケースを取りました。
患者A用の内服薬準備用ケースには,カテーテルチップ型シリンジが2本,患者B用の内服薬準備用ケースには,カテーテルチップ型シリンジが1本入っていましたが,看護師Cは,この本数の違いに気が付きませんでした。
なお,看護師Cは,他の看護師が準備した患者A用の2本の水薬については患者Aの氏名を確認しました。
      
6 看護師Cは,患者氏名・薬剤とノートパソコン画面の指示内容との照合を行わず
看護師Cは,カートにノートパソコンと患者B用の内服薬準備用ケースを乗せて,患者Aの病室(感染対策の病室)の前に着きました。
感染対策の病室にパソコンを持ち込めませんので,病室前で,患者氏名と薬剤の内容を服薬指示の画面(ノートパソコン)と照合することになっていました。
ところが,看護師Cは,カテーテルチップ型シリンジ1本について照合しませんでした。

7 看護師Cは,リストバンドとシリンジの氏名の照合も行わず
病院のルールでは,投与(注入)の直前に,リストバンドとシリンジに書いてある患者氏名を,シリンジ1本毎に照合することとなっています。
ところが,看護師Cは,この照合も行いませんでした。

このようにして薬剤取り違え事故は起きました。
看護師Cは,病院のルールを遵守せず,確認を複数回怠っていました.。
看護師Dは,カテーテルチップ型シリンジに患者Bの氏名を記名するというルールを遵守していませんでした.
つまり,夜勤看護師4名のうち少なくとも2名がルールを遵守していませんでした。
調剤から投薬までの間,一度も誰のチェックも受けない体制でした。
東京大学医学部附属病院の薬剤取り違え事故は起きるべくして起きた事故と言えると思います。




谷直樹


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by medical-law | 2017-02-01 19:05 | 医療事故・医療裁判