弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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和泉市の産婦人科医院の痛分娩事故で妊婦が死亡,医師を書類送検へ

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NHK「「無痛分べん」で女性死亡 医師を書類送検へ 大阪」(2017年4月25日)は,次のとおり報じました.

「ことし1月、大阪・和泉市の産婦人科医院で、「無痛分べん」で出産した31歳の女性が意識不明になり、その後、死亡していたことがわかりました。
警察は、女性が呼吸不全になった際に、医師が人工呼吸などの十分な対応をしなかったとして、業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。

捜査関係者などによりますと、ことし1月、大阪・和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で、31歳の女性が、麻酔で陣痛の痛みを和らげる「無痛分べん」で出産中に意識不明の状態になりました。
赤ちゃんは無事に産まれましたが、女性は、およそ10日後に低酸素脳症で死亡したということです。

これまでの捜査で女性は、59歳の院長が背骨に局所麻酔の注射をした際に容体が急変し、呼吸不全になったと見られることがわかったということです。

警察は、人工呼吸を続けて体の状態を回復させるなどの十分な対応をしなかったとして、近く院長を業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。」

「厚生労働省の研究班の調査では平成20年の時点で全国およそ250の施設が無痛分べんを実施していたということですが、陣痛の痛みを感じずに、出産できることなどから、妊婦の間で人気が高まっていて、ここ数年でさらに増えていると見られます。

一方、麻酔をかける必要があることから、副作用には細心の注意が必要だとされています。無痛分べんでは背骨の中に注射をするなどして局所麻酔をかける「硬膜外麻酔」と呼ばれる方法が一般的です。
硬膜外麻酔は、一般の産科の医師でも行うことが認められていますが、麻酔科の専門医によりますと、誤って血管や脊髄などに麻酔薬を投与してしまうと意識を失って呼吸ができなくなるケースや血圧が急激に低下するケースなど深刻な合併症が起こるということです。
いずれも迅速に対応すれば回復するということで、麻酔をかける際には患者の変化を見逃さないよう細心の注意が必要だということです。」


無痛分娩が普及したこと自体はよいことですが,無痛分娩により異変が起きたとき適切迅速に対応できる産科医師・施設が少ないように思います.

【追記】
谷直樹法律事務所では,「無痛分娩事故調査」を調査手数料10万円+消費税と実費預り金10万円(余剰金は返金します)で行っています.日本産科麻酔科学会の産科医師1名にカルテ・分娩監視装置の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます。調査依頼から調査報告まで原則60日以内です.
全国対応いたします.


谷直樹

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by medical-law | 2017-04-28 10:04 | 無痛分娩事故

天ぷらひらお

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福岡空港のちかく(タクシーで5分.歩くと20分くらいかかります。)に「天ぷらひらお」があります.
10時30分の開店前から行列ができていました.

無料の塩辛がうまい!
えび天もうまい!ブラックタイガーってこんなにうまかったのだろうか,と思いました.
揚げたての天ぷらはどれもうまいのですが,とくに白身,きすなど魚がうまいです.

本当に安い!
野菜定食670円.天ぷら定食770円.
白身,きすは130円です.
まさに昭和の値段です.

おすすめのお店です.

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by medical-law | 2017-04-26 08:45 | 日常

NPO法人患者の権利オンブズマン解散報告集会

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2017年4月23日(日曜日),福岡市天神で開かれた「NPO法人患者の権利オンブズマン解散報告集会」に,「患者の権利オンブズマン東京」の幹事長として行き,お話をさせていただきました.
平野瓦さんが基調講演を行い,福山美音子さん,有吉通泰さん,赤木健利さん,そして私がパネリストとして,それぞれお話をしました.

解散報告集会だというのに,かなりの人が集まり,故池永満先生がはじめた活動の意義を語り,いかにも残念そう,くやしそうでした.

「NPO法人患者の権利オンブズマン」は,故池永満先生が1999年に福岡に創設した市民団体です.
「患者の権利オンブズマン東京」は,故池永満先生がたびたび東京にきて,準備会を開き,2002年12月に創設した市民団体です.
二つの市民団体は,いわば兄弟団体です.
同じ理念の,しかも先輩である「NPO法人患者の権利オンブズマン」の解散は,「患者の権利オンブズマン東京」にとっても実に残念です.

患者の権利オンブズマン東京」は,福岡の「NPO法人患者の権利オンブズマン」なきあと,患者の苦情を受ける唯一の民間の第三者機関として,いっそうがんばり,活動を続けていきます.

「患者の権利オンブズマン東京」は,会員数110名の市民団体です.
会の趣旨に賛同し,3000円の会費を払えば,誰でも賛助会員になれます.

研修を受けた市民相談員と法律専門相談員(弁護士)が,医療についての苦情面談相談(無料)を受けてきました.苦情面談相談は,弁護士の医療過誤相談とは異なります.患者の権利オンブズマン東京は,損害賠償を求めるための相談は受けていません,患者家族が自分で行動し,医療側と向かい合い,真摯な話し合いをするための相談です.
昨年は33件の苦情相談を受けました.

毎月第2、第4木曜日(但し8月第2週と12月第4週と祭日は休みです) の13:00~15:00の間,電話080-7700-1626で,市民相談員が予約電話を受付し,水曜または土曜に面談相談(無料)を行います.

なお,相談の性質が違いますし,事件集めと誤解されてもいけませんので,「患者の権利オンブズマン東京」の相談を受けた方については,谷直樹法律事務所では一切相談を受けないことにしています.

「患者の権利オンブズマン東京」は,今後いっそううがんばりますので,応援をお願いします.


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by medical-law | 2017-04-24 23:51 | 医療

医薬品有害事象による救急受診・入院

b0206085_6271296.jpg米国での外来患者の医薬品有害事象による救急受診に関する2013~2014年の研究結果がJAMAに報告されました(薬害オンブズパーソン会議の注目情報).


それによると,
・米国民の10%以上が5種類以上の薬を処方され、その半数は正確に服用できていない。


・特に慢性疾患において、複数の医師から複雑な治療が不十分な管理のもとで行われている。


・救急受診者の0.4%が医薬品有害事象による受診であり、その27.3%が入院していた。

とのことです.


薬害オンブズパーソン会議は,「日本では、救急受診や救急入院と医薬品有害事象の関連性に関して、実態が明らかになっていない。しかし、医薬品有害事象による救急受診や入院が予想以上に拡大しているとする米国の調査結果は日本にも共通すると考える必要がある。」とコメントしています.


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by medical-law | 2017-04-23 06:14 | 医療

裁判官の任期満了退官

b0206085_10265693.jpg下級裁判所の裁判官の任期は10年とし,再任されることができる(憲法80条1項)とされています.

下級裁判官指名諮問委員会は,昨年12月,再任願いを撤回した2人を除く184人について審理を行い,182人を指名適当,2人を指名不適当と答申しました.例年2人程度が指名不適当とされます.

4月10日付人事で,49期3人,39期1人が任期満了退官となっていました.
理由はなんとなく推察できるような・・・

裁判官は大変な仕事です.

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by medical-law | 2017-04-22 00:37 | 司法

静岡市立清水病院,医療事故による患者の体力低下を認め,3か月後の死亡との因果関係を認める(報道)

b0206085_1542623.jpg朝日新聞「医療ミスで死亡、高齢患者遺族に賠償 静岡市立清水病院」(2017年4月20日)は,次のとおり報じました.

「静岡市は19日、市立清水病院(清水区宮加三)で医療ミスがあり、亡くなった患者の遺族に賠償金2200万円を支払うことで合意したと発表した。

 昨年3月、清水区に住む膀胱(ぼうこう)結石の男性患者(当時91)を手術した際、尿道を広げる金属製器具で過って大腸を傷つけた。このため、開腹手術し、人工肛門(こうもん)を設けた。患者は血圧の低下など一時危険な状態になったが回復し、一般病棟に入院中の6月に肺炎で死亡した。

 病院側は「医療ミスにより、患者の体力低下を招いた」として、死亡との因果関係を認めて遺族に謝罪、賠償金の交渉をしていた。26日に開かれる臨時議会に賠償金を盛り込んだ補正予算案を提案する。

 藤井浩治病院長は「ご遺族に深くおわびする。事前検査や装置を活用した手術中の確認などでより安全な手術方法を選択し、再発防止に努める」とのコメントを出した。「


これは,私が担当した事件ではありません.
91歳男性患者について医療事故と事故後3か月後の死亡との因果関係を認めた例として参考になります.


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by medical-law | 2017-04-20 15:31 | 医療事故・医療裁判

WHO,投薬ミスによる損害が年間420億ドル,医療費の1%

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世界保健機関(WHO)は,先月,薬の処方や服用のミスによる損害が年間420億ドル(約4兆7千億円)で,医療費の1%に当たるという試算を公表し,投薬ミスによる損害を半減させる取り組みを開始したとのことです.

日本経済新聞「投薬ミスで年4兆円超損害 WHO、半減目指す」(2017年3月30日)は,次のとおり報じました.

「ミスは医療従事者の疲労やスタッフ不足、訓練の不十分、さらに患者の知識不足などが原因で、いずれも防止可能と強調した。

 特に誤って使用した場合、害となる危険性の高い薬の取り扱いや、さまざまな疾患で複数の投薬を受けている患者の扱いが鍵になるとして各国に早期の対策を求めた。」


薬についての医療事故,医療過誤は多く,私は,つねに複数の投薬ミス事件を担当してきました..
例えば,
①公立病院で,腸閉塞の疑いのある患者に大腸検査前処置用下剤を投与した後,診察することなく,経口腸管洗浄剤を投与した事件(投与後死亡),
②個人病院で,無痛分娩のための麻酔薬投与後の患者観察を怠った事件(投与後遷延性意識障害),
③総合病院で,添付文書に反した方法で過大な量の硫酸マグネシウム製剤を投与した事件(投与後遷延性意識障害),
④大学病院で,別の患者のために用意された薬を投与した事件(投与後死亡),
⑤入院設備のない個人医院で,日帰り手術を実施し高齢者に呼吸抑制作用のあるペンタゾシンとミダゾラムを投与した事件(投与後死亡)
⑥総合病院で,医師がリバーロキサバン再開指示を忘れ,患者が脳梗塞を発症した事件

などがあります.
投薬による医療過誤の事件は,示談で解決することも少なくありません(上記②・④・⑥は解決済み)が,過失は明らかでも,死亡または遷延性意識障害との因果関係が不明であるという理由で賠償義務を否定され,裁判になることもあります(上記①はこれから提訴,上記③・⑤は係争中).

私は,医療過誤事件について,賠償を求めるのみならず,事故の公表を求め,再発防止の策定を促すことを意識的に追求してきました.
とくに,投薬による医療過誤については,その気になって再発防止に努めれば,有効な再発防止が可能分野の一つだと思います.


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by medical-law | 2017-04-20 08:56 | 医療事故・医療裁判

山梨地判平成29年4月18日、術後せん妄による83歳死亡で山梨病院に1260万円の賠償を命じる(報道)

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産経新聞「術後徘徊で死亡に賠償命令 「防止措置怠る」甲府地裁」(2017年4月18日)は、次のとおり報じました.

「判決によると、男性は平成22年2月24日、直腸がんなどの切除手術を受け、翌日深夜に術後せん妄を発症してカテーテルや酸素マスクを外し病院を徘徊。1階待合室で心肺停止の状態で発見され、間もなく死亡した。

 峯俊之裁判長は判決理由で、80代以上は術後せん妄の発症頻度が特に高いとされていることに触れ「徘徊行動の具体的予見は困難でも、カテーテルを抜くなどの行動は予見できた」と指摘。「病院側は防止措置や術後せん妄に関する必要な検査を怠った過失があった」とした。」


これは、私が担当した事件ではありません.
患者は83歳男性で術後翌日ですので、術後せん妄の予見可能性はあると言えそうです.

なお、術後せん妄の予見義務を否定した裁判例には、63歳の男性についての東京地裁平成21年9月15日判決(高橋譲判決)があります.

年齢は,術後せん妄の大きなリスク要因です.



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by medical-law | 2017-04-19 01:00 | 医療事故・医療裁判

日本産科婦人科学会で無痛分娩の事故を踏まえて緊急提言

b0206085_13505760.jpgNHK「“無痛分べんに十分な医療体制を”厚労省研究班が緊急提言」(2017年4月16日)は,次のとおり報じました.


「麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」について厚生労働省の研究班は、麻酔によって死亡した例があるなど通常の分べんと異なる管理が求められるとして、医療機関に対し無痛分べんを行う際には十分な医療体制を整えることを求める緊急提言を行いました。無痛分べんについて、こうした提言が出されるのは初めてです。


この緊急提言は16日、広島市で行われた日本産科婦人科学会で厚生労働省の研究班の班長を務める三重大学の池田智明教授が発表したものです。


研究班では、去年4月までの7年間に報告された妊産婦の死亡例298人を分析したところ、脊椎への注射で麻酔をかけて無痛分べんを行っていた死亡例が13人あり、このうち1人が麻酔による中毒症状で死亡していたということです。また、羊水が血液に入る症状や大量の出血が起きたケースもありました。


このため緊急提言では、無痛分べんは麻酔によってまれに重大な合併症が出るほか、赤ちゃんを引っ張って出す処置が必要なケースが増えるなど通常の分べんとは違った管理が求められると指摘し、無痛分べんを行う施設に対して麻酔による合併症や出血などに確実に対応できる体制を整えることを求めました。」

私も無痛分娩の事故を取り扱ったことがあります.
体制の整っていない施設で行うのは大変危険です.



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by medical-law | 2017-04-17 13:35 | 無痛分娩事故

バイエル薬品,カルテ無断閲覧,接待,論文作成代行,内部告発社員に退職勧奨

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バイエル薬品株式会社は,2017年4月10日,「2012年・2013年の「服薬における患者様の嗜好に関するアンケート調査」に関するご報告とお詫び」を発表しました.

血栓症領域製剤の服薬における患者様の嗜好に関するアンケート調査は「同領域製剤の剤型や服薬の回数などについて、実際に製剤を服薬されている患者様への聞き取り調査により、服薬に関する嗜好を確認する目的で行った調査です。その結果は国内の医学誌に掲載されましたが、本調査にご協力をいただきました患者様のカルテの一部をデータ転記のために特定の弊社社員が不適切に閲覧していたこと、本調査の実施主体が弊社であることについて書面上、明確にされていなかったことなどから、2016年1月に医学誌より取り下げられ、同時に取り下げの事実が同誌誌面において公表されております。なお、本調査は嗜好に関するアンケート調査であり、臨床研究ではありません。」

NHK「 バイエル薬品 新薬発売で患者カルテを無断閲覧」(2017年4月11日)は,次のとおり報じました.

「平成24年に脳や肺などの血管が詰まりやすくなる「血栓症」の治療薬「イグザレルト」を発売する際、ほかの製薬会社の薬がどれくらい使われているかを事前に把握するため、複数の社員が宮崎県内の開業医に依頼して、無断で患者のカルテを閲覧していたということです。」


TBS「カルテ無断閲覧させた医師、クラブ・料亭での接待の実態」(2017年4月12日)は,次のとおり報じました.

「接待で築いた関係のもとで得られたカルテのデータを使って何が行われていたのか。これはバイエル薬品の血栓症治療薬「イグザレルト」の広告です。そこには問題の開業医の名前が記されています。広告には開業医の名前で書かれ、医学誌に掲載された論文が使われていました。しかし、実際には、この論文を書いたのは開業医ではなくバイエル薬品側だったというのです。これは、バイエル側が書いたという論文の元原稿。開業医は、赤い文字でわずかに2か所、添削しただけでした。」

 「『製薬会社が(調査を)実施して研究の中身の論文も書いて、だけど医師の名前を借りて非常に悪質なケース。製薬企業と医師との不健全な経済的な関係は社会問題化している』(薬害オンブズパースン会議 水口真寿美 弁護士)」

TBS「バイエル薬品“カルテ”無断閲覧、内部告発社員に「退社」勧める」(2017年4月13日)は,次のとおり報じました.
 
「大手製薬会社「バイエル薬品」が患者に無断でカルテを閲覧していた問題で、社内で内部告発した社員に対し、上司が「会社に法的責任はない」と話したうえで、会社を辞めるよう勧めていたことがわかりました。」

連日報道されているバイエル問題ですが,やってはいけないことばかりです.
バイエルは,医薬品,医療機器業界の法令順法意識調査では17位とされていました.
親会社のバイエルホールディング株式会社の常務執行役員・法務・特許・コンプライアンス本部長は日本人の弁護士ですので,このような実態は意外です.


谷直樹

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by medical-law | 2017-04-13 17:29 | コンプライアンス