弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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当職が担当した2015年9月の神戸市西区の産婦人科医院の無痛分娩事故

神戸新聞「無痛分娩ミス女性死亡 麻酔で呼吸困難、子も障害」(2017年6月29日)は,次のとおり報じました.

「神戸市西区の産婦人科医院で2015年9月、麻酔を使って痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した女性が、生まれてきた長男(1)とともに重い障害を負っていたことが28日、関係者への取材で分かった。麻酔が脊髄の中心近くに達したとみられ、女性が呼吸できなくなったという。女性は低酸素脳症が原因の多臓器不全のため、今年5月に35歳で亡くなった。同医院は責任を認め、示談金を遺族に支払った。

 女性の遺族と代理人弁護士によると、医院は「おかざきマタニティクリニック」。出産に立ち会った男性院長は、脊髄を保護する硬膜の外側(硬膜外腔)に背中から管を入れ麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を施した直後、外来診察のため女性のそばを離れた。その際、麻酔薬が硬膜外腔より深部で脊髄中心近くのくも膜下腔に入ったとみられ、麻酔の効果が急速に現れた女性は呼吸困難に陥ったという。

 女性は別の病院で緊急帝王切開を受け、長男を出産したが、低酸素状態となった。脳に損傷を受けたため、長期間意識が戻らない遷延性意識障害に陥り、今年5月12日に死亡。長男は生まれてすぐ呼吸・循環不全に陥り、脳に酸素が十分に行き渡らなくなって障害を負ったため、現在も入院している。

 同クリニックは昨年12月に院長の過失を認め、その後、遺族に示談金を支払ったが、遺族によると、女性の死後もおかざきマタニティクリニックという。

 女性の夫(32)=東京都港区=は「出産にリスクがあったとしても対応できると思ってお願いした。対応できないのになぜ、院長は無痛分娩をさせたのか。なぜ、その場から離れてしまったのか。防げた事故だと思う」と話した。

 同クリニックは神戸新聞社の取材に回答していない。

 無痛分娩を巡っては全国的な実施総数さえ不明だが、今年4月以降、大阪府和泉市、神戸市中央区、京都府京田辺市などで、麻酔や陣痛促進剤の投与を受けた妊産婦の死亡、重症化が相次いで判明。神戸市中央区の産婦人科病院の担当医師に対しては、死亡した女性の遺族が刑事告訴した。これらを受け、日本産婦人科医会は実態調査に乗り出している。」

最期の言葉は「息できない」 無痛分娩医療事故

「神戸市西区の産婦人科医院で2015年9月、麻酔を使って痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」で出産した女性が、生まれてきた長男(1)とともに重い障害を負っていたことが28日、関係者への取材で分かった。麻酔が脊髄の中心近くに達したとみられ、女性が呼吸できなくなったという。女性は低酸素脳症が原因の多臓器不全のため、今年5月に35歳で亡くなった。同医院は責任を認め、示談金を遺族に支払った。

 産婦人科医院「おかざきマタニティクリニック」で起きた「無痛分娩」の際の医療事故。亡くなった女性の夫(32)=東京都港区=らは「『息ができない』と話したのが最期の言葉だった」と涙を浮かべながら経緯を打ち明けた。

 初産だった女性。小柄な体形に比べ、おなかが大きくなっていた。同クリニックは実家に近く、当初は自然分娩の予定だった。遺族によると、男性院長からは、出産が困難な際に吸引カップを使う「吸引分娩」をしながら無痛分娩をすることを提案されたという。女性の母親(60)=同市西区=も止めたため、女性はためらっていたが、院長から説明を受ける中で「病院だから大丈夫だよね」と、無痛分娩での出産を決めた。

 出産は朝から始まり、「硬膜外麻酔」の開始直後、院長は外来診察で呼ばれ離席。麻酔薬の投与が進むにつれ女性の体調は徐々に悪化し、おなかの子どもの心拍数も下がり始めた。

 看護師らが対処し、院長も戻ってくるが、その後、女性は意識を失った。同クリニックに駆け付けた母親が目撃したのは、手術室で横たわる女性の姿と別の病院に電話する院長の姿だったという。

 出産前にはおなかが動く様子を動画で撮影し、家族みんなに送っていたという女性。子どものために将来設計を練り直したり、名前を考えたりと、わが子の誕生を楽しみに待っていた。

 生まれてきた長男(1)は一時は肺炎で危篤状態になり、尿を管理する脳の機能が育たないため、常に水分調整などの処置を受けなければならないなど、「いつどうなってもおかしくない状態が続いている」という。

 遺族は「体制が整ってるところだったら、こんなことにはならなかったのか。分娩の痛みと引き換えに命がなくなるなんて」とうつむいた。(篠原拓真)」

報道の件は,私が担当したものです.

妊婦は昭和57年2月生まれで,事故後意識を回復することなく,今年5月に35歳で亡くなりました.
児は,きわめて重度の障害を負い,現在も入院中です.

このクリニックには,当時,医師は院長一人だけしかいませんでした.
院長は,テストドーズ(硬膜外麻酔のチューブをいれたあと試験的に少量の薬剤を投与すること)のあと外来に行き,戻ってきて無痛分娩のために麻酔薬の投薬を本格的に始めたところで,再び外来に行っために,観察ができなかった事案です.

2015年9月2日の事故の概略は,次のとおりです.
9時15分 テストドーズ後医師は外来へ
9時35分 硬膜外麻酔開始,医師は再び外来へ
9時40分 気分不良,嘔吐
9時51分 呼吸困難,ドクターコール
9時58分 心電図装着 酸素投与
9時59分 搬送依頼
10時00分 呼吸できず
10時07分 呼びかけに反応せず
10時08分 血圧測定できず
10時10分 救急隊要請
10時15分 救急隊到着,心電図PEA(心静止)
10時28分 救急車内収容
10時46分 神戸大学病院に到着
10時56分 緊急帝王切開で児娩出,新生児仮死,蘇生
11時02分 母体心拍再開確認


たとえ,硬膜外麻酔が高位麻酔になったとしても,その徴候がみえた段階で適切に対処すれば事故は回避できたはずで,観察を怠ったことは本当に残念です.硬膜外麻酔を始めたところで,外来に行ってしまうということは,ありえないことです.硬膜外麻酔開始後の観察ができない体制のクリニックは,無痛分娩を行ってはいけないと思います.

なお,おかざきマタニティクリニックの代理人弁護士から,今朝,電話がありました.
たしかに謝罪には行っていないが謝罪の申し出はしたではないか,という内容でした.
そのとおりで,示談に際し院長から謝罪の手紙をいただいておりますし,神戸中央区の産科麻酔事故が報道された日に,墓に詣でたいとの申し出が代理人弁護士を通じてありました.私はご遺族に申し出を伝えましたが,ご遺族は回答する気になれず今日に至っています.

昨年12月に示談が成立していますが,この医療事故のために多くの人の人生が変わってしまいました.
無痛分娩は素晴らしい医療技術ですが,その実施は,それを正しく用いることのできる医師,施設に限るべきと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-29 10:33 | 医療事故・医療裁判

勝村久司氏「『無痛分娩』で妊婦や家族が知らない重大リスク」

全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人勝村久司氏の「『無痛分娩』で妊婦や家族が知らない重大リスク」がダイヤモンドオンラインに掲載されています.
勝村久司氏は次のとおり述べています.
「無痛分娩で、母親が死亡する事故が相次いで報道されています。
事故の原因は大きく分けて二つです。一つは、「麻酔」による事故。もう一つは、無痛分娩で使用されることが多い「子宮収縮薬(陣痛誘発剤・陣痛促進剤)」による事故です。
 共通しているのは、従来からリスクの高さが指摘されているそれら二つの医療介入をするにもかかわらず、(1)十分な体制がとられていない、(2)十分な監視がされていない、(3)急変時に適切な対応ができていない、そして、(4)麻酔や子宮収縮薬のリスクを妊婦や家族に十分に説明していない、という四つの点です。子宮収縮薬に関しては使用すること自体の説明さえなされていないケースもあります。・・・」


子宮収縮剤によった意見で,私の意見とは違いますが,ご一読をお奨めいたします.
陣痛促進剤の適切な使用が出来ていないための事故が多いですが,陣痛促進剤そのもののリスクによる合併症と考えられるものは少ないと思います.無痛分娩が陣痛誘発とセットではありませんし,また陣痛誘発剤を投与して日中の分娩を企図する施設では,そもそも日中でも十分な体制がとれていない場合があり,不十分な体制で無痛分娩を行い,高位麻酔に適切に対処できないことが事故を発生させていると思います.
薬や医療技術に問題があるのではなく,ルールを逸脱した用い方をする一部の医師に問題があると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-25 17:56 | 医療事故・医療裁判

公立西知多総合病院,検体を取り違え胃潰瘍の患者の胃を切除し胃がんの患者を退院させる(報道)

毎日新聞「がん誤認で胃切除 潰瘍患者検体取り違え」(2017年6月21日)は次のとおり報じました.

「愛知県東海市の公立西知多総合病院で、胃がんと胃潰瘍の男性患者2人の病理検査の検体を取り違え、胃潰瘍だった50代患者の胃を誤って切除し、胃がんだった80代患者をそのまま退院させていたことが分かった。浅野昌彦院長らが21日、記者会見して謝罪した。

 50代患者は通院治療中、80代患者はその後救急で入院し、さらに転院して治療を受けているという。

 同病院によると、今年4月上旬、2人は同じ日に胃の細胞を内視鏡で採取され、翌日、病院内で細胞を詳しく調べる病理検査が行われた。その結果、50代患者は胃がんと診断され、5月下旬に胃の3分の2を切除する手術を受けたが、切除した胃にがん細胞はなく、再検査でも見つからなかった。このため、院内医療事故調査委を開いて調べた結果、同じ日に採取された80代患者の細胞と取り違えていたことが判明した。

 細胞検体はそれぞれ白いプラスチック容器に納め、患者の名前や番号を記した瓶に入れて保存していたが、検査のため緑色の別の容器に移そうと瓶の中の容器を出した際、作業用のトレーの上に他の患者の瓶や容器があり、臨床検査科の職員が移し誤ったという。白い容器には患者名や番号の記載はなかった。

 同病院は患者と家族に謝罪し、検体の取り扱い方法を改めるなど再発防止策を示した。浅野院長は「患者や家族には誠心誠意、対応する。今後、事故がないよう一層努力していく」と謝罪した。【林幹洋】」


朝日新聞「生検検体取り違え不要な患者の胃切除 愛知の病院」(2017年6月22日)は次のとおり報じました.

「病院は原因として、病理部門で複数患者の検体と患者別の病理検査用のカセットを同じトレーで運んでいたことや、生検カセットに患者別のID表示などがなかったことを挙げた。マニュアルに基づいた作業だったという。浅野昌彦院長は「トレーに複数の検体があること自体にリスクがあり、もっと早期に改めるべきだった。個人のミスというより、病院全体の運用の問題。深くおわびする」と述べた。再発防止策を実施したという。」

これは私が担当したものではありません.
検体の取り違えは他の病院でも時々起き報道されています.
作業を同時並行で進めるのは,効率的ですが,取り違えの危険があります.
表示がないと取り違えの危険があります.
取り違えが起きない体制にすることが重要です.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-25 01:39

千葉市立海浜病院,説明義務違反の慰謝料を支払(報道)

千葉日報「2患者遺族に慰謝料 『手術リスク説明不十分』 8人死亡の千葉海浜病院」(2017年6月23日)は,次のとおり報じました.

「千葉市立海浜病院(千葉市美浜区磯辺3、寺井勝院長)の心臓血管外科で2015年に患者8人が手術後相次ぎ死亡した問題で、同病院は22日、2人の遺族へ慰謝料計400万円を支払うことで示談が成立したと発表した。「医療過誤はないが、手術リスクの事前説明が不十分だった」とし、過去の裁判例に基づき決定。ほか3人についても損害賠償の交渉をしている。

 慰謝料の内訳は2件それぞれの手術の緊急性などを考慮し、300万円と100万円。いずれも精神的苦痛に対する慰謝料として、過去の医療訴訟の類似裁判例などに基づいて額を決定した。患者の性別や年齢などは「遺族の心情に配慮する」(寺井院長)として非公表。

 昨年秋ごろから面談などを通じて交渉し始め、3、4月に支払った。現在、同じく手術リスクの事前説明が不十分だったとする3人の遺族と損害賠償を交渉中。残り3人の遺族には「手術の適応やリスク説明に問題なし」として賠償しないことを決めた。

 記者会見した寺井院長は「遺族と誠実に向き合い、できることはする責務がある」と強調した上で、「損害賠償しなかった遺族にはおおむね理解を得られた。交渉中の3件は遺族の事情を尊重して進めたい」と説明した。」


報道の件は私が担当したものではありません。
100~300万円程度の損害の場合,費用の関係で弁護士が入らないことが多いのですが,説明義務違反の慰謝料として100~300万円は相当でしょう.千葉市立海浜病院は概ね誠実に対応していると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-24 17:31 | 医療事故・医療裁判

通信回線回復

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6月21日朝から通信回線がおかしく,インターネット,電話,ファクシミリに障害が生じました.スマホで連絡するしかなく,またマスコミ関係への連絡はさくら通り法律事務所から通信させていただきました.
同日通信会社に電話したところ,ルーターが古いのではないかとのことでした。
22日に通信が完全途絶したので,通信会社に再度電話して緊急修理を依頼しました。
23日に修理の人が来て外の回線に問題があることが分かりました.隣接する再開発事業の関係の光ケーブルの敷設工事を20日に事務所の前の通りで行った際に,ミスがあったとのことで,その部分を直し通信回線は回復しました.
この間,皆様にご不便ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-24 10:03 | 事務所

島田市民病院,糖尿病既往歴がある患者にステロイド薬を投与し急性腎不全で死亡した事案で和解(報道)

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中日新聞「島田市民病院で医療事故 78歳男性死亡」(2017年6月16日)は次のとおり報じました.

「◆眼科に入院

 島田市立島田市民病院(同市野田)で二〇一五年十月、入院中の不適切な対応により、牧之原市の男性患者=当時(78)=が死亡する医療事故が起きていたことが、市民病院への取材で分かった。市民病院は「死亡の原因がはっきりしなかった」として事故を公表していなかった。

 市民病院によると、男性は当時、失明の危険性のある病気のため、二週間ほど眼科に入院していた。糖尿病の既往歴があるにもかかわらず、目の炎症を抑えるため、血糖値に影響を与える恐れのあるステロイド系の薬を投与したという。男性は退院した十月十二日に容体が急変し、市民病院に緊急搬送され、翌十三日に急性腎不全で死亡した。

 男性の死亡を不審に思った遺族が、市に損害賠償を請求。市は当初、医療行為が直接の原因とは考えていなかったが、再調査で「血糖値管理に不適切な対応があった」と認め、今年三月二十八日、遺族側に千九百万円を支払うことで示談した。

 市民病院の村松正幸総務課長は、本紙の取材に「病院としてあってはならない重大な結果で、再発防止に努めたい」としている。」

報道の件は私が担当したものではありません.
ステロイド糖尿病が知られていますが,糖尿病でなくても「ステロイド→高血糖→糖尿病」には注意しなけれなりません.眼科医であっても,眼科の知識だけではなく,処方する以上は薬の副作用を知っていなければなりません.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-16 20:43 | 医療事故・医療裁判

大阪大学医学部附属病院,脳腫瘍の手術ミスで約1億7千万円の和解(報道)

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共同通信「大阪大、脳腫瘍の手術ミスで和解」(2017年 6月 14日)は次のとおり報じました.

「2009年7月に大阪大病院(大阪府吹田市)で脳腫瘍の手術を受けた大阪市の男性(50)が、直後から意思疎通のできない状態になったのは医療ミスだとして、大阪大に計約4億2千万円の損害賠償を求めた訴訟で、大学側が男性と家族に計約1億7千万円を支払うことなどを条件に大阪地裁(山地修裁判長)で和解したことが14日、分かった。7日付。
 和解条項では、男性が系列病院で入院を継続できるよう調整に努めるとの内容も盛り込まれた。」

この件は,私が担当したものではありません.
この和解金額からすると,裁判所は,過失・因果関係があるとの心証をとったことが明らかです.
和解まで事故からほぼ8年かかっていることからすると,原告・被告の主張に対立があった事案と思います.
脳腫瘍の手術ミスは,他院でも起きていますが,解決まで時間がかかっているものが多いようです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-15 09:36 | 医療事故・医療裁判

京田辺市のふるき産婦人科,医療過誤訴訟が3件!(報道)

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朝日新聞「帝王切開で重度障害「ミスが原因」 京都の夫婦も提訴」(2017年6月14日)は,次のとおり報じました.

 「訴状によると、母親(35)は2011年4月に長女を出産した。出産までの検診では何の異常もなかったが、医院側は出産時に分娩監視装置を装着せず、無痛分娩をするために「硬膜外麻酔」を行い、子宮収縮剤を投与した。結局、帝王切開で出産したが仮死状態で生まれ、脳性まひなどと診断された。その後、長女は14年12月に3歳で死亡した。

 夫婦側は、産婦人科診療ガイドラインは、子宮収縮剤を使う際には分娩監視装置の着用を定めていると指摘。「医院はこれを怠り、低酸素脳症を発症させた」と主張。一方、ふるき産婦人科は「取材には応じられない」としている。

 この医院をめぐっては、無痛分娩や帝王切開のため硬膜外麻酔をした後に呼吸などが出来なくなり、母子が重い障害を負ったなどとして、京都府内の2家族が京都地裁に提訴している。(安倍龍太郎)」


テレビ朝日「京都の産婦人科で無痛分娩“事故” 訴訟3件目」(2017年6月14日)は,次のとおり報じました.

「京都の産婦人科で「無痛分娩(ぶんべん)」の際の医療ミスが相次いでいる問題で、2011年に出産した別の夫婦の子どもも脳に重い障害を負い、損害賠償を求めて提訴していることが分かりました。

 訴状などによりますと、京都府京田辺市内に住む女性は2011年4月、「ふるき産婦人科」で無痛分娩によって子どもを出産しました。その際、病院側が子どもの状態を確認する「分娩監視装置」を設置しないまま麻酔処置をし、陣痛促進剤を注入したため、女性の血圧が低下。子どもは仮死状態で生まれました。子どもは脳に重い障害を負い、2014年に3歳で死亡しました。夫婦は「病院が適切な処置をしなかったことが原因」と主張。2013年に病院を相手取り、慰謝料など約1億円の損害賠償を求めて提訴しました。ふるき産婦人科は無痛分娩などの麻酔ミスで、他に2件の訴訟を京都地裁に起こされています。」


私は,無痛分娩事故を(複数)取り扱った経験がありますが,さすがに1クリニック・1院長医師が3件の医療過誤訴訟を抱えるのは異常な事態と言えるでしょう.最初の事故が報道されていれば,最初の事故後適切に対応していれば,2件目,3件目の事故はなかったかもしれません.

谷直樹法律事務所では,「無痛分娩事故調査」を調査手数料10万円+消費税と実費預り金10万円(余剰金は返金します)で行っています.日本産科麻酔科学会の産科医師1名にカルテ・分娩監視装置の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます。調査依頼から調査報告まで原則60日以内です.
全国対応いたします.

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by medical-law | 2017-06-14 13:51 | 医療事故・医療裁判

滋賀県立成人病センター,医師が器具を使う場所を誤り患者の脊髄を損傷した事案で和解(報道)

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読売新聞「滋賀県立成人病センターで手術ミス、県が賠償へ」(2017年6月13日)は,次のとおり報じました.

「滋賀県立成人病センター(滋賀県守山市)で2014年12月、県内の男性患者(67)に行われた首の手術で、脊髄を損傷するミスがあったことがわかった。男性は右半身まひなどの後遺症で身体障害2級の認定を受け、県は2000万円の損害賠償を行うことで合意。近く関連議案を県議会に提案する。

 男性や同センターによると、男性は右手指のしびれを訴え、同年10月に受診。脊髄を圧迫していた骨を取り除く手術を受けた。骨を削る際、男性医師が器具を使う場所を誤り、脊髄を損傷。男性は箸が持てないなど右半身の運動障害や左半身の知覚障害が起こり、約4か月間、入院した。退院後も障害が残り、別の病院でリハビリ治療を続けている。

 男性は16年12月、県に6568万円の損害賠償を求める民事調停を大津簡裁に申し立てたが、今月に和解することで合意した。」


京都新聞「頸椎手術で事故、障害残り賠償へ 滋賀成人病センター」(2013年6月13日)は,次のとおり報じました.

「男性は右手指のしびれを訴え、整形外科の男性医師が2014年12月に首を切開して脊髄への圧迫を取り除く「頸椎椎弓(ついきゅう)形成術」を行った。手術後まひが起こり、調査の結果、脊髄を守る骨「椎弓」が手術中に折れ、首の骨と筋肉をはがす器具が脊髄を損傷させた可能性が高いと判断した。
 男性は現在、歩けるものの右半身がまひで不自由な状態になり、左半身にも温度や痛みに対する知覚障害が残ったという。県は男性らに謝罪し、民事調停を通じて2千万円の支払いに合意することを決めた。20日に始まる6月定例会議に関連議案を提案する。
 同センターは会見で同様の手術は別の手法で行うなど再発防止策を説明。医師は手術を行わない部署に異動したという。」


報道の件は私が担当したものではありません.
右手指のしびれは,頚椎症性神経根症でしょうか.頚椎症性神経根症だとすれば,姿勢,老化に伴う一般的な疾患で,多少の症状では手術をしないことも多いのですが.
報道によれば,除圧の過程で,椎弓が手術中に折れ脊髄を損傷したということですが.それなら,注意義務違反(過失)は明らかでしょう.
なお,医療過誤について,東京では簡裁の調停は使いませんが(弁護士会の医療ADRのほうが使い勝手がよいので),東京以外の地域ではこのように簡裁の調停を用いることもあるようです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-13 18:19 | 医療事故・医療裁判

京田辺市の「ふるき産婦人科」の産科麻酔過誤訴訟が2件!(報道)

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朝日新聞「無痛分娩の麻酔で母子に障害 京都の医院、別件でも訴訟」(2017年6月12日)は,次のとおり報じました.

「医院は京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」。女性と家族は昨年12月、医院に損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状などによると、ロシア国籍で大学准教授だった女性(40)は無痛分娩のため、背中に細い管を差し込んで麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」をした後、意識を失い、心肺停止になった。別の病院へ運ばれたものの今も女性は寝たきりの状態。搬送先の病院で緊急帝王切開で生まれた女児は重い脳性まひとなった。女性側は医師が麻酔の針を本来と違う部分に過って入れたことで、呼吸などが出来なくなる「全脊椎(せきつい)麻酔」になったと主張。麻酔薬の過剰投与もあったとしている。

 出産時に赤ちゃんが重い脳性まひになった場合に一時金などを払う産科医療補償制度の原因分析報告書も「硬膜外麻酔に起因する全脊椎麻酔によるものである可能性が最も高い」と指摘している。医師は産婦人科医の院長1人だった。医院は「取材に応じられない」としている。

 ロシアの医師である女性の母親(62)は「ただ一人の産婦人科医しか働いていないような個人病院で出産することの危険性を警告したい。出産は複数の医師がいる体制のあるところですべきだ」などとする文書を代理人を通じて出した。

 この医院では昨年5月に別の女性(38)が帝王切開の手術の際、硬膜外麻酔の後に呼吸などが出来なくなり、母子ともに重い障害を負ったとして、家族らが医院を相手に京都地裁に提訴。訴状によると、この件でも麻酔の針が本来と違う部分に入ったことが原因と主張している。医院側は争う姿勢を示している。(合田禄)」


私は産科麻酔事故を担当したことが複数回ありますが,報道の件は,私が担当したものではありません.
同じ医師で産科麻酔の裁判は2件というのは,そうあるものではありません.
このような事案で,医師が争っているというのは,どういうことなのでしょうか.

谷直樹法律事務所では,「無痛分娩事故調査」を調査手数料10万円+消費税と実費預り金10万円(余剰金は返金します)で行っています.日本産科麻酔科学会の産科医師1名にカルテ・分娩監視装置の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます。調査依頼から調査報告まで原則60日以内です.
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by medical-law | 2017-06-13 11:43 | 医療事故・医療裁判