弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

富士フイルム子会社の「アビガン」は催奇性リスクがあるがエボラ出血熱には有効かもしれない

抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」は,胎児に奇形が生じるリスクがあり,季節性のA型又はB型インフルエンザウイルス感染症に対する有効性は未だ検証されたとは言えず,他方,鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)及びA(H7N9)等に対する抗ウイルス作用は期待できることから,[効能・効果]が,「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)」と限定され,以下の厳しい5条件を課して承認された薬です.

1.我が国において、承認用法・用量における薬物動態試験を実施し、終了後速やかに、かつ、製造販売の承認を受けた日から1年を経過する日までに、試験成績及び解析結果を提出すること。
2.通常のインフルエンザウイルス感染症を対象に、本剤の有効性の検証及び安全性の確認を目的とした臨床試験を実施し、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
3.1及び2の試験成績及び解析結果を提出し、それに応じた措置がなされるまでの期間は、厚生労働大臣の要請がない限りは、製造等を行わないこと。
4.製造販売する際には、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう厳格な流通管理及び十分な安全対策を実施すること。
5.本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に、あらかじめ患者又はその家族に有効性及び危険性が文書をもって説明され、文書による同意を得てから初めて投与されるよう、厳格かつ適正な措置を講じること。

msn産経は「日本のインフル治療薬「アビガン」に脚光 マウス実験で効果」(2014年8月14日)は,次のとおり報じました.

「過去最悪の大流行に、WHOが未承認薬についても一定の条件下で患者への投与を認める考えを表明する中、にわかに注目を集めているのが国内の製薬企業が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン(一般名・ファビピラビル)」だ。

 アビガンは富士フイルム傘下の富山化学工業(東京都新宿区)が開発し、今年3月、既存の治療薬の効果が出ない新型インフルエンザなどに限って製造販売が承認された。厚生労働相の要請を受けて製造されるため、流通はしていない。

 富士フイルムによると、アビガンは増殖したウイルスの放出を防ぐ従来のインフル治療薬と異なり、ウイルスそのものの増殖を防ぐ。インフルエンザウイルスと特徴が似ているエボラウイルスにも効果が期待され、海外でのマウス実験ではエボラ出血熱にも効果が確認された。同社は「米国のパートナー企業を通じ、エボラ出血熱の治療にアビガンが使えるよう、米国での治験に向けた協議をしている」と話す。

 国内でもエボラ出血熱の発生に備えて期待が高まるが、現状ではアビガンの使用はあくまでインフルエンザに限られている。」


日本国内でエボラ出血熱が流行することはまず考えられませんので,日本国内でアビガンを使うことはないでしょう.

谷直樹

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# by medical-law | 2014-08-14 20:25 | 医療