弁護士谷直樹/医療専門の法律事務所のブログ

日本ダウン症協会,『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(案)』の発表を受けて

日本ダウン症協会は,2012年12月17日,「『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(案)』の発表を受けて」を発表しました.

「『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(案)』の発表を受けて公益社団法人 日本産科婦人科学会による『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(案)』が12月15日(土)に発表されたことについて、これをとりまとめられた「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する検討委員会」のご努力に敬意を表します。

そもそも「新しい出生前遺伝学的検査」は、現在対象とされている、3つのトリソミーのみではなく、今後、あらゆる遺伝子の変化を対象に広げうるものです。財団法人日本ダウン症協会(JDS)は、この点が深く議論されることなく、3つのトリソミーのみを対象として指針(案)が作成されたことを強く危惧しています。

今回の指針(案)の内容に関して、JDS は、「新しい出生前遺伝学的検査」について、母体血清マーカー検査に関する国の見解の骨子を踏襲し、慎重で限定的な進められ方をするべきだと主張されていることに注目します。今後、パブリックコメントの収集と集計を経て、最終的にどのような指針となるか、引き続き注視していきます。そして、今後も、私たちが必要と考える意見表明を続けます。

JDS の使命のひとつは、ダウン症に関する正確な知識・情報の提供と、ダウン症のある人たちの生活の豊かさについての啓発にあります。JDS は、何よりも、このような検査が必要とされることなく、ダウン症のある人が生まれ、そして「その人らしく、普通に、安心して暮らせる社会」が実現することこそが目標であるという理念のもとに、これまでどおり地道な活動を継続していきます。」


新しい出生前遺伝学的検査は,誰が何のために必要とする検査なのか,よく考える必要があると思います.
検査により胎児の選別が行われるとしたら,生命倫理の観点からどのように考えたらよいのでしょうか.
母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(案)』のご一読をお奨めいたします.


【追記】
共同通信「受けない選択は難しく? 新出生前診断、運用慎重に 玉井真理子さん」(2012年12月18日)で,玉井真理子は,次のとおり述べています.

「診療の現場では、上の子に障害が見つかって、次の妊娠で出生前診断を検討しているご夫婦が「検査を受けると、上の子の存在を否定することになるのだろうか」と深く悩んでいるケースに出会います。考え抜いてなお悩む姿を見て、検査を受けるかどうかの判断は本当に難しいと思う。

 新検査は当初「精度99%」と報道されましたが誤解を招く表現でした。ダウン症について結果が陽性と出た場合の正確さは妊婦の年齢によって変わるとされ、最終確認には羊水検査が必要です。一方、陰性という結果の精度は確かに高いため、流産の危険もある羊水検査を減らす意義があるということです。

 丁寧なカウンセリングで検査の意味と限界をよく理解してもらうのが大切ですが、検査への敷居が低くなるのはやはり気掛かりです。」


谷直樹

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# by medical-law | 2012-12-17 21:04 | 医療