弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

「添付文書・診療ガイドラインと注意義務違反」

「添付文書・診療ガイドラインと注意義務違反」_b0206085_9473456.jpg11月17日,第二東京弁護士会消費者問題対策委員会の医療訴訟セミナー「添付文書・診療ガイドラインと注意義務違反」を受講してきました。



講師は,東京弁護会の石井麦生先生と東京医科歯科大学大学院の高瀬浩造先生です。

弁護士の石井先生からは,最高裁平成8年1月23日判決(いわゆるペルカミンS判決)とその評価の紹介があり,慎重投与は「用法・用量の設定や患者のモニタリングを適切に行ったうえで投与できる.禁忌より医療従事者の負担は大きい.」などのお話がありました.

医師の高瀬先生の講義では,以下の点がとくに興味深く思いました.
● 教科書は理解しやすくするためのもので,証拠にはならない.教科書的というのは褒め言葉ではない.
● 以前は,日本の添付文書は使い方が書いてなかった.米国の添付文書を読んでいた.
● ペルカミンS事件は,添付文書の2分ごとの血圧測定に合理性はないと考えられていた.そもそも,7歳の児に腰椎麻酔をして虫垂根部をひっぱったらこうなるくらいのことはわかる,7歳の児に腰椎麻酔をすること自体が問題.
● 「指針」は,ガイドラインではない.このようにやっているという参考例.
● ガイドラインには,エビデンス重視型とコンセンサス重視型がある.コンセンサス型の方が,実際の医療に役立つ.
● 外科と内科など複数の学会がからんでいるガイドラインが,どちらにも解釈できるようにつくられている.
● (できの悪いガイドラインの例は?,という質問に)2002年の小児喘息治療ガイドライン.
● 医師には,自分ができることの中で治療を考えるメンタリティがある.本当は,患者の状態をみて,患者にとって最善の医療がそこで出来なければ,転院を考えねばならないのだが.


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by medical-law | 2010-11-19 09:50 | 医療事故・医療裁判