2010年版米国公衆衛生総監報告書

2010年版米国公衆衛生総監報告書
A Report of the Surgeon General: How Tobacco Smoke Causes Disease: The Biology and Behavioral Basis for Smoking-Attributable Diseaseが発表されました.
米国公衆衛生総監は,議会の助言と同意を得て大統領により指名される,米国の公衆衛生についての連邦政府の筆頭発言者です.公衆衛生総監報告書の作成にあたっては専門家の意見を取り入れつつ,数多くの科学的研究の中から取捨選択し,十分に科学的・客観的な判断によって結論に至る流れが採用されており,国際がん研究機構(IARC)のヒト発がん性評価などと並び国際的にも代表的な総括報告として知られています.(「健康用語辞典」より)
AFPは,以下のとおり,「『タバコの煙に安全レベルなし』、2~3本でも危険 米報告書」と伝えています.
「【12月10日 AFP】米公衆衛生局長官のレッジーナ・ベンジャミン(Regina Benjamin)医務総監は9日、たまに喫煙するだけの場合や、受動喫煙であっても、循環器やその他の健康障害を招き得るとする報告書を発表した。
米公衆衛生局は1964年以降、長官名で喫煙の危険性に関する報告書を発表している。最新版で、ベンジャミン長官は『タバコの煙には、吸っても安全なレベルはないということが立証された』と述べた。
報告書は、『必ずしもヘビースモーカーや長期喫煙者でなくても、喫煙関連疾患にかかったり、タバコの煙が誘因となる心臓発作やぜんそくの発作は起きる。受動喫煙を含む低レベルの暴露でも、急速かつ著しく血管内の機能障害、炎症は増加し、心臓発作や脳卒中に関わる』と警告している。
また、1日の喫煙本数が2~3本だったり、たまにしか吸わない、あるいは受動喫煙といった低レベルの暴露でさえ、心血管事故のリスクを大幅に増加させるに十分だとの証拠も挙げられた。さらに今回の報告書によって、タバコの煙への暴露に対する健康リスクの増加は直線的ではないという新見解も加わったとした。
『タバコの煙には7000種類もの化学物質や化合物が含まれており、そのうちの数百種類は有害で、70種類以上が発がん性物質だ。・・・それらの化学物質は煙を吸引するたびに素早く肺まで到達する。そして血液によって毒性物質が身体の全器官に運搬される』(同報告書)
報告書はまた、タバコはニコチンやその他の成分の『中毒になるように作られて』おり、若者ほど『ニコチンに反応しやすく』、したがって中毒になりやすいとも警告している。(c)AFP」
報告書は,科学的に確かな根拠のあるものですが,喫煙者は,喫煙の害について科学と事実を信用せず.この報告書を否定しようとする傾向があります.それは,まさしく,喫煙者が依存性のある薬物(ニコチン)を摂取しているため,正しい認知ができなくなっていること(認知に歪みが生じていること)の証左と言えるでしょう.
12月15日追記
「米国公衆衛生局長官報告(2010年12月)『タバコ煙が病気を起こすメカニズム』-喫煙関連疾患の生物学的行動学的根拠-ファクトシート」を,NPO法人日本禁煙学会理事松崎道幸先生が翻訳しています.
谷
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