医療行為の無過失補償制度の導入

これに対する「ライフイノベーションワーキンググループの検討項目に対する日本医師会の見解」が,日本医師会のホームページに掲載されています(2月16日定例記者会見).日本医師会は,行政刷新会議の規制・制度改革は,「医療の産業化」を目的にするものとして,警戒しています.
ライフイノベーションワーキンググループの検討項目は,38項目にわたります.
その6番目に,医療行為の無過失補償制度の導入が取り上げられています.
ライフイノベーションワーキンググループのとりまとめは,ワクチン及び保険診療全般を対象とする無過失補償制度を導入し,損害賠償請求の訴訟権を制限する免責制度の導入を検討する,というものです.
現行の医療行為の無過失補償制度は,医薬品副作用救済制度と産科医療補償制度だけですが,損害賠償請求の訴訟権を制限するものではありません.
損害の一部が補償されただけで,相当因果関係のある損害全部についての賠償を求める権利がなくなるのは,被害者の救済を損なう結果になります.
また,損害賠償だけに傾斜した議論は,被害者の意図とは,大きくかけはなれています.
ワーキンググループのとりまとめは,医療事故の真実を究明し,原因分析,再発防止につなげるという視点が欠落しているのではないか,という懸念もあります.
日本医師会は,「改革案の理念には賛成であるが、慎重な議論が必要である。」としています.
今後,政務協議,「規制仕分け」を経て3月末までに閣議決定の予定とのことですが,慎重な議論が必要な問題でしょう.
【追記】 菅内閣は,震災対策の最中の4月8日,十分な論議を行うことなく,閣議決定しました。ワクチンは落として,保険診療全般を対象とする無過失補償制度の課題等を整理し,検討を開始する,となっています。補償を受けた際の免責制度の課題等を整理し,検討を開始する,となっています。
日本医師会等から反対の意見が表明されています。
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谷直樹