イレッサ大阪判決の社説,毎日

一日遅れですが,毎日新聞の社説がでましたので,ご紹介します.
◆ 毎日新聞「イレッサ判決 国に責任はないのか」
「国については「死亡を含む副作用の危険を高度の蓋然(がいぜん)性をもって認識することができなかった。国の措置は許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとは認められない」として賠償請求を棄却した。行政指導に法的な拘束力はなく、同社が間質性肺炎を添付文書に記載することに消極的な態度を示していたため被害を防ぐことはできなかったというのだ。 しかし、判決に先立って裁判所が出した和解所見では国の救済責任について認めていた。判決でも国の行った行政指導が「必ずしも万全な規制権限の行使であったとは言い難い」とも指摘している。国家賠償法の違法性を認めるまでには至らないが、国の行政指導に問題があったことを認めたと読み取るべきだろう。
製薬会社が自社の製品にマイナスの情報を出したがらないのは過去の薬害でも繰り返されてきたことだ。だから国は適切な監督権限を行使するよう求められているのではないか。国がもっと踏み込んで指導していればイレッサの副作用被害はここまで広がらなかったに違いない。」
添付文書に欠陥がある場合に,国が規制権限を行使しなかったことは違法ではない,という大阪地裁判決の論理は,すっきりしません.
国賠法上の国の責任を否定した大阪地裁判決について疑問を表明し,国の行政指導に問題があったことを認めた判決だと読んだ毎日新聞の社説に,共感できます.
大阪地裁判決が国の主張を認めたのは国賠法上の責任がないという1点のみです。それ以外は国の主張を認めていません.
国賠法上の責任については,東京地裁判決に期待しましょう.
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谷直樹