弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

『看護業務をめぐる法律相談』

『看護業務をめぐる法律相談』_b0206085_10253771.jpg新日本法規の『看護業務をめぐる法律相談』を共同執筆しました.
看護職の役割・裁量の拡大により増大する法的リスクを回避するために,看護職の権限や業務範囲,労務管理上の問題など看護職が現場において直面する法律問題を網羅的に取り上げ,Q&A形式でわかりやすく解説した加除式の本です.

【編集代表】 荒井俊行(弁護士)
【編集委員】 平林明美(株式会社日本看護協会出版会 損害保険部部長)
【執筆者】(五十音順)/荒井俊行(編集代表),井上智子(東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科教授),岩井郁子(聖路加看護大学名誉教授),奥村佳生(弁護士),川合政恵(島根県看護協会副会長),小池良輔(弁護士),高瀬浩造(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科教授),谷直樹(弁護士),坂野維子(弁護士),平林明美(編集委員),山田雅子(聖路加看護大学教授)

すでに類書がありますが,正確さ等に問題を感じていましたので,執筆を引き受けました.看護職の方に実際に活用していただけるものをめざして,実際にどのような事案で裁判所がどのように判断しているのか,を中立的な立場から客観的に,かつできるだけ平易に書きました.ただ,正確に書こうとすると,(法律家にはともかく)看護職の方には分かりにくいものになりますので,苦労しました.
古い判例の中には,現時点の医学水準,看護水準に照らしてそのまま通用しないものもありますので,その場合は,コメントをしてあります.新しい問題については,裁判例がなくても取りあげ,事故報告,ガイドライン等を参考に,注意義務についてご理解いただけるように記載しました.法規制自体が動きつつあるところについては,今後加除式の利点を活かし,補充していきたいと思います.

なお,私が担当したのは,「第4章 看護事故と法的責任」の一部で,以下の項目です.

第4章 看護事故と法的責任
第1 看護職の注意義務と責任
1 事故による責任の区分
○民事裁判の流れと対応は

3 紛争解決・保険等
○訴訟以外の紛争解決方法は

第2 看護事故事例(ケーススタディ)
1 療養上の世話
○散歩時に患者が転倒したときの責任は

2 診療の補助
○注射による神経損傷事故、与薬による事故の責任は
○静脈注射による事故の責任は
○薬剤の取り違え事故の責任は
○医師の指示なく看護師が准看護師に輸液実施を指示して事故が起こった場合の責任は
○透析による事故の責任は
○輸血(血液製剤)取扱いによる事故の責任は
○麻酔薬による事故の責任は
○尿道カテーテル交換時の事故の責任は
○浣腸時の事故の責任は
○ナースコールへの対応の遅れによる事故の責任は
○機器類の誤操作の責任は
○チューブ類の外れ・閉塞の責任は
○ケーブルの接続ミス等の責任は
○手術による事故の責任は
○分娩による事故の責任は
○患者取り違えによる事故の責任は
○間違った医師の指示に看護職が従って事故が起こった場合の責任は
○不明瞭な指示書の読み間違いによる事故の責任は

3 観察・説明等
○術後の経過観察が不十分なために発生した事故の責任は
○病状等の経過観察が不十分なために発生した事故の責任は
○誤嚥等が予見される患者の観察が不十分なために発生した事故の責任は
○適切なモニター監視を怠ったことによる事故の責任は
○患者観察が不十分なために他殺、自殺を防止できなった場合の責任は
○情報の記録・医師への連絡に関するエラーの責任は
○看護記録を書き換えた場合の刑事責任は
○患者や家族への不適切な説明・対応の責任は
○患者に自己管理を指導したが、患者が処置を誤り事故が起こった場合の責任は

4 訪問看護
○訪問看護における点滴(輸液療法)による事故の責任は
○ヘルパーにたん吸引を指導後に事故が起こった場合の責任は

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谷直樹
by medical-law | 2011-03-08 10:28 | 出版