被災の心的ケアと情報の透明性

スティーブン・ベッカー米アラバマ大教授(災害心理学)は,「福島第1原発事故は、東京電力の情報公開の不透明さが住民の不信感を招いた。心理的な悪影響を防ぐためにも政府が情報の透明性を確保する努力が何よりも大事だ」と述べたそうです.
(msn産経ニュース 「心のストレス、敵は「根拠ない恐怖心」 米が放射能被害ケア「日本語版」」ご参照)
嘘をつかない,事実を明らかにする,それが医療事故対応の基本原則です.
患者側は,事故後嘘をつかれたこと,隠蔽されたことで,再度深く傷つきます,
患者側は,事故後の対応によって,再度深く傷つくのです.
今回の原発事故にも,医療事故と同じような構造があるように思います.
東京電力は,今回の福島第1原発の事故後,情報を隠蔽し,後から小出しにするという小狡いやり方をとりました。東京電力の情報隠しは今回に限ったことではありません。東京電力は,これまでも,原発の危険性を隠すために,原発で事故がおきても,隠してきました(重大な結果が発生しなかっただけで,事故はおきていました.).
パニックをおこさせないためという大義名分のためかは知りませんが,テレビには御用学者が登場し,安全を強調しました。原子力安全・保安院は,東京電力の情報を伝えるスポークスマンにすぎませんでした.東京電力の情報操作は今回に限ったことではありません.東京電力は,マスコミ,官僚などとは密接な関係を保ち,原発の危険性は過小評価,過小報道されてきました.
大熊町夫沢で4月2日毎時124マイクロシーベルトという高い数値が計測されていたことが4月21日に報道されていますが,それは事故の初期段階で大量に放出された放射性物質が土壌に沈着したことによる影響が強いとみられるとのことです.
(毎日新聞「福島第1原発:大熊町、毎時124マイクロシーベルト」ご参照)
東京電力福島第1原発の半径20キロ圏に位置する9市町村は22日午前0時,同圏内を「警戒区域」に設定したとのことです.(時事通信「警戒区域に設定=住民、数日中に一時帰宅―原発20キロ圏」ご参照)
今になって警戒区域に指定するくらいなら,初期の段階で避難を指示してほしかった,と思う人は少なくないでしょう.警戒区域指定を行う裏を詮索してしまうのは当然でしょう.原発事故に関して,違法,違憲な行為はかなりありそうです,
東京電力と日本政府には,嘘をつかない,事実を明らかにする,情報操作をしない,という事故対策手引き書が必要でしょう.
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谷直樹