患者のリクエストと医師の処方

患者にも薬についての情報が伝わり(情報が正しくない場合もあるでしょうが),自分の治療を医師まかせにしない人もしだいに増えているようです.
もちろん,医師が医学的に不適切な薬を処方した場合,いくら患者のリクエストだったと言っても,責任を免れるものではありません.
また,医師が,患者からのリクエストを退け,医学的に適切な薬を処方する場合でも,患者によく説明して患者の理解を求めることは当然必要です.患者が納得しないと,その薬を飲まないなどの事態も考えられ,治療のための説明義務が肯定できるからです.
医師が,実際にどのように対応しているのか,以下の調査があり,実態が判明しました.
◆ メドピアの調査
メドピアが,平成23年4月14日~17日,調査(有効回答1396人)したところ,患者から薬のリクエストを受けた経験のある医師は88%だった,とのことです.
リクエストに「必ず」または「できるだけ」応える医師は66%で,それら医師からは,医学的に容認できないケースを除き,患者の要望に応えることでコンプライアンスや患者とのコミュニケーションの円滑化につながるとの声が多かった,とのことです.
「自分の処方方針を優先している」と回答した医師は22%で,それらの医師は,よく患者に説明して理解を求めていく,とのことです.
リクエストは受け付けないという医師は6%で,それらの医師は処方は医師の責任の下で行うべきとの考えが強かった,とのことです.
◆ ミクス編集部の調査
ミクス誌編集部が株式会社アンテリオの協力を得て調査(回答133人)したところ,80%の医師がリスクエストを受けた経験があり,リクエストを肯定的に受け止めていた医師は2割弱、半数以上の医師は「どちらともいえない」という結果だった,とのことです.
(以上,ミクス「患者から薬剤リクエスト受けた経験あり 医師の9割 約7割は対応」 「患者の処方銘柄指定 効き目の良さに加え口コミも影響 本誌医師調査で」ご参照)
写真は,岡本太郎氏作『歓心』です.
谷直樹
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