「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」存亡の危機

日本医療安全調査機構の運営委員会が,4月22日開かれ,理事会から「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」中止が報告案件としてあがりました.
東日本大震災復興のために,厚生労働省の補助事業であるモデル事業に対し従来通りの予算執行ができるか先行きが不透明になった,という理由です.
委員からは,強い反対意見が述べられ,結局,理事会に差し戻し,再検討することになりました.高久会長は,途中退席しましたが,再検討を約束しました.
医療介護CBニュース「死因究明モデル事業中止論に異論噴出」によると,委員の意見は,次のとおりです.
「「皆の意思を無視している。モデル事業は医療安全に寄与している。この灯を消すべきでない」(高本眞一・三井記念病院院長)、「モデル事業は、診療関連死の真相をきちんと究明して安全な医療をつくるという営みをつくってきた。歴史の流れを戻すようなことを理事会が簡単に考えているとすれば、相当感覚がずれている」(加藤良夫・南山大大学院法務研究科教授)などの異論が続出。さらに、事業の中止が財政問題に端を発していることから、国からの補助金に頼る事業の在り方を問題視する声が上がり、事業に参加している各学会から資金を出し合うことで、自主独立の道を模索すべきという意見も出た。
こうした意見を受け樋口範雄委員長(東大法学部教授)は、厳しい財政事情に一定の理解を示しつつも、「この方針では医学界が第三者機関設立をあきらめたと取られかねない」との見解を述べ、理事会に対し再検討を促した。」
補助金の先行きが不透明というだけで,ただちに中止の方向に舵をとろうとした理事たちの姿勢は,事業の異議を理解しないもので.きわめて疑問です.
診療関連死の死因究明は,医療安全に役立つ事業です.簡単に撤退すべき事柄ではないでしょう.
谷直樹
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