問診,患者と医師の意識に大きなギャップ
興味深い調査である「一般外来受診時に医師に最も望むことは「的確な診断とわかりやすいアドバイス」 ―患者意識調査」をご紹介いたします.
共進社印刷株式会社は,2011年4月15日~4月30日,関西地方(67.7%)・関東地方(32.3%)在住の一般生活者(20代16.1% 30代42.0% 40代25.8% 50代16.1%)を対象に,外来受診時の意識調査を実施致しました.
◆ 大多数の患者が「問診票」について疑問
・「問診票の記入で病状を的確に伝えられていると感じますか?」に「思わない」(74.2%)
・「問診票が診察にどのように参考にされているかを理解している」(38.7%)
私が担当した医療事件でも,問診票の記載が事実と異なることが結構あり,記入者に訊くと,よく考えて正確に記入していたわけではないことが多々あります.
問診票は,受診前の比較的不安定な体調・心理状態で記入するため,正確に記入されていないことがあるのです.
医師の側は,おそらく問診票の記載を信用し,それを前提に診療することが多いと思います.
問診票について,医師側と患者側の意識・認識にギャップがある,という調査結果でした。
◆ 診察中に医師に感じること
・「病状をどう説明していいのかかわからず困惑してしまうことがある」(45.2%)
・「こちらから質問しないと詳しい診断結果の説明がないことが多い」(38.7%)
・「結局何の病気でどのように治るのかわからないことが多い」(35.5%)
・「もう少しゆっくりと病状や話を聞いて欲しい(32.3%)」
・「診察だけでコミュニケーションがない(16.1%)」
(複数回答)
病状の説明,診断結果の説明,病名・治療の説明という診療の基本について,問題が生じています.
患者側は,スタートから,病状をどう説明してよいか困惑しています.
医師としては,患者が言ってくれない以上はその症状がないものとして診療をすすめる,という場合もあると思います.医師は,或る疾患を疑ってはじめて,このような症状がありますか?,という質問ができるので,そもそも,手がかりが何もなければ,質問自体できない,ということもあると思います.
外来診療で,重大な疾患が見逃されたり,誤解が生じるのは,このような患者と医師の意識の違い,コミュニケーションギャップが背景にあるように思います.
谷直樹
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