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脳卒中ケアユニット+医療チームの積極的介入が死亡や寝たきりなどを改善する可能性が示唆されました

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ハンブルグで開催された第20回欧州脳卒中学会(ESCO)の「Large clinical trials」で,2011年5月27日,オーストラリア・Nursing Research InstituteのS.Middleton氏がQASCクラスターランダム化比較試験(CRCT)の結果から脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit)による集学的な治療に加え,看護師や言語療法士など医療チームによる熱や,血糖値,嚥下障害への介入が,死亡や寝たきりの割合を減らすなど,機能障害改善に寄与する可能性が示唆された,と報告しました.

S.Middleton氏は,熱,高血糖,嚥下障害への積極介入群とコントロール群に施設ごとに分け,治療効果を比較しました.
積極治療群では,看護師により4時間ごとに熱を測定し,37.5°以上であればアセトアミノフェンを投与するほか,血糖値についてもモニタリングを行い,必要に応じてインスリンの投与としました。そのほか,言語療法士と看護師により,嚥下障害のスクリーニングなどを行いました.

90日後までの再入院,死亡や寝たきり(重症度を測るスコアmodified Rankin Scale(mRS)≧2)は,コントロール群で58%(259例)だったのに対し,積極介入群は42%(236例)で,積極介入群で有意に低下する傾向がみられました.

機能依存度が95%未満だったのは,コントロール群で40%(169例),積極介入群では1%(165例)で,有意差はないものの,コントロール群で多い傾向がみられました(P値=0.07).

慢性疾患を対象に患者のQOLを測るSF-36は,身体的健康度(SF-36 PCS)はコントロール群で平均42.5点なのに対し,積極介入群では45.6点で,積極介入群で有意に良好な結果となりました(P値=0.002).

精神的健康度(SF-36 MCS)は積極介入群で改善する傾向がみられたものの,有意差はみられませんでした(P値=0.69).

ミクス「【ESCOリポート】脳卒中ケアユニット+医療チームの介入 死亡や寝たきりなど機能障害改善に寄与」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-30 09:46 | 医療