弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

全国保険医団体連合会,総合特別区域法案について意見書発表

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全国保険医団体連合会(保団連)は,今日平成23年6月2日,「国民生活の安全に必要な規制まで緩和するなど問題の多い総合特別区域法案の徹底審議を求めます」という意見書を発表しました.

「国民皆保険制度に、地域限定であっても、これらの規制緩和が導入されば、市場原理が持ち込まれ、公的医療保険の瓦解や社会保障に対する国の責任の後退につながりかねません。」と述べています.

問題点を3点指摘しています.

1 「国際戦略総合特区」設置は,大企業に対する支援
2 条例で上書きできる特例は,法治国家の原則に反かねない
3 医療分野の営利・産業化をねらった「医療の国際交流」(医療ツーリズム)

とくに3について,
「民主党政策サイト「VOICE」2011年2月25日では、「医療ツーリズムのキモとなるのが『総合特区制度』」と位置づけ、「工業地域等における用途規制の緩和(建築基準法の特例)」を活用して「これまで作れなかった場所に病院を作れるようになる」との発言が掲載されています。
この特例とあわせて「通訳案内士以外の者による有償ガイドの特例(通訳案内士法の特例)」を活用することなど、医療分野の営利・産業化をねらった「医療の国際交流」(医療ツーリズム)に大きく道を開くものとなりかねません。」
と懸念を表明しています.

民主党政権下でも,規制緩和の動きが加速しています.保団連の懸念は首肯できます.

政局と原発震災の影響なのか,あまり報道されていませんが,総合特別区域法案は,医療制度の今後に重要な影響を与えます.もっと注目されててよい問題と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-06-02 18:48 | 医療