クリゾチニブ(Crizotinib)は「第2のイレッサ」か?
◆ ALK阻害剤クリゾチニブ
日本臨床腫瘍学会学術集会で,癌研有明病院呼吸器内科副部長の西尾誠人氏は,今後の非小細胞肺がん(NSCLC)の個別化治療は,EGFR遺伝子変異のある患者にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(イレッサ,タルセバ),ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子陽性の患者にALK阻害剤(クリゾチニブ)を投与するという形に治療アルゴリズム自体が変わるとの見方を示した,とのことです.
ALK融合遺伝子とは,EML4 とALKという別の遺伝子が融合し,異常な行動を示すものです.
西尾氏は,クリゾチニブは「イレッサで経験するようなスーパーレスポンダーがいるのと同じ感覚の薬剤で,我々の臨床的な感覚としても『第2のイレッサ』という印象を持っている薬剤」とコメントした,とのことです.
◆ 課題
イレッサは遺伝子変異の検査を行わず,肺がん患者誰に対しても広く使用され,不幸な結果を招来しましたが,その教訓からクリゾチニブは遺伝子変異を検査してから使用されるでしょう.
そこで,「効率的にALK融合遺伝子陽性肺がんをみつけるための検査法を確立する必要がある」(西尾氏)とのことです.
西尾氏によると,「ALK融合遺伝子陽性患者は,女性,腺がん,EGFR遺伝子変異なし,喫煙が少ない,若年者といった人で高くて10%前後。これらの臨床背景で患者選択をするのがひとつの方法」としながらも,必ずしもこれにあてはまらない患者もいる,とんことです.
また,「クリゾチニブに耐性を示す患者が出てきている」(西尾氏)とのことです.
とすると,クリゾチニブの効果は,言われているほどではないかもしれません.
クリゾチニブの安全性は未だ確認されていません.
2011年5月に,日米で承認申請している段階です.
谷直樹
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