薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会,スイッチOTC
医師の処方箋が必要な薬(医療用医薬品)から,医師の処方箋が不要な薬(一般用医薬品)に変わった薬を「スイッチOTC」といいます。
「OTC」は,「Over The Counter」(カウンター越し)の略です.もっとも,売り場に陳列している店もあります.
いずれにしても,薬剤師などによる適切な情報に基づき,使用者が,自己判断・自己責任で使用するとされる医薬品です.
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日本薬学会は,医療用医薬品10成分のスイッチOTCが可能と判断したのですが,これについて,関係学会の意見が公表されています.薬事日報「【スイッチ候補薬】再提案3成分に依然反対‐医学会・分科会が見解」(8月16日)から一部を紹介いたします.
◆ 高コレステロール血症治療薬「コレスチミド」
日本循環器学会は,国民を危険から十分に守りきれないと判断し,現時点での移行は困難としています.
◆ 経口血糖降下薬「アカルボース」
日本糖尿病学会は,薬学会が購入者が自分の身体状況・検査データ・服薬状況などを、薬剤師に正確に申告することを前提としており,また血糖値の悪化や改善などの変化を正しく判断する方法がないとして,問題発生の危険性が極めて高いとしています.
日本循環器学会も,安全に使用するためには定期的な受診による効果と副作用に対する評価が前提となり,医学的判断を省略すれば,安全に使用することはできない,と反対しています.
◆ プロトンポンプ阻害薬「オメプラゾール」
日本消化器病学会と日本消化器内視鏡学会は、誤嚥性肺炎の頻度悪化、肝障害、骨の脆弱化の副作用や、強力な胃酸分泌抑制作用による消化性潰瘍や胃癌を見落とす危険性があることから,OTC化は時期尚早としています.
◆ 骨粗鬆症による骨折予防薬「メナテトレノン」
日本整形外科学会は,ワルファリンとの併用を避けるための服薬指導や、患者が骨粗鬆症の診断を受けていることを薬局で確認し、定期的な診察を患者へ指導する必要性を指摘し反対はしないが賛成もできない,としています.
◆ 過敏性腸症候群の対症治療薬「メペンゾラート臭化物」と「ポリカルボフィルカルシウム」
日本消化器病学会と日本消化器内視鏡学会は,少数意見がありますが,大きな支障はない,としています.
以上の意見をふまえて,本日の「薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会」(非公開)で審議されるものと思われます.スイッチOTCについては,慎重に判断していただきたいと思います.
谷直樹
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